JP4214991B2 - 貯湯式給湯システム - Google Patents

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本発明は、貯湯タンクを有する貯湯式給湯システムに関するものである。
従来の風呂装置に、浴槽水の湯温が低下した場合、貯湯タンク内の残湯量を検出して、貯湯タンク内に残湯量が十分にある場合は高温さし湯が行われ、残湯量が少ない場合には追い焚きによる加熱が行なわれるように構成し、浴槽水の追い焚き時の熱源選択を自動化したものがある(例えば、特許文献1参照)。
特開平4−6344号公報(第2-3頁、図2-3)
しかしながら、上記従来構成のものは、ヒーターを用いた加熱方式による沸き上げ及び風呂追い焚きを行うものであり、ヒートポンプサイクルを用いた加熱方式による沸き上げを行うものへの利用によるメリットの享受ができない。
ヒートポンプサイクルを用いた加熱方式で沸き上げを行う場合、沸き上げ前の水はできるだけ温度が低いほうが沸き上げ時の加熱効率(成績係数)の低下を防止でき、経済的であることが知られている。特に、近年の貯湯式給湯システムでの追いだき熱源として、貯湯タンク内の湯のエネルギーを利用する構成の場合、風呂追いだきにより貯湯タンク内の湯温が低下した状態となり、貯湯タンク内に中温水やぬるま湯が形成される。このように貯湯タンク内に中温水やぬるま湯が形成された状態で、ヒートポンプサイクルによる沸き上げを行うと、加熱効率(成績係数)が低下するという問題が発生する。
すなわち、ヒートポンプサイクルを用いた加熱方式で、上記従来構成のように、残湯量が少ない場合に、追い焚きで浴槽水の湯温を昇温すると、貯湯タンク内にぬるま湯が形成されてしまい、沸き上げ時に加熱効率(成績係数)が低下するという問題が発生する。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ヒートポンプサイクルを用いた加熱方式において、ぬるま湯の形成を防止して沸き上げ時の加熱効率(成績係数)の低下を防止できる貯湯式給湯システムを提供することを目的とする。
本発明に係る貯湯式給湯システムは、貯湯タンクを有し、ヒートポンプサイクルを用いて前記貯湯タンク内の水を沸き上げる貯湯式給湯システムにおいて、前記貯湯タンク内の水を沸き上げる沸き上げモードを複数有し、この沸き上げモードの選択に付随して、浴槽水の昇温動作時、複数有する浴槽水の昇温動作モードを自動選択するものである。
本発明による貯湯式給湯システムは、ヒートポンプサイクルを用いた加熱方式においては、複数ある貯湯タンク内の沸き上げモードの選択に対応して最適な昇温動作モードを自動選択することにより、例えば、貯湯タンク内の残湯量が少ないと予想される沸き上げモードの場合は、追いだきによる昇温動作モードではなく、高温さし湯による昇温動作モードとなるように組み合わせることで、ぬるま湯の形成を防止して、市水からの沸き上げが可能になり、沸き上げ時の加熱効率(成績係数)の低下を生じさせることがない。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るヒートポンプ給湯システムの構成図である。
図1において、貯湯タンク1の下部には給水配管2が接続されていて、この給水配管2には第1、第2の給水バイパス管2a、2bが設けられ、また、貯湯タンク1の上部には給湯配管5が接続されていて、この給湯配管5は第1の給湯バイパス管5aと第2の給湯バイパス管5bとに分かれている。
貯湯タンク1の上下部には放熱用循環回路7が接続されており、この放熱用循環回路7は、貯湯タンク1内に貯湯された湯と浴槽26内の浴水とを熱交換する熱交換器9と、貯湯タンク1内の湯を放熱用循環回路7に循環させる循環ポンプ10とによって構成されている。
浴槽26には熱交換器9の二次側である循環回路12が接続され、循環回路12には前記熱交換器9から浴槽26へ浴水を循環させる循環ポンプ13が設けられている。
ヒートポンプ本体14には加熱循環回路15が接続され、この加熱循環回路15は貯湯タンク1の上下部と接続されており、加熱循環回路15には前記ヒートポンプ本体14内に循環ポンプ(図示せず)が設けられ、貯湯タンク1の下部から水を導き、ヒートポンプにより外気との熱交換を行い、水を高温の湯に沸き上げ、貯湯タンク1の上部に戻している。加熱循環回路15の貯湯タンク1下部側には温度センサ15aが設けられている。
給湯側混合弁16は第1の給水バイパス管2aと第1の給湯バイパス管5aの間に接続され、第1の給水バイパス管2aからの市水と第1の給湯バイパス管5aから供給される高温水を混合して一般給湯管17を経由し、蛇口18等の出湯口から出湯する。
また、ふろ側混合弁22は第2の給湯バイパス管5bから供給される温水と第2の給水配管2bから供給される市水を混合して循環回路12に供給する。開閉弁24は浴槽26へ所望の温度に混合された温水を供給、遮断する弁である。また、流量センサ27は循環回路12を通して浴槽26へ供給した湯量を計測するものである。
操作部31は、沸き上げモード設定スイッチ31a、昇温スイッチ31b、スピーカー31c、表示部31dを備えており、使用者が沸き上げモード設定スイッチ31aで沸き上げモードを選択して設定したり、昇温スイッチ31bで浴槽水の昇温を行ったりする。また、その他のスイッチ(図示せず)により出湯の所望温度や所望量を設定するすると、スピーカー31cから種々動作に対応した音声を発したり、表示部31dで、種々動作に対応した表示を行う。
制御装置30は、判断部30aと記憶部30bを備えており、操作部31で設定された沸き上げモードや所望温度や所望量及び温度センサ15a,23,流量センサ27の検出値に基づいて循環ポンプ10,13,ヒートポンプ本体14,給湯側混合弁16,ふろ側混合弁22,開閉弁24等のシステム全体の動作を制御する。
ここで、沸き上げモードには、深夜時間帯にタンク全量を沸き上げる全量沸き上げモードや、過去の使用湯量に応じて学習し、必要最小の湯量で沸き上げる必要最小沸き上げモードなどがある。
なお、使用者が浴槽26に給湯する場合、操作部31により設定する所望温度は概ね35〜45℃程度である。
次に、本実施の形態1における貯湯式給湯システムの動作について図1〜図7を用いて説明する。
まず、給水配管2から給水された市水は減圧弁(図示せず)で所定圧に減圧され、貯湯タンク1に給水される。ここで、貯湯タンク1は常に満水状態となっている。貯湯タンク1内の水はヒートポンプ本体14に内蔵の循環ポンプ(図示せず)の運転により、貯湯タンク1の下部から加熱循環回路15に取り出されてヒートポンプ本体14で熱交換し、設定された温度(例えば90℃)になるように加熱昇温され、貯湯タンク1の上部に戻される。(図1中、矢印a)これにより、貯湯タンク1の上部より高温の湯が少量づつ貯湯されていく。
ヒートポンプ方式による沸き上げは、操作部31の沸き上げモード設定スイッチ31aで全量沸き上げモードを選択した場合は、温度センサ15aの温度が一定温度(例えば60℃)以上になったら、貯湯タンク1が全量沸き上がったと判断して、終了する(図2の状態)。また、沸き上げモード設定スイッチ31aで必要最小沸き上げモードを選択した場合は、過去の使用湯量により学習した値に応じて、貯湯タンク1全量ではなく学習による必要最小量分だけ沸き上げを行う。(例えば図3のような状態)
このとき、ヒートポンプ方式による沸き上げ加熱性能は、ヒートポンプ本体14に入る水の温度が低いときは、沸き上げの加熱効率が高いが、入る水の温度が高いときは、沸き上げの加熱効率は低下する特性を持っている。
次に、昇温スイッチ31bによる昇温動作を行う場合について、図7のフローチャートを中心に説明する。
図7は、昇温動作のフローチャートである。
図7において、まず、ステップ40sで、操作部31の昇温スイッチ31bがオン操作されたかどうかを制御装置30の判断部30aで判断し、昇温スイッチ31bがオン操作された場合は、「はい」方向に進み、制御装置30が昇温動作開始の指示を受け、ステップ41sに至る。昇温スイッチ31bがオン操作されない場合は、「いいえ」方向に進み、ステップ40sでループ状態となる。
ステップ41sでは、制御装置30の記憶部30bに記憶している沸き上げモード設定スイッチ31aでの沸き上げ温度設定が「全量沸き上げモード」であるかどうかを、制御装置30の判断部30aが判断し、「全量沸き上げモード」の場合は、図中「はい」方向に進み、ステップ42sに至り、スピーカー31cから「追いだきを開始します」と音声での出力を行い、使用者に「追いだき動作」であることを知らせてから、ステップ43sに至り、「全量沸き上げモード」でない場合は、「いいえ」方向に進み、ステップ44sに至り、スピーカー31cから「高温さし湯を開始します」と音声での出力を行い、使用者に「さし湯動作」であることを知らせてから、ステップ45sに至る。
ステップ43sでは、追いだきによる浴槽26の昇温動作が行われる。すなわち、まず循環ポンプ13が動作して浴槽26内の浴水が循環回路12を循環し、熱交換器9を通って浴槽26へ戻る(図1中矢印c)。一方、循環ポンプ10も動作して、貯湯タンク1の上部より高温の貯湯水が放熱用循環回路7に導かれ、熱交換器9を通って貯湯タンク1の下部に戻される(図中矢印b)。このとき、熱交換器9は、貯湯タンク1内に貯湯された高温の貯湯水から低温の浴水に熱交換(伝熱)することで、浴槽を入浴に適した温度に加熱昇温させる。また、一方で高温の貯湯水は熱を奪われ、中温水(概ね50℃程度)となって貯湯タンク1に戻る動作を継続し、ステップ46sに至る。
このとき、沸き上げモードが「全量沸き上げモード」であれば、図4のような状態になるが、もし、沸き上げモードが「必要最小沸き上げモード」であった場合は、図5のように、貯湯タンク1内に戻った中温水が市水と混合され、ほとんど給湯には利用できないようなぬるま湯(概ね30℃程度)となってしまう恐れがあり、このぬるま湯は給湯に利用できないだけでなく、貯湯タンク1の貯湯エネルギとしてカウントできないので、制御部30は湯が足りなくなると判断し、ヒートポンプ本体14によりヒートポンプサイクルを用いた沸き上げ動作に移行することになり、ぬるま湯を沸き上げることによる加熱効率(成績係数)の悪化を生じさせる可能性がある。
ステップ46sでは、追いだき時の昇温目標値まで達したかどうかを、制御装置30の判断部30aが判断し、昇温目標値に達していれば、図7中「はい」方向に進み、ステップ48sに至り、追いだきによる昇温動作を終了し、昇温目標値に達していなければ、「いいえ」方向に進み、ステップ43s、ステップ46sでループ状態となる。
一方、ステップ45sでは、高温さし湯による浴槽26の昇温動作が行われる。まずふろ混合弁22があらかじめ設定された高温(一般的には80℃や60℃で、貯湯タンク1内の湯をほぼ直接利用)となるように調整され、開閉弁24が開き、流量センサ27で流量をカウントしながら、浴槽26に高温さし湯を行う動作を継続し、ステップ47sに至る。
ステップ47sでは、高温さし湯時のさし湯量が所定量に達したかどうかを、制御装置30の判断部30aが判断し、さし湯量が所定量に達していれば、開閉弁24を閉じて「はい」方向に進み、ステップ49sに至り、高温さし湯による昇温動作を終了し、さし湯量が所定量に達していなければ、「いいえ」方向に進み、ステップ45s、ステップ47sでループ状態となる。
これによれば、貯湯タンク1内に中温水が戻ることがないため、ぬるま湯が形成されず(図6の状態)、また、高温さし湯により貯湯タンク1の湯を消費するため、市水が貯湯タンク1に流入し、例えば、高温さし湯により貯湯エネルギが低下して沸き上げ動作が行われても、市水を沸き上げることになり、前述のような沸き上げ時の加熱効率(成績係数)の低下を生じさせることがない。
このように、選択される沸き上げモードによって、昇温スイッチ31bの操作時の昇温動作モードを自動選択することにより、ぬるま湯の発生を防止して、貯湯タンク1内に市水を呼び込むことにより、貯湯タンク1の下部に注入された市水からの沸き上げとなるので、沸き上げ時の加熱効率(成績係数)の低下を抑えることが可能となる。
なお、本実施の形態1では、昇温動作の違いをスピーカー31cを用いて音声によって使用者へ知らせる手段について説明したが、例えば、表示(図1の表示部31dに「追いだき」や「高温さし湯」等を表示する)によって使用者に知らせる手段を用いても、また音声と表示を併用してもよい。
この場合も、前述の実施の形態1と同様の効果を奏し、また、使用者への認知度も向上させることが可能となる。
このように、本実施の形態によれば、複数ある沸き上げモードの選択に付随して、昇温スイッチ31b操作時に、複数の昇温モードから最適な昇温動作モードに自動選択するので、ぬるま湯の発生を防止して、ヒートポンプ方式による沸き上げ時の加熱効率の低下を抑えることができる。
本発明の実施の形態1を示す貯湯式給湯システムの構成図である。 図1の貯湯式給湯システムにおける全量沸き上げ時の貯湯水の状態を示した図である。 図1の貯湯式給湯システムにおける必要最小沸き上げ時の貯湯水の状態を示した図である。 図1の貯湯式給湯システムにおける全量沸き上げモードが選択されている場合の追いだき時の貯湯水の変化を示した図である。 図1の貯湯式給湯システムにおける必要最小沸き上げが選択されている場合の追いだき時の貯湯水の変化を示した図である。 図1の貯湯式給湯システムにおける必要最小沸き上げが選択されている場合の高温さし湯時の貯湯水の変化を示した図である。 本発明の実施の形態1での昇温動作のフローチャートである。
符号の説明
1 貯湯タンク、2 給水配管、5 給湯配管、14 ヒートポンプ本体、26 浴槽、30 制御装置、30a 判断部、30b 記憶部、31 操作部、31a沸き上げモード設定スイッチ、 31b 昇温スイッチ、31c スピーカー、31d 表示部。

Claims (3)

  1. 貯湯タンクを有し、ヒートポンプサイクルを用いて前記貯湯タンク内の水を沸き上げる貯湯式給湯システムにおいて、前記貯湯タンク内の水を沸き上げる沸き上げモードを複数有し、この沸き上げモードの選択に付随して、浴槽水の昇温動作時、複数有する浴槽水の昇温動作モードを自動選択することを特徴とする貯湯式給湯システム。
  2. 前記貯湯タンク内の水を沸き上げる沸き上げモードとして、貯湯タンクの全量を沸き上げる全量沸き上げモードと貯湯タンクの全量を沸き上げない必要最小沸き上げモードを有し、また、昇温動作モードとして、追いだきによる昇温動作モードと高温さし湯による高温さし湯昇温動作モードとを有し、前記全量沸き上げモードを選択した場合には、前記浴槽の昇温動作モードを追いだき昇温動作モードを実行し、前記必要最小沸き上げモードを選択した場合には、前記浴槽の昇温動作モードを高温さし湯昇温動作モードを実行することを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯システム。
  3. 前記昇温動作を指示する一つの昇温スイッチを有し、かつ、当該昇温スイッチを操作したとき、使用者に音声や表示によりいずれの昇温動作モードで昇温動作を開始するかを知らしめる報知機能を有することを特徴とする請求項1または2記載の貯湯式給湯システム。
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