JP2019108242A - 結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法及び装置 - Google Patents
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Description
圧縮空気を用い、絶対圧が好適絶対圧区間に含まれる加圧ガス雰囲気下で、1200℃未満の本焼成温度で、結晶粒の平均粒径が用途に応じた目的とする結晶粒径に到達するまで焼成する本焼成工程を含み、前記本焼成工程を大気雰囲気下で行う場合に比べて、前記本焼成工程に要する時間が4分の1以下であることを特徴とする結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法である。
圧縮空気を用い、絶対圧が0.6MPa以下のそれほど絶対圧が高くない加圧ガス雰囲気下で、1200℃未満の本焼成温度で焼成する場合、結晶粒の均質な粒成長に最適な絶対圧が存在し、それより絶対圧が大きくなると却って粒成長が妨げられる場合があることは従来、知られていなかった。本発明は、最適な絶対圧に近い、好適絶対圧区間に含まれる絶対圧の加圧ガス雰囲気下で焼成を行うことにより、従来に比べて、本焼成工程に要する時間を大幅に短縮するものである。
ここで、好適絶対圧区間とは、本焼成工程を同じ温度条件で大気雰囲気下で行う場合に比べて、本焼成工程に要する時間が4分の1以下であるような、0.6MPa以下の絶対圧の任意の区間である。本発明者の発見は、拡散機構は結晶構造(空間群)に依存するものであるが、好適絶対圧区間を設定することができる結晶質酸化物セラミックスが多く存在する可能性がある、という点にある。好適絶対圧区間は、必ずしも上記の最適な絶対圧を含まなくてもよいが、含んでいることが望ましい。
仮焼成工程は、そのままでは脆い成形体を扱いやすくするためと、本焼成工程に先立っ
て、成形体に含まれている不要な元素を、水分や二酸化炭素などの気体の形で飛ばすために実施される。仮焼成の温度は、例えば500〜850℃に選ぶことができる。
前記組成式で表されるLNTセラミックスは、超構造と呼ばれる、Ti原子の拡散により形成される周期構造を有する。焼成によって超構造が形成されるか否か、又、形成された超構造の周期間隔が一定であるか否かは、結晶粒の平均粒径とともに、均質な結晶粒の成長が実現できているかを判定する良い指標となる材料である。
従来、一定の周期間隔を有する超構造を形成するためには例えば、大気雰囲気下において、1120℃の温度で、のべ24〜240時間という長時間の本焼成、すなわち、粉砕・混合と焼成の繰り返しを行う必要があった。本発明の本形態では、絶対圧が0.33〜
0.38MPaの加圧ガス雰囲気下、1000〜1100℃の低温で焼成することにより、従来と比べて4分の1以下の時間で本焼成工程を完了して、一定の周期間隔を有する超構造を形成することができる。
前記超構造とは、Ti原子によるインターグロース層を形成した周期構造であり、より正確には、Ti原子を多く含むインターグロース層と、Ti原子を最低限含む母相が周期的に積層したものである。そのため、Ti濃度が高くなると、インターグロース層の間隔が狭くなる。言い換えると、たくさんのTi原子が入ると、それらは母相に固溶しにくいため、余剰のTi原子がより多数のインターグロース層を形成し、超構造の一定の周期間隔が狭くなるのである。
前記シリケート系セラミックス蛍光体を製造する場合、仮焼成ののち、電気炉等を用いて、大気雰囲気下で焼成する本焼成工程を行い、その後、後処理工程を行う。従来の本焼成工程では、1000〜1100℃の低温で焼成する場合、結晶粒の平均粒径が2〜5μmに達する均質焼成のためには、遊星型ボールミルを用いて、何度も粉砕混合と焼成を繰り返す必要があり、製造には延べ24時間以上の本焼成工程の時間と手間を要していた。本発明の本形態では、絶対圧が0.33〜0.38MPaの加圧ガス雰囲気下で本焼成工程を行うことにより、従来と比べて4分の1以下の本焼成工程の時間で、1回の焼成で本焼成工程を完了して、その後、後処理工程を行い、前記シリケート系セラミックス蛍光体を製造することができる。
本発明の本形態の装置は、気密に保つことができる焼成炉と加圧ガス導入手段とガス排出手段を有するから、焼成炉内の絶対圧を好適絶対圧区間の範囲内に保つことが可能であり、又、加熱手段を有するから、少なくとも1200℃以下の温度で前記混合粉末又はその成形体を加圧ガス雰囲気下で焼成することができる。したがって、当該装置を用いて、上記の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法を実施することができる。
従来、大気雰囲気下で長時間を要して実施されていた本焼成工程を、加圧ガス雰囲気炉を使用し、最適な絶対圧の加圧ガス雰囲気下で1200℃未満の温度、例えば1000〜1100℃の低温で実施することにより、短い本焼成工程の時間で、均質焼成及び結晶粒の成長を実現することができた。又、従来の大気雰囲気下での本焼成工程では、通常、粉砕・混合と焼成を何度も繰り返して焼結反応を促進する必要があった材料についても、本発明の焼成方法による本焼成工程では、粉砕・混合と焼成の繰り返しは不要で、本焼成は1回で済み、しかも焼結助剤を必要としない。
次の表1に、従来の本焼成工程と本発明の一形態の本焼成工程の相違点を示す。
代表的な結晶質酸化物セラミックスであるLNTセラミックスは、組成式Li1+x-yNb1-x-3yTix+4yO3(ただし0.07≦x≦0.33かつ0≦y≦0.175)で表され、超構造を形成し得る。この超構造は、Ti元素の拡散により形成される周期構造であ
る。従来、大気雰囲気下において電気炉で焼成する場合には、この超構造を形成するためには1120℃の本焼成温度で24〜240時間という長い焼成時間が必要であった(H.Nakano et al. Journal of Alloys and Compounds 618(2015)504〜507ページ参照)。
今回、加圧ガス雰囲気炉を使用することにより、圧縮空気を使用し、絶対圧が0.35MPa(酸素分圧0.7atm) の時に、1100℃の本焼成温度で30分〜1時間という短い時間で結晶粒が粒成長し、均質な周期構造を形成することが明らかになったので、以下データを示す。
Ti濃度が20mol%である組成のLNTセラミックス(x=0.160、y=0.020)を焼成製造する場合において、圧縮空気の圧力を変え、最も粒成長をする圧力を検討した。図(2A)〜図(2D)に、絶対圧を0.30MPaから0.45MPaまで変化させた場合の焼成体(試料番号#1〜#4)における、粒成長度合いを撮影した走査型電子顕微鏡(SEM)写真図を示す。結晶粒11と気孔12が確認できる。図2より、絶対圧が0.35MPa(試料番号#2)で最も粒成長をすること、及び粒成長が均質であることが分かる。絶対圧が0.30MPaや0.45MPaでは、粒成長の度合いが0.35MPaの場合ほどは進まず、粒成長の均質性も良くない。なお、本焼成の条件は次の表3に示す。
すなわち、4.5nmの一定の周期間隔21を有する超構造が形成されている。
絶対圧を0.35MPaに、本焼成工程の時間を1時間に固定し、本焼成温度が1000℃と1100℃の場合について、LNTセラミックス(x=0.125〜0.176、y=0〜0.063)の組成をTi濃度が15〜30mol%の範囲で変化させ、均質な超構造の形成について検討した。
その結果を表4及び図5〜図10に示す。
又、1100℃の本焼成温度では、すべての組成で均質な超構造の形成が確認できた。
l%の組成のLNTセラミックス(試料番号#10)のTEMによる回折像図である。図(8B)は同じく、均質な超構造の形成を示すTEM写真図である。周期間隔21は3.0nmで一定であり、超構造が均質に形成されていることがわかる。
LNTセラミックスの結晶粒は、超構造を形成しない場合には等方的であるが、超構造を形成すると板状の異方性をもつ結晶粒となる。この板状の狭い方向がc軸に相当し、c軸の長さが急激に小さくなると、異方性が現れたことを示している。
Ti濃度が15mol%のケースを考えると、本焼成温度が1000℃の場合と比べて1100℃の場合には、a軸の長さは割合にして約0.01%短くなりc軸の長さは割合にして約0.73%短くなる。つまり、c軸の長さが急激に短くなっている。これは、1000℃では超構造は形成されるものの、その均質性が悪いのに対し、1100℃では均質な超構造が形成され、異方性が現れたからであると考えられる。
Ti濃度が15mol%より大きなケースでも、本焼成温度が1000℃の場合に比べて1100℃の場合にc軸の長さが短くなる異方性が見られるが、異方性の程度はTi濃度が15mol%の場合より小さい。これは、Ti濃度が15mol%より大きなケースでは、本焼成温度が1000℃の場合にも、均質な超構造が形成が概ね完了しているからであると考えられる。
次の表5に示す2つのセラミックス蛍光体は、いずれも結晶質酸化物セラミックスであり、従来、固相反応では製造が困難であった。反応を進めるためには、粉砕・混合を繰り返して何度も新生面をだし、反応を促進する必要があった。大気雰囲気下、固相法で均質焼成のためには、遊星型ボールミルを用いて、何度も粉砕・混合と焼成を繰り返す必要があったものである。今回、加圧ガス雰囲気炉を使用し、最適な絶対圧を有する加圧ガス雰囲気を用いることにより、焼結助剤を用いずに低温での短時間の本焼成工程により均質相の形成に成功した。
組成式(Ca2-x/2-yEuy□x/2)(Si1-xPx)O4(ただし0≦x≦0.20かつ0.02≦y≦0.5)で表されるシリケート系セラミックス蛍光体は、固相法では、原料となる混合粉末を成形し、成形体を仮焼成したのち、本焼成工程を行い、その後、後処理工程を行って製造される。大気雰囲気下で本焼成工程を行う場合には、結晶粒の平均粒径が2〜5μmに達する均質焼成のためには、遊星型ボールミルを用いた粉砕・混合により、1000℃で、何度も粉砕・混合と焼成を繰り返す必要がある(非特許文献1)。しかし、本発明の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法に係る、絶対圧が0.35MPaの加圧ガス雰囲気下で、本焼成工程の時間を6時間として焼成製造することにより、これまで大気雰囲気下、電気炉で粉砕混合と焼成を繰り返し、本焼成工程の時間がのべ24時間となる焼成を行ったものと同等の、結晶粒の均質性と平均粒径を得ることができた。
試料番号#115と試料番号#15のXRDパターンに見られるピークの角度位置とピークの相対強度はほぼ一致しており、本発明の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法で本焼成工程を行ったもの(試料番号#15)と、大気雰囲気下で長時間、本焼成工程を行ったもの(試料番号#115)が、結晶粒の結晶構造の規則性においてほぼ同等であることがわかる。
本発明者は、バリウム系セラミックス蛍光体について、組成と結晶構造を制御することにより新しい母材での焼成製造(合成)に取り組んでいる。
本発明者が2016年に見出した新規蛍光体である、組成式(Ba1-xEux)0.79(A
l1-yZny)10.9O17.14-δ(ただし0.01≦x≦0.2かつ0≦y≦0.1)で表される青色バリウム系セラミックス蛍光体は、固相法では、原料となる混合粉末を成形し、成形体を仮焼成したのち、本焼成工程を行い、その後、後処理工程を行って製造される。大気雰囲気下で本焼成工程を行う場合には、結晶粒の平均粒径が2〜5μmに達する均質焼成のためには、遊星型ボールミルを用いた粉砕・混合により、1200℃で、何度も粉砕・混合と焼成を繰り返す必要がある(非特許文献2)。しかし、本発明の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法に係る、絶対圧が0.35MPaの加圧ガス雰囲気下で、本焼成工程の時間を2時間として焼成製造することにより、これまで大気雰囲気下、電気炉で粉砕混合と焼成を繰り返し、本焼成工程の時間がのべ50時間となる焼成を行ったものと同等の、結晶粒の均質性を得ることができた。
試料番号#116と試料番号#16のXRDパターンに見られるピークの角度位置とピークの相対強度はほぼ一致しており、本発明の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法で本焼成工程を行ったもの(試料番号#16)と、大気雰囲気下で長時間、本焼成工程を行ったもの(試料番号#116)が、結晶粒の結晶構造の規則性においてほぼ同等であることがわかる。
図14は、本発明に係る結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法とオプションの後処理工程の、典型的な一連の工程のフロー図である。
ステップS1では、焼成製造したい結晶質酸化物セラミックスに含まれる酸素以外の元素の、酸化物、及び/又は炭酸塩、及び/又はリン酸塩の粉末であって、平均粒径が基準粉末粒径以下の粉末を混合して混合粉末を得る。基準粉末粒径は0.1〜0.3μm、例えば0.2μmに選ぶことができる。ステップS2では、前記混合粉末を成形して成形体とする。ステップS3は、得られた成形体を仮焼成する仮焼成工程である。仮焼成は通常、大気雰囲気下で、例えば500〜850℃の温度で行われる。
m以上に選ばれるが、用途によっては他の値でも構わない。ステップS5では、結晶粒の平均粒径が目的とする結晶粒径に達したか否かが判定され、YESであればステップS6に進み、NOであればステップS4に戻って、本焼成工程が継続される。なお、試料の結晶粒の平均粒径をリアルタイムで計測することは難しいから、焼成条件に応じた結晶粒の平均粒径の成長速度を予め調べておき、本焼成工程開始からの経過時間に基づいて、結晶粒の平均粒径が目的とする結晶粒径に達しているか否かを、ステップS5で判定してもよい。或いは、結晶粒の平均粒径の成長と、XRDパターン図、TEM回折像図、又はSEM写真図に現れる特徴の関係を予め調べておき、当該特徴に基づいて、結晶粒の平均粒径が目的とする結晶粒径に達しているか否かを、ステップS5で判定してもよい。
ステップS6では、結晶質酸化物セラミックスの種類や用途に基づいて、後処理工程を行うか否かが判定され、YESならばステップS7に進み、NOならばステップS8に進む。ステップS7では後処理工程が行われる。後処理工程は、例えば蛍光体用途の場合、求められる発光特性に応じたアニール処理や還元処理である。
ステップS8で全工程が終了する。
なお、本焼成工程を完了した焼成体を粉砕して紛体とし、その紛体に対して後処理工程を実施することもできる。
図15は、本発明に係る結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法を実施するための装置1の断面模式図であり、当該装置1は、気密に保つことができる焼成炉10と、焼成炉10内に配置され、混合粉末又はその成形体である被処理物3を保持する保持部2と、発熱体等の加熱手段4と、加圧ガス導入手段5と、ガス排出手段6と、圧力計7と、制御部8を有する。
焼成炉10は、炉壁15を有し、炉壁15の内面は断熱部材16で覆われている。加圧ガス導入手段5は、酸素を含む混合ガスを圧縮して加圧ガスを供給するコンプレッサ52と、コンプレッサ52と焼成炉10の内部とを気流連通するガス導入管51と、ガス導入管51の中途に設けられたガス導入弁53を含む。ガス排出手段6は、排気管61と、排気管61の中途に設けられた排気弁63と、オプションの排気処理部62を含む。排気管61の一端は焼成炉10の内部と気流連通し、排気管61の他端は排気処理部62に接続されている。排気処理部62は、排気管61を通じて送り込まれるガスを、必要ならば無害化して大気中に放出する。排気管61には、焼成炉10と排気弁63の間の部分に、圧力計7が設けられ、焼成炉10の内部のガスの圧力を計測できる。
断熱部材16で覆われた炉壁15の内面には、発熱体等の加熱手段4が設けられ、焼成炉10の内部のガスを加熱することができる。更に、ガス導入管51と排気管61の外表面の一部を断熱部材16で覆ってもよく、加えて、ガス導入管51と排気管61の外表面の一部を覆うように、加熱手段4を設けても良い。加熱手段4は、焼成炉10の内部のガスを加熱するだけでなく、赤外線やマイクロ波等の電磁波の放射を利用して被処理物3を加熱してもよい。加熱手段4は、焼成炉10の内部のガス及び被処理物を、少なくとも1000〜1100℃、又は1000℃以上1200℃未満の温度まで加熱することができ、好ましくは後処理工程のアニール処理の温度である1100〜1500℃、又は1500〜1600℃の温度まで加熱できることが望ましい。
である。制御部8は、中央演算処理装置(CPU)81、メモリやハードディスクドライブ等の記憶手段82、入力手段83、及びディスプレイ等の表示部84を有し、圧力計7、温度センサ9、加熱手段4、コンプレッサ52、ガス導入弁53、及び排気弁63と通信回線で結ばれている。
制御部8は、圧力計7から伝達される焼成炉10内のガスの圧力、温度センサ9から伝達される被処理物3若しくは焼成炉10内のガスの温度、タイマ(図示せず)から伝達される時刻から計算される経過時間、及び、予め記憶手段82に保存された焼成温度と焼成炉10内のガスの圧力、若しくは、予め記憶手段82に保存された焼成温度と焼成炉10内のガスの圧力の変動プロファイルに基づいて、加熱手段4、コンプレッサ52、導入弁53、及び排気弁63を制御して、焼成炉10内のガスの圧力と、被処理物3若しくは焼成炉10内のガスの温度を、自動で調整するプログラム制御を行う。
本発明の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法は、従来、電気炉を用いた大気雰囲気下における焼成では、製造に長時間を要していた材料について、最適な絶対圧の加圧ガス雰囲気下で焼成を行うことにより、低温の本焼成温度で、かつ従来の4分の1以下という短時間で本焼成工程を完了し、均質な結晶粒の平均粒径の成長を実現するものである。したがって、製造の手間と時間を大幅に削減でき、又、焼結助剤を必要としないからコスト面で有利であるだけでなく、製造工程に関与するパラメータの数が少なく、その分、当該パラメータの最適化が容易であるという優位性も備える。本発明の製造方法及び製造装置は、産業上の幅広い利用可能性を有する。
2 保持部
3 被処理物
4 加熱手段
5 加圧ガス導入手段
6 ガス排出手段
7 圧力計
8 制御部
9 温度センサ
11 結晶粒
12 気孔
15 炉壁
16 断熱部材
21 周期間隔
31 ニオブ酸リチウムのXRDパターン
32 XRDパターン
33 サテライトピーク
34 サテライトピーク
51 ガス導入管
52 コンプレッサ
53 ガス導入弁
61 排気管
62 排気処理部
63 排気弁
81 CPU
82 記憶手段
83 入力手段
84 表示部
Claims (10)
- 結晶質酸化物セラミックスを焼成により製造する方法であり、圧縮空気を用い、絶対圧が好適絶対圧区間に含まれる加圧ガス雰囲気下で、1200℃未満の本焼成温度で、結晶粒の平均粒径が目的とする結晶粒径に到達するまで焼成する本焼成工程を含み、前記本焼成工程を大気雰囲気下で行う場合に比べて、前記本焼成工程に要する時間が4分の1以下であることを特徴とする結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法。
- 前記本焼成工程に先立って、前記結晶質酸化物セラミックスに含まれる酸素以外の元素の、酸化物、及び/又は炭酸塩、及び/又はリン酸塩の粉末を混合した混合粉末を成形して、得られた成形体を仮焼成する仮焼成工程を含む請求項1に記載の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法。
- 前記好適絶対圧区間が0.33〜0.38MPa、前記本焼成温度が1000〜1100℃、前記目的とする結晶粒径が2〜5μmである請求項1又は2に記載の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法。
- 前記結晶質酸化物セラミックスが、組成式Li1+x-yNb1-x-3yTix+4yO3(ただし0.07≦x≦0.33かつ0≦y≦0.175)で表され、一定の周期間隔を有する超構造を形成したLNTセラミックスであり、前記混合粉末が、LiCO3、Nb2O5、TiO2の粉末を混合した混合粉末であり、前記超構造は、Ti原子の拡散により形成される周期構造である請求項2又は3に記載の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法。
- LNTセラミックスの組成をTi濃度が15〜30mol%の範囲で変化させたとき、Ti濃度が大きいほど、前記超構造の一定の周期間隔が狭くなる請求項4に記載の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法。
- 前記混合粉末がRE2O3の粉末を計0.5〜5重量%含み、前記LNTセラミックスが、REを賦活化した結晶質酸化物セラミックスであり、前記REは、希土類元素Dy、Er、Eu、Nd、Pr、Sm、Tm、Tb、Ybのうち1以上の元素である請求項4又は5に記載の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法。
- 前記結晶質酸化物セラミックスが、組成式(Ca2-x/2-yEuy□x/2)(Si1-xPx)O4(ただし0≦x≦0.20かつ0.02≦y≦0.5)で表されるシリケート系セラミックス蛍光体であり、前記混合粉末が、CaCO3、SiO2、CaHPO4・2H2O、Eu2O3の粉末を混合した混合粉末であり、前記本焼成工程より後で行われる後処理工程を含み、当該後処理工程において、大気雰囲気下でアニール処理を行い、更に、還元ガス中でEu3+イオンをEu2+イオンに還元する還元処理を行う、請求項2又は3に記載の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法。
- 前記結晶質酸化物セラミックスが、組成式(Ba1-xEux)0.79(Al1-yZny)10.9O17.14-δ(ただし0.01≦x≦0.2かつ0≦y≦0.1)で表されるバリウム系セラミックス蛍光体であり、前記混合粉末が、BaCO3、Al2O3、ZnO、Eu2O3の粉末を混合した混合粉末であり、前記本焼成工程より後で行われる後処理工程を含み、当該後処理工程において、大気雰囲気下でアニール処理を行い、更に、還元ガス中でEu3+イオンをEu2+イオンに還元する還元処理を行う、請求項2又は3に記載の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成製法を実施するための装置であり、気密に保つことができる焼成炉と、前記焼成炉内に配置され、原料となる混合粉末又はその成形体を保持する保持部と、加熱手段と、前記焼成炉内に酸素を含む
混合ガスを加圧して送り込む加圧ガス導入手段と、前記焼成炉内のガスを外部に放出するガス排出手段を少なくとも有する結晶質酸化物セラミックス短時間焼成装置。 - タイマーを備え、前記混合粉末又は前記成形体の温度、及び、前記焼成炉内のガスの圧力を、自動で調整するプログラム制御を行う制御部を備えた請求項9に記載の結晶質酸化物セラミックス短時間焼成装置。
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