第1の発明の貯湯式給湯機は、高温水を貯える貯湯タンクと、浴槽と、浴槽内の湯水の温度を検出する浴槽温度検出手段と、貯湯タンク内の高温水と浴槽内の湯水とが熱交換を行う追い焚き熱交換器と、浴室の人を検出する人体検出手段と、浴槽内の湯水を追い焚き熱交換器へ送る風呂ポンプと、貯湯タンク内の高温水を追い焚き熱交換器へ送る追い焚きポンプとを備え、人体検出手段で人を検出した時に浴槽内の湯水の追い焚き運転を開始する貯湯式給湯機であって、人が不在時の追い焚き運転時と入室を検知した時に行う追い焚
き運転時の追い焚きポンプの駆動を開始するタイミングを変更することにより、人の入室に応じて浴槽内の湯水を快適な設定にするので、入浴のタイミングと追い焚き運転のタイミングとを合わせることができ、入浴者に不快感を与えることがなく、風呂温度を検出するタイミングを減らし、不必要な風呂温度の低下を抑制するため非常に省エネな追い焚き運転を行うことができ、さらに、人体検出したときには通常の追い焚き運転に比べて追い焚きポンプを駆動するタイミングを早くするので、より浴槽5内の湯水の温度上昇を短時間で実現することができる。
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、浴槽内の湯水の温度設定を行う温度設定手段と、追い焚き熱交換器で熱交換した後の浴槽水の温度を検出する追い焚き出湯温度検出手段とを備え、追い焚き運転時は追い焚き出湯温度検出手段で検出する温度に上限温度を設け、追い焚き出湯温度検出手段で検出する温度が上限温度以下となるように追い焚きポンプを制御するとともに、温度設定手段で設定した温度と、浴槽温度検出手段で検出した浴槽内の湯水の温度との差に応じて、上限温度を変更することにより、設定した温度と浴槽内の湯水の温度を比較して、温度差が大きければ上限温度を高温に設定し、温度差が小さければ上限温度を低温に設定して、追い焚き時間の短縮と、入浴者の快適性の向上を実現することができる。
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第1または第2の発明において、浴槽内の湯水の存在を検出する湯水検出手段を備え、入室を検知した時に行う追い焚き運転時には、まず風呂ポンプの駆動を開始した後に追い焚きポンプの駆動を開始するとともに、追い焚きポンプの駆動を開始するまでに湯水検出手段で浴槽内の湯水が検知されない場合には、追い焚きポンプの駆動を開始させないことにより、湯水が無い時に追い焚きポンプを駆動させた場合には、追い焚き熱交換器にて浴槽内の湯水と熱交換されないために、貯湯タンクの底部に高温水を供給してしまうので、無駄な高温水の使用を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における風呂追い焚き機能の付いた貯湯式給湯機の構成図である。図1において、本実施の形態の貯湯式給湯機は、タンクユニット1とヒートポンプユニット2を備えており、タンクユニット1内に配設している貯湯タンク3内に貯える高温水を、ヒートポンプユニット2にて生成している。なお、本実施の形態では加熱手段としてヒートポンプを用いているが、これに限定されることなく、例えば、タンク内に電気ヒーターを内設して加熱する形態であっても問題はない。また、実線矢印は流体の流れる方向を示している。
次に、ヒートポンプユニット2の構成について説明する。ヒートポンプユニット2は、水冷媒熱交換器24、圧縮機25、蒸発器26、膨張弁27を冷媒配管により順次環状に接続して構成されており、冷媒には二酸化炭素を使用しているため、高圧側が臨界圧力を超えるので、水冷媒熱交換器24を流通する水に熱を奪われて温度が低下しても凝縮することがなく、水冷媒熱交換器で冷媒と水との間で温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ熱交換効率を高くすることができる。
また、比較的安価でかつ安定な二酸化炭素を冷媒に使用しているので、製品コストを抑えるとともに、信頼性を向上させることができる。また、二酸化炭素はオゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も代替冷媒HFC−407Cの約1700分の1と非常に小さいため、地球環境に優しい製品を提供できる。
また、ヒートポンプユニット2において、圧縮機25で冷媒が圧縮され、圧縮機25から吐出された冷媒が水冷媒熱交換器24で放熱し、膨張弁27で減圧されたあと、蒸発器26で空気から熱を吸収し、ガス状態で再び圧縮機25に吸入される。なお、圧縮機の能力制御および膨張弁27の開度制御は、圧縮機25の吐出側に設けたサーミスタ(図示せず)で検出される吐出冷媒の温度が予め設定された温度を維持するように制御される。また、貯湯タンク3内の湯水は、水ポンプ28が作動することで、水冷媒熱交換器24に流入し、冷媒と熱交換を行い、再び貯湯タンク3に戻り、積層状態で貯湯タンク3の上部に高温の湯が貯えられる。
次に、タンクユニット1の構成について説明する。タンクユニット1には前述した通り貯湯タンク3を有しており、貯湯タンク3の底部には給水源から低温水を供給するための給水配管31が接続されており、常時給水圧がタンク内に掛かっている状態となっている。また、貯湯タンク3の上方部には貯湯タンク内の高温水を出湯するための出湯管32が接続されており、給湯端末や浴槽へ高温水を供給可能に構成している。
次に、給湯端末へ湯が供給される給湯回路について説明する。
本実施の形態における給湯回路は、給水配管31から分岐した端末給水配管33と、出湯管32とを電動式混合弁4にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。そして電動式混合弁4の下流側に設けた温度センサ41で検出される温度が、台所や浴室に設けられたリモコン装置で設定した温度となるように、電動式混合弁4の混合比が変更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、給湯端末42へ供給される。
次に、浴槽5への湯張り回路および追い焚き回路について説明する。
本実施の形態では、浴槽5内の湯水と、貯湯タンク3内の高温水とが追い焚き熱交換器6にて熱交換し、浴槽内の湯水を追い焚きする追い焚き機能を有している。そのため、追い焚き熱交換器6の高温側回路は、貯湯タンク3内の高温水が供給されるように構成されており、熱交換した後の温水を貯湯タンク3の下方部へ戻すように構成されている。また、追い焚き熱交換器6の低温側回路は、浴槽5内の湯水が供給されるように構成されており、熱交換した後の浴槽水を、再度浴槽5へ戻すように構成されている。
高温側回路においては、追い焚きポンプ7および追い焚き熱交換器6の下流側に高温側出口温度検出手段である温度センサ71が配設されており、追い焚きポンプ7が駆動することによって貯湯タンク3内の高温水が、追い焚き熱交換器6へ搬送される。
そして、浴槽5のアダプタ51とタンクユニット1とは、接続部60a〜60dにおいて、戻り接続管61および往き接続管62で接続される。また、戻り接続管61および往き接続管62の接続口から追い焚き熱交換器6までは、それぞれ戻り配管63および往き配管64で接続されており、浴槽5、戻り接続管61、戻り配管63、追い焚き熱交換器6、往き配管64、往き接続管62が順次接続されて追い焚き回路が構成されている。
また、貯湯タンク3から浴槽5への湯水の供給を行う湯張り回路は、出湯管32から分岐した風呂給湯管34と、給水配管31から分岐した風呂給水配管35とを電動式混合弁8にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。そして電動式混合弁8の下流側に設けた温度センサ81で検出される温度が、台所や浴室に設けられたリモコン装置で設定した温度となるように、電動式混合弁8の混合比が変更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、浴槽5へ供給される。
また湯張り回路には、流量センサ82が設けられており、浴槽5へ供給される湯水の量
が計測される。さらに、二方向の電磁弁83が設けられており、湯張り開始時には、電磁弁83が開くと同時に、浴槽5への湯水の供給が開始される。そして電磁弁83が開いた後には、戻り配管63および往き配管64の二方向から浴槽5へと湯張りが行われる。また、汚水の逆流を防ぐための逆止手段84が設けられている。
また、戻り配管63には、浴槽5内の湯水を循環させるための搬送手段である風呂ポンプ65、浴槽5内の水位を検出する水位センサ66、浴槽5内の湯水の温度を検出する浴槽温度検出手段である温度センサ67が設けられており、風呂ポンプ65が駆動することにより、浴槽5内の湯水が戻り配管63に吸い込まれ、追い焚き熱交換器6を経て、往き配管64へ流れ込み、再度浴槽5へ戻される。
また、風呂ポンプ65と追い焚き熱交換器6の間には、浴槽5内に湯水があるかどうかを検出する湯水検出手段であるフロースイッチ68が設けられており、オンすることで水の流れを検知可能に構成されている。つまり、フロースイッチ68がオンしたときには浴槽5内には湯水があると判断し、フロースイッチ68がオフの時には浴槽5内には湯水がないと判断される。
また、浴室には貯湯式給湯機の操作を行うことができる操作手段であり、浴槽5内の湯水の保温温度を設定する温度設定手段であるリモコン装置9が設置され、リモコン装置9を操作して、湯水の温度設定や風呂への湯張り、また設置工事後の試運転操作等を行う。リモコン装置9には情報を表示する表示部91および操作を行う操作部92を有している。
また、本実施の形態の貯湯式給湯機には、リモコン装置9からの指示を受け取り、各制御機器に命令する制御装置94も有している。そして制御装置94はマイコンおよびその電子制御部品で構成され、タンクユニット1を構成する機器(風呂ポンプ65や追い焚きポンプ7など)に命令を送っている。
さらに、本発明のリモコン装置9には、人体検出手段93が設けられており、人が浴室に入室したことを検知することができるようになっている。なお人体検出手段93には、赤外線センサや、浴室内の照度を検出する照度センサ、また入室者の振動やドアの開閉を検出する衝撃(振動)センサなど様々なセンサを用いることができ、種類が特定されるものではない。
例えば、赤外線センサの場合には、周囲の温度状況から温度変化があった場合には人が検出されたと認識し、照度センサの場合には、浴室の照明の照度を検出した場合には人が入ってくると推定し、衝撃センサの場合には、所定時間の間、衝撃センサからの出力を検出した場合には、入室者ありと判断するようにする。また、これらのセンサを複数個組み合わせることも可能である。
また、本実施の形態の場合には、人体検出手段93をリモコン装置9に設けた構成としたが、これに限定されることはなく、例えば、衝撃センサの場合、浴室に隣接した脱衣所の床裏側に設置したり、浴室のドア表面に設置したりして、振動を検知する方法であったり、さらには、浴室照明のスイッチを人体検出手段とした場合には、浴室照明のスイッチをオンにしたときに人体を検出するものとしてもよい。
また、本実施の形態では制御装置94には追い焚き熱交換器6で浴槽5内の湯水を加熱能力を変更する加熱能力設定手段を有しており、リモコン装置9で設定された保温温度と、浴槽5内の湯水の温度に応じて加熱能力設定手段で加熱能力を設定するようにしている。本実施の形態では、人体検出手段93の機能がオンになっているときの追い焚き熱交換
器6での加熱能力は、「大」「中」「小」の3種類が設定されている。
追い焚き熱交換器6での加熱能力が「大」に設定されているときは、温度センサ71で検出される温度が、温度センサ67で検出されている浴槽5内の湯水温度+10℃となるように、追い焚きポンプ7を駆動し、加熱能力が「中」に設定されているときは、温度センサ71で検出される温度が、温度センサ67で検出されている浴槽5内の湯水温度+6℃となるように、追い焚きポンプ7を駆動し、加熱能力が「小」に設定されているときは、温度センサ71で検出される温度が、温度センサ67で検出されている浴槽5内の湯水温度+3℃となるように、追い焚きポンプ7を駆動させている。
なお、加熱能力の設定は、本実施の形態のように「大」「中」「小」の3種類に限定されるものではなく、3種類をさらに細分化してもよいし、「大」「小」の2種類であってもよい。また、加熱能力と浴槽5内の湯水温度との関係式を設けて、その関係式に従って、無段階に加熱能力を変更して決定しても良い。
さらに、追い焚き熱交換器6で加熱された後の浴槽水の温度を検出する追い焚き出湯温度検出手段である温度センサ69が設けられている。この温度センサ69は浴槽5へ送る湯水の温度を検出しており、温度センサ69で検出される温度が上限温度を超えないように追い焚きポンプ7が制御される。これは温度センサ69では、浴槽5へ直接供給される湯水の温度を検出することができるため、浴槽5へ上限温度以上の高温水を供給することがないようにして、入浴者の火傷を防止することができる。
本実施の形態では、上限温度に「大」「中」「小」の3種類が設定されている。これは上述したように加熱能力を3種類に分けているため、上限温度についても3種類に分けている。そのため、加熱能力を2種類に分けた場合には、上限温度も2種類に設定しても良いし、上限温度と浴槽5内の湯水温度との関係式を設けて、その関係式に従って、無段階に上限温度を変更して決定しても良い。
また、予め「大」「中」「小」のように温度を設定していなくても、使用者がリモコン装置9などで設定する保温温度に関連付けて設定されるようにしてもよい。例えば、リモコン装置9で使用者が保温温度を42度に設定した場合には、上限温度「大」には「保温温度+10℃」を設定し、上限温度「中」には「保温温度+7℃」を設定し、上限温度「小」には「保温温度+3℃」を設定することで、より快適な追い焚き運転を実現することができる。
なお、本実施の形態では、上限温度「大」に60℃を設定し、上限温度「中」に57℃を設定し、上限温度「小」に50℃を設定して追い焚き運転を行うものとする。
以上のように構成された貯湯式給湯機において、まず、貯湯式給湯機の湯張り運転について説明する。
使用者がリモコン装置9を操作し湯張り運転を開始するか、もしくは予め湯張り運転の予約をしていた場合には設定した時刻になると湯張り運転が開始される。湯張り運転が開始すると、電磁弁83が開弁し、貯湯タンク3からの高温水が電動式混合弁8で設定温度となるように混合され、浴槽5へ供給される。
電動式混合弁8から出湯される湯は、戻り配管63および往き配管64の二方向に分岐され、浴槽5へ湯水が供給される。また湯張り量は、流量センサ82で検出し、設定した湯量を流量センサ82で検出すると、電磁弁83を閉弁し、湯張り運転を終了する。
なお、湯張り運転時において、電動式混合弁8で混合される湯水の温度は、リモコン装置9で設定した湯の温度よりも、数度高い温度としてもよい。これは電動式混合弁8で混合した湯が、浴槽5に行くまでの間の給湯配管を流れる時に放熱してしまい、浴槽5に注湯されるときには温度低下が生じてしまう可能性があるからである。そのため、電動式混合弁8で混合する湯水の温度を設定温度よりも高く設定しておくことで、配管での放熱を考慮した湯張り運転が可能となる。
次に、本発明の貯湯式給湯機のリモコン装置9には、人体検出手段93を備えており、湯張り運転終了後は、人体検出手段93を用いた自動追い焚き運転を行う場合と、人体検出手段93の機能をオフにして自動追い焚き運転を行う場合とがある。まず、人体検出手段93の機能をオフにした自動追い焚き運転について説明する。
本実施の形態において人体検出手段93の機能をオフにした場合、湯張り運転終了後は自動追い焚き運転を行う。自動追い焚き運転では、湯張り運転終了後から第1の所定時間(△L1)が経過する毎に、風呂ポンプ65を駆動し、浴槽5内の湯水を戻り配管63および往き配管64を循環させて、温度センサ67で浴槽5内の湯水の温度を検出する。例えば、第1の所定時間(△L1)を15分に設定しておくと、湯張り運転終了後から15分毎に風呂ポンプ65が駆動して温度検出を行う。
そして、第1の所定時間毎に風呂ポンプ65を所定時間α(例えば、45秒間)の間駆動して、浴槽5内の湯水の温度を検出した結果、浴槽5内の湯水の温度が所定温度Ts(追い焚き開始温度)以下になったことを検出したら、追い焚き運転を開始し、追い焚きポンプ7および風呂ポンプ65を駆動して、追い焚き熱交換器6にて貯湯タンク3内の高温水と、浴槽5内の湯水とが熱交換を行い、浴槽5内の湯水の追い焚きを行う。そして、浴槽5内の湯水の温度が設定温度(追い焚き停止温度)になった時に追い焚き運転が停止し、追い焚き運転完了となる。
図2は、通常時の追い焚き運転のフローチャートである。図2に示すように、追い焚き運転終了後、第1の所定時間(△L1)が経過した時間Lmaでまず風呂ポンプ65を駆動して浴槽5内の湯水の温度を検出する。図2の場合には時間Lmaでは未だ浴槽5内の湯水の温度が所定温度Tsを下回っていないので、さらに第1の所定時間(△L1)が経過した時間Lmbで再度風呂ポンプ65を駆動して浴槽5内の湯水の温度を検出する。その結果、時間Lmbでは所定温度Tsを下回っているので、追い焚きポンプ7の駆動を開始し、追い焚きポンプ7および風呂ポンプ65を駆動して浴槽5内の湯水の追い焚き運転を開始する。
そして、浴槽5内の湯水の温度が所定温度Tw(追い焚き終了温度)になったら、追い焚き運転を終了する。図2の場合には、時間Lmcまで追い焚き運転が行われたことになり、追い焚き運転終了後、時間Lmcから第1の所定時間毎に浴槽5内の湯水の温度を検出することになる。このとき追い焚き終了温度で設定している所定温度Twは、リモコン装置9で設定した保温温度T1よりも少し高めの温度を設定しており、本実施の形態では所定温度Tw=保温温度T1+0.5℃の関係を有している。
なお、人体検出手段93の機能をオフにした自動追い焚き運転では、図2に示すように第1の所定時間毎(時間Lma、時間Lmb、時間Lmd、時間Lme)に温度低下している。これは風呂ポンプ65を駆動することによって、戻り接続管61、往き接続管62、戻り配管63、往き配管64内の冷えた湯水が浴槽5へ供給されることによるものである。そのため、浴槽5からの単純な放熱に加えて、浴槽5内の湯水の温度を検出するために風呂ポンプ65を駆動することによって、浴槽5内へ冷水を供給して浴槽5内の湯水の温度を低下させている。
次に、人体検出手段93の機能をオンにしている時の自動追い焚き運転機能について説明する。なお、人体検出手段93の機能のオン・オフの切り替えは、リモコン装置9で所定の操作を行うことによって可能となっている。
図3は、人体検出手段93の機能をオンにしている時の不在時の追い焚き運転のフローチャートである。図3に示すように、人体検出手段93の機能をオンにしているときであっても、湯張り運転完了後には第2の所定時間毎に風呂温度を検出するようにしている。これは、風呂温度を定期的に検出しなければ、浴槽5内の湯水の温度低下が時間とともに進行し、使用者が自動追い焚き運転を設定しているにもかかわらず、浴槽5内の湯水が冷めてしまい、水になってしまいかねないためである。
本発明では、第2の所定時間(△L2)毎に風呂ポンプ65を所定時間α(例えば、45秒間)の間駆動して風呂温度を検出している。しかしながら、第2の所定時間(△L2)は、人体検出手段93の機能をオフ時の追い焚き運転の風呂ポンプ65を駆動するタイミングの第1の所定時間(△L1)よりも長い時間を設定している。第1の所定時間と第2の所定時間とを比較するために、図3には、人体検出手段93の機能をオフにしている時の自動追い焚き運転のフローも2点鎖線で示している。
例えば、第1の所定時間(△L1)には15分を設定し、第2の所定時間(△L2)には30分を設定することで、人体検出手段93の機能のオフ時の風呂ポンプ65の駆動回数よりも、人体検出手段93の機能をオンにしている時の風呂ポンプ65の駆動回数を減らすことが出来るため、配管内に残っている冷水を浴槽5へ入れる回数を少なくすることができる。なお、第1の所定時間(△L1)および第2の所定時間(△L2)に設定する時間は、本実施の形態に示す60分、15分に限定されるものではない。
そして人体検出手段93の機能をオンにしているときであっても、第2の所定時間(△L2)毎に風呂温度を検出した結果、風呂温度が所定温度Ts(追い焚き開始温度)以下になったときには、風呂ポンプ65および追い焚きポンプ7を駆動して、所定温度Tw(追い焚き終了温度)まで、加熱能力を「小」に設定して、浴槽5内の湯水の追い焚きを行うものとする。
上述の人体検出手段93の機能をオンにしている時の不在時の追い焚き運転のフローを図3を用いて説明する。追い焚き運転終了後、第2の所定時間(△L2)毎に風呂ポンプ65を駆動して浴槽5内の温度を検出している。図3では、湯張り運転終了後、第2の所定時間(△L2)が経過した時間Luaで風呂ポンプ65を駆動して浴槽5内の湯水の温度を検出し、所定温度Tw(追い焚き終了温度)まで追い焚きを行っている。
また、本実施の形態では、人体検出手段93の機能がオンの時であって、人が不在時の場合に第2の所定時間(△L2)毎に風呂ポンプ65を駆動して浴槽5内の湯水の温度を検出し、所定温度Tsよりも低くなっている場合に追い焚き運転を行っているが、この時、浴槽5内の湯水の温度が何度であっても、必ず追い焚きポンプ7を駆動して浴槽5内の湯水の温度を所定温度Tw(追い焚き終了温度)まで追い焚き運転を行うようにしてもよい。これは人体検出手段93の機能がオフの時に比べて、風呂ポンプ65を駆動する回数が少ないものの、浴槽5内の湯水の温度が放熱によってある程度低下していることが予想されるからである。
なお、本実施の形態では第2の所定時間(△L2)毎に風呂ポンプ65を駆動して、浴槽5内の温度を検出しているが、第2の所定時間(△L2)は一定の時間を設定する他、学習制御等によって設定してもよい。
以上のように、浴室に人がいない場合には、人体検出手段93の機能がオフになっている時に比べて、風呂ポンプ65を駆動する回数が少ないために、配管内に残っている冷水を浴槽5へ供給して浴槽5内の湯水の温度低下してしまう回数が少なくなるとともに、追い焚き運転の回数も減るため、貯湯タンク3内の高温水を無駄に使用してしまうことがない。
また、浴室に人がいない場合には、すぐに浴槽5内の湯水を追い焚き終了温度Twまで上昇させなくても入浴者の快適性を損なうわけではなく、急いで追い焚き終了温度Twまで上昇させる必要がないので、浴槽5内の湯水の温度が何度であっても、加熱能力を変更することなく、本実施の形態では加熱能力が最低の「小」で追い焚きを行っており、貯湯タンク3内の高温湯を、追い焚き熱交換器6で低温まで低くしてから貯湯タンク3の底部に戻すことになるので、加熱手段にヒートポンプを使用した場合には、非常に沸き上げ効率を向上させることができる。
次に、入浴者が浴室へ入ってきたときの追い焚き運転について説明する。
入浴者が浴室へ入ってきたことを人体検出手段93が検知すると、まず風呂ポンプ65を所定時間β(例えば、2秒)だけ駆動し、その後、すぐに追い焚きポンプ7を駆動して追い焚き運転を行う。この時、所定時間βは、上述した所定時間αと、所定時間α>所定時間βの関係を有しており、風呂ポンプ65を所定時間βだけ動かすのは、フロースイッチ68で浴槽5内に湯水があるかどうかを判定するためである。人体検出手段93の機能をオフにしているときとの相違点は、追い焚き開始のタイミングが異なることである。
人体検出手段93の機能をオフにしているときの追い焚き運転では、第1の所定時間(△L1)毎に風呂ポンプ65を所定時間α動かして、まず浴槽5内の湯水の温度を検出する。そして検出した浴槽5内の湯水の温度が、所定温度Tsよりも低いかどうかを判定し、所定温度Tsよりも低い場合に、追い焚きポンプ7を駆動して追い焚き運転を開始する。
また、本実施の形態では、所定時間αを45秒に設定し、所定時間αの間は風呂ポンプ65を駆動するようにしている。これは配管内の冷水と浴槽5内の温水とが混ざり浴槽5内の温度が安定するまで、配管と浴槽5内の湯水を循環させるためであり、温度が安定し確定してから追い焚き運転を開始するかどうかを判断している。
それに対して、人体検出手段93の機能をオンにしているときに、人体検出手段93で浴室への入室を検出すると、風呂ポンプ65を所定時間β動かして、まず浴槽5内に湯水があるかどうかをフロースイッチ68で検出する。そして浴槽5内の湯水の温度を検出する前に追い焚きポンプ7を駆動して追い焚き運転を開始する。これは浴室への入室を検出しており、入室者がまもなく浴槽5へ入ることが予想されるので、浴槽5内に湯水があることさえ確認できれば、すぐに追い焚きポンプ7を駆動して追い焚きを開始して、一刻も早く浴槽5内の湯水を追い焚きしなければならないからである。
また所定時間βの間にフロースイッチ68で浴槽5内の湯水の存在が確認できなければ、追い焚きポンプ7の駆動は開始させない。これは湯水が無い時に追い焚きポンプを駆動させた場合には、追い焚き熱交換器にて浴槽内の湯水と熱交換されないために、貯湯タンクの底部に高温水を供給してしまうので、浴槽5内に湯水が無い場合には追い焚きポンプ7の駆動を停止して無駄な高温水の使用を防止することができる。
また、本実施の形態では所定時間βを2秒に設定し、所定時間βの間、風呂ポンプ65
を駆動させている。所定時間αに比べて所定時間βを短くするのは、フロースイッチ68で水があることさえ確認できればいいためである。この場合、追い焚きポンプ7を駆動させながら、浴槽5内の温度を確定することになるが、浴槽5内の湯水の温度をより早く上昇させることができる。以上より、所定時間α>所定時間βの関係を有することになる。
また、上述したように人体検出手段93の機能をオンにしているときであっても、人の不在時には第2の所定時間(△L2)毎に風呂ポンプ65を所定時間αだけ駆動して、浴槽5内の温度を検出し、その結果、所定温度Ts(追い焚き開始温度)よりも低い場合には追い焚き運転を行っており、人体検出手段93の機能をオンにしているときの人が不在時と、入室を検出した時の追い焚きポンプ7の駆動のタイミングも異なっている。
このように、人体検出手段93の機能をオンにしている時の人が不在時の追い焚き運転時や、人体検出手段93の機能をオフにしている時の自動追い焚き運転時の追い焚きポンプ7の駆動するタイミングに比べて、人体検出手段93の機能をオンにしているときに入室を検知した時に行う追い焚き運転時の追い焚きポンプ7の駆動を開始するタイミング(風呂ポンプ65を駆動してから追い焚きポンプ7の駆動を開始するタイミング)を短くすることによって、人体を検出してから浴槽5内の湯水の温度上昇を早めることができる。
図4は人体検出手段93の機能をオンにしているときの追い焚き運転のフローチャートである。なお、人体検出手段93の機能をオンにしているときの不在時の追い焚き運転のフローチャートと比較できるように、人体検出手段93の機能をオンで、かつ浴室内に人が不在の時の自動追い焚き運転のチャートを1点鎖線にて示している。
図4に示すように、第2の所定時間(△L2)が経過するまでに、時間Lnaで浴室への入室があった場合には、時間Lnaにて、まず風呂ポンプ65を所定時間β動かし、その後、追い焚きポンプ7を駆動して追い焚き運転を開始する。ここでは、所定時間βの間にフロースイッチ68で浴槽5内に湯水があるかどうかを確認する。そして時間Lnaから時間Lnbまで追い焚き運転を行う。
その後、時間Lnbからは第3の所定時間(△L3)毎に風呂ポンプ65を駆動して、浴槽5内の湯水の温度を検出する。入浴中は、第3の所定時間(△L3)毎に風呂ポンプ65を駆動して、浴槽5内の湯水の温度を検出し、所定温度Ts(追い焚き開始温度)を下回った時点で、追い焚き運転を再開するようにしている。これは入浴者の快適性を損なわないための追い焚き運転である。そのため、第3の所定時間(△L3)は、第2の所定時間(△L2)よりも短くなる。
図4では、時間Lnbの時点で所定温度Tw(追い焚き終了温度)まで浴槽5内の湯水を追い焚きしたあと、時間Lnbから第3の所定時間(△L3)が経過する時間Lncで風呂ポンプ65を所定時間α駆動して、浴槽5内の湯水の温度を検出する。その結果、所定温度Tsよりも低ければ追い焚き運転を開始し、低くなければ追い焚き運転を開始しない。図4では所定温度Tsを下回ってないので、追い焚き運転をしていない。
そして次に時間Lncから第3の所定時間(△L3)が経過する時間Lndで再度、風呂ポンプ65を所定時間α駆動して、浴槽5内の湯水の温度を検出する。図4の場合には、時間Lndで浴槽5内の湯水の温度を検出した結果、所定温度Tsよりも低くなっているので、追い焚きポンプ7を駆動して、浴槽5内の湯水の温度が、所定温度Twになるまで追い焚き運転を行っている。
なお、人体検出手段93では、人の動きを検出して浴室内に人がいると判断している。そのため、人体検出手段93で人を検知しない時間が、所定時間γ(例えば、5分)を経
過すると、人の不在を確定して浴室内には人がいないと判断する。そして人の不在が確定すると、図3に示す人体検出手段93の機能をオンにしている時の不在時の追い焚き運転に戻る。
次に、時間Lnaから時間Lnbまでの追い焚き運転について説明する。図4の点線で囲んだK部分について図5に拡大して示す。
図5において、時間Lnaに人体検出手段93で人体を検出すると、風呂ポンプ65を所定時間β駆動して、浴槽5内の湯水の存在を確認する。そして所定時間βの間に浴槽5内の湯水の存在が確認できれば、追い焚きポンプ7を駆動して、浴槽5内の湯水の追い焚きを開始する。
本実施の形態では、通常の追い焚き開始温度Ts、追い焚き終了温度Twに加えて、リモコン装置9で設定した保温温度T1、保温温度T1と追い焚き開始温度Tsとの間に中間温度T2を設けている。
そして、人体を検出して追い焚き運転を開始したら、浴槽5内の温度が確定するまでは強制的に一定時間(例えば、30秒間)の間、追い焚き熱交換器6での加熱能力が「大」となるように追い焚き運転を行う。
そして、浴槽5内の温度を検出した結果、温度センサ67で検出する浴槽5内の湯水の温度Tiが、TsとT2との間にあった場合(Ts<Ti<T2の時)は、追い焚き熱交換器6での加熱能力が「大」となるように、追い焚き運転を開始する。図5では時間Lnaから時間Lna1まで加熱能力を「大」にして追い焚き運転を行う。
また加熱能力を「大」にして追い焚き運転を行っているときには、温度センサ69で検出される湯水の温度の上限温度も「大」にしている。つまり、加熱能力が「大」となるように追い焚きポンプ7を制御するが、一方で温度センサ69での上限温度が60℃を超えないように追い焚きポンプ7の制御を行っている。
そして、温度センサ67で検出する浴槽5内の湯水の温度Tiが中間温度T2を超えたら、加熱能力が「中」となるように、保温温度T1まで追い焚き運転を行う。そのため追い焚き熱交換器6での熱交換効率を高めて、貯湯タンク3内の高温水を効率よく追い焚き運転に使用することができる。図5では時間Lna1から時間Lna2まで加熱能力を「中」にして追い焚き運転を行う。
また加熱能力を「中」にして追い焚き運転を行っているときには、温度センサ69で検出される湯水の温度の上限温度も「中」にしている。つまり、加熱能力が「中」となるように追い焚きポンプ7を制御するが、一方で温度センサ69での上限温度が57℃を超えないように追い焚きポンプ7の制御を行っている。
さらに、温度センサ67で検出する浴槽5内の湯水の温度Tiが保温温度T1を超えたら、加熱能力が「小」となるように、所定温度Tw(追い焚き終了温度)まで追い焚き運転を行う。その結果、さらに貯湯タンク3内の高温水を効率よく追い焚き運転に使用することができ、さらに貯湯タンク3に戻す温水の温度を低くすることができるので、ヒートポンプでの沸き上げ効率を向上させることができる。図5では時間Lna2から時間Lnbまで加熱能力を「小」にして追い焚き運転を行う。
また加熱能力を「小」にして追い焚き運転を行っているときには、温度センサ69で検出される湯水の温度の上限温度も「小」にしている。つまり、加熱能力が「小」となるよ
うに追い焚きポンプ7を制御するが、一方で温度センサ69での上限温度が50℃を超えないように追い焚きポンプ7の制御を行っている。
以上のように、加熱能力を「大」にして運転した場合には、貯湯タンク3の底部には中温水が戻されるが、人が浴槽5に浸かるまでの僅かな時間を有効的に活用して、ある程度の温度までは素早く追い焚きすることができる。そのため非常に快適性を向上させることができる。
そして、ある程度快適な温度まで上昇すると、加熱能力を「中」「小」とすることにより、貯湯タンク3の底部に戻す湯水の温度を低く設定することができる。特に、加熱手段にヒートポンプを用いた場合には、貯湯タンク3の底部よりヒートポンプに湯水を送っているので、貯湯タンク3の底部にある湯水の温度が低いほど良く、本実施の形態のように加熱能力を変更することで貯湯タンク3に戻す湯水の温度を低くして沸き上げ効率を高くすることができるので、非常に沸き上げ効率の高い貯湯式給湯機を実現することができる。
また、リモコン装置9で設定した保温温度と、温度センサ67で検出した浴槽5内の湯水の温度との差に応じて、追い焚き熱交換器6から浴槽5へ供給する温水の上限温度を変更することで、温度差が大きければ早く温度が上昇するように上限温度を高くし、非常に快適性が向上し、温度差が小さければじんわりと浴槽5内の湯水を温度上昇させるので入浴者の入浴感を向上させることができる。
また、本実施の形態では人体検出手段93による追い焚き運転が行われてから第4の所定時間(△L4)の間は、再度人体検出手段93で人体を検知したとしても追い焚き運転は行わないことにしている。これは追い焚き運転が行われてから、第4の所定時間(△L4)の間は、あまり温度低下していないと判断し、人体検出手段93で人体を検出するたびに追い焚き運転を行ったのでは、貯湯タンク3内の高温水を無駄に使用してしまう可能性があるためである。
図6は、第4の所定時間について説明する追い焚き運転のフローチャートである。図6では、時間Lnbで人体検出手段93による追い焚き運転が完了し、その後、時間経過に伴い放熱して浴槽5内の湯水の温度が低下していく様子を表している。
そして人体検出手段93による追い焚き運転が完了してから第4の所定時間(△L4)が経過するまでの時間Lnb1に、再度人体検出手段93で人体を検出したとする。通常の人体検出手段93による追い焚き運転では、すぐに追い焚き運転を開始するが、第4の所定時間内であるため、追い焚き運転を開始していない。
それに対して、第4の所定時間が経過した後の時間Lnb2に再度人体検出手段93で人体を検出したとする。その結果、人体を検出したとしてすぐに追い焚き運転を開始する。
このように、一度人体検出をして追い焚き運転をしてから第4の所定時間が経過するまではそれほど浴槽5内の湯水の温度が低下していないと判断し、第4の所定時間内の追い焚き運転を中止している。また、第4の所定時間が経過した後には浴槽5内の湯水の温度が低下していると判断し、人体検出があれば追い焚きを開始して、入浴者の入浴感を損なうことがないようにしている。
以上のように、第4の所定時間を設けることで、不必要な追い焚き運転を止めることができるので、貯湯タンク3内の高温水を無駄に使用することもなくなり、非常に省エネ性
能を向上させることができる。
また、人体検出手段93で人体を検知することが可能となるので、風呂の追い焚き運転に関連付けるだけではなく、リモコン装置9の表示部91のオン・オフと連動させてもよい。特に、浴室への入室頻度や時間帯は、個々の生活スタイルにもよるが、1日24時間のうちの数時間という限られた時間帯(夕方から夜間)に集中することが多く、昼間等においては、浴室のリモコン装置9のスイッチを切り忘れたとしても、人体検出手段93で人の不在が確認できれば、表示部91をオフにすることで、更なる消費電力の削減を可能にする。
また、本実施の形態では、加熱手段としてヒートポンプユニットを用いている。これは前述したように、効率よく沸き上げを行うことができるが、一方で、中温水などを沸き上げる場合は効率が悪くなってしまう。しかしながら、本発明のように風呂温度の検出回数を減らすことによって、結果的に追い焚き運転時間が低下し、追い焚き運転時に生成される中温水の量が減ることになる。そのため貯湯タンク3の底部に貯えられる中温水の量が減り、ヒートポンプユニットでの沸き上げ効率を上げることができる。
また、追い焚き運転時の加熱能力を変更することで、中温水の量も減じることができ、沸き上げ効率の向上を実現することができる。