JP4052200B2 - 貯湯式給湯システム - Google Patents

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Description

本発明は、貯湯タンクを有する貯湯式給湯システムに関するものであり、さらに詳しくは該貯湯タンク内の湯水を熱源として外部負荷と熱交換を行なう機能を備えた貯湯式給湯システムに関するものである。
従来の貯湯式給湯システムにおいては、貯湯タンク内の高温水または中温水を該貯湯タンクの上部または中ほどから取り出し、市水と混合して給湯に利用する構成である(例えば、特許文献1、2参照)。
特開2003−114053号公報(第2頁、図1) 特開2002−364928号公報(第2頁、図1)
しかしながら、上記のような従来の構成では、生成された中温水を出湯する際、所望温度により貯湯タンクからの出湯位置を選択する機能を有しているものの、一般的に給湯(つまり蛇口やシャワー等での湯の使用)は、前記中温水の貯湯加減により決まるものではなく、使用者のニーズによって使用量やタイミングが決定されるものである。
したがって、前記従来例の構成では、中温水を利用している最中に貯湯タンク内の中温水がなくなり、その結果、出湯中にもかかわらず貯湯タンク上部の高温水への供給に回路を切り替える必要が生じることになった場合、供給側では急激な湯の供給温度の変動によりその後の市水との混合において、給湯される湯温の急激な変動が発生し、使用者に不快であるだけでなく、高温湯の混合比率が一時的に増大することで、意図しない高温出湯の危険がある。
また、前記中温水と高温水をあらかじめ混合弁で混合してから、市水と混合する手段も開示されているが、この場合、給湯側に一般的に圧力損失の大きい混合弁を2段で構成することになり、特に給湯圧力の限定された貯湯式の給湯機を使用するものにおいては、出湯の圧力が低下し、使い勝手が悪いという問題があった。
また、加熱手段としてヒートポンプサイクルを用いた室外機を利用して、貯湯タンクの下部より水を取り出し、室外機にて湯を作り、貯湯タンクの上部に沸き上げた湯を順次貯めていくように沸き上げを行なうヒートポンプ式の給湯システムにおいては、貯湯タンクから室外機ヘ供給される水の温度が高いと、沸き上げ時の加熱効率(成績係数)が低下してしまうという問題がある。なお、ここでいう加熱効率とは、沸き上げ能力を消費電力で割ったものをさす。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、意図しない高温出湯を防止し、かつ、ヒートポンプサイクルを用いた加熱方式においては、沸き上げ時の加熱効率(成績係数)の低下を防止できる貯湯式給湯システムを提供することを目的とする。
本発明に係る貯湯式給湯システムは、貯湯タンクを有する貯湯式給湯システムにおいて、
貯湯タンクの上部から出湯する第1の給湯配管と、貯湯タンクの中ほどから出湯する1つあるいは複数の第2の給湯配管、第1の給湯配管から出湯する第1配管水と第2の給湯配管から出湯する第2配管水とのいずれかの出湯に切り替える切替弁と、この切替弁の切り替え後の出湯と市水を混合して所望温度の温水を生成する混合弁と、この混合弁の下流に設けられて生成された温水の供給と停止を行う開閉弁と、前記切替弁、混合弁、開閉弁等給湯システム全体の動作を制御する制御装置とを有し、
前記制御装置は、前記切替弁の切り替え動作前に、前記開閉弁を一時的に閉動作させて生成された温水の供給を停止させ、出湯切り替え後に前記開閉弁を開動作させて出湯を再開させるものである。
本発明による貯湯式給湯システムは、意図しない高温出湯を防止し、かつ、ヒートポンプサイクルを用いた加熱方式においては、沸き上げ時の加熱効率(成績係数)の低下を防止することが可能となる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係るヒートポンプ給湯システムの構成図である。
図1において、貯湯タンク1の下部には給水配管2が接続されていて、この給水配管2には第1、第2の給水バイパス管3、4が設けられ、また、貯湯タンク1の上部には第1の給湯配管5が接続されていて、この第1の給湯配管5には給湯バイパス管6が設けられている。
貯湯タンク1の上下部には放熱用循環回路7が接続されており、この放熱用循環回路7は、貯湯タンク1内に貯湯された湯と外部熱負荷である床暖房器8内のブラインとを熱交換する暖房用熱交換器9と、貯湯タンク1内の湯を放熱用循環回路7に循環させる循環ポンプ10とによって構成されている。
床暖房器8には暖房用熱交換器9の二次側である暖房循環回路12が接続され、暖房循環回路12には前記暖房用熱交換器9から床暖房器8へブラインを循環させる循環ポンプ13が設けられている。
ヒートポンプ本体14には加熱循環回路15が接続され、この加熱循環回路15は貯湯タンク1の上下部と接続されており、加熱循環回路15には前記ヒートポンプ本体14内に循環ポンプ(図示せず)が設けられ、貯湯タンク1の下部から水を導き、ヒートポンプにより外気との熱交換を行い、水を高温の湯に沸き上げ、貯湯タンク1の上部に戻している。加熱循環回路15の貯湯タンク1下部側には温度センサ15aが設けられている。
給湯側混合弁16は、第1の給水バイパス管3と第1の給湯配管5の間に接続され、第1の給水バイパス管3からの市水と第1の給湯配管5から供給される高温水を混合して、一般給湯管17を経由し、蛇口18等の出湯口から出湯する。
三方弁等からなる切替弁19は、貯湯タンク1の中ほどと接続された第2の給湯配管20と第1の給湯配管5から分岐した給湯バイパス管6の間に接続され、ふろ側混合弁22に供給する湯を、貯湯タンク1の上部に接続された第1の給湯配管5側あるいは貯湯タンク1の中ほどと接続された第2の給湯配管20側に流路を切り替える。温度センサ21は貯湯タンク1の側面中ほどに設置されて、前記第2の給湯配管20の温水取出口付近の湯温を検出するものである。
また、ふろ側混合弁22は、前記切替弁19から供給される温水と第2の給水配管4から供給される市水を混合してふろ配管25に供給する。開閉弁24は浴槽26へ所望の温度に混合された温水を供給、遮断する弁である。また、流量センサ27は、ふろ配管25を通して浴槽26へ供給した湯量を計測するものである。
なお、前記第2の給湯配管20は、貯湯タンク1の下方部からタンク内に挿入されてはいるが、その温水取出口は前記貯湯タンク1内で図示のように温度センサ21の設置位置よりやや上方まで(貯湯タンク1の中ほどまで)延設されている。操作部31では使用者が出湯の所望温度や所望量を設定する。
制御装置30は、操作部31で設定された所望温度や所望量及び温度センサ15a,21,23、流量センサ27の検出値に基づいて循環ポンプ10,13,ヒートポンプ本体14,給湯側混合弁16,切替弁19,ふろ側混合弁22,開閉弁24等のシステム全体の動作を制御する。使用者が浴槽26に給湯する場合、操作部31により設定する所望温度はおおむね35〜45℃程度である。
次に、本実施の形態における貯湯式給湯システムの動作について説明する。
まず、給水配管2から給水された市水は減圧弁(図示せず)で所定圧に減圧され、貯湯タンク1に給水される。ここで、貯湯タンク1は常に満水状態となっている。貯湯タンク1内の水はヒートポンプ本体14に内蔵の循環ポンプ(図示せず)の運転により、貯湯タンク1の下部から加熱循環回路15に取り出されてヒートポンプ本体14で熱交換し、設定された温度(例えば90℃)になるように加熱昇温され、貯湯タンク1の上部に戻される。(図1中、矢印a)これにより、貯湯タンク1の上部より90℃の湯が少量づつ貯湯されていく。
ヒートポンプ方式による沸き上げは、温度センサ15aの温度が一定温度(例えば60℃)以上になったら、貯湯タンク1が全量沸き上がったと判断して、終了する(図2の状態)。
このとき、ヒートポンプ方式による沸き上げ加熱性能は、ヒートポンプ本体14に入る水の温度が低いときは、沸き上げの加熱効率が高いが、入る水の温度が高いときは沸き上げの加熱効率は低下する特性を持っている。
まず、蛇口18からの一般給湯を行う場合について説明する。
この場合は、蛇口18を開くことによって、第1の給水分岐管3を経由し供給される市水(図中矢印f)と貯湯タンク1を経由して第1の給湯配管5を通して供給される高温水(図中矢印e)を給湯側混合弁16により使用者が設定した所望温度に混合して、一般給湯配管17を経由して給湯が行われる。(図中矢印h)
次に、浴槽26へ給湯を行う湯はり動作の場合について説明する。
この場合は、操作部31により制御装置30が湯はり開始の指示を受けると、湯はり動作が開始される。湯はり動作が開始されると、まず、温度センサ21により第2の給湯配管20からの中温水取り出しが可能かどうかを検出し、その温度を制御装置30が判断して、湯はりの所望温度よりも一定温度以上高い場合は、制御装置30が切替弁19を第2の給湯配管20側に切り替えて(図中矢印d)、第2の給湯配管20から中温水を取り出せるように流路を構成する。続いて、制御装置30は、開閉弁24を開き、ふろ側混合弁22で市水と混合した湯が所望温度となるように温度センサ23で温度を検出しながら、ふろ側混合弁22を調整し、ふろ配管25を経由して浴槽26に湯はりを行う。湯はりの完了は、制御装置30が、流量センサ27の積算流量をカウントし、所望量となった時点で、開閉弁24を閉じるように制御することで完了となる。
また、温度センサ21により検出した中温水の温度が先の条件を満足しない場合は、制御装置30が切替弁19を貯湯タンク2の上部から貯湯水を取り出す第1の給湯配管5側に切り替えて(図中矢印e)、第1の給湯配管5から高温水を取り出せるように流路を構成する。続いて、制御装置30は、開閉弁24を開き、以下、前述と同様の動作で湯はりを行う。
次に、床暖房を行う場合の動作について説明する。
この場合は、操作部31により制御装置30が床暖房開始の指示を受けると、床暖房動作が開始される。床暖房動作が開始されると、まず循環ポンプ13が動作して床暖房器8内のブラインが暖房循環回路12を循環し、暖房用熱交換器9を通って床暖房器8内に戻される(図中矢印c)。一方、循環ポンプ10も動作して、貯湯タンク1の上部より高温の貯湯水が放熱用循環回路7に導かれ、暖房用熱交換器9を通って貯湯タンク1の下部に戻される(図中矢印b)。このとき、暖房用熱交換器9は、貯湯タンク1内に貯湯された高温の貯湯水から低温のブラインに熱交換(伝熱)することで、ブラインを床暖房に適した温度に加熱昇温させる。また、一方で高温の貯湯水は熱を奪われ、中温水(概ね50℃程度)となって貯湯タンク1に戻る。
次に、床暖房によって生成される中温水の処理によるヒートポンプサイクルを用いた加熱方法での加熱効率(成績係数)の向上を実現する動作について説明する。
図2〜図5は、床暖房を実施した後、浴槽26への湯張りを実施した場合の貯湯タンク1内の貯湯水の変化を示した図で、図2は、ヒートポンプ本体14により貯湯タンク1内の沸き上げ完了時の貯湯水の状態を示し、貯湯タンク1内の右斜線部が高温の貯湯水を示している。
この状態で、前記のように床暖房を行うと、放熱用循環回路7により貯湯タンク1上方から高温の貯湯水を暖房用熱交換器9で熱交換し、中温水となって貯湯タンク1に戻る。このような床暖房運転を継続すると、貯湯タンク1内の高温の貯湯水が減少し、中温水(左斜線で示す)が増加してゆき、やがて図3のような状態となる。この状態で、例えばヒートポンプ本体14により貯湯タンク1内の沸き上げを行おうとすると、床暖房で生成された中温水をヒートポンプサイクルで熱交換を行うことになり、前述のように沸き上げ時の加熱効率(成績係数)が低下することになる。
また、図3のような状態のとき、使用者が浴槽26への湯はり動作を実施すると、前述のように、温度センサ21が検出する中温水の温度は一般に50℃程度であり、湯はりの所望温度範囲(35〜45℃程度)よりも十分高温であるので、制御装置30は、切替弁19を第2の給湯配管20から図中矢印dのように中温水を取り出して湯はりに利用するように制御する。これにより、給水配管3から図中矢印fのように新たな市水が貯湯タンク1内の下部に注入されることになり、結果として、図4のような状態となる。
なお、中温水を湯はりに利用してゆき、例えば、貯湯タンク1内にたまった中温水だけで浴槽26への所望湯はり湯量が確保できる場合はよいが、確保ができない場合、貯湯タンク1内の中温水を使いきってしまう状態が生じることになる。例えば、図5に示すような状態になる。この場合、前述のように、温度センサ21の検出値が湯はりに適さない例えば35℃から45℃以下を検出すると、制御装置30は切替弁19を第1の給湯配管5に流路を切り替えて貯湯タンク1の上部から高温の貯湯水を取り出す(図中矢印e)。この流路の切り替えの際、制御装置30は切り替え動作前に開閉弁24を一時的に閉じるように制御することが安全面からみて望ましい。
すなわち、浴槽26への湯はり中において、切替弁19によってふろ側混合弁22に供給される湯の温度が、第2の給湯配管20側から供給されていた中温水(50℃程度)から、第1の給湯配管5側の高温の貯湯水(90℃程度)に短時間で切り替わることにより、それまで中温水と市水を混合していた前記ふろ側混合弁22は、その混合比のままで一時的に高温の貯湯水と市水を混ぜることによって一時的な高温出湯が発生する。これを解消するための手段として、前記切替弁19の切り替え動作前に一時的に開閉弁24を閉じ、混合後の温度が高くならないように、あらかじめ混合弁22の混合比を制御装置30で調整した後、開閉弁24を開く動作を行うことが有効である。
また、前述の手段は、あらかじめ所望温度と所望量が給湯システム側で把握することが可能なふろ側の給湯であるがゆえに可能な手段であり、一般の蛇口18などの給湯では、使用中に給湯を一時的に遮断してしまうため、困難である。さらに、中温水の絶対的な処理量の観点からみても、ふろ湯はりへの利用が家庭の湯の利用では他の給湯に比べて格段に大量であり、また浴槽26への供給であるので、万が一、前述の中温水利用の流路から高温の貯湯水の流路への切り替えの際に、若干の高温湯の出湯があっても浴槽容量(通常200リットル程度)からみて十分に少ないため、温度変化により使用者に不快感を与えることは極めて少ない。
このように、中温水をふろ湯はりに利用したあとの図4や図5のような状態で、ヒートポンプ本体14による沸き上げを行えば、貯湯タンク1の下部に注入された市水からの沸き上げとなるので、沸き上げ時の加熱効率(成績係数)の低下を最小限に抑えることが可能となる。
このように、本実施の形態によれば、床暖房により生成される中温水をふろの湯はりに利用することによって、ヒートポンプ方式による沸き上げ時の加熱効率の低下を軽減することができる。
本発明の実施の形態1を示す貯湯式給湯システムの構成図である。 図1の貯湯式給湯システムにおける沸き上げ完了時の貯湯水の状態を示した図である。 図1の貯湯式給湯システムにおける床暖房時の貯湯水の変化を示した図である。 図1の貯湯式給湯システムにおける浴槽湯張り時の貯湯水の変化を示した図である。 図1の貯湯式給湯システムにおける浴槽湯張り時の貯湯水の変化を示した図である。
符号の説明
1 貯湯タンク、2 給水配管、3 第1の給水バイパス管、4 第2の給水バイパス管、5 第1の給湯配管、6 給湯バイパス管、14 ヒートポンプ本体、16 一般給湯側混合弁、19 切替弁、20 第2の給湯配管、21 温度センサ、22 ふろ側混合弁、23 温度センサ、24 開閉弁、25 ふろ配管、26 浴槽、30 制御装置、31 操作部。

Claims (4)

  1. 貯湯タンクを有する貯湯式給湯システムにおいて、
    貯湯タンクの上部から出湯する第1の給湯配管と、貯湯タンクの中ほどから出湯する1つあるいは複数の第2の給湯配管、第1の給湯配管から出湯する第1配管水と第2の給湯配管から出湯する第2配管水とのいずれかの出湯に切り替える切替弁と、この切替弁の切り替え後の出湯と市水を混合して所望温度の温水を生成する混合弁と、この混合弁の下流に設けられて生成された温水の供給と停止を行う開閉弁と、前記切替弁、混合弁、開閉弁等給湯システム全体の動作を制御する制御装置とを有し、
    前記制御装置は、前記切替弁の切り替え動作前に、前記開閉弁を一時的に閉動作させて生成された温水の供給を停止させ、出湯切り替え後に前記開閉弁を開動作させて出湯を再開させることを特徴とする貯湯式給湯システム。
  2. 前記制御装置は、第2の給湯配管からの出湯温度を検出する温度センサの検出値に応じて前記第1の給湯配管と第2の給湯配管の出湯切り替えを行うことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯システム。
  3. 生成された所望温度の温水をふろ給湯専用に利用するように構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式給湯システム。
  4. 前記第2の給湯配管は、貯湯タンクの任意の位置から貯湯タンク内に挿入し、貯湯タンク内で所望の湯水取り出し位置までその湯水取出口を延設するようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の貯湯式給湯システム。
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