以下、図面を参照して実施の形態について説明する。各図において共通または対応する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を簡略化または省略する。本開示は、以下の各実施の形態で説明する構成のうち、組み合わせ可能な構成のあらゆる組み合わせを含み得る。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1による給湯装置1を示す図である。図1に示す本実施の形態の給湯装置1は、貯湯式の給湯装置である。給湯装置1は、熱源機2及びタンクユニット3を備える。熱源機2は、水を加熱する加熱手段の例である。熱源機2は、ヒートポンプ式の加熱装置でもよい。すなわち、熱源機2は、圧縮機、水冷媒熱交換器、膨張弁、空気冷媒熱交換器等を冷媒管を介して接続した冷媒回路を用いて水を加熱するものでもよい。
タンクユニット3には、貯湯タンク10のほか、後述するポンプ類、弁類、制御装置50等が搭載されている。貯湯タンク10内には、温度による水の密度の違いにより、上が高温で下が低温となる温度成層を形成できる。以下の説明では、貯湯タンク10に貯留された湯水を「タンク水」と呼ぶことがある。
往き管12は、貯湯タンク10の下部と、熱源機2の入口との間をつなぐ。往き管12の途中に循環ポンプ13が接続されている。戻り管14は、熱源機2の出口と、貯湯タンク10の上部との間をつなぐ。
給湯管15は、貯湯タンク10の上部から流出した高温水を混合弁11の湯入口に導く。給水管16の上流側は、水道等の水源に接続される。水源から供給される水が給水管16を通ってタンクユニット3に入る。給水管16の下流部は、タンクユニット3内で分岐し、貯湯タンク10の下部と、混合弁11の水入口とにそれぞれ接続されている。混合弁11の出口には、風呂給湯管17の上流端が接続されている。風呂電磁弁18は、風呂給湯管17の途中に設置されている。
タンクユニット3と、浴室にある浴槽100との間は、第一風呂配管19及び第二風呂配管20を介して接続されている。第一風呂配管19の一端及び第二風呂配管20の一端は、浴槽100に接続されている。タンクユニット3内で、第一風呂配管19の他端と、第二風呂配管20の他端と、風呂給湯管17の下流端とが、互いに連通している。風呂電磁弁18により風呂給湯管17を開閉することで、浴槽100への湯の供給と停止とを切り替えることができる。
タンクユニット3は、浴室から離れた場所に設置されることがある。タンクユニット3は、屋外に設置される場合も多い。そのため、第一風呂配管19及び第二風呂配管20は、相応の長さを有する。
風呂給湯管17の途中に、給湯流量を検出する流量センサ21と、浴槽100へ送られる湯の温度を検出する温度センサ22とが設けられている。
第一風呂配管19及び第二風呂配管20により、浴槽100から導かれた浴水を循環させる風呂循環回路が形成される。第二風呂配管20の途中には、浴水を加熱するための追焚熱交換器23と、風呂循環回路に浴水を循環させるための風呂循環ポンプ24と、風呂温度センサ25とが設けられている。
追焚熱交換器23は、浴槽100から導かれた浴水と、貯湯タンク10から導かれたタンク水との間で熱を交換する。上部流路26は、貯湯タンク10の上部から流出した高温のタンク水を追焚熱交換器23に導く。追焚熱交換器23を通過したタンク水は、下部流路27を通って、貯湯タンク10に戻る。下部流路27の途中に接続された追焚ポンプ28を運転すると、タンク水が、上部流路26、追焚熱交換器23、及び下部流路27を流れる。
外気温センサ29は、外気温すなわち屋外の温度を検出する。本実施の形態において、外気温センサ29は、熱源機2に設置されている。
図示を省略するが、貯湯タンク10には、複数の貯湯温度センサが、互いに異なる高さの位置に取り付けられている。それらの貯湯温度センサにより、貯湯タンク10内の鉛直方向の温度分布を検出することで、貯湯タンク10内の貯湯量及び蓄熱量を計算できる。
図示を省略するが、給湯装置1は、例えば、流し台、洗面台、シャワー等の蛇口へ繋がる給湯管へ給湯するための第二の混合弁をさらに備えてもよい。
制御装置50は、給湯装置1の各部を制御する。給湯装置1が備える各種のアクチュエータ及びセンサは、制御装置50に対して電気的に接続されている。端末装置60は、制御装置50に対して、双方向にデータ通信可能に接続される。制御装置50は、各種のセンサで検出された情報、及び端末装置60から受信した情報などに基づいて、給湯装置1の運転を制御する。制御装置50は、少なくとも1つのプロセッサと少なくとも1つのメモリとを備えてもよい。単一の制御装置50により動作が制御される構成に限定されるものではなく、複数の制御装置が連携して制御する構成にしてもよい。
端末装置60は、ユーザーインターフェースとしての機能を有する。端末装置60と制御装置50との間の通信は、無線通信でも有線通信でもよい。複数の端末装置60が、制御装置50に対して通信可能でもよい。端末装置60は、例えば、浴室に設置される浴室リモコンでもよい。端末装置60は、例えば、台所に設置される台所リモコンでもよい。宅内のネットワークを介して、端末装置60と制御装置50とが通信可能でもよい。端末装置60と制御装置50とは、例えば、住宅に備えられた複数の電気機器を管理するホームエネルギーマネジメントシステムのコントローラのような、外部の機器を介して通信可能でもよい。端末装置60は、例えば、スマートフォン、タブレット端末のような携帯端末でもよい。端末装置60が携帯端末である場合、ユーザーの外出先から端末装置60が例えばインターネットなどのネットワークを介して制御装置50と通信可能でもよい。
端末装置60は、例えば、液晶表示パネル、有機EL表示パネルなどからなる表示部を備えてもよい。当該表示部は、文字、図形、キャラクタ等を表示することで、給湯装置1に関する情報をユーザーに報知できる。端末装置60は、例えば、音声出力装置などの他の報知装置を備えてもよい。端末装置60は、ユーザー操作を受け付ける操作部を備える。当該操作部は、例えば、ユーザーが操作するボタン、タッチパネル、タッチパッドのうちの少なくとも一つを備えてもよい。ユーザーは、当該操作部を操作することにより、給湯装置1の運転に関する指令及び設定値の変更などを、端末装置60に対して入力できる。
給湯装置1は、熱源機2で加熱された湯を貯湯タンク10に流入させる蓄熱運転を実施できる。蓄熱運転のときには、以下のようになる。熱源機2及び循環ポンプ13が運転される。貯湯タンク10の下部から取り出された低温水が往き管12を通って熱源機2へ送られる。熱源機2で加熱された湯すなわち高温水が、戻り管14を通ってタンクユニット3へ送られ、貯湯タンク10の上部に流入する。貯湯タンク10内で上から下へ向かって湯が蓄積されていく。
給湯装置1は、自動で浴槽100へ湯を供給することにより浴槽100に湯はりをすることができる。湯はりのときには、以下のようになる。風呂電磁弁18が開かれる。貯湯タンク10から給湯管15を通って供給される高温水と、給水管16から供給される低温水とが混合弁で混合されることで、給湯温度が調整される。すなわち、温度センサ22で検出される湯温が、ユーザーが端末装置60にて設定した、風呂設定温度に等しくなるように、混合弁11が制御される。混合弁11から流出した湯は、風呂給湯管17、第一風呂配管19及び第二風呂配管20を通って、浴槽100に注入される。浴槽100内に溜まった湯量が、ユーザーが端末装置60にて設定した湯はり量に達すると、風呂電磁弁18が閉じられ、湯はりが終了する。浴槽100内の湯量は、例えば、流量センサ21、または図示しない水位センサにより、検出することができる。
給湯装置1は、浴槽100内の浴水を加熱する追焚運転を実施できる。追焚運転のときには、以下のようになる。風呂循環ポンプ24及び追焚ポンプ28が運転される。貯湯タンク10から上部流路26により導かれた高温のタンク水と、浴槽100から第二風呂配管20により導かれた浴水とが追焚熱交換器23で熱を交換する。追焚熱交換器23で加熱された浴水は、第一風呂配管19を通って、浴槽100内に戻る。追焚熱交換器23で温度低下したタンク水は、下部流路27を通って、貯湯タンク10の下部に戻る。
以下の説明では、浴槽100内の浴水の温度を「浴槽温度」と称する。給湯装置1は、湯はりの後に浴槽温度を自動的に保つ自動保温機能を有する。ユーザーは、端末装置60を操作することで、自動保温機能を有効にするか無効にするかを選択できる。自動保温機能が有効に設定されている場合には、制御装置50は、湯はりの後に自動保温モードの制御を実施する。自動保温モードでは、湯はりの後に間欠的に追焚運転をすることにより浴槽温度が自動的に保たれる。自動保温モードでは、例えば、以下のようになる。タンクユニット3内の風呂温度センサ25によって浴槽温度を検出するための浴槽温度検出動作が所定時間ごとに実施される。浴槽温度検出動作では、風呂循環ポンプ24が運転され、浴槽100内の浴水を風呂温度センサ25の位置まで導き、風呂温度センサ25が浴槽温度を検出する。その検出された浴槽温度と、風呂設定温度との差が基準より大きい場合には、追焚運転を実施することで浴槽温度を上昇させる。浴槽温度が風呂設定温度に等しくなると追焚運転が停止される。自動保温モードでは、上記の動作が繰り返されることで、間欠的に追焚運転が実施される。制御装置50は、予め設定された保温時間が経過するまで、自動保温モードの制御を実施する。
本実施の形態において、制御装置50は、ユーザーが自動保温機能を無効に設定している場合、すなわち自動保温モードがユーザーにより選択されていない場合に、湯はり後昇温モードを実施可能である。湯はり後昇温モードでは、湯はりの後の浴槽温度が風呂設定温度に比べて低い場合に、追焚運転をすることにより1回のみ浴槽温度を上昇させる。
湯はりのとき、第一風呂配管19及び第二風呂配管20から熱が散逸することで、浴槽100に流入する湯の温度が風呂設定温度よりも低くなる可能性がある。また、湯はりが完了するまでの間に、浴槽100内の浴水から熱が散逸し、浴水の温度が低下する可能性がある。このため、場合によっては、湯はりの終了直後の浴槽温度が風呂設定温度より低くなることがある。
自動保温機能が有効である場合には、湯はりの終了直後の浴槽温度が風呂設定温度より低くても、自動保温モードの制御によって追焚運転が実施されるので、問題はない。
湯はり後昇温モードがないと仮定すると、自動保温機能が無効とされている場合に、以下のような問題がある。湯はりの終了直後の浴槽温度が風呂設定温度より低くなった場合に、追焚運転が実施されないので、浴槽温度が風呂設定温度より低いままの状態となる。ユーザーは、湯はりが終了して間もないときの浴槽温度は風呂設定温度に等しいと思い込んでいる場合が多い。このため、湯はりの終了直後にもかかわらず浴槽温度が風呂設定温度より低くなっていると、ユーザーの満足度が下がってしまう。
対照的に、本実施の形態であれば、自動保温機能が無効とされている場合には湯はり後昇温モードを実施可能であるので、以下の効果が得られる。湯はりの終了直後の浴槽温度が風呂設定温度より低い場合に、追焚運転が自動的に実施され、浴槽温度を1回のみ風呂設定温度まで上昇させる。このため、湯はりが終了して間もないときの浴槽温度が風呂設定温度より低いままになることがないので、ユーザーを確実に満足させることができる。湯はり後昇温モードにおいて、浴槽温度を風呂設定温度まで上昇させた場合には、その後に浴槽温度が低下しても、追焚運転が自動的に実施されることはない。このため、エネルギー消費を抑制できる。
図2は、実施の形態1における湯はり後昇温モードの処理を含むフローチャートである。本実施の形態において、ユーザーは、端末装置60を操作することで、湯はりをする時刻を予約できる。制御装置50は、その予約された時刻に応じて、湯はりを実施する。制御装置50は、予約された時刻までに湯はりが完了するように、前もって湯はりを開始させてもよい。また、ユーザーは、予約をせずに、端末装置60を操作して、湯はりを随時開始させることもできる。
湯はりが開始すると、図2のステップS1で、浴槽100へ給湯が開始される。前述したように、制御装置50は、浴槽100へ送られる湯の温度が風呂設定温度に等しくなるように、混合弁11を制御する。処理はステップS2へ進む。ステップS2で、制御装置50は、浴槽100への給湯量が設定湯量に達したかどうかを、流量センサ21で検出された情報に基づいて判断する。浴槽100への給湯量が設定湯量にまだ達していない場合には、ステップS1に戻る。浴槽100への給湯量が設定湯量に達すると、処理はステップS3へ進み、風呂電磁弁18が閉じられ、浴槽100への給湯を停止する。
処理はステップS3からステップS4へ進む。ステップS4で、制御装置50は、ユーザーが自動保温機能を有効にしているかどうかを判断する。自動保温機能が有効とされている場合には、処理はステップS4からステップS7へ進む。ステップS7で、制御装置50は、自動保温モードの制御を実施する。
自動保温機能が無効とされている場合には、処理はステップS4からステップS5へ進む。ステップS5では、以下のようになる。制御装置50は、浴槽温度検出動作を実施する。すなわち、風呂循環ポンプ24を運転し、タンクユニット3内の風呂温度センサ25によって浴槽温度を検出する。その検出された浴槽温度と風呂設定温度とを比較する。浴槽温度と風呂設定温度との差が基準より大きい場合には、処理はステップS5からステップS6へ進み、追焚運転が実施される。すなわち、風呂循環ポンプ24及び追焚ポンプ28が運転される。上記基準は、例えば、0.5℃でもよい。処理はステップS6からステップS5へ移行し、浴槽温度と風呂設定温度とが再び比較される。浴槽温度と風呂設定温度との差が基準以下になるか、または浴槽温度が風呂設定温度以上になると、処理はステップS5からステップS8へ進む。ステップS8では、風呂循環ポンプ24及び追焚ポンプ28が停止されることで追焚運転が終了し、自動湯はりの動作を終了する。ステップS8に至ると、それ以降、追焚運転は実施されない。
なお、ステップS5の最初の浴槽温度検出動作により検出された浴槽温度と風呂設定温度との差が基準以下であるか、または浴槽温度が風呂設定温度以上であった場合には、そのままステップS8へ進む。この場合、湯はり後昇温モードの追焚運転は、開始されることなく省略されることになる。このように、湯はり後の浴槽温度と風呂設定温度との差が基準以下であるときには、湯はり後昇温モードの追焚運転の実施が省略されるので、不必要な追焚運転の実施を防止できる。
本実施の形態1であれば、ユーザーが自動保温機能を有効とするように設定していない場合であっても、湯はり後の浴槽温度を、風呂設定温度に、確実に近づけることができる。このため、ユーザーの満足度を向上させることが可能となる。
図3から図5は、実施の形態1の給湯装置1が備える端末装置60の外観を示す図である。これらの図に示す端末装置60は、表示部60a及び操作部60bを備える。操作部60bは、例えば、「MENU」ボタン、「戻る」ボタン、方向キー、「決定」ボタン、等を含む。図3から図5は、端末装置60の表示部60aの表示例を示す。
湯はり後昇温モードは、自動保温モードに比べて消費エネルギーが低い。しかしながら、湯はり後昇温モードは、多少なりともエネルギーを消費する。省エネルギーのために湯はり後昇温モードの実施を希望しないユーザーもいると考えられる。そのようなユーザーのために、給湯装置1は、自動保温モードが選択されていない場合に湯はり後昇温モードを実施しないことをユーザーが事前に設定可能にする手段を備えてもよい。図3中の表示部60aは、自動保温モードが選択されていない場合に湯はり後昇温モードを実施するかどうかをユーザーが設定するときの表示例を示す。自動保温モードが選択されていない場合に湯はり後昇温モードを実施しないことをユーザーが設定している場合には、制御装置50は、図2のステップS4で自動保温機能が有効とされていない場合に、ステップS5に進むことなく、処理を終了すればよい。
給湯装置1は、湯はり後昇温モードの実施中に、浴槽100内の浴水を加熱していることをユーザーに報知する手段を備えてもよい。図4中の表示部60aは、当該報知をするための表示例を示す。自動保温機能を要求していないユーザーにとっては、湯はり後昇温モードの追焚運転が、何を目的に動作しているのかを理解できず、疑問を抱く可能性がある。湯はり後昇温モードの実施中に、浴槽100内の浴水を加熱していることをユーザーに報知することで、ユーザーの疑問を確実に解消できる。
給湯装置1は、湯はり後昇温モードにおける追焚運転の加熱能力をユーザーが変更可能にする手段を備えてもよい。追焚運転の加熱能力が高いほど、浴槽温度が速やかに上昇するので、追焚運転を短時間で終了できる。図5中の表示部60aは、湯はり後昇温モードにおける追焚運転の加熱能力をユーザーが変更するときの表示例を示す。図5の例では、「高速」と「低速」との二段階に加熱能力を変更できる。このような例に限らず、例えば、加熱能力をより多段階に変更できるようにしてもよい。
追焚運転のとき、制御装置50は、加熱能力が高く設定されている場合には、加熱能力が低く設定されている場合に比べて、タンク水の循環流量が高くなるように、追焚ポンプ28を運転する。
ヒートポンプ式の熱源機2は、加熱前の水の温度が高いほど、効率が低下する。追焚運転では、中温のタンク水が下部流路27から貯湯タンク10内の下部に流入する。加熱能力が高いほど、貯湯タンク10内の下部に流入する中温水の量が多くなるため、貯湯タンク10内の下部の水温が上昇しやすい。また、加熱能力が高いほど、下部流路27から流入する中温水の流速が高くなるので、貯湯タンク10内が攪拌されて、貯湯タンク10内の湯温が低下する可能性がある。これらのことから、追焚運転の加熱能力が高いほど、給湯装置1におけるエネルギー効率が低下する。したがって、湯はり後昇温モードにおける追焚運転の加熱能力を高くすると、湯はり後の追焚運転が短時間で終了するという利点がある反面で、給湯装置1におけるエネルギー効率が低下する。
湯はり後昇温モードにおける追焚運転の加熱能力をユーザーが変更可能にすることで、湯はり後の追焚運転を短時間で済ませることをより優先したいユーザーと、省エネルギーをより優先したいユーザーとの双方の満足度を向上することが可能となる。
図5の例では、「高速(低効率)」及び「低速(高効率)」と表示していることで、加熱能力の高低と、エネルギー効率の高低との関係をユーザーにより確実に報知できる。加熱能力の具体的な値は、特に限定されるものではないが、例えば、「高速」の場合の加熱能力を14kW、「低速」の場合の加熱能力を6kW、としてもよい。
湯はり後昇温モードにおける追焚運転の加熱能力をユーザーが変更することに代えて、湯はり後昇温モードにおける追焚運転の加熱能力を制御装置50が自動的に変更してもよい。例えば、制御装置50は、予約に応じて実施された湯はりの後の湯はり後昇温モードにおける追焚運転の加熱能力を、予約されずに実施された湯はりの後の湯はり後昇温モードにおける追焚運転の加熱能力に比べて、低くしてもよい。これにより、以下の効果が得られる。
ユーザーの予約に応じて制御装置50が湯はりを開始する場合には、湯はり後昇温モードにおける追焚運転に要する時間を見込んで、早めに湯はりを開始することで、湯はり後昇温モードの追焚運転の加熱能力が低くても、予約時刻までに湯はり後昇温モードの追焚運転を完了できる。そのようにすることで、ユーザーの満足度を低下させることなく、省エネルギーが図れる。
対照的に、ユーザーが予約をせずに湯はりを開始させた場合、すなわち、ユーザーの随時の操作に応じて制御装置50が湯はりを開始した場合には、ユーザーは、入浴できる状態がなるべく早く達成されることを希望していると考えられる。この場合には、湯はり後昇温モードの追焚運転の加熱能力を高くすることで、湯はり後昇温モードの追焚運転を短時間で完了できるので、ユーザーの満足度を向上できる。
制御装置50は、湯はりに消費された熱量または湯量の情報である湯はり消費量を、例えば端末装置60の表示部60aに表示することにより、ユーザーに報知してもよい。湯はりに消費された熱量または湯量は、例えば、流量センサ21及び温度センサ22で検出される情報から計算してもよいし、貯湯タンク10の貯湯量または蓄熱量の変化から計算してもよい。
さらに、制御装置50は、追焚運転のために消費された熱量または湯量の情報である追焚消費量、自動保温モードのために消費された熱量または湯量の情報である自動保温消費量、シャワー等の給湯のために消費された熱量または湯量の情報である給湯消費量、のうちの少なくとも一つを、例えば端末装置60の表示部60aに表示することにより、ユーザーに報知してもよい。これらの情報は、例えば、貯湯タンク10の貯湯量または蓄熱量の変化から計算してもよい。追焚消費量及び自動保温消費量は、例えば、追焚熱交換器23を通過するタンク水の温度及び流量を検出するセンサ(図示省略)で検出される情報から計算してもよい。給湯消費量は、例えば、シャワー等の蛇口へ繋がる給湯管へ給湯するための第二の混合弁(図示省略)から流出する湯の温度及び流量を検出するセンサで検出される情報から計算してもよい。
制御装置50は、例えば、湯はり消費量、追焚消費量、自動保温消費量、給湯消費量のように分類して使用量をユーザーに報知する場合に、湯はり後昇温モードの追焚運転により消費された熱量または湯量については、湯はり消費量に含めて報知することが望ましい。仮に、自動保温機能等を使用していないユーザーに対して、追焚消費量あるいは自動保温消費量がゼロでないことを報知したとすると、ユーザーは、使用した覚えのない機能に熱量が消費されていると誤解する可能性がある。湯はり後昇温モードの追焚運転により消費された熱量または湯量を、湯はり消費量に含めて報知すれば、そのようなユーザーの誤解を確実に防止できる。
実施の形態2.
次に、図6を参照して、実施の形態2について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。実施の形態2の給湯装置1のハードウェア構成は、実施の形態1と同様であるので、図示を省略する。
本実施の形態1で説明したように、制御装置50は、湯はりが終了した後に浴槽温度検出動作を行い、その検出された浴槽温度と風呂設定温度との差が基準に比べて小さい場合には、追焚運転が不要であるため、湯はり後昇温モードの実施を省略する。浴槽温度検出動作を行うと、多少のエネルギーが消費される。すなわち、風呂循環ポンプ24が電力を消費するとともに、第一風呂配管19及び第二風呂配管20から熱が散逸する可能性がある。湯はり後昇温モードの実施が省略された場合には、浴槽温度検出動作は結果として無用であり、無駄なエネルギーを消費したとも考えられる。
気温の高い時期には、湯はりのときに浴水から散逸する熱量が低いので、浴水の温度が低下しにくい。そのような時期には、湯はり後昇温モードの実施が省略される結果となることが多いと考えられる。本実施の形態2において、制御装置50は、湯はり後昇温モードの実施が省略される結果となった湯はりが所定回数続いた場合に、次回の湯はりの後に浴槽温度検出動作の実施を省略する。これにより、以下の効果が得られる。湯はり後昇温モードの実施が省略される結果となった湯はりが所定回数続いた場合には、次回も湯はり後昇温モードの実施が省略される可能性が高いと考えられる。そこで、次回の湯はりの後に浴槽温度検出動作の実施を省略することで、浴槽温度検出動作にエネルギーが消費されることを防止できる。
図6は、実施の形態2における湯はり後昇温モードの処理を含むフローチャートである。図6のステップS1からステップS4、及びステップS7は、実施の形態1の図2と同じであるので、説明を省略する。
図6のステップS4で自動保温機能が無効とされている場合には、処理はステップS9へ進む。制御装置50は、湯はり後昇温モードの実施が省略される結果となった湯はりが続いた回数を「追焚非動作回数」として記憶している。ステップS9では、追焚非動作回数が所定回数に達しているかどうかを判断する。本実施の形態では、この「所定回数」を3回としている。
追焚非動作回数が所定回数に達していない場合には、処理はステップS9からステップS10へ進む。ステップS10で、制御装置50は、浴槽温度検出動作を実施する。制御装置50は、浴槽温度検出動作の実施が省略された湯はりが続いた回数を「湯温検出省略回数」として記憶している。ステップS10で、制御装置50は、湯温検出省略回数を0回として記憶する。
処理はステップS10からステップS11へ進む。ステップS11で、制御装置50は、ステップS10で検出された浴槽温度と、風呂設定温度とを比較する。浴槽温度と風呂設定温度との差が基準より大きい場合には、処理はステップS11からステップS12へ進む。ステップS12で、制御装置50は、追焚非動作回数を0回として記憶する。処理はステップS12からステップS13へ進む。ステップS13では、追焚運転が実施される。すなわち、風呂循環ポンプ24及び追焚ポンプ28が運転される。処理はステップS13からステップS14へ移行し、浴槽温度と風呂設定温度とが再び比較される。浴槽温度と風呂設定温度との差がまだ基準より大きい場合には、処理はステップS13に戻り、追焚運転が継続される。ステップS14で、浴槽温度と風呂設定温度との差が基準以下になるか、または浴槽温度が風呂設定温度以上になると、風呂循環ポンプ24及び追焚ポンプ28が停止され、湯はり後昇温モードの追焚運転が終了し、自動湯はりの動作を終了する。
一方、前述したステップS11で、浴槽温度と風呂設定温度との差が基準以下であった場合、すなわち湯はり後昇温モードの追焚運転が不要である場合には、湯はり後昇温モードの追焚運転の実施が省略されるとともに、処理はステップS15へ進む。ステップS15で、制御装置50は、記憶している追焚非動作回数に1を加算し、自動湯はりの動作を終了する。
また、前述したステップS9で、追焚非動作回数が所定回数に達している場合には、処理はステップS9からステップS16へ進む。ステップS16で、制御装置50は、湯温検出省略回数が第二所定回数に達しているかどうかを判断する。本実施の形態では、この「第二所定回数」を5回としている。湯温検出省略回数が第二所定回数に達していない場合には、湯温検出動作の実施が省略されるとともに、処理はステップS17へ進む。ステップS17で、制御装置50は、記憶している湯温検出省略回数に1を加算し、自動湯はりの動作を終了する。
ステップS16で湯温検出省略回数が第二所定回数に達している場合には、処理はステップS16からステップS10へ進み、ステップS10において浴槽温度検出動作が実施される。これにより、湯はり後の浴槽温度検出動作の省略が際限なく続くことが防止される。よって、外気温等の条件が、湯はり後昇温モードの追焚運転を必要とする条件に変化した場合には、湯はり後昇温モードの追焚運転の実施を自動的に再開できる。
実施の形態3.
次に、図7を参照して、実施の形態3について説明するが、前述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分については説明を簡略化または省略する。実施の形態3の給湯装置1のハードウェア構成は、実施の形態1と同様であるので、図示を省略する。
以下の説明では、屋外の温度と、浴室内の温度との少なくとも一方の温度を「環境温度」と称する。本実施の形態3の給湯装置1は、環境温度を取得する温度取得手段を備える。例えば、制御装置50は、外気温センサ29により、屋外の温度すなわち外気温を検出できる。また、制御装置50は、例えば、ホームエネルギーマネジメントシステムのコントローラのような外部の機器(図示省略)から、環境温度の情報を通信により取得してもよい。
環境温度が低いほど、湯はりのときに浴水から散逸する熱量が多くなるので、浴水の温度が低下しやすく、湯はり後昇温モードの追焚運転が実施される可能性が高いと考えられる。逆に、環境温度が高いほど、湯はりのときに浴水から散逸する熱量が低くなるので、浴水の温度が低下しにくく、湯はり後昇温モードの実施が省略される結果となることが多いと考えられる。
本実施の形態3において、制御装置50は、湯はり後昇温モードが省略されることなく実施された確率と、環境温度との関係を学習する。そして、制御装置50は、その学習された関係と、当日の環境温度とに応じて、当日の湯はり後昇温モードの実施を省略するか否かを決定可能である。これにより、以下の効果が得られる。環境温度が高く、湯はり後昇温モードの実施が省略される確率が高い場合には、浴槽検出動作を行うことなく湯はり後昇温モードの実施を省略することで、無用となる可能性の高い浴槽温度検出動作にエネルギーを消費することを防止できる。
図7は、湯はり後昇温モードが省略されることなく実施された確率と、環境温度との関係を制御装置50が学習した例を示す図である。図7に示す例では、環境温度として外気温のみを用いているが、外気温に代えて、または外気温とともに、浴室内の温度を用いてもよい。図7に示す例では、制御装置50は、自動保温モードでない湯はりが実施されたときの外気温を1度ごとに区分し、それぞれの温度区分において、累積の湯はり回数と、そのうちで湯はり後昇温モードが実施された回数と、湯はり後昇温モードが実施される確率とを記録する。
図7に示す例では、以下のような学習結果になっている。外気温が2℃未満のときには、100%の確率で、湯はり後昇温モードが実施される。外気温が2℃以上、3℃未満のときには、93%の確率で、湯はり後昇温モードが実施される。外気温が3℃以上、4℃未満のときには、34%の確率で、湯はり後昇温モードが実施される。外気温が4℃以上、5℃未満のときには、3%の確率で、湯はり後昇温モードが実施される。外気温が5℃以上のときには、湯はり後昇温モードが実施される確率は0%である。
上記のような学習結果に基づいて、制御装置50は、例えば、以下のようにしてもよい。制御装置50は、湯はり後昇温モードが実施される確率が10%未満となる外気温の区分の中で最も低い温度区分に1℃を加えた値よりも、当日の湯はり時の外気温が高い場合には、浴槽検出動作を含めて湯はり後昇温モードの実施を省略する。図7の例で言うと、湯はり後昇温モードが実施される確率が10%未満となる外気温の区分の中で最も低い温度区分は、4℃〜4.9℃である。よって、4.9℃に1℃を加えた値5.9℃よりも外気温が高い場合には、浴槽検出動作を含めて湯はり後昇温モードの実施を省略する。
本実施の形態3であれば、湯はり後の温度検出動作によるエネルギーのロスをより確実に削減することで効率を上げつつ、ユーザーの満足度を向上することが可能となる。