JP2019099948A - 糸、撚り糸、縫糸、糸の製造方法及び撚り糸の製造方法 - Google Patents
糸、撚り糸、縫糸、糸の製造方法及び撚り糸の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
<2> 表面にモスアイ構造が付与されない場合に比べて、可視光域における透過率が3%以上増大している<1>に記載の糸。
<3> 表面にモスアイ構造が付与され、生地上に配置して測定したときの色度と、生地のみを測定したときの色度との色差△ECMC値が1以下である糸。
<4> 前記モスアイ構造の径に対する高さの比(高さ/径)が1以上である<1>又〜<3>のいずれか1項に記載の糸。
<5> 前記モスアイ構造の径に対する高さの比(高さ/径)が5以下である<1>〜<4>のいずれか1項に記載の糸。
<6> スパン糸又はフィラメント糸である<1>〜<5>のいずれか1項に記載の糸。
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載の糸で構成される撚り糸。
<8> <7>に記載の撚り糸で構成される縫糸。
<9> スパン糸又はフィラメント糸に酸素イオンビームを照射して、表面にモスアイ構造を形成する、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の糸の製造方法。
<10> <9>に記載の製造方法により得られた糸を撚る、<7>に記載の撚り糸の製造方法。
<11> スパンヤーン又はフィラメントヤーンに酸素イオンビームを照射して、表面にモスアイ構造を形成する、<7>に記載の撚り糸の製造方法。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示の糸は、表面にモスアイ構造が付与され、可視光域における反射率が1%以下である。
糸の表面にモスアイ構造が付与されることにより、糸の表面での光の反射が抑えられ、糸の色が下地の生地の色に同化しやすくなる。例えば、糸が透明であっても糸の表面で光が反射すると白く見えるため、布地の色とは同化しない。これに対して、本発明では、表面にモスアイ構造を付与し、可視光域における反射率を1%以下とすることで、糸の色を生地の色に同化させることができる。
表面にモスアイ構造が付与されることで、可視光域における透過率が向上し、その結果、下地の生地の色を映し出すため、糸の色を下地の生地の色に同化させやすくなる。
表面にモスアイ構造が付与されることにより、糸の表面での反射が抑えられ、さらに可視光域における透過率が向上する傾向にある。そのため、糸を生地上に配置して測定したときの色度は、生地のみを測定したときの色度に対する色差△ECMC値が1以下とすることができ、0.5以下とすることも可能であり、さらには0.3以下とすることも可能である。
厚紙に染色された生地を貼り付け、その上から測定対象の糸を糸同士が並行となるよう巻き付けて測定サンプルを準備する。巻き付ける際の糸同士の巻取ピッチ及び巻取層数は、生地色が糸と糸の隙間から視認できないことを条件として、繊度に応じて設定する。例えば、糸の繊度が245dtexの場合、0.18mmの3層とする。
評価には、測色機(例えば、積分球分光光度計Color i5、X−rite社製)を用い、上述の測定サンプルで測色を行い、生地色を直接測色した値との比較を行う。比較には、色相管理ソフト(例えば、Color iQC Professional、X−rite社製)を用い、D65光源下でCIE1976(L*,a*,b*)表色系に基づく色差指標△ECMCを求める。
また、アスペクト比は、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましい。アスペクト比が5以下であると、摩擦や押力などの外力による突起物の形状の変形が抑えられる傾向にある。
繊度が4dtex以上であると、撚り糸を構成するフィラメント数を必要以上に多くしなくて済み、透明性の低下が抑えられる傾向にある。一方、単繊維繊度が12dtex以下であると、風合が柔らかくなる傾向にある。
本開示の撚り糸は、本開示の糸で構成される。本開示の撚り糸は、高速縫製の実用に耐え得るよう撚数を多くしても、透明性の低下が抑えられる傾向にある。
上撚り係数はT×(D)1/2で定義され、Tは1m当りの撚数であり、Dは縫糸の総繊度を示す。
なお、本開示において、伸縮伸長率は、JIS L 1096:2010(C法(繰り返し伸び率測定後の定伸長法))に準じて測定した値をいう。
本開示の縫糸は、上述した本開示の撚り糸で構成される。縫糸は、ミシン糸、手縫い糸のいずれであってもよく、撚数を高くしても生地の色への同化性に優れることから、ミシン糸として特に好適に用いることができる。
本開示の糸の製造方法は、表面にモスアイ構造を形成できれば制限されず、いずれの方法であってもよく、酸素イオンビームを照射することで、糸の表面にモスアイ構造を形成することが好ましい。この方法は非接触でモスアイ構造を形成することが可能であるため、型押しにより糸の表面にモスアイ構造を形成する方法に比べて、糸自身の断面形状を維持することができ、縫製等への影響を抑えることができる。
糸の全面を酸素イオンビームで照射する方法としては、周面を半面ずつ2回に分けて照射したり、周面を3分割以上に分けて全周面を照射したりする多段的な照射方法や、糸を回転させながら照射する連続的な照射方法が挙げられる。多段的に照射する場合、モスアイ構造の形成にムラが生じるのを抑える観点からは、周面を4つ以上に分割して4回以上に分けて全周面を照射することが好ましい。周面を回転させる際には、手動で行っても治具を用いてもよく、モスアイ構造を均一に形成する観点からは治具を用いることが好ましい。
ポリエステル製のフィラメント糸(直径20μm)に、電子サイクロトロン共鳴型イオンシャワー装置(株式会社エリオニクス製EIG−210ER)により酸素イオンビームを照射した。照射条件は、加速電圧400Vで、周囲を2面に分けて片面3分間照射した。
図2及び図3に示すとおり、加工後の糸では、表面での反射率が低下し、透過率は向上していることがわかる。
加工後の糸をS撚に加撚して下撚糸を作製し、そして、下撚糸を2本引き揃えてZ撚に600T/mで上撚して撚り糸を作製した。この撚り糸を用いて、以下の方法により、色差△ECMC値の測定を行った。結果を表1に示す。
評価には、積分球分光光度計Color i5、X−rite社製を用い、上述の測定サンプルで測色を行い、生地色を直接測色した値との比較を行った。比較には、Color iQC Professional、X−rite社製を用い、D65光源下でCIE1976(L*,a*,b*)表色系に基づく色差指標△ECMCを求めた。
ダミー基板上にアクリル系光硬化性樹脂を滴下し、そのアクリル系光硬化性樹脂に、モスアイパターンが形成されたグラッシーカーボン基板(東海カーボン(株)製、製品名GC20SS)をモスアイパターン面とは反対側からロールで押し付けた。これにより、モスアイパターンを有するグラッシーカーボン基板にアクリル系光硬化性樹脂が薄く付与された。
Claims (11)
- 表面にモスアイ構造が付与され、可視光域における反射率が1%以下の糸。
- 表面にモスアイ構造が付与されない場合に比べて、可視光域における透過率が3%以上増大している請求項1に記載の糸。
- 表面にモスアイ構造が付与され、生地上に配置して測定したときの色度と、生地のみを測定したときの色度との色差△ECMC値が1以下である糸。
- 前記モスアイ構造の径に対する高さの比(高さ/径)が1以上である請求項1又〜請求項3のいずれか1項に記載の糸。
- 前記モスアイ構造の径に対する高さの比(高さ/径)が5以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の糸。
- スパン糸又はフィラメント糸である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の糸。
- 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の糸で構成される撚り糸。
- 請求項7に記載の撚り糸で構成される縫糸。
- スパン糸又はフィラメント糸に酸素イオンビームを照射して、表面にモスアイ構造を形成する、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の糸の製造方法。
- 請求項9に記載の製造方法により得られた糸を撚る、請求項7に記載の撚り糸の製造方法。
- スパンヤーン又はフィラメントヤーンに酸素イオンビームを照射して、表面にモスアイ構造を形成する、請求項7に記載の撚り糸の製造方法。
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