JP2019129075A - 電極体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粉末を使用して強度の高い活物質層を形成することができる電極体の製造方法を提供すること。【解決手段】ここで開示される電極体の製造方法は、(S1)活物質粒子とバインダとを含む粉体状の電極材料14pを用意すること、(S2)型枠内に電極材料14pを粉体の状態で供給して第一活物質層14aとすること、(S3)第一活物質層14aを第一プレス圧で圧延する第一圧延を実施すること、(S4)第一活物質層14a上に集電体12を配置すること、(S5)集電体12上に電極材料14pを粉体の状態で供給して第二活物質層14bとすること、および、(S6)第二活物質層14bを第二プレス圧で圧延する第二圧延を実施すること、を含む。集電体12は、第一表面と第二表面とを有し、第一表面と第二表面とを貫通する開口を備えている。そして第一プレス圧は、第二プレス圧よりも小さい。【選択図】図1

Description

本発明は、電極体の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、開口を備える集電体の両面に活物質層を備える電極体の製造方法に関する。
リチウムイオン二次電池に用いられる電極体は、典型的には、集電体の両面に粒状の活物質とバインダとを含む活物質層を備えている。電池では対向する正・負極間で電気化学反応が生じることから、この活物質層が表裏共に均質に形成されることで電池性能が安定化される。活物質層は、一般に、液状媒体に活物質粒子を分散させたスラリー状の電極材料を集電体に供給し、乾燥させた後、圧密することで製造されている。
例えば特許文献1には、スプレー塗布法またはディップコーティング法によって、メッシュ型集電体の両面に活物質層を形成することが開示されている。これにより、集電体の両側の活物質層の接着性を高めて、活物質層が分離したりクラックが生じたりするのを防止できることが記載されている。また特許文献2には、表裏に連通する孔を有する多孔質薄膜を鉛直方向の上方から下方に向けて搬送しながら、高分子化合物を含む塗液を両面にダイコーディングした後、ロールにて塗布含浸量を調整することで、多孔性基材と電解質とからなる複合膜セパレータを製造することが開示されている。
特開2010−262916号公報 特開2002−166218号公報 国際公開第2015/093411号公報
メッシュ型集電体等の開口を備える集電体に片面ずつスラリー状の電極材料を供給しようとすると、電極材料が集電体の開孔を通過して塗布面とは反対側の面にまで侵出し、タッチロール等の電極製造装置を汚染してしまうという問題が潜在する。しかしながら、特許文献1のディップコーティング法においても、集電体の両面の電極材料スラリーが乾燥するまでの間、例えば搬送用のタッチロール等が活物質層の表面に接触することは許されず、加えて活物質層の膜厚や目付量の精度管理が十分にできないという課題が発生していた。また、スプレー塗布法については、材料の廃棄率が高く、また、均一な膜厚の活物質層が得られ難いため、生産性に劣るという欠点がある。一方、特許文献2の手法のように、メッシュ等の開口を備える集電体を鉛直方向に搬送しながらスラリー状の電極材料を両面に同時に塗工すると、高分子化合物塗液を塗布する場合とは異なり、電極材料が重力によってダレ落ちるという問題がある。
本発明は、上記の従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、開口を有する集電体を使用して高品質な電極体を製造することが可能な電極体の製造方法を提供することである。
ここに開示される技術は、以下の工程S1〜S6を含む電極体の製造方法を提供する。
S1:活物質粒子とバインダとを含む粉体状の電極材料を用意すること。
S2:型枠内に電極材料を粉体の状態で供給して第一活物質層とすること。
S3:第一活物質層を第一プレス圧で圧延する第一圧延を実施すること。
S4:第一圧延後の第一活物質層上に、集電体を配置すること。
S5:配置された集電体上に、電極材料を粉体の状態で供給して第二活物質層とすること。
S6:第二活物質層を第二プレス圧で圧延する第二圧延を実施すること。
そして、上記の集電体は、第一表面と第二表面とを有し、第一表面と第二表面とを貫通する開口を備えている。また、上記の第一プレス圧は、第二プレス圧よりも小さくすることを特徴としている。
上記構成によると、集電体の両面に形成された活物質層は、集電体を貫通する開口部にて連通されている。このことにより、この電極体を用いた電池においてハイレートで充放電を行う場合でも、電荷担体が集電体の開口を通じて両面でスムーズに移動でき、塩濃度(電荷担体の濃度)にムラが発生することが好適に抑制される。また、活物質層は粉体状の電極材料を用いて、水平面に沿う方向を面方向として形成することができる。このことにより、スラリーがダレることもなく、均質な活物質層を形成することができる。さらに、電極材料が液状の分散媒を含まないことから、例えば従来のスラリー塗工によって形成された活物質層に見られる、バインダ成分のマイグレーション(活物質層の表面部への偏析)が抑制されている。このことにより、電極体の抵抗を低減できると共に、この電極体を用いた電池においてハイレートでの充放電を繰り返し行った場合についても、抵抗の増加を抑制することができる。また、第一および第二の圧延に関し、第一プレス圧は、第二プレス圧よりも小さく設定される。このことから、第一圧延と第二圧延の両方が施される第一活物質層と、第二圧延のみが施される第二活物質層との間で、圧密度合いに差が生じることが抑制される。その結果、例えば、ハイレート充放電を行う電池に特に好適に用いることができる、高性能な電極体を製造することができる。なお、特許文献3は、活物質層の形成に際し、活物質粒子を含む電極スラリーを膜に供給し、加圧または減圧した後にプレスし、加圧圧力よりもプレス圧を高くすることを開示している。しかしながら、特許文献3では、加圧とプレスとの両方を活物質層全体に負荷している点において、ここに開示される技術と本質的に異なる。
図1は、一実施形態に係る電極体の製造方法を示すフロー図である。 図2は、一実施形態に係る電極体の製造工程を示す模式図である。 図3は、各製造工程で電極体が製造される様子を説明する模式図である。 図4は、従来のスラリー塗工法により作製された電極体の断面のバインダー(F)マップである。 図5は、(A)一実施形態に係る製造方法により形成された電極体と、従来のスラリー塗工法により作製された(B)開口なし集電体を用いた電極体と、(C)開口を有する集電体を用いた電極体と、における電荷担体の移動の様子を説明する模式図である。 図6は、各例の電極体を用いてリチウムイオン二次電池を構築したときの、集電体開口率と抵抗増加率との関係を例示したグラフである。 図7は、図6における例5〜9と例10〜14との間の抵抗増加率の差を示すヒストグラムである。
以下、ここに開示される電極体の製造方法について、好適な一実施形態をもとにして、適宜図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、リチウムイオン二次電池の構成や作動方法等の一般的事項等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。また、各図は模式的に描かれており、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。また、本明細書において数値範囲を表す「A〜B」との表現は、「A以上B以下」を意味するものとする。
また本明細書において「リチウムイオン二次電池」は、電解質(電荷担体)イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオン(電荷)の移動に伴い充放電が実現される、繰り返し充放電可能な二次電池をいう。一般に「リチウム二次電池」のように称される電池(例えば、リチウムイオンポリマー二次電池)はリチウムイオン二次電池に包含され、ここに開示される技術が対象とする電極体の用途の典型例であり得る。
[電極体の製造方法]
図1は、一実施形態に係る電極体の製造方法を示すフロー図である。図2は、電極体の製造工程を説明する概略図であり、図3は各工程での電極体の製造の様子を説明する模式図である。ここに開示される電極体10の製造方法は、上記した工程S1〜S6の各工程を含んでいる。ここに開示される製造方法で製造される電極体10は、集電体12の両面に、活物質層14a、14bを備えている。集電体12は、集電体12の一方の面から他方の面へと貫通する開口を備えている。以下、各工程について説明する。
[S1.粉体状の電極材料の用意]
工程S1では、粉体状の電極材料14pを用意する。電極材料14pは、典型的には、粉体状の電極活物質と、結着性能を有するバインダとを含んでいる。また、電極材料14pは、電極活物質とバインダに加えて、さらに他の材料(例えば導電材)を含んでいてもよい。しかしながら、電極材料14pは、上記の粉体状の電極材料を分散させて流動性を高めうる液状の分散媒は含んでいない。バインダは、電極材料14pが全体として粉体状を呈していればよい。例えば、バインダ自体が粉体状であってもよいし、バインダが粉体状の電極活物質と一体化されて全体として粉体形状を実現していてもよい。一例として、エマルション形態の粒状のバインダを、活物質粉体と混合して用いてもよいし、活物質粉体を構成する活物質粒子の表面にバインダが粒状ないしは繊維状で付着されていてもよい。
好適な一例として、電極材料14pは、粉体状の電極活物質と、バインダとからなる造粒粉末(造粒粒子の集合からなる粉体)であってよい。造粒粉末を構成する各々の造粒粒子は、少なくとも一つの活物質粒子とバインダとを含んでいる。造粒粒子は、典型的には複数の活物質粒子とバインダとを含んでいる。造粒粒子は、個々の活物質粒子の表面にバインダが付着し、さらに複数の活物質粒子がバインダによって互いに結合された態様であり得る。バインダは、造粒粒子の内部および外表面に局所的に偏在することなく、概ね均一に分散され配置されている。導電材を含む造粒粉末は、例えば、導電材をバインダ中に分散した形態で造粒粉末中に配合することが好適である。
粉体状の電極材料14pは、例えば、活物質粉体(活物質粒子の集合)およびバインダを所定の割合で乾式または湿式で混合して、必要に応じて、造粒や分級等を行うことで用意することができる。造粒の手法としては特に制限はなく、例えば、転動造粒法、流動層造粒法、撹拌造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、破砕造粒法、スプレードライ法(噴霧造粒法)等を採用することができる。一好適例では、スプレードライ法を採用して、活物質粒子とバインダとを溶媒中で混ぜ合わせた合剤(懸濁液)を乾燥雰囲気中に噴霧し、乾燥させることで、造粒粒子を造粒(成形)する。この手法では、噴霧される液滴中に含まれる粒子が概ね1つの塊になって造粒されるため、液滴の大きさによって造粒粒子の大きさや質量等を容易に調整することができる。なお、噴霧される液滴には活物質粒子とバインダ以外の材料、例えば導電材をも含み得る。
電極材料14pの性状は特に限定されない。電極材料14pとして造粒粉末の形態の粉体材料を用いる場合も、そうでない場合も、得られる電極の特性は、活物質粒子(造粒粒子の構成要素としての活物質粒子を含む)の平均粒子径に大きく依存する。そのため、生産効率を高める観点やより均質な活物質層を形成する等の観点から、電極材料の平均粒子径は、およそ30μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。電極材料14pの平均粒子径の下限は、一例として0.1μm以上である。なお、本明細書中において「平均粒子径」とは、レーザ散乱・回折法に基づく粒度分布測定装置に基づいて測定した粒度分布における積算値50%での粒径、すなわち50%体積平均粒子径をいう。
リチウムイオン二次電池の正極を製造する場合、活物質粒子としては、従来からリチウムイオン二次電池の正極活物質として用いられている各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)や、これらの複合体(例えば、LiNi0.5Mn1.5、LiNi1/3Co1/3Mn1/3)等の、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)の粒子や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等の、リチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩の粒子等が挙げられる。
また、リチウムイオン二次電池の負極を製造する場合、活物質粒子としては、従来からリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いられる各種の材料を特に限定なく使用することができる。好適例として、人造黒鉛、天然黒鉛、アモルファスカーボンおよびこれらの複合体(例えばアモルファスコートグラファイト)等に代表される炭素系材料、あるいは、シリコン(Si)等のリチウムと合金を形成する材料、これらのリチウム合金(例えば、LiM、Mは、C、Si、Sn、Sb、Al、Mg、Ti、Bi、Ge、PbまたはP等であり、Xは自然数。)、シリコン化合物(SiO等)等のリチウム貯蔵性化合物が挙げられる。
バインダとしては、活物質の結合を実現し得る各種の材料のなかから電極材料として化学的に安定な材料を選択・使用するとよい。一例として、具体的には、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等のゴム類、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース系ポリマー、メタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のハロゲン化ビニル樹脂等が挙げられる。
また、導電材を含む構成においては、導電材として、例えばカーボンブラックや活性炭等の比較的微細な粒子からなる炭素材料を好適に用いることができる。かかる導電材は電気伝導性が乏しい活物質材料を用いる場合に好適に添加され、活物質層内あるいは活物質粒子と集電体の間に好適な導電パスを形成する上で有効である。
なお、本発明において、粉体状の電極材料14pとは、電極材料14pに含まれる活物質粒子間にこれらの摩擦抵抗を低減しうる程度の分散媒が含まれていないものをいう。したがって、例えば、所定の目的(造粒、飛散抑制するための湿潤、電解液の含浸促進等)で活物質粒子にコーティングされたり含浸されたりするバインダ液や湿潤液、電解液等の液体成分の含有は許容される。このような液体成分は、一例として、電極材料14pの20質量%以下、例えば15質量%以下、より限定的には10質量%以下(例えば5質量%以下)に制限され得る。
用意された電極材料14pは、例えば、第一活物質層14aを形成するための供給装置F1と、第二活物質層14bを形成するための供給装置F2とに分けて収容される。
[S2.第一活物質層の用意]
工程S2では、型枠内に電極材料14pを粉体の状態で供給して第一活物質層14aを用意する。
型枠は、製造対象とする電極体10の第一活物質層14aの外形に対応した内形を有する型枠を使用することができる。ここでは、後工程で使用する集電体12の外形に対応した内形を備える型枠を用いている。この内形とは、すなわち、第一活物質層14aの形状に、集電用のタブ12aが追加された形状である。この型枠には、集電用のタブ12aに対応する空間に電極材料14pが供給されないように、あらかじめ集電用のタブ12aに対応する外形の中子が用意されていてもよい。そして中子を装着した型枠のキャビティ(内部空間)に、用意した電極材料14pを供給する。タブ用の中子は、硬質な材料によって構成されていてもよいし、次工程の圧延工程で可逆的に圧縮されて応力解除後に形状回復し得る弾性材料によって構成されていてもよい。タブ用の中子は、おおよそ第一活物質層14aと第二活物質層14bとの厚みに対応する厚みを有する2つの部材によって構成されていてもよい。
型枠は、図1に示すように、搬送装置に載置されて搬送経路に沿って搬送される。そして所定の供給位置において、供給装置F1により、型枠内に電極材料14pを供給する。供給装置F1は、型枠が搬送されてくるのにあわせて、所定量の電極材料14pを所定の幅で型枠内に連続的に供給するように構成されている。供給装置F1は、型枠の外部には、電極材料14pを供給しないように構成されている。供給装置F1は、例えば篩い(網目状の部材)を通じて予め定められた粒径の造粒粒子のみを型枠内に篩い落とす。これにより、型枠内に第一活物質層14aを用意することができる。
ここで、粉体状の電極材料14pはある程度の流動性(粉体流動性)を備えているが、第一活物質層14aをより均質に形成するために、図示しないスキージ等を用いて電極材料14pを平らに均すようにしてもよい。スキージの形状は特に制限されず、板状(ブレード形状)であってもよいし、ロール状であってもよい。スキージを構成する素材も特に制限されず、例えば、SUS等の金属材料、スチレンブタジエンゴム(SBR)、シリコーンラバー、ウレタンゴム等のゴム材料、高分子ポリエチレン、ポリエステル、PEEK樹脂等の樹脂材料等、セラミック等の無機材料のいずれであってもよい。スキージは、例えば、供給装置F1よりも搬送方向の下流側の搬送経路に設置される。そして、スキージを搬送されてきた型枠内の電極材料14pに所定の高さで当接させることで、電極材料14pを平坦化するとともに、型枠内で電極材料14pを均一に配置させることができる。また、過剰に供給された位置の電極材料14pを、供給量の少ない位置へと均すことができ、略均質な目付量(単位面積当たりの電極材料14pの質量)の第一活物質層14aを安定的に用意することができる。
[S3.第一圧延工程]
工程S3では、第一活物質層14aを第一プレス圧で圧延する第一圧延を実施する。粉体状の電極材料14pの集合である第一活物質層14aを圧延することで、電極材料14pを一体化させ、所定の層形状を有する第一活物質層14aを形成する。この第一圧延は、後の工程で行われる第二圧延を本圧延とする、予備圧延として把握することができる。この圧延工程は、例えば、ロール圧延装置によって実施してもよいし、平板圧延装置によって実施してもよい。ここでは、平板プレス装置P1によって圧延する。平板プレス装置P1は、例えば、図1に示されるように、供給装置F1(スキージングを行う場合はスキージ)よりも搬送方向の下流側の搬送経路に設置される。平板プレス装置P1の上板は、型枠の内形に対応し、かつ、タブ12a用の中子に干渉しない形状を有している。この平板プレス装置P1によって、電極材料14pを適度な第一プレス圧で圧延することにより、電極材料14p中で活物質粉体とバインダとの接触箇所が増え、活物質粒子または造粒粒子同士が相互に結合される。これにより、活物質粒子を含む層状の第一活物質層14aが略一定の厚みで成形される。
[S4.集電体の配置]
工程S4では、第一圧延後の第一活物質層14a上に、集電体12を配置する。
集電体12は、典型的には、平面視で、目的の電極体10の形状に対応する形状を有する。この形状とは、上述のように、活物質層14a、14bの形状に、集電用のタブ12aが突出するように追加された形状である。集電体12の配置には、図示しない集電体供給装置を用いてもよい。集電体供給装置は、平板プレス装置P1よりも搬送方向の下流側の搬送経路に設置される。集電体12の配置に際しては、必要に応じて、型枠内に設置されているタブ用の中子を取り外してもよい。また、集電体12の配置後は、必要に応じて、型枠内にタブ用の中子を装着してもよい。
この集電体12は、上述のように、集電体12の一方の面から他方の面へと貫通する開口を備えている。開口は、集電体12中で複数の空孔が連結するなどして形成された網目状の開孔によって、厚み方向で湾曲して形成されていてもよい。あるいは、開口は、集電体12の厚み方向で概ね直線的に形成されていてもよい。大電流をハイレートで充放電する用途の電極体10を製造する場合、集電体12は、厚み方向で概ね直線的に形成された開口を備えていることが、ここに開示される技術の効果がいかんなく発揮されるために好ましい。
集電体12の開口率は特に限定されない。集電体12が少しでも開口を備えていることで、例えば、この電極を用いた電池に対して大電流をハイレートでパルス状に繰り返し充放電したときの抵抗上昇が好適に抑制される。この開口の効果は、例えば、同じ開口を備える集電体を用い、スラリー状の電極材料を用いて形成した電極についての、抵抗上昇抑制効果よりも顕著となり得る。開口率が3%以上であると、この抵抗上昇の抑制効果が明瞭に発現されるために好ましく、開口率は5%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましく、15%以上が特に好ましく、例えば17%以上であるとよい。しかしながら、この効果は開口率が凡そ17%〜25%程度で飽和することが確認されている。そして集電体12の開口率が高すぎると、集電のための抵抗が高められたり、集電体12の強度が低下したりする虞がある。このような観点から、開口率は、例えば70%以下が適切であり、50%以下としてもよく、30%以下であってよい。
なお、「開口率」とは、集電体12の表面において開口の占める面積の割合である。開口率は、例えば、集電体12の表面の電子顕微鏡観察等に基づいて算出することができる。
なお、開口の一つあたりの寸法も特に限定されない。しかしながら、集電体12の開口を介して第一活物質層14aおよび第二活物質層14bが連結されていることが好ましい。そのため、開口の寸法は、電極材料14pを構成する粒子の寸法より小さくてもよいし、同程度であってもよいし、より大きくてもよい。開口の寸法は、たとえば、電極材料14pである造粒粉体の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。具体的には、例えば、集電体12の表面における開口の円相当径は、例えば約0.01μm以上であることが望ましい。また、開口の円相当径は、1mm以下程度であってよく、100μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましい。開口の下限は、また集電体12の厚みは、用途等によって要求される強度を満たすことができれば特に制限されず、例えば、1〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度の厚さであってよい。
集電体12としては、電子伝導性に優れ、使用する活物質や電解液およびそれらに拠る電気化学反応系を考慮して、電池系内で安定に存在する材料からなるものを好ましく用いることができる。このような材料としては、正極集電体材料としては、アルミニウム、チタン、鉄およびその合金(例えばステンレス鋼、アルミニウム合金)等を好適例として挙げることができ、なかでもアルミニウム(例えば、厚み12〜15μm)が好ましい。負極集電体材料としては、鉄、ニッケル、銅、コバルトおよびその合金(例えばステンレス鋼、銅合金)等を好適例として挙げることができ、なかでも銅(例えば、厚み10〜15μm)が好ましい。また、集電体12の構造としては、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金属メッシュ(金網)、金属線維不織布、多孔質金属箔(例えば、発泡状金属箔、ハニカム構造金属箔等を含む。)等であってよく、なかでもパンチングメタル、金属メッシュであることが好ましい。
[S5.第二活物質層の用意]
工程S5では、型枠内に配置された集電体12上に、電極材料14pを粉体の状態で供給して第二活物質層14bを用意する。型枠は、図1に示すように、搬送装置に載置されて搬送経路に沿って搬送される。そして、図示しない集電体供給装置よりも搬送方向の下流側の搬送経路に設置された供給装置F2により、型枠内に電極材料14pを供給する。供給装置F2による電極材料14pの供給は、工程S2と概ね同じであるため重複する説明は省略する。これにより、型枠内に第二活物質層14bを用意することができる。なお、第二活物質層14bをより均質に形成するために、工程S2と同様に図示しないスキージ等を用いて電極材料14pを平らに均すようにしてもよい。
[S6.第一圧延工程]
工程S6では、第二活物質層14bを第二プレス圧で圧延する第二圧延を実施する。粉体状の電極材料14pの集合である第二活物質層14bを圧延することで、電極材料14pを一体化させ、所定の層形状を有する第二活物質層14bを形成する。この第二圧延は、前工程で行われた第一圧延を予備圧延とする、本圧延として把握することができる。この圧延工程は、例えば、ロール圧延装置によって実施してもよいし、平板圧延装置によって実施してもよい。ここでは、平板プレス装置P2によって圧延する。平板プレス装置P2は、例えば、図1に示されるように、供給装置F2(スキージングを行う場合はスキージ)よりも搬送方向の下流側の搬送経路に設置される。平板プレス装置P2の上板は、型枠の内形に対応し、かつ、タブ12a用の中子に干渉しない形状を有している。この平板プレス装置P2によって、電極材料14pを適度な第二プレス圧で圧延することにより、電極材料14p中で活物質粉体とバインダとの接触箇所が増え、活物質粒子または造粒粒子同士が相互に結合される。これにより、活物質粒子を含む層状の第二活物質層14bが略一定の厚みで成形される。この第二圧延による圧縮応力は、第一活物質層14aおよび第二活物質層14bに負荷される。このことによって、第一活物質層14aおよび第二活物質層14bは集電体12と固着される。また、電極材料14pは、集電体12の開口の内部にも供給されている。このことにより、第一活物質層14aと第二活物質層14bとは、集電体12の開口を通じて連結される。
ここで、工程S3における第一圧延と、工程S6における第二圧延とでは、第二圧延における第二プレス圧を、第一圧延における第一プレス圧よりも高くする。第一プレス圧と第二プレス圧とを同じにすると、第一活物質層14aは第二活物質層14bよりも圧延を1回余分に施されることになる(つまり、多段プレス)。これにより、第一活物質層14aのかさ密度は、第二活物質層14bよりも約5%程度高くなり得る。すると、集電体12の両面側で電極特性の異なる電極体10が形成されてしまう。しかしながら、第一プレス圧を相対的に低く、第二プレス圧を相対的に高くすることで、第二圧延において、第一活物質層14aは目的のかさ密度を達成するようにさらに圧延を進める余地が残される。このことにより、集電体12の両面に目的のかさ密度の第一活物質層14aおよび第二活物質層14bを備える電極体10を得ることができる。第一プレス圧を第二プレス圧よりもわずかに低下させることで、活物質層14a、14b間のかさ密度の差を顕著に低減することができる。好適な一例として、第一プレス圧の低減割合は、例えば、第二プレス圧の−2%以上(換言すると、第二プレス圧の98%以下。以下同じ。)であり、−3%以上が好ましく、−5%以上がより好ましく、例えば−8%以上であってよい。また、第一プレス圧の低減割合が−10%以上となると、両活物質層14a、14bを第二プレス圧によって定められるほぼ同じかさ密度にすることができるため、第一プレス圧と第二プレス圧に差を設ける意味が薄れてくる。かかる点において、例えば、第一プレス圧の低減割合は、−20%以下(換言すると、第二プレス圧の80%以上。)程度を目安とするとよい。
このようにして製造された電極体10は、例えばリチウムイオン二次電池の正極または負極として好適に利用することができる。この正極と負極は、典型的にはセパレータによって絶縁した状態で重ね合わせ、電解液とともに電池ケースに収容することで、リチウム二次電池を構成することができる。あるいは、正極および負極の一方の表面に、セパレータおよび電解液に代えて固体電解質層を配置し、他方の電極を重ねあわせて電池ケースに収容することで、全固体リチウム二次電池を構成してもよい。
上記の製造方法によると、開口を備える集電体12に対し、活物質層14a、14bを構成する材料として、スラリーの形態ではない、粉体状の電極材料14pを組み合わせて用いている。このことにより、例えば集電体12の開口からスラリー状の電極材料(以下、単に「スラリー」という場合がある。)がダレたり落下したりして活物質層14a、14bの目付精度や均質性が損なわれるのを抑制することができる。また、製造装置の意図しないスラリーによる汚染を抑制することができる。さらに、スラリーの乾燥工程を直ちに実施することや、スラリーを乾燥させること自体の必要性がなくなり、製造時間の短縮と省コスト化を図ることができる。
また、スラリー状の電極材料を用いてスラリー塗工法により電極体を製造すると、バインダの活物質層の表面への偏析(以下、マイグレーションという。)の問題が避けられない。図4に、スラリー塗工法によって形成された、バインダがマイグレーションしている電極体110の断面のバインダ分布を示す。図中に白く表示されている部分が、電極構成材料のうちバインダのみに含まれるフッ素(F)の存在を示している。このように、バインダがマイグレーションした電極体110は、活物質層114a、114bの集電体112に近い部分Bは問題ないが、表面近傍部分Aにおいて絶縁性のバインダが活物質粒子をコーティングするのと同様の構造をとり得る。このような電極体110を用いて二次電池を作製すると、二次電池は内部抵抗が高くなる。ここに開示された技術では、粉体状の電極材料14pを用いていることから、このようなマイグレーションに起因する問題を解消することができる。
また、電解液を含む構成の二次電池では、大電流をハイレートでパルス状に充放電したときには活物質層が大きく膨張・収縮を繰り返し、活物質層に電解液が物理的に吸引されたり排出されたりする。しかしながら、バインダがマイグレーションした電極体110を用いた二次電池では、活物質層114a、114bから排出された電解液の再吸収がマイグレーションした表面部分Aによって妨げられやすく、塩濃度にムラが発生しやすい。その結果、ハイレートでの充放電特性やサイクル特性は悪化することが知られている。ここに開示された技術では、粉体状の電極材料14pを用いていることから、このようなマイグレーションに起因する問題を全て解消することができる。
さらに、ここに開示される製造方法によると、電極体10は、集電体12の一方の面に形成された第一活物質層14aと、他方の面に形成された第二活物質層14bとが、集電体12の開口を通じて連結された連続体として構成することができる。活物質層14a、14bは、例えば金属材料からなる表面が微視的に滑らかな集電体12に対する接合性よりも、活物質層14a、14bに対する接合性の方が高い。したがって、開口を備える集電体12を採用することで、集電体12からの活物質層14a、14bの剥離を好適に抑制することができる。この効果は、体積膨張率の大きな活物質材料(例えば、炭素材料やシリコンおよびその化合物)を用いた活物質層14a、14bや、比較的厚め(例えば100μm〜150μm程度)の活物質層14a、14bを備える電極体10の製造に際して特に顕著に現れ得る。
また、ここに開示される製造方法による電極体10は、上記の通り、活物質層14a、14bの表面には、バインダのマイグレーションが存在しない。このような構成の電極体10は、例えば図5(A)に示すように、充放電時に第一活物質層14aから第二活物質層14bへ、また、第二活物質層14bから第一活物質層14aへ、電荷担体が自由に移動することができる。さらには、第一活物質層14aおよび第二活物質層14bの表面から、図示しないセパレータまたは固体電解質層に、電荷担体が容易に移動することができる。これに対し、図5(B)に示すように、従来のスラリー塗工法で作製した一般的な電極体110では、第一活物質層114aと第二活物質層114bとが集電体112によって隔離されているため、電荷担体は両活物質層114a、114bの間を移動することができない。また、電荷担体は、マイグレーション層Mの存在によって、第一活物質層114aおよび第二活物質層114bの表面から図示しないセパレータまたは固体電解質層への移動が妨げられる。図5(C)に示すように、たとえ開口を有する集電体112を用いた場合であっても、スラリー塗工法で作製した電極体110では、マイグレーション層Mの存在によって電荷担体の移動、すなわち充放電が妨げられる。ここに開示される技術により提供される電極体10は、かかる観点において、大電流をハイレートで充放電する用途の電極体10として、特に好適であるといえる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
[実施形態1]
下記に示す正極構成材料を用い、図1のフローにしたがって電極を作製した。
すなわち、まず、粉体状の活物質材料、結着剤、必要に応じて導電材と増粘剤とを混合し、造粒することで、平均粒子径が55μm程度の造粒粉体の形態の電極材料を用意した(S1)。この電極材料は、第一および第二の粉体供給装置にそれぞれ収容した。そして、この電極材料を、第一の粉体供給装置から活物質層形成用の型枠内に供給した(S2)。このとき、型枠内で水平方向にスキージブレードを移動させることで、電極材料の表面を均した。なお、活物質層形成用の型枠は、型枠内の形状(キャビティの形状)が、集電タブ部を備える集電箔の形状に対応している。しかし、電極材料の供給時には、この集電タブ部に電極材料が供給されないように、型枠内に集電タブ部に、当該集電タブ部対応した形状の入れ子を厚み方向に2つ重ねて装着している。
次いで、型枠内の電極材料を型枠プレスによって第一プレス圧で第一圧延を実施し、第一活物質層14aを仮成形した(S3)。ここで、第一圧延(プレ圧延)における第一プレス圧Pは、下記の表1に示すように、後述の第二圧延(本圧延)の第二プレス圧Pを基準に85%〜100%の間の4通りに変化させた。続いて、第一活物質層14aの表面に、型枠に対応した所定の形状の集電体を載置した(S4)。このとき、型枠内の集電タブ部に配置させた入れ子のうち、上の入れ子を外してから集電体を配置し、その後、集電体上に入れ子を戻した。引き続き、第二の粉体供給装置から型枠内の集電体の上方に粉体状の電極材料を供給した(S5)。そして、型枠内の電極材料を型枠プレスによって第二プレス圧で圧延し、第二活物質層14bを成形した(S6)。これによって、集電箔の両面に活物質層を備える例1〜4の電極を得た。
使用した電極材料は以下の通りである。
[正極]
活物質:LiNi1/3Mn1/3Co1/3
結着材:PVdF
導電材:アセチレンブラック
集電体:アルミ箔(φ0.5μmの穴が形成された開口率20%のパンチングメタル箔)
用意した例1〜4の電極について、第一活物質層と第二活物質層のかさ密度を測定して表1に示した。かさ密度は、第一活物質層または第二活物質層の形成用に供給した電極材料の質量を、得られた電極における第一活物質層または第二活物質層の体積で序することによって算出した。また、第二活物質層に対する第一活物質層のかさ密度の差を算出し、併せて表1に示した。
表1の例1に示すように、第一プレス圧Pと第二プレス圧Pを同じにすると、第二活物質層は一度しか圧延されていないのに対し、第一活物質層は凡そ2回圧延されたこととなり、第一活物質層の密度が大幅に高くなってしまうことがわかった。これに対し、例2に示すように、第一プレス圧Pを第二プレス圧Pよりも5%程度とわずかに低減させることで、第一活物質層と第二活物質層のかさ密度の差をほぼ解消できることが確認された。そして本例では、例3に示すように、第一プレス圧Pを第二プレス圧Pよりも10%程度だけ低減させたときに、第一活物質層と第二活物質層のかさ密度がほぼ同一となることが確認できた。なお、例4に示すように、第一プレス圧Pを第二プレス圧Pよりも15%程度低減させると、今度は第一活物質層のかさ密度が第二活物質層のかさ密度よりもやや低くなるという結果であった。第一プレス圧Pが小さすぎると、第二圧延の際の第二プレス圧Pを相対的に高くしても、例えば第二圧延の圧延時間等の条件を調整するなどしないと、第一活物質層を十分に圧延できない可能性があることがわかった。例えば、効率的な圧延を行うには、第一プレス圧Pを第二プレス圧Pに対して80%〜99%程度、例えば85%〜95%程度にするのがよいことがわかった。
[実施形態2]
下記に示す正極構成材料と負極構成材料とを用い、実施形態1と同様にして、例5〜9の正極と負極とを作製した。ただし、例5〜9では、集電体として、穴のない通常箔と、開口径をφ0.2〜0.5μmの範囲で変化させたパンチングメタル箔とを用い、開口率が0〜23%の範囲で異なる5通りの集電体を使用して電極を作製した。
一方、例10〜14では、電極構成材料としては例5〜9と同じ材料を用い、スラリー状の電極材料を供給して電極を作製した。スラリー調製のための分散媒としては、負極用には水を、正極用にはN−メチル−2−ピロリドンを用い、電極構成材料を分散媒に分散させて電極材料とした。そして、集電体の片面ずつスラリー状の電極材料を供給し、都度、分散媒を除去する乾燥工程を実施して、最後に両面の活物質層を一度に圧延することで電極を得た。乾燥条件は、110℃で30分間とした。なお、例10〜14の電極作製では、パンチングメタルにスラリー状の電極材料を供給したとき、パンチングメタルの穴を介して反対側にスラリーが漏れ出してタッチロールを汚染したが、都度、タッチロールを清掃することで対応した。
使用した電極材料は以下の通りである。
[負極]
活物質:天然黒鉛
増粘剤:CMC
結着材:SBR
集電体:電解銅箔(φ0.2〜0.5μmの穴を備えるパンチングメタル箔を含む)
[正極]
活物質:LiNi1/3Mn1/3Co1/3
結着材:PVdF
導電材:アセチレンブラック
集電体:アルミ箔(φ0.2〜0.5μmの穴を備えるパンチングメタル箔を含む)
[マイグレーション指数]
得られた電極について、樹脂で固めたのち断面を切り出し、断面をエネルギー分散型X線(Energy Dispersive X-ray spectrometry:EDX)分析に供して電極中のバインダの偏析度合いを以下のようにして調べた。EDX分析では、正極については図4に例示したように、バインダ成分であるフッ素(F)の分布を示すFマップを取得した。負極については、増粘剤成分であるCMCを染色してCMCマップを取得した。そして、活物質層の断面を、厚み方向の中央で2つの領域A,Bに半分ずつに分割し、相対的にバインダのより多い領域Aのバインダ濃度(元素検出面積)Nと、相対的にバインダのより少ない領域Bのバインダ濃度(元素検出面積)Nとから、マイグレーション指数:N/N;を算出して、表2に示した。なお、マイグレーション指数は、正極についての結果のみを示している。
[ハイレートパルス充放電サイクル後の抵抗増加率]
また、用意した例5〜14の正極および負極を用い、例5〜14の評価用のラミネートセルを作製した。セパレータには、単層構造の微多孔質ポリエチレン(PE)シートを用いた。電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とをEC:DMC:EMC=3:4:3の体積比で含む非水溶媒に、支持塩としてのLiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させた非水電解液を用いた。そして正極と負極とをセパレータを介して重ね合わせ、非水電解液とともにラミネートバッグに収容した。正極の集電体タブ部と、負極の集電体タブ部とを、ラミネートバッグの外部正極取出端子と負極取出端子とにそれぞれ電気的に接続し、バッグを密閉することで、容量が約100mAhの単層ラミネートセルを得た。
ラミネートセルについて、温度25℃で、正負極の端子間電圧が4.1Vとなるまで0.1Cの充電レートでCC充電し、10分間休止した後、0.1Cの放電レートで3.0VまでCV放電させる操作を3回繰り返すコンディショニング処理を施した。次に、温度25℃で、3.5Cの充電レートで15秒間充電したのち、15分間の休止期間を設け、1.5Cの放電レートで20秒間の放電を行い、15分間の休止期間を設けるハイレートパルス充放電を2000回繰り返すサイクル試験を行った。なお、このサイクル試験の前後において、SOC20%に調整したセルに対し、3Cおよび1Cの放電レートでCC放電を行い、放電から10秒後の電圧値および電流値をもとにI−V特性を求め、その傾きから初期のIV抵抗Iと、ハイレートサイクル試験後のIV抵抗Iとを得た。そしてハイレートサイクル試験の前後での抵抗増加率Rを次式:R=(I−I)÷I×100;に基き算出し、表2に併せて示した。
[評価]
表2から、電極材料として粉体形態の材料を用いた場合と、スラリー形態の材料を用いた場合とでマイグレーション指数を比較すると、粉体形態の材料を用いた場合には、バインダのマイグレーションが殆ど生じていないことが確認できた。これは、粉体状の電極材料は分散媒を含まないことから、バインダの移動自体がそもそも起こり難いことによる。これに対し、スラリー形態の電極材料を用いた場合は、分散媒を介してバインダが鉛直方向の上方に向かって移動し得る事から、バインダが電極の表面に偏析し易いことが再確認できた。
ハイレートサイクル試験後の抵抗増加率は、図6に示すように、集電体の関口率が高くなるにつれて、抵抗増加率が低減されていくことがわかった。また、抵抗増加率の低減の度合いは、粉体形態の電極材料を用いた場合の方が、スラリー形態の電極材料を用いた場合よりも遥かに大きく、「開口集電体」と「粉体状の電極材料」との組み合わせがハイレート充放電サイクル時の抵抗増加を効果的に抑制しうることが確認できた。そこで、開口率ごとに、粉体形態の電極材料を用いた場合とスラリー形態の電極材料を用いた場合との抵抗増加率の差を求め、図7にヒストグラムとして示した。
図6、7から、集電体の開口率が0%の場合は、粉体形態の電極材料を用いると(例5)、電極表面にバインダの偏析が生じていない分だけ、スラリー形態の電極材料を用いたとき(例10)に比べて抵抗増加率が少し低くなり、抵抗の増加が抑制されていることがわかる。開口率が2%の場合(例6、11)は、集電体に開口が少し設けられたことによって一度の充電または放電で多量の電荷担体が正負極間を移動しやすくなったため、電極材料の形態にはあまり関わらずに抵抗増加率がやや低減されることがわかった。しかしながら、図7に示されるように、開口率が5%になると、電極材料の形態によって抵抗増加率に大きな相違が見られることがわかった。すなわち、スラリー形態の電極材料を用いたとき(例12)は、開口率が増えた分だけ緩やかに抵抗増加率が低下されたと考えられるが、粉体形態の電極材料を用いると(例7)、劇的に抵抗増加率が低減されることがわかった。抵抗増加率は、開口率が17%(例8、13)および23%(例9、14)と増大するにつれて低減することがわかる。しかしながら、抵抗変化率の低減の度合いは10〜17%程度がピークとみられ、その後は緩やかに低減されることがわかった。
ハイレートで充放電を行うと、電極体が充放電に伴い大きく膨張または収縮する。ハイレート充放電を繰り返すことで電極体から電解液が流出入を繰り返し、電極体に支持塩の濃度ムラが生じ得る。そしてこのことが原因となって、サイクルが進むに連れて抵抗が上昇することが知られている。ここで、集電体に開口が設けられていることで、集電体の両方の面が連通していることから、電解液は集電体の表裏を通じて活物質層の厚み方向で容易でに動することができる。このことによって、塩濃度ムラの発生が抑制されて、開口率に応じて抵抗増加率が低減されたものと考えられる。
また、粉体状の電極材料を用いた場合は、さらに、電極の表面側にバインダのマイグレーションが生じていない。このことにより、単一の電極内で電解液の移動が容易になることに留まらず、正・負の電極間での電解液の移動もが容易になる。例6〜9ではこれらの効果が相乗的に発現されて、抵抗増加率が劇的に改善されたものと考えられる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、上記実施形態では、電極を最終寸法と同じ形状および大きさで作製していた。しかしながら、電極は、例えば、最終寸法よりも大きい寸法で作製してもよい。この場合、例えば、最終寸法の複数倍(典型的には、2倍、3倍、4倍など)の寸法で電極原反を作製しておき、これを所定の最終寸法に切断して用いるようにしてもよい。
また例えば、上述の実施形態では、製造した電極体を、非水電解液を含む非水電解質二次電池に使用した。しかしながら、電極体の用途はこれに限定されない。例えば、ここに開示される製造方法によって製造される電極体は、固体電解質を含む全固体二次電池にも好適に使用することができる。全固体二次電池においては非水電解液が存在しないことから、上記実施例に示したような塩濃度ムラが生じない。しかしながら、全固体二次電池には、電荷担体の移動経路ともなり得る非水電解液が存在しないことによって、固体電解質層−電極活物質層間や、さらには固体電解質層および電極活物質層を構成する個々の材料粒子間での界面抵抗が高くなり得る。したがって、全固体二次電池には、粒子間の界面抵抗を低く均一に抑えることが求められ、バインダのマイグレーションによる界面抵抗の増大は致命的となり得る。また、開口を備える集電体の採用により電荷担体の移動に自由度がもたらされると、界面抵抗の増加を効果的に抑制できると考えられるからである。
さらに、ここに提案された電極の製造方法は、特に車両の主電源として用いられるような、ハイレートでの充放電を長期にわたって行う高出力高容量タイプのリチウムイオン二次電池用の電極を製造する際に好ましく採用することができる。すなわち、かかる高出力高容量タイプタイプの電池では、上記の通り作製した電極体を複数積層して、平板積層型(枚葉型)の積層電極体として好適に用いることができる。
10 電極体
12 集電体
14p 電極材料
14a 第一活物質層
14b 第二活物質層
F1、F2 粉体供給装置
P1、P2 平板プレス装置

Claims (1)

  1. 活物質粒子とバインダとを含む粉体状の電極材料を用意すること、
    型枠内に前記電極材料を粉体の状態で供給して第一活物質層とすること、
    前記第一活物質層を第一プレス圧で圧延する第一圧延を実施すること、
    前記第一圧延後の前記第一活物質層上に、集電体を配置すること、
    配置された前記集電体上に、前記電極材料を粉体の状態で供給して第二活物質層とすること、および、
    前記第二活物質層を第二プレス圧で圧延する第二圧延を実施すること、
    を含み、
    前記集電体は、第一表面と第二表面とを有し、前記第一表面と前記第二表面とを貫通する開口を備えており、
    前記第一プレス圧は、前記第二プレス圧よりも小さくする、電極体の製造方法。
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