JP2019115822A - ブラシ及びブラシの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、歯ブラシとしては、図13に示す特許文献1に示された歯ブラシが提案されている。以下に、特許文献1に示された歯ブラシについて説明する。
この平線14を用いる歯ブラシ11にあっては、ヘッド部15は平線14の圧入に耐えるような肉厚が必要となり、ヘッド部15が大きくなるという問題があった。また、ヘッド部15は樹脂で形成され、平線14は金属で形成されるため、ヘッド部15と平線14を分離し、分別廃棄するのが難しいという問題があった。
平線を用いない無平線タイプの歯ブラシについて、図14に基づいて説明する。
この無平線タイプの歯ブラシ20は、ヘッド部21に植毛穴22が形成されると共に、ヘッド部21の背面に凹部23が形成され、前記植毛穴22は前記凹部23内に開口している。そして、前記植毛穴22に毛束24を挿入し、前記凹部内23に樹脂25を充填することにより、前記毛束24をヘッド部21に固定している。
そして、図15(a)に示すように、毛束保持治具30にヘッド部21を据付ける。この毛束保持治具30は、ヘッド部21の据付部31と、据付部31に据付けられるヘッド部21の植毛穴22に連なる毛束整形孔32を備えている。
続いて、図15(c)に示すように、前記ヘッド部21を有する歯ブラシと毛束保持治具30を、搬送装置(図示せず)によって、成形装置50に搬送し、位置決めする。
その後、図15(d)に示すように、成形装置50の成形金型51の注入口52(ゲート)から導入される背面充填材(樹脂成形材)60を、前記凹部23内に注入して、ヘッド部21に毛束24を固定する。 前記充填材60の固化後、成形金型51を開いて歯ブラシ20及び毛束保持治具30を取出し、歯ブラシ20を毛束保持治具30から外すことにより、図15(e)に示すような、歯ブラシ20が完成する。
この歯ブラシ本体の形成と毛束のヘッド部の固定を同時に行う、無平線タイプの歯ブラシについて、図16に基づいて説明する。尚、図14、図15に示した部材と同一あるいは相当する部材は、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
そして、この毛束保持治具30の毛束整形孔32に、毛束植設装置(図示せず)により、毛束24を植設し、毛束24の先端部を毛束整形孔32の孔底面に押し当て整形する。
その後、毛束端面溶融装置40により、図15(b)に示すように、歯ブラシ本体部形成部33内に出ている毛束24の端面を溶融し、塊状部24aを形成する。
その後、図15(d)に示すように、成形装置50の成形金型51の注入口52(ゲート)から導入される樹脂成形材60を、前記ヘッド部形成部33内に注入して、歯ブラシ本体部(ヘッド部と柄部)26の形成と、毛束24のヘッド部21の固定を行う。
前記成形材60の固化後、成形金型51を開いて歯ブラシ20及び毛束保持治具30を取出し、歯ブラシ20を毛束保持治具30から外すことにより、図15(e)に示すような、歯ブラシ20が完成する。
そのため、この従来の無平線タイプの歯ブラシでは、凹部内に充填された樹脂が毛束の毛の間を通ってヘッドの表面に滲み出る虞もあり、また毛束を構成する毛の下端部同士が前記樹脂によって接着され、また毛束を構成する毛の下端部が植毛穴に接着され、毛束の所定のしなやかさが失われるという技術的課題があった。
この無平線タイプの歯ブラシにおいては、図17に示すように、植毛穴22自体の形状が毛束24に倣った形状になり、植毛穴22と毛束24との間の隙間が失われるという技術的課題があった。また、毛束24を構成する毛の下端部24A同士が歯ブラシ本体部の形成する樹脂によって接着され、また毛束24を構成する毛の下端部24Aが前記樹脂によって植毛穴22に接着され、毛束の所定のしなやかさが失われるという技術的課題があった。
その結果、従来の無平線タイプの歯ブラシにあっては、毛束の所定のしなやかさが失われ、また毛間の水抜けが悪く、歯ブラシの使用感が劣るという技術的課題を有するものであった。
即ち、一つの毛束が一つの毛束固定部によって、前記ヘッド部に固定されているため、仮に植毛穴に成形樹脂を充填する場合であっても、従来のような高い樹脂注入圧で充填する必要はない。
その結果、充填された樹脂が毛束の毛の間を通ってヘッドの表面へ滲み出すのを抑制でき、また毛の下端部同士の接着及び前記毛の下端部と植毛穴との接着を抑制でき、更に植毛穴自体の形状が毛束に倣った形状になるのを抑制できる。
したがって、本発明にかかるブラシは、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良いブラシとすることができる。
この毛束固定部は、前記ヘッド部の一部あるいは前記ヘッド部と別の閉塞部材が溶融固化したものであるため、樹脂を充填する場合のように樹脂が毛束の毛の間を通ってヘッドの表面に滲み出ることもなく、毛の下端部同士の接着及び前記毛の下端部と植毛穴との接着を防止することができ、また植毛穴自体の形状が毛束に倣った形状になるのを防止することができる。
その結果、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシを得ることができる。
特に、植毛穴の形状を所望の形状に維持することができるため、植毛穴と毛束との間に隙間を形成できると共に、植毛穴の面積と毛束の総面積の割合(毛束の占有率)を、所望の割合に容易になすことができ、所望の水抜け、所望の毛束のしなやかさを有するブラシを得ることができる。
このように、固定部の表面がヘッド部背面から突出するように構成されることにより、ヘッド部の厚さを薄くしつつ、ヘッド部(植毛穴)による毛束の保持長さを長くすることができる。
尚、前記ヘッド部厚さの50%未満の位置に配置されている場合には、ヘッド部(植設穴)による毛束の保持長さが短く、また毛の可動支点(ヘッド部表面側の植設穴の縁部と毛の接触点)が前記塊状部の近傍になるため、毛が抜け易いという弊害が生じるため、好ましくない。また、毛の可動支点が前記塊状部の近傍になるため、毛の振幅が大きくなるため、毛先が開き易くなるという弊害が生じるため、好ましくない。
前記ヘッド部の表面側の植設穴の開口縁が垂直な角部である場合には、前記角部により毛が折れ曲がり易くなり、好ましくない。これに対して、植設穴の開口縁が曲面形状あるいは面取りされている場合には、毛の折れ曲がりが抑制されると共に、製造時に毛束を挿入する際のガイドとしての機能させることができる。
その結果、充填された樹脂が毛束の毛の間を通ってヘッド表面へ滲み出すのを抑制でき、また毛の下端部同士の接着及び前記毛の下端部と植毛穴との接着を抑制でき、更に植毛穴自体の形状が毛束に倣った形状になるのを抑制できる。
したがって、本発明にかかるブラシにあっては、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良いものとすることができる。
このように、複数の植設穴の夫々に、個別に毛束固定部が設けられるため、従来のブラシのように高い樹脂注入圧で充填する必要はなく、低い樹脂注入圧で十分充填することができるため、充填された樹脂が毛束の毛の間を通って、ヘッド表面へ滲み出すのを抑制することができる。
このように、ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように形成された壁部を形成し、この壁部を溶融固化することにより、容易に塊状部の背面側を覆うことができ、前記毛束を前記ヘッド部に確実に固定することができる。
特に、植毛穴の形状を所望の形状に維持することができるため、植毛穴と毛束との間に隙間を形成できると共に、植毛穴の面積と毛束の総面積の割合(毛束の占有率)を、所望の割合に容易になすことができ、所望の水抜け、所望の毛束のしなやかさを有するブラシを得ることができる。
この場合においても、容易に塊状部の背面側を覆うことができ、前記毛束を前記ヘッド部に確実に固定することができ、植毛穴の形状を所望の形状に維持することができるため、所望の水抜け、所望の毛束のしなやかさを有する使用感の良いブラシとすることができる。
尚、図1は、本発明にかかる歯ブラシの一実施形態を示す斜視図であり、(a)は歯ブラシの背面側からみた斜視図であり、(b)は歯ブラシの表面側からみた斜視図である。また図2は、図1(a)のI−I断面図である。更に、図3は植設穴の拡大図である。
更に、前記ヘッド部4には、毛束5Aが挿通し、保持される複数の植設穴6が形成されている。前記植設穴6の上端部には、前記植設穴6の他の部分(小径部)よりも径が大きい大径部6bが形成されている。尚、この大径部6bは植設穴6の一部を構成するものであり、植設穴6と連通している。即ち、この大径部6bは、前記大径部6b(底面部)と植設穴(小径部)6の境界部に、いわゆる段部である係止部6aを形成するものである。また、前記係止部6aは前記塊状部5Bが係止されるように構成されている。
尚、前記大径部6bは係止部6aが形成できる程度の径を有していれば良く、必要以上に径を大きくすることは、ヘッド部2に形成される植設穴6の数を少なくすることを意味し、好ましくない。
特に、前記塊状部5Bが、前記ヘッド部4の表面4aから前記ヘッド部厚さt1の50%以上の位置(寸法t2)に、配置されていることが望ましい。
このヘッド部の厚さとは、ヘッド部の最大厚さをいい、毛束固定部7はヘッド部4の背面4bから突出した凸部として形成されている場合には、ヘッド部4の表面から毛束固定部7の凸部表面までの寸法を言う。
尚、前記ヘッド部厚さの50%未満の位置に配置されている場合には、ヘッド部4(植設穴6)による毛束の保持長さが短く、また毛の可動支点P(ヘッド部表面側の植設穴の縁部と毛の接触点)が前記塊状部5Bの近傍になるため、毛が抜け易いという弊害が生じるため、好ましくない。また、毛の可動支点Pが前記塊状部5Bの近傍になるため、毛の振幅(振れ)が大きくなり、毛先が開き易くなるという弊害が生じるため、好ましくない。
尚、前記壁部4cは、植設穴6の全周を囲うように形成する必要はなく、植設穴6の一部を囲うものであっても良い。即ち、前記壁部4cは、溶融して前記植設穴6(大径部6b)の開口部6b1を塞ぎ、前記塊状部5Bを固定できるものであれば良い。
このテーパ繊維5aのテーパ面5a1長さXは、合成樹脂製繊維の先端から1〜5mmの範囲に形成されている。
即ち、テーパ面5a1長さXが1mm未満の場合、テーパ繊維5aが歯周ポケットの深部まで侵入せず、前記ポケット奥の清掃が不十分になる。一方、テーパ面5a1長さXが5mmを超える場合、毛先(テーパ繊維)が細くなり過ぎ、歯周ポケット内の汚れを掃き出し難く、また、腰(曲げに対する反発力)が弱く、歯面を磨く効果も低下するため、好ましくない。
前記直径は、テーパ繊維5a及び非テーパ繊維5b共に、好ましくは0.15mm〜0.25mmのものが良い。尚、前記テーパ繊維5aの直径は、円柱部(テーパ面5a1が形成されていない部分)の径である。
また、前記歯ブラシの植毛穴は、前記従来の歯ブラシのように毛束に倣った形状にならず、毛の下端部と歯ブラシ本体部(ヘッド部)との間に隙間が形成される。
その結果、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシを得ることができる。
特に、また植毛穴の形状を所望の形状に維持することができるため、植毛穴と毛束との間に隙間を形成できると共に、植毛穴の面積と毛束の総面積の割合(毛束の占有率)を、所望の割合に容易になすことができ、所望の水抜け、所望の毛束のしなやかさを有する歯ブラシを得ることができる。
まず、図5(a)に示すように、複数の貫通した植設穴6と、前記植設穴6の上部に設けられた大径部6bの底面に形成された係止部6aとを備えるヘッド部4を有する歯ブラシ1を樹脂成形により形成する。
前記ヘッド部4を有する歯ブラシ1を形成した後、図5(b)に示すように、複数の合成樹脂製繊維5からなる毛束5Aを、前記植設穴6に挿通する。このとき、前記植設穴6の表面側の開口縁(開口部6c)が曲面形状あるいは面取りされている。
そのため、植設穴6の表面側の開口縁(開口部6c)は、前記毛束5Aを挿入する際のガイドとして機能し、前記毛束5Aを前記植設穴6に容易に挿通することができる。
この加熱溶融装置8としては、一般的に用いられているヒータのような加熱溶融装置、あるいはインパルスウェルダー(IPW)を用いることができる。
前記ヒータを用いる場合には、毛束5Aの一端部に近接(非接触)させて加熱溶融するため、塊状部5Bの形状の形を整えることができない。そのため、後の工程の押し込み工程で、塊状部5Bを大径部6b内に収容することができない虞がある。
一方、インパルスウェルダー(IPW)を用いる場合には、加熱チップ8aを有し、前記加熱チップ8aに接触させることにより、塊状部5Bを形成するため、その形状を整えることができ、塊状部5Bを大径部6b内に収容できないという弊害を防止することができる。
前記したように、インパルスウェルダー(IPW)を用いる場合には、加熱チップ8aを有し、前記加熱チップ8aには所定形状のキャビティ8a1が形成されている。この加熱チップ8aを、図7(a)に示す状態から下降させる。そして、図7(b)に示すように、キャビティ8a内に毛束5Aの一端部を収容し、加熱溶融する。このとき、毛束5Aの一端部は、前記キャビティ8aによって成形され、所定形状の塊状部5Bとすることができる。
図5(d)に示すように、合成樹脂製繊維(毛)5の毛束5Aを切断した後、図6(a)に示すように、押しピン9で、前記大径部6bの底面によって形成された係止部6aまで前記塊状部5Bを押し込み、前記塊状部5Bを係止部6aに係止させる。
尚、この押し込み工程では、押しピン9で塊状部5Bを押し込む法を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、空気を噴射するノズルを設け、該空気を塊状部5Bに噴射し、塊状部5Bを押し込んでも良い。
この毛束固定部7の形成工程を、図8に基づいて説明する。前記したように、インパルスウェルダー(IPW)は加熱チップ8bを有し、前記加熱チップ8bには所定形状のキャビティ8b1が形成されている(図8(a)参照)。
図8(c)に示すように、前記加熱チップ8bを上昇させることにより、ヘッド部4(歯ブラシ1)が完成する。
また、従来の歯ブラシのように成形金型50を必要としないため、安価にヘッド部4(歯ブラシ1)を製造することができる。
しかも、前記歯ブラシは、従来の歯ブラシのように、毛束を構成する毛の下端部同士が接着されることはなく、また毛の下端部が歯ブラシ本体部(ヘッド部)に接着されることもない。また、前記歯ブラシの植毛穴は、歯ブラシ本体部(ヘッド部と柄部)の形成と毛束のヘッド部への固定が同時に行われる従来の歯ブラシと異なり、毛束に倣った形状にならず、毛の下端部と歯ブラシ本体部(ヘッド部)との間に隙間が形成され、植毛穴の形状を維持することができる。
その結果、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシとなすことができる。
上記実施形態の毛束固定部7は、前記ヘッド部4の背面側の植設穴6(大径部6b)の周囲を囲うように形成された、ヘッド部の一部である壁部4cを溶融固化して形成されたものである。
これに対して、第1の変形例は、植設穴(大径部6b)の背面側に配置された(ヘッド部と別部材である)、外形が円筒状あるいは円錐台筒形状の閉塞部材10Aを溶融固化することにより形成される点において特徴がある。
図9(a)に示すように、閉塞部材10Aを植設穴6の背面側(大径部6b側)に配置する。次に、図9(b)に示すように、インパルスウェルダー(IPW)の加熱チップ8bを下降させ、キャビティ8a内に閉塞部材10Aを収容し、加熱溶融する。このとき、キャビティ8a内の形状に対応して、閉塞部材10Aは塊状部5Bの背面側を覆う方向に倒れ、大径部6bの開口部6b1を塞ぎ、塊状部5Bを固定する毛束固定部7が形成される。即ち、前記塊状部5Bは、前記閉塞部材10Aが加熱溶融され固化することにより、ヘッド部4内に埋設され、固定される。
図9(c)に示すように、前記加熱チップ8bを上昇させることにより、ヘッド部4(歯ブラシ1)が完成する。
この第2の変形例は、植設穴の背面側に配置された(ヘッド部と別部材である)、外形が球状あるいは断面が楕円形状の閉塞部材10Bを溶融することにより形成される点において特徴がある。
図10(a)に示すように、閉塞部材10Bを植設穴6(大径部6b)の背面側に配置する。このとき、閉塞部材10Bの外形が球状あるいは断面が楕円形状に形成されているため、閉塞部材10Bの一部が、大径部6b内に進入し、仮固定される。
その後、図10(b)に示すように、インパルスウェルダー(IPW)の加熱チップ8bを下降させ、キャビティ8a内に閉塞部材10Bを収容し、加熱溶融し固化することにより、塊状部5Bを固定する毛束固定部7が形成される。
即ち、前記塊状部5Bは、前記閉塞部材10Bが加熱溶融され固化することにより、ヘッド部4内に埋設され、固定される。図10(c)に示すように、前記加熱チップ8bを上昇させることにより、ヘッド部4(歯ブラシ1)が完成する。
この第3の変形例は、植設穴の背面側に配置された(ヘッド部と別部材である)、外形がシート状の閉塞部材10Cを溶融固化することにより形成される点において特徴がある。
尚、この変形例あっては、大径部6bが形成されない場合を示している。
図11(a)に示すように、閉塞部材10Cを植設穴6の背面側に配置する。このとき、閉塞部材10Cがシート状に形成されているため、閉塞部材10Cは、ヘッド部4の上面(背面)に載置ことにより、仮固定される。尚、塊状部5Bは、植設穴6の上縁部が係止部6aとなり、前記係止部6aに係止される。
その後、図11(b)に示すように、インパルスウェルダー(IPW)の加熱チップ8bを下降させ、キャビティ8a内に閉塞部材10Cを収容し、加熱溶融し固化することにより、塊状部5Bを固定する毛束固定部7が形成される。即ち、前記塊状部5Bは、前記閉塞部材10Cが加熱溶融、固化することにより、ヘッド部4(ヘッド部背面)に埋設され、固定される。
そして、図11(c)に示すように、前記加熱チップ8bを上昇させることにより、ヘッド部4(歯ブラシ1)が完成する。
この洗髪用ブラシのヘッド部4は環状に形成され、その中心部に貫通穴4Aが形成されている。この貫通穴4Aは水抜きのために形成されている。そして、前記ヘッド部4の背面側には、複数の植設穴の夫々に、かつ個別に毛束固定部7が設けられている。この毛束固定部7は、前記係止部に係止された毛束の塊状部の背面側を覆い、かつ前記植設穴(大径部)を閉塞する、樹脂を溶融固化した状態のものである。
このように構成された洗髪用ブラシは、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良いという効果を奏するものである。
2 歯ブラシの柄
3 歯ブラシ
4 ヘッド部
4a ヘッド部表面
4b ヘッド部背面
4c 壁部
5 合成樹脂製繊維
5A 毛束
5B 塊状部
5a テーパ繊維
5a1 テーパ面
5b 非テーパ繊維
6 植設穴
6a 係止部
6b 大径部
6b1 大径部開口部
6c 表面側開口部
7 毛束固定部
8 加熱溶融装置
8a 加熱チップ
8a1 キャビティ
8b 加熱チップ
8b1 キャビティ
9 押しピン
10A 閉塞部材
10B 閉塞部材
10C 閉塞部材
P 可動支点
X テーパ面長さ
Y 非テーパ面長さ
そして、この毛束保持治具30の毛束整形孔32に、毛束植設装置(図示せず)により、毛束24を植設し、毛束24の先端部を毛束整形孔32の孔底面に押し当て整形する。
その後、毛束端面溶融装置40により、図16(b)に示すように、歯ブラシ本体部形成部33内に出ている毛束24の端面を溶融し、塊状部24aを形成する。
その後、図16(d)に示すように、成形装置50の成形金型51の注入口52(ゲート)から導入される樹脂成形材60を、前記ヘッド部形成部33内に注入して、歯ブラシ本体部(ヘッド部と柄部)26の形成と、毛束24のヘッド部21の固定を行う。
前記成形材60の固化後、成形金型51を開いて歯ブラシ20及び毛束保持治具30を取出し、歯ブラシ20を毛束保持治具30から外すことにより、図16(e)に示すような、歯ブラシ20が完成する。
即ち、毛束が毛束固定部によって、前記ヘッド部に固定されているため、仮に植毛穴に成形樹脂を充填する場合であっても、従来のような高い樹脂注入圧で充填する必要はない。
その結果、充填された樹脂が毛束の毛の間を通ってヘッドの表面へ滲み出すのを抑制でき、また毛の下端部同士の接着及び前記毛の下端部と植毛穴との接着を抑制でき、更に植毛穴自体の形状が毛束に倣った形状になるのを抑制できる。
したがって、本発明にかかるブラシは、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良いブラシとすることができる。
その結果、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシを得ることができる。
特に、植毛穴の形状を所望の形状に維持することができるため、植毛穴と毛束との間に隙間を形成できると共に、植毛穴の面積と毛束の総面積の割合(毛束の占有率)を、所望の割合に容易になすことができ、所望の水抜け、所望の毛束のしなやかさを有するブラシを得ることができる。
その結果、充填された樹脂が毛束の毛の間を通ってヘッド表面へ滲み出すのを抑制でき、また毛の下端部同士の接着及び前記毛の下端部と植毛穴との接着を抑制でき、更に植毛穴自体の形状が毛束に倣った形状になるのを抑制できる。
したがって、本発明にかかるブラシにあっては、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良いものとすることができる。
このように、ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように形成された壁部を形成し、この壁部を溶融固化することにより、容易に塊状部の背面側を覆うことができ、前記毛束を前記ヘッド部に確実に固定することができる。
特に、植毛穴の形状を所望の形状に維持することができるため、植毛穴と毛束との間に隙間を形成できると共に、植毛穴の面積と毛束の総面積の割合(毛束の占有率)を、所望の割合に容易になすことができ、所望の水抜け、所望の毛束のしなやかさを有するブラシを得ることができる。
このように、前記毛束をヘッド部に固定する工程において、前記ヘッド部の背面側の植設穴に、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うようにヘッド部と別の閉塞部材を配置し、前記閉塞部材を溶融固化し、前記ヘッド部の背面側の植設穴に、前記塊状部の背面側を覆う毛束固定部を形成する。
この場合においても、容易に塊状部の背面側を覆うことができ、前記毛束を前記ヘッド部に確実に固定することができ、植毛穴の形状を所望の形状に維持することができるため、所望の水抜け、所望の毛束のしなやかさを有する使用感の良いブラシとすることができる。
ここで、前記毛束固定部の形成には、インパルスウェルダーが用いられることが望ましい。
Claims (5)
- 毛束をヘッド部に植設したブラシにおいて、
前記ヘッド部の表面と背面を貫通した植設穴と、
合成樹脂製繊維からなり、前記植設穴に挿通される毛束と、
前記植設穴に挿通した毛束のヘッド部背面側の一端部に形成された、前記毛束が溶融固化した状態の塊状部と、
前記毛束の塊状部が係止される係止部と、
前記植設穴に設けられた、前記係止部に係止された毛束の塊状部の背面側を覆い、かつ前記植設穴を閉塞する、樹脂を溶融固化した状態の毛束固定部と、
を備え、
前記植設穴に設けられた毛束固定部が、前記ヘッド部の一部あるいは前記ヘッド部と別の閉塞部材が溶融固化した状態の毛束固定部であることを特徴とすることを特徴とするブラシ。 - 前記合成樹脂繊維は、先端部に、先細りのテーパ面が形成されたテーパ繊維であって、前記テーパ面長さが、合成樹脂繊維の先端から1〜5mmの範囲にあることを特徴とする請求項1記載のブラシ。
- 請求項1又は請求項2に記載のブラシの製造方法において、
貫通した植設穴と、前記係止部とを備えるヘッド部を形成する工程と、
前記ヘッド部形成工程の後、合成樹脂製繊維からなる毛束を、前記植設穴に挿通する工程と、
前記植設穴に毛束を挿通する工程の後、ヘッド部の背面側における毛束の一端部を、溶融固化し、塊状部を形成する工程と、
前記塊状部の形成工程の後、前記塊状部を前記係止部に係止する工程と、
前記植設穴に形成され、かつ溶融した樹脂により前記塊状部の背面側を覆い、前記溶融した樹脂が固化することにより前記毛束を前記ヘッド部に固定する、毛束固定部を形成する工程と、
を備え、
前記ヘッド部形成工程において、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように壁部を形成し、
前記毛束をヘッド部に固定する工程において、前記壁部を溶融固化し、前記ヘッド部の背面側の植設穴に、前記塊状部の背面側を覆う毛束固定部を形成することを特徴とするブラシの製造方法。 - 請求項1又は請求項2に記載のブラシの製造方法において、
貫通した植設穴と、前記係止部とを備えるヘッド部を形成する工程と、
前記ヘッド部形成工程の後、合成樹脂製繊維からなる毛束を、前記植設穴に挿通する工程と、
前記植設穴に毛束を挿通する工程の後、ヘッド部の背面側における毛束の一端部を、溶融固化し、塊状部を形成する工程と、
前記塊状部の形成工程の後、前記塊状部を前記係止部に係止する工程と、
前記植設穴に形成され、かつ溶融した樹脂により前記塊状部の背面側を覆い、前記溶融した樹脂が固化することにより前記毛束を前記ヘッド部に固定する、毛束固定部を形成する工程と、
を備え、
前記毛束をヘッド部に固定する工程において、前記ヘッド部の背面側の植設穴に、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うようにヘッド部と別の閉塞部材を配置し、前記閉塞部材を溶融固化し、前記ヘッド部の背面側の植設穴に、前記塊状部の背面側を覆う毛束固定部を形成することを特徴とするブラシの製造方法。 - 前記毛束固定部の形成には、インパルスウェルダーが用いられることを特徴とする請求項3または請求項4記載のブラシの製造方法。
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