JP2019112482A - マスターバッチの製造方法、ゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工性を向上することが可能であるとともに、加硫ゴムの引裂強さを向上することができるマスターバッチの製造方法を提供することである。【解決手段】マスターバッチの製造方法が、天然ゴムラテックス、および天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスを混合し、質量平均分子量の数平均分子量に対する比が6〜10であるスラリー混合前ゴムラテックスを得る工程と、スラリー混合前ゴムラテックスおよび充てん剤スラリーを混合し、凝固処理前混合液を得る工程と、凝固処理前混合液を凝固する工程とを含む。【選択図】なし
Description
本開示は、マスターバッチの製造方法、ゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法に関する。
天然ゴムにカーボンブラックが分散したウェットマスターバッチは、ムーニー粘度が高く、加工性が悪いため、加工性の向上が求められている。ウェットマスターバッチは、たとえば、天然ゴムラテックスとカーボンブラックスラリーとを混合し、凝固し、脱水して得ることができる。
しかしながら、加工性の向上だけでなく、加硫ゴムの物性、たとえば引裂強さも考慮すべきである。
本開示の目的は、加工性を向上することが可能であるとともに、加硫ゴムの引裂強さを向上することができるマスターバッチの製造方法を提供することである。
本開示におけるマスターバッチの製造方法は、天然ゴムラテックス、および天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスを混合し、質量平均分子量の数平均分子量に対する比が6〜10であるスラリー混合前ゴムラテックスを得る工程と、スラリー混合前ゴムラテックスおよび充てん剤スラリーを混合し、凝固処理前混合液を得る工程と、凝固処理前混合液を凝固する工程とを含む。
本開示における実施形態のマスターバッチの製造方法は、天然ゴムラテックス、および天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスを混合し、質量平均分子量の数平均分子量に対する比、すなわちMw/Mnが6〜10であるスラリー混合前ゴムラテックスを得る工程と、スラリー混合前ゴムラテックスおよび充てん剤スラリーを混合し、凝固処理前混合液を得る工程と、凝固処理前混合液を凝固する工程とを含む。
本開示における実施形態のマスターバッチの製造方法は、加工性を向上することができる。本開示における実施形態のマスターバッチの製造方法は、天然ゴムラテックスと、天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスとを混合するため、このゴムラテックスを加えない場合にくらべてマスターバッチ、またはマスターバッチで作製した未加硫ゴムのムーニー粘度を低減することができる。さらに、本開示における実施形態のマスターバッチの製造方法は、スラリー混合前ゴムラテックスのMw/Mnが6〜10であるため、ムーニー粘度を効果的に低減できる。
本開示における実施形態のマスターバッチの製造方法は、加硫ゴムの引裂強さを向上することができる。この理由は、本開示における実施形態のマスターバッチの製造方法が、マスターバッチ、またはマスターバッチで作製した未加硫ゴムのムーニー粘度を低減することが可能であるため、混練りにおけるゴム分子鎖の過度の切断を抑制できることにあると考えられる。
本開示における実施形態のゴム組成物の製造方法は、本開示における実施形態のマスターバッチの製造方法を含む。具体的には、本開示における実施形態のゴム組成物の製造方法は、天然ゴムラテックス、および天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスを混合し、質量平均分子量の数平均分子量に対する比が6〜10であるスラリー混合前ゴムラテックスを得る工程と、スラリー混合前ゴムラテックスおよび充てん剤スラリーを混合し、凝固処理前混合液を得る工程と、凝固処理前混合液を凝固する工程とを含む。
本開示における実施形態のタイヤの製造方法は、本開示における実施形態のマスターバッチの製造方法を含む。具体的には、本開示における実施形態のタイヤの製造方法は、天然ゴムラテックス、および天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスを混合し、質量平均分子量の数平均分子量に対する比が6〜10であるスラリー混合前ゴムラテックスを得る工程と、スラリー混合前ゴムラテックスおよび充てん剤スラリーを混合し、凝固処理前混合液を得る工程と、凝固処理前混合液を凝固する工程とを含む。
本開示の実施形態において、充てん剤は、カーボンブラック、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの無機充てん剤であることができる。これらのうち、一つまたは複数を選択して、使用することができる。
実施形態1
ここからは、本開示の実施形態1について説明する。実施形態1は、マスターバッチのための充てん剤としてカーボンブラックを使用する。
ここからは、本開示の実施形態1について説明する。実施形態1は、マスターバッチのための充てん剤としてカーボンブラックを使用する。
実施形態1におけるタイヤの製造方法は、天然ゴムラテックス、および天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスを混合し、スラリー混合前ゴムラテックスを得る工程と、スラリー混合前ゴムラテックスおよびカーボンブラックスラリーを混合し、凝固処理前混合液を得る工程と、凝固処理前混合液を凝固し、マスターバッチを得る工程と、マスターバッチおよび配合剤を混練りし、ゴム混合物を得る工程と、ゴム混合物に加硫系配合剤を練り込み、ゴム組成物を得る工程と、ゴム組成物で作製した未加硫タイヤを加硫成型する工程とを含む。
実施形態1におけるタイヤの製造方法は、天然ゴムラテックス、および天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスを混合し、スラリー混合前ゴムラテックスを得る工程を含む。この工程では、天然ゴムラテックスにゴムラテックスを添加し、撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得る。天然ゴムラテックスの質量平均分子量と、ゴムラテックスの質量平均分子量との差は、たとえば100万〜170万である。
天然ゴムラテックスでは、天然ゴムを含むゴム粒子が、コロイド状に水に分散している。天然ゴムラテックスの質量平均分子量、具体的には、天然ゴムラテックス中の天然ゴムの質量平均分子量は、たとえば200万以上である。天然ゴムラテックスの乾燥ゴム分は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。天然ゴムラテックスにおける乾燥ゴム分の上限は、たとえば60質量%、好ましくは40質量%、さらに好ましくは30質量%である。
天然ゴムラテックスと混合するためのゴムラテックスは、天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有する。ゴムラテックスの質量平均分子量、具体的には、ゴムラテックス中のゴムの質量平均分子量は、たとえば120万以下であることができ、100万以下であることができ、90万以下であることができる。ゴムラテックスにおける質量平均分子量の下限は、たとえば10万であることができ、20万であることができ、30万であることができ、40万であることができる。ゴムラテックスでは、ゴム粒子が、コロイド状に水に分散している。ゴムラテックスは、ジエン系ゴムラテックスであることができ、たとえば解重合天然ゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスであることができる。解重合天然ゴムラテックスは、たとえば、天然ゴムラテックスに過酸化物を添加する方法や、天然ゴムラテックスに紫外線を照射する方法などで得ることができる。ゴムラテックスの乾燥ゴム分は、たとえば10質量%〜60質量%である。
天然ゴムラテックスとゴムラテックスとの混合において、ゴムラテックスの乾燥ゴム分は、天然ゴムラテックスの乾燥ゴム分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。ゴムラテックスの乾燥ゴム分は、天然ゴムラテックスの乾燥ゴム分100質量部に対して、好ましくは70質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
スラリー混合前ゴムラテックスでは、ゴム粒子が、コロイド状に水に分散している。スラリー混合前ゴムラテックスでは、質量平均分子量の数平均分子量に対する比、すなわちMw/Mnが6〜10である。いっぽう、スラリー混合前ゴムラテックスの質量平均分子量、具体的には、スラリー混合前ゴムラテックス中のゴムの質量平均分子量は、たとえば130万〜170万である。
スラリー混合前ゴムラテックスとカーボンブラックスラリーとを混合し、凝固処理前混合液を得る工程を、実施形態1におけるタイヤの製造方法は含む。これらを混合するために、高せん断ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機を用いることができる。
カーボンブラックスラリーでは、カーボンブラックが水中に分散している。カーボンブラックスラリーにおけるカーボンブラックの量は、カーボンブラックスラリー100質量%において、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上である。カーボンブラックスラリーにおけるカーボンブラック量の上限は、好ましくは15質量%、より好ましくは10質量%である。カーボンブラックスラリーは、たとえばカーボンブラックと水とを混合することで得ることができる。カーボンブラックとしては、たとえばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPFなどのカーボンブラックのほか、アセチレンブラックやケッチェンブラックなどの導電性カーボンブラックを使用することができる。カーボンブラックは、そのハンドリング性を考慮して造粒された、造粒カーボンブラックであってもよく、未造粒カーボンブラックであってもよい。カーボンブラックと水とは、高せん断ミキサー、ホモミキサー、ボールミル、ビーズミル、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、コロイドミルなどの一般的な分散機で混合できる。
凝固処理前混合液は、ゴム粒子とカーボンブラックとを含む。凝固処理前混合液では、これらが水中に分散している。凝固処理前混合液におけるカーボンブラックの量は、凝固処理前混合液の乾燥ゴム分100質量部に対して、たとえば10質量部以上であることができ、20質量部以上であることができ、30質量部以上であることができ、40質量部以上であることができる。凝固処理前混合液におけるカーボンブラックの量は、凝固処理前混合液の乾燥ゴム分100質量部に対して、たとえば80質量部以下であることができ、70質量部以下であることができ、60質量部以下であることができる。
凝固処理前混合液を凝固し、マスターバッチを得る工程を、実施形態1におけるタイヤの製造方法は含む。凝固は、凝固処理前混合液を乾燥させることで起こすことができる。いっぽう、凝固を起こすために、凝固処理前混合液に凝固剤を添加してもよい。凝固剤は、たとえば酸である。酸としてギ酸、硫酸などを挙げることができる。凝固処理前混合液を凝固することで得られた凝固物は水を含んでいる。よって、この工程(凝固処理前混合液を凝固し、マスターバッチを得る工程)は、凝固物を脱水することを含むことができる。凝固物を脱水するために、たとえば、押出機や真空乾燥機、エアドライヤーなどを使用できる。脱水された凝固物の水分量は、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。脱水後の凝固物を成形することをこの工程は含むことができる。このようにして得られたマスターバッチは、ゴム、カーボンブラックを含む。
マスターバッチはゴムを含む。マスターバッチのゴムは、少なくとも天然ゴムとを含む。マスターバッチにおける天然ゴムの量は、マスターバッチ中のゴム100質量%において、たとえば50質量%以上であることができ、60質量%以上であることができる。いっぽう、マスターバッチのゴムはイソプレンゴムを含んでいてもよい。この場合、マスターバッチにおけるイソプレンゴムの量は、マスターバッチ中のゴム100質量%において、たとえば10質量%以上であることができ、20質量%以上であることができる。マスターバッチにおけるイソプレンゴムの量は、マスターバッチ中のゴム100質量%において、たとえば50質量%以下であることができ、40質量%以下であることができる。
マスターバッチはカーボンブラックをさらに含む。カーボンブラックの量は、マスターバッチ中のゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上である。カーボンブラックの量は、マスターバッチ中のゴム100質量部に対して、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。
マスターバッチと配合剤とを混練りし、ゴム混合物を得る工程を、実施形態1におけるタイヤの製造方法は含む。配合剤としては、充てん剤、ステアリン酸、亜鉛華、老化防止剤、ワックスなど挙げることができる。これらのうち、一つまたは複数を選択して、マスターバッチと混練することができる。老化防止剤として、芳香族アミン系老化防止剤、アミン−ケトン系老化防止剤、モノフェノール系老化防止剤、ビスフェノール系老化防止剤、ポリフェノール系老化防止剤、ジチオカルバミン酸塩系老化防止剤、チオウレア系老化防止剤などを挙げることができる。この混練りの工程では、マスターバッチおよび配合剤とともに、ほかのゴムを混練りすることができる。混練り時にマスターバッチに追加するゴムとして、たとえば、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴムなどを挙げることができる。混練りは、混練機でおこなうことができる。混練機として密閉式混練機、オープンロールなどを挙げることができる。密閉式混練機としてバンバリーミキサー、ニーダーなどを挙げることができる。
ゴム混合物に加硫系配合剤を練り込み、ゴム組成物を得る工程を、実施形態1におけるタイヤの製造方法はさらに含む。加硫系配合剤として硫黄、有機過酸化物などの加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤などを挙げることができる。硫黄として粉末硫黄、沈降硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄などを挙げることができる。加硫促進剤としてスルフェンアミド系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チオウレア系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤などを挙げることができる。
ゴム組成物は、マスターバッチに由来するゴムを含む。マスターバッチに由来するゴムの量は、ゴム組成物中のゴム100質量%に対して、たとえば、40質量%以上であることができ、60質量%以上であることができ、80質量%以上であることができ、100質量%であることもできる。
ゴム組成物はカーボンブラックを含む。カーボンブラックの量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上である。カーボンブラックの量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下である。
ゴム組成物は、ステアリン酸、亜鉛華、老化防止剤、ワックス、硫黄、加硫促進剤などをさらに含むことができる。硫黄の量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、硫黄分換算で好ましくは0.5質量部〜5質量部である。加硫促進剤の量は、ゴム組成物中のゴム100質量部に対して、好ましくは0.1質量部〜5質量部である。
ゴム組成物は、タイヤの作製に使用できる。具体的には、タイヤを構成するタイヤ部材の作製に使用可能である。たとえば、トレッドゴム、サイドウォールゴム、チェーハーゴム、ビードフィラーゴムなどの作製にゴム組成物を使用できる。
ゴム組成物で作製した未加硫タイヤを加硫成型する工程を、実施形態1におけるタイヤの製造方法は含む。未加硫タイヤは、ゴム組成物で作製したタイヤ部材を備える。すなわち、未加硫タイヤが、ゴム組成物を含むタイヤ部材を備える。実施形態1の方法で得られたタイヤは、たとえば空気入りタイヤであることができる。
ここまで説明したように、実施形態1におけるマスターバッチの製造方法は、加工性を向上することができる。実施形態1のマスターバッチの製造方法は、天然ゴムラテックスと、天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスとを混合するため、このゴムラテックスを加えない場合にくらべてマスターバッチ、またはマスターバッチで作製した未加硫ゴムのムーニー粘度を低減することができる。さらに、実施形態1のマスターバッチの製造方法は、スラリー混合前ゴムラテックスのMw/Mnが6〜10であるため、ムーニー粘度を効果的に低減できる。
実施形態1におけるマスターバッチの製造方法は、加硫ゴムの引裂強さを向上することができる。この理由は、実施形態1のマスターバッチの製造方法が、マスターバッチ、またはマスターバッチで作製した未加硫ゴムのムーニー粘度を低減することが可能であるため、混練りにおけるゴム分子鎖の過度の切断を抑制できることにあると考えられる。
実施形態1におけるマスターバッチの製造方法は、低発熱性を維持しながら、加工性と引裂強さとを向上できる。低発熱性を維持することが可能な理由は、第一に、スラリー混合前ゴムラテックスのMw/Mnが10以下であるため、スラリー混合前ゴムラテックス中の低分子量ゴムの量または割合が制限されていることにあると考えられる。第二の理由は、実施形態1のマスターバッチの製造方法が、マスターバッチ、またはマスターバッチで作製した未加硫ゴムのムーニー粘度を低減することが可能であるため、混練りにおけるゴム分子鎖の過度の切断を抑制できることにあると考えられる。
変形例1
実施形態1では、天然ゴムラテックスにゴムラテックス(天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックス)を添加し、撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得るものの、実施形態1の変形例1では、天然ゴムラテックスにゴムラテックスを添加し、撹拌し、これに、ほかのゴムラテックスをさらに添加し、必要に応じて撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得る。
実施形態1では、天然ゴムラテックスにゴムラテックス(天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックス)を添加し、撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得るものの、実施形態1の変形例1では、天然ゴムラテックスにゴムラテックスを添加し、撹拌し、これに、ほかのゴムラテックスをさらに添加し、必要に応じて撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得る。
変形例2
実施形態1では、天然ゴムラテックスにゴムラテックス(天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックス)を添加し、撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得るものの、実施形態1の変形例2では、天然ゴムラテックスに、ゴムラテックスとほかのゴムラテックスとを添加し、撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得る。
実施形態1では、天然ゴムラテックスにゴムラテックス(天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックス)を添加し、撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得るものの、実施形態1の変形例2では、天然ゴムラテックスに、ゴムラテックスとほかのゴムラテックスとを添加し、撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得る。
変形例3
実施形態1では、カーボンブラックスラリーを得るためにカーボンブラックと水とを混合するものの、実施形態1の変形例3では、この操作に代えて、カーボンブラックスラリーを得るために、カーボンブラックとゴムラテックス(以下、カーボンブラックと混合するためのゴムラテックスを「希薄ゴムラテックス」という。)とを混合する。カーボンブラックと希薄ゴムラテックスとを混合することによって、カーボンブラックの再凝集を防止できる。カーボンブラックの表面の一部または全部に極薄いラテックス相が生成し、ラテックス相がカーボンブラックの再凝集を抑制すると考えられるからである。希薄ゴムラテックスでは、ゴム粒子が,コロイド状に水に分散している。希薄ゴムラテックスは、たとえば天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスなどである。天然ゴムラテックス中の天然ゴムの数平均分子量は、たとえば200万以上である。合成ゴムラテックスは、たとえばスチレン−ブタジエンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスである。希薄ゴムラテックスの乾燥ゴム分は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。乾燥ゴム分の上限は、たとえば5質量%、好ましくは2質量%、さらに好ましくは1質量%である。
実施形態1では、カーボンブラックスラリーを得るためにカーボンブラックと水とを混合するものの、実施形態1の変形例3では、この操作に代えて、カーボンブラックスラリーを得るために、カーボンブラックとゴムラテックス(以下、カーボンブラックと混合するためのゴムラテックスを「希薄ゴムラテックス」という。)とを混合する。カーボンブラックと希薄ゴムラテックスとを混合することによって、カーボンブラックの再凝集を防止できる。カーボンブラックの表面の一部または全部に極薄いラテックス相が生成し、ラテックス相がカーボンブラックの再凝集を抑制すると考えられるからである。希薄ゴムラテックスでは、ゴム粒子が,コロイド状に水に分散している。希薄ゴムラテックスは、たとえば天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックスなどである。天然ゴムラテックス中の天然ゴムの数平均分子量は、たとえば200万以上である。合成ゴムラテックスは、たとえばスチレン−ブタジエンゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスである。希薄ゴムラテックスの乾燥ゴム分は、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。乾燥ゴム分の上限は、たとえば5質量%、好ましくは2質量%、さらに好ましくは1質量%である。
これらの変形例から、一つまたは複数を選択して、実施形態1に、組み合わせることはもちろん可能である。
以下に、本開示の実施例を説明する。ここでは、質量平均分子量をMwといい、数平均分子量をMnという。
原料・薬品を次に示す。
天然ゴムラテックス(Mw220万、Mw/Mn3.8、乾燥ゴム分30.5%の天然ゴムラテックス) Golden Hope社製
イソプレンゴムラテックスA Mw200万のイソプレンゴムラテックス 住友精化社製
イソプレンゴムラテックスB Mw3万のイソプレンゴムラテックス
イソプレンゴムラテックスC Mw90万のイソプレンゴムラテックス
イソプレンゴムラテックスD Mw40万のイソプレンゴムラテックス
カーボンブラック(N330 N2SA93m2/g フタル酸ジブチル吸収量119cm3/100g)東海カーボン社製
亜鉛華 「亜鉛華1号」三井金属鉱業社製
老化防止剤 「ノクラック6C」(6PPD)大内新興化学工業社製
ステアリン酸 「ルナックS−20」花王社製
ワックス 「OZOACE0355」日本精蝋社製
硫黄 「粉末硫黄」鶴見化学工業社製
加硫促進剤 「ソクシールCZ」住友化学社製
天然ゴムラテックス(Mw220万、Mw/Mn3.8、乾燥ゴム分30.5%の天然ゴムラテックス) Golden Hope社製
イソプレンゴムラテックスA Mw200万のイソプレンゴムラテックス 住友精化社製
イソプレンゴムラテックスB Mw3万のイソプレンゴムラテックス
イソプレンゴムラテックスC Mw90万のイソプレンゴムラテックス
イソプレンゴムラテックスD Mw40万のイソプレンゴムラテックス
カーボンブラック(N330 N2SA93m2/g フタル酸ジブチル吸収量119cm3/100g)東海カーボン社製
亜鉛華 「亜鉛華1号」三井金属鉱業社製
老化防止剤 「ノクラック6C」(6PPD)大内新興化学工業社製
ステアリン酸 「ルナックS−20」花王社製
ワックス 「OZOACE0355」日本精蝋社製
硫黄 「粉末硫黄」鶴見化学工業社製
加硫促進剤 「ソクシールCZ」住友化学社製
イソプレンゴムラテックスB〜Dの作製
イソプレンゴムラテックスAに、過ヨウ素酸(メタ過ヨウ素酸(HIO4))を添加し、イソプレンゴムラテックスB〜Dを得た。
イソプレンゴムラテックスAに、過ヨウ素酸(メタ過ヨウ素酸(HIO4))を添加し、イソプレンゴムラテックスB〜Dを得た。
MwおよびMnの測定
後述のスラリー混合前ゴムラテックスに、10質量%のギ酸をpH4になるまで添加して凝固させ、乾燥させ、乾燥ゴムを得た。乾燥ゴムを、テトラヒドロフランに溶解させ、これをサイズ排除クロマトグラフィーで測定した。天然ゴムラテックスとイソプレンゴムラテックスA〜Dとについても同様の方法で分子量を測定した。
後述のスラリー混合前ゴムラテックスに、10質量%のギ酸をpH4になるまで添加して凝固させ、乾燥させ、乾燥ゴムを得た。乾燥ゴムを、テトラヒドロフランに溶解させ、これをサイズ排除クロマトグラフィーで測定した。天然ゴムラテックスとイソプレンゴムラテックスA〜Dとについても同様の方法で分子量を測定した。
マスターバッチの作製
天然ゴムラテックスに、イソプレンゴムラテックスを表2にしたがって添加し、撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得た。いっぽう、カーボンブラックを水に添加し、撹拌し、カーボンブラックスラリーを得た。カーボンブラックスラリーを、スラリー混合前ゴムラテックスに表2にしたがって加え、撹拌し、凝固剤としてギ酸をpH4になるまで添加し、凝固物を得た。凝固物を、スクイザー式1軸押出脱水機(スエヒロEPM社製スクリュープレスV−02型)で200℃で脱水し、マスターバッチを得た。
天然ゴムラテックスに、イソプレンゴムラテックスを表2にしたがって添加し、撹拌し、スラリー混合前ゴムラテックスを得た。いっぽう、カーボンブラックを水に添加し、撹拌し、カーボンブラックスラリーを得た。カーボンブラックスラリーを、スラリー混合前ゴムラテックスに表2にしたがって加え、撹拌し、凝固剤としてギ酸をpH4になるまで添加し、凝固物を得た。凝固物を、スクイザー式1軸押出脱水機(スエヒロEPM社製スクリュープレスV−02型)で200℃で脱水し、マスターバッチを得た。
未加硫ゴムの作製
マスターバッチに、硫黄と加硫促進剤とを除く配合剤を表3にしたがって添加し、神戸製鋼社製のB型バンバリーミキサーで混練りし、ゴム混合物を排出した。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをB型バンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
マスターバッチに、硫黄と加硫促進剤とを除く配合剤を表3にしたがって添加し、神戸製鋼社製のB型バンバリーミキサーで混練りし、ゴム混合物を排出した。ゴム混合物と硫黄と加硫促進剤とをB型バンバリーミキサーで混練りし、未加硫ゴムを得た。
ムーニー粘度
JIS K6300に準じて、未加硫ゴムを100℃で1分間予熱した後にローターを回転させ、回転開始から4分後のトルク値をムーニー単位で記録した。比較例1のムーニー粘度を100とした指数で、各例のムーニー粘度を表示した。指数が小さいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れる。
JIS K6300に準じて、未加硫ゴムを100℃で1分間予熱した後にローターを回転させ、回転開始から4分後のトルク値をムーニー単位で記録した。比較例1のムーニー粘度を100とした指数で、各例のムーニー粘度を表示した。指数が小さいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れる。
発熱性
未加硫ゴムを150℃で30分間加硫し、加硫ゴムのtanδを、JIS K−6394に準じて測定した。tanδは、東洋精機製の粘弾性試験機を用いて、温度60℃、周波数10Hz、初期歪み10%、動歪み1%の条件で測定した。比較例1のtanδを100とした指数で、各例のtanδを表示した。指数が小さいほど発熱性が低く、タイヤ低燃費性能に優れることを示す。
未加硫ゴムを150℃で30分間加硫し、加硫ゴムのtanδを、JIS K−6394に準じて測定した。tanδは、東洋精機製の粘弾性試験機を用いて、温度60℃、周波数10Hz、初期歪み10%、動歪み1%の条件で測定した。比較例1のtanδを100とした指数で、各例のtanδを表示した。指数が小さいほど発熱性が低く、タイヤ低燃費性能に優れることを示す。
引裂強さ
未加硫ゴムを150℃で30分間加硫し、加硫ゴムから試験片を作製した。試験片を引き裂くのに要する力を、JIS K6252に準じて測定した。比較例1の引裂強さを100とした指数で、各例の引裂強さを表示した。指数が大きいほど引裂強さに優れる。
未加硫ゴムを150℃で30分間加硫し、加硫ゴムから試験片を作製した。試験片を引き裂くのに要する力を、JIS K6252に準じて測定した。比較例1の引裂強さを100とした指数で、各例の引裂強さを表示した。指数が大きいほど引裂強さに優れる。
実施例1・2における未加硫ゴムのムーニー粘度は、比較例1よりも低かった。すなわち、実施例1・2における未加硫ゴムの加工性は、比較例1のそれよりも優れていた。
実施例1・2における加硫ゴムの引裂強さは、比較例1における加硫ゴムのそれにくらべて優れていた。実施例1・2における加硫ゴムの発熱性は、比較例1における加硫ゴムのそれと同等であった。
いっぽう、比較例2における加硫ゴムの発熱性・引裂強さは、比較例1における加硫ゴムのそれらにくらべて劣っていた。
Claims (3)
- 天然ゴムラテックス、および前記天然ゴムラテックスの質量平均分子量よりも低い質量平均分子量を有するゴムラテックスを混合し、質量平均分子量の数平均分子量に対する比が6〜10であるスラリー混合前ゴムラテックスを得る工程と、
前記スラリー混合前ゴムラテックスおよび充てん剤スラリーを混合し、凝固処理前混合液を得る工程と、
前記凝固処理前混合液を凝固する工程とを含む、
マスターバッチの製造方法。 - 請求項1に記載のマスターバッチの製造方法で得られたマスターバッチと配合剤とを混練りする工程を含む、ゴム組成物の製造方法。
- 請求項1に記載のマスターバッチの製造方法を含む、タイヤの製造方法。
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