JP2020168465A - 歯ブラシ - Google Patents
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Abstract
【課題】凹部の清掃性、特に狭い歯間の隙間等の凹部清掃性をさらに向上することができ、口腔内清掃性をトータルで向上させることができる歯ブラシを提供せんとする。【解決手段】ヘッド部2に、毛3の充填密度が60%未満である毛束4が植設されている無平線の歯ブラシである。ヘッド部2がある先端側とは反対の基端側に柄部を有し、ヘッド部2と前記柄部とを連結する首部5を有している。毛束4の反発力は5.5N以下とされ、毛束4を構成している各毛3の反発力が0.02N以上0.2N以下とされる。【選択図】図1
Description
本発明は、歯肉へのあたりがソフトで、各々のフィラメントの毛先が互いに干渉しにくく自然に動き易いため、毛先が複雑かつ微細な口腔組織の隅々までしっかり届く、優れた清掃効果を有する歯ブラシに関する。
歯ブラシによる歯面の清掃性は、毛束の反発力を高めることで向上する。しかし、歯間部や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙など、口腔内には凹部が多くあり、これら凹部の清掃性も重要である。従来より、これら凹部を含めた口腔内の清掃性をより高めるための歯ブラシが種々提案されている。
例えば、特許文献1では、毛束を構成する毛の充填密度を大きくすることで磨き応え感や刷掃効率を得るとともに、毛束の形状を、歯ブラシ長手方向に直交する横方向の幅を縦方向に比べて大きく設定することで毛束の到達感(凹部の到達性)を向上させるようにした歯ブラシが提案されている。
また、特許文献2では、ブラシ部全体で偏りなく毛の充填密度を高くすることで歯ぐきへの負担等を軽減させるとともに、隣接する植毛穴の縁部間に、どの位置においても横方向に1mm以上の間隔を保持し、これにより当該横方向に毛束が動けるスペースを確保し、刷掃時に凹部に毛束が届きやすくするようにした歯ブラシが提案されている。
いずれの文献も、隣接する毛束単位で互いの動きを制限しないようにすることにより凹部に到達させるといったものである。しかしながら、このような歯ブラシでは凹部の清掃性、特に磨き残しが多発する狭い歯間や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙等の凹部清掃性の向上には限界があり、より高い凹部清掃性が得られる歯ブラシが求められている。
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、凹部の清掃性、特に磨き残しが多発する狭い歯間の隙間等の凹部清掃性をさらに向上することができ、口腔内清掃性をトータルで向上させることができる歯ブラシを提供する点にある。
本発明者は、かかる現況に鑑み、鋭意検討した結果、毛束を構成する、各々の植毛穴に対する毛の充填密度に着目した。植毛方式(平線式、融着式、インモールド式)にかかわらず、毛束を構成する各毛は、引き抜き方向の応力に対する抜け強度を維持するために、植毛穴の内壁によってしっかりと保持されるよう、互いに密に束ねられた状態(植毛穴に対する毛の充填密度にして少なくとも60%以上)で植毛されている。特に平線式では、毛束が平線とともに植毛穴に圧入される構造であることから、必然的に毛束の充填密度は高くする必要がある。また、主に毛先で清掃効果が得られ易いことから歯ブラシあたりの毛の本数は多い方が清掃性が高い傾向にあると考えられている。融着式やインモールド式の無平線歯ブラシも、平線式の延長上の考え方で、同じく密に植毛することが常識と考えられている。
これに対し、本発明者は、上記融着式やインモールド式の無平線歯ブラシにおいては、毛束を構成する毛の密度を低くしても抜け強度を維持できることに着目し、従来の常識に反して毛束を構成する毛の密度を低減させること、これにより歯間や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙等の細かい隙間の凹部清掃性をより向上させることが可能になる点を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の発明を包含する。
(1) ヘッド部に、毛の充填密度が60%未満である毛束が植設されている無平線の歯ブラシ。ここに「毛の充填密度」とは、毛束が植設されている植毛穴口部面積に対する当該口部の位置における当該毛束を構成している毛の総断面積の比率をいう。
(1) ヘッド部に、毛の充填密度が60%未満である毛束が植設されている無平線の歯ブラシ。ここに「毛の充填密度」とは、毛束が植設されている植毛穴口部面積に対する当該口部の位置における当該毛束を構成している毛の総断面積の比率をいう。
(2) 前記毛束の毛の充填密度が57%以下である(1)記載の歯ブラシ。
(3) 前記毛束の反発力が5.5N以下である(1)又は(2)記載の歯ブラシ。
(4) 前記毛束を構成している各毛の反発力が0.02N以上0.2N以下である(1)〜(3)の何れかに記載の歯ブラシ。
(5) 前記毛束の毛の充填密度が30%以上である(1)〜(4)の何れかに記載の歯ブラシ。
(6) 前記毛束の反発力が1.0N以上である(1)〜(5)の何れかに記載の歯ブラシ。
以上にしてなる本願発明に係る歯ブラシによれば、毛の充填密度が60%未満である毛束が設けられることで、凹部の清掃性、特に狭い歯間や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙等の凹部清掃性をさらに向上することができ、口腔内清掃性をトータルで向上させることができる。
次に、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明の歯ブラシ1は、図1および図2に示すように、ヘッド部2に、毛3の充填密度が60%未満である毛束4が植設されている無平線の歯ブラシである。ヘッド部2がある先端側とは反対の基端側には、図示しない柄部を有し、さらにヘッド部2と前記柄部とを連結する首部5を有している。これらヘッド部2、柄部及び首部5によりハンドル10が構成され、ヘッド部2に植設された複数の毛束4によりブラシ部11が構成されている。
このように充填密度60%未満の毛束4を有する歯ブラシによれば、とくに歯間や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙等の凹部への挿入性が著しく向上し、口腔内清掃性を向上させることができる。すなわち、毛束4を構成している複数の毛の互いの拘束、特に毛先の互いの干渉が弱まり、歯肉へのあたりがソフトで、かつ毛1本1本の毛先が狭い隙間を含む隅々までしっかり届くため、清掃効果の高い歯ブラシとすることができる。
図中符号21は、各毛束4が植毛されているヘッド部2の植毛穴であり、符号21aは、植毛穴21の植毛面20に開口する口部である。植毛穴21の中には毛束4の基端側が埋設された形で固定されている。
ハンドル10は合成樹脂で一体成形されることが好ましい。ハンドルの成形に用いる合成樹脂としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、PCTA樹脂、PCTG樹脂などのポリエステル樹脂、ポリアセタール系樹脂(ホモポリマー、コポリマー)、ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂(ABS樹脂、AS樹脂、PS樹脂)の中から選ばれた樹脂を主成分とする樹脂など、公知の材料を広く採用できる。
毛束4は、ヘッド部2に対して平線で植設されているのではなく、平線を用いずに固定されている。このような植毛形態としては、公知の無平線歯ブラシの植毛形態を広く採用できる。本例では、特開2003−9947号公報、特開2003−102552号公報などに開示されているように、ハンドル10の成形の際、あらかじめ基端部に溶融塊40が形成された複数の毛束4を、それぞれ溶融塊40がヘッド部2の成形空間内に位置するように配置し、この状態で成形空間内に合成樹脂材料を射出することによりハンドル10(ヘッド部2)の成形とともに、複数の毛束4がヘッド部2に脱落不能に一体的に成形されたものである(インモールド方式)。
毛束4の溶融塊40を形成する際に、毛束4を構成する毛3を隣接する毛同士互いに隙間ができるようにほぼ均等に配置させることで、植毛後も同様に毛同士の間に隙間がある状態でほぼ均等に配置させることが可能となる。
これ以外にも、例えば、特開2010−194044号公報に開示されているように、ヘッド部を、ハンドルに一体成形されるヘッド本体部と、ハンドルとは別部材で構成され、ヘッド本体部の植毛面側に積層状に設けられるカバー部材とより構成し、カバー部材に形成された植毛穴に毛束を通し、貫通した毛束基端部を溶かして溶融塊を形成し、ヘッド部を成形する成形空間に対して毛束付きのカバー部材を前記溶融塊が成形空間内に位置するように配置させ、成形空間に合成樹脂材料を射出してハンドル10とブラシ部11を一体成形したものも可能である。
さらに、ヘッド部に植毛穴が開口した植毛面を有するハンドルを別途成形し、このハンドルのヘッド部の各植毛穴に対し、基端側に溶融塊が形成された毛束を、溶融塊が植毛穴の内周面に圧着するように挿入して植毛されるものも好ましい。
植毛穴21の開口形状および毛束4の外形断面形状は、本例の図に示すような円形に何ら限定されず、長円形、多角形、多角形のエッジをとったもの、多角形の一部に曲線を取り入れた形状、異形、その他の形状を広く適用することができ、複数の形状、大きさのものを組み合わせてもよい。また、植毛面における植毛穴の配置形態、毛束の配置形態についても、同じく本例の配置に何ら限定されず、その他の配置形態を広く適用することができる。植毛穴が一直線上に複数並んでいるような形態でもよい。
本発明は、各毛束の植毛穴あたりの毛の充填密度が従来に比べて低く設定されたものであるが、ヘッド部の植毛面全体の面積(植毛領域面積)に対する植毛穴の口部の総面積の比(植毛穴の密度)は高く設定されることが好ましい。これにより、植毛穴あたりの毛の充填密度を低く設定しても十分な刷掃力を維持でき、また、ヘッド部全体としてみて、より均一に毛が植えられることになり、毛の動きが従来に比べて自由になることで口腔組織内の凹部への清掃性が高まると同時に、歯面を含めたトSータルの良好な清掃性が維持される。具体的には、上記植毛穴の密度が40%以上に設定されたものが好ましい。
毛束4の毛3の植毛穴における充填密度は、57%以下であることが好ましい。これにより歯間や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙等への挿入性が著しく向上する。ただし、低すぎると、歯面その他の刷掃性が低下するため、30%以上に設定されることが好ましい。これにより歯面その他の清掃性も良好に維持される。本発明では、毛束4の毛3が根元から互いに疎に植毛されている。毛束4が植設されている植毛穴21の内部には、毛の間の隙間が従来よりも大きくなる。この隙間に異素材を充填してもよい。
本発明に係る毛束4は、上記のとおり植毛穴における毛3の充填密度を低くしたものであり、反発力を低減させたものである。毛の反発力は、下記(式1)で求めることができ、毛3の材質や太さ、突出長さ等で変動する。毛束の反発力は該毛束を構成する毛の反発力の和である。具体的な反発力の数値としては、毛束4一つあたり、5.5N以下であることが好ましい。これにより歯間や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙等の隙間への挿入性が向上する。また、1.0N以上であることが好ましい。これにより歯面その他の清掃性を維持できる。
毛の反発力(N)=2π3Eω4/64L2 (式1)
(Eはヤング率、ωは毛の直径、Lは毛丈(植毛面からの突出長さ)である。)
(Eはヤング率、ωは毛の直径、Lは毛丈(植毛面からの突出長さ)である。)
さらに、ブラシ部11は、植毛穴あたりの植毛密度の異なる毛束4を混在させても勿論よい。例えば、本発明にかかる充填密度の低い毛束4を一つのみ又はすべてではない所定の数だけ配置し、他の位置の毛束は従来と同様、60%以上の毛の充填密度のものとするような場合も含まれる。ここで、充填密度の異なる毛束を植設する際、充填密度の低い毛束ほど植毛穴の開口面積を大きく設定して、同じフィラメント径の分布を有する毛を同じ条件で植毛するようにすれば、生産・植毛においてピッカーでピッキングするときに異なる形状の植毛穴であっても本数を変更せずに一度に植えられるため効率がよい。
具体的には、図7に示すように、植毛面20の中央の位置に充填密度の低い毛束4Aを複数植設し、その外側に、充填密度60%以上の毛束4Bを複数植設したものも好ましい例である。これにより、歯間や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙等への清掃に寄与する中央位置の毛束の毛の充填密度を下げ、これら歯間等の隙間への挿入性を向上させるとともに、歯面その他の部位を外側の充填密度の高い毛束で効率よく清掃することが可能となる。
本発明に係る毛束4を構成する毛3の材料としては、特に限定されるものではない。例えば、ナイロン、アラミド樹脂等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、その他、従来公知の熱可塑性樹脂フィラメントを用いることができる。
毛3の断面形状も、円形以外に半円形、半月形、三角形や四角形などの多角形、その他不定形などの異形のものでもよい。スパイラル形状のもの、サテナイズド加工されたもの、別素材を練りこんで製糸したものなどを用いることもできる。このように円柱形状以外の異形の形状にすることで毛同士をほぼ均一に配置しやすくなる。
各毛3の反発力は、同じく上記式1で求めることができ、具体的には0.02N以上0.2N以下であることが好ましい。0.2N以下とすることで、歯間や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙等の隙間への挿入性が向上する。0.02Nより小さいと、毛が曲がりやすく、刷掃性が著しく低下する。
各毛3の太さは、直径0.1mm以上、0.3mm以下のものが好ましい。0.2mm以下のものがより好ましい。各毛3の太さが細い方が、歯間や歯頸部、歯間乳頭部、歯間鼓形空隙等の隙間への挿入性に優れる。太さが前記の範囲内であれば細く本数が多いほどプラーク除去できるが、本数が多すぎると互いの毛先が干渉しやすくなり、所期の効果が得られ難くなる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
(実施例1〜6、比較例1〜5)
それぞれ、図4(a),(b)に示す歯ブラシ1Aを作成した。いずれも同じ構造、寸法であり、植毛穴21についても同じ配置、寸法とした。具体的には、図4に示すように、植毛穴21を縦横3列ずつ合計9つ設け、各植毛穴21は口部21aが円形で内径1.6mmの貫通穴とした。
それぞれ、図4(a),(b)に示す歯ブラシ1Aを作成した。いずれも同じ構造、寸法であり、植毛穴21についても同じ配置、寸法とした。具体的には、図4に示すように、植毛穴21を縦横3列ずつ合計9つ設け、各植毛穴21は口部21aが円形で内径1.6mmの貫通穴とした。
そして、歯ブラシ1Aの植毛穴に、実施例1〜6、比較例1〜5で、それぞれ異なる毛束4(毛3の太さ(直径)又は本数が異なる毛束)を植設した。毛束4の植設は、毛の束を植毛穴に挿通し、植毛台の背面側で基端側を熱で溶融塊にして溶かして固定した。毛束4を構成する毛3は、いずれもナイロン樹脂製とし、植毛台から突出する長さを9mmに設定した。毛の太さ(直径)、本数は、表1〜表3に示すように、各実施例、比較例で異なるものとした。
具体的には、実施例1〜3及び比較例1〜3においては、直径0.178mm、反発力0.0961Nの毛を用いて、実施例1は23本を束にして植毛穴に対する充填密度30%の毛束とし、実施例2は30本を束にして植毛穴に対する充填密度40%の毛束とし、実施例3は38本を束にして植毛穴に対する充填密度50%の毛束とし、比較例1は45本を束にして植毛穴に対する充填密度60%の毛束とし、比較例2は53本を束にして植毛穴に対する充填密度70%の毛束とし、比較例3は61本を束にして植毛穴に対する充填密度80%の毛束とした。
また、実施例4、5、比較例4においては、直径0.127mm、反発力0.0249Nの毛を用いて、実施例4は48本を束にして植毛穴に対する充填密度32%の毛束とし、実施例5は60本を束にして植毛穴に対する充填密度40%の毛束とし、比較例4は119本を束にして植毛穴に対する充填密度80%の毛束とした。また、実施例6、比較例5においては、直径0.203mm、反発力0.1625Nの毛を用いて、実施例6は19本を束にして植毛穴に対する充填密度32%の毛束とし、比較例5は47本を束にして植毛穴に対する充填密度80%の毛束とした。各実施例、比較例の毛束の反発力は、表1〜3に示すとおりとなる。
(清掃性評価試験)
各実施例、比較例について、歯ブラシのブラッシング圧及び移動速度を一定に保ちながら、固定した顎模型(D15−500H、ニッシン社、京都)の歯をブラッシングできるように設計されたブラッシングシミュレータを用いた。顎模型の特定の歯(上顎第一大臼歯)を取り外し、その歯間面(隣接する上顎第二小臼歯に臨む面)にプラークの代替として咬合チェック用スプレー・オクルード(パスカル社、USA)の着色粉末を塗布して顎模型に戻し、ブラッシングを行った。
各実施例、比較例について、歯ブラシのブラッシング圧及び移動速度を一定に保ちながら、固定した顎模型(D15−500H、ニッシン社、京都)の歯をブラッシングできるように設計されたブラッシングシミュレータを用いた。顎模型の特定の歯(上顎第一大臼歯)を取り外し、その歯間面(隣接する上顎第二小臼歯に臨む面)にプラークの代替として咬合チェック用スプレー・オクルード(パスカル社、USA)の着色粉末を塗布して顎模型に戻し、ブラッシングを行った。
ブラッシング圧は100gに設定し、長手方向のストロークで、ストローク幅20mm、移動速度2.53mm/秒で12.5秒間、ブラッシングした。ブラッシングの後、顎模型の特定歯(上顎第一大臼歯)を再度取り外し、歯面の撮影を行うとともに、歯前面からの除去長さ(歯面挿入深さ)を測定した。これにより歯間部に毛がどれだけ届いているか判断できる。歯間挿入性は、歯間挿入深さが3.5mm以上の場合を十分であるという意味で「○」、3.5mm未満の場合を不十分であるという意味で「×」とした。結果を表1〜表3及び図5、6に示す。表1〜表3の「ブラッシング後の状態」は上記撮影した歯面の様子であり、各写真左側が歯の前面側であり、「歯間挿入深さ」は当該前面からの着色粉末が除去された歯間面の長さを測定したものである。
実施例1〜3、比較例1〜3の結果を示す表1及び図5のグラフから、同じ毛で構成される毛束のうち、植毛穴に対する毛の充填密度を60%未満にすることで歯間挿入性が著しく向上することが分かる。また、歯間挿入深さが3.5mm以上であると十分な歯間挿入性が得られるが、図5のグラフから、植毛穴に対する毛の充填密度を57%以下にすれば、十分な歯間挿入性が得られることが分かる。50%以下ではほぼ横ばいとなるので、充填密度をある程度維持してトータルの清掃性向上を狙うのであれば、45〜57%に設定することがより好ましいことが分かる。
また、同じ毛の充填密度で比較すると、表2、表3から分かるように、例えば実施例4、6は、いずれも植毛穴に対する毛の充填密度が32%であるが、毛束を構成する毛が細く且つ本数が多い実施例4の方が、太く且つ本数が少ない実施例6に比べて歯間挿入深さが長い結果となっている。また、いずれも植毛穴に対する毛の充填密度が80%であるが、毛束を構成する毛が細く且つ本数が多い比較例4の方が、太く且つ本数が少ない比較例5に比べて歯間挿入深さが長い結果となっている。図6はこれら実施例4、6、比較例4、5の関係をグラフに表したものである。このように、充填密度が同じ場合、毛の太さが細く、本数が多い毛束ほど、歯間挿入性に優れることが分かる。
1 歯ブラシ
2 ヘッド部
3 毛
4 毛束
5 首部
10 ハンドル
11 ブラシ部
20 植毛面
21 植毛穴
21a 口部
40 溶融塊
2 ヘッド部
3 毛
4 毛束
5 首部
10 ハンドル
11 ブラシ部
20 植毛面
21 植毛穴
21a 口部
40 溶融塊
Claims (2)
- ヘッド部に、毛の充填密度が60%未満である毛束が植設されている無平線の歯ブラシ。
- 前記毛束の毛の充填密度が57%以下である請求項1記載の歯ブラシ。
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