JP2017148469A - 歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヘッド部の破損を防止すると共に、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法を提供する。【解決手段】平線を用いることなく、毛束5Aを合成樹脂製のヘッド部に植設した歯ブラシ1であって、合成樹脂製繊維5からなる毛束5Aと、前記ヘッド部4の表面と背面を貫通した、前記毛束が挿通する植設穴6と、前記ヘッド部4の背面側における毛束の一端部に、前記毛束が溶融固化した状態の塊状部5Bと、前記毛束の塊状部5Bが係止される、前記植設穴に形成された係止部6aと、前記ヘッド部4の一部を溶融固化状態で、前記係止部6aに係止された毛束5Aの塊状部5Bの背面側を覆い、前記毛束5Aを前記ヘッド部4に固定する固定部7と、を備えている。【選択図】図2

Description

本発明は歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法に関し、特に平線を用いない無平線タイプの歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法に関する。
図19に示すように、例えば、特許文献1に示された歯ブラシ15は、毛束15Aを二つ折りにして、その折り曲げ部を歯ブラシのヘッド部15Dの表面に凹設した植毛穴15Bに挿入し、毛束15Aの折り曲げ部の内側に平線15Cをわたし、平線15Cの両端部を歯ブラシのヘッド部15D表面に固定している。この毛束15Aは、前記平線15Cによってヘッド部15Dに固定される。
この平線15Cを用いる歯ブラシ15にあっては、ヘッド部15Dは平線15Cの圧入に耐えるような肉厚が必要となり、ヘッド部15Dが大きくなるという問題があった。また、ヘッド部15Dは樹脂で形成され、平線15Cは金属で形成されるため、ヘッド部15Dと平線15Cを分離し、分別廃棄するのが難しいという問題があった。
また、前記した複数の毛束15Aを備える歯ブラシ15では磨ききれない孤立歯等を効果的に磨く歯ブラシとして、ワンタフトブラシが知られている。このワンタフトブラシを図20に示す。
このワンタフトブラシ16も、前記歯ブラシ15と同様に、毛束16Aを二つ折りにして、その折り曲げ部を歯ブラシのヘッド部16Dの表面に凹設した植毛穴16Bに挿入し、毛束16Aの折り曲げ部の内側に平線16Cをわたし、平線16Cの両端部をヘッド部16D表面に固定している。
したがって、このワンタフトブラシ16においても、前記した歯ブラシ15と同様に、この平線16Cが用いられているため、ヘッド部16Dは平線16Cの圧入に耐えるような肉厚が必要となり、ヘッド部16Dが大きくなるという問題があった。また、ヘッド部16Dは樹脂で形成され、平線16Cは金属で形成されるため、ヘッド部16Dと平線16Cを分離し、分別廃棄するのが難しいという問題があった。
そこで、前記平線15C,16Cを用いた歯ブラシ15、16の問題を解決するものとして、例えば、特許文献2に示すような平線を用いない無平線タイプの歯ブラシが提案されている。
平線を用いない無平線タイプの歯ブラシについて、図21に基づいて説明する。
この無平線タイプの歯ブラシ20は、ヘッド部21に植毛穴22が形成されると共に、ヘッド部21の背面に凹部23が形成され、前記植毛穴22には前記凹部23内に開口している。そして、前記植毛穴22に毛束24を挿入し、前記凹部内23に樹脂25を充填することにより、前記毛束24をヘッド部21に固定している。
更に、この無平線タイプの歯ブラシ20の製造方法について、図22に基づいて説明する。まず、ヘッド部21に植毛穴22と凹部23が形成された歯ブラシ本体(ヘッド部21)を成形する。
そして、図22(a)に示すように、毛束保持治具30にヘッド部21を据付ける。この毛束保持治具30は、ヘッド部21の据付部31と、据付部31に据付けられるヘッド部21の植毛穴22に連なる毛束整形孔32を備えている。
次に、毛束植設装置(図示せず)により、毛束保持治具30に据付けられているヘッド部21の植毛穴22から毛束保持治具30の毛束整形孔32に、毛束24を植設し、毛束24の先端部を毛束整形孔32の孔底面に押し当て整形する。
更に、毛束端面溶融装置40により、図22(b)に示すように、ヘッド部21の凹部23内に出ている毛束24の端面を溶融し、塊状部24aを形成する。
続いて、図22(c)に示すように、前記ヘッド部21を有する歯ブラシと毛束保持治具30を、搬送装置(図示せず)によって、成形装置50に搬送し、位置決めする。
その後、図22(d)に示すように、成形装置50の成形金型51の注入口52(ゲート)から導入される背面充填材60を、前記凹部23内に注入して、ヘッド部21に毛束24を固定する。
前記充填材60の固化後、成形金型51を開いて歯ブラシ20及び毛束保持治具30を取出し、歯ブラシ20を毛束保持治具30から外すことにより、図22(e)に示すような、歯ブラシ20が完成する。
ところで、前記した無平線タイプの歯ブラシ20は、予め形成されたヘッド部21の植毛穴22に、毛束24を挿入し、前記凹部内23に樹脂25を充填することにより、前記毛束24をヘッド部21に固定したものであるが、その他に、歯ブラシのヘッド部と柄部(以下、ヘッド部と柄部を含めて歯ブラシ本体という)を形成する際に、毛束のヘッド部への固定を同時に行う、無平線タイプの歯ブラシも知られている。
この歯ブラシ本体の形成と毛束のヘッド部の固定を同時に行う、無平線タイプの歯ブラシについて、図23に基づいて説明する。尚、図21、図22に示した部材と同一あるいは相当する部材は、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図23(a)に示すように、毛束保持治具30は、歯ブラシ本体部を形成するための凹部からなる歯ブラシ本体部形成部33と、歯ブラシ本体部形成部33に開口する毛束整形孔32を備えている。
そして、この毛束保持治具30の毛束整形孔32に、毛束植設装置(図示せず)により、毛束24を植設し、毛束24の先端部を毛束整形孔32の孔底面に押し当て成形する。
その後、毛束端面溶融装置40により、図23(b)に示すように、歯ブラシ本体部形成部33内に出ている毛束24の端面を溶融し、塊状部24aを形成する。
続いて、図23(c)に示すように、毛束保持治具30を、搬送装置(図示せず)によって、成形装置50に搬送し、位置決めする。
その後、図23(d)に示すように、成形装置50の成形金型51の注入口52(ゲート)から導入される成形材60を、前記ヘッド部形成部33内に注入して、歯ブラシ本体部(ヘッド部と柄部)26の形成と、毛束24のヘッド部21の固定を行う。
前記成形材60の固化後、成形金型51を開いて歯ブラシ20及び毛束保持治具30を取出し、歯ブラシ20を毛束保持治具30から外すことにより、図23(e)に示すような、歯ブラシ20が完成する。
特開平11−56478公報 特開2003−235648公報
ところで、図21、図22に示した従来の無平線タイプの歯ブラシ20は、ヘッド部21の植毛穴22に毛束24を挿入し、前記ヘッド部の凹部23内に樹脂を充填することにより、前記毛束24を固定する。したがって、前記凹部23内に毛束を固定するための合成樹脂からなる固定部25が存在する。
そのため、前記ヘッド部21と固定部25との界面部分は機械的強度が弱く、しかも前記ヘッド部21は所定の長さ寸法を有するため、ヘッド部21を湾曲させる力が作用すると固定部25も変形し、固定部25が界面部分から剥離し、前記固定部25が脱落する虞があるという技術的課題があった。
また、前記ヘッド部の凹部23内に樹脂を充填することにより、前記毛束24を固定するように構成されているため、前記ヘッド部の厚さ(凹部23の深さ)が必要であり、前記ヘッド部の小型化、薄型化の要請に反し、良好な使用感が得られないという技術的課題があった。
また、図21、図22に示した従来の無平線タイプの歯ブラシにあっては、成形装置によって背面充填材(合成樹脂)を注入するための一つの凹部23が形成される。そして、この凹部23の縁部F(図21参照)が存在するために、植毛穴22を歯ブラシ本体(ヘッド部21)の外縁部近傍に形成することができかった。即ち、歯ブラシ本体(ヘッド部21)全体に毛束24を形成できないというという技術的課題があった。
更に、成形金型51を必要とするため、製造コストが嵩むという技術的課題があった。
また、図23に示した従来の無平線タイプの歯ブラシにあっては、歯ブラシ本体部26(ヘッド部21)の形成と、毛束24のヘッド部21への固定が同時に行われるため、成形材(合成樹脂)が、毛束の毛の間に浸透する。
その結果、図24に示すように、毛束24を構成する毛の下端部24A同士が前記樹脂によって接着され、また毛束24を構成する毛の下端部24Aが、歯ブラシ本体部26(ヘッド部21)に接着される。更に、歯ブラシ本体部26(ヘッド部21)に形成される植設穴自体の形状が毛束24に倣った形状になり、歯ブラシ本体部26(ヘッド部21)と毛束24との間の隙間が形成されない。
このように、図23に示した従来の無平線タイプの歯ブラシにあっては、毛の下端部24A同士が接着され、また毛の下端部24Aが歯ブラシ本体部26(ヘッド部21)に接着され、毛の下端部24Aと歯ブラシ本体部26(ヘッド部21)との間に隙間が形成されないため、毛束の所定のしなやかさが失われ、また毛間の水抜けが悪く、歯ブラシの使用感が劣るという技術的課題を招来するものであった。
尚、図21、図22に示した従来の無平線タイプの歯ブラシ20、また図23に示した従来の無平線タイプの歯ブラシ20の技術を、ワンタフトブラシに適用した場合にも、前記した歯ブラシ20と同様な技術的課題を招来するものであった。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、ヘッド部の破損を防止すると共に、安価に製造でき、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた本発明にかかる歯ブラシは、平線を用いることなく、毛束を合成樹脂製のヘッド部に植設した歯ブラシにおいて、合成樹脂製繊維からなる毛束と、前記ヘッド部の表面と背面を貫通した、前記毛束が挿通する植設穴と、前記ヘッド部の背面側における毛束の一端部に形成された、前記毛束が溶融固化した状態の塊状部と、 前記毛束の塊状部を係止する係止部と、前記ヘッド部の背面側の一部、あるいは植設穴に配置された閉塞部材を溶融固化した状態で、前記係止部に係止された毛束の塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する固定部と、を備えていることを特徴としている。
このように、本発明にかかる歯ブラシにあっては、平線を用いることなく、植設穴に挿通した毛束の一端部に形成された塊状部を、ヘッド部の一部、あるいは植設穴に配置された閉塞部材を溶融固化することにより形成される固定部によって固定されている。
特に、前記ヘッド部の背面側の一部を溶融固化した状態で、前記係止部に係止された毛束の塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する固定部のように、前記毛束を固定する固定部とヘッド部との間に界面が存在しない場合には、機械的強度をより増大させることができ、固定部の脱落を防止することができる。
また、ヘッド部の厚さを薄くでき、前記ヘッド部を小型化、薄型化ができ、良好な使用感を得ることができる。
また、本発明にかかる歯ブラシは、歯ブラシ本体部(ヘッド部)の形成と毛束のヘッド部への固定が同時に行われる従来の歯ブラシと異なり、毛束を構成する毛の下端部同士が接着されることはなく、また毛の下端部が歯ブラシ本体部(ヘッド部)に接着されることもない。
また、本発明にかかる歯ブラシの植設穴は、前記従来の歯ブラシのように毛束に倣った形状にならず、毛の下端部と歯ブラシ本体部(ヘッド部)との間に隙間が形成される。
その結果、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシを得ることができる。
特に、植毛穴の形状を所望の形状に維持することができるため、植毛穴と毛束との間に隙間を形成できると共に、植毛穴の面積と毛束の総面積の割合(毛束の占有率)を、所望の割合に容易になすことができ、所望の水抜け、所望の毛束のしなやかさを有する歯ブラシを得ることができる。
尚、一つの毛束を一つの固定部によって固定しても、あるいは複数の毛束を一つの固定部によって固定しても良い。即ち、植毛穴の個々に、別個の固定部を設けても良く、あるいは、複数の植毛穴に一つの固定部を設けても良い。
本発明にかかる歯ブラシは、前記植設穴が前記ヘッド部に1個設けられている、いわゆるワンタフトブラシ、また前記植設穴が前記ヘッド部に複数個設けられている、いわゆる通常の歯ブラシにも、適用することができる。
また、前記固定部が、複数個の植設穴の夫々に設けられていることが望ましい。
このように、複数の植設穴の夫々に固定部が形成される場合には、従来のようなヘッド部に一つの凹部が形成されている場合のような凹部の肉厚な縁部が存在しないために、植毛穴をヘッド部の外縁部近傍に形成することができ、ヘッド部全体により多くの毛束を形成することができる。
また、前記固定部の表面がヘッド部背面から突出していることが望ましい。即ち、固定部がヘッド部背面において凸部として形成されている。
このように、固定部の表面がヘッド部背面から突出するように構成されることにより、ヘッド部の厚さを薄くしつつ、ヘッド部(植毛穴)による毛束の保持長さを長くすることができる。
また、前記固定部が、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように前記ヘッド部の背面に突出して形成された壁部を溶融固化した状態で、毛束の塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定していることが望ましい。
このように、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように形成された壁部により容易に固定部を形成することができる。前記壁部は、円筒状あるいは側面が傾斜した円錐台状に形成されているのが好ましい。
尚、前記固定部が、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように配置された閉塞部材を、溶融固化して形成された固定部であっても良い。
更に、前記毛束の塊状部が、前記ヘッド部の表面を基準として、前記ヘッド部厚さの50%以上の位置に、配置されていることが望ましい。
尚、前記ヘッド部厚さの50%未満の位置に配置されている場合には、ヘッド部(植設穴)による毛束の保持長さが短く、また毛の可動支点(ヘッド部表面側の植設穴の縁部と毛の接触点)が前記塊状部の近傍になるため、毛が抜け易いという弊害が生じるため、好ましくない。また、毛の可動支点が前記塊状部の近傍になるため、毛の振幅が大きくなるため、毛先が開き易くなるという弊害が生じるため、好ましくない。
また、前記ヘッド部の表面側の植設穴の開口縁が、曲面形状あるいは面取りされていることが望ましい。
前記ヘッド部の表面側の植設穴の開口縁が垂直な角部である場合には、前記角部により毛が折れ曲がり易くなり、好ましくない。これに対して、植設穴の開口縁が曲面形状あるいは面取りされている場合には、毛の折れ曲がりが抑制されると共に、製造時に毛束を挿入する際のガイドとしての機能させることができる。
上記目的を達成するためになされた本発明にかかる歯ブラシの製造方法は、貫通した植設穴と、前記係止部とを備えるヘッド部を樹脂成形により形成する工程と、前記ヘッド部形成工程の後、合成樹脂製繊維からなる毛束を、前記植設穴に挿通する工程と、前記植設穴に毛束を挿通する工程の後、ヘッド部の背面側における毛束の一端部を、溶融固化し、塊状部を形成する工程と、前記塊状部の形成工程の後、前記塊状部を前記係止部に係止する工程と、前記ヘッド部の一部、あるいは植設穴に配置された閉塞部材を溶融固化し、前記塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する固定部を形成する工程と、を備えることを特徴としている。
このように、ヘッド部の一部を、あるいは植設穴に配置された閉塞部材を溶融固化し、前記塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する固定部を形成する工程を備えているため、上記した歯ブラシを容易に製造することができる。また、成形金型を必要としないため、安価に製造することができる。
尚、一つの毛束を一つの固定部によって固定しても、あるいは複数の毛束を一つの固定部によって固定しても良い。即ち、植毛穴の個々に、別個の固定部を設けても良く、あるいは、複数の植毛穴に一つの固定部を設けても良い。
特に、前記ヘッド部形成工程において、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように壁部を形成し、前記毛束をヘッド部に固定する工程において、前記壁部を溶融固化し、前記塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する、固定部を形成することが望ましい。
このように、ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように形成された壁部を形成し、この壁部を溶融固化することにより、容易に塊状部の背面側を覆うことができ、前記毛束を前記ヘッド部に確実に固定することができる。
尚、前記毛束をヘッド部に固定する工程において、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように閉塞部材を配置し、前記閉塞部材を溶融固化し、前記塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する、固定部を形成しても良い。
本発明にかかる歯ブラシの製造方法は、前記植設穴が前記ヘッド部に1個設けられている、いわゆるワンタフトブラシ、また前記植設穴が前記ヘッド部に複数個設けられている、いわゆる通常の歯ブラシのいずれの製造にも適用することができる。
また、複数個の植設穴の夫々に固定部が形成される場合には、従来のようなヘッド部に一つの凹部が形成されている場合のような凹部の肉厚な縁部が存在しないために、植毛穴をヘッド部の外縁部近傍に形成することができ、ヘッド部全体により多くの毛束を形成することができる。
本発明によれば、ヘッド部の破損を防止すると共に、安価に製造でき、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシ及び歯ブラシの製造方法を得ることができる。
図1は、本発明にかかる歯ブラシの第1の実施形態を示す斜視図であり、(a)は歯ブラシの背面側からみた斜視図であり、(b)は歯ブラシの表面側からみた斜視図である。 図2は、図1(a)のI−I断面図である。 図3は、図1に示した植設穴の表面側の拡大図である。 図4は、毛束に用いられている合成樹脂製繊維(毛)の形状を示す側面図である。 図5は、本発明にかかる歯ブラシの第1の実施形態にかかる製造方法を示す工程図である。 図6は、図5に続く歯ブラシの製造方法を示す工程図である。 図7は、図5(c)の工程を詳細に示した工程図である。 図8は、図6(b)の工程を詳細に示した工程図である。 図9は、第1の変形例を示す図であって、図6(b)の工程を詳細に示した工程図である。 図10は、第2の変形例を示す図であって、図6(b)の工程を詳細に示した工程図である。 図11は、第3の変形例を示す図であって、図6(b)の工程を詳細に示した工程図である。 図12は、本発明にかかる歯ブラシの第2の実施形態を示す斜視図であり、(a)は歯ブラシの背面側からみた斜視図であり、(b)は歯ブラシの表面側からみた斜視図である。 図13は、図12に示すII−II断面図である。 図14は、第2の実施形態における固定部形成前の状態を示す図であって、(a)は歯ブラシの背面側からみた斜視図であり、(b)は歯ブラシの表面側からみた斜視図である。 図15は、図14(a)に示すIII−III断面図である。 図16は、本発明にかかる歯ブラシの第2の実施形態の変形例を示す断面図である。 図17は、図16に示す変形例の製造方法を説明するための断面図である。 図18は、図17に続く製造方法を説明するための断面図である。 図19は、従来の通常の歯ブラシの構造を示す断面図である。 図20は、従来のワンタフトブラシの構造を示す断面図である。 図21は、従来の他の歯ブラシの構造を示す断面図である。 図22は、従来の他の歯ブラシの製造方法を示す工程図である。 図23は、従来の他の歯ブラシの他の製造方法を示す工程図である。 図24は、従来の他の歯ブラシの植設穴の表面側の拡大図である。
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図8に基づいて説明する。尚、図1は、本発明にかかる歯ブラシの第1の実施形態を示す斜視図であり、(a)は歯ブラシの背面側からみた斜視図であり、(b)は歯ブラシの表面側からみた斜視図である。また図2は、図1(a)のI−I断面図である。更に、図3は植設穴の拡大図である。
図中、符号1は歯ブラシを示し、符号2は歯ブラシ1の柄を示し、この柄の先端部分には、ブラシ3が設けられた歯ブラシヘッド(以下、ヘッド部という)4が形成されている。前記ブラシ3は、複数本の合成樹脂製繊維5からなる毛束5Aを、前記ヘッド部4の複数個所に植設することにより形成される。
また、図2に示すように、前記ヘッド部2の背面側における毛束5Aの一端部には、塊状部5Bが形成されている。この塊状部5Bは、毛束5Aが溶融固化した状態で形成される。
更に、前記ヘッド部4には、毛束5Aが挿通し、保持される複数の植設穴6が形成されている。前記植設穴6の上端部には、前記植設穴6の他の部分(小径部)よりも径が大きい大径部6bが形成されている。尚、この大径部6bは植設穴6の一部を構成するものであり、植設穴6と連通している。即ち、この大径部6bは、前記大径部6b(底面部)と植設穴6の境界部に、いわゆる段部である係止部6aを形成するものである。また、前記係止部6aには前記塊状部5Bが係止されるように構成されている。
尚、前記大径部6bは係止部6aが形成できる程度の径を有していれば良く、必要以上に径を大きくすることは、ヘッド部2に形成される植設穴6の数を少なくすることを意味し、好ましくない。
この植設穴6は、ヘッド部4の表面4a側と背面4b側とを貫通して形成され、植設穴6(大径部6b)の背面側の開口部を、固定部7によって覆うことによって、前記毛束5Aはヘッド部4に固定される。尚、この固定部7は、ヘッド部4の一部が溶融固化した状態のものである。
前記固定部7は、ヘッド部4の背面4bから突出した凸部として形成されている。このように、固定部7の表面がヘッド部4の背面から突出するように構成するのは、ヘッド部4の厚さを薄くしつつ、植設穴6による毛束5Aの保持長さを長くするためである。
特に、前記塊状部5Bの底面が、前記ヘッド部4の表面4aから前記ヘッド部厚さt1の50%以上の位置(寸法t2)に、配置されていることが望ましい。
このヘッド部の厚さとは、ヘッド部の最大厚さをいい、固定部7はヘッド部4の背面4bから突出した凸部として形成されている場合には、ヘッド部4の表面から固定部7の凸部表面までの寸法を言う。
尚、前記ヘッド部厚さの50%未満の位置に配置されている場合には、ヘッド部4(植設穴6)による毛束の保持長さが短く、また毛の可動支点P(ヘッド部表面側の植設穴の縁部と毛の接触点)が前記塊状部5Bの近傍になるため、毛が抜け易いという弊害が生じるため、好ましくない。また、毛の可動支点Pが前記塊状部5Bの近傍になるため、毛の振幅(振れ)が大きくなり、毛先が開き易くなるという弊害が生じるため、好ましくない。
また、図3に示すように、前記ヘッド部4の表面側の植設穴6の開口縁6cが、曲面形状あるいは面取りされている。前記ヘッド部4の表面側の植設穴6の開口縁6cが垂直な角部である場合には、前記角部により毛5が折れ曲がり易くなり、好ましくない。これに対して、植設穴6の開口縁6cが曲面形状あるいは面取りされている場合には、毛5の折れ曲がりが抑制されると共に、製造時に毛束5Aを挿入する際のガイドとしての機能させることができる。
また、図5(a)に示すように、前記固定部7は、前記ヘッド部4の背面側の植設穴6(大径部6b)の周囲を囲うように形成された、外形が円筒状あるいは円錐台形状(中心部に植設穴6が形成された)の壁部4cを溶融固化して形成される。外形が円筒状あるいは円錐台形状の壁部4cの場合、上方からヒータのような加熱溶融装置を押し当てることにより、容易に固定部7を形成することができる。
尚、前記壁部4cは、植設穴6の全周を囲うように形成する必要はなく、植設穴6の一部を囲うものであっても良い。即ち、前記壁部4cは、溶融して前記植設穴6(大径部6b)の開口部6bを塞ぎ、前記塊状部5Bを固定できるものであれば良い。
また前記ヘッド部4は、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオキシメチレン樹脂等の樹脂で、歯ブラシ1の柄2と一体に形成される。また、前記ヘッド部4は、例えば、幅6〜15mm、長さ15〜35mm、厚さ2〜7mmに形成される。
また、ヘッド部4に植設された合成樹脂製繊維5は、例えば、ヘッド部4の表面から9〜14mmの長さに形成される。前記ブラシ3を構成する合成樹脂製繊維5の素材としては、6,6−ナイロン,6−ナイロン、12−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が用いられている。
このブラシ3を構成する合成樹脂製繊維5としては、図4(a)で拡大した模式図で示すように、先端に向かうにしたがって径が徐々に小さく形成され、先端部に先細りのテーパ面5a1が形成されたテーパ繊維5aと、図4(b)で拡大した模式図で示すように、円柱状の繊維(非テーパ繊維)5bとを含んでいる。
このテーパ繊維5aのテーパ面5a1長さXは、合成樹脂製繊維の先端から1〜5mmの範囲に形成されている。
このようにテーパ繊維5aのテーパ面5a1長さXが、合成樹脂製繊維の先端から1〜5mmの範囲に形成したのは、歯周ポケット等の掃き出し効果と、歯面の清掃効果を考慮したものである。その結果、中程度の歯周炎を患っている患者に対応した歯ブラシとすることができる。
即ち、テーパ面5a1長さXが1mm未満の場合、テーパ繊維5aが歯周ポケットの深部まで侵入せず、前記ポケット奥の清掃が不十分になる。一方、テーパ面5a1長さXが5mmを超える場合、毛先(テーパ繊維)が細くなり過ぎ、歯周ポケット内の汚れを掃き出し難く、また、腰(曲げに対する反発力)が弱く、歯面を磨く効果も低下するため、好ましくない。
この合成樹脂製繊維としては、直径が0.10mm〜0.25mm程度のものが適度な弾力が得られると共に、曲がりや折れなどの抑制効果も有しており、歯ブラシとして好適に利用することができる。
前記直径は、テーパ繊維5a及び非テーパ繊維5b共に、好ましくは0.15mm〜0.25mmのものが良い。尚、前記テーパ繊維5aの直径は、円柱部(テーパ面5a1が形成されていない部分)の径である。
また、前記合成樹脂製繊維は円柱状以外に、その断面形状が楕円形状、星型形状、まゆ型形状、十字型形状、多角形型形状のいずれであっても良い。
また、合成樹脂製繊維5が集合した一つ束の繊維の数は、適宜設定することができるが、通常一つの植毛穴6から飛び出る本数として20〜50本のものを好適に利用することができる。また、前記歯ブラシ1の柄2の先端部に植設される繊維束5A(植毛穴6)の数は、適宜設定することができるが、通常14箇所〜40箇所植設されるものを好適に利用することができる。
以上のように構成された歯ブラシにあっては、平線を用いることなく、植設穴6に挿通した毛束5Aの一端部に形成された塊状部5Bを、ヘッド部4の一部を溶融固化した状態の固定部7によって固定される。
このように従来の歯ブラシのように一つの凹部内に樹脂を充填しないため、ヘッド部21を湾曲させる力が作用した場合にも、個々の固定部7の変形量が少ないため、前記固定部7の剥離を抑制でき、また前記固定部7の脱落を防止することができる。
また、前記したヘッド部4の一部を溶融固化した状態の固定部7のように、前記毛束を固定する固定部とヘッド部の界面が存在しない場合には、機械的強度をより増大させることができ、前記固定部7の脱落をより防止することができる。
また、前記歯ブラシは、歯ブラシ本体部(ヘッド部と柄部)の形成と毛束のヘッド部への固定が同時に行われる従来の歯ブラシと異なり、毛束を構成する毛の下端部同士が接着されることはなく、また毛の下端部が歯ブラシ本体部(ヘッド部)に接着されることもない。
また、前記歯ブラシの植毛穴は、前記従来の歯ブラシのように毛束に倣った形状にならず、毛の下端部と歯ブラシ本体部(ヘッド部)との間に隙間が形成される。
その結果、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシを得ることができる。
特に、また植毛穴の形状を所望の形状に維持することができるため、植毛穴と毛束との間に隙間を形成できると共に、植毛穴の面積と毛束の総面積の割合(毛束の占有率)を、所望の割合に容易になすことができ、所望の水抜け、所望の毛束のしなやかさを有する歯ブラシを得ることができる。
尚、上記実施形態では、一つの毛束5Aが一つの固定部7によって、前記ヘッド部21に固定される場合を示したが、複数の毛束5Aを一つの固定部7によって、前記ヘッド部21に固定されるようになしても良い。
次に、本発明にかかる第1の実施形態の製造方法の実施形態について説明する。
まず、図5(a)に示すように、複数の貫通した植設穴6と、前記植設穴6の上部に設けられた大径部6bの底面に形成された係止部6aとを備えるヘッド部4を有する歯ブラシ1を樹脂成形により形成する。
前記ヘッド部4を有する歯ブラシ1を形成した後、図5(b)に示すように、複数の合成樹脂製繊維5からなる毛束5Aを、前記植設穴6に挿通する。このとき、前記植設穴6の表面側の開口縁(開口部6c)が曲面形状あるいは面取りされている。
そのため、植設穴6の表面側の開口縁(開口部6c)は、前記毛束5Aを挿入する際のガイドとして機能し、前記毛束5Aを前記植設穴6に容易に挿通することができる。
前記植設穴6に毛束5Aを挿通した後、図5(c)に示すように、ヘッド部4の背面側における毛束5Aの一端部を、加熱溶融装置8により、溶融、固化し、塊状部5Bを形成する。
この加熱溶融装置8としては、一般的に用いられているヒータのような加熱溶融装置、あるいはインパルスウェルダー(IPW)を用いることができる。
前記ヒータを用いる場合には、毛束5Aの一端部に近接(非接触)させて加熱溶融するため、塊状部5Bの形状を整えることができない。そのため、後の工程の押し込み工程で、塊状部5Bを大径部6b内に収容することができない虞がある。
一方、インパルスウェルダー(IPW)を用いる場合には、加熱チップ8aを有し、前記加熱チップ8aに接触させることにより、塊状部5Bを形成するため、その形状を整えることができき、塊状部5Bを大径部6b内に収容できないという弊害を防止することができる。
図7に基づいて、インパルスウェルダー(IPW)を用いて塊状部5Bを形成する場合について説明する。
前記したように、インパルスウェルダー(IPW)を用いる場合には、加熱チップ8aを有し、前記加熱チップ8aには所定形状のキャビティ8a1が形成されている。この加熱チップ8aを、図7(a)に示す状態から下降させる。そして、図7(b)に示すように、キャビティ8a内に毛束5Aの一端部を収容し、加熱溶融する。このとき、毛束5Aの一端部は、前記キャビティ8aによって成形され、所定形状の塊状部5Bとすることができる。
更に、図5(d)に戻って説明する。
図5(d)に示すように合成樹脂製繊維(毛)5の毛束5Aを切断した後、図6(a)に示すように、押しピン9で、前記大径部6bの底面によって形成された係止部6aまで、前記塊状部5Bを押し込み、前記塊状部5Bを係止部6aに係止させる。
尚、この押し込み工程では、押しピン9で塊状部5Bを押し込む方法を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、空気を噴射するノズルを設け、該空気を塊状部5Bに噴射し、塊状部5Bを押し込んでも良い。
前記塊状部5Bの押し込み工程の後、図6(b)に示すように、固定部7を形成する。この固定部7の形成には、インパルスウェルダー(IPW)を用いる。
この固定部7の形成工程を、図8に基づいて説明する。前記したように、インパルスウェルダー(IPW)は加熱チップ8bを有し、前記加熱チップ8bには所定形状のキャビティ8b1が形成されている(図8(a)参照)。
図8(b)に示すように、この加熱チップ8bを下降させ、キャビティ8a内に壁部4cを収容し、加熱溶融する。このとき、キャビティ8a内の形状に対応して、壁部4cは塊状部5Bの背面側を覆う方向に倒れ、前記大径部6bの上部開口部6b1を塞ぎ、塊状部5Bを固定する固定部7が形成される。即ち、前記塊状部5Bは、前記壁部4cが加熱溶融され固化することにより、ヘッド部4内に埋設され、固定される。
図8(c)に示すように、前記加熱チップ8bを上昇させることにより、ヘッド部4(歯ブラシ1)が完成する。
このように、ヘッド部4の一部(壁部4c)を溶融固化することにより、固定部7が形成されるため、従来の歯ブラシのような毛束を固定する固定部とヘッド部の界面が存在せず、機械的強度を増大させることができる。
また、従来の歯ブラシのように成形金型50を必要としないため、安価にヘッド部4(歯ブラシ1)を製造することができる。
しかも、前記歯ブラシは、歯ブラシ本体部(ヘッド部と柄部)の形成と毛束のヘッド部への固定が同時に行われる従来の歯ブラシと異なり、毛束を構成する毛の下端部同士が接着されることはなく、また毛の下端部が歯ブラシ本体部(ヘッド部)に接着されることもない。
また、前記歯ブラシの植毛穴は、前記従来の歯ブラシのように毛束に倣った形状にならず、毛の下端部と歯ブラシ本体部(ヘッド部)との間に隙間が形成され、植毛穴の形状を維持することができる。
その結果、水抜けが良く、また毛束の所定のしなやかさを維持できる使用感の良い歯ブラシを得ることができる。
次に、上記実施形態の第1の変形例について、図9に基づいて説明する。尚、図9において図1乃至図8に示した部材と同一あるいは相当する部材は、同一符号を付し、その説明を省略する。
上記実施形態の固定部7は、前記ヘッド部4の背面側の植設穴6(大径部6b)の周囲を囲うように形成された、ヘッド部の一部である壁部4cを溶融固化して形成されたものである。
これに対して、第1の変形例は、植設穴6(大径部6b)の背面側に配置された(ヘッド部と別部材である)、外形が円筒状あるいは円錐台形状の閉塞部材10Aを溶融固化することにより形成される点において特徴がある。
この固定部7の形成工程を、図9に基づいて説明する。
図9(a)に示すように、閉塞部材10Aを植設穴6の背面側(大径部6b側)に配置する。次に、図9(b)に示すように、インパルスウェルダー(IPW)の加熱チップ8bを下降させ、キャビティ8a内に閉塞部材10Aを収容し、加熱溶融する。このとき、キャビティ8a内の形状に対応して、閉塞部材10Aは塊状部5Bの背面側を覆う方向に倒れ、大径部6bの開口部6b1を塞ぎ、塊状部5Bを固定する固定部7が形成される。即ち、前記塊状部5Bは、前記閉塞部材10Aが加熱溶融され固化することにより、ヘッド部4内に埋設され、固定される。
図9(c)に示すように、前記加熱チップ8bを上昇させることにより、ヘッド部4(歯ブラシ1)が完成する。
次に、上記実施形態の第2の変形例について、図10に基づいて説明する。尚、図10において図1乃至図8に示した部材と同一あるいは相当する部材は、同一符号を付し、その説明を省略する。
この第2の変形例は、植設穴の背面側に配置された(ヘッド部と別部材である)、外形が球状あるいは断面が楕円形状の閉塞部材10Bを溶融することにより形成される点において特徴がある。
この固定部7の形成工程を、図10に基づいて説明する。
図10(a)に示すように、閉塞部材10Bを植設穴6(大径部6b)の背面側に配置する。このとき、閉塞部材10Bの外形が球状あるいは断面が楕円形状に形成されているため、閉塞部材10Bの一部が大径部6b内に進入し、仮固定される。
その後、図10(b)に示すように、インパルスウェルダー(IPW)の加熱チップ8bを下降させ、キャビティ8a内に閉塞部材10Bを収容し、加熱溶融し固化することにより、塊状部5Bを固定する固定部7が形成される。
即ち、前記塊状部5Bは、前記閉塞部材10Bが加熱溶融され固化することにより、ヘッド部4内に埋設され、固定される。図10(c)に示すように、前記加熱チップ8bを上昇させることにより、ヘッド部4(歯ブラシ1)が完成する。
次に、上記実施形態の第3の変形例について、図11に基づいて説明する。尚、図11において図1乃至図8に示した部材と同一あるいは相当する部材は、同一符号を付し、その説明を省略する。
この第3の変形例は、植設穴の背面側に配置された(ヘッド部と別部材である)、外形がシート状の閉塞部材10Cを溶融固化することにより形成される点において特徴がある。尚、この変形例あっては、大径部6bが形成されない場合を示している。
この固定部7の形成工程を、図11に基づいて説明する。
図11(a)に示すように、閉塞部材10Cを植設穴6の背面側に配置する。このとき、閉塞部材10Cがシート状に形成されているため、閉塞部材10Cは、ヘッド部4の上面(背面)に載置ことにより、仮固定される。尚、塊状部5Bは、植設穴6の上縁部(係止部)に係止される。
その後、図11(b)に示すように、インパルスウェルダー(IPW)の加熱チップ8bを下降させ、キャビティ8a内に閉塞部材10Cを収容し、加熱溶融し固化することにより、塊状部5Bを固定する固定部7が形成される。即ち、前記塊状部5Bは、前記閉塞部材10Cが加熱溶融、固化することにより、ヘッド部4内に埋設され、固定される。
そして、図11(c)に示すように、前記加熱チップ8bを上昇させることにより、ヘッド部4(歯ブラシ1)が完成する。
次に、本発明の第2の実施形態を図12乃至図15に基づいて説明する。
この第2の実施形態は、植設穴が前記ヘッド部に1個設けられている、いわゆるワンタフトブラシに本発明を適用した場合を示す。尚、図1乃至図11に示した第1の実施形態の部材と、同一または相当する部材は、同一符号を付することにより、その詳細な説明は省略する。
図12に示すように、歯ブラシ11は歯ブラシ11の柄12を有し、この柄12の先端部分には、ブラシ13が設けられた歯ブラシヘッド(以下、ヘッド部という)14が形成されている。
前記歯ブラシ11はいわゆるワンタフトブラシであって、複数本の合成樹脂製繊維5からなる一つの毛束5Aを、前記ヘッド部14に植設することにより形成される。
前記ヘッド部14に一つの毛束5Aを植設するために、図14、図15に示すように、前記ヘッド部14には1個の植設穴6が形成されている。この植設穴6は、ヘッド部14の表面14a側と背面14b側とを貫通して形成されている。
また、前記ヘッド部4の背面側の植設穴6(大径部6b)の周囲には、外形が円筒状あるいは円錐台形状(中心部に植設穴6が形成された)の壁部14cが形成されている。
そして、図13に示すように、前記壁部14を溶融固化することによって固定部7が形成される。
即ち、毛束5Aの塊状部5Bを係止部6aに係止し、上方からヒータのような加熱溶融装置を壁部14cに押し当てることにより、植設穴6(大径部6b)の背面側の開口部を、固定部7が覆うことによって、前記毛束5Aはヘッド部14に固定される。
上記したように、前記した第1の実施形態が複数個の植設穴が設けられているのに対し、この第2の実施形態は、前記ヘッド部に植設穴が1個設けられている点において相違している。
この第2の実施形態においても、合成樹脂製繊維5が集合した毛束の繊維の数は適宜設定することができるが、植設穴が1個であるため、通常の歯ブラシ1における毛束の繊維数よりも多くの繊維が植設される。
また、毛束5Aの先端部は、全体として穂形状になるように、斜面部5Cが形成されている。
次に、第2の実施形態の変形例について、図16乃至図18に基づいて説明する。尚、尚、図12乃至図15に示した第2の実施形態の部材と、同一または相当する部材は、同一符号を付することにより、その詳細な説明は省略する。
この変形例は、図16に示すように、毛束5Aの塊状部5Bの背面側を覆うように、植設穴に蓋部材Fを配置し、ヘッド部14の背面14b側の一部を溶融固化することにより、前記蓋部材Fを介して、毛束5Aを前記ヘッド部14に固定するものである。
いわゆるワンタフトブラシの場合、一つの毛束5Aの直径、植設穴6(大径部6b)の直径が、一般的な歯ブラシおける、一つの毛束5Aの直径、植設穴6(大径部6b)の直径よりも大きく形成される。
そのため、壁部14cを溶融、固化し、毛束5Aを固定しようとすると、壁部14cの高さを高くする必要がある。
また、従来のワンタフトブラシの植毛穴の直径は4mm程度であるが、これを10mm程度まで拡大しようとすると、さらに壁部14cを高くする必要がある。このように、壁部14cの高さを高くした場合には、成形性が低下するとともに、溶融した14cが塊状部5Bの前面を被覆することが困難になるという問題が生じる。
即ち、この変形例は、かかる問題を解決するものであり、植設穴に蓋部材Fを介して、固定部7によって毛束5Aを前記ヘッド部14に固定する点に特徴がある。
具体的には、図17に示すように、毛束5Aの塊状部5Bを係止部6aに係止すると共に、蓋部材7Aを植設穴6の上方から大径部6b内に収容する。そして、図18に示すように、前記した第2の実施形態と同様に、壁部14cを溶融、固化することにより、前記蓋部材17を固定する固定部材7を形成する。
尚、この変形例では、毛束5Aの塊状部5Bと別個の部材である蓋部材Fを用いたが、蓋部材Fを用いることなく、毛束5Aの塊状部5Bの厚さを厚くし、壁部14cを溶融、固化し、塊状部5Bを押さえる固定部材7を形成しても良い。
また、第2の実施形態である、いわゆるワンタフトブラシは、前記した第1の実施形態にかかる製造方法を適用することによって製造することができる。尚、当然、第1の実施形態にかかる製造方法の第1乃至第3の変形例も適用することができる。
そして、第2の実施形態である、いわゆるワンタフトブラシにおいても、第1の実施形態で述べた効果と同様な効果を奏するものである。
更に、第2の実施形態の変形例は、第1の実施形態にも適用することができる。
1 歯ブラシ
2 歯ブラシの柄
3 ブラシ
4 ヘッド部
4a ヘッド部表面
4b ヘッド部背面
4c 壁部
5 合成樹脂製繊維
5A 毛束
5B 塊状部
5C 斜面部
5a テーパ繊維
5a1 テーパ面
5b 非テーパ繊維
6 植設穴
6a 係止部
6b 大径部
6b1 大径部開口部
6c 表面側開口部
7 固定部
8 加熱溶融装置
8a 加熱チップ
8a1 キャビティ
8b 加熱チップ
8b1 キャビティ
9 押しピン
10A 閉塞部材
10B 閉塞部材
10C 閉塞部材
11 歯ブラシ
12 歯ブラシの柄
13 ブラシ
14 ヘッド部
14a ヘッド部表面
14b ヘッド部背面
14c 壁部
F 蓋部材
P 可動支点
X テーパ面長さ
Y 非テーパ面長さ

Claims (15)

  1. 平線を用いることなく、毛束を合成樹脂製のヘッド部に植設した歯ブラシにおいて、
    合成樹脂製繊維からなる毛束と、
    前記ヘッド部の表面と背面を貫通した、前記毛束が挿通する植設穴と、
    前記ヘッド部の背面側における毛束の一端部に形成された、前記毛束が溶融固化した状態の塊状部と、
    前記毛束の塊状部を係止する係止部と、
    前記ヘッド部の背面側の一部、あるいは植設穴に配置された閉塞部材を溶融固化した状態で、前記係止部に係止された毛束の塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する固定部と、
    を備えていることを特徴とする歯ブラシ。
  2. 前記植設穴が、前記ヘッド部に1個設けられていることを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。
  3. 前記植設穴が、前記ヘッド部に複数個設けられていることを特徴とする請求項1記載の歯ブラシ。
  4. 前記固定部が、複数個の植設穴の夫々に設けられていることを特徴とする請求項3記載の歯ブラシ。
  5. 前記固定部の表面が、ヘッド部背面から突出していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の歯ブラシ。
  6. 前記固定部が、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように前記ヘッド部の背面に突出して形成された壁部を溶融固化した状態で、毛束の塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の歯ブラシ。
  7. 前記固定部が、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように配置された閉塞部材を溶融固化した状態で、毛束の塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の歯ブラシ。
  8. 前記毛束の塊状部が、前記ヘッド部の表面を基準として、前記ヘッド部厚さの50%以上の位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の歯ブラシ。
  9. 前記ヘッド部の表面側の植設穴の開口縁が、曲面形状あるいは面取りされていることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の歯ブラシ。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の歯ブラシの製造方法において、
    貫通した植設穴と、前記係止部とを備えるヘッド部を樹脂成形により形成する工程と、
    前記ヘッド部形成工程の後、合成樹脂製繊維からなる毛束を、前記植設穴に挿通する工程と、
    前記植設穴に毛束を挿通する工程の後、ヘッド部の背面側における毛束の一端部を、溶融固化し、塊状部を形成する工程と、
    前記塊状部の形成工程の後、前記塊状部を前記係止部に係止する工程と、
    前記ヘッド部の一部、あるいは植設穴に配置された閉塞部材を溶融固化し、前記塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する固定部を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする歯ブラシの製造方法。
  11. 前記ヘッド部形成工程において、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように壁部を形成し、
    前記毛束をヘッド部に固定する工程において、前記壁部を溶融固化し、前記塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する、固定部を形成することを特徴とする請求項10記載の歯ブラシの製造方法。
  12. 前記毛束をヘッド部に固定する工程において、前記ヘッド部の背面側の植設穴の周囲を囲うように閉塞部材を配置し、前記閉塞部材を溶融固化し、前記塊状部の背面側を覆い、前記毛束を前記ヘッド部に固定する、固定部を形成することを特徴とする請求項10記載の歯ブラシの製造方法。
  13. 前記ヘッド部を樹脂成形により形成する工程において、
    前記植設穴を、1個形成することを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の歯ブラシの製造方法。
  14. 前記ヘッド部を樹脂成形により形成する工程において、
    前記植設穴を、複数個形成することを特徴とする請求項10乃至請求項12のいずれかに記載の歯ブラシの製造方法。
  15. 前記固定部が、複数個の植設穴の夫々に形成されることを特徴とする請求項14記載の歯ブラシの製造方法。
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