JP2019105193A - 予混合圧縮着火式エンジン - Google Patents

予混合圧縮着火式エンジン Download PDF

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Abstract

【課題】着火アシストを行う予混合圧縮着火式エンジンにおいて、燃焼室内における火炎伝播の偏在を防止し、燃焼騒音及び異常燃焼の抑制を図る。【解決手段】予混合圧縮着火式エンジンは、吸気ポート9からの吸気によってタンブル流Tuが発生し、混合気を圧縮着火燃焼させる燃焼室6と、燃焼室6の径方向Bの中心領域に向けて燃料を噴射するインジェクタ14と、着火部13Aを備えた点火プラグ13と、着火タイミングを制御する着火制御部とを備える。着火部13Aは、燃焼室6において吸気ポート9が配置される吸気側に偏在した位置であって、キャビティ5Cに沿って流れるタンブル流Tuとスキッシュ生成面51から噴き出すスキッシュ流Sqとが合流する合流領域Mに配置されている。前記着火制御部は、圧縮上死点よりも前のタイミングで前記混合気に強制着火するよう、点火プラグ13を制御する。【選択図】図7

Description

本発明は、ガソリンを含む燃料を空気と混合しつつ自着火させる予混合圧縮着火燃焼が可能であって、強制着火源で混合気の着火をアシストするようにした予混合圧縮着火エンジンに関する。
予混合圧縮着火燃焼を行うエンジン(例えば特許文献1参照)においては、当該エンジンが高負荷、高回転になるほど、急峻に燃焼圧が上昇し燃焼期間が過度に短期間となる過早燃焼(急激な熱発生)が生じる傾向がある。この過早燃焼が生じると、燃焼騒音が大きくなる、異常燃焼が生じるといった不具合が生じる。この不具合を防止するには、燃焼初期は比較的緩慢に、燃焼後期は比較的急速に燃焼させることによって燃焼期間を適度に延ばし、後期重心型の熱発生パターンとすることが望ましい。
上記の後期重心型の熱発生パターンを得るには、SI(Spark Ignition)燃焼とCI(Compression Ignition)燃焼とを組み合わせた燃焼が有効である。すなわち、燃焼室の混合気に強制着火を行い火炎伝播による燃焼(SI燃焼)を行わせ、このSI燃焼により発生する熱によって燃焼室内の未燃混合気を自着火により燃焼(CI燃焼)させる複合燃焼方式である。
特開2013−194712号公報
上記の複合燃焼方式おいて、タンブル流などの筒内流動によって、SI燃焼における火炎伝播が燃焼室全方位に均質に拡がらない場合がある。この場合、火炎伝播の偏在によって燃焼室空間においてCI燃焼に基づく自着火が生じる領域が増加し、当該自着火による熱発生量が過度になって、所期の燃焼騒音低減効果、異常燃焼抑制効果が得られないという問題が生じる。
本発明の目的は、着火アシストを行う予混合圧縮着火式エンジンにおいて、燃焼室内における火炎伝播の偏在を可及的に防止することにより、燃焼騒音の低減及び異常燃焼の抑制を図ることにある。
本発明の一局面に係る予混合圧縮着火式エンジンは、少なくともガソリンを含む燃料を用いる予混合圧縮着火式エンジンであって、吸気ポート及び排気ポートを備え、前記吸気ポートからの吸気によってタンブル流が発生し、前記燃料の供給によって生成される混合気を圧縮着火燃焼させる燃焼室と、前記燃焼室の径方向の中心領域に向けて前記燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記燃焼室内に着火部が配置される強制着火源と、前記強制着火源による着火タイミングを制御する着火制御部と、を備え、前記着火部は、前記燃焼室において前記吸気ポートが配置される側を吸気側、前記排気ポートが配置される側を排気側とするとき、前記吸気側に偏在して配置され、前記着火制御部は、圧縮上死点よりも前のタイミングで前記混合気に強制着火するよう、前記強制着火源を制御することを特徴とする。
この予混合圧縮着火式エンジンによれば、燃料噴射弁の燃料噴射によって燃焼室の径方向の中心領域に混合気が形成されたとしても、強制着火で生じる火炎はタンブル流の影響によって排気側に流され、火炎伝播が排気側に向かう方向に偏る傾向が出る。しかし、上記強制着火源の着火部は、前記吸気側に偏在して配置されている。これにより、燃焼室において吸気側に偏った位置が強制着火点となり、前記吸気側から前記排気側に向かうタンブル流に乗せて火炎伝播を燃焼室の径方向中心領域へ向かわせることができる。その結果、火炎伝播による燃焼が前記排気側に偏ることが抑制され、専ら燃焼室の径方向中心領域で火炎伝播燃焼が生じ、その後に燃焼室の周辺領域で自着火燃焼が生じるようになる。従って、自着火による熱発生量が過度となることはなく、燃焼騒音の低減及び異常燃焼の抑制を図ることができる。
上記の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、前記燃焼室を区画する燃焼室壁面の一部は、ピストンの冠面と、該冠面と対向する燃焼室天井面とによって形成され、前記吸気ポート及び前記排気ポートは、前記燃焼室天井面に開口されており、前記冠面は、径方向の中央領域に凹設されたキャビティと、少なくとも前記吸気側における前記キャビティの径方向外側に配置され前記燃焼室天井面と略平行な平面からなるスキッシュ生成面とを含み、前記着火部は、圧縮行程後期において、前記キャビティに沿って流れる前記タンブル流と、前記スキッシュ生成面に沿って流れるスキッシュ流とが合流する合流領域に配置されていることが望ましい。なお、上記の「略平行」とは、前記燃焼室天井面と前記スキッシュ生成面とが平行に態様だけでなく、一方が他方に対して±5度程度以内の傾きを具備する態様も包含する意味である。
この予混合圧縮着火式エンジンによれば、キャビティ内に混合気を形成することが可能となる。そして、前記合流領域に前記着火部を配置することで、前記タンブル流と、前記スキッシュ生成面から燃焼室の径方向中心に向かうスキッシュ流とを利用して、火炎伝播を前記キャビティの径方向中央部に指向させることができる。なお、膨張行程初期においては、前記スキッシュ生成面に生じる逆スキッシュ流によって、燃焼室の径方向外側領域における自着火燃焼を促進させることができる。
上記の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、前記キャビティは、底部と、この底部から当該キャビティの外周縁に向けて立ち上がる斜面部とを含み、前記スキッシュ生成面は前記キャビティの外周縁から前記冠面の径方向外側に向けて延出する平面であって、前記合流領域は、気筒軸方向に沿った断面視において、前記スキッシュ生成面が延出する前記外周縁部分の径方向内側であって、前記斜面部の上方部分に隣接する領域であることが望ましい。
上記の領域は、前記タンブル流と前記スキッシュ流とが自ずと合流する領域であるので、前記着火部の配置箇所としては最適である。
上記の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、前記燃焼室天井面には、前記吸気ポート及び前記排気ポートが各々2個ずつ開口されており、前記スキッシュ生成面は、2つの前記吸気ポートの間から前記冠面の径方向外側に向けて延出する平面であって、前記合流領域は、前記燃焼室の気筒軸方向の平面視において、前記キャビティの外周縁の内側であって、2つの前記吸気ポートの間の領域であることが望ましい。
上記の領域は、吸排気2弁構成(4バルブ式)を採用する燃焼室において、前記タンブル流と前記スキッシュ流とが合流する領域となる。従って、かかる燃焼室において前記着火部の配置箇所としては最適である。
上記の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、前記燃料噴射弁からの燃料噴射は、前記キャビティ内に混合気が形成され、且つ、前記混合気と前記キャビティの壁面との間に空気層が形成されるように実行されることが望ましい。
この予混合圧縮着火式エンジンによれば、前記キャビティ内に混合気層と該混合気層を取り囲む空気層とが成層化され、冷却損失を低減できる。そして、このような燃料分布の成層化が図られた状態において、火炎伝播をキャビティ内の全方位で均質に発生させることができる。
本発明によれば、着火アシストを行う予混合圧縮着火式エンジンにおいて、燃焼室内における火炎伝播の偏在を可及的に防止することにより、燃焼騒音の低減及び異常燃焼の抑制を図ることができる。
図1は、本発明に係る予混合圧縮着火エンジンが適用されるエンジンシステムの構成の概略図である。 図2は、エンジン本体の気筒軸方向に沿った概略断面図である。 図3は、前記予混合圧縮着火エンジンの制御構成を示すブロック図である。 図4は、燃料噴射、強制着火及び熱発生の関係を示すタイムチャートである。 図5(A)は、燃焼室内における混合気の形成状況を示す断面図、図5(B)は燃焼室内における燃焼の態様を示す平面図である。 図6は、ピストン冠面の平面図であって、着火部のレイアウトを説明するための図である。 図7は、燃焼室の気筒軸方向に沿った断面図であって、着火部のレイアウトを説明するための図である。 図8(A)及び(B)は、燃焼室内で発生するタンブル流及びスキッシュ流を説明するための、エンジン本体の気筒軸方向に沿った概略断面図である。 図9(A)及び(B)は、比較例において生成される火炎伝播ゾーンを示す図である。 図10(A)及び(B)は、本実施形態において生成される火炎伝播ゾーンを示す図である。 図11は、本実施形態における燃焼後期の状態を示す図である。 図12は、比較例及び本実施形態の燃焼室における熱発生率を示すグラフである。
[エンジンの全体構成]
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係る予混合圧縮着火式エンジンを詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る予混合圧縮着火エンジンが適用されるエンジンシステムの概略構成図である。本実施形態のエンジンシステムは、4ストロークのエンジン本体1と、エンジン本体1に燃焼用の空気を導入するための吸気通路20と、エンジン本体1で生成された排気を排出するための排気通路30と、排気通路30を通過する排気の一部をEGRガスとして吸気通路20に還流するEGR装置40とを備える。
図2は、エンジン本体1の気筒軸方向Aに沿った概略断面図である。エンジン本体1は、4つの気筒2が図1の紙面と直交する方向に直列に配置された直列4気筒エンジンである。図2では、4つの気筒2のうちの1つのみを示している。前記エンジンシステムは車両に搭載され、エンジン本体1は車両の駆動源として利用される。本実施形態では、エンジン本体1は、ガソリンを含む燃料の供給を受けて駆動される予混合圧縮着火式エンジンである。なお、燃料は、バイオエタノール等を含むガソリンであってもよい。
エンジン本体1は、シリンダブロック3、シリンダヘッド4及びピストン5を備える。シリンダブロック3は、上述の4つの気筒を形成するシリンダライナを有する。シリンダヘッド4は、シリンダブロック3の上面に取り付けられ、気筒2の上部開口を塞いでいる。ピストン5は、各気筒2に往復摺動可能に収容されており、コネクティングロッド8を介してクランク軸7と連結されている。ピストン5の往復運動に応じて、クランク軸7はその中心軸回りに回転する。
ピストン5の上方には燃焼室6が形成されている。シリンダヘッド4には、燃焼室6と連通する吸気ポート9及び排気ポート10が形成されている。シリンダヘッド4の底面は燃焼室天井面6Uであり、この燃焼室天井面6Uは、上向きに僅かに凸の傾斜面を有するペントルーフ型の形状を有している。燃焼室天井面6Uには、吸気ポート9の下流端である吸気側開口と、排気ポート10の上流端である排気側開口とが形成されている。シリンダヘッド4には、前記吸気側開口を開閉する吸気バルブ11と、前記排気側開口を開閉する排気バルブ12とが組み付けられている。
吸気バルブ11及び排気バルブ12は、いわゆるポペットバルブである。吸気バルブ11は、吸気ポート9の開口を開閉する傘状の弁体と、この弁体から垂直に延びるステムとを含む。同様に、排気バルブ12は、排気ポート10の開口を開閉する傘状の弁体と、この弁体から垂直に延びるステムとを含む。吸気バルブ11及び排気バルブ12の前記弁体の各々は、燃焼室6に臨むバルブ面を有する。なお、エンジン本体1は、ダブルオーバーヘッドカムシャフト式(DOHC)エンジンであり(図6参照)、前記吸気側開口及び排気側開口は、各気筒2につき2つずつ設けられるとともに、吸気バルブ11及び排気バルブ12も2つずつ設けられている。
燃焼室6の底面は、ピストン5の冠面50によって区画されている。冠面50には、キャビティ5Cが凹設されている。キャビティ5Cは、上面視で略円形の形状を有し、燃焼室6の径方向Bにおいて冠面50の中央領域に、下方に凹没するように形成されている。キャビティ5Cの径方向Bの外側には、スキッシュ生成面51が備えられている。スキッシュ生成面51は、ペントルーフ型の燃焼室天井面6Uと平行な平面からなり、両者間の間隙は径方向Bにおいて略一定である。なお、冠面50の表面は、断熱層5Hによってコーティングされている。
本実施形態において、燃焼室6を区画する燃焼室壁面は、気筒2の内壁面、ピストン5の冠面50、冠面50と対向する燃焼室天井面6U、及び、吸気バルブ11及び排気バルブ12の各バルブ面からなる。また、本実施形態のエンジン本体1の幾何学的圧縮比、つまり、ピストン5が下死点にあるときの燃焼室6の容積とピストン5が上死点にあるときの燃焼室6の容積との比は、13以上35以下(例えば20程度)の高圧縮比に設定されている。
シリンダヘッド4には、燃焼室6内の混合気に強制点火するための点火プラグ13(強制着火源)が、各気筒2につき1つずつ装着されている。点火プラグ13は、火花を放電して混合気に点火エネルギーを付与する電極を備えた着火部13Aを有する。この着火部13Aが燃焼室6内に突出して配置される態様で、点火プラグ13はシリンダヘッド4に取り付けられている。本実施形態において着火部13Aは、燃焼室6において吸気ポート9が配置される側を吸気側、排気ポート10が配置される側を排気側とするとき、前記吸気側に偏在して配置されている点に特徴を有する。この点については、後記で詳述する。
シリンダヘッド4(燃焼室天井面6U)には、燃焼室6内に燃料を噴射するインジェクタ14(燃料噴射弁)が、各気筒2につき1つずつ取り付けられている。インジェクタ14には図略の燃料供給管が接続され、インジェクタ14は、前記燃料供給管を通して供給された燃料を燃焼室6に噴射する外開弁式のインジェクタであって、当該インジェクタ14の下端には、ホロコーン噴霧を形成する燃料噴射口を有するヘッド部14Aが備えられている。本実施形態ではインジェクタ14は、気筒軸方向Aに沿い、ヘッド部14Aが径方向Bの中心において燃焼室6内に突出するように、シリンダヘッド4に組み付けられている。図2において噴射燃料Fを模式的に示しているように、ヘッド部14Aは、燃焼室6の径方向Bの中心領域、つまりピストン5のキャビティ5Cに向けて燃料を噴射する。
シリンダヘッド4には、吸気バルブ11、排気バルブ12を各々駆動する吸気側動弁機構15、排気側動弁機構16が配設されている(図1)。これら動弁機構15、16によりクランク軸7の回転に連動して、各吸気バルブ11及び排気バルブ12が駆動される。これら吸気バルブ11及び排気バルブ12の駆動により、吸気バルブ11の弁体が吸気ポート9の開口を開閉し、排気バルブ12の弁体が排気ポート10の開口を開閉する。
吸気通路20には、吸気流の上流側から順に、吸気を清浄化するエアクリーナ21と、吸気通路20を開閉するためのスロットルバルブ22とが設けられている。本実施形態では、エンジンの運転中、スロットルバルブ22は基本的に全開もしくはこれに近い開度に維持される。エンジンの停止時等の限られた運転条件のときにのみ、スロットルバルブ22が閉弁されて吸気通路20を遮断する。
排気通路30には、排気を浄化するための浄化装置31が設けられている。浄化装置31は、例えば、三元触媒を内蔵している。
EGR装置40は、吸気通路20のうちスロットルバルブ22よりも下流側の部分と、排気通路30のうち浄化装置31よりも上流側の部分とを連通するEGR通路41を有する。さらにEGR装置40は、EGR通路41を開閉するEGRバルブ42と、EGR通路41を通過するEGRガスを冷却するためのEGRクーラ43とを備える。EGR通路41を通して還流されるEGRガスは、EGRクーラ43にて冷却された後に吸気通路20に向かう。
[制御構成]
図3は、前記エンジンシステムの制御構成を示すブロック図である。本実施形態のエンジンシステムは、PCM(パワートレイン・コントロール・モジュール)100によって統括的に制御される。PCM100は、CPU、ROM、RAM等から構成されるマイクロプロセッサである。
前記エンジンシステムが搭載される車両には各種センサが設けられており、PCM100はこれらセンサと電気的に接続されている。例えば、シリンダブロック3には、エンジン回転数を検出するクランク角センサSN1が設けられている。また、吸気通路20を通って各気筒2に吸入される空気量を検出するエアフローセンサSN2が設けられている。さらに、車両には、運転者により操作される図外のアクセルペダルの開度(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサSN3が設けられている。
PCM100は、これらセンサSN1〜SN3及び他のセンサからの入力信号に基づいて種々の演算を実行して、点火プラグ13、インジェクタ14、スロットルバルブ22及びEGRバルブ42を含むエンジンの各部を制御する。
PCM100は、機能的に着火制御部101を備えている。着火制御部101は、点火プラグ13の着火タイミング、すなわち着火部13Aが混合気に強制着火するタイミングを制御する。本実施形態のエンジン本体1は、ガソリンを含む燃料を空気と混合しつつ自着火させる予混合圧縮着火燃焼を行うものであって、点火プラグ13で混合気の着火をアシストする燃焼方式が採られる。すなわち、燃焼室6内の混合気に強制着火を行い火炎伝播による燃焼(SI燃焼)を行わせ、このSI燃焼により発生する熱によって燃焼室6内の未燃混合気を自着火により燃焼(CI燃焼)させる複合燃焼方式(SI+CI燃焼)が実行される。着火制御部101は、点火プラグ13による着火アシストのタイミングを制御する。
図4は、エンジン本体1における燃料噴射及び強制着火のタイミングと及び熱発生率dQとの関係を示すタイムチャートである。図4では、インジェクタ14からの燃料噴射F1が、圧縮行程の中期に行われる例を示している。燃料噴射タイミングや噴射量(インジェクタ14のリフト量)は、エンジン回転数やエンジン負荷等に応じて変更しても良い。例えば、圧縮行程において複数回に分けて燃料噴射を行わせる、或いは吸気行程に一部の燃料噴射を行わせるようにしても良い。
着火制御部101は、圧縮上死点(TDC)よりも前のタイミングで燃焼室6内の混合気に強制着火するよう、点火プラグ13を制御する。図4では、TDCよりも僅かに進角側のタイミングにおいて、強制着火(着火アシスト)が実行されている例を示している。なお、エンジン本体1が特定の運転条件にあるとき、例えば低回転低負荷の運転領域にあるときには、前記着火アシストを実行しないようにしても良い。
図5(A)は、燃焼室6内における混合気の形成状況を示す断面図である。上述の通り、インジェクタ14は、ピストン5のキャビティ5Cに向けて燃料を噴射する。PCM100は、前記噴射の噴射圧(リフト量)を、ヘッド部14Aからの燃料噴霧のペネトレーションがキャビティ5Cの底部まで届かない程度の強さに設定する。なお、図5(A)では、次述の本実施形態(図6、図7)における点火プラグ13の配置との対比のため、インジェクタ14に隣接するように点火プラグ13が燃焼室天井面6Uの中心付近に配置されている例を示している。
これにより、図5(A)に示すように、混合気は、キャビティ5C内(燃焼室6の中央部)に限定的に形成される。それゆえ、この限定的な混合気層は、新たな吸気を含む空気層で囲まれるようになり、いわゆる燃料分布の成層化が達成される。このような成層化によって、混合気層とキャビティ5Cの壁面(燃焼室壁面)との間には空気層が形成される。かかる空気層の形成は、混合気の燃焼ガスが燃焼室壁面と直接接触する面積を減少させることに繋がるので、冷却損失を低減することができる。
図5(B)は燃焼室6内におけるSI+CI燃焼の態様を示す平面図である。ここでは、後述する筒内流動(タンブル流及びスキッシュ流)の影響を考慮しない、基本的な燃焼の態様を示す。燃焼室6内では、燃焼初期にSI燃焼が生じ、燃焼後期にCI燃焼が生じる。SI燃焼は、燃焼室6の中央側領域R1(キャビティ5Cの形成領域)で発生し、CI燃焼は、中央側領域R1の周囲の外周側領域R2で発生する。
すなわち、図5(A)に示したように、混合気はキャビティ5C内に限定的に形成される。この混合気に曝されている点火プラグ13の着火部13Aにおいて放電を発生させることで、着火部13A周りの混合気が強制的に着火される。この着火点を起点として、火炎伝播による燃焼がキャビティ5C内に生じる(SI燃焼)。筒内流動の影響がなければ、火炎伝播は燃焼室6内の全方位に均質に拡がり、中央側領域R1がSI燃焼によって燃焼することになる。このSI燃焼により発生する熱によって燃焼室6内は昇温され、外周側領域R2が未燃混合気の自着火により燃焼する(CI燃焼)。
以上が、SI+CI燃焼の基本動作であるが、燃焼室6内の筒内流動によって、SI燃焼における火炎伝播が燃焼室6の全方位に均質に拡がらない場合がある。すなわち、図5(A)に示すように、キャビティ5C内に混合気を成層化した場合でも、筒内流動によって火炎の伝播方向が偏在してしまうことがある。この場合、燃焼室6内においてCI燃焼に基づく自着火が生じる領域が増加し、当該自着火による熱発生量が過度になって、燃焼騒音が大きくなったり、異常燃焼が発生したりする不具合が生じる。本実施形態では、この不具合の解消のため、燃焼室6内における着火部13Aの配置位置に工夫を施している。以下、この点について詳述する。
[着火部の配置位置について]
図6は、ピストン5の冠面50の上面視の平面図であって、着火部13Aのレイアウトを説明するための図である。本実施形態の燃焼室6においては、図6中に点線で示すように、燃焼室天井面6Uに吸気ポート9及び排気ポート10が各々2個ずつ開口されている。詳しくは、ペントルーフ型の燃焼室天井面6Uの稜線(冠面50の稜線部54に対向する部分)を境にして、図6の右方側に2つの吸気ポート9A、9Bが前記稜線方向に間隔をおいて配置され、左方側に2つの排気ポート10A、10Bが前記稜線方向に間隔をおいて配置されている。ここで、燃焼室6において吸気ポート9A、9Bが配置される側を吸気側、排気ポート10A、10Bが配置される側を排気側とする。
冠面50においてキャビティ5Cは径方向Bの中央領域に配置され、キャビティ5Cの外周を区画する外周縁5Eは上面視で略円形である。吸気ポート9A、9B及び排気ポート10A、10Bの内側の一部と、キャビティ5Cの外周縁5E付近の一部とは、気筒軸方向Aにおいて重なっている。スキッシュ生成面51は、2つの吸気ポート9A、9Bの間において、外周縁5Eから冠面50の径方向Bの外側に向けて延出する平面である。スキッシュ生成面51の周方向幅は、外周縁5Eからの延び出し部である基部51Eの付近(2つの吸気ポート9A、9Bが最接近する付近)において最も狭く、径方向Bの外側に向かうに連れて幅広となっている。スキッシュ生成面51がこのような形状となるのは、冠面50の吸気ポート9A、9Bと対向する領域に、バルブリセスが凹設されるからでもある。なお、2つの排気ポート10A、10B間にも同様なスキッシュ生成面が存在するが、図6では記載を省いている。
上記のような燃焼室6の構造において、インジェクタ14のヘッド部14Aは径方向Bの中心付近に配置されているが、点火プラグ13の着火部13Aは、吸気側に偏在して配置されている。より詳しくは、気筒軸方向Aに沿った平面視において、キャビティ5Cの外周縁5Eの内側近傍であって、2つの吸気ポート9A、9Bの間に配置されている。スキッシュ生成面51との関係では、基部51Eの径方向B内側に隣接するように、着火部13Aが配置されている。この配置は、基部51Eが、後述するスキッシュ流Sqのキャビティ5C上への噴き出し領域となることに鑑みた配置である。
図7は、燃焼室6の気筒軸方向Aに沿った断面図である。キャビティ5Cは、底部52と、この底部52から外周縁5Eに向けて立ち上がる斜面部53とを備えている。既述の通り、スキッシュ生成面51は外周縁5Eから冠面50の径方向Bの外側に向けて延出する平面である。図7では、点火プラグ13の着火部13Aの位置を、模式的に丸印で示している。この位置は、強制着火点となる位置、すなわち火花放電が起きる着火部13Aの電極間の位置に相当する。着火部13Aは、外周縁5Eの内側に隣接し、且つ、スキッシュ生成面51の径方向B内側への延長線51aよりも上方の位置に配置されている。
図6及び図7に示す着火部13Aの配置位置は一例であり、着火部13Aはこれらの図に示す合流領域Mに配置されていれば良い。合流領域Mは、圧縮行程後期において、キャビティ5Cに沿って流れるタンブル流Tuと、スキッシュ生成面51に沿って流れるスキッシュ流Sqとが合流する領域である。これは、タンブル流Tuとスキッシュ流Sqとを利用して、吸気側に偏在した位置にある着火部13Aを起点として発生する火炎伝播を、キャビティ5Cの径方向B中央部に指向させることを企図したものである。
図8を参照して、燃焼室6で発生する筒内流動について説明する。図8(A)は、吸気行程における筒内流動を示す、エンジン本体1の気筒軸方向Aの断面図である。吸気バルブ11が開弁を開始すると共にピストン5が下降すると、吸気ポート9から燃焼室6内に勢いよく吸気が流れ込む。具体的には、吸気ポート9から燃焼室6の排気側寄りの部分に向かって吸気が流れ込む。これにより、気筒軸方向Aと直交する方向を回転軸とするタンブル流Tuが燃焼室6内に発生する。タンブル流Tuは、キャビティ5Cに沿って流れ、燃焼室天井面6Uへ向かう。
図8(B)は、圧縮行程後期における筒内流動を示している。ピストン5の上昇に伴ってタンブル流Tuは徐々に消失して行くが、圧縮行程後期においてもタンブル流Tuが残存している。図7も参照して、この残存タンブル流Tuは、キャビティ5Cの底部52に沿って流れ、斜面部53において立ち上がり、その後に燃焼室天井面6Uに沿って燃焼室6の径方向Bの中心に向かう流動となる。これに加え、スキッシュ生成面51にはスキッシュ流Sqが発生する。スキッシュ流Sq(正スキッシュ流)は、スキッシュ生成面51と燃焼室天井面6Uとの間に存在する気体が、ピストン5の上昇によって行き場を失い、径方向Bの外側からキャビティ5Cに向かって噴き出すように流れる筒内流動である。
合流領域Mは、上記のようにして発生するタンブル流Tuとスキッシュ流Sqとが合流する領域である。具体的には合流領域Mは、図7で一点鎖線の囲み線で示すように、気筒軸方向Aに沿った断面視において、スキッシュ生成面51が延出するキャビティ5Cの外周縁5E部分よりも径方向内側であって、前記斜面部53の上方部分に隣接する領域である。また、図6に示すように合流領域Mは、気筒軸方向Aの平面視において、外周縁5E部分よりも径方向内側であって、2つの排気ポート10A、10B間の領域である。この領域は、吸排気2弁構成(4バルブ式)を採用する燃焼室6において、タンブル流Tuとスキッシュ流Sqとが自ずと合流する領域である。
本実施形態では、点火プラグ13の着火部13Aが、図7に示すように、合流領域M内であって、スキッシュ生成面51に沿ったラインをキャビティ5Cへ延長した延長線51aよりも上側の領域に配置されている例を示している。この領域は、圧縮行程後期において、スキッシュ流Sqがスキッシュ生成面51からキャビティ5Cへの噴き出しが起きる領域であり、且つ、タンブル流Tuが斜面部53に沿ってせり上がってスキッシュ流Sqと衝突する領域である。このような着火部13Aの配置は、好ましい一例ではあるが、図7で点線にて示すように、圧縮行程後期において、延長線51aよりも下側(つまりキャビティ5C内)であって、斜面部53の上方部分に対して接触しない程度に隣接した位置に、着火部13Aを配置しても良い。
[着火部を偏在させる理由について]
続いて、着火部13Aを吸気側に偏在した位置に配置させる理由について説明する。先ずは、図9(A)及び(B)を参照して、比較例について説明する。比較例では、燃焼室6の径方向Bの中心付近に着火部13AXが配置されている。既述の通り、圧縮行程の後期において燃焼室6には、タンブル流Tuが残存し、しかもスキッシュ流Sqが発生する。このような筒内流動が存在している状態で、着火部13AXが混合気に強制着火すると、その後の火炎伝播は、前記筒内流動によって流されて、排気側に偏った方向に進展する傾向が出てしまう。
すなわち、キャビティ5C内に混合気が均質に成層されている場合でも(図5(A)参照)、また、燃焼室6全体に混合気が均質に形成されている場合でも、強制着火によってSI燃焼が生じる火炎伝播ゾーンR11は、燃焼室6の全方位に均等には拡がらず、排気側に偏在するようになる。また、排気側に流される結果として、火炎伝播ゾーンR11自体が狭小となる。このような火炎伝播ゾーンR11を除いた残部が、未燃の混合気によってCI燃焼が生じるエンドガスゾーンR12となる。このエンドガスゾーンR12も、燃焼室6の径方向中心に対して偏心して円環状の領域となる。具体的には、火炎伝播ゾーンR11自体が狭小となる結果としてエンドガスゾーンR12が広くなり、しかも排気側が狭くなるものの吸気側が広範化するように偏ったエンドガスゾーンR12となる。この場合、とりわけ吸気側のエンドガスゾーンR12において自着火による大きな熱量が発生し、SI燃焼による熱発生量よりもCI燃焼による熱発生量の方が多くなる傾向が出る。このことは、燃焼騒音の悪化や異常燃焼の問題を招来する。
図10(A)及び(B)は、本実施形態における着火部13Aの配置において生成される火炎伝播ゾーンR11、エンドガスゾーンR12を示す図である。本実施形態では着火部13Aは、燃焼室6内において吸気側に偏在して配置されている。着火部13Aが混合気に強制着火すると、タンブル流Tu及びスキッシュ流Sqが合流した筒内流動によって、火炎伝播は排気側に偏って進展する点は比較例と同じである。しかし、着火部13Aが吸気側に偏在しているので、前記偏った進展の結果として形成される火炎伝播ゾーンR11は、燃焼室6の全方位に均等に拡がったものとなる。
しかも、タンブル流Tuとスキッシュ流Sqとが合流する筒内流動の強い箇所が着火部13Aによる強制着火位置となるため、その後の火炎伝播の進展が促進され、SI燃焼によって燃焼される混合気量が多くなる。すなわち、図9(B)の比較例のように、燃焼室6の径方向中央部から排気側に押し遣られるように進展する火炎伝播に比べて、本実施形態では図10(B)に示すように、燃焼室6の中央領域に広範に火炎伝播ゾーンR11が形成される。その結果、エンドガスゾーンR12は、燃焼室6の径方向中心と概ね同心で、幅の狭い円環状の領域となる。従って、エンドガスゾーンR12においてCI燃焼により発生する熱量は比較的小さく、SI燃焼による熱発生量の方がCI燃焼による熱発生量よりも多くなる傾向が出る。このことは、燃焼騒音や異常燃焼の抑制に貢献する。
図11は、本実施形態における、燃焼後期の燃焼室6の状態を示す図である。この状態は、TDCからピストン5が下降を開始した直後の膨張行程初期の段階である。この段階では、キャビティ5C内の混合気がSI燃焼により燃焼し、ピストン5の下降に伴ってスキッシュ生成面51に逆スキッシュ流RSqが発生する。未燃の混合気は、逆スキッシュ流RSqによって燃焼室6の径方向外側へ向かい、このことがCI燃焼を促進することに繋がる。従って、CI燃焼は比較的短時間で終了し、燃焼期間が徒に長引くことはない。
図12は、比較例及び本実施形態の燃焼室6における熱発生率を示すグラフである。図12において、符号Lで示すラインは、燃焼騒音が顕著になる、及び異常燃焼の発生が顕著となる限界ラインLである。つまり、熱発生率dQ/dθが限界ラインLを超過すると、燃焼騒音、異常燃焼が許容レベルを越えることになる。
まず、図12中の熱発生率曲線dQ1は、予混合圧縮着火式エンジンの高負荷高回転時において、上述のSI−CI燃焼を採用しない場合に生じる過早燃焼を示している。過早燃焼では、急峻に熱発生率(燃焼圧)が上昇し燃焼期間が過度に短期間となる。熱発生率曲線dQ1におけるdQ/dθのピーク値は、限界ラインLを大きく越えている。
次に、熱発生率曲線dQ2は、図9に示した比較例に対応するものである。クランク角CA1において着火部13AXにて強制着火が実行されて火炎伝播によるSI燃焼が始まり、クランク角CA2においてCI燃焼が始まっている。上述の通り、筒内流動の影響を受けて火炎伝播は排気側に偏って進展し、火炎伝播ゾーンR11は狭小となるので、当該SI燃焼によって燃焼する燃料量は少なく、クランク角CA1〜CA2の間は緩慢な燃焼となる。その分、クランク角CA2以降のCI燃焼では、未燃の混合気が一気に燃焼する。このため、熱発生率曲線dQ2では、一応は後期重心型の燃焼特性にはなるものの、dQ/dθのピーク値は限界ラインLを超過してしまう。
これに対し、熱発生率曲線dQ3は、図10に示した本実施形態に対応するものである。クランク角CA1において着火部13Aにて強制着火が実行されて火炎伝播によるSI燃焼が始まり、クランク角CA2よりも遅角したクランク角CA3においてCI燃焼が開始している。上述の通り、吸気側に偏在して配置された着火部13Aによって強制着火させることで、火炎伝播ゾーンR11は燃焼室6の全方位に均等に拡がるので、当該SI燃焼によって燃焼する燃料量は多くなる。このため、熱発生率曲線dQ3においてはSI燃焼の期間が長くなり、その結果急激な熱発生率dQ/dθの上昇が生じず、クランク角CA1〜CA3の間において限界ラインLを超過しない。
さらに、SI燃焼で消費される燃料量が多いので、クランク角CA3以降のCI燃焼で燃焼する燃料量は多くない。従って、当該CI燃焼においても、dQ/dθのピーク値は限界ラインLを超過することはない。しかも、逆スキッシュ流RSqによってCI燃焼が促進されるので、燃焼終点がそれほど遅角化しない。このように、熱発生率曲線dQ3では、後期重心型の燃焼特性になると共に、dQ/dθのピーク値が限界ラインLを超過しないし、燃焼期間も長期化しない。従って、本実施形態によれば、燃焼騒音及び異常燃焼を抑制し、熱効率を良好とすることができる。
[作用効果]
以上説明した本実施形態に係る予混合圧縮着火式エンジンによれば、次のような作用効果を奏する。シリンダヘッド4に組み付けられる点火プラグ13は、着火部13Aが燃焼室6の吸気側に偏在して配置される。そして、着火制御部101は、TDCよりも前のタイミングで混合気に強制着火するよう、点火プラグ13を制御する。
燃焼室6の径方向Bの中心領域に混合気が形成されたとしても、強制着火で生じる火炎はタンブル流Tuやスキッシュ流Sq等の筒内流動の影響によって排気側に流され、火炎伝播が排気側に向かう方向に偏る傾向が出る。しかし、本実施形態では、燃焼室6において吸気側に偏った位置が強制着火点となり、吸気側から排気側に向かう筒内流動に乗せて火炎伝播を燃焼室6の径方向Bの中心領域へ向かわせることができる。その結果、火炎伝播ゾーンR11が排気側に偏ることが抑制され、専ら燃焼室6の径方向中心領域でSI燃焼が生じる。しかも、SI燃焼で消費される燃料量も多くなる。その後、燃焼室6の径方向Bの周辺領域でCI燃焼が生じるが、未燃の燃料量は比較的少ないので、CI燃焼による熱発生量が過度となることはない。従って、燃焼騒音の低減及び異常燃焼の抑制を図ることができる。
また、着火部13Aは、圧縮行程後期において、キャビティ5Cに沿って流れるタンブル流Tuと、スキッシュ生成面51に沿って流れるスキッシュ流Sqとが合流する合流領域Mに配置されている。このため、タンブル流Tuとスキッシュ流Sqとを利用して、火炎伝播を、混合気が成層化されているキャビティ5Cの径方向中央部に指向させることができる。また、膨張行程初期においては、スキッシュ生成面51に生じる逆スキッシュ流RSqによって、燃焼室6の径方向外側領域のエンドガスゾーンR12におけるCI燃焼を促進させることができる。
さらに、着火部13Aが配置される合流領域Mは、気筒軸方向Aに沿った断面視において、スキッシュ生成面51の基部51Eとなるキャビティ5Cの外周縁5Eの径方向内側であって、キャビティ5Cの斜面部53の上方部分に隣接する領域とされる。また、合流領域Mは、燃焼室6の気筒軸方向の平面視において、2つの吸気ポート9A、9Bの間の領域である。このような合流領域Mは、タンブル流Tuとスキッシュ流Sqとが自ずと合流する領域であるので、着火部13Aにおいて発生した火炎を強い筒内流動に乗せて燃焼室6の径方向中心に向かわせるには最適である。
また、インジェクタ14からの燃料噴射は、キャビティ5C内に混合気が形成され、且つ、混合気とキャビティ5Cの底部52(壁面)との間に空気層が形成されるように実行される。これにより、キャビティ5C内に混合気層と該混合気層を取り囲む空気層とが成層化され、冷却損失を低減できる。そして、本実施形態によれば、キャビティ5C内で燃料分布の成層化が図られた状態において、火炎伝播をキャビティ5Cの全方位で均質に発生させることができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を採ることができる。
(1)上記実施形態では、ピストン5の冠面50にキャビティ5Cが備えられている燃焼室6を例示した。これに代えて、キャビティ5Cを備えないピストン5を用いるようにしても良い。
(2)上記実施形態では、タンブル流Tuとスキッシュ流Sqとが合流する合流領域Mに着火部13Aを配置した例を示したが、少なくともタンブル流Tによって火炎を燃焼室6の径方向内側へ向かわせる態様であれば良い。
(3)上記実施形態では、点火プラグ13として、中心電極131と接地電極132との間に火花放電を発生させるタイプの点火プラグを例示した。点火プラグ13は、各種の放電を行う放電電極を備えるものであれば良い。例えば、プラズマ放電を行う放電電極を備えたプラズマジェットプラグを、点火プラグ13として用いても良い。
(4)上記実施形態では、ピストンの冠面50のスキッシュ生成面51と燃焼室天井面6Uとが平行な構造を例示した。これら2つの面は必ずしも平行に形成しなくとも良く、スキッシュ生成面51が、燃焼室天井面6Uに対して最大±5度程度傾斜しても良い。この範囲内であれば、スキッシュ流Sqは充分に生成することができる。なお、図5(A)に図示されているように、スキッシュ生成面51が、燃焼室天井面6Uに対して、キャビティ5C側に向かうほど離間する(2つの面間の距離が若干広がる)構造としてもよい。
(5)上記実施形態では、インジェクタ14として、ホロコーン噴霧を形成する燃料噴射口を有する外開弁式のインジェクタを例示した。これに代えて、インジェクタ14のヘッド部14Aに複数の燃料噴射口を設けたインジェクタを用いても良い。
1 エンジン本体
2 気筒(燃焼室壁面)
3 シリンダブロック
4 シリンダヘッド
5 ピストン
5C キャビティ
5E 外周縁
50 冠面(燃焼室壁面)
51 スキッシュ生成面
52 底部
53 斜面部
6 燃焼室
6U 燃焼室天井面(燃焼室壁面)
9、9A、9B 吸気ポート
10、10A、10B 排気ポート
13 点火プラグ(強制着火源)
13A 着火部
14 インジェクタ(燃料噴射弁)
101 着火制御部

Claims (5)

  1. 少なくともガソリンを含む燃料を用いる予混合圧縮着火式エンジンであって、
    吸気ポート及び排気ポートを備え、前記吸気ポートからの吸気によってタンブル流が発生し、前記燃料の供給によって生成される混合気を圧縮着火燃焼させる燃焼室と、
    前記燃焼室の径方向の中心領域に向けて前記燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    前記燃焼室内に着火部が配置される強制着火源と、
    前記強制着火源による着火タイミングを制御する着火制御部と、を備え、
    前記着火部は、前記燃焼室において前記吸気ポートが配置される側を吸気側、前記排気ポートが配置される側を排気側とするとき、前記吸気側に偏在して配置され、
    前記着火制御部は、圧縮上死点よりも前のタイミングで前記混合気に強制着火するよう、前記強制着火源を制御することを特徴とする予混合圧縮着火式エンジン。
  2. 請求項1に記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
    前記燃焼室を区画する燃焼室壁面の一部は、ピストンの冠面と、該冠面と対向する燃焼室天井面とによって形成され、前記吸気ポート及び前記排気ポートは、前記燃焼室天井面に開口されており、
    前記冠面は、径方向の中央領域に凹設されたキャビティと、少なくとも前記吸気側における前記キャビティの径方向外側に配置され前記燃焼室天井面と略平行な平面からなるスキッシュ生成面とを含み、
    前記着火部は、圧縮行程後期において、前記キャビティに沿って流れる前記タンブル流と、前記スキッシュ生成面に沿って流れるスキッシュ流とが合流する合流領域に配置されている、予混合圧縮着火式エンジン。
  3. 請求項2に記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
    前記キャビティは、底部と、この底部から当該キャビティの外周縁に向けて立ち上がる斜面部とを含み、前記スキッシュ生成面は前記キャビティの外周縁から前記冠面の径方向外側に向けて延出する平面であって、
    前記合流領域は、気筒軸方向に沿った断面視において、前記スキッシュ生成面が延出する前記外周縁部分の径方向内側であって、前記斜面部の上方部分に隣接する領域である、予混合圧縮着火式エンジン。
  4. 請求項2に記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
    前記燃焼室天井面には、前記吸気ポート及び前記排気ポートが各々2個ずつ開口されており、
    前記スキッシュ生成面は、2つの前記吸気ポートの間から前記冠面の径方向外側に向けて延出する平面であって、
    前記合流領域は、前記燃焼室の気筒軸方向の平面視において、前記キャビティの外周縁の内側であって、2つの前記吸気ポートの間の領域である、予混合圧縮着火式エンジン。
  5. 請求項2〜4のいずれか1項に記載の予混合圧縮着火式エンジンにおいて、
    前記燃料噴射弁からの燃料噴射は、前記キャビティ内に混合気が形成され、且つ、前記混合気と前記キャビティの壁面との間に空気層が形成されるように実行される、予混合圧縮着火式エンジン。
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