JP7061519B2 - 溶融塩の水分低減方法、溶融塩電解方法および、溶融金属の製造方法 - Google Patents

溶融塩の水分低減方法、溶融塩電解方法および、溶融金属の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、金属塩化物を含有する溶融塩の水分低減方法、溶融塩中の金属塩化物を電気分解して溶融金属を得る溶融塩電解方法および、溶融金属の製造方法に関するものである。この発明は特に、溶融塩から、電気分解等において悪影響を及ぼす水分を有効に低減することのできる技術を提案するものである。
たとえば、クロール法による金属チタンの製造に際し、副次的に生成される塩化マグネシウムは、電解槽を用いて、電気分解により金属マグネシウムと塩素ガスとに分解されることがある。この場合、金属マグネシウム及び塩素ガスはそれぞれ、四塩化チタンの還元およびチタン鉱石の塩素化に用いられて再利用される。
この種の電気分解では一般に、たとえば、隔壁によって貯留室と電解室とに区画された電解槽内で、塩化マグネシウム等の金属塩化物を含有する溶融塩を貯留させて溶融塩浴とする。この溶融塩浴では、電解槽内の溶融塩が貯留室から電解室へ流れて、ここで電極への通電に基き、金属塩化物が金属マグネシウム等の溶融金属と塩素等のガスとに分解される。電解室で生成された溶融金属は電解槽内で貯留室へとさらに循環して、溶融塩との密度差によって溶融塩浴の液面上に浮上した後に回収される。また、ガスは電解槽に設けられたガス排出通路を経て電解槽の外部に排出される。
ところで、たとえば電解槽内に存在し得る水が溶融塩浴に混入すること等によって、溶融塩に水分が含まれる場合、電極の消耗に起因する電解槽の短命化や、電気分解の開始初期の電流効率の低下といった問題が生じる。より具体的には、電極への通電により、溶融塩中の水の電気分解が起こる。これにより発生する酸素がグラファイト電極と反応して電極の酸化を促進させ、電極を早期に消耗させる。また、溶融塩中の水分が、溶融塩の電気分解により生成した金属マグネシウム等と反応して、酸化マグネシウム等を形成する。この酸化マグネシウムはさらにこれが塩素ガス等と反応し、再び塩化マグネシウム等に戻る。このような余分な反応に電流が消費される。
このような問題に対処するため、電気分解の開始に先立って電解槽内の水分を減らすための電解槽の乾燥方法が、たとえば特許文献1、2等で提案されている。
特許文献1には、電解槽を溶融塩で満たす前に、加熱した大気等のガスを電解槽内に送り込むとともに電解槽の外部へ排出し、電解槽内を100℃以上に保持するガス加熱乾燥法が記載されている。また、この特許文献1には、電解槽を溶融塩で満たした後に、通電を行わずに溶融塩を溶融状態に保持する浴保持乾燥法も記載されている。
特許文献2には、上記の浴保持乾燥法に関し、浴保持乾燥の開始から48時間以内の乾燥初期に、その48時間以内における槽内浴塩の平均温度上昇率が0.75~2.5℃/hrとなるように槽内浴塩を昇温することが開示されている。
特開2006-328450号公報 特開2014-224288号公報
しかるに、水分は溶融塩を供給する前の電解槽に存在するだけでなく、電気分解を行う前の溶融塩自体に含まれることもある。ここで、特許文献1、2に記載されているような電解槽の乾燥では、このような溶融塩に含まれ得る水分は除去することができない。
それゆえに、特許文献1、2の提案技術では、電気分解を行うために電解槽内を溶融塩で満たした際に、その溶融塩に水分がある程度含まれてしまう。これにより、先述したような電解槽の短命化や電流効率の低下等を、所期したほど十分に抑制できないことが懸念される。
この発明は、このような問題を解決することを課題とするものであり、その目的は、金属塩化物を含有する溶融塩から、そこに含まれる水分を有効に低減することのできる溶融塩の水分低減方法、溶融塩電解方法および、溶融金属の製造方法を提供することにある。
発明者は、溶融塩中の水分を低減することについて鋭意検討した結果、次のことを新たに見出した。すなわち、金属塩化物を含有する溶融塩に不活性ガスを供給し、溶融塩中に当該不活性ガスの気泡を通すことにより、溶融塩に含まれる水分が良好に低減されることが解かった。
この知見の下、この発明の溶融塩の水分低減方法は、金属塩化物を含有する溶融塩に不活性ガスを供給して、当該溶融塩中に前記不活性ガスの気泡を通すというものである。
この水分低減方法では、前記不活性ガスをアルゴンガスとすることが好ましい。
また、この発明の溶融塩電解方法は、金属塩化物を含有する溶融塩中の前記金属塩化物を電気分解し、溶融金属を得るものであって、前記溶融塩に対し、上述したいずれかの水分低減方法を実施する水分低減工程を含むものである。
ここで、この発明の溶融塩電解方法では、前記水分低減工程を、電極を配置した電解槽内の前記溶融塩に対し、電気分解を開始する電極への通電前に行うことが好ましい。
またここで、この発明の溶融塩電解方法では、前記水分低減工程で、溶融塩の温度を600℃以上かつ700℃以下とすることが好ましい。
なお、この発明の溶融塩電解方法では、前記金属塩化物を塩化マグネシウムとすることができ、この場合、電気分解により得られる溶融金属は金属マグネシウムである。
そしてまた、この発明の溶融金属の製造方法では、上述したいずれかの溶融塩電解方法を用いて、溶融塩から溶融金属を製造するものである。
この発明の溶融塩の水分低減方法によれば、溶融塩に不活性ガスを供給して、当該溶融塩中に前記不活性ガスの気泡を通すことにより、溶融塩に含まれる水分を有効に低減することができる。
この発明の一の実施形態の水分低減方法を示す、電解槽の縦断面図である。 図1の電解槽を用いて電気分解を行う状態を示す縦断面図である。なお、ガス送り管の図示は省略している。 図2のIII-III線に沿う部分断面図である。
以下に図面を参照しながら、この発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1及び2に例示する電解槽1は、たとえば主としてAl23等の耐火煉瓦その他の適切な材料からなる容器形状の外壁2を有する。この電解槽1は、その内部に供給された金属塩化物を含む溶融塩からなる溶融塩浴で、溶融塩中の金属塩化物を電気分解して、該電気分解により溶融金属を生成するためのものである。ここで、図示の例では、電解槽1の内部に、溶融塩浴の深さ方向(図1及び2では上下方向)と平行に並べて配置した部分を有する陽極3a及び陰極3bを含む電極3と、電解槽1内の温度調整を行う熱交換器としての温度調整管4とが配置されている。
なおここでは、溶融塩に含まれる金属塩化物を塩化マグネシウム(MgCl2)とした場合を例として説明する。この場合、塩化マグネシウムの電気分解により、図2に示すように、溶融金属として金属マグネシウム(Mg)が生成されるとともに、ガスとして塩素ガス(Cl2)が発生する。溶融塩には、上記の塩化マグネシウム(MgCl2)の他、支持塩として、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化カリウム(KCl)及び/又は、フッ化カルシウム(CaF2)等を含ませる場合がある。金属マグネシウムは、金属チタンを製造するクロール法における四塩化チタンの還元に、また塩素ガスは、同法におけるチタン鉱石の塩素化にそれぞれ用いることができる。この電気分解の原料とする塩化マグネシウムとしては、クロール法で副次的に生成されるものを使用可能である。
但し、この発明は、金属塩化物として、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化アルミニウム(AlCl3)もしくは塩化亜鉛(ZnCl2)等を含有する溶融塩にも用いることができる。
ここで、図示の電解槽1は内部に、図1及び2に示すところでは図の中央からやや左寄りに配置された隔壁5をさらに備えるものである。かかる隔壁5により、電解槽1の内部は、図1及び2では右側に位置して電極3が配置された電解室2aと、左側に位置し、電解室2aでの電気分解により得られた溶融金属が流れ込んで該溶融金属が溶融塩との密度差により上方側に溜まる貯留室2bとに区画される。具体的には、この隔壁5は、電解槽1の上方側開口を覆蓋するための図示しない蓋部材に近接させて配置される。電解槽1の下方側の底部との間に、貯留室2bから電解室2aへの溶融塩の移動を可能にする溶融塩循環路5aが形成される。また、隔壁5自体に貫通させて設けた溶融金属流路5bにより、電解室2aから貯留室2bへの溶融金属の流入が可能になる。
またここで、電解室2aに配置された電極3は、少なくとも、電源に接続された陽極3a及び陰極3bを有する。これらの陽極3a及び陰極3bでは、たとえばMgCl2→Mg+Cl2等といった所定の反応に基いて、陽極3aの表面で酸化反応により塩素等のガスが生じるとともに、陰極3bの表面で還元反応により金属マグネシウム等の溶融金属が生成される。
電極3は、少なくとも陽極3a及び陰極3bを有するものであれば、溶融塩中の金属塩化物の電気分解を行うことができる。一方、電極3は、電気分解の生成効率向上等の観点より、図3に示すように、陽極3aと陰極3bとの間に、陽極3a及び陰極3b間への電圧の印加によって分極する一枚以上のバイポーラ電極3c、3dをさらに有することが好ましい。この例では、バイポーラ電極3c、3dは二枚としている。但し、このようなバイポーラ電極3c、3dは必ずしも必要ではない。
上述したような電解槽1を用いた溶融塩電解方法では、溶融塩浴の対流により、図2に示すように、溶融塩が、貯留室2bから底部側の溶融塩循環路5aを経て電解室2aに流動する。電解室2aでは、溶融塩中の金属塩化物が電気分解されて、電解室2aで溶融金属が生成される。そしてこの溶融金属は、隔壁5の浴面側の溶融金属流路5bを通って貯留室2bに流入する。その後、溶融塩に対する比重の小さい溶融金属は、貯留室2bの浅い箇所に浮上してそこに溜まる。貯留室2bで浮上した溶融金属は、図示しないポンプ等により回収することができる。したがって、これによれば、溶融塩から溶融金属を製造することができる。
ところで、溶融塩に水分が含まれると、溶融塩中の塩化マグネシウムを電気分解する際に、塩化マグネシウムとともに水が電気分解されて酸素が発生する。陽極3aの材質は耐塩素性を有するグラファイトとすることが一般的であるところ、水の電気分解による酸素はこのグラファイト電極と反応する。この反応が、グラファイト電極の酸化による消耗を促進させ、グラファイト電極、ひいては電解槽1の寿命を短くする。
また、溶融塩中の水が、電気分解により生成した金属マグネシウムと反応すると酸化マグネシウムが生成される。この酸化マグネシウムの一部は塩素ガスと反応して、再び元の塩化マグネシウムに戻る。また、一部の酸化マグネシウムはスラッジとなって回収不可能となる。それにより、このような水との反応は電流効率を低下させる。
かかる陽極3aの早期の消耗及び電流効率の低下を抑制するため、電気分解の開始前に、溶融塩に含まれる水分を可能な限り低減することが重要である。
この観点から、この発明では、溶融塩に不活性ガスを供給して、溶融塩中に不活性ガスの気泡を通すことにより、溶融塩に含まれる水分の少なくとも一部を除去する。
より詳細には、たとえば、必要に応じて予め、溶融塩を満たす前の電解槽1に対して加熱等による乾燥を行う。次いで、電解槽1に溶融塩を供給して電解槽1を溶融塩で充満させる。その後、図1に例示するように、電解槽1内の溶融塩中に、不活性ガスの気泡Bgを発生させる水分低減工程を行う。この気泡Bgは、できる限り電解槽1の底部近傍で発生させることにより、そこから溶融塩の浴面Sb側に向かって上昇して浴面Sbに到達し、深さ方向の広範囲にわたって溶融塩と接触することになる。
水分は、電解槽1の外壁2等を構成する煉瓦や目地のモルタル等から電解槽1内に混入して、溶融塩を供給する前の電解槽1内に存在したり、また、電気分解を行う前の溶融塩中の支持塩等に含まれたりすることがある。この実施形態では、電解槽1内の溶融塩中に不活性ガスの気泡を通すことにより、このような様々な経路で溶融塩に混入する水分を効果的に低減することが可能になる。
図1に示すところでは、電解槽1内に、たとえば、貯留室2bから外壁2に沿って底部側で貯留室2bと電解室2aと間の溶融塩循環路5a付近へと延びるガス送り管6を設けている。そして、このガス送り管6に不活性ガスを供給し、溶融塩循環路5aの近傍に位置するガス放出端部6aから当該不活性ガスを電解槽1内に放出させる。それにより、溶融塩中に気泡Bgを発生させることができる。
気泡Bgは可能な限り溶融塩の全体に通すことが、その全体に存在し得る水分を有効に低減できる点で好ましい。それゆえに、たとえば、ガス放出端部6aに、不活性ガスを分散させて噴射するための図示しないノズルを取り付けることができる。これにより、不活性ガスの気泡Bgはガス放出端部6aから溶融塩中で広範囲に広がって放出される。また図示は省略するが、一本又は複数本のガス送り管で、複数個のガス放出端部、好ましくは多数個のガス放出端部を設けることも有効である。
なおこの実施形態では、電解槽1に溶融塩を供給した後の電解槽1内の溶融塩中に不活性ガスの気泡Bgを通すこととしている。一方、たとえば、電解槽1を溶融塩で満たすに先立って電解槽1に供給する前の溶融塩中に不活性ガスの気泡を通して、その際に水分を低減してもよい。この場合、水分低減後の溶融塩を、そこにさらなる水分が混入しない態様で電解槽1に供給することが望ましい。
溶融塩に供給する不活性ガスは、アルゴンガス、窒素ガス又はヘリウムガス等とすることができるが、なかでもアルゴンガスが好ましい。アルゴンガスは、比較的安価であり、また溶融塩浴での不純物生成回避の観点からも有利である。
不活性ガスの気泡Bgにより溶融塩中の水分を低減する際は、溶融塩の温度を600℃以上かつ700℃以下に維持することが好ましい。溶融塩の温度を600℃以上に保つことで溶融塩の粘性が低下しバブリングによる溶融塩の循環が起こりやすくなり、また、700℃以下に保つことで高温の溶融塩が電解槽1の煉瓦等からなる外壁2に染み込んで、溶融塩が電解槽1から漏洩するリスクが低減する。この観点から、不活性ガスの気泡Bgを通す際の溶融塩の温度は、600℃以上かつ650℃以下とすることがより一層好ましい。
水分をより一層有効に低減するとの観点から、気泡Bgを溶融塩に通す時間は、12時間以上とすることができる。なお、当該時間の上限は特に限定されず、溶融塩量、温度等を鑑み適宜決定可能である。
上述したような水分低減工程を行った後、電極3に通電して、溶融塩中の金属塩化物の電気分解を開始することができる。言い換えれば、上記の水分低減工程は、金属塩化物の電気分解を開始するための、電極3への通電の前に行うことができる。これにより、溶融塩に水分が含まれることによるグラファイト電極の酸化消耗や電流効率の低下を有効に抑制することができる。
次に、この発明の溶融塩の水分低減方法を試験的に実施し、その効果を確認したので以下に説明する。但し、ここでの説明は単なる例示を目的としたものであり、これに限定されることを意図するものではない。
以下の組成の溶融塩を240g準備し、高さ250mm、内径37mmの容器に前記溶融塩を入れ、さらに1.2g(溶融塩に対して0.5質量%)水を溶融塩に添加して混合した。
溶融塩組成:塩化マグネシウムが20質量%、塩化カルシウムが30質量%、塩化ナトリウムが49質量%、およびフッ化マグネシウムが1質量%
上記溶融塩を600℃または650℃に加熱し、24時間保持する条件にて、後述の試験1及び2を行った。なお、実施例1~3では加熱保持中に容器底部近傍より溶融塩にアルゴンガスの気泡を通したが、比較例ではアルゴンガスを溶融塩に通さないものとした。また、実施例1~3では、アルゴンガスの体積流量を変化させた。
実施例1:溶融塩温度600℃、かつアルゴンガス体積流量4cc/min。
実施例2:溶融塩温度650℃、かつアルゴンガス体積流量50cc/min。
実施例3:溶融塩温度650℃、かつアルゴンガス体積流量200cc/min。
比較例1:溶融塩温度600℃、かつアルゴンガスを通さない。
比較例2:溶融塩温度650℃、かつアルゴンガスを通さない。
(試験1:溶融塩中の水量検討)
上記の実施例1~3並びに比較例1及び2のそれぞれについて、試験1として、溶融塩中に陽極及び陰極からなる電極を設置し、上記加熱保持中に所定の時間間隔で溶融塩中の水量を測定した。より具体的には、水の分解電圧(1.2V)より大きく且つMgCl2の分解電圧(2.75V)未満である2.6Vの定電圧を電極に印加し、その際の電解電流量を、24時間内の所定の時間間隔で測定した。
なおここで、水量の確認に用いた電極の材質、形状及びその他の条件は次のとおりである。
材質:グラファイト(比抵抗:8.0μΩ・m)
断面形状:半月型(全長590mm、幅30.4mm、厚さ11mm)
溶融塩への電極浸漬深さ:120mm
対向電極間距離:7mm
2.6Vの定電圧では、溶融塩を構成する塩化マグネシウムを含むいずれの塩(成分)も電気分解されず、水のみが電気分解されることから、測定した電解電流量は溶融塩中の水分量に対応すると考えられる。
この試験1の結果を表1に示す。
Figure 0007061519000001
表1より、比較例1及び2並びに実施例1~3のうち、同じ溶融塩温度のものどうしで平均通電量を比較すると、溶融塩温度600℃および650℃いずれの温度条件の場合であっても、溶融塩にアルゴンガスの気泡を通した実施例の方が、電解電流量が少ないことが解かる。よって、溶融塩にアルゴンガスの気泡を通すことで溶融塩中の水量を低減できたと考えられる。
(試験2:電流効率の検討)
上記の実施例1~3並びに比較例1及び2のそれぞれについて、試験2として、上記条件にて24時間の加熱保持後、直ちに各溶融塩を660℃まで昇温し、丸棒形状のグラファイト電極(φ10mm)を溶融塩に100mm浸漬させ、通電量15.7Aの条件で30分間電気分解した。
電気分解によって発生した塩素ガスを0.5M水酸化ナトリウム水溶液1000mlに通気して吸収させ、その吸収液から10ml分取し、その分取液10ml中の次亜塩素酸ナトリウム量を固体ヨウ化カリウム試薬、6M塩酸、0.1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液を用いて定量した。定量の手順は、分取液10mlに対し、固体ヨウ化カリウムを1gと6M塩酸を5ml加えることでヨウ素を生成(液色が着色)し、次に、そのヨウ素を含んだ分取液に対し0.1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液を少量ずつ滴下させ、液色が目視で無色になった時点を滴定終点とした。0.1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液の滴下量から、0.5M水酸化ナトリウム水溶液1000mlに吸収された塩素ガス量を定量した。通電条件(通電量および通電時間)から算出可能な理論生成塩素ガス量との比により該塩素回収率を求め、該塩素回収率を電流効率とした。比較例1の電流効率を100としたときの相対値で表し、アルゴンガスの通気による水分低減の効果を確認した。その結果を表2に示す。
Figure 0007061519000002
表2より、比較例1及び2並びに実施例1~3のうち、同じ溶融塩温度のものどうしで電流効率を比較すると、溶融塩温度600℃および650℃いずれの温度条件の場合であっても、溶融塩にアルゴンガスの気泡を通した実施例の方が、電流効率が向上した。この電流効率の向上は溶融塩中の水量の低減により達成できたと考えられる。
1 電解槽
2 外壁
2a 電解室
2b 貯留室
3 電極
3a 陽極
3b 陰極
3c、3d バイポーラ電極
4 温度調整管
5 隔壁
5a 溶融塩循環路
5b 溶融金属流路
6 ガス送り管
6a ガス放出端部
Bg 気泡

Claims (10)

  1. 金属塩化物を含有する溶融塩の水分を低減する方法であって、
    前記溶融塩が、溶融塩電解に用いられ、前記金属塩化物としての塩化マグネシウムと、支持塩としての塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム及びフッ化カルシウムからなる群から選択される少なくとも一種とを含み、
    前記溶融塩に不活性ガスを供給して、当該溶融塩中に前記不活性ガスの気泡を通す、溶融塩の水分低減方法。
  2. 前記不活性ガスをアルゴンガスとする請求項1に記載の水分低減方法。
  3. 前記溶融塩に塩化水素を供給することを含まない、請求項1又は2に記載の水分低減方法。
  4. 前記溶融塩中に前記気泡を通す時間を、12時間以上とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の水分低減方法。
  5. 金属塩化物を含有する溶融塩中の前記金属塩化物を電気分解し、溶融金属を得る溶融塩電解方法であって、
    前記溶融塩に対し、請求項1~4のいずれか一項に記載の水分低減方法を実施する水分低減工程を含む溶融塩電解方法。
  6. 前記水分低減工程を、電極を配置した電解槽内の前記溶融塩に対し、電気分解を開始する電極への通電前に行う請求項に記載の溶融塩電解方法。
  7. 前記水分低減工程で、溶融塩の温度を600℃以上かつ700℃以下とする請求項5又は6に記載の溶融塩電解方法。
  8. 前記水分低減工程で溶融塩の温度を600℃以上かつ650℃以下とし、その後に昇温して電気分解を開始する、請求項7に記載の溶融塩電解方法。
  9. 気分解により得られる溶融金属が金属マグネシウムである請求項のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法。
  10. 請求項のいずれか一項に記載の溶融塩電解方法を用いて、溶融塩から溶融金属を製造する、溶融金属の製造方法。
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