JP6931464B2 - 電極体の製造方法 - Google Patents
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Description
S1:活物質粒子とバインダとを含む粉体状の電極材料を用意すること。
S2:型枠内に電極材料を粉体の状態で供給して第一活物質層とすること。
S3:第一活物質層を第一プレス圧で圧延する第一圧延を実施すること。
S4:第一圧延後の第一活物質層上に、集電体を配置すること。
S5:配置された集電体上に、電極材料を粉体の状態で供給して第二活物質層とすること。
S6:第二活物質層を第二プレス圧で圧延する第二圧延を実施すること。
そして、上記の集電体は、第一表面と第二表面とを有し、第一表面と第二表面とを貫通する開口を備えている。また、上記の第一プレス圧は、第二プレス圧よりも小さくすることを特徴としている。
図1は、一実施形態に係る電極体の製造方法を示すフロー図である。図2は、電極体の製造工程を説明する概略図であり、図3は各工程での電極体の製造の様子を説明する模式図である。ここに開示される電極体10の製造方法は、上記した工程S1〜S6の各工程を含んでいる。ここに開示される製造方法で製造される電極体10は、集電体12の両面に、活物質層14a、14bを備えている。集電体12は、集電体12の一方の面から他方の面へと貫通する開口を備えている。以下、各工程について説明する。
工程S1では、粉体状の電極材料14pを用意する。電極材料14pは、典型的には、粉体状の電極活物質と、結着性能を有するバインダとを含んでいる。また、電極材料14pは、電極活物質とバインダに加えて、さらに他の材料(例えば導電材)を含んでいてもよい。しかしながら、電極材料14pは、上記の粉体状の電極材料を分散させて流動性を高めうる液状の分散媒は含んでいない。バインダは、電極材料14pが全体として粉体状を呈していればよい。例えば、バインダ自体が粉体状であってもよいし、バインダが粉体状の電極活物質と一体化されて全体として粉体形状を実現していてもよい。一例として、エマルション形態の粒状のバインダを、活物質粉体と混合して用いてもよいし、活物質粉体を構成する活物質粒子の表面にバインダが粒状ないしは繊維状で付着されていてもよい。
なお、本発明において、粉体状の電極材料14pとは、電極材料14pに含まれる活物質粒子間にこれらの摩擦抵抗を低減しうる程度の分散媒が含まれていないものをいう。したがって、例えば、所定の目的(造粒、飛散抑制するための湿潤、電解液の含浸促進等)で活物質粒子にコーティングされたり含浸されたりするバインダ液や湿潤液、電解液等の液体成分の含有は許容される。このような液体成分は、一例として、電極材料14pの20質量%以下、例えば15質量%以下、より限定的には10質量%以下(例えば5質量%以下)に制限され得る。
用意された電極材料14pは、例えば、第一活物質層14aを形成するための供給装置F1と、第二活物質層14bを形成するための供給装置F2とに分けて収容される。
工程S2では、型枠内に電極材料14pを粉体の状態で供給して第一活物質層14aを用意する。
型枠は、製造対象とする電極体10の第一活物質層14aの外形に対応した内形を有する型枠を使用することができる。ここでは、後工程で使用する集電体12の外形に対応した内形を備える型枠を用いている。この内形とは、すなわち、第一活物質層14aの形状に、集電用のタブ12aが追加された形状である。この型枠には、集電用のタブ12aに対応する空間に電極材料14pが供給されないように、あらかじめ集電用のタブ12aに対応する外形の中子が用意されていてもよい。そして中子を装着した型枠のキャビティ(内部空間)に、用意した電極材料14pを供給する。タブ用の中子は、硬質な材料によって構成されていてもよいし、次工程の圧延工程で可逆的に圧縮されて応力解除後に形状回復し得る弾性材料によって構成されていてもよい。タブ用の中子は、おおよそ第一活物質層14aと第二活物質層14bとの厚みに対応する厚みを有する2つの部材によって構成されていてもよい。
工程S3では、第一活物質層14aを第一プレス圧で圧延する第一圧延を実施する。粉体状の電極材料14pの集合である第一活物質層14aを圧延することで、電極材料14pを一体化させ、所定の層形状を有する第一活物質層14aを形成する。この第一圧延は、後の工程で行われる第二圧延を本圧延とする、予備圧延として把握することができる。この圧延工程は、例えば、ロール圧延装置によって実施してもよいし、平板圧延装置によって実施してもよい。ここでは、平板プレス装置P1によって圧延する。平板プレス装置P1は、例えば、図1に示されるように、供給装置F1(スキージングを行う場合はスキージ)よりも搬送方向の下流側の搬送経路に設置される。平板プレス装置P1の上板は、型枠の内形に対応し、かつ、タブ12a用の中子に干渉しない形状を有している。この平板プレス装置P1によって、電極材料14pを適度な第一プレス圧で圧延することにより、電極材料14p中で活物質粉体とバインダとの接触箇所が増え、活物質粒子または造粒粒子同士が相互に結合される。これにより、活物質粒子を含む層状の第一活物質層14aが略一定の厚みで成形される。
工程S4では、第一圧延後の第一活物質層14a上に、集電体12を配置する。
集電体12は、典型的には、平面視で、目的の電極体10の形状に対応する形状を有する。この形状とは、上述のように、活物質層14a、14bの形状に、集電用のタブ12aが突出するように追加された形状である。集電体12の配置には、図示しない集電体供給装置を用いてもよい。集電体供給装置は、平板プレス装置P1よりも搬送方向の下流側の搬送経路に設置される。集電体12の配置に際しては、必要に応じて、型枠内に設置されているタブ用の中子を取り外してもよい。また、集電体12の配置後は、必要に応じて、型枠内にタブ用の中子を装着してもよい。
なお、「開口率」とは、集電体12の表面において開口の占める面積の割合である。開口率は、例えば、集電体12の表面の電子顕微鏡観察等に基づいて算出することができる。
工程S5では、型枠内に配置された集電体12上に、電極材料14pを粉体の状態で供給して第二活物質層14bを用意する。型枠は、図1に示すように、搬送装置に載置されて搬送経路に沿って搬送される。そして、図示しない集電体供給装置よりも搬送方向の下流側の搬送経路に設置された供給装置F2により、型枠内に電極材料14pを供給する。供給装置F2による電極材料14pの供給は、工程S2と概ね同じであるため重複する説明は省略する。これにより、型枠内に第二活物質層14bを用意することができる。なお、第二活物質層14bをより均質に形成するために、工程S2と同様に図示しないスキージ等を用いて電極材料14pを平らに均すようにしてもよい。
工程S6では、第二活物質層14bを第二プレス圧で圧延する第二圧延を実施する。粉体状の電極材料14pの集合である第二活物質層14bを圧延することで、電極材料14pを一体化させ、所定の層形状を有する第二活物質層14bを形成する。この第二圧延は、前工程で行われた第一圧延を予備圧延とする、本圧延として把握することができる。この圧延工程は、例えば、ロール圧延装置によって実施してもよいし、平板圧延装置によって実施してもよい。ここでは、平板プレス装置P2によって圧延する。平板プレス装置P2は、例えば、図1に示されるように、供給装置F2(スキージングを行う場合はスキージ)よりも搬送方向の下流側の搬送経路に設置される。平板プレス装置P2の上板は、型枠の内形に対応し、かつ、タブ12a用の中子に干渉しない形状を有している。この平板プレス装置P2によって、電極材料14pを適度な第二プレス圧で圧延することにより、電極材料14p中で活物質粉体とバインダとの接触箇所が増え、活物質粒子または造粒粒子同士が相互に結合される。これにより、活物質粒子を含む層状の第二活物質層14bが略一定の厚みで成形される。この第二圧延による圧縮応力は、第一活物質層14aおよび第二活物質層14bに負荷される。このことによって、第一活物質層14aおよび第二活物質層14bは集電体12と固着される。また、電極材料14pは、集電体12の開口の内部にも供給されている。このことにより、第一活物質層14aと第二活物質層14bとは、集電体12の開口を通じて連結される。
下記に示す正極構成材料を用い、図1のフローにしたがって電極を作製した。
すなわち、まず、粉体状の活物質材料、結着剤、必要に応じて導電材と増粘剤とを混合し、造粒することで、平均粒子径が55μm程度の造粒粉体の形態の電極材料を用意した(S1)。この電極材料は、第一および第二の粉体供給装置にそれぞれ収容した。そして、この電極材料を、第一の粉体供給装置から活物質層形成用の型枠内に供給した(S2)。このとき、型枠内で水平方向にスキージブレードを移動させることで、電極材料の表面を均した。なお、活物質層形成用の型枠は、型枠内の形状(キャビティの形状)が、集電タブ部を備える集電箔の形状に対応している。しかし、電極材料の供給時には、この集電タブ部に電極材料が供給されないように、型枠内に集電タブ部に、当該集電タブ部対応した形状の入れ子を厚み方向に2つ重ねて装着している。
[正極]
活物質:LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2
結着材:PVdF
導電材:アセチレンブラック
集電体:アルミ箔(φ0.5μmの穴が形成された開口率20%のパンチングメタル箔)
下記に示す正極構成材料と負極構成材料とを用い、実施形態1と同様にして、例5〜9の正極と負極とを作製した。ただし、例5〜9では、集電体として、穴のない通常箔と、開口径をφ0.2〜0.5μmの範囲で変化させたパンチングメタル箔とを用い、開口率が0〜23%の範囲で異なる5通りの集電体を使用して電極を作製した。
[負極]
活物質:天然黒鉛
増粘剤:CMC
結着材:SBR
集電体:電解銅箔(φ0.2〜0.5μmの穴を備えるパンチングメタル箔を含む)
[正極]
活物質:LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2
結着材:PVdF
導電材:アセチレンブラック
集電体:アルミ箔(φ0.2〜0.5μmの穴を備えるパンチングメタル箔を含む)
得られた電極について、樹脂で固めたのち断面を切り出し、断面をエネルギー分散型X線(Energy Dispersive X-ray spectrometry:EDX)分析に供して電極中のバインダの偏析度合いを以下のようにして調べた。EDX分析では、正極については図4に例示したように、バインダ成分であるフッ素(F)の分布を示すFマップを取得した。負極については、増粘剤成分であるCMCを染色してCMCマップを取得した。そして、活物質層の断面を、厚み方向の中央で2つの領域A,Bに半分ずつに分割し、相対的にバインダのより多い領域Aのバインダ濃度(元素検出面積)NAと、相対的にバインダのより少ない領域Bのバインダ濃度(元素検出面積)NBとから、マイグレーション指数:NA/NB;を算出して、表2に示した。なお、マイグレーション指数は、正極についての結果のみを示している。
また、用意した例5〜14の正極および負極を用い、例5〜14の評価用のラミネートセルを作製した。セパレータには、単層構造の微多孔質ポリエチレン(PE)シートを用いた。電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む非水溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1.0mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。そして正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせ、非水電解液とともにラミネートバッグに収容した。正極の集電体タブ部と、負極の集電体タブ部とを、ラミネートバッグの外部正極取出端子と負極取出端子とにそれぞれ電気的に接続し、バッグを密閉することで、容量が約100mAhの単層ラミネートセルを得た。
表2から、電極材料として粉体形態の材料を用いた場合と、スラリー形態の材料を用いた場合とでマイグレーション指数を比較すると、粉体形態の材料を用いた場合には、バインダのマイグレーションが殆ど生じていないことが確認できた。これは、粉体状の電極材料は分散媒を含まないことから、バインダの移動自体がそもそも起こり難いことによる。これに対し、スラリー形態の電極材料を用いた場合は、分散媒を介してバインダが鉛直方向の上方に向かって移動し得る事から、バインダが電極の表面に偏析し易いことが再確認できた。
また、粉体状の電極材料を用いた場合は、さらに、電極の表面側にバインダのマイグレーションが生じていない。このことにより、単一の電極内で電解液の移動が容易になることに留まらず、正・負の電極間での電解液の移動もが容易になる。例6〜9ではこれらの効果が相乗的に発現されて、抵抗増加率が劇的に改善されたものと考えられる。
12 集電体
14p 電極材料
14a 第一活物質層
14b 第二活物質層
F1、F2 粉体供給装置
P1、P2 平板プレス装置
Claims (1)
- 活物質粒子とバインダとを含む粉体状の電極材料を用意すること、
型枠内に前記電極材料を粉体の状態で供給して第一活物質層とすること、
前記第一活物質層を第一プレス圧で圧延する第一圧延を実施すること、
前記第一圧延後の前記第一活物質層上に、集電体を配置すること、
配置された前記集電体上に、前記電極材料を粉体の状態で供給して第二活物質層とすること、および、
前記第二活物質層を第二プレス圧で圧延する第二圧延を実施すること、
を含み、
前記集電体は、第一表面と第二表面とを有し、前記第一表面と前記第二表面とを貫通する開口を備えており、
前記第一プレス圧は、前記第二プレス圧よりも小さくする、電極体の製造方法。
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