JP2000041736A - 歯ブラシ - Google Patents

歯ブラシ

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JP2000041736A
JP2000041736A JP10215729A JP21572998A JP2000041736A JP 2000041736 A JP2000041736 A JP 2000041736A JP 10215729 A JP10215729 A JP 10215729A JP 21572998 A JP21572998 A JP 21572998A JP 2000041736 A JP2000041736 A JP 2000041736A
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brush
hair
toothbrush
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Kazutoshi Endo
和俊 遠藤
Shingo Suzuki
眞吾 鈴木
Takao Kato
孝夫 加藤
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Lion Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 毛束を構成する刷毛の熱的に弱められた領域
を射出成形樹脂によって包囲するなどの特別な処置を講
ずる必要なしに、十分な抜毛強度と耐久性および毛立ち
を得ることができる歯ブラシを提供する。 【解決手段】 基端部に溶融肥大部5を形成した毛束3
をヘッド部1の植毛面2に熱融着法あるいはインモール
ド法によって埋設した歯ブラシにおいて、毛束3とし
て、溶融肥大部5を除き、示差走査熱量測定法による融
点測定でいずれの部分においても実質的に刷毛の結晶化
状態に変化の認められない毛束を用いる。また、毛束3
を、示差走査熱量測定法によって融点測定したときにヘ
ッド部1から露出している刷毛部分と実質的に結晶化状
態に変化の認められない部分まで埋め込む。また、埋設
した刷毛部分Bの長さをヘッド部1の厚みDの10〜6
0%、絶対寸法で0.5〜2.0mmに設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、口腔清掃用の歯ブ
ラシに関する。
【0002】
【従来の技術】歯ブラシの製造方法としては、従来から
知られた平線(金属片)を用いる植毛方法の他に、束ね
た用毛を所定の密毛度、毛束形状、毛先形状に整えた
後、毛先とは反対側の端部を熱などの手段で溶融して一
体化した毛束を、インモールド法(特公平6−1672
5号、特開昭61−268208号、特開平2−111
305号、特表平9−512724号など)や熱融着法
(特公平6−46962号、特開平2−99002号な
ど)で固定する方法が知られている。
【0003】例えば、特開昭61−268208号に
は、インモールド法において、金型キャビティ内へ突出
した毛束の溶融肥大部を、射出成形の前に金型毛束保持
孔の開口部に密接させるように移動することによって、
毛束保持孔内への射出樹脂の侵入を防ぐことが開示され
ている。
【0004】また、特表平9−512724号には、イ
ンモールド法において、金型キャビティ内へ突出した毛
束の溶融肥大部と金型毛束保持孔の開口部との距離を、
射出成形時におけるキャビティからの排出空気や射出樹
脂からの発生ガスを排出可能で、溶融肥大部形成の際に
弱められた刷毛部分を射出樹脂によって包囲でき、しか
も射出樹脂が毛束保持孔内へ侵入しないような間隔に調
節することが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開昭61−268208号のような方法では、完成した
歯ブラシの植毛面の直下に溶融肥大部があり、表面から
の埋設深さが浅いために、毛束や刷毛の引き抜き強度
(抜毛強度)が満足できなかったり、毛束内の刷毛の向
きが植毛面に対して垂直でない状態(毛束が開いた状
態)となり、実際の歯ブラシの使用に対する抜毛強度や
耐久性、毛立ちが必ずしも満足できるものとは言い難か
った。
【0006】また、特表平9−512724号には、毛
束溶融肥大部の形成の際に熱的に弱体化された刷毛部分
をブラシヘッド部分に埋設することで抜毛強度が改善さ
れることが述べられているが、一方、できる限り少ない
刷毛を用い、できる限り浅い埋設深さで実施することが
述べられており、植毛表面からの深さが十分でない場合
には、十分な抜毛強度を得られないことがあった。
【0007】また、上記特表平9−512724号で
は、熱的に弱体化された部分を特定するための方法が開
示されておらず、弱体化された部分を保護するために実
際に埋設する必要長さを決定することができず、毛束や
刷毛の仕様に応じてしか決定することができなかった。
このため、熱的に弱体化された部分を保護するという目
的を達成することが難しい。また、毛束や刷毛の仕様に
従って必要な埋設深さを変えることは究めての非効率的
であり、これを避けるために、一番深く埋設する毛束に
合わせると、刷毛の無駄が大きくなり、コスト上昇の原
因となる。
【0008】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたもので、毛束を構成する刷毛の熱的に弱められた領
域を射出成形樹脂によって包囲するなどの特別な処置を
何ら講ずる必要なしに、十分な抜毛強度と耐久性および
毛立ちを得ることができる歯ブラシを提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に係る歯ブラシは、複数本の刷毛を束ねて
毛束とし、該毛束の基端部を熱的手段で溶かして溶融肥
大部を形成することにより基端部を一体化し、該溶融肥
大部をヘッド部の植毛面の所定位置に熱融着法あるいは
インモールド法によって埋設した歯ブラシにおいて、前
記毛束として、前記溶融肥大部を除き、示差走査熱量測
定法による融点測定でいずれの部分においても実質的に
刷毛の結晶化状態に変化の認められない毛束を用いたこ
とを特徴とするものである。
【0010】また、請求項2に係る歯ブラシは、複数本
の刷毛を束ねて毛束とし、該毛束の基端部を熱的手段で
溶かして溶融肥大部を形成することにより基端部を一体
化し、該溶融肥大部をヘッド部の植毛面の所定位置に熱
融着法あるいはインモールド法によって埋設した歯ブラ
シにおいて、前記毛束を、示差走査熱量測定法によって
融点測定したときにヘッド部から露出している刷毛部分
と実質的に結晶化状態に変化の認められない部分まで埋
め込んだことを特徴とするものである。
【0011】また、請求項3に係る歯ブラシは、前記請
求項2に係る歯ブラシにおいて、前記溶融肥大部を除く
ヘッド部内に埋め込まれた刷毛部分の長さがヘッド部の
厚みの10〜60%であることを特徴とするものであ
る。
【0012】また、請求項4に係る歯ブラシは、上記請
求項2に係る歯ブラシにおいて、前記溶融肥大部を除く
ヘッド部内に埋め込まれた刷毛部分の長さが0.5〜
2.0mmであることを特徴とするものである。
【0013】
【作用】請求項1に係る歯ブラシの場合、示差走査熱量
測定法で確認された熱的弱体化を起こしていない毛束を
用いているので、従来のような特別な処置を何ら講ずる
必要なしに、十分な抜毛強度と耐久性および毛立ちの歯
ブラシを得ることができる。
【0014】また、請求項2〜4に係る歯ブラシの場
合、少なくとも示差走査熱量測定法で確認された熱的に
変化のない刷毛部分まで埋設するので、溶融肥大部近辺
の刷毛の一部が弱体化しているかいないかにかかわら
ず、従来のような特別な処置を何ら講ずる必要なしに、
十分な抜毛強度と耐久性および毛立ちの歯ブラシを得る
ことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明に係
る歯ブラシのヘッド部の模式断面図であって、1は歯ブ
ラシのヘッド部、2は植毛面、3は毛束、4は毛束3を
構成する刷毛、5は毛束3の基端部に形成された溶融肥
大部である。
【0016】図示例の歯ブラシは、複数本の刷毛4を束
ねて毛束3とし、この毛束3の基端部を熱的手段で溶か
して溶融肥大部5を形成することにより、複数本の刷毛
4を一体化してある。そして、この毛束基端の溶融肥大
部5をヘッド部1に熱融着法またはインモールド法によ
って埋設したものである。
【0017】本発明は、このような歯ブラシにおいて、
前記溶融肥大部5を備えた毛束3として、溶融肥大部5
を除く刷毛部分A,Bを示差走査熱量測定法(DSC)
によって融点測定したときに、いずれの部分においても
実質的に刷毛の結晶化状態に変化の認められない毛束、
すなわち融点エネルギーが実質的に同等な毛束を用いる
ようにしたものである。
【0018】毛束3の基端部に溶融肥大部5を形成する
場合、比較的低温で長時間をかけたり、高温であっても
接触時間が長いと、溶融部を通じた直接熱や加熱手段か
らの輻射熱によって、溶融肥大部5以外の刷毛部分まで
熱による影響を生じるおそれがある。したがって、上記
したような刷毛の結晶化状態に変化の認められない毛束
3を作製するためには、例えば、加熱板を用いて溶融す
る場合を例に採ると、加熱板の温度を300〜800
℃、好ましくは500〜700℃とし、この温度下で約
0.1〜1.0秒程度毛束3の基端部を接触させ、ごく
短時間内に刷毛材料を溶融して溶融肥大部5を形成すれ
ばよい。
【0019】上記毛束3を得るための刷毛4の素材とし
ては、通常使用されている、ポリアミド(例:ナイロン
6−12、ナイロン6−10、12ナイロンなど)、ポ
リエステル(例:ポリブチレンテレフタレート、ポリエ
チレンテレフタレートなど)、ポリプロピレンなどを使
用することができる。勿論、これらを組み合わせた複合
フィラメントであってもよい。また、刷毛の断面形状も
円形が主ではあるが、特に限定するものではなく、例え
ば、四角形、六角形などの多角形断面の刷毛を用いても
よいものである。
【0020】刷毛4の太さは、3〜10mil(0.0
76〜0.254mm)、好ましくは5〜8mil
(0.127〜0.203mm)がよい。また、通常は
毛先丸め部を除いて1本の刷毛内では同一径であるが、
毛束根元付近では上記太さで、毛先先端へ向かうに従っ
て徐々に径が細くなる高度テーパ毛のフィラメントなど
を用いてもよいものである。
【0021】ヘッド部1を含めて歯ブラシハンドルの素
材としては、熱可塑性樹脂であればよく、例えば、ポリ
プロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミ
ド、セルロースプロピオネート、ポリメチルメタアクリ
レート、ABSなどが使用できるが、ポリプロピレンが
物性、価格などの点で総合的に見て好ましい。また、こ
れらの樹脂同士や熱可塑性エラストマーと組合わせた多
色成形ハンドルとすることも好ましい。
【0022】上記物性になる毛束3を用いて歯ブラシを
作製すると、熱的弱体化を起こしていないので、従来の
ような特別な処置を何ら講ずる必要なしに、十分な抜毛
強度と耐久性および毛立ちの歯ブラシを得ることができ
る。
【0023】ところで、毛束3の基端部を溶かして溶融
肥大部5を形成し、この溶融肥大部5を熱融着法やイン
モールド法によってヘッド部1の植毛面2に植毛して歯
ブラシを作製する際において、毛束や刷毛の抜毛強度、
毛立ち、耐久性に優れた歯ブラシとするには、上記した
ように刷毛自体の物性が優れていることが重要であるこ
とは当然であるが、ヘッド部1への毛束3の植毛の仕方
も極めて重要である。
【0024】すなわち、毛束3をヘッド部1の植毛面2
に植毛する場合、埋設深さが浅いと、毛束3を保持して
いるヘッド部樹脂が少ないために、使用に伴う様々なス
トレスが直接的に溶融肥大部5に伝わってしまう。その
ため、上記諸特性の不十分な歯ブラシとなってしまう。
逆に、埋設深さが深すぎると、上記諸特性は満足される
ものの、刷毛材料が余分に必要となり、コストが相対的
に高くなってしまう。
【0025】また、植毛に際して熱融着法を採用した場
合には、ヘッド部1と毛束3の双方とも溶融した状態で
所定角度を維持して深く結合させることが困難で、ヘッ
ド部自体の変形を招く場合もある。一方、インモールド
法を採用した場合には、金型キャビティ内へ大きく突出
する毛束3とその端部の溶融肥大部5とが、ヘッド部1
を成形する際の射出成形樹脂の流れと圧力によって変形
させられたり、毛束3の植毛角度がずれてしまったり、
金型の毛束保持孔へ射出成形樹脂が侵入して、いわゆる
バリが発生しやすくなる。
【0026】そこで、本発明では、さらに毛束植毛後の
歯ブラシとしての諸物性を満足させるために、ヘッド部
に埋設する毛束を、示差走査熱量測定法で融点測定した
ときにヘッド部から露出している刷毛部分Aと実質的に
結晶化状態に変化の認められない部分(この部分を刷毛
部分Bとする)まで埋め込むようにしたものである。
【0027】具体的には、溶融肥大部5を除くヘッド部
1内に埋め込まれた刷毛部分Bをヘッド部樹脂でしっか
りと保持するように、該刷毛部分Bの長さをヘッド部1
の厚みDの10〜60%、より好ましくは10〜50%
となるように設定した。これを一般的な大きさの歯ブラ
シにおける実寸法でいうと0.5〜2.0mm、好まし
くは0.8〜1.5mmとする。このような条件に設定
することにより、上記した諸物性と、毛立ちやバリなど
の外観特性の両立が可能となる。
【0028】このように、溶融肥大部5を除くヘッド部
1内に埋め込まれた刷毛部分Bの長さを規定したのは、
浅すぎても深すぎても上記のような問題がでてくるこ
と、歯ブラシの特性としてヘッド部1が厚いと口腔内で
の操作性が低下することを考慮したものであって、実寸
でも2.0mm以内とすることによって歯ブラシとして
の操作性を確保したものである。
【0029】上記のような植毛条件とすることにより、
刷毛の一部が弱体化しているかいないかにかかわらず、
少なくとも示差走査熱量測定法(DSC)で確認された
熱的に変化のない刷毛部分まで毛束を埋設するので、従
来のような特別な処置を何ら講ずる必要なしに、十分な
抜毛強度と耐久性および毛立ちの歯ブラシを得ることが
できる。
【0030】なお、良好な植毛特性とするために、隣合
う毛束3の溶融肥大部5同士を接触させて連結した状態
としたり、溶融によって発生する刷毛材料の気化気体が
金型や植毛装置周辺を汚損しないように、溶融と同時に
排気あるいは吸引を行なうことも好ましい。
【0031】
【実施例】(実施例1)ナイロン6−12からなる8m
il(0.203mm)径の刷毛4を36本束ねて1個
の毛束3とし、この毛束の基端部を加熱板(温度600
℃)に接触時間0.8秒だけ接触させて溶融し、溶融肥
大部5を形成した。この毛束3の各部について、示差走
査熱量計を用いて融点測定を行なった結果を表1および
図2〜図4に示す。
【0032】なお、上記毛束3中、特に溶融肥大部5に
近い部分の刷毛の曲げ強度や曲げ弾性率の測定は、体積
的にわずかな部分であるため、溶融肥大部5が付いたま
までは測定することが事実上不可能である。そこで、刷
毛4と溶融肥大部5の境界部を0.3mm幅で切断し、
それ以上の部分について、刷毛の物性に大きく影響する
樹脂結晶などの微小構造を反映した融点を示差走査熱量
計を用いてパターン測定し、基準物質との物性比較を行
なった。
【0033】 測定条件 示差走査熱量計 :DSC−22C(セイコー電子工業株式会社製) 基準物質 :アルミナ(10.8mg) 測定走査温度範囲:150〜300℃ 昇温速度 :1℃/min
【0034】
【表1】
【0035】この実施例1の場合、表1および図2〜図
4に示されるように、2つの吸熱ピークME1とME2
が得られた。大きなピークのME2は刷毛の融解点を示
す主相転移点であり、小さなピークのME1は前相転移
点である。表1から分かる通り、溶融肥大部5とそれ以
外の部分では、融解点(ME2)における融解エネルギ
ーが大きく異なっていたが、ヘッド部に埋設した刷毛部
分B(ヘッド部樹脂による支持部分)と毛束先端付近に
おける融解エネルギーは、20.2(mJ/mg) 、22.1
(mJ/mg) とほぼ同等であり、刷毛の結晶化状態に実質的
な変化は認められなかった。
【0036】上記のようにして得られた毛束3を用い、
植毛深さ(植毛面2から溶融肥大部5の上端までの距
離)を1.0mmとし、ヘッド部1の厚みDを3.0m
mとしてインモールド法で植毛した歯ブラシについて、
従来の平線を用いて作製した歯ブラシ(刷毛18本を平
線で二つ折りにし、23個の植毛穴にそれぞれ植毛した
もの)と比較したところ、毛立ち、植毛強度(抜毛強
度)、耐久性ともに本発明の方が良好であった。その比
較結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】測定法 1)毛立ち :目視判定 2)植毛強度:JIS S3016 準拠(刷毛については準用) 3)耐久性 :400g荷重・40mmストロークで1万回刷掃後
の毛先の開き程度(なお、開き率は下記式1による)
【0039】
【式1】
【0040】(実施例2)用毛作製の熱履歴が異なる他
のサンプルについて、実施例1と同様の方法で毛束3を
作製し、示差走査熱量計を用いて融点測定を行なった結
果を表3および図5〜図7に示す。
【0041】
【表3】
【0042】この実施例2の場合、表3および図5〜図
7に示されるように、1つの吸熱ピークMEが得られ
た。表3から分かる通り、溶融肥大部5とそれ以外の部
分では融解点(ME)における融解エネルギーが大きく
異なっていたが、ヘッド部に埋設した刷毛部分B(ヘッ
ド部樹脂による支持部分)と毛束先端付近では融解点
(ME)における融解エネルギーは、41.9(mJ/mg)
、42.4(mJ/mg) とほぼ同等であり、刷毛の結晶化
状態に実質的な変化は認められなかった。
【0043】また、この実施例2の場合も、実施例1の
場合と同様に、従来の平線を用いて作製した歯ブラシと
比較したところ、毛立ち、植毛強度(抜毛強度)、耐久
性ともに本発明の方が良好であった。
【0044】(実施例3)ナイロン6−12からなる8
mil(0.203mm)径の刷毛4を36本束ねて1
個の毛束3とし、この毛束の基端部を加熱板(温度60
0℃)に接触時間0.8秒だけ接触させて溶融し、溶融
肥大部5を形成した。このようにして得られた毛束を2
3束用意し、それぞれの毛束をヘッド部1の厚さDが
3.0mm、ヘッド部内に埋め込まれた刷毛部分Bの長
さが1.2mmとなるようにインモールド法によってヘ
ッド部1の植毛面2に埋設し、歯ブラシを作製した。そ
して、この歯ブラシの製造後、ヘッド部1から毛束3の
みを取り出し、この毛束3の各部分について、示差走査
熱量計を用いて融点測定を行なった結果を表4および図
8〜図10に示す。
【0045】なお、毛束3の物性測定をヘッド部1に植
毛したままの状態で行なうことは困難であり、上述した
ようにヘッド部樹脂を取り除いて毛束3のみを取り出し
て行なう必要がある。そして、この取り出した毛束3
を、前述した実施例1と同様に、刷毛4と溶融肥大部5
の境界部を0.3mm幅で切断し、それ以上の部分につ
いて、刷毛の物性に大きく影響する樹脂結晶などの微小
構造を反映した融点を示差走査熱量計を用いてパターン
測定し、基準物質との物性比較を行なった。
【0046】
【表4】
【0047】この実施例3の場合、表4および図8〜図
10に示されるように、2つの吸熱ピークME1とME
2が得られた。表4から分かる通り、溶融肥大部5とそ
れ以外の部分では融解点(ME2)における融解エネル
ギーが大きく異なっていたが、ヘッド部に埋設した刷毛
部分B(ヘッド部樹脂による支持部分)と毛束先端付近
における融解エネルギーは、31.9(mJ/mg) 、33.
4(mJ/mg) とほぼ同等であり、刷毛の結晶化状態に実質
的な変化は認められなかった。
【0048】また、上記にようにして得られた歯ブラシ
を、従来の平線を用いて作製した類似仕様の歯ブラシ
(刷毛18本を平線で二つ折りにし、23個の植毛穴に
それぞれ植毛したもの)と比較したところ、毛立ち、植
毛強度(抜毛強度)、耐久性ともに本発明の歯ブラシの
方が良好であった。その比較結果を表5に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、示差走査熱量測定法で確認された熱的弱体
化を起こしていない毛束を用いているので、ヘッド部樹
脂によって保持される刷毛部分が刷毛の露出部と同じ物
性を有し、刷毛の熱的に弱められた領域を射出成形樹脂
によって包囲するような特別な措置を何ら講ずる必要な
しに、毛束や刷毛の抜毛強度、毛立ち、耐久性を向上す
ることができる。
【0051】また、請求項2に係る発明によれば、少な
くとも示差走査熱量測定法で確認された熱的に変化のな
い刷毛部分まで埋設するようにしたので、溶融肥大部近
辺の刷毛の一部が弱体化しているかいないかにかかわら
ず、従来のような特別な処置を何ら講ずる必要なしに、
十分な抜毛強度と耐久性および毛立ちの歯ブラシを得る
ことができる。
【0052】また、請求項3に係る発明によれば、溶融
肥大部を除くヘッド部内に埋め込まれた刷毛部分の長さ
をヘッド部の厚みの10〜60%としたので、露出部と
同じ物性からなる刷毛部分を十分な深さだけヘッド部樹
脂で保持することができ、毛束や刷毛の抜毛強度、毛立
ち、耐久性をさらに向上することができる。
【0053】また、請求項4に係る発明によれば、溶融
肥大部を除くヘッド部内に埋め込まれた刷毛部分の長さ
を0.5〜2.0mmとしたので、露出部と同じ物性か
らなる刷毛部分を十分な深さだけヘッド部樹脂で保持す
ることができ、毛束や刷毛の抜毛強度、毛立ち、耐久性
をさらに向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る歯ブラシのヘッド部分の模式断面
図である。
【図2】実施例1における溶融肥大部の示差走査熱量計
による融解エネルギーの測定図である。
【図3】実施例1におけるヘッド部に埋設した刷毛部分
の示差走査熱量計による融解エネルギーの測定図であ
る。
【図4】実施例1における毛束先端付近の示差走査熱量
計による融解エネルギーの測定図である。
【図5】実施例2における溶融肥大部の示差走査熱量計
による融解エネルギーの測定図である。
【図6】実施例2におけるヘッド部に埋設した刷毛部分
の示差走査熱量計による融解エネルギーの測定図であ
る。
【図7】実施例2における毛束先端付近の示差走査熱量
計による融解エネルギーの測定図である。
【図8】実施例3における溶融肥大部の示差走査熱量計
による融解エネルギーの測定図である。
【図9】実施例3におけるヘッド部に埋設した刷毛部分
の示差走査熱量計による融解エネルギーの測定図であ
る。
【図10】実施例3における毛束先端付近の示差走査熱
量計による融解エネルギーの測定図である。
【符号の説明】 1 ヘッド部 2 植毛面 3 毛束 4 毛束を構成する刷毛 5 溶融肥大部 A 植毛面から外部へ露出する刷毛部分 B 溶融肥大部を除くヘッド部内に埋め込まれた刷毛
部分 D ヘッド部の厚さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 加藤 孝夫 東京都墨田区本所一丁目3番7号 ライオ ン株式会社内 Fターム(参考) 3B202 AA06 AB10 EA01 EG00 EG03 HA03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数本の刷毛を束ねて毛束とし、該毛束
    の基端部を熱的手段で溶かして溶融肥大部を形成するこ
    とにより基端部を一体化し、該溶融肥大部をヘッド部の
    植毛面の所定位置に熱融着法あるいはインモールド法に
    よって埋設した歯ブラシにおいて、 前記毛束として、前記溶融肥大部を除き、示差走査熱量
    測定法による融点測定でいずれの部分においても実質的
    に刷毛の結晶化状態に変化の認められない毛束を用いた
    ことを特徴とする歯ブラシ。
  2. 【請求項2】 複数本の刷毛を束ねて毛束とし、該毛束
    の基端部を熱的手段で溶かして溶融肥大部を形成するこ
    とにより基端部を一体化し、該溶融肥大部をヘッド部の
    植毛面の所定位置に熱融着法あるいはインモールド法に
    よって埋設した歯ブラシにおいて、 前記毛束を、示差走査熱量測定法によって融点測定した
    ときにヘッド部から露出している刷毛部分と実質的に結
    晶化状態に変化の認められない部分まで埋め込んだこと
    を特徴とする歯ブラシ。
  3. 【請求項3】 前記溶融肥大部を除くヘッド部内に埋め
    込まれた刷毛部分の長さがヘッド部の厚みの10〜60
    %であることを特徴とする請求項2記載の歯ブラシ。
  4. 【請求項4】 前記溶融肥大部を除くヘッド部内に埋め
    込まれた刷毛部分の長さが0.5〜2.0mmであるこ
    とを特徴とする請求項2記載の歯ブラシ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019115822A (ja) * 2015-09-28 2019-07-18 三菱鉛筆株式会社 ブラシ及びブラシの製造方法

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JP2019115822A (ja) * 2015-09-28 2019-07-18 三菱鉛筆株式会社 ブラシ及びブラシの製造方法

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