JP2019106271A - リチウムイオン二次電池用負極 - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウムイオン二次電池の発熱を抑えるのに適した負極を提供すること。【解決手段】リチウムイオン二次電池用の負極20は集電体21と第一層24及び第二層27を有する活物質層22とを備える。第一層24は活物質として炭素材料粒子23を有するとともに集電体21上に形成されている。第二層27は活物質としてLTO(チタン酸リチウム)粒子26を有するとともに第一層24上に形成されている。LTO粒子26が第二層27から第一層24に向かって浸透することで、第二層27は第一層24に対して食い付いている。LTO粒子26の浸透の深さは5μm以上である。【選択図】図3

Description

本発明はリチウムイオン二次電池用の負極に関する。
特許文献1には図1に示すようなリチウムイオン二次電池用の負極90が開示されている。集電体21上に活物質として黒鉛粒子93を有する第一層94が形成されている。第一層94は圧延することで平坦になる。さらにその上に活物質としてLTO(チタン酸リチウム)粒子96を有する第二層97が形成されている。図中においてバインダーは省略されている。
特開2014−194842号公報 特開2013−073928号公報 特開2017−022018号公報
図1に示すように第二層97のさらに外側から異物29が負極90に侵入した場合を考える。第一層94と第二層97との間の界面95は巨視的に見た時、平坦である。このため、第一層94と第二層97との間の食い付きが悪い。したがって異物29が第二層97をせん断したのち、続いて異物29が第一層94をせん断する。
図1に示すような場合、異物29と第一層94との間で内部短絡が生じる可能性がある。このような内部短絡はリチウムイオン二次電池の発熱の原因の一つと考えられる。本発明はリチウムイオン二次電池の発熱を抑えるのに適した負極を提供することを目的とする。
[1] 集電体と第一層及び第二層を有する活物質層とを備え、
前記第一層は活物質として炭素材料粒子を有するとともに前記集電体上に形成され、
前記第二層は活物質としてLTO(チタン酸リチウム)粒子を有するとともに前記第一層上に形成され、
前記LTO粒子が前記第二層から前記第一層に向かって浸透することで、前記第二層は前記第一層に対して食い付いており、
前記LTO粒子の浸透の深さは5μm以上である、
リチウムイオン二次電池用の負極。
[2] 前記第二層を含むとともに、前記活物質層の厚さの1/5を占める領域を考慮した時、
前記領域中の活物質間にはバインダーが存在しており、
前記活物質層の断面において前記領域に占めるバインダーの面積比は10%以下である、
[1]に記載の負極。
[3] 前記LTO粒子の一次粒子径は0.5μm以下であり、
前記炭素材料粒子の一次粒子の平均粒子径は1μm〜20μmであり、
前記炭素材料粒子の一次粒子のアスペクト比は1.5以上である、
[2]に記載の負極。
[4] 前記第二層の層厚は1μm以上、5μm以下であり、
前記LTO粒子の浸透の深さは14μm以下である、
[2]又は[3]に記載の負極。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の負極を有するリチウムイオン二次電池。
[6] 集電体と、
活物質である炭素材料粒子とバインダーと揮発成分とが互いに混合されてなる造粒体Gaと、
活物質であるLTO(チタン酸リチウム)粒子とバインダーと揮発成分とが互いに混合されてなる造粒体Gbと、
を用いて負極をロール成形する方法であって、
互いに対向するAロール及びBロールの間において、前記Aロール側に前記造粒体Gaを、さらに前記Bロール側に前記造粒体Gbをそれぞれ散布し、
前記Aロール及び前記Bロールでこれらを同時に挟み込んで押圧するともに各造粒体を崩壊させることで前記炭素材料粒子が分散してなる第一層及び前記LTO粒子が分散してなる第二層を同時に形成し、
前記押圧に伴い前記LTO粒子を前記第二層から前記第一層に向かって浸透させることで前記第一層に前記第二層を食い付かせ、
前記第一層及び前記第二層からなる活物質層を前記Bロール上で搬送し、
互いに対向する前記Bロール及びCロールの間の前記Bロール側に前記活物質層を、前記Cロール側に集電体を供給し、
前記Bロール及び前記Cロールでこれらを押圧することで前記集電体に前記活物質層の前記第一層の側を貼り付け、
さらに前記集電体に貼り付けられた前記活物質層から前記揮発成分を除去することで前記負極を乾燥させるところ、
前記乾燥させた負極において、前記LTO粒子の浸透の深さは5μm以上である、
リチウムイオン二次電池用の負極の製造方法。
[7] 前記乾燥させた負極において、前記第二層を含むとともに前記活物質層の厚さの1/5を占める領域を考慮した時、
前記領域中の活物質間にはバインダーが存在しており、
前記活物質層の断面において前記領域に占めるバインダーの面積比は10%以下となり、ここで、前記領域中のバインダーには前記揮発成分の除去にともなって前記領域よりも前記集電体に近い領域からマイグレーションしてきたバインダーが含まれていてもよい、
[6]に記載の負極の製造方法。
本発明によりリチウムイオン二次電池の発熱を抑えるのに適した負極を提供できる。
活物質層及び異物の模式図。 負極の断面図。 活物質層の模式図。 活物質層及び異物の模式図。 製造装置の側面図。 バインダーの分布の模式図。 バインダーの分布の模式図。 バインダー占有率のグラフ。 発熱量のグラフ。 容量維持率のグラフ。 容量維持率のグラフ。 粒子間距離のグラフ。 IV抵抗のグラフ。
以下の説明において同等の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図2にはリチウムイオン二次電池用の負極20の断面が示されている。負極20は集電体21と活物質層22とを備える。活物質層22は図中の集電体21の一方の表面である表面28a上に形成されている。
図2に示す集電体21の材料は負極のロール成形に適するものであれば特に制限されない。集電体21は金属の箔、膜、フィルム及びシートのいずれかでもよい。金属はステンレス鋼、ニッケル、及び銅のいずれかでもよい。
図2に示すように活物質層22は第一層24及び第二層27を有する。第一層24は集電体21の表面28a上に形成されている。第二層27は第一層24上に形成されている。第一層24及び第二層27は互いに直接に接していることが好ましい。
図2に示すように、活物質層22は集電体21の両面に形成されていてもよい。例えば図中の集電体21の他方の表面である表面28b上にも同等の活物質層22が形成されていてもよい。また第二層27の外側にさらに他の皮膜が形成されてもよい。また第一層24と集電体21との間に他の層が形成されていてもよい。
図3には負極20の拡大断面図が示されている。第一層24は活物質として炭素材料粒子23を有する。炭素材料は黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、及び炭素繊維のいずれかでもよい。炭素材料粒子23を構成する炭素材料はこれらの混合物でもよい。炭素材料粒子23は各々異なる炭素材料からなる粒子が互いに混合されたものでもよい。炭素材料粒子23が黒鉛からなる場合、第一層24を黒鉛層と呼ぶ場合がある。
図3に示すように第二層27は活物質としてLTO粒子26を有する。LTOはチタン酸リチウムを表す。LTOは例えば化学式LiTiO、LiTi、LiTi13、及びLiTi12で表されるもののいずれかでもよい。LTOはこれらの混合物でもよい。LTOには他の元素が添加されていてもよい。LTO粒子26は各々異なるLTOからなる粒子が互いに混合されたものでもよい。LTOはスピネル構造を有するLiTi12が好ましい。第二層27をLTO層と呼ぶ場合がある。
図3に示す負極20を用いてセルを作製することが出来る。このときLTO粒子26の一次粒子径は0.5μm以下であることが好ましい。これによりセルの入力特性を高めることができる。LTO粒子26の一次粒子径は0μmよりも大きければよい。LTO粒子26の一次粒子径は0.4、0.3、0.2及び0.1μmのいずれかでもよい。LTO粒子26の一次粒子径の定義を定めるために実施例の記載を参照してもよい。LTO粒子26は炭素材料粒子23よりも小さい。
図3中においてバインダー及び任意成分である導電剤は省略されている。第一層24及び第二層27にはバインダーが含まれていることが好ましい。バインダーの材料はカルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR)及びアクリルゴム(ACM)のいずれかでもよい。CMCは塩でもよい。塩はナトリウム塩でもよい。バインダーはこれらの組み合わせでもよい。バインダーはこれらの混合物でもよい。第一層24及び第二層27とでバインダーの種類を違うものとしてもよい。第一層24及び第二層27の境界付近でバインダーが混ざりあっていてもよい。第一層24及び第二層27には導電剤がさらに含まれていてもよい。
図3に示すようにLTO粒子26は第二層27から第一層24に向かって浸透している。第一層24中のかかる部分は浸透部25として表されている。このようにLTO粒子26が浸透することで第二層27は第一層24に対して食い付いている。
図3には活物質層22の外表面からの所定の深さL1とL2とが表されている。深さL1は途中までの深さである。深さL1の範囲に第二層27と浸透部25とが含まれていてもよい。深さL1の範囲に第一層24と第二層27との境界が含まれていてもよい。深さL2は活物質層22の全体の深さである。これらのパラメータは実施例中にて説明する。
図3において、深さL2は活物質層22の層厚に相当する。活物質層22の層厚は一例として10μm〜200μmとしてもよい。活物質層22の層厚は20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180及び190μmのいずれかとしてもよい。例えば負極20中に第一層24及び第二層27以外の層又は膜が形成されている場合は、活物質層22の層厚は第一層24の層厚と第二層27の層厚の合計として考えてもよい。
図3に示す第二層27の層厚は5μm以下であることが好ましい。これにより負極20を用いたセルにおいてセルの電気抵抗すなわちIV抵抗を減らすことが出来る。第二層27の層厚は1μm以上であることが好ましい。これにより負極20を用いたセルにおいて活物質層22上で第二層27が形成されない場所、いわゆる欠点を減らすことが出来る。第二層27の層厚は2、3及び4μmのいずれかでもよい。活物質層22の層厚の定義を定めるために実施例の記載を参照してもよい。
図3に示す第一層24の層厚は、活物質層22の層厚から第二層27の層厚を減じたものとして設計してもよい。
図3に示す浸透部25におけるLTO粒子26の浸透の深さは5μm以上である。浸透の深さは20μm未満でもよい。浸透の深さは6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18及び19μmのいずれかでもよい。LTO粒子26の浸透の深さの定義を定めるために実施例の記載を参照してもよい。図中では浸透部25は最も深くまで浸透したLTO粒子26を基準に定められている。
図3に示す炭素材料粒子23の一次粒子の平均粒子径は1μm〜20μmでもよく、10μm〜15μmであることが好ましい。また炭素材料粒子23の一次粒子の粒度分布は次の通りでもよい。D10はD50の0.7倍以上でもよい(D10≧0.7×D50)。またD90はD50の1.6倍以下でもよい(D90≦1.6×D50)。粒度分布を調整することで、炭素材料粒子23のうち粒の小さいものがLTO粒子の浸透を阻害することを抑制してもよい。
さらに炭素材料粒子23の一次粒子のアスペクト比が1.5以上であることが好ましい。LTO粒子26の一次粒子径が0.5μmである場合、炭素材料粒子23が上記の寸法を有することでLTO粒子26の浸透を促進することが出来る。これらの寸法を有する炭素材料粒子23は、LTO粒子26の一次粒子径が0.5μmよりも小さい場合にも適する。炭素材料粒子23の一次粒子の平均粒子径とアスペクト比との定義を定めるために実施例の記載を参照してもよい。
炭素材料粒子23のアスペクト比は5以下とすることもできる。炭素材料粒子23のアスペクト比は1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、3.0、3.5、4.0及び4.5のいずれかとしてもよい。
図4に示すように第二層27のさらに外側から異物29が負極20に侵入した場合を考える。第一層24の最も外側には浸透部25が形成されている。このため第二層27は第一層24に対して食い付いている。したがって第二層27と第一層24とが異物29によってせん断されたとしても、第二層27によって形成されている第一層24の被覆は壊れにくい。
図4に示すような場合、異物29と第一層24との間で内部短絡が生じる可能性は相対的に低い。本実施形態では、このような内部短絡によってリチウムイオン二次電池が発熱することを抑制しやすい。本実施形態はリチウムイオン二次電池の発熱を抑えるのに適した負極を提供するのに適する。
図5には負極20をロール成形するための製造装置30が示されている。製造装置30で負極20を形成するためには集電体21と、造粒体Gaと、造粒体Gbとを材料として準備する。以下、造粒体のことを造粒粒子という場合がある。造粒粒子又は造粒体を利用した電極シートの製造方法として特許文献3に示されるような方法が挙げられる。本実施形態では造粒体Gaと造粒体Gbの二種類の造粒体を投入する点が特許文献3と異なる。なお特許文献3では造粒体が被覆を有しているものとなっているが、本実施形態では造粒体の被覆は有っても無くてもよい。以下、造粒体を利用して電極シートをロール成形する方法を本明細書では「造粒体法」と呼ぶ。
図5に示す造粒体Gaは炭素材料粒子とバインダーと揮発成分とが互いに混合されて形成されたものである。揮発成分は水でもよい。炭素材料粒子の割合は固形分全体に対して95〜99%でもよく、96、97及び98%のいずれかでもよい。バインダーの割合は固形分全体に対して1〜5%でもよく、2、3及び4%のいずれかでもよい。バインダーはCMC及びSBRのいずれか又は両方でもよい。CMCの割合は固形分全体に対して0.5〜5%でもよく、1、2、3及び4%のいずれかでもよい。SBRの割合は固形分全体に対して0.5〜5%でもよく、1、2、3及び4%のいずれかでもよい。
図5に示す造粒体Gaの固形分率は70〜90%でもよく、75、76、77、77.5、77.6、77.7、77.8、77.9、78.0、78.1、78.2、78.3、78.4、78.5、79、80、81、82、83、84及び85%のいずれかでもよい。固形分率の定義を定めるために実施例の記載を参照してもよい。
図5に示す造粒体GbはLTO粒子とバインダーと揮発成分とが互いに混合されて形成されたものである。揮発成分は水でもよい。LTO粒子の割合は固形分全体に対して95〜99%でもよく、96、97及び98%のいずれかでもよい。バインダーの割合は固形分全体に対して1〜5%でもよく、2、3及び4%のいずれかでもよい。バインダーは実施例に示すようなアクリルでもよい。
図5において、造粒体Gbの固形分率は70〜90%でもよく、75、76、77、77.5、77.6、77.7、77.8、77.9、78.0、78.1、78.2、78.3、78.4、78.5、79、80、81、82、83、84及び85%のいずれかでもよい。固形分率の定義を定めるために実施例の記載を参照してもよい。
図5において、本実施形態の製造方法(造粒体法)では揮発成分が湿り気(Moisture)を各成分の粉末に与えることでこれらの造粒体が形成される。揮発成分は最終的に負極から除去される。
図5に示すようにAロール及びBロールは互いに対向する。これらのロール間において、Aロール側に造粒体Gaを散布する。さらにBロール側に造粒体Gbを散布する。Aロール及びBロールでこのように供給した造粒体をまとめて押圧する。さらに圧力によって各造粒体を崩壊させる。
図5に示すようにAロール及びBロールにより第一層24及び第二層27を同時に形成する。これに対してスラリー合剤を用いる方法では第一層と第二層を同時には形成できない。したがって造粒体法はスラリー合剤を用いる方法よりも効率的である。
図5において、Aロール及びBロールで造粒体が押圧される間に第一層24では炭素材料粒子が分散する。第二層27ではLTO粒子が分散する。各層では造粒体の原形を留めない程度に各粒子が偏りなく分散することが好ましい。
図5において、Aロール及びBロール間での押圧に伴いLTO粒子を第二層27から第一層24に向かって浸透させる(図3)。これにより第一層24に第二層27を食い付かせる。これにより第一層24及び第二層27からなる活物質層22が形成される。
図5において、Aロール及びBロールの間にはロール表面における流れに速度差を設けてもよい。BロールがAロールよりも速いことが好ましい。周速比(B/A)は1.1〜1.3でもよく、例えば1.15、1.2及び1.25のいずれかでもよい。活物質層22はBロールに担持される。活物質層22をBロール上で搬送する。Bロールの表面には第二層27が張り付いている。第一層24は露出している。
図5において、Aロール及びBロールの間隔に基づいてLTO粒子の浸透の深さを決定してもよい(図3)。Aロール及びBロールの間隔は80μmより大きく、105μm以下のものとしてもよい。Aロール及びBロールの間隔は85、90、95、96、97、98、99、100、101、102、103及び104のいずれかとしてもよい。
図5に示すようにBロール及びCロールは互いに対向する。Bロール側に活物質層22が供給される、Cロール側に集電体21が供給される。Bロール及びCロールでこれらを押圧する。これにより集電体21の表面28a上に活物質層22の第一層24の側を貼り付ける。周速比(C/B)は1.2〜1.6でもよく、例えば1.3、1.4及び1.5のいずれかでもよい。活物質層22は集電体21上に担持される。活物質層22及び集電体21からなる負極をロール上で搬送する。表面28a上に形成された活物質層22から揮発成分を除去してもよい。揮発成分を除去した後、LTO粒子の浸透の深さは5μm以上であることが好ましい。以上により少なくとも片側に活物質層を有する電極シート状の負極が形成される。
図5において、第一層24及び第二層27を含めた活物質層全体の固形分の組成比(wt%)を合材組成と称する。合剤組成は造粒体Ga及び造粒体Gbのそれぞれの組成を反映する。造粒体Gaの供給速度と造粒体Gbの供給速度のバランスを変えることで第二層27の層厚をコントロールすることが出来る。
図5において、造粒体Ga/造粒体Gbの供給速度比(重量比)を96.7/3.3〜93.7/6.2としてもよい。かかる重量比は96/4、95/5及び94/6のいずれかとしてもよい。合材組成における炭素材料粒子/LTO粒子の供給速度比(重量比)を94.9/3.2〜91.9/6.1としてもよい。かかる重量比は94/4、93/5及び92/6のいずれかとしてもよい。
造粒体Ga及び造粒体Gbの供給速度はそれぞれ50g/min〜500g/minとすることが出来る。この時Aロール及びBロールの周速はそれぞれ60mm/sec〜90mm/secとすることが出来る。
図5において、Bロール及びCロールの間隔と集電体21の厚さとに基づいて活物質層22の層厚を決定してもよい。集電体21の厚さは5〜20μmとしてもよく、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18及び19μmのいずれかとしてもよい。
図5においてBロール及びCロールの間隔の大きさから集電体21の厚さを差し引いた値は、Aロール及びBロールの間隔よりも小さい。Bロール及びCロールの間隔は10μm以上、150μm未満としてもよい。Bロール及びCロールの間隔は20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130及び140μmのいずれかとしてもよい。
図5において、さらにAロール、Bロール及びCロールと同等のロール群を用いて集電体21の表面28b上に活物質層を形成してもよい。さらに表面28b上の活物質層から揮発成分を除去することで目的の電極シート状の負極を得てもよい。表面28b上及び表面28b上のぞれぞれの活物質層22から同時に揮発成分を除去してもよい。負極が最後に通過するBロール及びCロールの間隔と集電体の厚さとに基づいて表面28b上及び表面28b上のそれぞれの活物質層22の層厚を決定してもよい。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
例1〜14において表1に従い負極を作製した。
Figure 2019106271
表1中、造粒体Gaの欄は黒鉛層を形成するための造粒粒子の固形成分中の組成を表す。造粒粒子にモイスチャー(湿り気)を与えるための揮発成分として水を使用した。固形分率の欄は水を含む造粒粒子成分全体に対する固形成分の比率を重量比で表したものである。かかる固形分率を本明細書における造粒体Gaの固形分率の定義としてもよい。スラリー合剤などに比べて本実施例の造粒粒子では揮発成分よりも固形成分が優位である。CMCはカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩を表す。SBRはスチレンブタジエンゴムを表す。
表1中、黒鉛アスペクト比は黒鉛の一次粒子を細長い楕円体で近似した場合の長径/短径の比を表す。かかるアスペクト比は(最大長径)/(最大長径に直交する幅)で定義される。アスペクト比が小さい粒子ほど球に近い形状を有する。黒鉛の一次粒子とは造粒体Gaの形成前の黒鉛の一次粒子のことを表す。
各例において黒鉛粒子の最大長径は個々の粒子ごとに画像解析法で測定された、いわゆるFeret(フェレー)径として得られたものとする。短径すなわち最大長径に直交する幅も同様にFeret径として得られたものとする。例1において黒鉛粒子のアスペクト比は個数平均値である。他の例において同様である。上記の通り測定することで得られる黒鉛粒子のアスペクト比を本明細書における黒鉛粒子のアスペクト比として定義してもよい。またかかるアスペクト比の定義は他の炭素材料からなる炭素材料粒子にも応用できる。
各例において黒鉛粒子の一次粒子の平均粒子径は個々の粒子ごとにレーザー回折散乱法で測定された面積円相当径の算術平均径である。また平均粒子径は体積平均径である。上記の通り測定することで得られる黒鉛粒子の一次粒子の平均粒子径を本明細書における黒鉛粒子の一次粒子径として定義してもよい。またかかる平均粒子径の定義は他の炭素材料からなる炭素材料粒子にも応用できる。
各例において黒鉛粒子の一次粒子の平均粒子径は以下の通りであった。例1において平均粒子径は15μmであった。例9において平均粒子径は11μmであった。例10において平均粒子径は15μmであった。例11において平均粒子径は17μmであった。他の例において平均粒子径は例1と同様であった。
表1中、造粒体Gbの欄はLTO層を形成するための造粒粒子の固形成分中の組成を表す。造粒粒子にモイスチャーを与えるための揮発成分として水を使用した。固形分率の欄は水を含む造粒粒子成分全体に対する固形成分の比率を重量比で表したものである。かかる固形分率を本明細書における造粒体Gbの固形分率の定義としてもよい。スラリー合剤などに比べて本実施例の造粒粒子では揮発成分よりも固形成分が優位である。LTOは化学式でLiTi12と表される。アクリルは(CHCHCOOX)を表す。ここでXはNa或いはLiを表す。LTO一次粒子径とは造粒体Gbの形成前のLTO粒子の一次粒子の粒子径のことを表す。
各例においてLTO一次粒子径は個々の粒子ごとにレーザー回折散乱法で測定されたものの平均である。LTO一次粒子径は体積球相当径;有効径いわゆる遠心沈降法やレーザー回折散乱法で得られるものである。LTO一次粒子径は算術平均径であるとともに体積平均径である。上記の通り測定することで得られるLTO一次粒子径を本明細書におけるLTO粒子の一次粒子径として定義してもよい。
SBRの粒子はLTO一次粒子径と同様に測定された。SBRの平均粒子径は100μmであった。各例においてこれらの数値は共通である。CMC及びアクリルは溶解系バインダーであるため粒径は任意に設定できる。
表1中、合材組成の欄は黒鉛層及びLTO層を含めた活物質層全体の固形分の組成比(wt%)を表す。
表1中、ロールGAPの欄は、図5に示すAロール及びBロールの間の間隔(A−B)と、Bロール及びCロールの間の間隔(B−C)を示す。(B−C)は(A−B)よりも狭くなっているので活物質層22を集電体21に貼り付けることが出来る。集電体21として用いた金属箔の材料は銅であり、その厚さは10μmであった。周速比の欄は、各ロールの外周における周速すなわち搬送の速度の比を表す。
表1中、工法の欄は次のことを表す。例1及び例3〜14に関して「造粒」は造粒体法を表す。例2に関して塗布はスラリー塗布を表す。
[例1〜2:造粒体法によるバインダーの偏析のコントロール]
例1において、図5に示すような造粒体Ga及び造粒体Gbを表1に示す組成にしたがい混合し作製した。本例では一般に入手可能な造粒型のフードプロセッサーを使用した。次に図5に示すようなAロール及びBロールを用いて、黒鉛層すなわち第一層24及びLTO層すなわち第二層27からなる活物質層22を形成した。Aロールの周速65mm/secに対して造粒体Gaの供給速度は150g/minとした。Bロールの周速78mm/secに対して造粒体Gbの供給速度は100g/minとした。
さらに図5に示すような集電体21に貼り付けられた活物質層22を大気圧下、温度90℃、時間10分の条件で加熱することで活物質層22から水を除去した。水を除去後に所定の大きさにロール成形品をカットし負極を得た。
例2において、集電体上に黒鉛粒子等を含有するスラリーを塗布することで黒鉛層を形成した。さらに黒鉛層上にLTO粒子等を含有するスラリーを塗布することでLTO層を形成した。
図6は例1のように造粒体法で活物質層22を作製するともに揮発成分を除去した後のバインダー35の分布を表す。造粒体法では揮発成分の除去後のバインダー35の分布に特徴がある。スラリー合剤などに比べて本実施例の造粒粒子では揮発成分よりも固形成分が優位である。すなわち、揮発物質である水の除去は速やかに完了する。したがってバインダーの偏析は起こりにくいので活物質層22中でバインダー35の偏りが目立たない。
図7は例2のようにスラリー合剤を利用する方法で活物質層92を作製するとともに揮発成分を除去した後のバインダー35の分布を表す。かかる方法では揮発成分をスラリーの分散媒として用いる。スラリーをスムースに塗布するために揮発成分を大量に添加する。このため揮発成分の除去後にバインダー35が偏析する。揮発成分が活物質層92の外表面に移動するのに伴ってバインダー35も活物質層92の表面に向かってマイグレーションする。
ここで図6及び7に示すように活物質層の表面からの一定の深さL1までの領域を考慮する。深さL1の範囲には第二層たるLTO層の全体が含まれている。L2は活物質層の厚さである。ここでL1/L2を1/5とする。活物質層中の深さL1までの領域中にはいずれもバインダーが存在している。また当該領域中の活物質粒子間にはバインダーが存在している。これにはLTO粒子間、黒鉛粒子間、及びLTO粒子−黒鉛粒子間が含まれる。L1の領域におけるバインダー占有率は例1と例2との間で異なるものとなった。
図8には各例におけるバインダー占有率が表されている。例1では活物質層の断面において深さL1までの領域に占めるバインダーの面積比、すなわちバインダー占有率は10%以下となった。なお造粒体法に依拠する例1では、バインダーの偏析が全く起きていないことを表すわけではない。すなわち深さL1までの領域中のバインダーには揮発成分の除去にともなって深さL1よりも深い領域からマイグレーションしてきたバインダーがいくらか含まれていると考えられる。しかしながらその割合は特に例2に比べて少ないと考えられる。
図8に示すように例2では活物質層の断面において深さL1までの領域に占めるバインダーの面積比、すなわちバインダー占有率は10%以上となった。これは深さL1までの領域中のバインダーには揮発成分の除去にともなって深さL1よりも深い領域からマイグレーションしてきたバインダーが大量に含まれていることによると考えられる。
造粒体法では造粒体Ga中のバインダー/黒鉛比を高めることで、黒鉛の密度を下げることも出来る。この場合、黒鉛層へのLTO粒子の浸透を促すことができる。造粒体法ではこのようにバインダーの量を増やした場合でも、造粒体Ga中の揮発成分を減らすことでバインダーのマイグレーションを抑えることが出来る。
バインダーの偏析を抑制することで、内部抵抗を低減することや電流分布の均一化により優れたサイクル特性を発現することといった良い効果の得られることが期待される。
[参考例:特許文献2]
特許文献2に記載のような製造方法によっても、黒鉛層に対するLTO粒子の浸透が得られる場合がある。しかしながら特許文献2ではスラリーを用いて負極を作製している。スラリーからは溶媒又は分散媒の除去が必要なため、特許文献2の負極でも本願の図7に示すようなバインダーの偏析が起こっていると考えられる。
[例3〜5:浸透深さがセルの発熱量に与える影響]
例1と同様に例3〜5の負極を作製した。ただし、例3においてロールGAP(A−B)を広めの115μmとした。例4においては例1と同様にロールGAP(A−B)を105μmとした。また例5においてロールGAP(A−B)を狭めの95μmとした。
図9には各例におけるLTO粒子の浸透深さと発熱量が表されている。例3ではLTO粒子の浸透深さが2μmであった。例4では5μmであった。例5では7μmであった。ロールGAPが小さいほどLTO粒子の浸透深さは大きかった。
本明細書におけるLTO粒子の浸透の深さとして定義してもよい。ここでLTO粒子の浸透深さとは、活物質層の断面を画像解析することで得られる平均値である。図3で説明するならば、浸透部25においてLTO粒子26の浸透のしている深さ、すなわち第二層27からの距離の平均値を特定することになる。図3では浸透部25の高さは一定のものとして模式的に表しているが、実際の浸透深さは画像中の位置ごとにバラつきがある。本実施例では黒鉛層24における黒鉛粒子上端から、浸透しているLTO粒子26までの距離の最大値を測長のように算出して浸透深さの平均を得た。上記の通り測定することで得られるLTO粒子の浸透深さを本明細書におけるLTO粒子の浸透深さとして定義してもよい。
さらに正極、セパレータ及び電解液を含むセルの材料を準備して上記負極を有するセルを作製した。正極活物質の材料はニッケルコバルトマンガン酸リチウムとした。正極集電体の材料はアルミニウムとした。電解液は一般的な電解液組成のものを使用できる。本例では1.0MのLiPFEC/DMC/EMCとした。セパレータはポリオレフィン多孔膜とした。セパレータの膜物性は任意に設定できる。公知の方法に従いセルを活性化した。以下の例において同様である
発熱量を測定するにあたり25℃、SOC100%まで充電した状態でニードルを電極体中央に貫通させるという条件下でセルを使用した。セルの発熱量を短絡時にセルに流れた電流値Iと内部抵抗Rより、I×Rにより算出で測定した。
図9に示すようにLTO粒子の浸透深さが5μm以上となることで、セルの発熱量を0.25J以下に抑えることが出来た。セルの発熱量を抑制できたことに対する解釈の一つは、導電性異物によるものであると考えられる。
図4に示すように導電性の異物29が活物質層22に侵入した場合を考える。この場合、異物29にLTO粒子26が、浸透部25内のLTO粒子26も含めて追従する。したがって内部短絡による発熱を抑制できる。LTO粒子の浸透深さが不十分な場合、かかる追従性が低下する可能性がある。かかる解釈は本願発明の範囲を限定する意図を有しない。かかる解釈の開示は当業者の技術的理解を助けるためのものである。
[例6〜8:LTO一次粒子径が入力特性に与える影響]
例1と同様に例6〜8の負極を作製した。ただし、例6においてLTO一次粒子径を0.2μmとした。例7においては0.5μmとした。また例11においては1.0μmとした。セルを作製するとともにその容量維持率を測定した。
各例の容量維持率を図10のグラフに表す。縦軸に示す容量維持率は(300サイクルの充放電後のセルの放電容量(mAh))/(活性化直後のセルの放電容量(mAh))で表される。横軸は充電レートをCレートで表す。Cレートの基準は活性化直後のセルの放電容量である。グラフ中のCレートはそれぞれ、小さい方から順に1C、2C、3C、4C及び5Cである。なお放電レートはそれぞれ1Cであった。
図10に示すようにLTO一次粒子径を0.5以下とすることで、Cレートに依らず300回充放電後の容量維持率を85%以上とすることが出来た。LTO一次粒子径を1.0μmとした場合は、充放電速度が高い範囲(3C〜5C)での300回充放電後の容量維持率が85%を下回った。LTO一次粒子径が0.5μm以下であればセルの入力特性を高められる。
[補足例:300サイクル以降の容量維持率]
各補足例における容量維持率を図11に表す。300サイクル以降のセルの容量維持率を調べた。楕円は補足例15を三角形は補足例16を表す。補足例15の負極ではLTO一次粒子径が0.5μmであった。他の条件は例1と同様とした。補足例16の負極ではLTO粒子を用いなかった。すなわち黒鉛層しかない負極とした。補足例16の負極も造粒体法で作成した。すなわちLTO粒子を含む造粒体Gbは用いずに造粒体Gaだけで活物質層を形成した(図5)。造粒体Gaの組成は例1と同一である。
セルを作製するとともにその容量維持率を測定した。容量維持率の算出は例6〜8と同様に行った。充電レートを3Cとした。放電レート1Cとした。Cレートの基準は活性化直後のセルの放電容量である。
図11に示すように補足例16では300サイクル以降、容量維持率が急激に低下した。横軸に平行な一点鎖線は補足例16の300サイクルにおける容量維持率を示す。補足例15では補足例16の300サイクルにおける容量維持率を下回ることが無かった。
補足例16のセルでは活物質層の表層にLTO層が配置されている点が補足例15と異なる。上記結果の一つの解釈としてLTO層がCロールによってロール成形品に負荷されるせん断応力を軽減するものと考えられる。せん断応力の軽減により、黒鉛層の表面潰れによる入力特性の悪化を抑制すると考えられる。したがって補足例15の負極は補足例16の負極に比べて析出耐性に優れると考えられる。ここで析出耐性とは高電流負荷時の容量劣化の度合を表す。
[例9〜11:黒鉛粒子のアスペクト比が黒鉛粒子間の距離に与える影響]
例1と同様に例9〜11の負極を作製した。ただし、例9において黒鉛粒子のアスペクト比を1.1とした。例10においては1.5とした。また例11において2.5とした。なお例9〜11の黒鉛粒子の一次粒子の平均粒子径は上述の通り11〜17μmである。
図12のグラフの縦軸に示す粒子間距離は黒鉛粒子間の距離である。かかる距離は極板の断面SEM像より隣接する黒鉛粒子間距離の最小値を測長し、100点を平均した値として得た。
図12に示すようにアスペクト比を1.5以上とすることで、粒子間距離を0.5μm以上とすることが出来た。なお黒鉛粒子の平均粒子径は上述の通り15μm〜17μmの範囲にある。かかる場合、粒子間距離が0.5μm以上であれば一次粒子径が0.5μm以下であるLTO粒子の浸透に適した黒鉛層が得られる。
[例12〜14:LTO層の層厚がセル抵抗に与える影響]
例1と同様に例12〜14の負極を作製した。ただし、相対的に造粒体Gaの供給速度を小さくするとともに、造粒体Gbの供給速度を大きくした。あるいは相対的に造粒体Gaの供給速度を大きくするとともに、造粒体Gbの供給速度を小さくした。すなわち表1に示されるように例12では合材組成におけるLTO粒子の割合を3.2wt%とし、黒鉛粒子の割合94.9wt%とした。例13では6.1wt%とし、黒鉛粒子の割合91.9wt%とした。例14では11.5%とし、黒鉛粒子の割合86.5wt%とした。バインダーの割合は表1の通りである。
負極中のLTO層の層厚は揮発成分の乾燥後に測定した。測定は次の通り行った。極板の断面SEM像より黒鉛層上端粒子からLTO層上端粒子まで距離を測長し、100点平均した。上記の通り測定することで得られるLTO層の層厚を本明細書における第一層の層厚として定義してもよい。黒鉛層上端を境に浸透部とLTO層に分けた場合に、LTO層厚相当の部分が極間距離となる。このことはつまり、層厚相当の部分がセル抵抗に影響することに基づいている。
図13には各例におけるセルのIV抵抗を示す。例12ではLTO層の層厚が1μmであった。例13ではLTO層の層厚が5μmであった。例14では10μmであった。合剤組成において黒鉛粒子の割合を小さくするとともに、LTO粒子の割合を大きくすることで層厚をコントロールすることが出来た。
図13の縦軸はセルのIV抵抗の相対値を示す。IV抵抗は25℃、SOC50%、10sec放電した際の電圧降下量を放電電流値で除した値とすることで測定した。横軸に平行な一点鎖線はLTO層がないセルにおけるIV抵抗を示す(補足例16参照)。
図13に示すようにLTO層の層厚を5μm以下とすることで、LTO層がないセルに比べてIV抵抗を小さくすることができた。ただし、LTO層の層厚が小さくなり過ぎると活物質層上でLTO層が形成されない場所、いわゆる欠点が増加する。このため、LTO層の層厚は1μm以上とすることが好ましい。
20 負極、 21 集電体、 22 活物質層、 23 炭素材料粒子、 24 第一層、 25 浸透部、 26 LTO粒子、 27 第二層、 28a 表面、 28b 表面、 29 異物、 30 製造装置、 35 バインダー、 90 電池用の負極、 92 活物質層、 93 黒鉛粒子、 94 第一層、 95 界面、 96 粒子、 97 第二層、 A Aロール、 B Bロール、 C Cロール、 Ga 造粒体、 Gb 造粒体、 L1 深さ、 L2 深さ

Claims (7)

  1. 集電体と第一層及び第二層を有する活物質層とを備え、
    前記第一層は活物質として炭素材料粒子を有するとともに前記集電体上に形成され、
    前記第二層は活物質としてLTO(チタン酸リチウム)粒子を有するとともに前記第一層上に形成され、
    前記LTO粒子が前記第二層から前記第一層に向かって浸透することで、前記第二層は前記第一層に対して食い付いており、
    前記LTO粒子の浸透の深さは5μm以上である、
    リチウムイオン二次電池用の負極。
  2. 前記第二層を含むとともに、前記活物質層の厚さの1/5を占める領域を考慮した時、
    前記領域中の活物質間にはバインダーが存在しており、
    前記活物質層の断面において前記領域に占めるバインダーの面積比は10%以下である、
    請求項1に記載の負極。
  3. 前記LTO粒子の一次粒子径は0.5μm以下であり、
    前記炭素材料粒子の一次粒子の平均粒子径は1μm〜20μmであり、
    前記炭素材料粒子の一次粒子のアスペクト比は1.5以上である、
    請求項2に記載の負極。
  4. 前記第二層の層厚は1μm以上、5μm以下であり、
    前記LTO粒子の浸透の深さは14μm以下である、
    請求項2又は3に記載の負極。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の負極を有するリチウムイオン二次電池。
  6. 集電体と、
    活物質である炭素材料粒子とバインダーと揮発成分とが互いに混合されてなる造粒体Gaと、
    活物質であるLTO(チタン酸リチウム)粒子とバインダーと揮発成分とが互いに混合されてなる造粒体Gbと、
    を用いて負極をロール成形する方法であって、
    互いに対向するAロール及びBロールの間において、前記Aロール側に前記造粒体Gaを、さらに前記Bロール側に前記造粒体Gbをそれぞれ散布し、
    前記Aロール及び前記Bロールでこれらを同時に挟み込んで押圧するともに各造粒体を崩壊させることで前記炭素材料粒子が分散してなる第一層及び前記LTO粒子が分散してなる第二層を同時に形成し、
    前記押圧に伴い前記LTO粒子を前記第二層から前記第一層に向かって浸透させることで前記第一層に前記第二層を食い付かせ、
    前記第一層及び前記第二層からなる活物質層を前記Bロール上で搬送し、
    互いに対向する前記Bロール及びCロールの間の前記Bロール側に前記活物質層を、前記Cロール側に集電体を供給し、
    前記Bロール及び前記Cロールでこれらを押圧することで前記集電体に前記活物質層の前記第一層の側を貼り付け、
    さらに前記集電体に貼り付けられた前記活物質層から前記揮発成分を除去することで前記負極を乾燥させるところ、
    前記乾燥させた負極において、前記LTO粒子の浸透の深さは5μm以上である、
    リチウムイオン二次電池用の負極の製造方法。
  7. 前記乾燥させた負極において、前記第二層を含むとともに前記活物質層の厚さの1/5を占める領域を考慮した時、
    前記領域中の活物質間にはバインダーが存在しており、
    前記活物質層の断面において前記領域に占めるバインダーの面積比は10%以下となり、ここで、前記領域中のバインダーには前記揮発成分の除去にともなって前記領域よりも前記集電体に近い領域からマイグレーションしてきたバインダーが含まれていてもよい、
    請求項6に記載の負極の製造方法。
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