JP2011242463A - 低反射フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦傷性及び生産性の高い低反射フィルムを提供する。
【解決手段】ナノサイズの微粒子、及び加水分解性縮合基を有する有機金属化合物を含む硬化性組成物を硬化して、表面に凹凸構造を有する低反射フィルムを得る。この低反射フィルムは、溶媒として、水、低級アルコール及びテルペンアルコールを含む前記硬化性組成物を50〜100℃の温度で加熱して硬化することにより製造してもよい。前記ナノサイズの微粒子は、金属酸化物微粒子(特に、平均一次粒径1〜50nmのシリカ微粒子)であってもよい。前記加水分解性縮合基を有する有機金属化合物は、加水分解性縮合基を有する有機ケイ素化合物であってもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、電気・電子又は精密機器、光学機器などの表示部やレンズなどに用いられる低反射フィルム(反射防止フィルム)及びその製造方法に関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、タッチパネルなどの表示装置やカメラなどの光学装置において、外部からの光の反射光による視認性の低下や、透過光量の損失などを抑制するために、低反射フィルムが利用されている。低反射フィルムには、屈折率の異なる薄膜を多層積層する方法や、低屈折率材料で構成された層を形成する方法なども知られているが、生産性や反射防止効果などを向上させる目的から、表面に蛾の目のような凹凸構造(モスアイ構造)を形成する方法が提案されている。
例えば、特開2008−209540号公報(特許文献1)には、表面に微細凹凸構造を有する反射防止物品であって、前記微細凹凸構造の隣り合う凸部同士の距離が可視光の波長以下であり、かつ任意の凸部と、この凸部に隣接する6この凸部との各重心間の標準偏差が4.0〜12.0である反射防止物品が開示されている。この文献では、微細凹凸構造は、陽極酸化アルミナをスタンパとして利用した転写法により形成されている。
また、特許第4270968号公報(特許文献2)には、照明光が通過する部分が、光透過性の有機無機複合材料で構成され、かつ内面側に透過光波長以下の周期を持つ微細凹凸からなる反射防止面を有する光学機器が開示されている。この文献では、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などの有機成分と、金属アルコキシドや金属酸化物微粒子などの無機成分とで構成された液状の複合組成物を型に注型して微細凹凸形状を有する反射防止面を製造している。
しかし、これらの鋳型を利用した方法では、目的の構造に応じて鋳型が必要であり、生産性も低い。さらに、鋳型を用いるため、大面積のシートの製造は困難である。
さらに、特許第3910926号公報(特許文献3)には、透明基板の少なくとも一方の表面に、ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーを含有するポリマー層を形成する工程、前記ポリマー層にアニール処理を施して、前記ブロックコポリマー又はグラフトコポリマーを相分離させる工程、前記相分離したブロックコポリマー又はグラフトコポリマーの一方の相を除去して、残りの相からなるパターンを有するマスク層を形成する工程、及び前記マスク相のパターンを前記透明基板の表面に転写して、平均エマルジョン相当直径が50〜250nm、平均高さ100〜500nmの凸部を有する凹凸を形成する工程を具備する表示装置用透明基板の製造方法が開示されている。
しかし、この方法でも、ポリマーを相分離させた後に、エッチングを施して微細な凹凸構造を形成するため、生産工程が複雑であり、生産効率が低い。さらに、エッチングを施すため、大面積のシートの製造も困難である。
特開2008−209540号公報(特許請求の範囲) 特許第4270968号公報(請求項1、[0039]〜[0041]、実施例) 特許第3910926号公報(請求項1)特許請求の範囲)
従って、本発明の目的は、耐擦傷性及び生産性の高い低反射フィルム及びその製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、低反射率でかつ波長依存性の少ない低反射フィルムを簡便に製造できる方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、大面積であっても、一回のコーティングで簡便に低反射フィルムを製造できる方法を提供することにある。
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、ナノサイズの微粒子、及び加水分解性縮合基を有する有機金属化合物を含む硬化性組成物を硬化させることにより、表面に凹凸構造(モスアイ構造)を有し、かつ耐擦傷性の高い低反射フィルムを簡便に製造できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明の低反射フィルムは、ナノサイズの微粒子、及び加水分解性縮合基を有する有機金属化合物を含む硬化性組成物の硬化物であり、かつ表面に凹凸構造を有している。前記ナノサイズの微粒子は、金属酸化物微粒子(特に、平均一次粒径1〜50nmのシリカ微粒子)であってもよい。前記加水分解性縮合基を有する有機金属化合物は、加水分解性縮合基を有する有機ケイ素化合物であってもよい。本発明の低反射フィルムにおいて、凹凸構造の平均高さは1μm以下であってもよく、全光線透過率が90%以上であり、かつ可視光領域(波長380〜780nm)における最高反射率(波長380〜780nmの波長に対する反射率のうち、最も高い反射率)が1.5%以下であってもよい。また、可視光領域における最低反射率(波長380〜780nmの波長に対する反射率のうち、最も低い反射率)は1%以下であってもよい。本発明の低反射フィルムは、表面をセルロース繊維で構成された不織布を用いて荷重100g/2.5cmφで10往復擦ったとき、傷が30本以下であってもよい。本発明の低反射フィルムは、透明フィルムの上にコーティングされた積層体であってもよい。
本発明には、ナノサイズの微粒子、加水分解性縮合基を有する有機金属化合物、及び溶媒を含む硬化性組成物を硬化する前記低反射フィルムの製造方法も含まれる。本発明の製造方法において、前記溶媒は、水及びアルコール類を含んでいてもよい。前記アルコール類は、低級アルコール及び沸点100℃以上の高沸点アルコール(特にテルペンアルコール)で構成されていてもよい。本発明の製造方法では、50〜100℃の温度で加熱して硬化してもよい。
本発明では、ナノサイズの微粒子、及び加水分解性縮合基を有する有機金属化合物を含む硬化性組成物を硬化させることにより、ナノサイズの微粒子が凝集し、加水分解性縮合基が適度に接着作用を発現するためか、表面に凹凸構造(モスアイ構造)を有し、かつ耐擦傷性の高い低反射フィルムを簡便に製造できる。また、低屈折率樹脂などで構成された反射防止フィルムとは異なり、表面に微細な凹凸構造を有するため、低反射率でかつ波長依存性の少ない低反射フィルムを簡便に製造できる。特に、本発明では、このような低反射フィルムを大面積であっても、一回のコーティングで簡便に製造できる。
図1は、実施例2で得られた低反射フィルム断面のレーザー顕微鏡写真である。 図2は、実施例及び比較例で得られた低反射フィルムの波長に対する反射率を表したグラフである。
本発明の低反射フィルム(反射防止フィルム)は、表面に凹凸構造(モスアイ構造)を有しており、ナノサイズの微粒子、及び加水分解性縮合基を有する有機金属化合物を含む硬化性組成物を硬化することにより得られる。
[硬化性組成物]
(ナノサイズの微粒子)
微粒子は、ナノサイズであれば、特に限定されず、有機微粒子であってもよく、無機微粒子であってもよい。
有機微粒子としては、未架橋樹脂微粒子であってもよいが、耐擦傷性などの点から、架橋樹脂微粒子が好ましい。微粒子を構成する架橋樹脂としては、架橋熱可塑性樹脂[例えば、架橋オレフィン系樹脂(例えば、架橋ポリエチレン、架橋ポリプロピレンなど)、架橋スチレン系樹脂(例えば、架橋ポリスチレン、架橋ポリジビニルベンゼン、架橋ポリビニルトルエン、架橋スチレン−メタクリル酸メチル共重合体など)、架橋アクリル系樹脂(例えば、架橋ポリメタクリル酸メチルなど)など]、熱硬化性樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、アミノベンゾグアナミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなど)などが例示できる。これらの有機微粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
無機微粒子を構成する無機化合物としては、例えば、金属単体、金属酸化物、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、金属珪酸塩(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウムなど)、金属リン酸塩(リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム等)、金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなど)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、ケイ素化合物(ホワイトカーボン、ガラスなど)、天然鉱物(ゼオライト、ケイソウ土、焼成珪成土、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、クレーなど)などが挙げられる。
これらの微粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの微粒子のうち、透明性及び耐擦傷性に優れる点から、金属酸化物微粒子が好ましい。
金属酸化物微粒子としては、例えば、周期表第4A族金属酸化物(例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウムなど)、第5A族金属酸化物(酸化バナジウムなど)、第6A族金属酸化物(酸化モリブデン、酸化タングステンなど)、第7A族金属酸化物(酸化マンガンなど)、第8族金属酸化物(酸化ニッケル、酸化鉄など)、第1B族金属酸化物(酸化銅など)、第2B族金属酸化物(酸化亜鉛など)、第3B族金属酸化物(酸化アルミニウム、酸化インジウムなど)、第4B族金属酸化物(酸化ケイ素、酸化錫など)、第5B族金属酸化物(酸化アンチモンなど)などが挙げられる。
これらの金属酸化物微粒子は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの金属酸化物微粒子のうち、アンチモン、錫、亜鉛、チタン、アルミニウム、ケイ素を含む金属酸化物、例えば、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン含有酸化錫(アンチモンドープ酸化錫)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などで構成された微粒子が好ましく、酸化ケイ素(特にシリカ)で構成された微粒子が特に好ましい。
金属酸化物微粒子は、分散性を向上させる目的などのため、表面処理してもよい。例えば、シリカ微粒子を表面処理して疎水化してもよく、例えば、アルキル基を有するシラン化合物(ヘキサメチルジシラザンなど)などの改質剤で表面処理して疎水化してもよい。
微粒子は、溶媒中に分散された分散液の形態であってもよい。溶媒としては、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなどの低級アルコールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ギ酸メチル、ギ酸エチルなど)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサン、(イソ)パラフィンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(ベンゼンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが挙げられる。分散液中の微粒子の割合は、例えば、0.1〜30重量%、好ましくは0.3〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%程度であってもよい。例えば、疎水性シリカ微粒子を溶媒中に分散させた市販品として、日華化学(株)製「アデッソ WR−1」などが利用できる。
微粒子の形状は、特に限定されず、球状、楕円体状、多角体形(多角錘状、正方体状、直方体状など)、板状、棒状、不定形などが挙げられるが、表面に均一な凹凸構造を形成する点から、略球状などの等方形状が好ましい。
微粒子の平均一次粒径は、例えば、1〜50nm、好ましくは2〜30nm、さらに好ましくは3〜15nm(特に5〜10nm)程度である。なお、平均一次粒径は、微粒子が異方形状である場合は、長径と短径との平均値で表し、測定方法(又は算出基準)は、粒子を溶剤に分散させた分散液を透過型電子顕微鏡用メッシュに滴下した後、溶剤を蒸発させて、透過型電子顕微鏡で観察する方法を利用できる。本発明では、このようなナノサイズの微粒子が適度に凝集して核となるためか、凹凸構造を形成できる。
微粒子の割合は、加水分解性縮合基を有する有機金属化合物100重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは10〜180重量部、さらに好ましくは30〜150重量部(特に50〜120重量部)程度である。
(加水分解性縮合基を有する有機金属化合物)
加水分解性縮合基を有する有機金属化合物には、有機ケイ素化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物などが含まれるが、通常、有機ケイ素化合物が汎用される。
これらのうち、加水分解性縮合基を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラC1−4アルコキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、(イソ)プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシランなどのC1―12アルキルトリC1−4アルコキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどのジC2―4アルキルジC1−4アルコキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのアリールC1−4アルコキシシランなどが挙げられる。さらに、これらの有機ケイ素化合物は、これらの化合物に対応するフッ素含有アルキル基を有する有機ケイ素化合物、例えば、モノ乃至トリフルオロメチル基やモノ乃至ペンタフルオロエチルなどのフッ素含有アルキル基を有するアルコキシシランなどであってもよい。
前記有機ケイ素化合物は、いわゆるシランカップリング剤であってもよい。シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ基含有シランカップリング剤[例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシランなどの脂環式エポキシ基を有するC1−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン、グリシジルオキシメチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリブトキシシランなどのグリシジルオキシC1−4アルキルトリC1−4アルコキシシラン、3−(2−グリシジルオキシエトキシ)プロピルトリメトキシシランなど]、アミノ基含有シランカップリング剤[例えば、アミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、1−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノC2−4アルキルC1−4アルコキシシラン、N−アミノメチルアミノメチルトリメトキシシラン、3−(N−アミノメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシランなどのN−アミノC1−4アルキルアミノC1−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど]、ビニル基含有シランカップリング剤(例えば、ビニルトリメトキシシランなどのビニルトリC1−4アルコキシシランなど)、エチレン性不飽和結合基含有シランカップリング剤[例えば、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(メタ)アクリロキシC2−4アルキルC1−4アルコキシシランなど]、メルカプト基含有シランカップリング剤(例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)、カルボキシル基含有シランカップリング剤(2−カルボキシエチルトリメトキシシランなどのカルボキシC2−4アルキルトリC1−4アルコキシシランなど)などが挙げられる。
これらの加水分解性縮合基を有する有機金属化合物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、例えば、ジ(フルオロ)アルキルジメトキシシランなどのジ(フルオロ)アルキルジC1−4アルコキシシラン、(フルオロ)アルキルトリメトキシシランなどの(フルオロ)アルキルトリC1−4アルコキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラC1−4アルコキシシランなどが汎用される。
加水分解性縮合基を有する有機金属化合物の割合は、溶媒を含む硬化性組成物(ドープ)中において、例えば、0.1〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%(特に1〜10重量%)程度であってもよい。
(溶媒)
硬化性組成物中にはさらに溶媒が含まれる。溶媒としては、加水分解性縮合基を有する有機金属化合物の硬化反応(ゾルゲル反応)に必要な水に加えて、前記微粒子、前記有機金属化合物の種類及び溶解性又は分散性に応じて選択でき、少なくとも固形分を均一に溶解又は分散できる有機溶媒であればよい。
そのような有機溶媒としては、例えば、アルコール類{例えば、脂肪族アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール(1−オクタノール、2−オクタノールなど)、デカノール(1−デカノールなど)、ラウリルアルコール、テトラデシルアルコール、セチルアルコール、2−エチル−1−ヘキサノール、オクタデシルアルコール、ヘキサデセノール、オレイルアルコールなどの飽和又は不飽和C6−30脂肪族アルコールなど)、脂環族アルコール類[例えば、シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール類;テルピネオール(ターピネオール)、ジヒドロテルピネオールなどのテルペンアルコール類(例えば、モノテルペンアルコールなど)など]、芳香脂肪族アルコール類(例えば、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなど)、多価アルコール類(エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどの(ポリ)C2−4アルキレングリコールなどのグリコール類;グリセリンなどの多価アルコールなど)など}、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類[ジオキサン、テトラヒドロフランなどの環状エーテル;エチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル;2−フェノキシエタノールなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアリールエーテルなど]、エステル類[酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸アルキル;酢酸カルビトールなどの(ポリ)アルキレングリコールアセテート;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどの(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートなど]、脂肪族炭化水素類[ヘキサン、テトラデカン、オクタデカン、ヘプタメチルノナン、テトラメチルペンタデカン、(イソ)パラフィンなど]、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。これらの有機溶媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらの有機溶媒のうち、水との親和性などの点から、少なくとも極性溶媒を含むのが好ましく、アルコール類が特に好ましい。さらに、表面に微細な凹凸構造を形成するために、アルコール類は、低級アルコールと沸点100℃以上の高沸点アルコールとを組み合わせるのが好ましい。2種類のアルコールを組み合わせることにより、微粒子、金属有機化合物の分散性とナノサイズの微粒子に対する凝集作用を適度に調整できるためか、フィルムの表面に微細で均一な凹凸構造(モスアイ構造)を形成できる。
低級アルコールとしては、沸点100℃未満のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのC1−3アルコールが利用でき、これらのうち、イソプロパノールが汎用される。
高沸点アルコールの沸点は、100℃以上(例えば、100〜300℃)であればよく、好ましくは120〜300℃、さらに好ましくは150〜280℃(特に200〜250℃)程度である。このような高沸点アルコールとしては、例えば、C6−24脂肪族アルコール類(ヘキサノール、オクタノール、デカノールなど)、脂環族アルコール類[例えば、シクロヘキサノールなどのシクロアルカノール類;テルピネオール、ジヒドロテルピネオールなどのテルペンアルコール類(例えば、モノテルペンアルコールなど)など]、芳香脂肪族アルコール類(例えば、ベンジルアルコール、フェネチルアルコールなど)などが利用できる。これらのうち、テルピネオール、ジヒドロテルピネオールなどのテルペンアルコールが好ましい。
溶媒のうち、水の割合は、加水分解性縮合基を有する有機金属化合物100重量部に対して、例えば、1〜100重量部、好ましくは3〜50重量部、さらに好ましくは5〜30重量部(特に5〜20重量部)程度であってもよい。
さらに、有機溶媒(特にアルコール類)に対する水の割合は、特に限定されず、有機溶媒100重量部に対して0.01〜100重量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部、さらに好ましくは0.1〜3重量部(特に0.5〜2重量部)程度であってもよい。
低級アルコールと高沸点アルコールとの割合は、高沸点アルコールの割合が、低級アルコール100重量部に対して、例えば、1〜100重量部、好ましくは5〜50重量部、さらに好ましくは10〜30重量部(特に15〜25重量部)程度である。本発明では、両者をこのような割合で組み合わせることにより、簡便な方法でモスアイ構造を形成できる。
さらに、硬化性組成物全体における高沸点アルコールの割合は、例えば、1〜30重量%、好ましくは3〜25重量%、さらに好ましくは5〜20重量%(特に8〜15重量%)程度であってもよい。
(バインダー成分)
硬化性組成物は、さらにバインダー成分を含んでいてもよい。バインダー成分としては、慣用の接着性樹脂又は粘着性樹脂などが例示できる。接着性樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂(オレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ウレタン系樹脂など)、熱硬化性樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン系樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、多官能(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン樹脂、アミノ樹脂など)などが挙げられる。粘着性樹脂としては、例えば、テルペン樹脂、ロジン系樹脂、石油樹脂、変性オレフィン系樹脂、アクリル系共重合体、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。これらのバインダー樹脂は、架橋性基(イソシアネート基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、メチロール基、アルコキシシリル基など)を有していてもよい。これらのバインダー成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
これらのバインダー成分のうち、アクリル系樹脂(エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアクリル酸C2−10アルキルエステルを主成分とするアクリル系共重合体など)、変性オレフィン系樹脂[エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−エチル(メタ)アクリレート−(無水)マレイン酸共重合体など]、酢酸ビニル系樹脂(ポリ酢酸ビニル又はそのケン化物、エチレン−酢酸ビニル共重合体又はそのケン化物など)、ウレタン系樹脂(ポリエステル型ウレタン系エラストマー、ポリエーテル型ウレタン系エラストマーなど)、フェノール系樹脂(テルペンフェノール系樹脂又はその水添物、ノボラック型フェノール樹脂など)、シリコーン系樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなどのポリオルガノシロキサン、又は低分子量のポリオルガノシロキサンと硬化剤とを組み合わせた粘着性組成物など)、石油樹脂[脂肪族系石油樹脂(炭素数5〜9程度の高級オレフィン系炭化水素を主成分とする樹脂)、芳香族系石油樹脂(ビニルトルエンやインデンなどを主成分とする樹脂など)、ジシクロペンタジエンを主成分とするジシクロペンタジエン系石油樹脂及びこれらの水添物など]、ロジン系樹脂[天然ロジン、硬化ロジン、重合ロジン及びロジンエステル、これらの水添物、これらの誘導体(ペンタエリストールロジンエステル、グリセリンロジンエステルなどの多価アルコールとのエステルなど)など]などが好ましい。特に、シリカの水酸基と反応性基を有するバインダー成分、シリカとの親和性が高いシリコーン系樹脂で構成されたバインダー成分であってもよい。
バインダー成分の割合は、加水分解性縮合基を有する有機金属化合物100重量部に対して、例えば、10〜1000重量部、好ましくは50〜800重量部、さらに好ましくは100〜500重量部(特に200〜400重量部)程度である。
(他の成分)
硬化性組成物は、慣用の加水分解触媒、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、(ポリ)リン酸などの無機酸、有機リン酸、蟻酸、(無水)酢酸、酪酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸などを含んでいてもよい。これらの触媒は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの触媒のうち、少なくとも塩酸などの無機酸が汎用される。加水分解触媒の割合は、加水分解性縮合基を有する有機金属化合物100重量部に対して、例えば、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜1重量部、さらに好ましくは0.1〜0.5重量部程度であってもよい。
硬化性組成物は、種々の添加剤、例えば、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、界面活性剤、水溶性高分子、充填剤、架橋剤、カップリング剤、着色剤、難燃剤、滑剤、ワックス、防腐剤、粘度調整剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤などを含んでいてもよい。
[低反射フィルム]
本発明の低反射フィルム(反射防止フィルム)は、前記硬化性組成物を硬化することにより得られ、簡便な方法で製造できるにも拘わらず、優れたモスアイ構造を有する。
すなわち、本発明の低反射フィルムの表面には、微細で均一な凹凸構造が形成されており、凹凸構造の平均高さは1μm以下(例えば、0.01〜1μm)、好ましくは0.02〜0.8μm、さらに好ましくは0.05〜0.5μm程度である。さらに、JIS B0601に準拠した測定方法において、算術平均粗さRaは、例えば、0.01〜1μm、好ましくは0.03〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜2μm程度である。
本発明の低反射フィルムの全光線透過率は70%以上(例えば、70〜100%)であり、好ましくは90%以上(例えば、90〜99%)、さらに好ましくは93%以上(例えば、93〜98%)程度である。ヘイズは、例えば、0〜10%、好ましくは0.1〜8%、さらに好ましくは0.1〜5%(特に0.2〜1%)程度である。
本発明の低反射フィルムは、モスアイ構造を有するため、可視光線(波長380〜780nm)に対する反射率が低く、可視光領域(波長380〜780nm)における最高反射率(波長380〜780nmの波長に対する反射率のうち、最も高い反射率)は、例えば、3%以下(例えば、0.1〜3%)、好ましくは2%以下(例えば、0.2〜2%)、さらに好ましくは1.5%以下(例えば、0.5〜1.5%)程度である。さらに、低屈折率樹脂で構成されたフィルムと異なり、楔形の凹凸構造であるため、波長依存性も低く、380〜780nmの範囲の波長に対して、前記反射率を保持できる。また、可視光領域における最低反射率(波長380〜780nmの波長に対する反射率のうち、最も低い反射率)は、2%以下(例えば、0.1〜2%)、好ましくは1.5%以下(例えば、0.2〜1.5%)、さらに好ましくは1%以下(例えば、0.3〜1%)程度であってもよい。
本発明の低反射フィルムは、耐擦傷性にも優れており、表面をセルロース繊維で構成された不織布(旭化成せんい(株)製、商品名「BEMCOT M−3II」)を用いて荷重100g/2.5cmφで10往復擦ったとき、傷が50本以下であり、好ましくは40本以下、さらに好ましくは30本以下(例えば、10〜30本程度)である。耐擦傷性試験は、詳細には、後述の実施例で記載された方法で評価できる。
低反射フィルムの厚み(乾燥厚み)は、例えば、0.05〜5μm、好ましくは0.1〜3μm、さらに好ましくは0.2〜1μm程度である。
[透明フィルム]
本発明の低反射フィルムは、コーティングで形成されるため、通常、適用される透明な光学部材(光学シートやレンズなど)を構成する透明フィルムとの積層体として得られる。
透明フィルム(又は基材フィルム)としては、ガラス、セラミックスの他、樹脂シートが例示できる。透明フィルムを構成する樹脂としては、前記ハードコート層と同様の樹脂が使用できる。好ましい透明フィルムとしては、透明性ポリマーフィルム、例えば、セルロース誘導体[セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテートなどのセルロースアセテートなど]、ポリエステル系樹脂[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート系樹脂など]、ポリスルホン系樹脂[ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど]、ポリエーテルケトン系樹脂[ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトンなど]、ポリカーボネート系樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネートなど)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、環状ポリオレフィン系樹脂[トパス(TOPAS)(登録商標)、アートン(ARTON)(登録商標)、ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)など]、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニリデンなど)、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、酢酸ビニル又はビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコールなど)などで形成されたフィルムが挙げられる。透明フィルムは1軸又は2軸延伸されていてもよい。
これらの透明フィルムのうち、ガラス、未延伸又は延伸プラスチックシート又はフィルム、例えば、ポリエステル(PET、PBTなど)、セルロース誘導体類、特に、セルロースエステル類(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3−4アシレートなど)などで形成されたシート又はフィルムが汎用される。
透明フィルムの厚みは、用途に応じて適宜選択でき、例えば、5〜2000μm、好ましくは15〜1000μm、さらに好ましくは20〜500μm程度である。
[低反射フィルムの製造方法]
本発明の低反射フィルムは、前記透明フィルムなどの支持体の上に、前記硬化性組成物をコーティングし、硬化(ゾルゲル反応)することにより得られる。
硬化性組成物の調製方法としては、各成分を一括添加して混合して調製してもよく、各成分を分割添加して混合して調製もよい。分割添加する方法としては、例えば、予め加水分解性縮合基を有する有機金属化合物と水と必要に応じて触媒とを混合して、前記有機金属化合物の加水分解反応を行ったゾル混合液を調製した後に、微粒子、溶媒を添加してもよい。前記ゾル混合液としては、市販品を利用してもよく、例えば、日産化学工業(株)製「LR−204−50C」などが挙げられる。また、前述のように、微粒子を含む分散液としても、市販品を利用してもよい。
硬化性組成物のコーティング方法としては、慣用の方法、例えば、スプレー、ロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、リバースコーター、バーコーター、コンマコーター、ディップ・スクイズコーター、ダイコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、シルクスクリーンコーター法、ディップ法、スプレー法、スピナー法などが挙げられる。これらの方法のうち、バーコーター法やグラビアコーター法などが汎用される。なお、必要であれば、塗布液は複数回に亘り塗布してもよいが、本発明では、大面積であっても、1回のコーティングでモスアイ構造を形成できる。
なお、透明フィルムに硬化性組成物を塗布すると、溶媒の種類によっては透明フィルムが溶解又は膨潤する場合がある。例えば、トリアセチルセルロースフィルムに、樹脂成分を含有する塗布液(均一溶液)を塗布すると、溶媒の種類によって、トリアセチルセルロースフィルムの塗布面が溶出、侵食若しくは膨潤する場合がある。このような場合、透明フィルム(トリアセチルセルロースフィルムなど)の塗布面に予め耐溶剤性コーティング剤を塗布してもよい。このようなコーティング層は、例えば、AS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)などの熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、紫外線硬化型樹脂などの硬化性樹脂などを用いて形成できる。また、硬化性組成物組成物を透明支持体に塗布する場合、透明フィルムの種類に応じて、透明フィルムを溶解・侵食若しくは膨潤しない溶媒を選択してもよい。
硬化性組成物を流延又は塗布した後、溶媒を蒸発させる。溶媒の蒸発は、通常、例えば、溶媒の沸点に応じて、30〜200℃、(例えば、30〜100℃)、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは40〜80℃程度の温度で乾燥してもよい。乾燥時間は、特に限定されないが、40〜80℃(60℃程度)の乾燥温度の場合、例えば、10秒〜10分、好ましくは20秒〜5分、さらに好ましくは30秒〜3分程度であってもよい。
硬化性組成物の硬化(ゾルゲル反応における縮合反応)は、最終的に活性エネルギー線を照射することにより行われる。活性エネルギー線の照射方法としては、活性光線(紫外線、電子線など)を照射する方法であってもよいが、反射率の低いモスアイ構造を形成できる点から、加熱する方法が好ましい。加熱温度は、適当な範囲、例えば、50〜150℃程度から選択でき、例えば、50〜100℃、好ましくは60〜90℃、さらに好ましくは70〜90℃(特に75〜85℃)程度である。加熱時間は、特に限定されないが、60〜90℃(80℃程度)の温度で、例えば、1〜48時間、好ましくは5〜36時間、さらに好ましくは8〜24時間(特に10〜20時間)程度の時間をかけて硬化させることにより、優れたモスアイ構造を形成できる。なお、硬化反応は、必要であれば、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
本発明では、透明フィルムに対する低反射フィルムの密着性を向上させるために、透明フィルムを表面処理に供してもよい。表面処理としては、慣用の表面処理、例えば、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾンや紫外線照射処理などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。実施例及び比較例で得られた透明導電性膜を以下の項目で評価した。
[全光線透過率]
低反射フィルムの凹凸構造を有する表面が受光器側となるように配置し、ヘイズメーター(日本電色(株)製、商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。
[最高反射率及び最低反射率]
光学フィルムの透明フィルム側に黒アクリル板を貼り合わせ、積分球反射強度測定装置((株)日立ハイテクノロジーズ製、商品名「U−3300」)を用いて、JIS K5602に準拠して、積分反射率(視感度換算)を測定した。
[耐擦傷性]
10cm×10cmのサンプル片をアクリル板上に固定し、ワイパー(旭化成せんい(株)製、商品名「BEMCOT M−3II」)に100g/2.5cmφの荷重をかけて10往復した後の表面を目視で観察し、以下の基準で評価した。
◎:傷が9本以下
○:傷が10〜30本
×:傷が31本以上。
実施例1
テトラエトキシシラン(和光純薬工業(株)製、純度99.999%品)10重量部に対し、水9.85重量部、塩酸(和光純薬(株)製)0.134重量部を添加し、テトラエトキシシランを加水分解した。この溶液にイソプロパノール(和光純薬工業(株)製)62.15重量部を添加してテトラエトキシシラン加水分解縮合物のイソプロパノール溶液を調製した。
この溶液0.35重量部に、撥水剤(日華化学(株)製、商品名「アデッソ WR−1」、平均粒径10nmのシリカ微粒子を1重量%含有する分散液)3.5重量部、ジヒドロターピネオール(日本テルペン化学(株)製)0.986重量部、イソプロパノール(和光純薬工業(株)製)0.164重量部を添加した。
この溶液を用いてトリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム(株)製、TAC、厚み80μm)の上に、ワイヤーバーコーター♯10を用いて流延した後、60℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させた。その後、80℃のオーブンで一晩(約12時間)放置して、硬化組成物を硬化させて厚み0.5μmのコート層を有する低反射フィルムを形成した。
実施例2
ゾルゲル液(日産化学工業(株)製、商品名「50C」)100重量部に対し、撥水剤(アデッソ WR−1)100重量部、ジヒドロターピネオール(日本テルペン化学(株)製)24.8重量部、イソプロパノール(和光純薬工業(株)製)25.2重量部を溶解させた。
この溶液を用いてトリアセチルセルロースフィルム(TAC)の上に、ワイヤーバーコーター♯10を用いて流延した後、60℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させた。その後、80℃のオーブンで一晩放置して、硬化組成物を硬化させて厚み0.5μmのコート層を有する低反射フィルムを形成した。得られた低反射フィルム断面の透過型顕微鏡写真を図1に示す。図1において、左側が空気側、右側が基材側であり、中央部で斜め方向に延びる境界部が凹凸層である。
比較例1
テトラエトキシシラン100重量部(和光純薬工業(株)製)に対し、水10重量部、塩酸0.2重量部(和光純薬工業(株)製)を添加し、テトラエトキシシランを加水分解した。この溶液にイソプロパノール(和光純薬工業(株)製)を62重量部添加してテトラエトキシシラン加水分解縮合物のイソプロパノール溶液を調製した。
この溶液100重量部に、ジヒドロターピネオール(日本テルペン化学(株)製)19重量部、イソプロパノール(和光純薬工業(株)製)81重量部を溶解させた。
この溶液を用いてトリアセチルセルロースフィルム(TAC)の上に、ワイヤーバーコーター♯10を用いて流延した後、60℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させた。その後、80℃のオーブンで一晩放置して、硬化組成物を硬化させて厚み0.5μmのコート層を有する低反射フィルムを形成した。
比較例2
多官能アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・サイテック(株)製、商品名「PETIA」)0.2重量部、アモルファスシリカ微粒子(日本触媒(株)製、シーホスターKE−E10)100重量部、開始剤(チバ・ジャパン(株)製、商品名「イルガキュア907」)0.1重量部を溶媒(メチルエチルケトン)573.37重量部に溶解した。
この溶液を用いてトリアセチルセルロースフィルム(TAC)の上に、ワイヤーバーコーター♯4を用いて流延した後、60℃のオーブン内で1分間放置し、溶媒を蒸発させて厚み約0.1μmのコート層を形成した。さらに、このコートフィルムを紫外線照射装置(ウシオ電機(株)製高圧水銀ランプ、紫外線照射量:800mJ/cm)に通して紫外線硬化処理を行い、コート層を形成した。
実施例及び比較例で得られた低反射フィルムの評価結果を表1に示す。さらに、実施例及び比較例で得られた低反射フィルムの波長に対する反射率を表したグラフを図2に示す。
表1の結果から明らかなように、実施例の低反射フィルムは、全光線透過率が高く、反射率も低い。これに対して、比較例1の低反射フィルムは耐擦傷性は高いものの、全光線透過率は低く、反射率が高い。
本発明は、電気・電子又は精密機器、光学機器などの表示部やレンズなどにおいて、外部からの光の反射光による視認性の低下や、透過光量の損失などを抑制するための低反射フィルム(反射防止フィルム)として利用できる。具体的には、カメラやメガネなどのレンズ、電気・電子又は精密機器(パーソナルコンピューター、テレビ、携帯電話、遊技機器、モバイル機器、時計、電卓など)の表示部、表示装置(LCD装置、陰極管表示装置、有機又は無機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、表面電界ディスプレイ(SED)、リアプロジェクションテレビディスプレイ、PDP、タッチパネル付き表示装置など)に利用される低反射フィルムとして利用できる。

Claims (14)

  1. ナノサイズの微粒子、及び加水分解性縮合基を有する有機金属化合物を含む硬化性組成物の硬化物であり、かつ表面に凹凸構造を有する低反射フィルム。
  2. ナノサイズの微粒子が、金属酸化物微粒子である請求項1記載の低反射フィルム。
  3. ナノサイズの微粒子が、平均一次粒径1〜50nmのシリカ微粒子である請求項1又は2記載の低反射フィルム。
  4. 加水分解性縮合基を有する有機金属化合物が、加水分解性縮合基を有する有機ケイ素化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の低反射フィルム。
  5. 凹凸構造の平均高さが1μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の低反射フィルム。
  6. 全光線透過率が90%以上であり、かつ可視光領域における最高反射率が1.5%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の低反射フィルム。
  7. 可視光領域における最低反射率が1%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の低反射フィルム。
  8. 表面をセルロース繊維で構成された不織布を用いて荷重100g/2.5cmφで10往復擦ったとき、傷が30本以下である請求項1〜7のいずれかに記載の低反射フィルム。
  9. 透明フィルムの上にコーティングされた積層体である請求項1〜8のいずれかに記載の低反射フィルム。
  10. ナノサイズの微粒子、加水分解性縮合基を有する有機金属化合物、及び溶媒を含む硬化性組成物をコーティングした後、硬化する請求項1記載の低反射フィルムの製造方法。
  11. 溶媒が水及びアルコール類を含む請求項10記載の低反射フィルムの製造方法。
  12. アルコール類が、低級アルコール及び沸点100℃以上の高沸点アルコールで構成されている請求項11記載の低反射フィルムの製造方法。
  13. 高沸点アルコールがテルペンアルコールである請求項12記載の低反射フィルムの製造方法。
  14. 50〜100℃の温度で加熱して硬化する請求項10〜13のいずれかに記載の低反射フィルムの製造方法。
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