JP2009020348A - 反射防止フィルムの製造方法および反射防止フィルム - Google Patents

反射防止フィルムの製造方法および反射防止フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】耐擦傷性と外観品質を両立させ、さらに、塗布層の硬化時間を短縮し、生産性が向上した品質・得率の優れた反射防止フィルムの製造方法および反射防止フィルムを提供すること。
【解決手段】支持体と、光学機能層と、光学機能層よりも屈折率の低い低屈折率層とを有する反射防止フィルム3の製造方法において、低屈折率層を形成するための液を塗布する塗布工程10と、塗布層の乾燥を促進させる乾燥工程30と、乾燥が促進された塗布層を熱硬化させて低屈折率層とする硬化工程40を有し、硬化工程40は、塗布層の膜面温度を第1温度で硬化させる第1の硬化工程42aと、塗布層の膜面温度が第1温度より低い第2温度で硬化させる第2の硬化工程42bと、塗布層の膜面温度が第2工程より高い第3温度で硬化させる第3の硬化工程42cと、を有することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、反射防止フィルムの製造方法および反射防止フィルムに係り、特に耐擦傷性や各層界面での密着性に優れ、フィルム表面からの添加物成分の溶出による外観面状品質の低下が少ない反射防止フィルムの製造方法および反射防止フィルムに関する。
陰極管表示装置(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や液晶表示装置(LCD)のような平面性画像表示装置(FPD)には、視認性を高め、耐擦傷性を向上するために、その最外層に反射防止フィルム、防眩性フィルム、表面保護フィルム等の光学機能性フィルムが使用されている。
上記の光学機能性フィルムは、直接的に人の目視に晒される機会が多く、また、近年のディスプレイの大画面化、高輝度化、高精細化、高価格化により、使用される光学機能性フィルムは、極めて厳しい外観品質(点欠陥、ムラ、汚れ等がないこと)、物理耐久品質(耐擦傷性、防汚性等に優れること)が要求されている。特に、反射防止フィルムは、ディスプレイの表面に傷が付くと、恒久的な表示欠陥となって画像表示装置の外観品位が著しく低下するため、耐擦傷性は重要である。
反射防止フィルムの光学機能層は、基材フィルム上への機能材料形成材溶液の塗布・乾燥、特に有機溶剤を含有する機能材料形成材溶液の塗布・乾燥を複数回繰り返すことによって形成されることが多い。このような塗布工程によって光学機能層を設けた光学フィルムを製造する過程では、塗布直後の塗布液の乱れ、不均一な乾燥による光学機能層の塗布厚みの乱れによる外観故障(特に、ムラ故障)が生じやすい。
このため、塗布液中には、塗布性改良、乾燥均一化、高速塗布適性付与のために、界面活性作用をもつフッ素系化合物やシリコーン系化合物などの添加剤を塗布液中に添加する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、初期乾燥時の乾燥速度を制御し、非接触搬送を行う方法も行われている。(特許文献2参照)。
一方、耐擦傷性の付与方法としては、最外表面に位置する低屈折率層を形成する場合に、微粒子を有する電離放射線硬化型樹脂組成物を主体とする塗布液を塗布し、これを紫外線、電子線、あるいは熱により硬化させる方法が知られている(特許文献3)。
また、反射防止フィルムは複数の光学機能層、物理機能層を積層してなるものであり、層間密着性を改善するために被塗布層の硬化性樹脂の反応性官能基をハーフキュア状態にすることが行われている(特許文献4)。
特開2005−257786号公報 特開2006−334561号公報 特開平9−145903号公報 特開2003−311911号公報
特許文献1から4に記載されている方法を用いて、塗布性改良、乾燥均一化、高速塗布適性の付与を目的として界面活性作用などを有する添加剤を塗布液中に添加して被塗布層を形成し、さらに、塗布層(上層)との層間密着性を改善するために被塗布層をハーフキュアとして反射防止フィルムの製造を行う。すると、塗布層を塗布乾燥した後に熱硬化処理、電離放射線硬化処理を行い、塗布層に耐擦傷性を付与する際、塗布層表面に被塗布層からの溶出物質による白粉状故障が生じ、外観品質を悪化させる問題があり、耐擦傷性と外観品質を両立させることが困難であった。
本発明者らは、外観品質の低下を生じさせる白粉状の物質が、被塗布中に含まれる塗布性改良、乾燥均一化、高速塗布適性付与のために添加されたフッ素系化合物またはシリコーン系化合物の界面活性作用をもつ添加剤成分等であることを確認した。このことから、白粉故障は、最外層である低屈折率層に耐擦傷性を付与するために、電離放射線硬化型樹脂組成物を紫外線、電子線、あるいは熱により硬化させる際の熱収縮による該添加成分の溶出(泣き出し)によるものであると考えられる。
しかしながら、フッ素系化合物またはシリコーン系化合物の界面活性作用をもつ添加剤成分は、塗布性改良、乾燥均一化、高速塗布適性付与に必須の成分であり、除くことは好ましくない。また、被塗布層をハーフキュアとすることは、塗布層と被塗布層との層間密着性を良好にするため、耐擦傷性付与に重要である。
また、一方で、生産性の観点から、耐擦傷性付与のための加熱(硬化)乾燥時間を短くすることが望まれている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、耐擦傷性と外観品質を両立させ、品質・得率の良い反射防止フィルムを製造すると共に、生産性向上の観点から、耐擦傷性付与のための加熱(硬化)乾燥時間を短縮することができる反射防止フィルムの製造方法および反射防止フィルムを提供することを目的とする。
本発明の請求項1は、前記目的を達成するために、支持体と、前記支持体の上に配される少なくとも1層の光学機能層と、前記光学機能層の上に配され、前記光学機能層よりも屈折率の低い低屈折率層とを有する反射防止フィルムの製造方法において、前記光学機能層の表面に、前記低屈折率層を形成させるための液を塗布して塗布層を形成する塗布工程と、前記塗布層の乾燥を促進させる乾燥工程と、乾燥が促進された塗布層を熱硬化させて低屈折率層とする硬化工程を有し、前記硬化工程は、前記塗布層を第1温度の乾燥風で硬化させる第1の硬化工程と、前記第1温度より低い第2温度の乾燥風で前記塗布層を硬化させる第2の硬化工程と、前記第2温度より高い第3温度の乾燥風で前記塗布層を硬化させる第3の硬化工程と、を有することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法を提供する。
硬化の初期段階において、高い硬化温度で硬化させることにより、白粉状の物質が発生することが知られている。しかし、この初期段階の初期においては、塗布層中に多量の溶媒を含んでいるため、高温で硬化を行っても、溶媒の揮発に熱が使われ、白粉状の物質が析出することなく、硬化を行うことができる。したがって、本発明においては、硬化工程の初期段階である第1の硬化工程において、乾燥風の温度を第2温度より高い第1温度の乾燥風で硬化させている。これにより、硬化を従来より高温で行うため、硬化乾燥時間を短縮することができる。
つぎに、第2の硬化工程において、乾燥風の温度を第1の硬化工程より低い温度とした。第1の硬化工程により、塗布層中の溶媒量が少なくなると、塗布層の硬化により、白粉状の物質が析出するため、第2の硬化工程において、温度を下げることにより、白粉状の物質の析出を防止することができる。また、第2の硬化工程において、温度を下げることにより、溶媒量の少なくなっている塗布層中から硬化用化合物が揮発することを防止することができるため、反射防止フィルムの架橋密度の低下を抑えることができる。
さらに、第3の硬化工程において、乾燥風の温度を第2温度より高い第3温度で硬化させることとした。第2の硬化工程により、塗布層がほぼ硬化しているため、第3の硬化工程において、膜面温度を上昇させても、白粉状の物質が析出することなく、塗布層の硬化を行うことができる。また、第3の硬化工程において、第3温度を上昇させることにより、塗布層の硬化反応を充分に促進させることができ、非常に硬度の高い層を得ることができる。
また、硬化工程における乾燥風の温度の分布を、第1温度を高く、第2温度を低く、第3温度を高く設定することにより、硬化前の塗布層がハーフキュア状態であっても、白粉状の物質が析出することなく、塗布層の硬化を行うことができる。
したがって、結果として、外観故障がなく、耐擦傷性に優れる反射防止フィルムを形成することができる。
請求項2は請求項1において、前記支持体がRe値0〜200nmの透明支持体であることを特徴とする。
請求項2によれば、支持体のレターデーション値を上記範囲とすることにより、画像表示装置の反射防止フィルムとして好適に用いることができる。
請求項3は請求項1または2において、前記第1の硬化工程が前記塗布膜の恒率乾燥期であり、前記第2の硬化工程が前記塗布膜の減率乾燥期であり、前記第1の硬化工程と前記第2の硬化工程とを前記恒率乾燥期から前記減率乾燥期の乾燥変化点の位置において区画することを特徴とする。
請求項3は、第1の硬化工程と第2の硬化工程の区画を規定したものである。第1の硬化工程を恒率乾燥期とすることにより、乾燥風の温度を高温にしても、熱はすべて塗布層の溶媒揮発に使用されるため、塗布層が硬化することによる、白粉状の物質の析出がなく外観故障のない反射防止フィルムを形成することができる。
しかし、塗布膜中の溶媒が少なくなった減率乾燥期では熱の大部分が塗布層の硬化に使用されるため、塗布膜の温度が高温になり、急激に硬化が進むため、白粉状の物質が析出する場合がある。
そこで、第2の硬化工程において、恒率乾燥期から減率乾燥期に移行する乾燥変化点での乾燥風の温度を下げるようにした。これにより、硬化がゆっくりと進行するため、白粉状の物質が析出することなく、塗布層の硬化を行うことができる。
請求項4は請求項3において、前記乾燥変化点は、前記塗布膜中の固形分量が60〜80%の範囲であることを特徴とする。
請求項4は、第1の硬化工程と第2の硬化工程との変更点である乾燥変化点の位置を規定したものであり、塗布膜中の固形分量が60〜80質量%になる位置とすることが好ましい。したがって、塗布膜中の固形分量を測定することにより、硬化工程のどの位置で第1の硬化工程と第2の硬化工程を変更すればよいかが分かる。
請求項5は請求項1から4において、前記第1温度は100℃以上120℃以下であり、前記第2温度は85℃以上100℃以下であり、前記第3温度は100℃以上120℃以下であることを特徴とする。
請求項5によれば、第1温度、第2温度および第3温度を上記範囲に調整することで、白粉状の物質の析出を抑え、硬化速度を向上させた製造方法を提供することができる。
請求項6は請求項1から5において、前記光学機能層が、界面活性作用を持つフッ素系化合物及びシリコーン系化合物のうちから選択される少なくとも1種を含有する光学機能層形成用組成物であることを特徴とする。
請求項6によれば、光学機能層に、界面活性作用を持つフッ素系化合物またはシリコーン系化合物を含有させることにより、優れた防汚性やすべり性を有する光学機能層を形成することができる。
請求項7は請求項1から6において、前記低屈折率層が、2以上の架橋性反応基を有するモノマーの1種を少なくとも含む硬化用化合物を含有することを特徴とする。
請求項7によれば、硬化用化合物として、2以上の架橋性反応基を有するモノマーの1種を少なくとも含有するものが、特に、密着性及び良好な面状を両立した光学補償シートを製造できるからである。
請求項8は請求項7において、前記2以上の架橋性反応基を有するモノマーが、2以上のアルデヒド基を含有するアルデヒド化合物であることを特徴とする。
請求項9によれば、2以上の架橋反応性基を有するモノマーが2以上のアルデヒド基を有するアルデヒド化合物であるため、支持体と塗布膜との密着性を向上させることができる。
請求項9は、前記目的を達成するために、請求項1から8いずれか記載の製造方法により製造された反射防止フィルムを提供する。
請求項9は、請求項1から8に記載の反射防止フィルムの製造方法により製造された反射防止フィルムであるため、耐擦傷性に優れ、外観品質に優れた反射防止フィルムである。
請求項10は請求項9において、前記光学機能層が、防眩性付与層であることを特徴とする。
請求項11は請求項10において、前記光学機能層の屈折率が1.58以上2.00以下であることを特徴とする。
請求項12は請求項9から11において、前記低屈折率層の屈折率が、1.31以上1.45以下であることを特徴とする。
請求項9から12によれば、光学機能層を防眩性付与層とすることにより、効率よく支持体からの反射を防止することができる。また、屈折率を上記範囲とすることにより、反射率の低減が可能である。
本発明によれば、塗布層の硬化が促進される第2の硬化工程の乾燥風の温度を下げることにより、塗布層と被塗布層の密着性を保ち耐擦傷性に優れ、かつ、外観品質の良好な反射防止フィルムを提供することができる。また、第1の硬化工程の乾燥風の温度を上げることにより、加熱硬化時間を速くすることができるので、生産性を向上させることができる。また、第3の硬化工程において、乾燥風の温度を上げることにより、塗布層の硬化反応を充分に促進させることができ、非常に硬度の高い層を得ることができる。したがって、結果として、外観故障がなく、耐擦傷性に優れる反射防止フィルムを形成することができる。
以下、本発明の反射防止フィルムの製造方法、および、その製造方法により製造された反射防止フィルムについて実施形態を示しながら説明する。なお、ここに示す形態は、本発明に係る一例であり、本発明を限定するものではない。図1に本実施形態で用いるフィルム製造装置1の概略図を示す。
フィルム製造装置1には、形成する反射防止フィルムのベース、すなわちベースフィルム2を送り出す送出機70と、ベースフィルム2の表面に液を塗布して塗布層を形成するための、塗布装置10と、複数のパスローラ31を備え、塗布層を乾燥させるための乾燥装置30と、仕切り板41で仕切られた前室42aと中室42bと後室42cとを有し、塗布層を熱硬化させるための、加熱装置40と、塗布層に紫外線を照射して硬化を十分に促進させることで反射防止フィルム3とする紫外線ランプ50と、反射防止フィルム3を巻き取るための巻取機60とが備えられている。また、この他にも、フィルム製造装置1には、複数の搬送ローラ80や除塵機90が備えられている。
塗布装置10には、ベースフィルム2の搬送路の下方に、グラビアパターンが刻印されたマイクログラビアローラ11と塗布液が入れられているタンク(図示しない)とが備えられている。このマイクログラビアローラ11は、ベースフィルム2の所望の面に、塗布液を塗布するための部材である。また、上記のタンクは、マイクログラビアローラ11の下方であり、マイクログラビアローラ11の表面が塗布液に接触する位置に配されているので、タンク内の塗布液にマイクログラビアローラ11の表面を接触させることにより、グラビアパターンに塗布液を供給することができる。ここで、余剰の塗布液は、ドクターブレード(図示しない)により取り除かれるため、グラビアパターンへ供給する塗布液を適量に調整することができる。
乾燥装置30には、整風板34により仕切られた搬送室32と排気室33とが備えられている。整風板34は、複数の開口が設けられた金属製の板であり、搬送室32と排気室33とを仕切りながらも、両室間での風通しを良好なものとしている。整風板34の開口率及び材質などは、特に限定されないが、開口率が50%以下の金網やパンチングメタルが好ましく、より好ましくは開口率が20〜40%である。本実施形態では、300メッシュで開口率30%の金網を用いている。なお、整風板34は、整風板34とベースフィルム2の塗布層表面との間隔が10mm程度となるように設けることが好ましい。
搬送室32には、ベースフィルム2を支持しながら搬送するための複数のパスローラ31が備えられている。なお、各パスローラ31は、脱着が可能であり、容易に脱着操作を行うことができる形態であることが好ましい。例えば、ベースフィルム2の上に塗布された液の残留溶媒量が20%以上45%以下の場合には、パスローラ31を取り外してベースフィルム2に非接触で搬送するようにすると、平面性を低下させずにベースフィルム2を搬送することができる。
排気室33には、ベースフィルム2の幅方向であり、それぞれ対向する位置に、排気室33内の空気を排気するための、排気パイプと、排気室33内に新たな空気を送り込むための給気パイプ(共に図示しない)とが取り付けられている。排気室33では、排気パイプにより排気室33内に空気が室外へと排気されると共に、給気パイプにより排気室33の内部に所望の温度に加熱した乾燥空気が送り込まれることで、その内部温度が適宜調整される。これにより、搬送室32を搬送されるベースフィルム2上の塗布層の乾燥を促進させることができる。なお、給気パイプから給気される空気は、空気以外のガスでも良く、特に限定されるものではない。
加熱装置40において、仕切り板41a、41bで仕切られた前室42a、中室42bおよび後室42cの内部には、各室の内部温度を調整するための温度制御手段である給気ダクト43a、43b、43cがそれぞれ設置されている。仕切り版41a、41bは、その形状や材質等に特に制限はないが、熱伝導性の低い材料で形成されているものが好ましい。また、温度制御手段も、特に限定されるものではなく、例えば、加熱温度を任意に制御することができる加熱器が挙げられる。また、フィルム製造装置1には、ベースフィルム2を支持しながら搬送するための搬送ローラ80が、適宜配置されている。なお、搬送ローラ80の設置箇所および個数などは特に制限されるものではなく、必要に応じて選択することができる。
次に、上記のようなフィルム製造装置1を用いて光学フィルムを製造する方法を説明する。
図2(a)に反射防止フィルム3の断面図を示す。反射防止フィルム3は、ベースフィルム2の上に低屈折率層24が形成された構造を有する。先ず、形成する反射防止フィルム3のベースとなる、ベースフィルム2の構造について説明する。本実施形態で使用するベースフィルム2は、透明な支持体21と、この支持体21の上に接するようにして配される第1層22および複数の透光性微粒子25を含有する。ベースフィルム2の材質や構造などは特に限定されるものではなく、市販のポリマーフィルムなどを支持体として、その上に所望の光学機能層を塗設するなどして設けたものを好適に用いることができる。支持体のレターデーション値(Re値)は、反射防止フィルムが用いられる液晶表示装置やその使用方法に応じて好ましい範囲が異なるが、通常、Re値は0〜200nmの透明支持体であることが好ましい。支持体のRe値を上記範囲とすることにより、画像表示装置の反射防止フィルムとして好適に用いることができる。また、第1層22および第2層23の種類なども特に限定されるものではないが、本実施形態では、光学特性に優れる反射防止フィルム3を得るために、第1層22をハードコート層とし、第2層23を防眩性ハードコート層とする。なお、透光性微粒子25については、後で詳細に説明する。
先ず、ベースフィルム2が送出機70から適宜送り出され、送り出されたベースフィルム2は、搬送ローラ80に支持されながら搬送される間に、その表面に向って除塵機90から風が吹きつけられる。これによりフィルムの表面に付着している塵などの不純物を取り除くことができるので、塗布層を形成する際に不純物が混入するおそれを低減する効果が得られる。なお、除塵機90の設置箇所や設置台数などは特に制限されるものではないが、上記の効果をより高めるためにも、本実施形態のように、除塵機90は、塗布装置10の上流側であり、かつ塗布装置10に出来る限り近い位置へ設けることが好ましい。
除塵されたベースフィルム2は設備の下流へと搬送され、塗布装置10によりその表面に液が塗布される。本実施形態では、光学機能層26よりも低屈折率となる層を形成させるための液をベースフィルム2の表面に塗布して、低屈折率層となる塗布層を設ける。塗布装置10のマイクログラビアローラ11は、ベースフィルム2の搬送方向とは反対向きに回転しており、かつその表面に形成されているグラビアパターンには、適量の塗布液が供給されている。このようなマイクログラビアローラ11をベースフィルム2の表面に接触させると、塗布液を転写させることができるため、ベースフィルム2の表面に塗布層を容易に形成させることが可能となる。
マイクログラビアローラ11に刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチであることが好ましく、より好ましくは100〜300本/インチである。また、グラビアパターンの深度は1〜600μmであることが好ましく、より好ましくは5〜200μmである。更に、マイクログラビアローラ11の回転数は3〜800rpmであることが好ましく、より好ましくは5〜200rpmである。なお、ベースフィルム2の搬送速度は0.5〜100m/分とすることが好ましい、より好ましくは1〜50m/分である。以上により、ベースフィルムの表面に、厚みが均一で塗布ムラの少ない塗布層を形成することができる。
なお、上記の塗布液の量は、特に限定されるものではなく、ベースフィルム2の表面でのはじきの発生を防止し、かつ所望とする塗布層の厚み等を考慮しながら適宜選択すれば良い。ただし、塗布液の量が多いと、ベースフィルム2の表面にはじきが形成される、または、乾燥時間が長くなるおそれがあるため問題である。この問題は塗布層が厚すぎる場合にも同様に発生する。したがって、本問題を回避するために、塗布液の量はベースフィルム1mあたり、1〜40mlとすることが好ましく、特に好ましくは2〜25mlとすることである。また、乾燥時間の長時間化を防ぎつつ、所望の特性を有する層を形成させるために、塗布層の厚みは0.01〜20μmとすることが好ましく、より好ましくは0.05〜10μmである。
乾燥装置30に送り込まれたベースフィルム2は、塗布層側とは反対の面を支持面として、各パスローラ31で支持されながら搬送室32内を搬送する。乾燥装置30では、給気パイプ(図示しない)から温度を調整した乾燥風を送り込むことで内部温度が調整される。これにより、塗布層の乾燥をある程度促進させる初期乾燥を行うことができる。なお、乾燥装置30の内部温度は、20℃以上120℃以下であることが好ましく、より好ましくは、25℃以上100℃以下である。これにより、熱収縮を発生させることなく塗布層の乾燥を進行させることができる。ただし、内部温度を20℃未満とすると、塗布層に含まれる溶剤を十分に蒸発させることができないので、溶剤を多く含んだままの塗布層を次の加熱装置40で加熱することになる。その結果、加熱装置40では、塗布層中の溶剤が急激に蒸発するため、乾燥ムラや厚みムラが大量に生じて外観故障が著しく悪化する。一方で、乾燥装置30の内部温度を120℃よりも高くすると、乾燥装置30の内部で塗布層中の溶剤が急激に蒸発するため、塗布層が熱収縮したり、溶剤の蒸発と共に添加剤が蒸発して所望の特性を有する層が形成できないおそれがある。
また、各パスローラ31は、その表面温度を調整することができる機能を有することが好ましい。これにより、塗布層の乾燥をより効率的に行うことができる。このとき、塗布層の乾燥ムラを抑制するために、各パスローラ31の表面温度は、乾燥装置30の内部の温度と略同等に調整することが好ましい。
なお、搬送室32内の風速は、0.1m/秒以上1.5m/秒以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.1m/秒以上1.0m/秒以下であり、特に好ましくは0.2m/秒以上1.0m/秒以下である。これにより、外観故障の発生を防止しながら、乾燥装置30により塗布層の初期乾燥を効率良くかつ満足に行うことができる。ただし、風速が0.1m/秒以下の場合には、乾燥効率が大幅に低下して、塗布層の初期乾燥を十分に行なうことができない。そのため、加熱装置40では溶剤を多量に含む塗布層を乾燥させることになるので、溶剤が急激に蒸発して塗布層に乾燥ムラや厚みムラが大量に生じてしまう。ここで乾燥を十分に行なうために搬送室32を長くすると、設備コストの増大や乾燥効率の低下等を引き起こすおそれがあるため好ましくない。一方で、風速を1.5m/秒よりも大きくすると、塗布層に厚みムラが生じるおそれがあり問題である。
塗布層の初期乾燥が終了したベースフィルム2は、乾燥装置30から送り出された後、続けて、加熱装置40へと送り込まれる。加熱装置40は、給気ダクト43a、43b、43cから供給される乾燥空気の温度を調整することで、前室42a、中室42b及び後室42cの各内部温度を調整している。
ここで、加熱装置40内に供給する乾燥風の温度は、前室42aに供給する乾燥風の温度すなわち第1温度、中室42bに供給する乾燥風の温度すなわち第2温度、後室42cに供給する乾燥風の温度すなわち第3温度において、以下の関係を有している。前室42aにおける硬化工程である第1の硬化工程においては、第1温度を第2温度より高い温度で硬化を行う。そして、中室42bにおける硬化工程である第2の硬化工程においては、第2温度を第1温度より低い温度で硬化を行う。そして、後室42cにおける硬化工程である第3の硬化工程においては、第3温度を再び第2温度より高い温度で硬化を行う。
これは、硬化の初期段階において、硬化温度が高いと白粉状の物質が発生することが知られている。しかし、初期段階のさらに初期である第1の硬化工程においては、まだ、塗布層中に多量の溶媒を含んでいるため、高温で乾燥を行っても白粉状の物質が析出することがほとんどない。また、硬化温度を高温とすることにより、硬化時間を短縮できるという効果がある。
次に中室42bにおいて、第1温度より低い第2温度にて、硬化を行う。前室42aを通過してきたベースフィルム2上の塗布層は、溶媒量が少なくなっている。したがって、高温で乾燥することにより、白粉状の物質が析出する。そのため、第2の硬化工程において、温度を下げることにより、白粉状の物質の析出を防止することができる。
最後に後室42cにおいて、第2温度より高い温度にて、硬化を行っている。第3温度を上昇させることにより、塗布層の硬化反応を十分に行うことができるため、非常に硬度の高い層を得ることができる。
硬化温度は乾燥させる塗布膜の材質、塗布量および塗布膜の厚さなどにより適宜選択し行われる。具体的には、第1温度は100℃以上120℃以下であり、好ましくは105℃以上110℃以下である。また、第2温度は85℃以上100℃以下であり、好ましくは90℃以上95℃以下である。さらに、第3温度は100℃以上120℃以下であり、好ましくは105℃以上110℃以下である。乾燥風の温度は、第1温度よりも第2温度が低くなるように調整され、第3温度は第2温度より高くなるように調整される。なお、第1温度と第2温度との温度差は5℃以上15℃以下とすることが好ましい。また、第2温度と第3温度との温度差は5℃以上15℃以下であることが好ましい。
この様に、本発明では、低屈折率層を設ける際に、初期乾燥を行った後の塗布層を少なくとも3以上の異なる温度で乾燥させるようにしたので、添加剤等の溶出を押さえながら塗布層の熱硬化を行った後に、塗布層の硬化反応をより十分に促進させることができる。また、硬化初期における硬化温度を上げることができるため、硬化速度を向上させることができる。このため、添加剤等の溶出による白粉状の物質が表面に生成することなく、かつ、非常に硬度の高い層を得ることができるので、結果として、外観故障がなく、耐擦傷性に優れる塗布層、すなわち低屈折率層を形成させることが可能となる。
ただし、第1温度が100℃未満、第2温度が85℃未満、第3温度が100℃未満の場合には、いずれも塗布層の熱硬化を促進させる温度としては低すぎるため問題である。ここで、硬化反応を促進させるためにベースフィルム2の搬送速度を遅くしたり、搬送路を長くしたりすると、搬送時間の長時間化による生産性の低下や、加熱装置40内での滞留時間の長時間化によりベースフィルム2が熱ダメージを受けたりするおそれがある他、設備の大型化による設備コストの増大を招くため問題である。一方で、第1温度が120℃を超える場合、第2温度が100℃を超える場合、第3温度が120℃を超える場合には、塗布層中に含まれる添加剤が塗布層の表面に溶け出して、外観故障や塗布層の熱収縮によるしわ及びつれ等が生じるおそれがあるので問題である。
また、各硬化工程は、第1の硬化工程を塗布膜の恒率乾燥期で行い、第2の硬化工程を塗布膜の減率乾燥期で行い、第1の硬化工程と第2の硬化工程とを恒率乾燥期から減率乾燥期の乾燥変化点の位置において区画することが好ましい。
ここで、乾燥変化点について説明する。図3に乾燥時間に対する膜面温度の温度変化を示す。図3は横軸が乾燥時間、縦軸が膜面温度であり、一定の風速と風温で塗布膜を乾燥させた場合の膜面の温度変化を示す。図3に示すように、乾燥を開始すると、ある時間から湿球温度であった膜面温度が上昇する。上昇前を恒率乾燥期と称し、上昇が開始した点以降を減率乾燥期と称する。また、恒率乾燥期と減率乾燥期との変化点を乾燥変化点と称する。膜面温度が湿球温度である恒率乾燥期においては、膜内の揮発分の膜内移動が充分早く、表面から揮発する液が充分存在する状態である。そして、減率乾燥期では、膜内の揮発分が表面に不足して同じ風を与えても乾燥速度が遅い状態になる。この乾燥変化点において、固形分量を測定すると、60〜80%の間である。
次に、固形分の測定方法について説明する。ここでいう固形分量とは
固形分量(%)=固形分/(揮発分+固形分)×100
である。固形分及び(揮発分+固形分)は、重量測定により、以下の式(1)及び式(2)により求めることができる。
固形分=[A:乾燥終了した膜の重量]−[B:塗布前の支持体の重量]・・・(1)
揮発分+固形分=[C:ある乾燥ゾーンでサンプルした膜の重量]−[B:塗布前の支持体の重量] ・・・(2)
したがって、あるゾーンでサンプルを採取した時に
A:揮発分の沸点以上で絶乾させた重量、
B:Aを脱膜して測った重量、
C:サンプルしてすぐに測った重量、
を各々測定することにより固形分量を得ることができる。
加熱装置40で初期硬化が行われた後のベースフィルム2には、形成された低屈折率層の表面に向かって紫外線ランプ50により紫外線が照射される。このように低屈折率層に紫外線のような電離放射線を照射すると、層の硬化をよりいっそう促進させることができるため、非常に硬度が高い層を得ることができる。なお、本発明における電離放射線とは、紫外線の他、電子線、X線、γ線、高速中性子線、高速荷電粒子線等の線であり、照射した物質に電離作用をもたらす放射線を意味する。最後に、反射防止フィルム3は、巻取機60に巻き取られる。ただし、反射防止フィルム3は、必ずしも巻取機60で巻き取られた状態(バルク)である必要はなく、シート状とする等、その最終形態は特に限定されない。
以上の方法により形成される反射防止フィルム3は、初期乾燥後に熱硬化され、更に、紫外線が照射されることで形成された低屈折率層24を有するため、外観故障がほとんどなく、かつ耐擦傷性に優れる等の特徴を有する。
次に、本発明に係る反射防止フィルムについて説明する。支持体21は、透明であり、各層を形成させるための土台となる部材であるが、ポリマーからなるプラスチックフィルムであることが好ましい。上記のポリマーとしては、セルロースエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ノルボルネン系樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。中でも、セルロースエステルであるトリアセチルセルロース、ポリエステルであるポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートを用いることが好ましく、特に、トリアセチルセルロースであることが好ましい。
光学機能層26は、光学機能層としての作用を有するような層であり、ポリマーであるバインダや重合開始剤、分散剤等からなる少なくとも1層の層より構成される。したがって、光学機能層26は2層以上の複層構造を有していても良い。本実施形態では、第1層22及び第2層23からなる複層構造の光学機能層26を形成させる。光学機能層を構成する層としては、例えば、光拡散層、中屈折率層、高屈折率層、光学補償層、防眩性付与層等が挙げられる。また、光学機能層26を構成する層は同一種でも良いし、異なる組成を有する層でも良く、上記の中から、適宜選択して所望の光学機能層26を形成すれば良い。ただし、優れた反射防止効果を得るためにも、層として防眩性付与層を含んでいることが好ましい。
また、光学機能層26に使用されるバインダとしては、飽和炭化水素鎖又はポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましい。このようなポリマーを構成するモノマーの構造や、芳香族環の有無、或いはハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、窒素原子等の原子の有無、等を適宜選択してバインダとなるポリマーを用いることにより、形成させる層の屈折率を好適に調整することが可能となる。
第2層23には、複数の透光性微粒子25が添加されている。本発明では、可視光領域で吸収のない微粒子を透光性微粒子と称する。このような透光性微粒子25を層中に複数添加させると、微粒子としての作用により層の屈折率を容易に調整することができる他に、透光性微粒子は光を透過させるため、層の防眩性を好適に調整することができる。透光性粒子については、特開2003−302506号公報の[0044]に具体的記載があり、本発明に適用することができる。なお、透光性微粒子は、形成させる層の屈折率に応じて屈折率差を考慮しながら適宜選択することが好ましい。
屈折率や粒径の違いを考慮して透光性微粒子を使い分けることにより、形成させる層の諸特性を制御することができる。例えば、粒径の大きい透光性微粒子を用いると、層の防眩性を容易に調整することができ、より小さな粒径の透光性微粒子を用いると、層の屈折率を容易に調整することができる。したがって、種類や大きさの異なる2種類以上の透光性微粒子を併用することが好ましい。これにより、例えば、輝度の均一性を低下させるために問題であるフィルム表面の凹凸が存在していても、粒径を選択しながら透光性微粒子を用いることで、上記の問題を改善することができる。
上記の様に透光性微粒子を適宜選択して用いるなどして、光学機能層26の屈折率は、1.58以上2.0以下とすることが好ましい。また、低屈折率層24の屈折率は、1.31以上1.45以下とすることが好ましい。上記のような光学機能層26は優れた防眩性を有する。そして、上記のような低屈折率層24は硬度が高く、表面に傷が付き難い等の特徴を有する。そのため、このような層からなる反射防止フィルム3は、防眩性や耐擦傷性及び防汚性等に優れた光学フィルムである。なお、透光性微粒子は、光学機能層26或いは低屈折率層24の少なくとも1つに含ませることが好ましい。また、本実施形態のように光学機能層26などが複数の層で構成されている場合には、少なくともいずれか1層に含有させれば良い。
透光性微粒子としては、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうち、少なくとも1種の金属酸化物であることが好ましい。また、その平均粒径は、0.2μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.1μm以下であり、特に好ましくは0.06μm以下である。上記の金属酸化物としては、例えば、TiO、ZrO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO、SiOなどが挙げられる。中でも、TiO及びZrOは、高屈折率化の点で好ましい。なお、各微粒子の表面を、シランカップリング剤やチタンカップリング剤等で処理すると、バインダに対する分散性や相溶性を向上させることができるので好ましい。上記の微粒子の添加量は、添加させる層の全質量に対して10〜90%であることが好ましく、より好ましくは20〜80%であり、特に好ましくは、30〜75%である。
透光性微粒子のうち、防眩性を付与する目的で用いられる微粒子としては、フィラ粒子よりも粒径が大きく、平均粒径が1〜10μm程度のマット粒子が好ましく用いることができる。マット粒子としては、例えば、シリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物粒子や、アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン粒子、ベンゾグアナミン粒子等の有機化合物粒子等が挙げられる。中でも、高い防眩性を発現させることができることから、架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子を用いることが好ましい。マット粒子の形状は、真球或いは不定形と問わず、特に限定されるものではない。粒径や形状の異なる2種類以上のマット粒子を併用させることも可能である。なお、防眩性の層を形成させるためには、マット粒子の含有量が、形成させる層1m辺りに対して10〜2000mgであることが好ましい。より好ましくは、100〜1400mgである。
上記マット粒子は、層中で均一に分散されていることが好ましい。また、各粒子の粒子径が略同一であることが好ましい。例えば、平均粒径よりも20%以上大きい粒子を粗大粒子とするとき、全粒子に含まれる粗大粒子が含まれる割合は1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下である。したがって、マット粒子は、粒径が略同一であり、層中に均一に分散させることを目的として、出来る限り程度の強い分級が多く行われたものを用いることが好ましい。なお、上記に示す微粒子は、粒径が光の波長よりも十分に小さいため、光の散乱が生じない。
また、光学機能層には、界面活性作用を持つフッ素系化合物及びシリコーン系化合物のうち少なくとも1種を含有させることが好ましい。このような化合物を適宜選択して用いることにより、優れた防汚性や滑り性を有する光学機能層を形成することができる。なお、上記の化合物は、層形成用に用いられる層形成材料の全固形分量に対して、0.01〜20質量%とすることが好ましい。より好ましくは0.05〜10質量%であり、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
フッ素系化合物としては、フルオロアルキル基を有する化合物が好ましい。また、このフルオロアルキル基は炭素数が1〜20であることが好ましく、より好ましくは、1〜10である。この場合、直鎖、分岐構造、脂環式構造であっても良いし、エーテル結合を有していても良い。なお、フルオロアルキル基は、同一分子中に複数含まれていても良い。
上記のフッ素系化合物は、相溶性や光学機能層と低屈折率層との界面での密着性に作用するような置換基を有していることが好ましい。この置換基は、同一でも良いし、異なっていても良いが、複数個有していることが好ましい。置換基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。また、フッ素化合物は、フッ素原子を含まない化合物とフッ素原子を含む化合物との共重合体でも良いし、共重合オリゴマーでも良く、その分子量も特に制限されない。フッ素化合物におけるフッ素原子の含有量も特に制限されないが、フッ素原子全量に対して20質量%であることが好ましい。より好ましくは30〜70質量%であり、特に好ましくは40〜70質量%である。
シリコーン系化合物としては、例えば、ジメチルシリルオキシ単位を繰り返し単位として複数個含む化合物鎖の末端及び側鎖、又は末端か側鎖のいずれか一方に置換基を有するものが挙げられる。なお、上記のような単位を繰り返し含む化合物には、ジメチルシリルオキシ以外の構造単位を含んでいても良い。また、置換基は同一でも異種でも良いが、複数個有することが好ましい。置換基の好適な例としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリール基、シンナモイル基、エポキシ基、オキセタニル基、水酸基、フルオロアルキル基、ポリオキシアルキレン基、カルボキシル基、アミノ基などが挙げられる。分子量に特に制限はないが、取り扱い性等を考慮して、100000以下であることが好ましい。より好ましくは、50000以下であり、特に好ましくは3000〜30000である。シリコーン系化合物のシリコーン原子量にも特に制限はないが、化合物全量に対して18質量%以上であることが好ましく、より好ましくは25〜37.8質量%であり、特に好ましくは30〜37質量%である。
上述したベースフィルム2の上に形成される低屈折率層24について説明する。低屈折率層は、2以上の架橋性反応基を有するモノマーの1種を少なくとも含む硬化性組成物を塗布、乾燥、硬化して形成される硬化膜であることが好ましい。また、この2以上の架橋性反応基を有するモノマーが、2以上のアルデヒド基を含有するアルデヒド化合物であることが好ましい。
具体的な化合物として、例えばグリオキサール、マロンアルデヒド、スクシンアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、ピメロアルデヒド、スベロアルデヒド、アゼラアルデヒド、セバコアルデヒド、アスパルアルデヒド、1,2,4−ブタントリカルバルデヒド、3−ホルミルヘキサンジアール、シクロヘキサンジカルバルデヒド、シクロヘキサンジアセトアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ベンゼントリアルデヒド、1,4,5,8−ナフタレンテトラアセトアルデヒド、両末端アルデヒド化ポバール、ジアルデヒドでんぷん等が挙げられる。本発明に供されるアルデヒド化合物はこれらに限定されるものではない。
これらの中で、特に、反応性の高い2官能性(アルデヒド基が2つ)脂肪族アルデヒド化合物が好ましい。
図2(b)に、フィルム製造装置1により形成することができる別形態の反射防止フィルムの一例を示す。図2(b)に示すように、反射防止フィルム110は、支持体21と光学機能層115と低屈折率層116とから構成されている。なお、支持体21は、図2(a)を示して説明したものと同じであるため、同符号を付す。光学機能層115は、支持体21から近い順に第1層112、第2層113、第3層114とが積層された複層構造を有する。ここで、微粒子やバインダの種類等を適宜選択することにより、第1層112としてハードコート層としての作用を有する層を形成し、第2層113として中屈折率層を形成し、第3層114として高屈折率層を形成すると、非常に反射防止性に優れる反射防止フィルム110を得ることができる。
なお、塗布方法に関して、本実施形態では、一般に、マイクログラビアコート法として公知の方法である方法を用いたが、本方法に限定されるものではない。本発明に好適に用いることができる塗布方法としては、例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラコート法、ワイヤーバーコート法、マイクログラビアコート法、エクストルージョンコート法(例えば、米国2681294号明細書に記載)等が挙げられる。上記の中でも、厚みが均一で塗布ムラの少ない塗布層を形成させるために、ワイヤーバーコート法、エクストルージョンコート法、マイクログラビアコート法を用いることが好ましく、特に、マイクログラビアコート法を用いることが好ましい。
加熱装置40として、本実施形態では、3つの区画を有する形態を示したが、この区画数は、第1温度、第2温度および第3温度の制御が可能であれば、特に限定されず設置することが可能である。また、加熱装置40は、区画化されている形態でなくとも、例えば、個々に内部温度を調整することができる乾燥装置が複数組み合わされた形態でも良いし、別々の乾燥装置を並列に配置した形態でも良い。
また、加熱硬化した低屈折率層に電離放射線を照射する場合、本実施形態では、紫外線を照射させる形態を示したが、例えば、紫外線に代えて電離放射線である電子線を照射し、更に、これらを併せて用いることもできる。このように複数の電離放射線を併用する場合には、紫外線照射装置や電子線照射装置等の所望の照射装置を用意し、これらを並列に配置して用いることで、低屈折率層に対して紫外線及び電子線を連続して照射させれば良い。なお、各照射装置の設置箇所及び順序等は特に限定されるものではなく、適宜選択することが可能である。
なお、紫外線照射装置としては、例えば、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、ヒュージョンランプなどのような公知の紫外線照射装置を好適に用いることができる。また、電離放射線の照射装置も特に限定されるものではなく、各種電離放射線の照射装置として公知のものを用いることができる。ただし、電離放射線を照射するにあたり、ベースフィルムへのダメージを低減しながらも十分に硬化を促進させることを目的として、紫外線を用いる場合には、その照射量を30mJ以上800mJ以下とすることが好ましく、より好ましくは50mJ以上300mJ以下とすることであり、電離放射線を用いる場合には、加速電子圧を80kV以上300kV以下とすることが好ましい。
なお、本発明に係る支持体や、光学機能層及び低屈折率層を形成するために用いられる硬化性樹脂、微粒子、及び重合開始剤や分散剤等の添加剤等、各層の形成方法等に関する詳細は、特開2005−257786号公報の[0061]に詳細に記載されており、この記載も本発明に適用することができる。
本発明により得られる反射防止フィルムは、偏光板の保護フィルムとして好適に使用することができる。偏光板は、偏光膜を両面から挟む2枚の保護フィルムで主に構成されているが、この保護フィルムのうち少なくとも1枚に用いることが好ましい。このとき、反射防止フィルムが保護フィルムを兼ねるので、偏光板の製造コストを低減することができると共に、反射防止フィルムを最表層とすることで、外部からの光の映り込みが防止され、耐傷性、防汚性等にも優れる偏光板を得ることができる。他にも、2枚の保護フィルムのうち、片方が反射防止フィルムであり、もう一方が、光学異方層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。このような光学補償フィルムは、光学異方層を有する光学機能層を形成することが得ることができる。光学補償フィルムは、位相差フィルムとも称され、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
上記の様に本発明により得られる反射防止フィルムを偏光膜の保護フィルムとして用いると、TN、STN、VA、IPS、OCB等のモードの透過型、反射型、又は半透過型の液晶表示装置に好適に用いることができる。
偏光膜としては、公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いても良く、特に限定されるものではない。この後者に示す偏光膜は、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を、保持手段により保持しつつ、幅方向に対して張力を付与することで延伸することで形成される。なお、少なくとも幅方向に1.1〜20倍の割合で延伸し、フィルムの両端の保持手段におけるフィルムの長手方向に対する進行速度の差が3%以内とし、このフィルム保持工程の終了時におけるフィルムの進行方向とフィルムの実質延伸方向のなす角度とが、20〜70°傾斜するようにフィルムの進行方向をフィルムの両端を保持した状態で屈曲させると、所望の延伸を施した偏光膜を作製することができる。なお、上記の角度を45°とすると、生産性の観点から好ましい。
本発明により得られる反射防止フィルムは、LCD、PDP、ELD、CRTのような画像表示装置に好ましく用いることができる。また、本発明により得られるような透明支持体を有する反射防止フィルムを、透明支持体側を画像表示装置の画像表示面に接着して用いると、表示品質に優れる画像表示装置を提供することができる。
なお、本発明の反射防止フィルムに係る偏光膜、ポリマーフィルム、画像表示装置等に関しては、特開2005−257786号公報の[0067]以降に記載されており、この記載も本発明に適用することができる。
以下に、実施例により本発明の実質的な効果を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
[ベースフィルムの作製]
支持体であるトリアセチルセルロースフィルム(富士フイルム(株)製、TD80U)の表面に、後述する光学機能層形成液Aを塗布液として、線数135本/インチ、深度60μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアローラと、ドクターブレードとを用いて搬送速度20m/分の条件で塗布して塗布層を設けた。その後、この塗布層を100℃で40秒間乾燥させた。続いて、塗布層の表面に、窒素パージ下で160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量250mJ/cmの紫外線を照射することにより塗布層を硬化させて光学機能層としての作用を有する光学機能層Aを形成した。硬化後の光学機能層Aの厚さは約10μmであった。なお、この光学機能層Aが形成されたフィルムを巻取りロールに巻き取って、光拡散フィルムであるロール状のベースフィルム(拡散フィルムA)を得た。
[反射防止フィルムの作製]
図1に示すフィルム製造装置1により反射防止フィルムを作製した。先ず、上記により作製したベースフィルムの表面に、塗布装置10により塗布液として後述の低屈折率層塗布液Aを塗布することで塗布層を設けた後、乾燥装置30により120℃で150秒の間、塗布層を乾燥した。なお、塗布装置10は、線数200本/インチ、深度30μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアローラ11とドクターブレードとを備えた形態を使用し、塗布条件をグラビアローラ11の回転数を30rpm、搬送速度20m/分とした。次に、加熱装置40の前室42a内の乾燥風の温度を105℃、中室42bの乾燥風の温度を95℃とし、後室42cの乾燥風の温度を105℃として、各加熱室42a〜42cの加熱時間を2分間として塗布層を加熱硬化させた。この後、紫外線ランプ50として、窒素パージ下で240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度400mW/cm、照射量900mJ/cmの紫外線を乾燥が促進された塗布層に照射して、反射防止フィルムを得た。この反射防止フィルムは、低屈折率層の厚さが100nmであった。
〔光学機能層形成液A〕
・第1液(ジルコニア含有UV硬化型ハードコート液;JSR(株)製、デソライトZ7404、固形分濃度約61質量%、固形分中ZrO含率約70質量%、重合性モノマー、重合開始剤含有) 100質量部
・第2液(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物;日本化薬(株)製、DPHA) 30質量部
・メチルイソブチルケトン 21質量部
・メチルエチルケトン 6質量部
・シランカップリング剤A(アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業(株)製、KBM−5103) 98質量部
上記組成物を混合攪拌して混合液A1を調製した。なお、この混合液A1をトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)に塗布して塗布層を設けた後、この塗布層に紫外線を照射して硬化させることで得られた層の屈折率は、1.61であった。
次に、混合液A1に平均粒径が3.0μmの分級強化架橋PMMA粒子(綜研化学(株)製、MXS−300、屈折率1.49)が含まれる微粒子分散液Aを35質量部加えた後、平均粒径1.5μmのシリカ粒子(日本触媒(株)製、シーホスタKE-P150、屈折率1.46)が含まれる微粒子分散液Bを90質量部加えて混合液A2とした。そして、この混合液A2を、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタで濾過することにより光拡散性のハードコート層を形成することができる光学機能層形成液Aとした。なお、微粒子分散液Aは、上記のPMMA粒子が30質量%含まれるメチルイソブチルケトン分散液を、ポリトロン分散機にて10000rpm、20分間分散させて得られる分散液である。また、微粒子分散液Bは、上記のシリカ粒子が30質量%含まれるメチルエチルケトン分散液をポリトロン分散機にて10000rpm、30分間分散させて得られる分散液である。
〔低屈折率層塗布液A〕
下記組成物をミキシングタンクに投入して、これを攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタでろ過することで低屈折率層を形成させるための塗布液である低屈折率層塗布液Aを調製した。
・第1ポリマー溶液(熱架橋性含フッ素ポリマー組成液;JSR(株)製、オプスターJN7228A) 100質量部
・シリカ分散物A(日産化学(株)製、MEK−ST、平均粒径15nm)4.3質量部
・シリカ分散物B(日産化学(株)製、MEK−STの粒径違い品、平均粒径45nm) 5.1質量部
・ゾル液E 2.2質量部
・メチルエチルケトン 15.0質量部
・シクロヘキサノン 3.6質量部
ただし、上記のゾル液Eは、後述の方法により調製したものを用いた。
〔ゾル液E〕
攪拌機及び還流冷却器を備えた反応器の中に、メチルエチルケトンを120質量部、シランカップリング剤Aを100質量部、ジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート(ホープ製薬(株)製)を3質量部、加えてから、これを混合することで混合物とした。次に、この混合物に、イオン交換水を30質量部加えた後、60℃、4時間反応させてから、略室温まで冷却してゾル液Eを得た。このゾル液Eは、質量平均分子量が1800であり、オリゴマー成分以上の成分のうち、分子量が1000〜20000である成分は100質量%であった。なお、ガスクロマトグラフィー分析により、ゾル液E中には、原料のシランカップリング剤Aが全く残存していないことを確認した。
<実施例2>
前室42aおよび後室42cの室内の塗布層の膜面温度を110℃とした以外は、実施例1と同様にして反射防止フィルムを製造した。
<実施例3>
実施例1において、光学機能層形成液Aの代わりに、下記に示す光学機能層形成液Bを用い、防眩性ハードコート層フィルムであるロール状のベースフィルム(防眩性ハードコート層フィルムB)を得た。このベースフィルムの表面に、低屈折率層塗布液Bを塗布して、反射防止フィルムを製造した以外は、実施例1と同様の方法により製造した。
〔光学機能層形成液B〕
・第3液(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物;日本化薬(株)製、PETA) 50質量部
・トルエン 38.5質量部
・重合開始剤A(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア184) 2質量部
上記組成物を混合し、攪拌することで混合液B1を調製した。なお、この混合液B1をトリアセチルセルロースフィルム(TD80UF、富士写真フイルム(株)製)に塗布して塗布層を設けた後、この塗布層に紫外線を照射して硬化することにより得られた層の屈折率は、1.51であった。
次に、混合液B1に、平均粒径が3.5μmのポリスチレン粒子(綜研化学(株)製、SX−350、屈折率1.60)が含まれている微粒子分散液Cを1.7質量部加えた後、平均粒径3.5μmのアクリル−スチレン粒子(綜研化学(株)製、屈折率1.55)が含まれる微粒子分散液Dを13.3質量部加えて、混合液B2を調製した。そして、この混合液B2に、フッ素系表面改質剤(FP−13、質量平均分子量14000;特開2005−283849の[0080]参照)を0.75質量部と、シランカップリング剤Aを10質量部とを加えて、防眩性ハードコート層を形成させるための光学機能層形成液Bとした。なお、微粒子分散液Cは、上記のポリスチレン粒子が30質量%の割合でトルエンに含まれている混合液を、ポリトロン分散機にて10000rpm、20分間分散させて得られる分散液である。また、微粒子分散液Dは、上記のアクリル−スチレン粒子が30質量%の割合でトルエンに含まれている混合液である。
〔低屈折率層塗布液B〕
下記組成物をミキシングタンクに投入して、これを攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタでろ過することで低屈折率層を形成させるための塗布液である低屈折率層塗布液Bを調製した。
・第2ポリマー溶液(熱架橋性含フッ素ポリマー組成液;JSR(株)製、オプスターJTA−113) 100質量部
・シリカ分散物A 4.3質量部
・シリカ分散物B 5.1質量部
・ゾル液E 2.2質量部
・メチルエチルケトン 15.0質量部
・シクロヘキサノン 3.6質量部
<実施例4>
前室42aおよび後室42cの室内の塗布層の膜面温度を110℃とした以外は、実施例3と同様にして反射防止フィルムを製造した。
<実施例5>
低屈折率層塗布液Gの代わりに低屈折率層塗布液Hを塗布し、前室42aおよび後室42cの室内の塗布層の温度を100℃とした以外は実施例3と同様にして反射防止フィルムを製造した。
〔低屈折率層塗布液C〕
下記組成物をミキシングタンクに投入して、これを攪拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタでろ過することにより低屈折率層塗布液Cを調製した。
・第2ポリマー溶液 100質量部
・シリカ分散物A 4.3質量部
・シリカ分散物B 5.1質量部
・ゾル液E 2.2質量部
・メタノール 10.0質量部
・メチルエチルケトン 5.0質量部
・シクロヘキサノン 3.6質量部
<実施例6>
前室42aおよび後室42cの室内の塗布層の温度を105℃とした以外は実施例5と同様にして反射防止フィルムを製造した。
<実施例7>
前室42aおよび後室42cの室内の塗布層の温度を110℃とした以外は実施例5と同様にして反射防止フィルムを製造した。
<実施例8>
中室42bの室内の塗布層の温度を100℃とした以外は実施例6と同様にして反射防止フィルムを製造した。
<実施例9>
中室42bの室内の塗布層の温度を85℃とした以外は実施例7と同様にして反射防止フィルムを製造した。
<実施例10>
実施例1において、光学機能層形成液Aの代わりに、下記に示す光学機能層形成液Cを用い、高屈折率フィルムであるロール状のベースフィルム(高屈折率フィルムC)を得た。このベースフィルムの表面に、低屈折率層塗布液Bを塗布して、反射防止フィルムを製造した以外は、実施例1と同様の方法により製造した。
〔光学機能性形成液C〕
下記の材料をミキシングタンクに投入し、これを攪拌することで得られる混合物を、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルタを備える濾過装置で濾過することにより高屈折率の光学機能層を形成させることができる塗布液として光学機能層形成液Cを調製した。
・二酸化チタン分散液 88.9質量部
・第2液 58.9質量部
・重合開始剤B(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製、イルガキュア907) 3.1質量部
・光増感剤(日本化薬(株)製、カヤキュアーDETX) 1.1質量部
・メチルエチルケトン 482.4質量部
・シクロヘキサノン 1869.8質量部
なお、二酸化チタン分散液は、下記の方法により調製したものを用いた。
〔二酸化チタン分散液〕
下記の材料を、ダイノミルにより質量平均径が70nmになるまで分散させることで調製した。
・微粒子分散液F(石原産業(株)製、MPT-129C(TiO:Co:Al:ZrOが質量比で、90.5:3.0:4.0:0.5) 257.1質量部
・分散剤A 38.6質量部
・シクロヘキサノン 704.3質量部
<実施例11>
前室42aおよび後室42cの室内の塗布層の温度を110℃とした以外は実施例8と同様にして反射防止フィルムを製造した。
<比較例1〜9>
実施例1から9の反射防止フィルムの製造方法において、加熱装置40の代わりに2室からなる加熱装置を用い、各部屋での加熱時間を5分とした以外は各実施例と同様の方法により反射防止フィルムを形成した。
<評価結果>
各実施例及び比較例で作製した反射防止フィルムを用いて、下記の項目に関する評価を行った。
[1.平均反射率]
分光光度計(日立製作所(株)製、U4100)を用いて、380〜780nmの波長領域において、入射角5°におけるサンプルの分光反射率を測定した。そして、450〜650nmの平均反射率を、光学フィルムの平均反射率とした。
[2.鉛筆硬度耐擦傷性]
反射防止フィルムを温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS K 5400に記載の方法により鉛筆硬度評価を行った。
[3.スチールウール耐擦傷性]
膜表面をスチールウール#0000を用いて、500gの荷重下で10回擦った後に、傷のつくレベルを確認した。判定は次の基準に従った。
○:全く傷がつかない
△:細かい傷が見える
×:傷が著しい
[4.ベンコット耐擦傷性]
学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業(株)製、AB−301)を用いて、後述の条件でサンプルに対するこすり試験を行なった。そして、こすり終えたサンプルの低屈折率層側とは反対の面に油性の黒インキを塗った後、低屈折率層側の面を目視により観察して、反射光で見られるこすり部分の傷を、以下の基準により光学フィルムのベンコット耐擦傷性として3段階で評価した。
○:非常に注意深く見ても全く傷が見えず、製品上全く問題がない。
△:一部に弱い傷を見ることが出来るが、製品上許容出来る。
×:一目見ただけで確認できる傷があり、製品上でも問題となる。
〔こすり試験条件〕
・評価環境条件:25℃、60%RH
・こすり材:サンプルと接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に、ベンコット(旭化成工業(株)製、M−3)を巻いてから、バンドで固定したもの。
・移動距離(片道):13cm
・こすり速度:13cm/秒
・荷重:200g/cm
・先端部接触面積:1cm×1cm
・こすり回数:250往復
[5.白粉故障]
サンプルの低屈折率層を表面としたとき、この面に対して裏面に位置する面に油性の黒インクを塗った後、低屈折率層の表面に光源を照射した。そして、このときに表面で確認出来る白粉故障の程度を、以下の基準により3段階で評価した。なお、上記の光源としては、3波長蛍光灯及び人工太陽光灯を用いた。
○:白粉故障が全く発生しておらず、外観品質として製品上問題とならない。
△:白粉故障が薄く発生しているが、外観品質として製品上許容出来る。
×:白粉故障が全面に発生しており、外観品質として問題となる。
各実施例および比較例において得られた評価結果を図4および図5に示す。
比較例1〜9の反射防止フィルムは、ベンコット耐擦傷製および白粉故障に優れるが、鉛筆硬度耐擦傷が3Hであり、硬化時の膜面温度が105℃と低い反射防止フィルムについては、スチールウール耐擦傷性についても一部に弱い傷が確認できた。また、実施例1から9の反射防止フィルムは、鉛筆硬度耐擦傷性も4Hと比較例より高く、また、スチールウール耐擦傷性についても、すべてのサンプルで良好な結果が得られた。
また、硬化時間についても、実施例が、各工程に2分、合計6分で硬化が終了しているのに対し、比較例は、各工程に5分、合計10分間、硬化にかかっているため、硬化時間を短縮できることが確認できた。
以上の結果より、本発明によると、耐擦傷性に優れながら、かつ白粉故障がほとんど確認できない程、外観故障の発生が抑制された品質に優れる反射防止フィルムを、優れた生産性により製造することができる。
本発明に係るフィルム製造装置の一例の概略図である。 本発明に係る光学フィルムの一例の断面図(a)と、他の例の断面図(b)である。 一定の温度条件下での乾燥時間に対する膜面温度の温度変化を示す図である。 実施例の結果を示す図である。 比較例の結果を示す図である。
符号の説明
1…フィルム製造装置、2…ベースフィルム、3、110…反射防止フィルム、10…塗布装置、11…マイクログラビアローラ、21…支持体、22、112…第1層、23、113…第2層、114…第3層、24、116…低屈折率層、25…透光性微粒子、26、115…光学機能層、30…乾燥装置、31…パスローラ、32…搬送室、33…排気室、34…整風板、40…加熱装置、41…仕切り板、42a…前室、42b…中室、42c…後室、43…ダクト、50…紫外線ランプ、60…巻取機、70…送出機、80…搬送ローラ、90…除塵機

Claims (12)

  1. 支持体と、前記支持体の上に配される少なくとも1層の光学機能層と、前記光学機能層の上に配され、前記光学機能層よりも屈折率の低い低屈折率層とを有する反射防止フィルムの製造方法において、
    前記光学機能層の表面に、前記低屈折率層を形成させるための液を塗布して塗布層を形成する塗布工程と、
    前記塗布層の乾燥を促進させる乾燥工程と、
    乾燥が促進された塗布層を熱硬化させて低屈折率層とする硬化工程を有し、
    前記硬化工程は、前記塗布層を第1温度の乾燥風で硬化させる第1の硬化工程と、前記第1温度より低い第2温度の乾燥風で前記塗布層を硬化させる第2の硬化工程と、前記第2温度より高い第3温度の乾燥風で前記塗布層を硬化させる第3の硬化工程と、を有することを特徴とする反射防止フィルムの製造方法。
  2. 前記支持体がRe値0〜200nmの透明支持体であることを特徴とする請求項1記載の反射防止フィルムの製造方法。
  3. 前記第1の硬化工程が前記塗布膜の恒率乾燥期であり、前記第2の硬化工程が前記塗布膜の減率乾燥期であり、前記第1の硬化工程と前記第2の硬化工程とを前記恒率乾燥期から前記減率乾燥期の乾燥変化点の位置において区画することを特徴とする請求項1または2記載の反射防止フィルムの製造方法。
  4. 前記乾燥変化点は、前記塗布膜中の固形分量が60〜80%の範囲であることを特徴とする請求項3記載の反射防止フィルムの製造方法。
  5. 前記第1温度は100℃以上120℃以下であり、前記第2温度は85℃以上100℃以下であり、前記第3温度は100℃以上120℃以下であることを特徴とする請求項1から4いずれか記載の反射防止フィルムの製造方法。
  6. 前記光学機能層が、界面活性作用を持つフッ素系化合物及びシリコーン系化合物のうちから選択される少なくとも1種を含有する光学機能層形成用組成物であることを特徴とする請求項1から5いずれか記載の反射防止フィルムの製造方法。
  7. 前記低屈折率層が、2以上の架橋性反応基を有するモノマーの1種を少なくとも含む硬化用化合物を含有することを特徴とする請求項1から6いずれか記載の反射防止フィルムの製造方法。
  8. 前記2以上の架橋性反応基を有するモノマーが、2以上のアルデヒド基を含有するアルデヒド化合物であることを特徴とする請求項7記載の反射防止フィルムの製造方法。
  9. 請求項1から8いずれか記載の製造方法により製造された反射防止フィルム。
  10. 前記光学機能層が、防眩性付与層であることを特徴とする請求項9記載の反射防止フィルム。
  11. 前記光学機能層の屈折率が1.58以上2.00以下であることを特徴とする請求項9または10記載の反射防止フィルム。
  12. 前記低屈折率層の屈折率が、1.31以上1.45以下であることを特徴とする請求項9から11いずれか記載の反射防止フィルム。
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