第1の発明の貯湯式給湯機は、高温水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクから湯水を取り出す出湯管と、前記貯湯タンクに給水する給水管と、前記給水管から分岐した端末給水配管と、前記出湯管と前記端末給水配管とを接続し湯水を混合する混合手段と、給湯端末への給湯量を検出する流量センサとを備え、前記給湯端末への出湯がない状態が、第3の所定時間継続した場合のみ、前記混合手段の湯側の開度を規制することにより、貯湯タンクの上部に空気が溜まっている可能性がないときには、混合手段への制限を解除するため、使用者の所望の温度をすぐに提供することができ、使用性を向上させることができる。
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、前記流量センサで湯水の流れを検知してから連続して第1の所定時間の間流量センサで湯水の流れを検知した場合は、湯側開度の規制を解除することにより、確実に第1の所定時間の間は、混合手段への高温湯の流入を制限することができるので、確実に給湯端末からの高温湯の出湯を防止することができる。
第3の発明の貯湯式給湯機は、高温水を貯える貯湯タンクと、記貯湯タンク内の湯水の温度を検出する残湯温度検出手段と、前記貯湯タンクから湯水を取り出す出湯管と、前記貯湯タンクに給水する給水管と、前記給水管から分岐した端末給水配管と、前記出湯管と前記端末給水配管とを接続し湯水を混合する混合手段と、浴槽と、前記浴槽への流量を検出する風呂流量センサとを備え、前記貯湯タンクから前記浴槽へ湯張りが可能となるように構成し、前記残湯温度検出手段で検出される温度に基づいて、前記混合手段の湯側開度を規制するとともに、給湯端末への出湯中に、風呂流量センサで流量を検知したときは、混合手段の湯側開度の規制を解除するものである。
これにより、給湯端末と浴槽との両方へ貯湯タンク内部の空気が同時に排出することができるので、貯湯タンク内部の空気が排出されるまでの時間が短縮され、かつ、混合手段への流量が低下するため、混合手段への規制を解除することで使用性を損なうことがない。
第4の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、貯湯タンクから浴槽へ湯張りが可能となるように構成するとともに、浴槽への流量を検出する風呂流量センサを備え、前回の給湯端末からの出湯から第3の所定時間経過するまでの間に、風呂流量センサで流量を検知したときは、混合手段の湯側開度を規制しないことにより、湯張りを行うことで、貯湯タンク内部に空気が溜まっている場合は、浴槽を通じて空気が外部に排出されるので、必要以上に混合手段への制限をかける必要がなく、使用者の使い勝手を損なわない。
第5の発明の貯湯式給湯機は、高温水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水の温度を検出する残湯温度検出手段と、前記貯湯タンクから湯水を取り出す出湯管と、前記貯湯タンクに給水する給水管と、前記給水管から分岐した端末給水配管と、前記出湯管と前記端末給水配管とを接続し湯水を混合する混合手段と、給湯端末への出湯温度を設定する温度設定手段とを備え、前記残湯温度検出手段で検出される温度に基づいて、前記混合手段の湯側開度を規制するとともに、前記温度設定手段で設定する出湯温度が所定温度以上の時には、前記混合手段の湯側開度を規制しないことを特徴とするものである。
これにより、使用者が高温を望んでいる時には、高温側の制限を解除することによって、すぐに使用者の望む温度を提供することができ、使い勝手を向上させる。
第6の発明の貯湯式給湯機は、特に第5の発明において、温度設定手段で設定する出湯温度が所定給湯温度以上であっても、残湯温度検出手段で検出される温度が所定残湯温度以上であれば、混合手段の湯側開度を規制することにより、確実に給湯端末へ供給する湯温を抑えることができる。
第7の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、給湯端末への給湯量を検出する流量センサを備え、流量センサで検出する流量が所定流量以上を検出した時に、混合手段の湯側開度の規制を解除することにより、より正確に貯湯タンクの上部から空気が抜けたタイミングを検知することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(参考例1)
図1は、本参考例1における風呂追い焚き機能の付いた貯湯式給湯機の構成図である。図1において、本参考例1の貯湯式給湯機は、タンクユニット1とヒートポンプユニット2を備えており、タンクユニット1内に配設している貯湯タンク3内に貯える高温水を、ヒートポンプユニット2にて生成している。なお、本参考例1では加熱手段としてヒートポンプを用いているが、これに限定されることなく、例えば、タンク内に電気ヒータを内設して加熱する形態であっても問題はない。また、実線矢印は流体の流れる方向を示している。
次に、ヒートポンプユニット2の構成について説明する。ヒートポンプユニット2は、水冷媒熱交換器24、圧縮機25、蒸発器26、膨張弁27を冷媒配管により順次環状に接続して構成されており、冷媒には二酸化炭素を使用しているため、高圧側が臨界圧力を超えるので、水冷媒熱交換器24を流通する水に熱を奪われて温度が低下しても凝縮する
ことがなく、水冷媒熱交換器で冷媒と水との間で温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ熱交換効率を高くすることができる。
また、比較的安価でかつ安定な二酸化炭素を冷媒に使用しているので、製品コストを抑えるとともに、信頼性を向上させることができる。また、二酸化炭素はオゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も代替冷媒HFC−407Cの約1700分の1と非常に小さいため、地球環境に優しい製品を提供できる。
また、ヒートポンプユニット2において、圧縮機25で冷媒が圧縮され、圧縮機25から吐出された冷媒が水冷媒熱交換器24で放熱し、膨張弁27で減圧されたあと、蒸発器26で空気から熱を吸収し、ガス状態で再び圧縮機25に吸入される。なお、圧縮機の能力制御および膨張弁27の開度制御は、圧縮機25の吐出側に設けた温度センサ(図示せず)で検出される吐出冷媒の温度が予め設定された温度を維持するように制御される。
また、貯湯タンク3内の湯水は、水ポンプ28が作動することで、水冷媒熱交換器24に流入し、冷媒と熱交換を行う。そして水冷媒熱交換器24の出口と貯湯タンク3との間には三方弁43が設けられており、水冷媒熱交換器24から出る温水を貯湯タンク3の上部へ戻すか、下部へ戻すかを切り替えている。
その結果、水冷媒熱交換器24から出る温水の温度が所定温度以上の場合には、貯湯タンク3の上部側へ戻るように三方弁43が切り替わり、上部沸き上げ配管44を経て貯湯タンク3の上部へ戻り、積層状態で貯湯タンク3の上部に高温の湯が貯えられる。また、水冷媒熱交換器24から出る温水の温度が所定温度未満の場合には、貯湯タンク3の下部側へ戻るように三方弁43が切り替わり、下部沸き上げ配管45を経て貯湯タンク3の下部へ戻る。
次に、タンクユニット1の構成について説明する。タンクユニット1には前述した通り貯湯タンク3を有しており、貯湯タンク3の底部には給水源から低温水を供給するための給水配管31が接続されており、常時給水圧がタンク内に掛かっている状態となっている。また、貯湯タンク3の上方部には貯湯タンク内の高温水を出湯するための出湯管32が接続されており、給湯端末や浴槽へ高温水を供給可能に構成している。
また、どれくらいの湯が残っているかを検出する複数の残湯温度検出手段である温度センサ46a〜eが貯湯タンク3の上下に設けられており、貯湯タンク3内の温水の温度を検出している。なお、本参考例では残湯温度検出手段は上下に5つ設けているが、残湯温度検出手段の個数はこれに限定されることなく、例えば、4つや3つであっても問題ない。
次に、給湯端末へ湯が供給される給湯回路について説明する。
本参考例における給湯回路は、給水配管31から分岐した端末給水配管33と、出湯管32とを混合手段である電動式混合弁4にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。そして電動式混合弁4の下流側に設けた温度センサ41で検出される温度が、台所や浴室に設けられたリモコン装置で設定した温度となるように、電動式混合弁4の混合比が変更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、給湯端末42へ供給される。さらに、給湯端末への給湯量を検出するための流量センサ72が設けられており、給湯端末への給湯量を検出することができる。
次に、浴槽5への湯張り回路および追い焚き回路について説明する。
本参考例では、浴槽5内の湯水と、貯湯タンク3内の高温水とが追い焚き熱交換器6にて熱交換し、浴槽内の湯水を追い焚きする追い焚き機能を有している。そのため、追い焚き熱交換器6の高温側回路(追い焚き一次回路)へは、出湯管3から分岐した追い焚き給湯管47を経て、貯湯タンク3内の高温水が供給されるように構成されており、熱交換した後の温水は追い焚き出湯管48を経て貯湯タンク3の下方部へ戻すように構成されている。このとき、追い焚き出湯管48は、逆止弁49を介して下部沸き上げ配管45へ接続され、貯湯タンク3の下方部へ戻すように構成されている。
また、追い焚き熱交換器6の低温側回路(追い焚き二次回路)は、風呂ポンプ65が駆動することによって、浴槽5内の湯水が供給されるように構成されており、熱交換した後の浴槽水を、再度浴槽5へ戻すように構成されている。
また、高温側回路(追い焚き一次回路)においては、追い焚きポンプ7および追い焚き熱交換器6の下流側に高温側出口温度検出手段である温度センサ71が配設されており、追い焚きポンプ7が駆動することによって貯湯タンク3内の高温水が、追い焚き熱交換器6へ搬送される。
そして、浴槽5のアダプタ51とタンクユニット1とは、接続部60a〜60dにおいて、戻り接続管61および往き接続管62で接続される。また、戻り接続管61および往き接続管62の接続口から追い焚き熱交換器6までは、それぞれ戻り配管63および往き配管64で接続されており、浴槽5、戻り接続管61、戻り配管63、追い焚き熱交換器6、往き配管64、往き接続管62が順次接続されて追い焚き回路が構成されている。
また、貯湯タンク3から浴槽5への湯水の供給を行う湯張り回路は、出湯管32から分岐した風呂給湯管34と、給水配管31から分岐した風呂給水配管35とを電動式混合弁8にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。そして電動式混合弁8の下流側に設けた温度センサ81で検出される温度が、台所や浴室に設けられたリモコン装置で設定した温度となるように、電動式混合弁8の混合比が変更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、浴槽5へ供給される。
また、湯張り回路には、流量センサ82が設けられており、浴槽5へ供給される湯水の量が計測される。さらに、二方向の電磁弁83が設けられており、湯張り開始時には、電磁弁83が開くと同時に、浴槽5への湯水の供給が開始される。そして電磁弁83が開いた後には、戻り配管63および往き配管64の二方向から浴槽5へと湯張りが行われる。また、汚水の逆流を防ぐための逆止手段84が設けられている。
また、戻り配管63には、浴槽5内の湯水を循環させるための搬送手段である風呂ポンプ65、浴槽5内の水位を検出する水位センサ66、浴槽5内の湯水の温度を検出する浴槽温度検出手段である温度センサ67が設けられており、風呂ポンプ65が駆動することにより、浴槽5内の湯水が戻り配管63に吸い込まれ、追い焚き熱交換器6を経て、往き配管64へ流れ込み、再度浴槽5へ戻される。
また、風呂ポンプ65と追い焚き熱交換器6の間には、浴槽5内に湯水があるかどうかを検出する湯水検出手段であるフロースイッチ68が設けられており、オンすることで水の流れを検知可能に構成されている。つまり、フロースイッチ68がオンしたときには浴槽5内には湯水があると判断し、フロースイッチ68がオフの時には浴槽5内には湯水がないと判断される。
また、浴室には貯湯式給湯機の操作を行うことができる操作手段であり、浴槽5内の湯水の保温温度を設定する温度設定手段であるリモコン装置9が設置され、リモコン装置9
を操作して、湯水の温度設定や風呂への湯張り、また設置工事後の試運転操作等を行う。リモコン装置9には情報を表示する表示部91および操作を行う操作部92を有している。また、台所にもリモコン装置95が設けられており、リモコン装置9と同様に給湯温度や湯張り量を設定することができる。
また、図1には、本参考例の貯湯式給湯機には、浴槽のリモコン装置9や台所のリモコン装置95からの指示を受け取り、各制御機器に命令する制御装置94も有している。そして制御装置94はマイコンおよびその電子制御部品で構成され、タンクユニット1を構成する機器(風呂ポンプ65や追い焚きポンプ7など)に命令を送っている。
さらに、本発明のリモコン装置9には、人体検出手段93が設けられており、人が浴室に入室したことを検知することができるようになっている。なお人体検出手段93には、赤外線センサや、浴室内の照度を検出する照度センサ、また入室者の振動やドアの開閉を検出する衝撃(振動)センサなど様々なセンサを用いることができ、種類が特定されるものではない。
さらに、追い焚き熱交換器6で加熱された後の浴槽水の温度を検出する追い焚き出湯温度検出手段である温度センサ69が設けられている。この温度センサ69は浴槽5へ送る湯水の温度を検出しており、温度センサ69で検出される温度が上限温度を超えないように追い焚きポンプ7が制御される。これは温度センサ69では、浴槽5へ直接供給される湯水の温度を検出することができるため、浴槽5へ上限温度以上の高温水を供給することがないようにして、入浴者の火傷を防止することができる。
次に、混合弁の駆動制御について説明する。図2は、参考例1における混合弁制御フロー図である。なお、本参考例では、貯湯タンク3の内部は通常は満水状態であるが、不凍結水栓の動作後やメンテナンス後において貯湯タンク3の上部に空気が溜まった状態から給湯する時を例にとって説明する。
通常、従来の方式のように、単に電動式混合弁4の開度制御を、電動式混合弁4の下流に設けた温度センサ41で検知する温度に基づいてフィードバック制御するだけでは、貯湯タンク3上部には空気が溜まっており、電動式混合弁4の湯側には高温水が供給されず、空気が抜け切るまでは温度センサ41の温度が上昇しないため、電動式混合弁4の開度は徐々に湯側へと開いていき、空気が抜け切った瞬間に、一気に貯湯タンク3内の高温湯が給湯端末42へ供給される可能性があった。
そこで、本参考例では、電動式混合弁4の開度に規制開度(上限開度)を設けて、給湯が始まってから所定時間の間は、電動式混合弁4の開度は湯側へは規制開度までしか開かないようにしている。
図3は、貯湯タンクの残湯温度に対応する規制開度のテーブルである。図3に示すように、最上段の温度センサ46aで検出される温度が高い程、電動式混合弁4の規制開度も大きくなっていく。本参考例1では、残湯温度検出手段の最上段に設けられている温度センサ46aで検出される温度が60℃未満の時について説明する。
次に、図2、図3を用いて説明する。まず、使用者が時間Tx1で給湯端末42から湯水の出湯を開始したら、流量センサ72が湯水の流れを検知する。この時、貯湯タンクの温度を検出する温度センサ46aで検出される温度が58℃だったら、図3のテーブルに基づくと60℃未満のカテゴリーに入るので、電動式混合弁4の規制開度は90%に設定される。
そして、通常、給湯端末42からの出湯を停止している時は、電動式混合弁4の開度を中間位置にしているので、時間Tx1の時点では電動式混合弁4の開度は待機開度である中間位置となっているが、電動式混合弁4の制御は、下流側に設置される温度センサ41の検知温度に基づいてフィードバック制御されるので、温度センサ41の検知温度に基づいて電動式混合弁4の開度が制御される。なお、本参考例1では、給湯停止中の電動式混合弁4の開度を中間位置としているが、これに限定されることはなく、水側全開やその他所定の位置となっていても問題はない。
そして、温度センサ41で検知される温度が、リモコン装置95で設定した給湯温度となるように電動式混合弁4の開度が制御される。しかしながら、貯湯タンク3の上部には空気が溜まっている場合には、電動式混合弁4の湯側には空気しか供給されず、温度センサ41で検知される温度は上昇しないため、より湯を多く取り入れようと、電動式混合弁4の開度は徐々に湯側へと開いていく。
そして、電動式混合弁4の開度は時間Tx1から徐々に湯側へと開いていくが、規制開度を90%に設定しているので、湯側90%の位置までしか開かない。そのため、時間Tx1から時間Tx2までは、電動式混合弁4の水側に供給される低温水の量だけ給湯端末42から出湯するが、徐々に湯側へと開度を開いていき時間Tx2で湯側90%となるので、時間Tx2以降は、水と空気とが混合されて給湯端末42から出湯され流量は一気に低下する。
そして、貯湯タンク3の上部の空気が抜け切るタイミングの時間Tx3には、電動式混合弁4の湯側に一気に高温水が供給され、給湯端末42へは低温水と高温水が混合されて供給され、一気に流量が増加することになる。その結果、時間Tx3以降は、温度センサ41で検知する温度が設定温度となるように電動式混合弁4の開度が制御されて、設定温度の開度へと設定される。
このように、時間Tx3で高温水の供給が復活して貯湯タンク3から電動式混合弁4へ高温水が供給されても、湯側開度に規制開度を設けているので、電動式混合弁4である程度水と混合されて、給湯端末42へは混合された湯水が供給されるため、そのまま高温水が供給されることはなくなる。
(参考例2)
参考例2における貯湯式給湯機の構成図は、参考例1の貯湯式給湯機の構成図と同じであるので、参考例1と同じ符号を用いて説明する。
図4は、参考例2における電動式混合弁の制御フロー図である。本参考例2では、残湯温度検出手段の最上段に設けられている温度センサ46aで検出される温度が80℃以上の時について説明する。なお、本参考例1と同様に、貯湯タンク3の上部に空気が溜まった状態から給湯する時を例にとって説明する。
まず、使用者が時間Ty1で給湯端末42から湯水の出湯を開始したら、流量センサ72が湯水の流れを検知する。この時、温度センサ46aで検出される温度が85℃だったら、図3のテーブルに基づくと80℃以上のカテゴリーに入るので、電動式混合弁4の規制開度は50%に設定される。
そして、通常、給湯端末42からの出湯を停止している時は、電動式混合弁4の開度を中間位置にしているので、時間Ty1の時点では電動式混合弁4の開度は待機開度である中間位置となっているが、電動式混合弁4の制御は、下流側に設置される温度センサ41の検知温度に基づいてフィードバック制御されるので、温度センサ41の検知温度に基づ
いて電動式混合弁4の開度が制御される。なお、本参考例では、給湯停止中の電動式混合弁4の開度を中間位置としているが、これに限定されることはなく、水側全開やその他所定の位置となっていても問題はない。
そして、温度センサ41で検知される温度が、リモコン装置95で設定した給湯温度となるように電動式混合弁4の開度が制御される。しかしながら、貯湯タンク3の上部には空気が溜まっている場合には、電動式混合弁4の湯側には空気しか供給されず、温度センサ41で検知される温度は上昇しないため、より湯を多く取り入れようと、電動式混合弁4の開度は徐々に湯側へと開いていく。
そして、従来の制御であれば、電動式混合弁4の開度は時間Ty1から徐々に湯側へと開いていくが、規制開度を50%に設定しているので、湯側50%の位置までしか開かない。つまり、給湯停止中には中間開度が50%となっているので、給湯が開始されても中間開度から動くことなく、電動式混合弁4では空気と低温水とが混合し、給湯端末42へは空気が混ざった低温水が供給される。そして、時間Ty2で空気が全て抜けると、貯湯タンク3からは高温湯が出湯されるために、電動式混合弁4の湯側に高温湯が供給され、給湯端末42へ供給される湯水の量が一気に上昇する。
しかしながら、本参考例2では、給湯端末42への出湯が開始してから第1の所定時間である所定時間Ts1の間は、電動式混合弁4の開度に規制開度を設けたままにしている。これは、貯湯タンク3からの空気が抜けるタイミングの検知が難しく、所定時間Ts1に貯湯タンク3から空気が抜けるのに十分な時間を予め設定しておくことで、より安全に使用者に湯水を供給することができる。そのため、時間Ty2になっても所定時間Ts1が経過するまでは、規制開度50%のまま給湯端末42へ温水が供給され続ける。
なお、設定温度によっては、湯側50%以下の開度でも良い場合がある。例えば、設定温度が40℃で、給水温度が20℃、貯湯タンク3内の高温水の温度が85℃の時は、電動式混合弁4の湯側開度は約30%となり、規制開度の50%以下であるため、その場合には、通常のフィードバック制御にて湯側開度が30%となり、時間Ty2以降は設定温度の湯が供給されることになる。この時の電動式混合弁4開度の挙動は、規制開度から設定温度の開度まで下がる方向に動くので、参考例1と同じように動く。つまり、あくまでも規制開度は上限値であり、規制開度以下での温調が出来る場合はそのまま電動式混合弁4の開度が制御される。
一方、本参考例2では、設定温度が55℃で、給水温度が10℃、貯湯タンク3内の高温水の温度が85℃の時について説明する。このような条件の時には、湯側開度が約60%にならなければ、所望の温度は取り出せない。つまり、規制開度から設定温度の開度までは上がる方向に動く。このような場合には、時間Ty1から所定時間Ts1が経過する時間Ty3までは、電動式混合弁4の湯側開度は50%になったままで継続し、時間Ty3になって初めて湯側開度の規制が解除され、フィードバック制御で湯側開度が60%まで開いていくことになる。
このように、時間Ty2で高温水の供給が復活して貯湯タンク3から電動式混合弁4へ高温水が供給されても、湯側開度に規制開度を設け、さらに連続出湯する時間が所定時間Ts1経過するまでは規制開度のままとしているので、確実に貯湯タンク3から空気が抜け切るまでは、給湯端末42へは高温水が供給されることはなくなる。なお、所定時間Ts1は、予め所定の時間(例えば、2分程度)が設定されているが、一義的に決定されるものではなく、貯湯タンクの容量や給湯機の構成に見合った時間を設定することができる。
(参考例3)
参考例3における貯湯式給湯機の構成図は、参考例1の貯湯式給湯機の構成図と同じであるので、参考例1と同じ符号を用いて説明する。参考例3では、湯側開度の規制解除の条件が、参考例2と異なっている。参考例2では、連続出湯が所定時間Ts1経過するまでは湯側開度に規制開度を設けて電動式混合弁4の制御がされているが、本参考例3においては、断続出湯が発生した時の電動式混合弁4の制御について説明する。
通常、使用者が給湯端末から湯水を出湯させるときには、連続的に使用させることが想定されるが、一方で、サービスマン等が修理等で給湯端末から湯水を断続的に出湯させる場合がある。そのため、連続出湯せずとも、何回かの出湯で貯湯タンク3の上部に溜まっている空気が抜けてしまうため、貯湯タンク3の上部に空気がないにもかかわらず、電動式混合弁4の開度に規制開度を設けてしまうと、使用者の使用性を損ないかねない。そこで、本参考例3では、断続出湯が発生した時にも電動式混合弁4に設けている規制開度を解除している。
なお、通常、給湯端末42からの出湯を停止している時は、電動式混合弁4の開度を中間位置にしているので、時間Tz1の時点では電動式混合弁4の開度は待機開度である中間位置となっているが、電動式混合弁4の制御は、下流側に設置される温度センサ41の検知温度に基づいてフィードバック制御されるので、温度センサ41の検知温度に基づいて電動式混合弁4の開度が制御される。なお、本参考例では、給湯停止中の電動式混合弁4の開度を中間位置としているが、これに限定されることはなく、水側全開やその他所定の位置となっていても問題はない。
次に、断続出湯時の電動式混合弁4の規制開度の解除について説明する。図5は、電動式混合弁4の制御フロー図である。まず時間Tz1にて給湯端末への出湯を検知する。そうすると、サービスマン等によって断続的に出湯されるときには、時間Tz1以降にも何回か出湯されるため、この間に、貯湯タンクの上部に溜まった空気が抜けていく。
そして、時間Tz1にて出湯が開始されたときの貯湯タンク3の温度センサ46aが検出する温度が85℃の時には、図3に基づいて電動式混合弁4の湯側開度の上限値が50%に規制される。そこで、時間Tz1での給湯端末への出湯を検知してから、第2の所定時間である所定時間Ts2が経過するまでは湯側への規制開度を設け、所定時間Ts2が経過する時間Tz2以降に給湯するときには、電動式混合弁4の湯側開度に規制を設けない。
例えば、時間Tz2以降の時間Tz3で使用者が給湯を開始すると、電動式混合弁4の湯側開度の規制が解除されているため、電動式混合弁4の湯側開度の規制開度よりも湯側に開かなければならないときには、規制開度を超えて電動式混合弁4の開度が調節される。
以上のように、本参考例3のように、初めに出湯を検知した時間Tz1から所定時間Ts2が経過するまでは、電動式混合弁4の湯側開度に規制を設け、所定時間Ts2が経過すれば、電動式混合弁4の湯側開度に設けた規制を解除することで、非常に使用性の高い給湯機を提供することができる。なお、所定時間Ts2は、予め所定の時間(例えば、5分程度)が設定されているが、一義的に決定されるものではなく、貯湯タンクの容量や給湯機の構成に見合った時間を設定することができる。
(実施の形態1)
実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図は、参考例1の貯湯式給湯機の構成図と同じであるので、参考例1と同じ符号を用いて説明する。参考例1から参考例3までは、給
湯端末42への単独出湯について説明したが、実施の形態1では、浴槽5と給湯端末42への同時出湯時の電動式混合弁4の制御について説明する。
図1に示すように、出湯管32から分岐して風呂給湯管34が設けられている。そのため、浴槽5への湯張り時は、出湯管32から出湯した湯が風呂給湯管34を通って電動式混合弁8にて温調されて浴槽5へ供給される。一方で、給湯端末42へ湯水を供給する場合には、出湯管32から出湯した湯が電動式混合弁4にて温調されて給湯端末42へ供給される。
つまり、給湯端末42と浴槽5との両方に湯水の供給が開始された場合は、貯湯タンク3から出湯する出湯管32は一本なので、電動式混合弁4および8は、それぞれの下流側に設けた温度センサ41および81で検出される温度に基づいて制御されるが、浴槽5と給湯端末42の両方に出湯しているので、単独出湯時よりも電動式混合弁の湯側へ供給される湯量が低下し、それぞれの電動式混合弁はより湯側へと開く方向で制御される。
そのため、同時出湯時に湯側開度の規制を設けてしまうと、電動式混合弁で温調できないという課題が発生することになる。これは、単独出湯時には湯側開度が50%以下でも設定温度の湯が作り出せていたのが、同時出湯時には湯側開度への湯供給量が減ってしまい湯側開度が50%以上になる場合があるからであり、そこで、本実施の形態1では、同時給湯時には湯側開度への規制を解除している。
なお、通常、給湯端末42からの出湯を停止している時は、電動式混合弁4の開度を中間位置にしているので、時間Tv1の時点では電動式混合弁4の開度は待機開度である中間位置となっているが、電動式混合弁4の制御は、下流側に設置される温度センサ41の検知温度に基づいてフィードバック制御されるので、温度センサ41の検知温度に基づいて電動式混合弁4の開度が制御される。なお、本実施の形態では、給湯停止中の電動式混合弁4の開度を中間位置としているが、これに限定されることはなく、水側全開やその他所定の位置となっていても問題はない。
まず、給湯端末42から湯水の出湯を開始すると、単独運転では連続出湯を所定時間Ts1継続している間は湯側開度に規制開度を設けている。なお規制開度は図3に基づいて決定される。しかしながら、単独運転で連続出湯しているときであって、所定時間Ts1が経過するまでにリモコン装置9もしくは95で湯張り運転が開始された場合(自動湯張りを設定している場合は設定時刻になると湯張り運転が開始される)は、電磁弁83が開き浴槽5へと湯張りが開始される。
図6は、電動式混合弁4の規制状態を示したフロー図である。図6に示すように、時間Tv1までは待機開度である中間位置となっているが、時間Tv1で給湯端末42からの出湯を開始すると、規制開度を設けて、この規制開度を上限に電動式混合弁4が制御される。なお、本実施の形態では温度センサ46aで検出した温度が85℃の場合を例にとって示すため、規制開度は50%に設定されるものとする。
そして単独出湯の場合は、参考例2でも示したように、時間Tv1から所定時間Ts1の間は、規制開度を上限値に電動式混合弁4が制御されるが、所定時間Ts1が経過する前の時間Tv2に湯張り運転が開始されるとする。この時は、時間Tv2に湯張りが開始された時点で、電動式混合弁4の湯側開度への規制を解除する。つまり、所定時間Ts1が経過する時間Tv3を待たずして規制開度の上限値を解除する。
このように規制開度を解除することで、浴槽5と給湯端末42との同時出湯であっても、使用者に不便を与えることなく、使用性の高い給湯機を提供することができる。
(実施の形態2)
実施の形態2における貯湯式給湯機の構成図は、参考例1の貯湯式給湯機の構成図と同じであるので、参考例1と同じ符号を用いて説明する。参考例1から実施の形態1については電動式混合弁4に規制開度を設けて制御することを説明したが、全ての給湯において電動式混合弁4に規制開度を設けて制御すると、貯湯タンク3の上部に空気が溜まっていないにもかかわらず、電動式混合弁4の駆動が規制されてしまうため、使用者の要求する温度を提供するまで時間だけが掛かってしまうということがある。
そこで、実施の形態2では、電動式混合弁4の駆動に規制開度を設ける場合は、一定時間以上(第3の所定時間以上)出湯がない場合のみ、電動式混合弁4の開度を規制している。図7および図8は、第3の所定時間Ts3と給湯のタイミングを示した図である。
一般的に、貯湯タンク3の内部は湯水で満水になっており、上部に空気が溜まってはいない。そのため貯湯タンク3の上部に空気が溜まる場合は、例えば、メンテナンスのために貯湯タンク3から湯水を抜いた場合や、寒冷地などに見られる不凍結水栓に接続されており、外気温度が低くなる夜間の間は貯湯タンク3への給水が停止されるので、その結果、貯湯タンク3の上部に空気が溜まってしまう場合等がある。
そこで、本実施の形態では、第3の所定時間Ts3(例えば、30分)の間、給湯端末42への出湯がない場合に限って電動式混合弁4に規制開度を設けるようにしている。このように制御することで、貯湯タンク3の上部に空気が溜まっていると想定される時だけに限定され、想定されない時には通常の電動式混合弁4の制御がされるので、使用性を向上させることができる。
図7に示すように、前回の給湯が時間Tw1に終了してから、所定時間Ts3が経過する時間Tw2までの間には、給湯端末42から出湯が無かった場合、時間Tw2以降の時間Tw3に再度給湯端末42からの出湯を検知した場合には、所定時間Ts1の間は、電動式混合弁4の湯側開度に上限値を設けている。そして、所定時間Ts1が終了後に、湯側開度の上限値の規制開度が解除される。
次に、図8に示すように、前回の給湯が時間Tw1に終了してから、所定時間Ts3が経過する時間Tw2までの間の時間Tw5に給湯端末42から出湯があった場合には、電動式混合弁4の湯側開度には上限値を設けず制御される。
また、貯湯式給湯機への電源を投入してから1回目の給湯端末42への出湯のときは、前回出湯した実績がないため、第3の所定時間Ts3が存在しない。そのため、電源を投入してから1回目の給湯端末42への出湯の際も、電動式混合弁4に規制開度を設けるようにしている。
これは、一度電源を落とすということは、何らかのメンテナンスをした可能性が高いため、貯湯タンク3の上部に空気が溜まっている可能性があり、電源投入後の1回目の出湯時に電動式混合弁4の湯側開度に規制開度を設けることで、確実に給湯端末42から高温が出湯することを防止することができる。
以上のように、第3の所定時間を設け、かつ、電源投入後の1回目の出湯に限定することで、確実に給湯端末42から高温が出湯してしまうことを防止し、かつ使用性の高い貯湯式給湯機を提供することができる。
(実施の形態3)
実施の形態3における貯湯式給湯機の構成図は、参考例1の貯湯式給湯機の構成図と同じであるので、参考例1と同じ符号を用いて説明する。実施の形態3では、第3の所定時間T3の間に、給湯運転する前に浴槽5へ湯張り運転をした場合の電動式混合弁4の制御について説明する。
図1に示すように、貯湯タンク3から高温湯を取り出すときは、浴槽5へ湯張りをするときであっても、給湯端末42へ出湯するときであっても、出湯管32を通して高温湯を取り出す。そのため、貯湯タンク3の上部に溜まった空気は、湯張り運転を行った時でも、浴槽5へと排出される。
そこで、本実施の形態3では、実施の形態2に記載のように、第3の所定時間Ts3の間、給湯端末42への出湯がない場合であっても、第3の所定時間Ts3の間に湯張り運転があったときには、電動式混合弁4の湯側開度に規制開度を設けないものである。
図9は、実施の形態3における混合弁の開度と、給湯運転、風呂運転との関係を示した図である。通常は、前回の給湯端末42からの出湯が停止してから、所定時間Ts3の間、給湯端末42からの出湯がなければ、次回の給湯端末42からの出湯時には電動式混合弁4に規制開度を設けて制御するが、図9に示すように、所定時間Ts3の間に湯張り運転が発生した場合には、次回の給湯端末42からの出湯時には湯側開度に規制開度を設けないようにしている。
まず、時間Tu1で前回の給湯運転が停止すると、所定時間Ts3が経過する時間Tu2までの間の、時間Tu3で浴槽5への湯張り運転が開始するとする。そうすると、仮に貯湯タンク3の上部に空気が溜まっていたとしても、浴槽5への湯張り運転を行うことで、貯湯タンク3の上部の空気は浴槽5へ排出される。そして時間Tu4で湯張り運転が完了して、時間Tu4以降の時間Tu5で給湯端末42からの出湯を開始するときには、給湯端末42からの出湯間隔は所定時間Ts3が経過しているが、その間に湯張り運転を行って貯湯タンク3の上部には空気が溜まっていないので、電動式混合弁4の湯側開度には規制開度を設けないようにしている。
このように、給湯端末42からの出湯間隔が所定時間Ts3開いていても、その間に湯張り運転を行えば、次回の給湯端末42への出湯の際には、電動式混合弁4の湯側開度の規制は行わないようにして、使用者の使用性を向上させることができる。
また、湯張り運転終了後から所定時間Ts3が経過した後に、給湯端末42から出湯するときには、電動式混合弁4の湯側開度の規制を行うようにすれば、さらに確実に給湯端末42から高温湯を出湯することを防止することができる。
(実施の形態4)
実施の形態4における貯湯式給湯機の構成図は、参考例1の貯湯式給湯機の構成図と同じであるので、参考例1と同じ符号を用いて説明する。実施の形態4では、使用者が高温出湯を望む場合について説明する。
使用者が、リモコン装置9もしくはリモコン装置95にて給湯温度を設定することができる。通常の給湯であれば40℃程度を設定して使用することが好ましく、使用者が給湯端末42から湯を出湯させると、温度センサ41で検出される温度が、設定温度となるように電動式混合弁4の混合比を変更している。例えば、使用者が給湯温度に40℃を設定した場合には、温度センサ41で検出される温度が40℃となるように電動式混合弁4の混合比が制御される。
しかしながら、通常、給湯端末42に混合栓を使用している場合も多く、給湯端末42が混合栓の場合には、電動式混合弁4で高温湯と低温湯が混合された後に、給湯端末42で再度、湯と水とが混合されて出湯される。そのため、使用者の中にも給湯端末42で再度湯と水とを混ぜての使用を考えている使用者もいるため、使用者によっては設定温度を通常よりも高い温度に設定している使用者がいる(例えば、60℃を設定し、給湯端末42で適温に混合して出湯させる)。また、使用者が緊急で高温の湯を欲しい場合にも、リモコン装置9もしくはリモコン装置95で給湯温度を高く設定する場合がある。
このような場合は、使用者が高温湯を望んでいると判断し、電動式混合弁4の湯側開度の上限値を設けないようにしている。つまり、リモコン装置95もしくはリモコン装置9で設定した給湯温度に応じて、電動式混合弁4の湯側開度の制限を決定している。
具体的には、リモコン装置9もしくはリモコン装置95で設定する給湯温度が、所定給湯温度Tk以上の時には、電動式混合弁4の湯側開度の上限値を設けず、所定給湯温度Tk未満の時には、図3に示すテーブルに基づいて、電動式混合弁4の湯側開度の上限値を設けている。例えば、所定給湯温度Tk=60℃とした場合には、使用者がリモコン装置で給湯温度に60℃を設定した場合には、電動式混合弁4の湯側開度の上限値を設けず、給湯温度に40℃を設定した場合には、図3のテーブルに基づいて電動式混合弁4の湯側開度の上限値を設けることとする。
このように、設定された給湯温度に応じて、電動式混合弁4の湯側開度を制限することで、使い勝手の良い貯湯式給湯機を提供することができる。
さらに、使用者の給湯端末42が混合栓でない場合もある。このような場合、リモコン装置で設定した給湯温度が、所定給湯温度Tk以上であったとしても、貯湯タンク3の上部から空気が抜け切った後に一気に給湯端末42に高温湯が供給されてしまい、貯湯タンクの温度によっては、給湯端末42から高温湯が出湯してしまいかねない。
そこで、貯湯タンク温度がある温度以下の時に限って、電動式混合弁4の湯側開度の制限を解除することにしている。これは、リモコン装置で設定給湯温度を60℃にした場合に、設定給湯温度が所定給湯温度Tk(=60℃)以上であったとしても、温度センサ46aで検出する温度が70℃を検出した場合には、給湯端末42へ70℃の湯が供給されてしまう可能性があるからである。本実施の形態では、温度センサ46aで検出する温度Tが、所定給湯温度Tkに温度幅Thを加えた温度(所定残湯温度)以上であった場合には、電動式混合弁4の湯側開度に制限を持たせている。
よって、貯湯タンク3の最上部の残湯温度を検出する温度センサ46aが検出する温度Tが、所定給湯温度Tk+温度幅Th以下の時(タンク温度≦Tk+Th)で、かつ、リモコン装置で設定する給湯温度が所定給湯温度Tk以上の時(設定温度≧Tk)は、電動式混合弁4の湯側開度の制限を解除し、温度センサ46aが検出する温度が、所定給湯温度Tk+温度幅Th以上の時(タンク温度≧Tk+Th)であれば、リモコン装置で設定する給湯温度が所定給湯温度Tk以上(設定温度≧Tk)であっても電動式混合弁4の湯側開度の制限を解除しないようにして、使用者の使用性を損なわないようにしている。
具体的な数値を用いて説明すると、所定給湯温度Tkを60℃、温度幅Thを10℃であった場合、リモコン装置で給湯温度を60℃に設定すると、温度センサ46aで検出する温度が、70℃(60℃+10℃)以下の場合には、電動式混合弁4の湯側開度の制限を解除し、70℃(60℃+10℃)よりも高い場合には、電動式混合弁4の湯側開度の制限を解除しないようにする。
このように、設定された給湯温度に加えて貯湯タンクの温度に応じても、電動式混合弁4の湯側開度を制限することで、使い勝手の良い貯湯式給湯機を提供することができる。なお、所定給湯温度Tkの値は、上記数値に限定されることはなく、給湯機毎に設定されるものとする。また、本実施の形態では所定残湯温度を所定給湯温度Tkに温度幅Thを加えた温度としたが、これに限定されることはなく、ある決まった温度を設定しても問題はない。
(実施の形態5)
実施の形態5における貯湯式給湯機の構成図は、参考例1の貯湯式給湯機の構成図と同じであるので、参考例1と同じ符号を用いて説明する。実施の形態5では、流量センサで検出される流量に基づいて電動式混合弁4の湯側開度の上限値を解除している。
これまでの実施の形態では、連続出湯であれば第1の所定時間Ts1が経過した時に、断続出湯であれば第2の所定時間Ts2が経過した時に、電動式混合弁4の湯側開度の上限値を解除していたが、本実施の形態では流量センサ72で検出する流量に基づいて上限値の解除を行っている。
すなわち、流量センサ72で検出する流量が所定流量以上を検出した時に、貯湯タンク3の上部の空気が全て排出されたと判断し、電動式混合弁4の湯側開度の上限値を解除している。これは、貯湯タンク3の上部に空気がある間は、電動式混合弁4からの流量がある程度低下してしまうが、貯湯タンク3の上部の空気が排出した後は、電動式混合弁4からの流量が増加するからである。
よって、流量センサ72で検出する流量が、所定流量Qx(L/min)よりも低い場合は、電動式混合弁4の湯側には空気が供給されていると判断し、所定流量Qx(L/min)よりも高い場合は、電動式混合弁4の湯側および水側には正常に湯水が供給されていると判断して、所定流量Qx(L/min)を検出した後は、電動式混合弁4の湯側に設けていた上限値の解除を行うようにする。
また、給湯端末42から出湯させる湯水の量は、給湯端末42の設定によっても異なってくる。これは、使用者が意図的に給湯端末42から少しの出湯量しか出さなければ、いつまで経っても所定流量Qx(L/min)を検出しない場合がある(給湯端末42が蛇口だった場合で、少ししか蛇口をひねらない時など)。
そのため、流量センサ72で貯湯タンク3の上部から空気が抜けるタイミングを検知する場合には、流量センサ72だけで貯湯タンク3から空気が抜けるタイミングを判断するのではなく、参考例1から実施の形態4に示すように、時間で判断することも組み合わせて判断する方が好ましい。
以上のように構成することで、貯湯タンク3から空気が排出完了したタイミングをより正確に検知することができ、より迅速に使用者が望む給湯温度の湯を出湯させることができる。なお、本実施の形態5における所定流量とは、貯湯式給湯機の性能に応じて適宜変更されるものであり、一義的に決定されるものではない。