以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。本開示は、以下の各実施の形態で説明する構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含み得る。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による貯湯式給湯装置を示す図である。図1に示すように、本実施の形態の貯湯式給湯装置は、水を加熱する加熱手段であるヒートポンプユニット2と、貯湯槽1を有する貯湯ユニット40とを備える。ヒートポンプユニット2と、貯湯ユニット40との間は、HP往き配管48と、HP戻り配管49と、電気配線(図示省略)とを介して接続されている。ヒートポンプユニット2内には、圧縮機、給湯用熱交換器、膨張弁、空気熱交換器を順次冷媒配管で接続したヒートポンプ回路が備えられている。
貯湯槽1は、湯水を貯留する。貯湯槽1の内部では、温度による水の密度の差によって、上側が高温で下側が低温になる温度成層を形成することができる。本実施の形態における貯湯槽1は、貯湯タンクを一つのみ備える。変形例として、貯湯槽1は、直列に接続された複数の貯湯タンクを備えたものでもよい。直列に接続された複数の貯湯タンクでは、上位側の貯湯タンクの下部と、当該貯湯タンクに対して低位側となる次の貯湯タンクの上部とが管を介して順次連結される。以下の説明において、貯湯槽1における上下方向の位置に関して言及するが、直列に接続された複数の貯湯タンクを貯湯槽1が備える場合には、それらの複数の貯湯タンクを含む貯湯槽1全体での階層において、上下方向の位置が特定されるものとする。以下の説明では、貯湯槽1に溜められた湯水を「タンク水」と呼ぶことがある。
貯湯槽1の外面には、貯湯槽1の上部からの容積が、例えば0L、50L、100L、150L、170L、220Lの各位置に、第1の温度センサ5a、第2の温度センサ5b、第3の温度センサ5c、第4の温度センサ5d、第5の温度センサ5e、第6の温度センサ5fがそれぞれ設けられており、各位置で水温を検出する。第1〜第6の温度センサ5a〜5fは、貯湯槽1内の残湯熱量を検出する残湯熱量検出手段として機能する。HP往き配管48には、ヒートポンプユニット2への入水温度を検出する第7の温度センサ5gが設けられている。
貯湯ユニット40内には、循環ポンプ4、一般給湯側電動混合弁7、高温配管8、給水管9、風呂給湯側電動混合弁11、風呂開閉弁13、風呂循環ポンプ14、入水切替弁17、給湯用流量センサ19、給湯用温度センサ20、風呂用流量センサ21、風呂用温度センサ22、給水温度センサ23、出湯切替弁26、中温戻し切替弁27、中温取出切替弁28、中温配管30などがさらに備えられている。
給水管9の上流は、例えば水道管のような水源に接続されている。給水管9の下流側は、給水管9a及び給水管9bに分岐している。給水管9aは、貯湯槽1の下部に接続されている。水源から供給される低温水が給水管9aから貯湯槽1の下部に流入することで、貯湯槽1内は満水状態に維持される。
中温取出切替弁28は、中温入口28a、低温入口28b、及び水出口28cを有する。低温入口28bに給水管9bが接続されている。中温入口28aに中温配管30の一端が接続されている。高温配管8の上流部は、貯湯槽1の上部にある第一位置1aにて貯湯槽1内に連通する。中温配管30の他端は、第一位置1aよりも低位にある第二位置1bにて貯湯槽1内に連通する。第二位置1bは、給水管9aが接続された貯湯槽1の下部よりも上位にある。すなわち、第二位置1bは、貯湯槽1の上部と下部との間の中間部にある。
貯湯槽1から中温配管30を通って供給される中温水が中温入口28aに流入する。当該中温水よりも温度の低い低温水が低温入口28bに流入する。本実施の形態では、水源から給水管9bを通って供給される低温水が低温入口28bに流入する。中温取出切替弁28は、「中温位置」と「低温位置」とに流路を切り替え可能である。「中温位置」では、中温入口28aが水出口28cへ連通し、低温入口28bが遮断される。「中温位置」のときには、中温配管30からの中温水が水出口28cへ流れる。「低温位置」では、低温入口28bが水出口28cへ連通し、中温入口28aが遮断される。「低温位置」のときには、給水管9bからの低温水が水出口28cへ流れる。
一般給湯側電動混合弁7は、湯側入口7a、水側入口7b、及び湯出口7cを備える。風呂給湯側電動混合弁11は、湯側入口11a、水側入口11b、及び湯出口11cを備える。高温配管8の下流部は、湯側入口7a及び湯側入口11aのそれぞれに連通している。中温取出切替弁28の水出口28cは、水側入口7b及び水側入口11bのそれぞれに連通している。
第一給湯管10の一端は、湯出口7cに接続されている。一般給湯側電動混合弁7は、貯湯槽1から高温配管8を通って供給される高温湯と、中温取出切替弁28の水出口28cからの水とを混合し、温度調節する。その温度調節された湯は、第一給湯管10に流入する。第一給湯管10を通る湯は、例えば、蛇口、シャワーなどに供給される。
第二給湯管18の一端は、湯出口11cに接続されている。風呂給湯側電動混合弁11は、貯湯槽1から高温配管8を通って供給される高温湯と、中温取出切替弁28の水出口28cからの水とを混合し、温度調節する。その温度調節された湯は、第二給湯管18に流入する。
給水管9には、給水温度センサ23が設けられている。給水温度センサ23は、給水管9を流れる水の温度である給水温度を検出する。第一給湯管10には、給湯用流量センサ19及び給湯用温度センサ20が設けられている。給湯用流量センサ19は、第一給湯管10を流れる湯水の流量を検出する。給湯用温度センサ20は、第一給湯管10を流れる湯水の温度である第一給湯温度を検出する。第二給湯管18には、風呂開閉弁13、風呂用流量センサ21、及び風呂用温度センサ22が設けられている。風呂用流量センサ21は、第二給湯管18を流れる湯水の流量を検出する。風呂用温度センサ22は、第二給湯管18を流れる湯水の温度である第二給湯温度を検出する。
第二給湯管18は、風呂側循環回路12に接続されている。貯湯ユニット40内には熱交換器15が配置されている。風呂側循環回路12は、貯湯式給湯装置の外部の浴室にある浴槽(図示省略)に接続されている。以下の説明では、浴槽に溜められた湯を「浴水」と呼ぶことがある。風呂側循環回路12は、浴槽内から浴水を引き込み、熱交換器15を経由した浴水を浴槽内に戻すことのできる経路である。風呂側循環回路12の途中に接続された風呂循環ポンプ14を運転すると、浴槽から浴水が風呂側循環回路12を通過して浴槽に戻るように循環する。
第二給湯管18は、風呂給湯側電動混合弁11の湯出口11cから浴槽へ供給される湯の通路を形成する。風呂開閉弁13は、第二給湯管18の通路を開放及び閉鎖する。浴槽へ湯を供給するとき以外は、風呂開閉弁13が閉鎖され、湯が第二給湯管18に流れない。貯湯ユニット40から浴槽に湯を注入する動作を行うときには、以下のようになる。風呂開閉弁13が開放され、第二給湯管18に湯の流れが発生する。風呂給湯側電動混合弁11は、第二給湯管18を流れる湯の温度が目標温度に等しくなるように制御される。第二給湯管18を通過した湯は、風呂側循環回路12を通って、浴槽に流入する。風呂開閉弁13を閉鎖すると、浴槽への湯の注入が停止する。以下の説明では、上記のようにして浴槽に湯を溜める動作を「浴槽湯はり」と称する。
入水切替弁17は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポートとを有する流路切替手段である。入水切替弁17は、a−c、b−cの2つの経路の間で流路切替可能に構成されている。
出湯切替弁26は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポート及びdポートとを有する流路切替手段である。出湯切替弁26は、a−c、a−d、b−c、b−dの4つの経路の間で流路切替可能に構成されている。
中温戻し切替弁27は、入口となるaポートと、出口となるbポート、cポート、及びdポートとを有する流路切替手段である。中温戻し切替弁27は、a−b、a−c、a−dの3つの経路の間で流路切替可能に構成されている。
貯湯ユニット40は、低温配管41、第一送水配管42、第一温水配管43、第二温水配管44、第三温水配管45、第四温水配管46、第五温水配管47を有している。低温配管41は、貯湯槽1の下部と入水切替弁17のaポートとの間を接続する。第一送水配管42は、入水切替弁17のcポートと循環ポンプ4の入口との間を接続する。HP往き配管48は、循環ポンプ4の出口と、ヒートポンプユニット2の入口との間を接続する。HP戻り配管49は、ヒートポンプユニット2の出口と出湯切替弁26のbポートとの間を接続する。第一温水配管43は、出湯切替弁26のdポートと、中温戻し切替弁27のaポートとの間を接続する。第三温水配管45は、中温戻し切替弁27のbポートと、貯湯槽1の上部の温水導入出口1cとの間を接続する。第四温水配管46は、中温戻し切替弁27のdポートと、高温配管8の途中の位置との間を接続する。第五温水配管47は、中温戻し切替弁27のcポートと、貯湯槽1の上部から中間部の間に設けられた温水導入口1dとの間を接続する。
温水導入出口1cの近くに上部温度センサ6が設けられている。上部温度センサ6によれば、ヒートポンプユニット2によって加熱されて貯湯槽1の上部に戻される湯の温度、及び貯湯槽1から高温配管8へ供給される高温湯の温度を検出可能である。
第一タンク循環配管16は、第三温水配管45の途中の位置と、熱交換器15のタンク水の入口との間を接続する。第二タンク循環配管50は、熱交換器15のタンク水の出口と、入水切替弁17のbポートとの間を接続する。第二送水配管51は、HP往き配管48における循環ポンプ4とヒートポンプユニット2の入口との間から分岐し、出湯切替弁26のaポートに接続される。風呂熱回収配管31は、第二タンク循環配管50の途中の位置から分岐して、中温配管30の途中の位置に接続されている。
本実施の形態の貯湯式給湯装置は、制御手段としての制御装置24を備える。制御装置24は、上述した各アクチュエータ及び各センサと電気的に接続されている。貯湯式給湯装置の運転は、制御装置24により制御される。
制御装置24と、リモコン25との間は、有線通信または無線通信により、双方向に通信可能である。制御装置24と、リモコン25とが、ネットワークを介して通信可能でもよい。リモコン25は、ユーザーインターフェースの例である。リモコン25は、使用者が操作する操作部と、情報を表示する表示部25aとを有する。リモコン25は、操作部及び表示部25aの両方の機能を有するタッチスクリーンを備えてもよい。使用者は、リモコン25を操作することで、貯湯式給湯装置を遠隔操作し、各種の設定などを行うことが可能である。リモコン25の表示部25aは、使用者に情報を報知する報知手段としての機能を有する。本実施の形態におけるリモコン25は、表示部25aを報知手段として備えるが、変形例として、例えば音声案内装置のような他の報知手段を備えてもよい。
本実施の形態において、リモコン25は、例えば台所、リビング、浴室などの壁に設置されたものでもよい。または、例えばスマートフォンのような携帯情報端末がリモコン25のようなユーザーインターフェースとしての機能を有するように構成してもよい。複数のリモコン25が制御装置24に対して通信可能でもよい。
使用者は、リモコン25を操作することで、一般給湯側電動混合弁7についての設定温度及び風呂給湯側電動混合弁11についての設定温度をそれぞれ変更できる。以下の説明では、一般給湯側電動混合弁7についての設定温度を「給湯設定温度」と呼び、風呂給湯側電動混合弁11についての設定温度を「湯はり設定温度」と呼ぶ。
本実施の形態の貯湯式給湯装置は、ヒートポンプユニット2で加熱された湯を貯湯槽1に流入させる貯湯運転を実行できる。貯湯運転では、以下のようになる。ヒートポンプユニット2及び循環ポンプ4が運転される。貯湯槽1の下部から取り出された水が、低温配管41、入水切替弁17、第一送水配管42、循環ポンプ4、及びHP往き配管48を通ってヒートポンプユニット2内に導かれる。ヒートポンプユニット2内で加熱された高温の湯は、HP戻り配管49、出湯切替弁26、第一温水配管43、中温戻し切替弁27、及び第三温水配管45を通って、温水導入出口1cから貯湯槽1に流入する。貯湯運転は、典型的には、深夜電力時間帯を中心に実施され、翌日に使用される分の湯を貯湯槽1に貯える。
給湯用流量センサ19が水流を検出すると、制御装置24は、給湯用温度センサ20により検出される温度が、目標温度である給湯設定温度に等しくなるように、一般給湯側電動混合弁7での混合比を調整するフィードバック制御を行う。風呂用流量センサ21が水流を検出すると、制御装置24は、風呂用温度センサ22により検出される温度が、目標温度である湯はり設定温度に等しくなるように、風呂給湯側電動混合弁11での混合比を調整するフィードバック制御を行う。
中温取出切替弁28が低温位置にあるときには、水源からの低温水と、貯湯槽1の上部からの高温湯とが、一般給湯側電動混合弁7及び風呂給湯側電動混合弁11にて混合され、給湯に利用される。中温取出切替弁28が中温位置にあるときには、貯湯槽1から中温配管30へ流出した中温水と、貯湯槽1の上部からの高温湯とが、一般給湯側電動混合弁7及び風呂給湯側電動混合弁11にて混合され、給湯に利用される。本実施の形態であれば、貯湯槽1から中温配管30へ流出する中温水を給湯に利用可能であるので、貯湯槽1内の中温水の量を低減できる。このため、ヒートポンプユニット2への入水温度を低くすることができ、ヒートポンプユニット2の運転効率を向上できる。以下の説明では、中温取出切替弁28を中温位置とすることで中温水を給湯に利用することを「中温水利用」と呼ぶことがある。
本実施の形態の貯湯式給湯装置は、追い焚き運転を実行できる。追い焚き運転は、熱交換器15にて、貯湯槽1から循環するタンク水により、浴槽から循環する浴水を加熱する運転である。追い焚き運転のときには、以下のようになる。風呂循環ポンプ14が運転され、風呂側循環回路12に浴水が循環する。循環ポンプ4が運転され、貯湯槽1から取り出されたタンク水が次のように循環する。貯湯槽1の上部の温水導入出口1cから流出した高温のタンク水は、第一タンク循環配管16を通って、熱交換器15に流入する。熱交換器15内で、タンク水は、浴槽からの浴水に熱を奪われることで温度低下し、例えば50℃程度の温度になる。この温度低下したタンク水を以下「追い焚き戻り湯」と称する。追い焚き戻り湯は、熱交換器15から、第二タンク循環配管50、入水切替弁17、第一送水配管42、循環ポンプ4、第二送水配管51、出湯切替弁26、第一温水配管43、中温戻し切替弁27、及び第五温水配管47を通って、温水導入口1dから貯湯槽1内に流入する。浴槽内の浴水の温度が適温まで上昇すると、制御装置24は、風呂循環ポンプ14及び循環ポンプ4の動作を停止し、追い焚き運転を終了する。
本実施の形態の貯湯式給湯装置は、風呂熱回収運転を実行できる。風呂熱回収運転は、入浴の終了後、熱交換器15にて、浴槽から循環する浴水によって貯湯槽1から循環するタンク水を加熱することで、浴槽内の熱を貯湯槽1内に回収する運転である。風呂熱回収運転のときには、以下のようになる。風呂循環ポンプ14が運転され、風呂側循環回路12に浴水が循環する。循環ポンプ4が運転され、貯湯槽1から取り出されたタンク水が次のように循環する。貯湯槽1の下部から低温配管41へ流出した低温のタンク水は、入水切替弁17、第一送水配管42、循環ポンプ4、第二送水配管51、出湯切替弁26、第一温水配管43、中温戻し切替弁27、第三温水配管45、及び第一タンク循環配管16を通って、熱交換器15に流入する。熱交換器15内で、タンク水は、浴槽からの浴水の熱により加熱され、浴槽内の浴水の温度に近い温度になる。この加熱されたタンク水を以下「熱回収温水」と称する。熱回収温水は、熱交換器15から、風呂熱回収配管31、及び中温配管30を通って、第二位置1bから貯湯槽1内に流入する。このようにして風呂熱回収運転が実施されると、貯湯槽1内で第二位置1bに近い高さの領域に、熱回収温水が貯留される。浴槽内の浴水の残熱の回収が終了すると、制御装置24は、風呂循環ポンプ14及び循環ポンプ4の動作を停止し、風呂熱回収運転を終了する。
本実施の形態の貯湯式給湯装置は、エア抜き運転を実行できる。エア抜き運転は、配管内のエア抜きを行うための運転である。リモコン25にてエア抜き運転の開始の操作がされると、制御装置24は、エア抜き運転を行う。エア抜き運転のときには、以下のようになる。循環ポンプ4が運転される。貯湯槽1の上部から取り出された高温湯が、熱交換器15、入水切替弁17、循環ポンプ4、ヒートポンプユニット2、出湯切替弁26、中温戻し切替弁27を通って、温水導入口1dから貯湯槽1内に流入する。同時に、貯湯槽1内の湯が第二位置1bから中温配管30、風呂熱回収配管31を通って、第二タンク循環配管50に流入して合流する。エア抜き運転のときには、風呂循環ポンプ14は運転されず、浴水は熱交換器15に循環しない。このため、熱交換器15を通る高温湯は、熱交換をせず、高温のままで温水導入口1dから貯湯槽1内に流入する。エア抜き運転の動作時間が所定時間を超えた場合、あるいはリモコン25にてエア抜き運転の終了の操作がされた場合には、制御装置24は、循環ポンプ4の動作を停止し、エア抜き運転を終了する。
制御装置24は、中温水利用制御手段24a、中温水利用禁止手段24b、及び中温水利用停止手段24cを備える。中温水利用制御手段24aは、中温水が利用できるかどうかを判断し、中温取出切替弁28に対して動作指示を送る。中温水利用制御手段24aは、貯湯槽1から中温配管30へ供給される中温水の温度に基づいて、中温水が利用できるかどうかを判断する。第4の温度センサ5dは、第二位置1bと同じ高さ、またはほぼ同じ高さの位置にある。第4の温度センサ5dにより検出される温度は、貯湯槽1から中温配管30へ供給される中温水の温度に等しいとみなすことができる。よって、第4の温度センサ5dにより、貯湯槽1から中温配管30へ供給される中温水を検出できる。以下の説明では、第4の温度センサ5dにより検出される温度を「中温水検出温度」と称する。第4の温度センサ5dは、中温水温度検出手段に相当する。
例えば、以下のようにしてもよい。中温水利用制御手段24aは、給湯設定温度及び湯はり設定温度の少なくとも一方に基づいて、中温取出許可温度を算出する。中温取出許可温度は、給湯設定温度あるいは湯はり設定温度よりも低い温度である。中温水利用制御手段24aは、中温水検出温度が中温取出許可温度以下であれば、中温水利用可能と判断し、中温取出切替弁28を中温位置にする要求を出す。中温水利用制御手段24aは、中温水検出温度が中温取出許可温度よりも高ければ、中温水利用不可と判断し、中温取出切替弁28を低温位置にする要求を出す。
以下の説明では、中温取出切替弁28の中温入口28aに供給される中温水の温度を「中温水温度」と称する。中温水利用禁止手段24bは、例えば、中温水温度が現在の温度よりも高くなる可能性がある場合に、中温水利用を禁止してもよい。中温水利用禁止手段24bは、例えば、貯湯槽1内の中間部の温度が上昇する可能性のある運転、あるいは貯湯槽1内の中間部の温度が急峻に変動する可能性のある運転が行われている場合に、中温水利用を禁止してもよい。これにより、設定温度よりも高い温度の湯が第一給湯管10または第二給湯管18へ供給されたり、給湯温度の変動が発生したりすることを確実に防止できる。中温水利用禁止手段24bは、中温水利用を禁止する場合には、中温取出切替弁28を低温位置にする要求を出す。以下の説明では、設定温度よりも高い温度の湯が第一給湯管10または第二給湯管18へ供給されることを「高温給湯」と称し、第一給湯管10または第二給湯管18を流れる湯の温度が変動することを「給湯温度変動」と称する。
中温水利用停止手段24cは、中温水利用中に、貯湯槽1内の中間部の温度が上昇する可能性のある運転、あるいは貯湯槽1内の中間部の温度が急峻に変動する可能性のある運転を開始する要求が発生した場合には、中温取出切替弁28を中温位置から低温位置へ切り替える要求を出す。
制御装置24は、上述した中温水利用制御手段24a、中温水利用禁止手段24b、及び中温水利用停止手段24cからの要求に応じて、中温取出切替弁28を低温位置から中温位置へ切り替える切替動作、及び中温取出切替弁28を中温位置から低温位置へ切り替える切替動作を行うことができる。
本実施の形態において、給水温度センサ23は、中温取出切替弁28の低温入口28bへ供給される低温水の温度を検出可能である。以下の説明では、給水温度センサ23により検出される温度を「低温水検出温度」と称する。給水温度センサ23は、低温水温度検出手段に相当する。また、上部温度センサ6は、貯湯槽1から一般給湯側電動混合弁7の湯側入口7a及び風呂給湯側電動混合弁11の湯側入口11aへ供給される高温湯の温度を検出可能である。以下の説明では、上部温度センサ6により検出される温度を「高温湯検出温度」と称する。上部温度センサ6は、高温湯温度検出手段に相当する。
風呂給湯側電動混合弁11は、例えば、ステッピングモータにより回転する弁体を備え、当該弁体の回転によって湯側入口11aの開度と水側入口11bの開度との比を変えることで、湯と水の混合比を調整する。この場合、ステッピングモータの回転量に応じて混合比が変化するので、制御装置24は、ステッピングモータの回転量の情報に対応した混合比の情報を保持することができる。以下の説明では、水側入口11bからの水の混合比を最大にする状態を「水側全開」と呼び、湯側入口11aからの湯の混合比を最大にする状態を「湯側全開」と呼ぶことがある。水側全開は、水側入口11bからの水の混合比を100%とし、湯側入口11aからの湯の混合比を0%とする開度でもよい。湯側全開は、湯側入口11aからの湯の混合比を100%とし、水側入口11bからの水の混合比を0%とする開度でもよい。なお、一般給湯側電動混合弁7の構成は、上述した風呂給湯側電動混合弁11の構成と同様である。
中温取出切替弁28が低温位置にある場合には、制御装置24は、低温水検出温度と、高温湯検出温度と、風呂給湯側電動混合弁11の混合比情報とに基づいて、風呂給湯側電動混合弁11の湯出口11cから流出する湯の温度を計算により予測できる。また、中温取出切替弁28が中温位置にある場合には、制御装置24は、中温水検出温度と、高温湯検出温度と、風呂給湯側電動混合弁11の混合比情報とに基づいて、風呂給湯側電動混合弁11の湯出口11cから流出する湯の温度を計算により予測できる。このようにして制御装置24が計算した温度を以下「予測給湯温度」と呼ぶことがある。
中温取出切替弁28を低温位置から中温位置へ切り替える切替動作が行われると、水側入口11bに供給される水の温度が上昇する。また、中温取出切替弁28を中温位置から低温位置へ切り替える切替動作が行われると、水側入口11bに供給される水の温度が低下する。本実施の形態において、制御装置24は、中温取出切替弁28の切替動作を行った場合には、水側入口11bに供給される水の温度の変化に起因する給湯温度の変化が抑制されるように、風呂給湯側電動混合弁11の混合比を調整する動作を行う。以下の説明では、このときの風呂給湯側電動混合弁11の動作を「混合比変更動作」と称する。
制御装置24は、例えば以下のようにして混合比変更動作を行ってもよい。制御装置24は、低温水検出温度と、中温水検出温度と、高温湯検出温度と、中温取出切替弁28の切替動作の前の風呂給湯側電動混合弁11の混合比情報とに基づいて、当該切替動作の後の予測給湯温度が当該切替動作の前の予測給湯温度に等しくなるような混合比を計算できる。制御装置24は、そのようにして計算された混合比となるように、風呂給湯側電動混合弁11のステッピングモータを駆動する。このように、制御装置24は、フィードフォワード制御によって混合比変更動作を行うことができる。
なお、制御装置24は、一般給湯側電動混合弁7に対しても、上述したような混合比変更動作を行ってもよい。
本実施の形態の制御装置24は、第一禁止手段24d及び第二禁止手段24eをさらに備える。なお、図1において、制御装置24は、第三禁止手段24fをさらに備えているが、本実施の形態の制御装置24は、第三禁止手段24fを備えなくてよい。第三禁止手段24fについては、後述する実施の形態3で説明する。
第一禁止手段24dは、中温取出切替弁28が低温位置から中温位置への切替動作をしている最中に風呂開閉弁13を開放することを禁止する。例えば、第一禁止手段24dは、中温取出切替弁28が低温位置から中温位置への切替動作をしている最中に、浴槽湯はりの要求が発生した場合には、風呂開閉弁13を開放せず、浴槽湯はりを開始しないようにする。この場合、制御装置24は、中温取出切替弁28の切替動作の終了後に、風呂開閉弁13を開放して浴槽湯はりを開始する。
仮に、中温取出切替弁28が低温位置から中温位置への切替動作をしている最中に風呂開閉弁13を開放して浴槽湯はりを開始したとすると、浴槽へ供給される湯の給湯温度変動及び高温給湯が発生する可能性がある。これに対し、本実施の形態であれば、第一禁止手段24dを備えたことで、浴槽湯はりのときの給湯温度変動及び高温給湯を確実に防止できるので、使用者の満足度を向上させることが可能となる。
第二禁止手段24eは、風呂開閉弁13が開放しているときに中温取出切替弁28が切替動作をすることを禁止する。本実施の形態では、浴槽湯はりの実行中に中温取出切替弁28の切替動作の要求が発生した場合には、第二禁止手段24eが切替動作を禁止するので、中温取出切替弁28の切替動作を実行しない。このため、本実施の形態では、浴槽湯はりの実行中に風呂開閉弁13を一時的に閉鎖して中温取出切替弁28を切替動作させる必要はない。これにより、浴槽湯はりが途中で一時的に中断することを防止できるので、以下の効果が得られる。浴槽湯はりを完了するまでの時間が延びることを防止できる。浴槽湯はりの機能が故障したと使用者が勘違いすることを確実に防止できる。これらのことから、使用者の満足度を向上させることが可能となる。
第一禁止手段24dは、中温取出切替弁28の切替動作に伴う風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作をしている最中に風呂開閉弁13を開放することをさらに禁止してもよい。すなわち、第一禁止手段24dは、風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作をしている最中に、浴槽湯はりの要求が発生した場合には、風呂開閉弁13を開放せず、浴槽湯はりを開始しないようにする。この場合、制御装置24は、混合比変更動作の終了後に、風呂開閉弁13を開放して浴槽湯はりを開始する。上記のようにすることで、浴槽湯はりのときの給湯温度変動及び高温給湯をより確実に防止できる。
第一禁止手段24dは、中温取出切替弁28が中温位置から低温位置への切替動作をしている最中に風呂開閉弁13を開放することをさらに禁止してもよい。これにより、浴槽湯はりのときの給湯温度変動をより確実に防止できる。
あるいは、第一禁止手段24dは、中温取出切替弁28が中温位置から低温位置への切替動作をしている最中には風呂開閉弁13を開放することを許容してもよい。すなわち、第一禁止手段24dは、中温取出切替弁28が中温位置から低温位置への切替動作をしている最中に、浴槽湯はりの要求が発生した場合には、風呂開閉弁13を開放させ、浴槽湯はりを開始させるようにしてもよい。上記のようにすることで、浴槽湯はりの開始が遅延する頻度を低減できるので、浴槽湯はりの平均的な所要時間を短縮することができる。
中温取出切替弁28が中温位置から低温位置へ切替動作するときには、風呂給湯側電動混合弁11の水側入口11bに供給される水の温度が低下するので、設定温度よりも低い側に給湯温度が変動する。設定温度よりも高い側に給湯温度が変動する場合には、使用者の満足度が低下しやすい。これに対し、設定温度よりも低い側に給湯温度が変動する場合には、使用者の満足度は低下しにくい。よって、中温取出切替弁28が中温位置から低温位置への切替動作をしている最中には、風呂開閉弁13を開放することを許容しても問題はない。
制御装置24は、使用者が予約した湯はり完了時刻までに浴槽に湯が溜まるように浴槽に給湯する湯はり予約機能を有する。使用者は、リモコン25を操作することで、湯はり完了時刻を予約することができる。制御装置24は、浴槽湯はりの所要時間を予測できる。例えば、制御装置24は、使用者により設定された湯はり湯量に基づいて、浴槽湯はりの所要時間を計算してもよい。制御装置24は、予約された湯はり完了時刻から、当該所要時間だけ遡った時刻(以下、「予約湯はり開始時刻」と称する)になると、浴槽湯はりを自動で開始する。
図2は、本実施の形態において制御装置24が行う処理を示すフローチャートである。制御装置24は、浴槽湯はりの要求が発生すると、本フローチャートの処理を開始する。例えば、使用者がリモコン25に対して浴槽湯はりの指示を入力すると浴槽湯はりの要求が発生する。または、湯はり予約機能において湯はり完了時刻が予約されている場合には、現在時刻が予約湯はり開始時刻に一致すると浴槽湯はりの要求が発生する。
浴槽湯はりの要求が発生した場合には、ステップS1として、制御装置24は、中温取出切替弁28の切替動作が実行中かどうかを判断する。中温取出切替弁28の切替動作が実行中の場合には、ステップS1の処理を繰り返す。中温取出切替弁28の切替動作が終了すると、ステップS2へ進み、制御装置24は、中温取出切替弁28の切替動作に伴う風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作が実行中かどうかを判断する。混合比変更動作が実行中の場合には、ステップS2の処理を繰り返す。混合比変更動作が終了すると、ステップS3へ進み、制御装置24は、風呂開閉弁13を開放し、浴槽湯はりを開始する。
図3及び図4は、中温取出切替弁28が低温位置から中温位置への切替動作をしている最中に浴槽湯はりの要求が発生した場合の中温取出切替弁28、風呂給湯側電動混合弁11、及び風呂開閉弁13の動作と、浴槽への給湯温度の時間的な変化の例を示すタイミングチャートである。
図3の例は、実施の形態1に相当するものではなく、比較例である。図3の例は、以下のようになっている。中温取出切替弁28は、時刻t2から時刻t4までの間、低温位置から中温位置への切替動作をしている。その最中の時刻t3において浴槽湯はりの要求が発生すると、風呂開閉弁13を開放し、浴槽湯はりを開始する。風呂給湯側電動混合弁11は、時刻t4から時刻t6までの間、中温取出切替弁28の切替動作に伴う風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作をしている。低温位置から中温位置への切替動作の最中には、風呂給湯側電動混合弁11の水側入口11bに供給される水の温度が上昇する。このため、時刻t3から時刻t4までの間、浴槽への給湯温度が目標温度よりも高くなる高温給湯が発生する。このように、図3の例では、高温給湯及び給湯温度変動が発生する。
図4の例は、実施の形態1に相当する。図4の例では、中温取出切替弁28の切替動作及び風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作が共に終了した状態となる時刻t6になるまでは、中温取出切替弁28の切替動作を第一禁止手段24dが禁止する。このため、時刻t6になってから風呂開閉弁13を開放して浴槽湯はりが開始される。これにより、浴槽への高温給湯及び給湯温度変動を確実に防止できる。
なお、図3及び図4の例では、中温取出切替弁28の切替動作の終了時に風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作を開始しているが、中温取出切替弁28の切替動作の終了前に風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作を開始してもよい。中温取出切替弁28の切替動作と、風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作とを時間的に並行して実行することで、切替完了までの所要時間を短縮できる。
図5及び図6は、風呂開閉弁13が開放した浴槽湯はりの最中に中温取出切替弁28の切替要求が発生した場合の中温取出切替弁28、風呂給湯側電動混合弁11、及び風呂開閉弁13の動作と、浴槽への給湯温度と、浴槽への積算給湯量の時間的な変化の例を示すタイミングチャートである。
図5及び図6中の「中温水取出判断結果」の「可」とは、中温水利用制御手段24a、中温水利用禁止手段24b、及び中温水利用停止手段24cにより、中温水利用が可能と判定されていることを示す。「中温水取出判断結果」の「不可」とは、中温水利用制御手段24a、中温水利用禁止手段24b、及び中温水利用停止手段24cにより、中温水利用が不可と判定されていることを示す。
図5の例は、実施の形態1に相当するものではなく、比較例である。図5の例は、以下のようになっている。時刻t1のとき、中温水取出判断結果が不可であるため、中温取出切替弁28は低温位置にある。時刻t1に風呂開閉弁13を開放し、浴槽湯はりを開始する。時刻t2に、中温水取出判断結果が不可から可に変わった結果、中温取出切替弁28を低温位置から中温位置へ切り替える要求が発生する。その要求に応えて、時刻t2に、中温取出切替弁28の切替動作を開始するとともに、高温給湯及び給湯温度の変動を回避するため、風呂開閉弁13を閉鎖し、浴槽湯はりを停止する。中温取出切替弁28は、時刻t2から時刻t4までの間、切替動作をしている。風呂給湯側電動混合弁11は、時刻t4から時刻t6までの間、中温取出切替弁28の切替動作に伴う風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作をしている。中温取出切替弁28の切替動作及び風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作が共に終了した状態となる時刻t6になると、風呂開閉弁13を開放して浴槽湯はりを再開する。
図5の例では、時刻t2から時刻t6までの間、浴槽湯はりが一時中断し、浴槽への積算給湯量が増加しない状態になる。このため、浴槽湯はりを完了させるまでの時間が長くなってしまう。また、浴槽湯はりが完了する前に、浴槽への給湯が一時停止してしまうことで、使用者が貯湯式給湯装置の故障を疑ってしまう可能性がある。
図6の例は、実施の形態1に相当する。図6の例では、風呂開閉弁13が開放している浴槽湯はりの最中は、中温水利用制御手段24a、中温水利用禁止手段24b、及び中温水利用停止手段24cが中温水利用「可」と判断したとしても、中温取出切替弁28が切替動作することを第二禁止手段24eが禁止するので、中温取出切替弁28の切替動作が実行されない。これにより、浴槽湯はりの中断を確実に防止でき、浴槽湯はりを完了させるまでの時間が延びることを防止できる。また、使用者が貯湯式給湯装置の故障を疑ってしまうこともない。
実施の形態2.
次に、図7及び図8を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。
本実施の形態における制御装置24は、中温取出切替弁28が低温位置と中温位置との間で切替動作を行う前と後での給湯温度の変化量を予測し、その予測された給湯温度の変化量が第一基準値以内の場合には、第一禁止手段24dを無効とし、風呂開閉弁13を開放することを許容する。
図7及び図8は、実施の形態2における制御の一例を説明するための図である。図7の例では、以下のようになっている。上部温度センサ6により検出される高温湯検出温度が80℃、第4の温度センサ5dにより検出される中温水検出温度が30℃、給水温度センサ23により検出される低温水検出温度が10℃とする。風呂給湯側電動混合弁11の湯と水の混合比を50:50とする。中温取出切替弁28は、低温位置から中温位置へ切替動作を行う。制御装置24は、切替動作を行う前と後の予測給湯温度を前述したようにして算出する。この例では、切替動作の前は、80℃の高温水と10℃の低温水とが50:50の混合比で混合されるので、予測給湯温度は45℃になる。切替動作の後は、80℃の高温水と30℃の中温水とが50:50の混合比で混合されるので、予測給湯温度は55℃になる。第一基準値を3℃とする。風呂給湯側電動混合弁11の混合比を変えないとした場合、中温取出切替弁28の切替動作を行う前と後での予測給湯温度の差は、55℃−45℃=10℃となり、第一基準値よりも大きくなる。このため、図7の例では、制御装置24は、第一禁止手段24dを無効とせず、実施の形態1と同様の制御を行う。
これに対し、図8の例では、以下のようになっている。上部温度センサ6により検出される高温湯検出温度が80℃、第4の温度センサ5dにより検出される中温水検出温度が14℃、給水温度センサ23により検出される低温水検出温度が10℃とする。風呂給湯側電動混合弁11の湯と水の混合比を50:50とする。中温取出切替弁28は、低温位置から中温位置へ切替動作を行う。切替動作の前は、図7の例と同様に、予測給湯温度は45℃になる。切替動作の後は、80℃の高温水と14℃の中温水とが50:50の混合比で混合されるので、予測給湯温度は47℃になる。風呂給湯側電動混合弁11の混合比を変えないとした場合、中温取出切替弁28の切替動作を行う前と後での予測給湯温度の差は、47℃−45℃=2℃となり、第一基準値の3℃以内になる。この場合、制御装置24は、第一禁止手段24dを無効とし、風呂開閉弁13を開放することを許容する。例えば、中温取出切替弁28が低温位置から中温位置への切替動作をしている最中に、浴槽湯はりの要求が発生した場合には、制御装置24は、当該切替動作の終了を待つことなく風呂開閉弁13を開放し、浴槽湯はりを開始する。これにより、浴槽湯はりの開始が遅延することを防止できるので、使用者の満足度を向上させることができる。この場合、中温取出切替弁28の切替動作に起因する給湯温度の変動については、第一基準値以内に収まると考えられるので、使用者の満足度が下がることを抑制できる。
上記の例では第一基準値を3℃としたが、第一基準値は、給湯温度が一時的に目標温度から外れても、使用者が不快感を抱いたり、製品不良を疑ったりしないと考えられるような値であれば、他の値でもよい。
さらに、本実施の形態2では、以下のようにしてもよい。第二基準値は、第一基準値よりも大きい値である。例えば第二基準値を6℃としてもよい。制御装置24は、浴槽内に浴水が溜められているかどうかを判定できる。例えば、制御装置24は、風呂循環ポンプ14を運転したときの風呂側循環回路12の水流の有無を検出するフロースイッチ(図示省略)と、浴槽の水位を検出する水位センサ(図示省略)との少なくとも一方の信号に基づいて、浴槽内に浴水が溜められているかどうかを判定してもよい。浴槽内に浴水が溜められている場合においては、制御装置24は、中温取出切替弁28が切替動作を行う前と後での予測給湯温度の変化量が第二基準値以内の場合には、第一禁止手段24dを無効とし、風呂開閉弁13を開放することを許容する。浴槽内に浴水が溜められている場合には、浴槽に注入された湯がすぐに浴槽内の浴水と混ざるので、使用者が感じる給湯温度の変動は比較的小さくなる。よって、給湯温度変動が多少大きくなっても問題ない。そこで、浴槽内に浴水が溜められている場合には、第一基準値よりも大きい第二基準値を設定することで、浴槽への給湯開始が遅延する頻度をさらに低下させることが可能となる。
実施の形態3.
次に、実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。
本実施の形態の制御装置24は、第三禁止手段24fをさらに備える。制御装置24は、湯はり予約機能による給湯を開始する時点よりも前の時点、すなわち予約湯はり開始時刻よりも前の時点から、湯はり予約機能による給湯を終了する時点までの間、中温取出切替弁28が切替動作することを禁止する。第三禁止手段24fは、予約湯はり開始時刻の所定時間前の時点から、中温取出切替弁28が切替動作することを禁止してもよい。この「所定時間」は、例えば、30秒間、1分間などでもよい。本実施の形態であれば、中温取出切替弁28の切替動作が、予約湯はり開始時刻よりも前の時点から禁止されるので、予約湯はり開始時刻になったときに中温取出切替弁28が切替動作をしている状況になることを確実に防止できる。このため、予約湯はりの開始が遅延することを確実に防止でき、使用者が予約した時刻に浴槽湯はりを確実に完了することができる。
実施の形態4.
次に、実施の形態4について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。
本実施の形態の制御装置24は、浴槽湯はりを開始する場合に、浴槽内に湯が残っているかどうかを判定するために、風呂循環ポンプ14を運転し、風呂側循環回路12に設けられたフロースイッチ(図示省略)により、水流の有無を検出する。その準備として、制御装置24は、風呂循環ポンプ14が空気を噛み込む空運転をしないように、浴槽湯はりの開始時に、風呂開閉弁13を一時的に開いて、風呂側循環回路12の流路内を満たすための呼び水を供給する。その後、制御装置24は、風呂開閉弁13を一旦閉鎖し、風呂循環ポンプ14を運転し、フロースイッチにより、水流の有無を検出する。
呼び水の量は、風呂側循環回路12の流路内を満たすことのできる量であればよく、例えば8L程度でもよい。本実施の形態の制御装置24は、第一禁止手段24dにより風呂開閉弁13を開放することが禁止されている最中に、浴槽湯はりを開始させる指示をリモコン25に対して使用者が入力した場合には、呼び水に相当する量の水を供給する間だけ第一禁止手段24dを一時的に無効として風呂開閉弁13を開放する。すなわち、制御装置24は、中温取出切替弁28の切替動作の最中または風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作の最中に、浴槽湯はりを開始させる指示をリモコン25に対して使用者が入力した場合には、第一禁止手段24dを一時的に無効として風呂開閉弁13を開放し、例えば8L程度の水を浴槽へ供給した後、風呂開閉弁13を閉鎖する。
実施の形態1では、中温取出切替弁28の切替動作の最中または風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作の最中に、浴槽湯はりを開始させる指示をリモコン25に対して使用者が入力した場合には、当該動作が終了するまで、浴槽湯はりの開始を遅延させる。このとき、浴槽湯はりがすぐに開始されないために、使用者の満足度が下がる可能性がある。これに対し、本実施の形態であれば、浴槽湯はりを開始させる指示をリモコン25に対して使用者が入力した場合に、呼び水に相当する量の水がすぐに浴槽に供給されるので、使用者は、浴槽湯はりが正常に開始したと認識する。このため、使用者の満足度が下がることをより確実に防止できる。また、呼び水に相当する量の温水を供給した後は風呂開閉弁13を閉鎖することで、高温給湯及び給湯温度変動を確実に防止できる。
本実施の形態では、浴槽湯はりの実行中以外のときには、風呂給湯側電動混合弁11を水側全開の状態で待機させておくことが望ましい。これにより、使用者の操作に応じて呼び水を浴槽へ供給した際に、高温給湯が発生することをより確実に防止できるので、使用者の満足度が低下することをより確実に防止できる。なお、中温取出許可温度が高すぎると、風呂給湯側電動混合弁11が水側全開の状態で待機していても、呼び水の温度が高くなりすぎる可能性がある。このため、本実施の形態では、中温取出許可温度を低め温度、例えば40℃程度の温度に設定することが望ましい。
実施の形態5.
次に、実施の形態5について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。
貯湯式給湯装置の仕様によっては、各種の弁を駆動する電源ユニットの能力に制約があり、同時に駆動可能な弁の数が限られている場合がある。この場合において、例えば、使用者がシャワー等を使用中であれば、一般給湯側電動混合弁7の駆動を最優先しなければ使用者の満足度が著しく低下することが考えられる。よって、実施の形態1では、中温取出切替弁28の切替要求が発生したときに、一般給湯側電動混合弁7が駆動中だった場合には、一般給湯側電動混合弁7の駆動が終了するまで、中温取出切替弁28の切替動作及び風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作の開始を遅延させなければならない可能性がある。その間に浴槽湯はりの要求が発生すると、中温取出切替弁28の切替動作及び風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作が終了するまで、浴槽湯はりの開始が遅延されるので、使用者の満足度が下がる可能性がある。
これに対し、本実施の形態では、浴槽湯はりを開始させる指示をリモコン25に対して使用者が入力してから所定時間が経過した場合には、制御装置24は、第一禁止手段24dを無効として風呂開閉弁13を開放する。この「所定時間」は、例えば、10秒間でもよい。中温取出切替弁28の切替動作の最大動作時間(例えば5秒間)と、風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作の最大動作時間(例えば5秒間)との和に相当する時間を「所定時間」としてもよい。本実施の形態であれば、浴槽湯はりの開始が上記所定時間以上遅延することを確実に防止できるので、使用者の満足度が下がることをより確実に防止できる。
実施の形態6.
次に、実施の形態6について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。
本実施の形態の貯湯式給湯装置は、第一禁止手段24dにより風呂開閉弁13を開放することが禁止されている最中に、浴槽湯はりを開始させる指示をリモコン25に対して使用者が入力した場合に、浴槽湯はりの準備をしていることと、浴槽湯はりの開始が遅れる可能性があることとの少なくとも一方に関する情報を報知する報知手段をさらに備える。図9は、本実施の形態におけるリモコン25の表示部25aの表示例を示す図である。中温取出切替弁28の切替動作または風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作の最中に、浴槽湯はりを開始させる指示をリモコン25に対して使用者が入力した場合には、図9に示すように、例えば「湯はり動作の準備中 開始まで数十秒間かかる可能性があります」という情報を表示部25aに表示してもよい。本実施の形態であれば、中温取出切替弁28の切替動作または風呂給湯側電動混合弁11の混合比変更動作を行っているために浴槽湯はりの開始が遅れる場合でも、浴槽湯はりの準備をしていることと、浴槽湯はりの開始が遅れる可能性があることとの少なくとも一方に関する情報を使用者に報知することで、故障ではないことを使用者が知ることができる。このため、使用者の満足度が低下することをより確実に防止できる。