JP4563111B2

JP4563111B2 - 椅子用バックレスト

Info

Publication number: JP4563111B2
Application number: JP2004242765A
Authority: JP
Inventors: 公治佐野
Original assignee: 公治佐野
Priority date: 2004-08-23
Filing date: 2004-08-23
Publication date: 2010-10-13
Anticipated expiration: 2024-08-23
Also published as: JP2006055525A

Description

本発明は、車椅子や通常の椅子、自動車の座席などの背もたれの前方に置かれ、着座者をその背中と両脇側から安定に支持する椅子用バックレストに関する。

椅子、特に車椅子などの背もたれは、通常、座板の後部から上方に略垂直乃至は多少後傾させて設けられているため、車椅子に座ったとき、着座者によっては、腰椎部が背もたれの下端側に落ち込み、姿勢が前方に崩れてしまい腰痛になってしまうことがある。また、車椅子に深く腰掛けると、背骨が真っ直ぐに伸び過ぎて長時間座っていると疲れてしまうことがある。

更に、車椅子は、通常着座者の両脇を支持するようにはなっていないため、着座姿勢がその人の身体特性によって自ずから左又は右に傾いてしまう着座者や、背筋力の低下などによって左右にバランスを崩し易い着座者は、上体が左右のいずれかに傾いた状態で片側の肘掛けに腕を乗せて傾いた状態を保持することを強いられてしまい、非常に疲れ易いのみならず、骨が側弯したりする二次的障害を招来するという問題があった。

そのため、特許文献１には、車椅子や通常の椅子の座板上に載置して使用される体位保持ホルダーが提案されている。この提案に係る体位保持ホルダーは、人が椅子等に腰掛けたときの背中のラインに合わせて熱可塑性エラストマー素材で成形したもので、各自の体型に合わせてヘッドレストやサイドホルダーを自由に伸縮し、また、取り外し可能としたものである。

しかしながら、特許文献１に提案されている体位保持ホルダーは、背中のラインに合わせて形成されているが、背中が円背の人が使用した場合、円背の部分がホルダー本体に当ってそこが痛くなってしまうなどの問題があった。また、サイドホルダーは、ホルダー本体の左右に点支持されているため、両脇全体を支持することができないという問題があった。

また、特許文献２には、車椅子に座っている人の体の側面を支えるサイドサポートが提案されているが、この提案にかかるサイドサポートは、車椅子の背パイプを利用しそこに着脱可能に取付ける構成のもので、背中を支持する構成もなく、背もたれに上体を押さえつけるように固定するため、使い心地が悪いという問題があった。

更に、特許文献３には、車椅子用補助クッションが提案されているが、この提案に係る補助クッションは、車椅子に取付けて使用される構成であるため、使用勝手が悪いという問題があった。
特開２０００−３３３７７１号公報特開２００３−２０４９９６号公報特開２００１−４６４３８号公報

本発明は、車椅子や通常の椅子、自動車の座席などの背もたれの前方に置かれ、着座者の背中を違和感なく安定に支持すると共に、両脇を抱え込むように安定に支持する新たな椅子用バックレストを提供することを、その課題とするものである。

上記課題を解決することを目的としてなされた本発明の構成は、着座者の背中を支持する背中支持部と該背中支持部の左右両側から前方へ延出させ、かつ、背中支持部の上下幅より小さい上下幅で上，下に関し対称な形に一体形成されて着座者の両脇を下から支える脇支持部とを備えると共に、前記背中支持部の中央部に形成した略Ｕ字状乃点穴状の欠所を設けた支持板部材に対し、当該板部材の前面側の全面にクッション性部材を一体成形して全体を平面略凹状に形成して成り、椅子の背もたれ前方に置いて使用するようにしたことを特徴とするものである。

本発明は、上記構成において、脇支持部を、背中支持部の上，下に関し一方に偏位させて形成した構成にすることができる。また、支持板部材は、背中支持部と脇支持部の境界が平面から見て略円弧状の弯曲部又は略直角に形成される場合もある。更に、クッション性部材は、発泡合成樹脂材又は熱可塑性エラストマー材などにより形成するのが好ましい。更には、クッション性部材が設けられた支持板部材は、外側を合成樹脂製又は布製若しくは皮製などの柔軟なシート材により被覆した構成にすることもできる。

本発明バックレストは、椅子や車椅子に取り付けて使用するのではなく、椅子や車椅子の背もたれの前方に置いて使用するので、使い勝手がよく、腰椎部が落ち込むことなく安定に支持することができると共に、背中が円背の着座者などでもその背中を違和感なく支持することができ、更に、両脇を抱え込むようにして安定に支持することができるので、使い心地がきわめて良いという効果が得られる。

また、本発明バックレストは、その両脇支持部の上下幅を背中支持部の上下幅より小さく形成し、かつ、背中支持部の上，下に関し一方に偏位させて形成した場合は、着座者の両脇の長さに応じて上，下を逆向きにして使用することができるので、使い勝手が良いという効果が得られる。

次に、本発明の実施の形態例を図に拠り説明する。図１は本発明バックレストの一例の正面図、図２は図１のバックレストの背面図、図３は図１のバックレストの平面図、図４は図１のバックレストの右側面図、図５は本発明バックレストの別例の背面図、図６は図１のバックレストの使用状態を示す正面図である。

図において、１は、椅子や車椅子の背もたれの前方に置かれて使用される平面略凹状をなすバックレスト、２は、このバックレスト１の芯材となる支持板部材、2aは、支持板部材２における着座者の背中を支持する背中支持部、2b，2cは、着座者の両脇を挟持する左，右の脇支持部である。３は、前記背中支持部2aの略中央に形成した大き目の穴で、この穴３に着座者の弯曲した背骨部分が逃げるため、円背の人も背骨を痛めることはない。なお、支持板部材２は、ここでは合成樹脂製の板材を加工して形成しているが、木製の合板や金属板などで形成してもよい。

４は、支持板部材２の穴３を含む前面側全域に設けられたクッション性部材で、外形が支持板部材２の輪郭よりひと回り大きめになるように形成されている。クッション性部材４は、ここでは熱可塑性の発泡ポリウレタン樹脂材を使用しているが、他の発泡合成樹脂材を使用してもよく、また、熱可塑性エラストマーなどを使用してもよい。前記以外のクッション性部材としては、中綿，空気（エア），ゲル材，バネなどを挙げることができる。このクッション性部材４は、支持板部材２の後面側にも設けてもよく、また、袋状に形成したクッション性部材の中に支持板部材２を入れるようにしてもよい。なお、図示しないが、クッション性部材４が設けられた支持板部材２全体を、外側を合成樹脂製又は布製若しくは皮製などの柔軟なシート材により被覆してもよい。

次に、着座者の両脇を挟持する左，右の脇支持部2b，2cは、図３，図４に示したように、背中支持部2aの左右から前方に向け平面から見て逆Ｕ字状乃至凹状をなすように弯曲させて一体に設けられている。ここでは、図１，図２に示したように、脇支持部2b，2cの上下幅を背中支持部2aの上下幅より小さく形成し、かつ、図の例では背中支持部2aの下方に偏位させて形成してある。このようにしたのは、着座者により脇の高さが異なることがあるからで、脇が高い位置に来る大柄の人の場合は、図１，図２に示した状態からバックレスト１を上下逆転させて使用することにより対応することができる。なお、左，右の脇支持部2b，2cの外縁形状は、背中支持部2aの上，下に関し略対称形に形成しているが、位置は偏位している。また、背中支持部材2aと左，右の脇支持部2b，2cの境界は、ここでは略円弧状の弯曲部に形成されているが、直角など角部による境界に形成してもよい。

図５は、本発明バックレストの別例の背面側を示している。この別例のバックレスト１は、背中支持板２の背中支持部2aに図１に示したバックレスト１における円形の穴３ではなく、略Ｕ状の欠所を形成したものである。なお、クッション性部材４は、上辺ライン(1)4aに沿って略Ｕ状の欠所３の全域を覆うように背中支持板２の前面側に設けてもよく、上辺ライン(2)4bに沿って略Ｕ状の欠所３の縁に沿って前面側に設けてもよい。

次に、図６により、本発明のバックレスト１を車椅子に使用する場合について説明すると、車椅子５の左，右の肘掛け5a，5bの間に、背もたれ７の前方に立掛けた状態にして座板６の上に載置し、座板６に人が腰をかけると、その着座者を左，右の脇支持部が外側から両脇を抱え込むように嵌るため、例えば、着座姿勢で体勢（背骨）を垂直に保持できない車椅子使用者を、介助人なしでも、その車椅子５に適正な姿勢で着座させ、その姿勢の維持を補完する。また、上記のような着座者が、仮に「円背」姿勢であっても前記丸穴３（前面にクッション性部材４あり）にその円背部位が逃げるので、円背姿勢の着座者がバックレスト１で背骨を傷めることもない。

本発明バックレストは、椅子や車椅子に取付けるのではなく、背のもたれの前方に置いて使用するので取扱い易く、また、現在使用されている大半の椅子や車椅子にそのまま使用することができる。更に、構造が簡単であるので、故障するなどの問題はなく、また、製造コストもあまり掛からないという利点がある。

本発明バックレストの一例の正面図。図１のバックレストの背面図。図１のバックレストの平面図。図１のバックレストの右側面図。本発明バックレストの別例の背面図。図１のバックレストの使用状態を示す正面図。

符号の説明

１バックレスト
２支持板部材
2a 背中支持部
2b，2c 左，右の脇支持部
３大き目の穴
４クッション性部材
５車椅子
６座板
７背もたれ

Claims

着座者の背中を支持する背中支持部と、該背中支持部の左右両側から前方へ延出させ、かつ、背中支持部の上下幅より小さい上下幅で上，下に関し対称な形に一体形成されて着座者の両脇を下から支える脇支持部とを備えると共に、前記背中支持部の中央部に形成した略Ｕ字状乃点穴状の欠所を設けた支持板部材に対し、当該板部材の前面側の全面にクッション性部材を一体成形して全体を平面略凹状に形成して成り、椅子の背もたれ前方に置いて使用するようにしたことを特徴とする椅子用バックレスト。
脇支持部は、背中支持部の上，下に関し一方へ偏位させて設けた請求項１の椅子用バックレスト。
支持板部材は、背中支持部と脇支持部の境界が平面から見て略円弧状の弯曲部又は略直角に形成された請求項１又は２の椅子用バックレスト。
クッション性部材は、発泡合成樹脂材又は熱可塑性エラストマー材などにより形成した請求項１〜３のいずれかの椅子用バックレスト。
クッション性部材が設けられた支持板部材は、外側を合成樹脂製又は布製若しくは皮製などの柔軟なシート材により被覆した請求項１〜４のいずれかの椅子用バックレスト。