以下、本実施形態について図面を参照して詳細に説明する。ここで、各実施形態に示す寸法、材料、その他、具体的な数値等は例示にすぎず、特に断る場合を除き、本実施形態を限定するものではない。また、実質的に同一の機能及び構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、本実施形態に直接関係のない要素については、図示を省略する。
また、以下の各図では、本実施形態に係るトイレ用踏み台(以下、単に「踏み台」と表記する。)をトイレの床面に設置した場合を想定し、鉛直方向に沿って、下方から上方に向かってZ方向を規定する。また、Z方向に垂直な平面内において、X方向と、X方向に垂直なY方向とを規定する。特に、X方向は、便座に人が座っている状態で、当該人が向く方向とする。以下、X方向のプラス側を前方と表現し、X方向のマイナス側を後方と表現する場合がある。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る踏み台について説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る踏み台10の全体構成を示す図である。ここで、図1は、踏み台10を上方側から見た斜視図である。図2は、踏み台10を下方側から見た斜視図である。また、図3は、踏み台10の平面図である。踏み台10は、例えば、人が便座に座った状態で排便する方式のトイレ、いわゆる洋式トイレの前面に設置される。洋式トイレの場合、要介護者や身長が低い子供のような者は、床面に対して足を踏ん張ることが容易ではないため、排便に労する。このような場合、例えば要介護者が便座に座った状態で踏み台10に両足を載せておけば、排便時に踏み台10に対して両足を踏ん張ることができる。
踏み台10は、第1足置き部20と、第2足置き部30と、連結部40とを備える。
第1足置き部20及び第2足置き部30は、それぞれ、便座に座っている人が足を置く足置き部である。第1足置き部20は、一方の足、例えば左足を置くことができる。第2足置き部30は、他方の足、例えば右足を置くことができる。第1足置き部20及び第2足置き部30の形状は、それぞれ、上壁と、四方の側壁とを含む箱形である。また、第1足置き部20及び第2足置き部30を構成する材料は、それぞれ、例えば樹脂である。
第1足置き部20は、上壁の表面として、図3に示すように、左足LFを載置可能とする第1足置き面21を有する。第1足置き面21の形状は、左足LFの裏面全体と接触可能な形状とすることが望ましい。例えば、第1足置き面21のX方向の長さL1及び幅W1は、一般的な成人の足の大きさを包含する寸法に規定される。また、第1足置き面21の形状は、第1足置き部20の全体形状がコンパクトになるように、後方の幅W2は、左足LFの形状に合わせて、前方の幅W1よりも狭くすることが望ましい。
なお、第1足置き面21には、滑り止めが施されていてもよい。滑り止めとしては、例えば、第1足置き面21に溝加工が施されていてもよい。又は、第1足置き面21に、滑り止め作用を有するシート等が貼り付けられていてもよい。
また、第1足置き部20において、第1足置き面21に対してZ方向で対向する下面側は、開放面である。
また、第1足置き部20は、四方の側壁として、第1側壁22、第2側壁23、第3側壁24及び第4側壁25を有する。第1側壁22は、X方向プラス側にある側壁である。第3側壁24は、X方向マイナス側にある側壁である。また、第2側壁23は、Y方向マイナス側にある側壁である。第4側壁25は、Y方向プラス側にある側壁である。
第1側壁22、第2側壁23、第3側壁24及び第4側壁25は、それぞれ、互いに隣り合う側壁と、辺が現れないように曲面同士で連接する。また、第1側壁22、第2側壁23、第3側壁24及び第4側壁25のZ方向プラス側の各周端部は、それぞれ、第1足置き面21の周端部に連接する。一方、第1側壁22、第2側壁23、第3側壁24及び第4側壁25のZ方向マイナス側の各周端部は、それぞれ、トイレが設置されている床面に接触する底端部26となる。底端部26の形状は、第1足置き面21に左足LFが置かれたときに、第1足置き部20の安定性が確保される形状とすることが望ましい。例えば、底端部26のX方向の長さL2は、第1足置き面21の長さL1よりも長い。また、底端部26の前方の幅W3は、第1足置き面21の前方の幅W1よりも長い。同様に、底端部26の後方の幅W4は、第1足置き面21の後方の幅W2よりも長い。
なお、底端部26は、床面と接触する部分に、ゴム等の材質で形成された滑り止め部材を設置してもよい。また、底端部26は、第1足置き部20の軽量化や、通気性を良好とするなど観点から、第1切り欠き部27や第2切り欠き部28などを有してもよい。ここで、踏み台10を全体として見たときに内側に位置する方の第2切り欠き部28は、第4側壁25だけでなく、X方向プラス側の第1側壁22にまで及ぶように形成されていてもよい。この場合、後述するが、第2切り欠き部28と対称位置にある、第2足置き部30の第4切り欠き部38の形状も同様とする。これにより、例えば、男性が立って小用を足すときに、第2切り欠き部28及び第4切り欠き部38の空間に両足先を差し込むことができるので、踏み台10を常時設置したままとすることができる点で有利となる。
また、第1足置き部20は、上記のような形状を有するため、図2に示すように、第1足置き部20の内側には、第1内部空間S1が形成される。なお、第1足置き部20の強度を向上させるために、第1内部空間S1に面する第1足置き面21の裏面には、第1補強部29が設けられていてもよい。
一方、第2足置き部30の構成は、第1足置き部20と同一である。ただし、第2足置き部30の形状は、以下で詳説する連結部40を基準として、第1足置き部20の形状と対称となる。以下、第2足置き部30の形状を略説する。
第2足置き部30は、上壁の表面として、図3に示すように、右足RFを載置可能とする第2足置き面31を有する。第2足置き面31の形状は、第1足置き面21の形状と同一でよい。また、第2足置き部30において、第2足置き面31に対してZ方向で対向する下面側は、開放面である。また、第2足置き部30は、四方の側壁として、第5側壁32、第6側壁33、第7側壁34及び第8側壁35を有する。第5側壁32は、X方向プラス側にある側壁である。第7側壁34は、X方向マイナス側にある側壁である。また、第6側壁33は、Y方向プラス側にある側壁である。第8側壁35は、Y方向マイナス側にある側壁である。したがって、第1足置き部20の構成と比較すると、第5側壁32の形状は、第1側壁22の対称形である。第6側壁33の形状は、第2側壁23の対称形である。第7側壁34の形状は、第3側壁24の対称形である。また、第8側壁35の形状は、第4側壁25の対称形である。特に、第5側壁32、第6側壁33、第7側壁34及び第8側壁35のZ方向マイナス側の各周端部は、それぞれ、トイレが設置されている床面に接触する底端部36となる。底端部36も、第1切り欠き部27の対称形である第3切り欠き部37や、第2切り欠き部28の対称形である第4切り欠き部38などを有してもよい。また、図2に示すように、第2足置き部30の内側には、第2内部空間S2が形成される。なお、第2内部空間S2に面する第2足置き面31の裏面には、第2補強部39が設けられていてもよい。
また、第1足置き部20及び第2足置き部30では、足の指先側が接する前方領域の高さと、足のかかと側が接する後方領域の高さとが、互いに異なる。
図4は、踏み台10の側面図である。なお、図4では、踏み台10をY方向プラス側から見た、すなわち、右足RFが置かれる第2足置き部30を見た状態が表されている。ただし、左足LFが置かれる第1足置き部20も同様の状態にある。
第2足置き部30を参照すると、第2足置き面31は、便座100に近い後方側すなわちX方向マイナス側から、前方側すなわちX方向プラス側に向かって低くなるように、傾斜している。図4では、水平面に対する第2足置き部30の傾斜角をθで表している。この場合、右足RFの指先RF1側が接する第2足置き面31の前方領域の高さは、右足RFのかかとRF2側が接する第2足置き面31の後方領域の高さよりも低い。例えば、床面110から第2足置き面31の前方領域に含まれる先端部までの高さをH1とする。一方、床面110から第2足置き面31の後方領域に含まれる後端部までの高さをH2とする。第2足置き面31の最端部同士で比較すると、高さH1は、高さH2よりも低い。なお、高さH1及びH2は、踏み台10を実際に用いる人の想定により、適宜設定される。例えば、高さH1及びH2は、踏み台10を用いる人が成人であれば、全体的に低く設定され、踏み台10を用いる人が子供であれば、全体的に高く設定し得る。
連結部40は、第1足置き部20と第2足置き部30とを連結する。連結部40の形状は、例えば、Y方向に沿って延伸する直線状又は曲線状の箱形である。また、連結部40を構成する材料は、第1足置き部20等と同様に、例えば樹脂である。
連結部40は、第2上壁41と、第9側壁42と、第10側壁43と、第1端部44と、第2端部45とを含む。連結部40において、第2上壁41に対してZ方向で対向する下面側は、開放面である。第9側壁42及び第10側壁43は、それぞれ、延伸方向に沿う側壁である。このうち、第9側壁42は、X方向プラス側にある側壁である。第10側壁43は、X方向マイナス側にある側壁である。第1端部44及び第2端部45は、延伸方向の両端に位置する端部である。このうち、第1端部44は、第1足置き部20の第4側壁25に接続される。一方、第2端部45は、第2足置き部30の第8側壁35に接続される。なお、図3では、連結部40の長さとして、第1端部44と第2端部45との間の最長幅をWc1と表している。
第1端部44及び第2端部45は、それぞれ、第4側壁25又は第8側壁35における前方側、すなわち、X方向プラス側の領域に接続されることが望ましい。第1足置き部20と第2足置き部30とが連結部40を介して接続されると、おおよそ連結部40の最長幅Wc1を間隔とした、第1足置き部20と第2足置き部30とに挟まれる空間Sが生じる。したがって、踏み台10において上記のように連結部40を配置すれば、図3に示すように、空間S内にトイレの便座100の一部を配置することができる。これにより、便座に座っている人は、床面上で便座100の位置に対して適切な位置に踏み台10を移動させることで、左足LFを第1足置き面21に、かつ、右足RFを第2足置き面31に、容易に置くことができる。
また、連結部40の強度を向上させるために、図2に示すように、連結部40の内側に形成される第3内部空間S3に面する第2上壁41の裏面には、第3補強部46が設けられていてもよい。
さらに、第1足置き部20、第2足置き部30及び連結部40は、互いに別体であってもよい。
図5は、踏み台10として組み立てられる前の各構成要素の形状を示す斜視図である。図5(a)は、一例として、各構成要素が別体である場合の第2足置き部30の形状を示す図である。図5(b)は、各構成要素が別体である場合の連結部40の形状を示す図である。
連結部40は、第1端部44に、第1足置き部20の第4側壁25に予め形成されている不図示の第1接続溝と係合する第1接続部44aを有する。同様に、連結部40は、第2端部45に、第2足置き部30の第8側壁35に予め形成されている第2接続溝35aと係合する第2接続部45aを有する。ここで、第1接続部44a及び第2接続部45aは、第1足置き部20側の第1接続溝、又は、第2足置き部30側の第2接続溝35aと取り外し可能であることが望ましい。
図6は、トイレ120において、要介護者等の人HUが踏み台10を用いて排便を行う際の身体的作用を説明する側面図である。図6(a)は、比較例として、本実施形態に係る踏み台10とは異なる踏み台200を用いて排便が行われる場合を説明する図である。図6(b)は、本実施形態に係る踏み台10を用いて排便が行われる場合を説明する図である。なお、図6では、人HUにおいて直腸及び肛門の近傍を断面で示している。断面領域には、直腸RE、肛門AN、恥骨PU、恥骨直腸筋PM、仙骨SA及び尾骨COが図示されている。
まず、図6(a)を参照して、比較例としての排便時の身体的作用を説明する。踏み台200は、床面110から足置き面210までの高さH0を有する箱体である。踏み台200は、足置き面210が水平面となった状態で床面110に設置されている。ここで、踏み台200は、排便時に、人HUの両足を足置き面210に対して踏ん張らせることができる。しかし、このような踏み台200を用いると、人HUが両足を足置き面210に置きながら便座100に座っているときには、仙骨SAがおおよそ垂直方向に伸び、人HUの上半身は、おおよそ真っ直ぐな姿勢となる。そのため、肛門ANは、直腸REから背後側へ曲がったところに位置しやすくなり、排便時に緩くなりづらい。
次に、図6(b)を参照して、本実施形態による排便時の身体的作用を説明する。踏み台10を床面110に設置している状態では、足置き面(第1足置き面21及び第2足置き面31)は、上記のとおり、便座100に近い後方側から前方側に向かって低くなるように傾斜している。したがって、人HUが両足を足置き面に置きながら便座100に座っているときには、仙骨SAが前方に曲がり、人HUの上半身は、前傾姿勢となる。そのため、肛門ANは、直腸REからおおよそ鉛直方向につながるところに位置しやすくなり、排便時に緩みやすくなる。
以上のように、本実施形態に係るトイレ用の踏み台10は、便座100に座っている人HUが足(左足LF、右足RF)を置く足置き部を有する。足置き部では、足の指先側が接する前方領域の高さと、足のかかと側が接する後方領域の高さとが、互いに異なる。
ここで、足置き部は、例えば、上記説明した第1足置き部20及び第2足置き部30に相当する。ただし、ここでは、第1足置き部20と第2足置き部30とが一体であるか又は別体であるかを問わない。
本実施形態に係る踏み台10によれば、便座100に座っている要介護者等が床面110に対して足を踏ん張ることが容易ではない場合でも、踏み台10の足置き部に対して足を踏ん張ることができる。したがって、排便の労を低減させることができる。
また、本実施形態に係る踏み台10によれば、足の指先側が接する前方領域の高さと、足のかかと側が接する後方領域の高さとを互いに異ならせているので、便座100に座りながら足置き部に対して足を踏ん張っている要介護者等の上半身が前傾姿勢となる。したがって、このときの身体的作用により、排便時には肛門ANが緩みやすくなるので、排便のしやすさをより向上させることができる。
また、本実施形態に係る踏み台10は、一方の足を置く足置き部としての第1足置き部20と、他方の足を置く足置き部としての第2足置き部30と、第1足置き部20と第2足置き部30とを連結する連結部40とを有する。第1足置き部20、第2足置き部30及び連結部40は、互いに別体である。
ここで、踏み台10全体の概略寸法は、図3及び図4を参照すると、L2×W×H2である。そのため、例えば、販売店から実際に使用されるトイレ120まで踏み台10を搬送する際には、第1足置き部20、第2足置き部30及び連結部40が互いに一体である場合、使用時の上記寸法が維持される。これに対して、本実施形態に係る踏み台10によれば、第1足置き部20、第2足置き部30及び連結部40が互いに別体であるので、トイレ120に設置される前に組立可能である。したがって、例えば、トイレ120までの搬送時には、踏み台10を第1足置き部20、第2足置き部30及び連結部40に分解した状態とすることができるので、搬送の容易性の点で有利となる。
また、本実施形態に係る踏み台10では、連結部40は、第1足置き部20に対して取り外し可能に接続される第1接続部44aと、第2足置き部30に対して取り外し可能に接続される第2接続部45aとを有する。
本実施形態に係る踏み台10によれば、一旦、第1足置き部20、第2足置き部30及び連結部40を組み合わせて踏み台10を組み立てた後も、再度、それぞれの構成要素に分解することができる。したがって、例えば、踏み台10を使用しないときには、それぞれの構成要素を別体として、コンパクトに保管することができる。
また、本実施形態に係る踏み台10では、第1足置き部20及び第2足置き部30は、それぞれ、内部空間(第1内部空間S1又は第1内部空間S2)を有する。第1足置き部20の少なくとも一部は、第2足置き部30の第2内部空間S2に収容可能な形状を有する。連結部40は、第1足置き部20の第1内部空間S1に収容可能な形状を有する。
図7は、踏み台10の収納状態の一例を示す側面図である。第1足置き部20及び第2足置き部30の形状を、上記例示したような、それぞれ内部空間を有する形状とすると、第1足置き部20の少なくとも一部を、第2足置き部30の第2内部空間S2に収容することができる。ここで、第1足置き部20の第1内部空間S1には、長さLSが確保されている。これに対して、連結部40の第1端部44と第2端部45との間の最長幅をWc1に、第1接続部44a及び第2接続部45aの長さを加えた、連結部40全体の長さをWcとする。この場合、例えば、連結部40全体の長さWcを第1内部空間S1の長さLSよりも短く設定しておくことで、連結部40を第1足置き部20の第1内部空間S1に収容することができる。したがって、本実施形態に係る踏み台10によれば、踏み台10は、図7に示すような、全体としてコンパクトな収納状態となり得る。そのため、踏み台10の持ち運びの容易性や、販売店での陳列場所の確保又は不使用時の収納場所の確保などの点で有利となる。
なお、上記説明では、左足LFを置く方を第1足置き部20とし、右足RFを置く方を第2足置き部30としたが、互いに逆であってもよい。すなわち、収納の際には、第2足置き部30の少なくとも一部を第1足置き部20の第1内部空間S1に収容し、かつ、第2内部空間S2に連結部40を収容するものとしてもよい。
また、上記例示したように、第1内部空間S1に第1補強部29が、又は、第2内部空間S2に第2補強部39が、それぞれ設ける場合もある。この場合、第1補強部29の高さh1及び第2補強部39の高さh2は、それぞれ、一方の足置き部の少なくとも一部が他方の足置き部の内部空間に収容可能となる寸法に規定されることが望ましい。
(第2実施形態)
第1実施形態では、足の指先側が接する前方領域の高さと足のかかと側が接する後方領域の高さとが互いに異なる場合として、第1足置き面21及び第2足置き面31が、便座100に近い後方側から前方側に向かって低くなるように傾斜している場合を例示した。しかし、踏み台を使用する人の体型によっては、足置き面が、前方側から便座100に近い後方側に向かって低くなるように傾斜している方が、排便時に上半身が前傾姿勢になりやすい場合もあり得る。また、踏み台を使用する人の体型によっては、足置き面が、便座100に近い後方側から前方側に向かって低くなるように傾斜していたとしても、その人に最も適合した傾斜角に設定可能であればよりよい。そこで、本実施形態では、踏み台に含まれる足置き部において、足置き面の傾斜角を可変とする。
図8は、本実施形態に係る踏み台に含まれる第2足置き部50の構成を例示する側面図である。なお、第2足置き部50は、便座100に座っている人の右足RFが置かれる足置き部である。なお、不図示であるが、便座100に座っている人の左足LFが置かれる第1足置き部の構成は、第2足置き部50と同様である。
第2足置き部50は、可動部51と、固定部52とを備える。可動部51は、右足RFを載置可能とする第2足置き面53を有する。第2足置き面53の形状は、第1実施形態における第2足置き面31と同様である。可動部51は、第1実施形態における第2足置き部30の上方の一部分を独立させたものに相当する。固定部52は、床面110に設置される土台部分である。固定部52は、第1実施形態における第2足置き部30の下方の一部分を独立させたものに相当する。
固定部52は、支持部54を介して可動部51と連接される。支持部54は、第2足置き面53上の前方領域と後方領域との床面110からの高さの差が可変となる位置で可動部51を支持する。支持部54は、例えばY方向に延伸する回転軸を基準として、固定部52に対して可動部51を回転可能とする。支持部54は、例えば、固定部52のX方向の中心部に設けられる。この場合、第2足置き面53の変化範囲は、第1に、便座100に近い後方側から前方側に向かって低くなる傾斜として、水平面から傾斜角θの範囲となる。さらに、第2足置き面53の変化範囲は、第2に、前方側から便座100に近い後方側に向かって低くなる傾斜として、水平面から傾斜角θの範囲となる。
本実施形態に係る踏み台によれば、便座100に座っている人が排便しやすい姿勢で足を踏ん張ることができるように、可動部51を可動させ、第2足置き面53の変化範囲内で傾斜角を調整することができる。
また、支持部54は、第2足置き面53の変化範囲内で、予め規定された角度で段階的に可動部51を回転変位させる変位角規定機構を有するものとしてもよい。これにより、便座100に座っている人は、排便しやすい姿勢で足を踏ん張ることができる第2足置き面53の位置を認識しやすくなる。
また、不図示であるが、第2足置き部50は、便座100に座っている人が排便しやすい姿勢で足を踏ん張ることができる第2足置き面53の傾斜角又は位置で可動部51を固定する固定機構を有してもよい。これにより、便座100に座っている人が足を踏ん張ったときに可動部51が動いて第2足置き面53の傾斜角や位置が変わってしまうことを予め回避することができる。
また、第2足置き面53の変化範囲を超えた変位を回避するために、例えば、固定部52の内側に、第2足置き面53の最大変位位置にて可動部51に当接するストッパー52aを有するものとしてもよい。
なお、不図示であるが、本実施形態においても、第1足置き部と第2足置き部50とは連結部により接続されている。そこで、可動部51は、固定部52と接続されている連結部の位置を避けるように、切り欠き部51aを有するものとしてもよい。
(第3実施形態)
第1実施形態では、第1足置き面21及び第2足置き面31の床面110からの高さが固定されている場合を例示した。しかし、踏み台を使用する人の体型によっては、その高さが高すぎる場合や低すぎる場合もあり得る。そこで、本実施形態に係る踏み台は、さらに、足置き部に接続され、前方領域又は後方領域の床面からの高さを調整する調整台を備える。
図9は、本実施形態に係る踏み台の構成を例示する側面図である。なお、図9では、便座100に座っている人の右足RFが置かれる足置き部側の構成を例示する。不図示であるが、便座100に座っている人の左足LFが置かれる足置き部側の構成も同様である。
まず、右足RFが置かれる第2足置き部30自体は、第1実施形態におけるものとおおむね同様である。これに対して、本実施形態に係る踏み台は、第2足置き部30の第2内部空間S2に対して、一部が挿入し、ある位置で固定される調整台60を有する。すなわち、調整台60の形状は、第2足置き部30の内壁に合う側面を有する台形である。ここで、調整台60の上面61までの床面110からの高さをH3とする。また、調整台60の一部が第2内部空間S2に挿入されているとき、調整台60は、第2足置き部30の底端部36から外側に高さH4分だけ露出する。なお、第2足置き部30は、調整台60が底端部36から高さH4分だけ露出するときに、調整台60の上面61と当接するストッパー39aを第2内部空間S2側に設けてもよい。
本実施形態に係る踏み台によれば、結果として、床面110から第2足置き面31までの高さがH4分だけ高くすることができる。したがって、特に、便座100に座っている人が、足を踏ん張るには第2足置き部30の高さだけでは足りない場合に、調整台60を第2足置き部30に接続することで、床面110からの第2足置き面31の高さを調整することができる。一方、例えば、第2足置き部30の高さH1及びH2を予め低めに設定しておいてもよい。この場合、足を踏ん張るには第2足置き部30の高さが高いときに、通常接続されている調整台60を外して使用することで、床面110からの第2足置き面31の高さを低くすることが可能となる。
なお、不図示であるが、調整台60を、例えばリニアガイドを用いて第2足置き部30に対して移動可能に支持させることで、第2足置き部30と一体的な高さ調整機構とすることもあり得る。
(第4実施形態)
第1実施形態では、連結部40の長さ、具体的には第1端部44と第2端部45との間の最長幅Wc1が固定されている場合を例示した。しかし、踏み台を使用する人の体型によっては、連結部の長さが当初接続されているものよりも長すぎる場合や短すぎる場合もあり得る。そこで、本実施形態では、連結部の長さ、すなわち、第1接続部44aと第2接続部45aとの間の長さを可変とする。
図10は、本実施形態に係る踏み台に含まれる連結部の形状又は構成を例示する斜視図である。
図10(a)は、第1実施形態における連結部40と同様の形状を有するが、第1端部44と第2端部45との間の最長幅Wc2が、連結部40の最長幅Wc1よりも短い連結部70を示す図である。このように、それぞれ長さの異なる連結部を予め複数準備しておくことで、便座100に座っている人の体型に合わせて、連結部を適宜変更してもよい。
図10(b)は、全体寸法も含め、第1実施形態における連結部40と同様の形状を有するが、第1接続部44aと第2接続部45aとを結ぶ方向に沿って並ぶ複数の部材に分割可能な連結部80を示す図である。なお、図10(b)に示す例では、連結部80は、第1接続部44aを有する第1部材81と、第2接続部45aを有する第2部材82と、第1部材81と第2部材82との間に取り外し可能に接続される中間部材としての第3部材83とを含む。すなわち、連結部80は、3つに分割可能である。なお、第1部材81又は第2部材82と、第3部材83とを接続する構成は、特に限定するものではなく、例えば、それぞれの端部に、第2接続部45a又は第2接続溝35aのような接続機構を有するものであってもよい。連結部80によれば、そのままの構成で、連結部40と同様に踏み台に適用され得る。
図10(c)は、図10(b)に示す連結部80から第3部材83を取り除き、第1部材81と第2部材82とを接続した連結部90を示す図である。例えば、第1部材81及び第2部材82の長さを、図10(a)に示す連結部70の最長幅Wc2の2分の1であるWc11とする。一方、第3部材83の長さを、Wc12とする。この場合、連結部80から第3部材83を取り除けば、連結部90の最長幅は、連結部70の最長幅Wc2と同一となり、結果として、連結部90の全体形状は、連結部70の形状と同一となる。したがって、便座100に座っている人にとって、第1足置き部20と第2足置き部30との間隔が開きすぎている場合には、連結部80の構成から、連結部90の構成に変化させることで、第1足置き部20と第2足置き部30との間隔を調整することができる。
なお、図10(b)に示す例では、中間部材として第3部材83だけを有する連結部80を例示したが、中間部材は複数あってもよい。この場合、連結部90のように長さの短い連結部の構成に変化させるときには、複数の中間部材のうちの少なくとも1つを取り除けばよい。また、不図示であるが、第1部材81、第2部材82及び第3部材83を、例えばリニアガイドを用いて連結させることで、ある1つの部材に対して他の部材を変位させることで、連結部全体の長さを変更する構成としてもよい。
なお、上記の各実施形態では、第1足置き面21及び第2足置き面31が平面である場合を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、第1足置き面21及び第2足置き面31は、微小な複数の段差で構成される階段状の面であってもよい。又は、第1足置き面21及び第2足置き面31は、一部が曲面で構成される面であってもよい。
以上、好ましい実施形態について説明したが、実施形態は、これらに限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。