JP6026823B2 - 二次電池用電極の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は,二次電池用電極の製造方法に関する。特に、集電体に活物質を含む粉体状の合剤粒子を積層して形成する二次電池用電極の製造方法に関する。
近年,ハイブリッド自動車、電気自動車などの普及により,これらの駆動用電源に用いられる二次電池の需要が高まる中で、二次電池における生産効率の向上及び小型化、高容量化のニーズが増大している。二次電池の小型化、高容量化を達成する上で、各種のリチウムイオン二次電池が開発されている。
リチウムイオン二次電池の電極(正極及び負極)としては、例えば、アルミ箔や銅箔などの集電体表面に活物質と結着材等とを溶媒に混練してスラリー状にしたペーストを薄膜状に塗工し、その後、乾燥・プレスすることによって製造される塗布電極が、一般に知られている。
しかし、上記塗布電極の場合、乾燥工程における溶媒の熱対流により、塗工されたペースト内部で活物質と結着材とが遊離し、結着材が膜厚上方へ偏析するマイグレーションが生じるため、出来上がった電極板の多孔性の確保と均一性が保てないと共に、乾燥後に塗装膜が集電体から剥離する問題があった。
そのため、集電体に塗膜のひび割れや剥がれが生じない程度の量の水性ペーストを塗布して乾燥させ、その後乾燥した塗布面に再度水性ペーストを塗布し乾燥する工程を繰り返すことで、一層あたりの塗膜厚みを薄くして、乾燥時のマイグレーションを抑制して塗膜層のひび割れや剥離等を低減する二次電池用電極の製造方法が、特許文献1に開示されている。
特開2004−79370号公報
しかしながら、特許文献1の技術においては、複数回の乾燥工程が必要であるので、乾燥設備が大型化、煩雑化し、生産効率も低下する問題があった。
また、乾燥工程を短縮し、例えば、一層目の塗膜を乾燥させない状態で二層目を塗布した場合には、二層目の塗液に含まれる結着材が一層目の塗膜に染み込んで、一層目における電池抵抗が増加する。更に、二層目の密着力を得るために、必要以上の結着材を要する。その結果、二層目である上層の合剤層においても、イオン伝導性が阻害されてイオン抵抗が上昇し、全体として電池抵抗が高くなる問題があった。
よって、多層塗りを含む従来の塗布電極では、二次電池における生産効率の向上及び小型化、高容量化のニーズに十分応えることが困難であった。
なお、上記電池抵抗は、電極板の垂直方向における電気抵抗であり、「反応抵抗」とも称する。また、低温環境下で測定する反応抵抗を、「低温反応抵抗」とも称する。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、生産効率が良く、集電体と合剤層との剥離強度を高く維持しつつ、電池抵抗を低減できる二次電池用電極の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明に係る二次電池用電極の製造方法は、次のような構成を有している。
(1)集電体上に複数層の合剤層を形成させる二次電池用電極の製造方法であって、
少なくとも第1の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子を、前記集電体上に供給して堆積する第1の堆積層を加圧成型することによって、一層目の合剤層を形成する第一層形成工程と、
少なくとも第2の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子を、前記一層目の合剤層上に供給して堆積する第2の堆積層を加圧成型することによって、二層目の合剤層を形成する第二層形成工程と、
を備えることを特徴とする。
本発明においては、粉体状に造粒した造粒子を供給して堆積する堆積層を加圧成型することによって合剤層を形成する第一層形成工程及び第二層形成工程を備えるので、従来の塗布電極のような乾燥工程を要しない。そのため、乾燥設備が大型化、煩雑化し、生産効率も低下するという問題は生じない。
また、本発明においては、合剤は、少なくとも活物質及び結着材を含み粉体状に造粒した造粒子から構成されているので、合剤中には、活物質及び結着材が所定の割合で分散されている。その合剤の堆積層を加圧成型するので、活物質同士を又は活物質と集電体とを結着材を挟んで密着させることができる。そして、活物質同士と集電体とを結着材によって互いに結着させることができる。そのため、集電体上に密着された複数層からなる合剤層を形成したとき、集電体と合剤層との剥離強度を高く維持することができる。
また、本発明においては、第一層形成工程及び第二層形成工程はそれぞれ乾式であるので、第2の堆積層に含まれる結着材が、一層目の合剤層に染み込むことはない。そのため、二層目の合剤層において、結着材を増加させる必要はない。したがって、二層目の合剤層におけるイオン伝導性が阻害されず、イオン抵抗が上昇しない。よって、電極全体の電池抵抗を低く抑えることができる。
なお、本発明は、リチウムイオン二次電池に適用することができる。リチウムイオン二次電池の正極において、第1の活物質をNCA系〔Li(Ni−Co−Al)O〕とし、第2の活物質をマンガン系〔LiMn〕又は、リン酸鉄系〔LiFePO〕とすると好ましい。NCA系は、一般に高エネルギー密度化に優れる反面、熱暴走等の安全性に課題があるが、電解液に直接触れる上層の合剤層の成分である第2の活物質を、熱安定性に優れ安全性が高い材料であるマンガン系又はリン酸鉄系とすることによって、両者の特徴を生かすことができるからである。つまり、第1の活物質をNCA系〔Li(Ni−Co−Al)O〕とし、第2の活物質をマンガン系〔LiMn〕又は、リン酸鉄系〔LiFePO〕とすれば、安全性を高めつつ、小型化、高容量化を達成するリチウムイオン二次電池用電極を製造することができる。また、リン酸鉄系活物質の表面を導電性の高いカーボン被膜等で被覆することで、さらに電気伝導性を高めることもできる。
(2)(1)に記載された二次電池用電極の製造方法において、
前記第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、前記第1の堆積層を加圧成型する加圧力より小さいことを特徴とする。
本発明においては、第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、第1の堆積層を加圧成型する加圧力より小さいので、二層目の合剤層において電解液が侵入しうる空隙(イオン伝導パス)を、より有効に形成することができる。
すなわち、第1の堆積層又は第2の堆積層は、少なくとも第1又は第2の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子を堆積したものである。したがって、加圧成型される前の堆積層では、活物質同士の間に多くの空間が存在する。この空間を圧縮して活物質同士及び活物質と結着材とを密着させることによって、合剤層の剥離強度を高めることができる。
しかし、合剤層に電解液が侵入して活物質間でイオンの授受が行われて、はじめて充放電が可能となる。そのため、合剤層には、電解液が侵入しうる空隙(イオン伝導パス)を形成する必要がある。イオン伝導パスは、主に活物質間又は活物質内に形成される細孔によって形成される。
仮に、第2の堆積層を加圧成型する加圧力が、第1の堆積層を加圧成型する加圧力より大きいと、二層目の合剤層に形成される細孔が潰されてイオン伝導パスが減少することになる。その結果、電解液が侵入する入口側でイオンが遮断されて、充放電に伴うイオンの授受が困難となる。それでは、二次電池に対する小型化、高容量化の要請に応えることができない。
そこで、本発明においては、第2の堆積層を加圧成型する加圧力を、第1の堆積層を加圧成型する加圧力より小さくすることによって、電解液が侵入する入口側である二層目の合剤層において、電解液が侵入しうるイオン伝導パスを、より有効に形成したのである。その結果、電池抵抗を、一層低減することができる。
例えば、本発明者は、第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、第1の堆積層を加圧成型する加圧力の40〜70%程度が好ましいことを、実験的に確認している。
(3)(1)又は(2)に記載された二次電池用電極の製造方法において、
前記第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、前記第2の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子の非破壊圧力であることを特徴とする。
本発明においては、第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、第2の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子の非破壊圧力であるので、二層目の合剤層において細孔が潰されにくく、必要なイオン伝導パスが保持される。
すなわち、イオン伝導パスは、上述したように、主に活物質間又は活物質内に形成される細孔によって形成されている。一般に、活物質は、平均粒径で0.1〜数μm程度の1次粒子が焼成されて合体し、平均粒径で数〜数十μm程度の2次粒子を形成している。2次粒子は、1次粒子の焼成・合体に伴い、粉体状に造粒した造粒子を構成する。そして、造粒子の表面及び内部に多くの細孔が形成されている。
ところが、第2の堆積層を加圧成型する加圧力が、造粒子の破壊圧力であると、細孔が潰されてイオン伝導パスが減少してしまう。
そのため、本発明においては、第2の堆積層を加圧成型する加圧力を、第2の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子の非破壊圧力であることにしたため、二層目の合剤層において細孔が減少しにくく、必要なイオン伝導パスを保持することができるのである。
その結果、電池抵抗の増加を、一層抑制することができる。
(4)(1)乃至(3)のいずれか1つに記載された二次電池用電極の製造方法において、
前記第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、前記第2の活物質及び結着材を含む合剤を構成する造粒子におけるピークトップ細孔径が0.12〜0.15μm程度となる圧力であることを特徴とする。
本発明においては、第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、第2の活物質及び結着材を含む合剤を構成する造粒子におけるピークトップ細孔径が0.12〜0.15μm程度となる圧力であるので、二層目の合剤層におけるイオン伝導性が向上して電池抵抗を大幅に低減できる。
ここで、細孔は、活物質の1次粒子が焼成・合体する2次粒子において、表面及び内部に形成される微細な空洞であり、細孔容積が増加した位置における細孔径をピークトップ細孔径という。ピークトップ細孔径には、最も細孔容積が増加する細孔径(メインピークトップ細孔径)と、それ以外の細孔容積が増加する細孔径(サブピークトップ細孔径)とが含まれる。このピークトップ細孔径の1つ(サブピークトップ細孔径)が、0.12〜0.15μm程度のときイオン伝導性が向上することを、実験的に確認している。
本発明によれば、生産効率が良く、集電体と合剤層との剥離強度を高く維持しつつ、電池抵抗を低減できる二次電池用電極の製造方法を提供することができる。
本実施形態に係る二次電池電極の製造装置の断面図(一部)である。 図1に示す二次電池製造装置によって製造した電極断面図である。 図2に示す電極における結着材の分布状態を表すグラフである。 図2に示す電極における二層目の合剤層の細孔分布図である。 図2に示す電極における二層目の合剤層における、(a)加圧力とサブピークトップ細孔径との関係、(b)加圧力と反応抵抗との関係、(c)Bet比表面積とサブピークトップ細孔径との関係、(d)サブピークトップ細孔径と反応抵抗との関係を表すグラフである。 図2に示す電極における低温反応抵抗を、他の製造方法と比較したグラフである。
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態では、リチウムイオン二次電池用電極の正極に適用した例で説明する。まず、リチウムイオン二次電池用電極の製造装置、及び製造方法を説明し、その後、電極における合剤層の断面構造や、加圧条件と物理的特性との関係などを詳述する。最後に、本実施形態の二次電池用電極における低温反応抵抗について、他の製造方法による電極と比較した結果を説明する。
<リチウムイオン二次電池用電極の製造方法>
まず、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池用電極の製造方法を説明する。本実施形態は、リチウムイオン二次電池用電極の正極に適用した例である。図1に、本実施形態に係る二次電池電極の製造装置の断面図(一部)を示す。
図1に示すように、二次電池用電極の製造装置10には、集電体Zの案内ローラ7、第1粉体フィーダ5、第1加圧ロール1、2、第2粉体フィーダ6、第2加圧ロール3、4を備えている。
案内ローラ7は、搬送されてくる集電体Zの送り方向を垂直方向から水平方向へ変更する案内を行う。ここで集電体Zは、幅200〜300mm程度、厚さ20μm程度のアルミ箔である。
案内ローラ7を通過した集電体Zの上方には、第1粉体フィーダ5が配置されている。第1粉体フィーダ5は、第1の活物質、導電剤、結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子51を集電体Z上に供給して、第1の堆積層52を形成する装置である。第1の活物質には、NCA系〔Li(Ni−Co−Al)O〕活物質を用い、導電剤には、アセチレンブラック(AB)用い、結着材には、ポリアクリロニトリル(PAN)を用いている。第1の活物質と導電剤と結着材との混合比率(wt%)は、91:6:3程度である。第1の堆積層52の厚さは、100〜120μm程度である。
第1粉体フィーダ5の搬送方向後方には、第1加圧ロール1、2が配置されている。第1加圧ロール1、2は、集電体Z上に堆積した第1の堆積層52を回転しながら加圧成型することによって、集電体Z上に一層目の合剤層53を形成する装置である。一層目の合剤層53の厚さは、70〜80μm程度である。第1加圧ロール1、2の加圧力P1は、1.0トン(t)/cm程度で、第1の堆積層52の厚さを約30〜40%程度圧縮成形する圧力である。加圧力P1が高いので、一層目の合剤層53の剥離強度は向上する。
一層目の合剤層53の上方には、第2粉体フィーダ6が配置されている。第2粉体フィーダ6は、第2の活物質、導電剤、結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子61を一層目の合剤層53上に供給して、第2の堆積層62を形成する装置である。第2の活物質には、リン酸鉄系〔LiFePO〕活物質を用い、導電剤には、アセチレンブラック(AB)用い、結着材には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いている。第2の活物質と導電剤と結着材との混合比率(wt%)は、90:6:4程度である。第2の堆積層62の厚さは、30〜35μm程度である。
第2粉体フィーダ6の搬送方向後方には、第2加圧ロール3、4が配置されている。第2加圧ロール3、4は、一層目の合剤層53上に堆積した第2の堆積層62を回転しながら加圧成型することによって、一層目の合剤層53上に二層目の合剤層63を形成する装置である。二層目の合剤層63の厚さは、25〜30μm程度である。第2加圧ロール3、4の加圧力P2は、0.5トン(t)/cm程度で、第2の堆積層62の厚さを約10〜20%程度圧縮成形する圧力である。第2加圧ロール3、4の加圧力P2は、第1加圧ロール1、2の加圧力P1の40〜70%程度が好ましい。第2加圧ロール3、4の加圧力P2は、第1加圧ロール1、2の加圧力P1より小さいので、二層目の合剤層63において電解液が侵入しうる空隙(イオン伝導パス)を、より有効に形成することができる。
なお、第2加圧ロール3、4の加圧力P2は、第2の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子の非破壊圧力であると良い。二層目の合剤層63において細孔が減少しにくく、必要なイオン伝導パスを保持することができるからである。
また、第2加圧ロール3、4の加圧力P2は、第2の活物質及び結着材を含む合剤を構成する造粒子におけるピークトップ細孔径が0.12〜0.15μm程度となる圧力であると良く、二層目の合剤層63におけるBet比表面積が5%以上増加しない圧力であると良い。二層目の合剤層63におけるイオン伝導性が、より一層向上して電池抵抗を大幅に低減できるからである。
図1は、集電体上に一層目の合剤層と二層目の合剤層を形成する例であるが、さらに三層目、四層目の合剤層を積層することができることは、言うまでもない。また、それぞれの合剤層は、構成する活物質の特性(エネルギー密度、過充電安全性、経済性など)に応じて組み合わせることができる。
<合剤層の断面構造>
次に、本実施形態に係る製造方法により製造した電極の合剤層の断面構造とその断面における結着材の染み込み状況について説明する。図2に、図1に示す二次電池製造装置によって製造した電極断面図を示す。図3に、図2に示す電極における結着材の分布状態を表すグラフを示す。
図2に示すように、本実施形態に係る製造方法により製造した電極100は、集電体Z上に一層目の合剤層53と二層目の合剤層63とが結合された二層構造の合剤層Gが形成されている。一層目の合剤層53と二層目の合剤層63との厚さの比率は、3:1程度である。一層目の合剤層53の厚さは、二層目の合剤層63厚さより大きい。一層目の合剤層53において、第1の活物質には、NCA系〔Li(Ni−Co−Al)O〕活物質を用い、導電剤には、アセチレンブラック(AB)用い、結着材には、ポリアクリロニトリル(PAN)を用いている。したがって、高エネルギー密度のNCA系〔Li(Ni−Co−Al)O〕活物質を多く用いることによって、より高容量化を実現している。
一方、二層目の合剤層63において、第2の活物質には、リン酸鉄系〔LiFePO〕活物質を用い、導電剤には、アセチレンブラック(AB)用い、結着材には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を用いている。ここで、リン酸鉄系〔LiFePO〕活物質は、リン(P)と酸素(O)との結びつきが強く、電池内部で発熱があっても結晶構造が崩壊しにくい性質を有している。そのため、過充電耐電圧が高くなり、過充電に対する熱暴走を抑制する役割を果たすことができる。
本実施形態に係る電極においては、二層構造の合剤層Gの内、高エネルギー密度化できる一層目の合剤層53の厚さと、熱的安定性の高い二層目の合剤層63との厚さとの比率を、3:1程度として、充放電時の安全性と高エネルギー密度化とを高レベルで両立させている。
図3は、結着材であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)の量(wt%)と集電体(箔)からの距離との関係を表している。
図3に示すように、本実施形態に係る電極においては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)は、Aの領域である二層目の合剤層63には均一に分布しているが、一層目の合剤層53には全く分布していない。そのため、結着材であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)は、二層目の合剤層63から一層目の合剤層53へ向かって、全く染み込んでいないことが分かる。
その結果、本実施形態に係る電極100においては、二層目の合剤層63において、結着材が減少していないので、余分に結着材を増加させる必要もない。したがって、一層目の合剤層53及び二層目の合剤層63における結着材の分布状態が所定の割合に保たれるので、全体の合剤層Gにおけるイオン伝導性が阻害されず、イオン抵抗が上昇しない。よって、電極全体の電池抵抗を低く抑えることができる。
この点、結着材であるポリフッ化ビニリデン(PVdF)が、集電体(箔)から離れるにつれて、マイグレーションにより増加していく従来の塗布電極とは、大きく相違する。
<加圧条件がイオン伝導性に与える影響>
次に、第2の堆積層を加圧成型する加圧力P2が、二層目の合剤層63におけるイオン伝導性に与える影響を、図4〜図6によって説明する。
前述したように、イオン伝導パスは、主に活物質間又は活物質内に形成される細孔によって形成されている。また、細孔は、活物質の1次粒子が焼成・合体する2次粒子において、表面及び内部に形成される微細な空洞であり、細孔容積が増加した位置における細孔径をピークトップ細孔径という。ピークトップ細孔径には、最も細孔容積が増加する細孔径(メインピークトップ細孔径)と、それ以外の細孔容積が増加する細孔径(サブピークトップ細孔径)とが含まれる。
図4は、図2に示す電極における二層目の合剤層の細孔分布図である。
図4に示すように、二層目の加圧力が0.5トン(t)/cmの場合、メインピークトップ細孔径が1μm程度に存在し、サブピークトップ細孔径がBの範囲(0.12〜0.15μm程度)に多く存在する。
また、二層目の加圧力が1.0トン(t)/cmの場合、メインピークトップ細孔径が0.5μm程度に存在し、サブピークトップ細孔径がBの範囲(0.12〜0.15μm程度)に、加圧力が0.5トン(t)/cmの場合に比べて減少するが、若干存在する。
図5(a)は、図2に示す電極における二層目の合剤層における、加圧力とサブピークトップ細孔径との関係を表すグラフである。図5(b)は、図2に示す電極における二層目の合剤層における、加圧力と反応抵抗との関係を表すグラフである。
図5(a)に示すように、加圧力が増加するに従って、サブピークトップ細孔径が減少する。特に、加圧力が1.0トン(t)/cmを超えて増加すると、サブピークトップ細孔径が0.12μm以下に減少する。したがって、サブピークトップ細孔径が、0.12〜0.15μmの範囲であるためには、加圧力は、1.0トン(t)/cm以下である必要がある。そして、図5(b)に示すように、加圧力が1.0トン(t)/cm以下であるときには、電極の反応抵抗(温度:25℃、SOC:60%)が140mΩ以下に低減する。
結局、サブピークトップ細孔径が0.12〜0.15μmの範囲では、電極の反応抵抗(温度:25℃、SOC:60%)が140mΩ以下に低減できることを、確認することができる。
図5(c)は、図2に示す電極における二層目の合剤層における、Bet比表面積とサブピークトップ細孔径との関係を表すグラフである。図5(d)は、図2に示す電極における二層目の合剤層における、サブピークトップ細孔径と反応抵抗との関係を表すグラフである。
図5(c)に示すように、Bet比表面積が増加するに従って、サブピークトップ細孔径が減少する。特に、サブピークトップ細孔径が、0.12〜0.15μmの範囲においては、Bet比表面積の増加率が5%程度以下である。ここで、比表面積とは、ある物体の単位質量あたりの表面積のことをいい、粉体や多孔質材料の特性を表すのに使われる。
そして、図5(d)に示すように、サブピークトップ細孔径が、0.12〜0.15μmの範囲においては、電極の反応抵抗(温度:25℃、SOC:60%)が110〜140mΩに低減することを確認することができる。
結局、Bet比表面積の増加率が5%程度以下の範囲では、電極の反応抵抗(温度:25℃、SOC:60%)が140mΩ以下に低減できることを、確認することができる。
以上の結果から、第2の堆積層を加圧成型する加圧力P2が、第1の堆積層を加圧成型する加圧力P1より小さいときに、二層目の合剤層63における電極の反応抵抗が減少して、イオン伝導性が上昇する。そのとき、加圧力P2は0.2〜1.0t/cm程度であること、サブピークトップ細孔径は0.12〜0.15μmの範囲内にあること、Bet比表面積の増加率が5%程度以下であることを、それぞれ確認できた。
なお、プレス加圧の条件は、粒子圧壊試験の測定器(例えば、島津製MCTM−500型)で1〜150MPaで順次荷重を負荷することで測定できる。また、細孔径の分布状態及びBet比表面積は、例えば、ガス吸着法で測定することができる。具体的には、粉体粒子の表面に吸着占有面積のわかった不活性ガス分子を吸着させ、その量から試料の比表面積を求めたり、ガス分子の凝縮から細孔分布を測定できる。
<二次電池用電極における低温反応抵抗>
最後に、本実施形態の二次電池用電極における低温反応抵抗について説明する。図6に、図2に示す電極における低温反応抵抗を、他の製造方法と比較したグラフを示す。
図6に示すように、本実施形態の電極(一層目の加圧力:1.0トン(t)/cm、二層目の加圧力:0.5トン(t)/cm)における低温反応抵抗(−30℃、低SOC)は、従来の塗布電極(塗布2層)より約30%低減している。また、紛体成型2層(一層目の加圧力:1.0トン(t)/cm、二層目の加圧力:1.0トン(t)/cm)、すなわち、第2の堆積層を加圧成型する加圧力P2が、第1の堆積層を加圧成型する加圧力P1と同程度である場合においても、低温反応抵抗(−30℃、低SOC)は、従来の塗布電極(塗布2層)より約25%低減している。
<変形例>
次に、本発明の要旨を変更することなく、実施できる二次電池用電極の製造方法について説明する。
本実施形態では、第1の活物質と第2の活物質とは、別々の材料であるが、同一の材料であってもよい。また、第2の堆積層を加圧成型する加圧力P2が、第1の堆積層を加圧成型する加圧力P1より小さいが、両者が同程度である場合でもよい。いずれの場合においても、結着材のマイグレーションの影響を排除できるため、従来の塗布電極(塗布2層)より電池抵抗を低減できる効果があるからである。
本発明は、電気自動車やハイブリッド自動車等に搭載されるリチウムイオン二次電池用電極の製造方法として利用できる。
1、2 第1加圧ロール
3、4 第2加圧ロール
5 第1粉体フィーダ
6 第2粉体フィーダ
7 案内ローラ
10 二次電池用電極の製造装置
51 造粒子
52 第1の堆積層
53 一層目の合剤層
61 造粒子
62 第2の堆積層
63 二層目の合剤層
100 電極

Claims (4)

  1. 集電体上に複数層の合剤層を形成させる二次電池用電極の製造方法であって、
    少なくとも第1の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子を、前記集電体上に供給して堆積する第1の堆積層を加圧成型することによって、一層目の合剤層を形成する第一層形成工程と、
    少なくとも第2の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子を、前記一層目の合剤層上に供給して堆積する第2の堆積層を加圧成型することによって、二層目の合剤層を形成する第二層形成工程と、
    を備えること
    前記二次電池用電極は、リチウムイオン二次電池の正極において、前記第1の活物質をNCA系〔Li(Ni−Co−Al)O 〕活物質とし、前記第2の活物質をマンガン系〔LiMn 〕活物質又は、リン酸鉄系〔LiFePO 〕活物質とすること、を特徴とする二次電池用電極の製造方法。
  2. 請求項1に記載された二次電池用電極の製造方法において、
    前記第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、前記第1の堆積層を加圧成型する加圧力より小さいことを特徴とする二次電池用電極の製造方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された二次電池用電極の製造方法において、
    前記第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、前記第2の活物質及び結着材を含む合剤を粉体状に造粒した造粒子の非破壊圧力であることを特徴とする二次電池用電極の製造方法。
  4. 請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載された二次電池用電極の製造方法において、
    前記第2の堆積層を加圧成型する加圧力は、前記第2の活物質及び結着材を含む合剤を構成する造粒子におけるピークトップ細孔径が0.12〜0.15μm程度となる圧力であることを特徴とする二次電池用電極の製造方法。
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