JP5157162B2 - 反射防止積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は反射防止積層体及びその製造方法に関するものである。さらに詳細には、本発明は液晶表示装置等の表示画面の反射を防止するために適用される反射防止積層体及びその製造方法に関するものである。
ガラスやプラスチックス等の透明基材上に、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機酸化物からなる低屈折率層を形成してなる反射防止積層体が知られている。この反射防止積層体に汚れ防止機能を付与するために、該低屈折率層の上に防汚層を形成することが知られている。また、低屈折率層にフッ素樹脂等を含有させ、低屈折率層に防汚性を付与することが提案されている。
特許文献1には、ガラスなどの透明基板と、この透明基板上に形成された反射防止層とを備える反射防止フィルムが開示されている。該反射防止層はフッ素含有のシラン化合物が表面に複合された超微粒子を単粒子層配列してなるものである。該超微粒子はエチルシリケートなどのバインダーで透明基板に結合させている。特許文献1の反射防止フィルムでは、エチルシリケートなどのバインダーで微粒子と透明基板とを結合させるために高温で焼成する場合がある。
特開平8−211202号公報
また、特許文献2には、透明プラスチックフィルム基材上に直接又は他の層を介して、低屈折率層を形成してなる反射防止フィルムが開示されている。この反射防止フィルムの低屈折率層には、パーフルオロアルキル基を有する化合物やポリジメチルシロキサンセグメント等を含む疎水性化合物などで処理することによって、撥水性基及び/又は撥油性基を導入した、空隙を有するシリカ微粒子が含まれている。
特開2006−106507号公報
しかし、本発明者の検討によると、特許文献1に記載の反射防止フィルムでは、透明基材と微粒子との結合を強くするために高温での焼成が必要であり、製造工程における耐熱性という観点から、透明基板を構成する樹脂フィルムの選択に制限があることがわかった。
また、特許文献2に記載の反射防止フィルムでは、撥水性基及び/又は撥油性基の導入量が増えるほど、透明基材と低屈折率層との密着性が低下し、分離してしまうことがわかった。
さらに、これら従来の反射防止フィルムは耐アルカリ性が低く、アルカリ性洗剤等によってシミが生じることがわかった。
そこで、本発明の目的は、透明基材と防汚層との間の密着性が高く、反射防止性と防汚性とに優れ、且つ耐アルカリ性に優れた反射防止積層体を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、透明基材上に直接またはその他の層を介して、保護膜によって被覆されている微粒子を含有する硬化性組成物を塗布し、該塗膜に熱を加え、次いで紫外線を照射することによって、透明基材と防汚層との間の密着性が高く、反射防止性と防汚性とに優れ且つ耐アルカリ性に優れた反射防止積層体が得られることを見いだした。本発明は、この知見に基づいてさらに研究を進め、完成させたものである。
すなわち、本発明は、以下のものを含むものである。
〔1〕 透明基材と、
その上に直接またはその他の層を介して、 保護膜によって被覆された微粒子とバインダーとを含有する硬化性組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を加熱した後、紫外線照射することにより、該塗膜を硬化させてなる防汚層とを有する
反射防止積層体。
〔2〕 前記防汚層は、濃度1重量%濃度のNaOH水溶液に0.5時間接触した後の最小反射率が、接触前の最小反射率の±0.05%の範囲である〔1〕に記載の反射防止積層体。
〔3〕 前記防汚層は、濃度1重量%濃度のNaOH水溶液に0.5時間接触した後の水に対する接触角が100°以上である〔1〕又は〔2〕に記載の反射防止積層体。
〔4〕 前記防汚層は、その屈折率が1.45以下である〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の反射防止積層体。
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の反射防止積層体を備える光学部材。
〔6〕 〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の反射防止積層体又は〔5〕に記載の光学部材を備える表示装置。
〔7〕 透明基材上に直接またはその他の層を介して、
保護膜によって被覆されている微粒子と、バインダーとを含有する硬化性組成物を塗布し、
該塗膜に熱を加え、
次いで紫外線を照射することを含む、
防汚層を有する反射防止積層体の製造方法。
本発明の反射防止積層体は、防汚層と、これに接する層との間の密着性が高く、反射防止性と防汚性とに優れ且つ耐アルカリ性に優れている。この反射防止積層体を液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置などに代表される表示装置の表示面に設けると、蛍光灯などの外部光源から照射された光の反射が減り、視認性が大幅に改善される。さらに、アルカリ性洗剤等を用いた拭き掃除を行ってもシミ等が生じず、また透明基材から低屈折率性を有する防汚層が剥離するなどの外観上、機能上の不具合が生じにくくなる。
本発明の反射防止積層体は、透明基材と、その上に直接又は他の層を介して形成された防汚層とを有するものである。この防汚層は低屈折率性を有する。
(透明基材)
本発明の反射防止積層体を構成する透明基材は、光透過性があるものであれば特に制限されない。透明基材を構成する材料としては、ガラスや樹脂が挙げられる。
樹脂としては、1mm厚で全光線透過率が好ましくは80%以上のものであれば特に制限されず、例えば、脂環式構造を有する樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等が挙げられる。これらの透明樹脂は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
透明基材は、通常、シート、フィルム又は板の形状を成している。透明基材の平均厚さは、機械的強度などの観点から、好ましくは30〜300μm、より好ましくは40〜200μmである。本発明において、透明基材は、単層からなるものであっても、2層以上が積層された多層からなるものであってもよい。また、基材表面は、平らな形状であってもよいし、凹凸形状であっても良い。凹凸形状はエンボス加工などの公知の腑形法によって得ることができる。
透明基材は、その片面又は両面に表面処理が施されたものであってもよい。表面処理を施すことにより、透明基材上に直接形成される他の層との密着性を向上させることができる。表面処理としては、エネルギー線照射処理や薬品処理などが挙げられる。
エネルギー線照射処理としては、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、紫外線照射処理などが挙げられ、処理効率の点から、コロナ放電処理、プラズマ処理が好ましく、コロナ放電処理が特に好ましい。
薬品処理としては、重クロム酸カリウム溶液、濃硫酸などの酸化剤水溶液中に、浸漬し、その後、充分に水で洗浄する方法が挙げられる。なお、浸漬した状態で振盪すると効果的であるが、長期間浸漬したままにしておくと表面が溶解したり、透明性が低下したりすることがあるので、処理に用いる薬品の反応性、濃度などに応じて、浸漬時間、温度などの処理条件を調整することが好ましい。
本発明の反射防止積層体は、透明基材と後述する防汚層との間に他の層が介在していてもよい。他の層としては、高屈折率層が挙げられる。本発明において高屈折率層は、屈折率が1.55以上の層のことである。
高屈折率層を構成する材料としては、無機材料、樹脂材料が挙げられるが、生産性に優れるという観点から樹脂材料が好ましい。
高屈折率層を形成する樹脂材料としては、高屈折率層におけるバインダーとしての機能を有し、高屈折率層に十分な強度を与え、さらに透明性のあるものであれば、特に制限されない。樹脂材料として、例えば、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、電離放射線硬化型樹脂が挙げられるが、皮膜の強度、加工性の点で、熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂が好ましい。
高屈折率層には、前記熱硬化型樹脂又は電離放射線硬化型樹脂以外に導電性微粒子が含まれていることが好ましい。導電性微粒子を含ませることにより、高屈折率層に帯電防止機能を付与でき、また機械的強度に優れたものとすることができる。導電性微粒子は、導電性を有する微粒子であれば特に制約はないが、透明性に優れることから、金属酸化物の微粒子が好ましい。金属酸化物微粒子の中でも、五酸化アンチモン微粒子又はリンがドープされた酸化スズ微粒子が好ましい。
高屈折率層は、その屈折率が、好ましくは1.55以上、より好ましくは1.60以上である。高屈折率層の屈折率がこの範囲にあると、高屈折率層の上に低屈折率性を有する防汚層を積層した場合に、外光の反射を効率的に抑制でき、映り込みを防止することができる。屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメータを用いて測定して求めることができる。
高屈折率層は、JIS K5600−5−4で示す鉛筆硬度試験(試験板はガラス板)で「HB」以上の硬さを示すことが好ましい。鉛筆硬度が「HB」以上の硬さを示す高屈折率層はハードコート層を兼ね、反射防止積層体の層数を減らして、薄くすることができる。高屈折率層の平均厚さは、好ましくは0.3〜20μm、さらに好ましくは0.8〜10μmである。
本発明の反射防止積層体を構成する防汚層は、保護膜によって被覆された微粒子と、バインダーとを含有する硬化性組成物を塗布し、該塗膜を加熱した後、紫外線照射することにより、該塗膜を硬化させてなるものである。この防汚層は低屈折率を示すものである。
本発明に用いる硬化性組成物は、保護膜によって被覆された微粒子と、バインダーとを含有するものである。
硬化性組成物に含有されるバインダーは、加熱及び紫外線照射によって硬化するものであれば、モノマーであっても、ポリマーであってもよい。
モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸などのアクリル酸類;アクリロニトリル;エチレンオキサイド変性フェノールのアクリレート若しくはメタクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノールのアクリレート若しくはメタクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノールのアクリレート若しくはメタクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノールのアクリレート若しくはメタクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、ヒドロキシヘキシルアクリレート、ヒドロキシヘキシルメタクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールモノアクリレート、トリエチレングリコールモノメタクリレート、トリプロピレングリコール;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等の単官能アクリレート若しくは単官能メタクリレート類;
ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールのジアクリレート若しくはジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAのジアクリレート若しくはジメタクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAのジアクリレート若しくはジメタクリレート、エチレンオキサイド変性水添ビスフェノールAのジアクリレート若しくはジメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート若しくはジメタクリレート、トリメチロールプロパンアリルエーテルジアクリレート、トリメチロールプロパンアリルエーテルジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の多官能アクリレート若しくは多官能メタクリレート類;
ポリエステルアロニックスM−6400(東亞合成社製)等のポリエステルアクリレート;アロニックスM−1200(東亞合成社製)等のウレタンアクリレート;環状ヒンダートアミン構造を有する2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルメタクリレート、ベンゾトリアゾール環を有する2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
また、ポリマーとしては、従来公知の有機樹脂、例えば、熱硬化型、湿気硬化型等の、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、シリコーン樹脂、ポリシロキサン樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等が添加されていてもよい。
バインダーの含有量は、硬化性組成物を硬化させた硬化物の重量に対して、好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは40〜60重量%になるようにする。
硬化性組成物に含有される保護膜によって被覆された微粒子は、芯粒子と、それを被覆する保護膜とからなるものである。芯粒子は、中空の粒子、多孔質の粒子、凝集した粒子であってもよいが、好ましくは中空の粒子である。
芯粒子の数平均粒子径は、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは5〜100nm、特に好ましくは15〜90nmである。該数平均粒子径が100nmを超えると、塗工厚さより微粒子の粒子径が大きくなり塗工しづらくなる。また、芯粒子の粒径分布は、狭くて、単分散であることが好ましいが、多分散粒子でもよい。従って、芯粒子は、平均粒子径の異なるものを2種以上併用することができる。また、所定の粒径を満たすならば凝集した粒子でも構わない。芯粒子は、球状のものが最も好ましいが、不定形のものであってもよい。なお、粒子径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
芯粒子として、酸化ケイ素、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム、フッ化ナトリウムなどで形成された粒子を用いることができる。これらのうち、酸化ケイ素(シリカ)で形成された中空の粒子が好適である。
芯粒子として好適に用いられる中空シリカ微粒子は、外殻によって仕切られた空洞(中空)を粒子内部に有する粒子状のシリカである。外殻は、外部と中空部とを連通する細孔を有するものであってもよいが、外部と中空部とが連通しない密閉されたものであるほうが好ましい。中空シリカ微粒子の外殻(シェル)を形成するシリカは、結晶性のものであっても、非晶性のものであってもよい。
中空シリカ微粒子の屈折率は1.20〜1.35が好ましく、1.20〜1.30がさらに好ましい。中空シリカ微粒子の屈折率は特開2002−79616号公報に記載の方法で算出することができる。
中空シリカ微粒子は、例えば、特開2001−233611号公報や特開2002−79616号公報に記載されている方法により得ることができる。
中空シリカ微粒子は、中空シリカ微粒子とバインダーとの合計量に対して好ましくは20〜50重量%含有している。20重量%未満では屈性率が高めになる傾向がある。逆に50重量%を超えると他成分との密着性が低下し、耐擦傷性が低くなる傾向がある。
芯粒子を被覆する保護膜は、微粒子のアルカリ耐性を高めることができるものであれば、その成分は特に制限されない。保護膜を構成する成分としては、例えば、シリコーンオイル、含フッ素共重合体などが挙げられる。これらのうち、シリコーンオイルが好ましく、変性シリコーンオイルがより好ましい。
シリコーンオイルとしては、変性ジメチルシリコーンオイルが好ましく、その中でも、長鎖アルキル変性ジメチルシリコーンオイル、メタクリル変性ジメチルシリコーンオイル、カルビノール変性ジメチルシリコーンオイル、及びメチルスチリル変性ジメチルシリコーンオイルが好ましいものとして挙げられる。変性の部位は、側鎖でも末端でも良い。なお、変性シリコーンオイルは単独で又は2以上を組み合わせて用いることができる。
芯粒子を被覆する保護膜の重量は、芯粒子100重量部に対して、好ましくは10〜100重量部、さらに好ましくは10〜60重量部である。保護膜の被覆量が10重量部未満であると、裸の芯粒子が残り、反射防止積層体にすべり性、耐汚染性、耐アルカリ性などが発現し難くなる。逆に100重量部を超えると保護膜成分が単独で存在するようになり、反射防止積層体の表面強度が弱くなる傾向にある。
芯粒子と保護膜との密着性を高めるためにシランカップリング剤やシリル化剤を用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシランを用いられる。シランカップリング剤の添加量としては、芯粒子100重量部に対して、0.5〜10重量部である。
シリル化剤としては、トリメチルシリルクロライド、1,1,1,3,3,3−ヘキサメチルジシラザン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフロロアセトアミド、トリメチルシリルトリフロロメタンスルホネート、トリエチルシリルクロライド、トリ−i−ブチルシリルクロライド、t−ブチルジメチルシリルクロライド、トリ−i−プロピルシリルクロライド、テキシルジメチルシリルクロライド、1,3−ジクロロ−1,1,3,3−テトラ−i−プロピルジシロキサンを用いられる。シリル化剤の添加量としては、芯粒子100重量部に対して、好ましくは0.5〜10重量部である。
保護膜で被覆された微粒子は、その製法によって特に制限されない。保護膜で被覆された微粒子は、例えば、芯粒子と、シリコーンオイルや含フッ素共重合体、必要に応じてシランカップリング剤やシリル化剤などの保護膜成分とを、混ぜて攪拌することによって得ることができる。
本発明に用いる硬化性組成物には、必要に応じて他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、光重合開始剤、溶剤、分散剤、増粘剤などが挙げられる。
光重合開始剤としては、アリールケトン系光重合開始剤(例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、アルキルアミノベンゾフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール類、ベンゾイルベンゾエート類、α−アシロキシムエステル類など);含硫黄系光重合開始剤(例えば、スルフィド類、チオキサントン類など);アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤などが挙げられる。また、光重合開始剤はアミン類などの光増感剤と組み合わせても使用できる。
光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物を構成するバインダー100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
溶剤としては、ジアセトンアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−プロピルアルコールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、キシレン、トルエン等が挙げられる。溶剤の含有量は、使用する塗工機の塗工条件(例えば、適正粘度、適正膜厚)により適宜調整すればよい。
防汚層は、濃度1重量%のNaOH水溶液に0.5時間接触した後の最小反射率が、接触前の最小反射率の好ましくは±0.05%の範囲、特に好ましくは±0.03%の範囲である。該最小反射率の差が小さくなるとヘイズや全光線透過率の悪化を防ぐことができる。
また、防汚層は、濃度1重量%のNaOH水溶液に0.5時間接触した後の水に対する接触角が好ましくは100°以上、特に好ましくは150〜100°である。水接触角が大きくなるとアルカリによる防汚層の劣化により、ヘイズが高くなる傾向が、全光線透過率が低くなる傾向がある。
防汚層は、前記硬化性組成物を透明基材上に直接またはその他の層を介して塗布し、該塗膜に熱を加え、次いで紫外線を照射してなるものである。
前記硬化性組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、バーコート法などの公知の方法が挙げられる。
本発明においては、硬化性組成物の塗布によって形成された塗膜に、熱を加え、次いで紫外線を照射する。加熱と紫外線照射との2段階の工程を経ることによって、透明基材と低屈折率性を有する防汚層との間の密着性を高くでき、反射防止性と防汚性とを向上させ、且つ耐アルカリ性を向上させた反射防止積層体を得ることができる。
加熱工程は、塗膜の周囲温度を好ましくは60〜150℃、より好ましくは80〜130℃にし、好ましくは1〜5分間、その温度に晒すことで行われる。加熱時の塗膜の周囲雰囲気は、空気などの酸素の存在する酸化性雰囲気であってもよいし、窒素パージなどを行った不活性ガス雰囲気であってもよい。
加熱は、熱風炉、近赤外線ヒータ、遠赤外線ヒータ、カーボンヒータ、熱ロールなど公知の方法で行うことができる。熱風炉で行う場合は、噴出した熱風が直接に塗膜に当たらないように、邪魔板やスリットなどで塗膜への風を遮るようにするのが好ましい。この加熱によって、微粒子と保護膜が脱水縮合反応が起こり、架橋される。
加熱工程後に行われる紫外線照射工程では、塗膜に紫外線を照射する。光源としては、高圧水銀灯、無電極ランプ等が挙げられる。紫外線の照度は、特に制限されないが、好ましくは100〜600mW、より好ましくは200〜500mWである。紫外線の照射は、積算光量として、好ましくは300〜700mJ/cm、より好ましくは400〜650mJ/cmである。紫外線照射されている塗膜の周囲雰囲気は、空気などの酸素の存在する酸化性雰囲気であってもよいし、窒素パージなどを行った不活性ガス雰囲気であってもよい。
この紫外線照射によって、バインダーが硬化し、高い強度の反射防止積層体が得られる。
以上の加熱工程及び紫外線照射工程を経て得られる防汚層は、平均厚さが、好ましくは10〜1000nm、さらに好ましくは20〜500nmである。
また、防汚層の屈折率は好ましくは1.45以下である。防汚層の屈折率が上記範囲であることにより、本発明の反射防止積層体を偏光板保護フィルムに用いると、求められる硬度及び強度を有し、密着性及び透明性にも優れたものとなる。なお、屈折率は、例えば、公知の分光エリプソメータを用いて測定して求めることができる。
本発明の反射防止積層体は、波長430〜700nmにおける入射角5度における反射率の最大値が好ましくは2.5%以下であり、より好ましくは2.0%以下である。また波長550nmにおける入射角5度での反射率が1.5%以下であることが好ましい。
本発明の反射防止積層体は、反射防止性能、表面層の物理的強度、耐汚染性に優れるので、フラットパネルディスプレイの反射防止フィルムとして有用である。より具体的には、携帯電話、デジタル情報端末、ポケットベル(登録商標)、ナビゲーションシステム、車載用液晶ディスプレイ、TV液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイ等の各種液晶表示パネルやエレクトロルミネッス表示素子あるいはタッチパネル等に用いられる反射防止フィルムとして好適である。
本発明の光学部材は、前記の反射防止積層体を含んで成るものである。光学部材としては、タッチパネルにおける反射防止フィルム、プラズマパネルディスプレイにおけるプラズマパネルディスプレイ前面板、液晶表示装置における反射防止機能付偏光板が挙げられる。なかでも、液晶表示装置における反射防止機能付偏光板が好ましい。
本発明の表示装置は前記の反射防止積層体又は前記の光学部材を備えるものである。
表示装置には、液晶表示装置、プラズマ表示装置、EL表示装置などのそれぞれに特有の部材が備わっている。例えば液晶表示装置では、冷陰極管、光拡散板、導光板、輝度向上フィルム、プリズムアレイシート、液晶セル、位相差板などが挙げられる。これらを適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。液晶セルに用いる液晶のモードも特に制限されない。本発明の表示装置は、本発明の反射防止積層体を単独でまたは前記表示装置特有の部材と組み合わせて適用して構成される。
(タッチパネル)
タッチパネルは、現在約9割が抵抗膜方式を採用している。該抵抗膜方式のタッチパネルは、透明樹脂基材の片面に酸化インジウム錫(ITO)膜等の透明導電性薄膜を被覆した入力側樹脂基材と、ガラス等の透明基材の片面にITO膜等の透明導電性薄膜を被覆した受圧側透明基材とを、各透明導電性薄膜が向き合うように、絶縁スペーサを介して、配置させた構造を一般的に有している。そして、ペンや指で入力側樹脂基材の入力面(透明導電性薄膜側とは反対側の面)を押圧すると、入力側樹脂基材の透明導電性薄膜と、受圧側透明基材の透明導電性薄膜とが接触し、情報が入力される仕組みとなっている。
本発明の反射防止積層体を前記タッチパネルの反射防止フィルムとして適用する態様としては、前記の入力側樹脂基材の入力面の上に、本発明の反射防止積層体を、透明基材が入力側樹脂基材側になり且つ防汚層が表面側になるように設ける態様と、本発明の反射防止積層体を構成する透明基材側の面(防汚層が形成されていない面)に、ITO膜等の透明導電性薄膜を形成し、それをそのままタッチパネルの入力側樹脂基材として用いる態様とがある。
(プラズマディスプレイパネルの前面板)
本発明の反射防止積層体をプラズマディスプレイパネルの前面板に適用する場合には、通常、本発明の反射防止積層体を、防汚層が形成されている側の面が視認側になるように、透明基板に積層して用いる。該透明基板は、透明な板であれば特に制限されず、例えば1mm厚で全光線透過率が80%以上、好ましくは90%以上のものを用いることができる。より具体的には、ガラス板、透明樹脂板が挙げられる。
本発明の反射防止積層体と透明基板とは、接着剤や粘着剤等の適宜な接着手段を用いて貼り合せることによって積層できる。接着剤又は粘着剤としては、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性に優れる点で、アクリル系の接着剤又は粘着剤が好ましい。
(液晶表示装置)
液晶表示装置においては、液晶セルの出射側又は入射側に偏光板が設けられている。この偏光板は、ヨウ素や有機染料等の二色性材料を染色又は吸着させたポリビニルアルコールの延伸フィルムからなる偏光子と、この偏光子の両面に貼り合せられたトリアセチルセルロース(TAC)等の保護フィルムとからなるものである。
本発明の反射防止積層体を液晶表示装置における偏光板に適用する場合には、本発明の反射防止積層体を、偏光子に貼り合わせられる一方の保護フィルムの替わりに、前記偏光子に反射防止積層体の透明基材が偏光子側になるように積層して用いる。本発明の反射防止積層体と偏光子との積層、及び偏光子と保護フィルムとの積層は、接着剤や粘着剤等の適宜な接着手段を用いて貼り合せることができる。接着剤又は粘着剤としては、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ゴム系等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性や透明性に優れる点で、アクリル系の接着剤又は粘着剤が好ましい。
なお、保護フィルムを構成する材料としては、特に制限されないが、透明性、低複屈折性、寸法安定性の観点から、セルローストリアセテート等のセルロース系樹脂、脂環式構造を有する樹脂が好ましい。なお、保護フィルムは光学等方性を有していてもよいし、光学異方性を有していても良い。光学異方性を有した保護フィルムは位相差フィルムとして用いることができる。
本発明を、実施例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
(1)耐擦傷性(スチールウール試験)
反射防止積層体の表面にスチールウール#0000を荷重0.025MPaで圧し付けた状態で、該スチールウールを反射防止積層体の表面で10往復させ擦る。擦った後の反射防止積層体の表面状態を目視で観測し以下の指標で評価した。
○:傷が認められない。
×:傷が認められる。
(2)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準じて、1kg荷重で測定した。
(3)屈折率
プリズムカプラー(MODEL2010、メトリコン社製)を用いて、波長632nmにて屈折率を測定した。
(4)耐汚染性
反射防止積層体の表面に、油性マジックで長さ10cmの線を描いた。線画の状態を目視観察した。さらに該線画をふきとるために布で擦った。擦った後の線画を目視で観察した。観察結果を以下の4段階で評価した。
◎:はじく(ふきとれる)
○:はじかないがふきとれる
△:若干ふきとれない
×:ふきとれない
(5)耐アルカリ性 −反射率−
濃度1重量%の水酸化ナトリウム水溶液2mLを反射防止積層体の最表面(防汚層が積層されている面)に滴下し、30分間放置した。水を含ませた布で滴下面をふき取り、分光光度計(紫外可視近赤外光光度計V−550、日本分光社製)を用いて、水酸化ナトリウム水溶液との接触前後の波長430〜700nmにおける入射角5度での反射率をそれぞれ測定し(測定波長間隔は1nm)、前記波長域における最大反射率、波長550nmにおける最小反射率の接触前後の差を算出した。
(6)耐アルカリ性 −水接触角−
濃度1重量%の水酸化ナトリウム水溶液2mLを反射防止積層体の最表面(防汚層が積層されている面)に滴下し、30分間放置した。水を含ませた布で滴下面をふき取り、水酸化ナトリウム水溶液との接触後の接触角を自動接触角計(協和界面化学製 DM500)にて測定した。
(高屈折率層形成用組成物)
アクリロイル基を含有するオリゴマー(日本合成化学工業社製、UV−1700B)100部に、Sb粒子(触媒化成工業社製、平均粒径30nm)100部、及び光重合開始剤(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、IRGACURE184)2部を添加し、攪拌機にて2000rpmで5分間攪拌することにより、高屈折率層形成用組成物を得た。
(微粒子1の分散体)
中空シリカ微粒子(数平均粒子径30nm、屈折率1.29)100部に、メタクリル変性ジメチルシリコーンオイル(X−22−2404、信越化学工業社製)40部を添加し、ジゾルバー混合器にて1時間攪拌して、保護膜で被覆された微粒子1の分散体を得た。
(微粒子2の分散体)
アクリロイル基含有シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業社製)10gを濃度0.1%の酢酸水溶液100gに添加し、水溶液が透明になるまで、約1時間ジゾルバー混合器にて攪拌してカップリング剤溶液を得た。
中空シリカ微粒子(数平均粒子径30nm、屈折率1.29)100部に、前記カップリング剤溶液2部(固形分)加え、ジゾルバー混合器で1時間攪拌し、メタクリル変性ジメチルシリコーンオイル(X−22−2404、信越化学工業社製)40部を添加し、ジゾルバー混合器で1時間攪拌して、保護膜で被覆された微粒子2の分散体を得た。
(微粒子3の分散体)
メタクリル変性ジメチルシリコーンオイル(X−22−2404、信越化学工業社製)40部にトリメチルシリル基含有シリル化剤(KA31、信越化学工業社製)1部を添加し、ジゾルバー混合器で1時間攪拌した。これに中空シリカ微粒子(数平均粒子径30nm、屈折率1.29)100部を添加し、ジゾルバー混合器で1時間攪拌して、保護膜で被覆された微粒子3の分散体を得た。
(微粒子4の分散体)
中空シリカ微粒子(数平均粒子径30nm、屈折率1.29)100部に、フッ素変性ジメチルシリコーンオイル(X−22−822、信越化学工業社製)40部を添加し、ジゾルバー混合器で1時間攪拌して、保護膜で被覆された微粒子4の分散体を得た。
(微粒子5の分散体)
アクリロイル基含有シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業社製)10gを酢酸濃度0.1%水溶液100gに添加し、水溶液が透明になるまで、約1時間ジゾルバー混合器にて攪拌してカップリング剤溶液を得た。
中空シリカ微粒子(数平均粒子径30nm、屈折率1.29)100部に、前記カップリング剤溶液2部(固形分)を加え、ジゾルバー混合器で1時間攪拌し、フッ素変性ジメチルシリコーンオイル(X−22−822、信越化学工業社製)40部を添加し、ジゾルバー混合器で1時間攪拌して、保護膜で被覆された微粒子5の分散体を得た。
(微粒子6の分散体)
フッ素変性ジメチルシリコーンオイル(X−22−822、信越化学工業社製)40部に、トリメチルシリル基含有シリル化剤(KA31、信越化学工業社製)1部を添加し、ジゾルバー混合器にて1時間攪拌した。これに中空シリカ微粒子(数平均粒子径30nm、屈折率1.29)100部を添加し、ジゾルバー混合器で1時間攪拌して、保護膜で被覆された微粒子6の分散体を得た。
(微粒子7の分散体)
アクリロイル基含有シランカップリング剤(KBM−5103、信越化学工業社製)10gを酢酸濃度0.1%水溶液100gに添加し、水溶液が透明になるまで、約1時間ジゾルバー混合器にて攪拌してカップリング剤溶液を得た。
中空シリカ微粒子(数平均粒子径30nm、屈折率1.29)100部に、前記カップリング剤溶液2部(固形分)を加え、ジゾルバー混合器で1時間攪拌し、フッ素樹脂(EGC−1720 3M製)40部を添加し、ジゾルバー混合器で1時間攪拌して、保護膜で被覆された微粒子7の分散体を得た。
(微粒子8の分散体)
フッ素樹脂(EGC−1720、3M社製)40部に、トリメチルシリル基含有シリル化剤(KA31、信越化学工業社製)1部を添加し、ジゾルバー混合器にて1時間攪拌した。これに中空シリカ微粒子(数平均粒子径30nm、屈折率1.29)100部を添加し、ジゾルバーにて1時間攪拌して、保護膜で被覆された微粒子8の分散体を得た。
(製造例1)
(防汚層用コーティング剤1の調製)
アクリロイル基を含有するモノマー(オプトマーKR566、旭電化工業社製)100部に、光重合開始剤(IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)2部と微粒子1の分散体70部とをそれぞれ加え、攪拌機にて2000rpmで30分間攪拌することにより、防汚層用コーティング剤1を得た。
(製造例2)
(防汚層用コーティング剤2の調製)
製造例1で用いた微粒子1の分散体を、微粒子2の分散体に替えた他は、製造例1と同様にして、防汚層用コーティング剤2を得た。
(製造例3)
(防汚層用コーティング剤3の調製)
製造例1で用いた微粒子1の分散体を、微粒子3の分散体に替えた他は、製造例1と同様にして、防汚層用コーティング剤3を得た。
(製造例4)
(防汚層用コーティング剤4の調製)
製造例1で用いた微粒子1の分散体を、微粒子4の分散体に替えた他は、製造例1と同様にして、防汚層用コーティング剤4を得た。
(製造例5)
(防汚層用コーティング剤5の調製)
製造例1で用いた微粒子1の分散体を、微粒子5の分散体に替えた他は、製造例1と同様にして、防汚層用コーティング剤5を得た。
(製造例6)
(防汚層用コーティング剤6の調製)
製造例1で用いた微粒子1の分散体を、微粒子6の分散体に替えた他は、製造例1と同様にして、防汚層用コーティング剤6を得た。
(製造例7)
(防汚層用コーティング剤7の調製)
製造例1で用いた微粒子1の分散体を、微粒子7の分散体に替えた他は、製造例1と同様にして、防汚層用コーティング剤7を得た。
(製造例8)
(防汚層用コーティング剤8の調製)
製造例1で用いた微粒子1の分散体を、微粒子8の分散体に替えた他は、製造例1と同様にして、防汚層用コーティング剤8を得た。
(製造例9)
(防汚層用コーティング剤9の調製)
製造例1で用いた微粒子1の分散体を、中空シリカ微粒子(数平均粒子径30nm、屈折率1.29)50部に替えた他は、製造例1と同様にして、防汚層用コーティング剤9を得た。
(実施例1)
透明基材として、厚さ70μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(東洋紡績社製、A4300)を用いた。この透明基材上に高屈折率層形成用組成物をバーコーターで塗布した。紫外線照射機を用いて積算光量500mJ/cmとなるように紫外線を照射し塗膜を硬化させて、透明基材/高屈折率層積層体を得た。高屈折率層は、平均厚さが2μm、屈折率が1.70であった。
次に、高屈折率層の上に、防汚層用コーティング剤1をバーコーターで塗布した。塗膜を120℃で3分間加熱し熱硬化させ、次いで紫外線照射機を用いて積算光量500mJ/cmとなるように紫外線を照射し紫外線硬化させて、透明基材/高屈折率層/防汚層からなる反射防止積層体1を得た。得られた反射防止積層体1の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
防汚層用コーティング剤1の代わりに防汚層用コーティング剤2を用いた他は実施例1と同様にして、反射防止積層体2を得た。得られた反射防止積層体2について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
防汚層用コーティング剤1の代わりに防汚層用コーティング剤3を用いた他は実施例1と同様にして、反射防止積層体3を得た。得られた反射防止積層体3について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
防汚層用コーティング剤1の代わりに防汚層用コーティング剤4を用いた他は実施例1と同様にして、反射防止積層体4を得た。得られた反射防止積層体4について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
防汚層用コーティング剤1の代わりに防汚層用コーティング剤5を用いた他は実施例1と同様にして、反射防止積層体5を得た。得られた反射防止積層体5について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。
Figure 0005157162
(実施例6)
防汚層用コーティング剤1の代わりに防汚層用コーティング剤6を用いた他は実施例1と同様にして、反射防止積層体6を得た。得られた反射防止積層体6について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例7)
防汚層用コーティング剤1の代わりに防汚層用コーティング剤7を用いた他は実施例1と同様にして、反射防止積層体7を得た。得られた反射防止積層体7について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
(実施例8)
防汚層用コーティング剤1の代わりに防汚層用コーティング剤8を用いた他は実施例1と同様にして、反射防止積層体8を得た。得られた反射防止積層体8について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例1)
透明基材として、厚さ70μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(A4300、東洋紡績社製)を用いた。この透明基材上に高屈折率層形成用組成物をバーコーターで塗布した。紫外線照射機を用いて積算光量500mJ/cmとなるように紫外線を照射し塗膜を硬化させて、透明基材/高屈折率層積層体を得た。高屈折率層は、平均厚さが2μm、屈折率が1.70であった。
次に、高屈折率層の上に、防汚層用コーティング剤2をバーコーターで塗布し、次いで紫外線照射機を用いて積算光量500mJ/cmとなるように紫外線を照射して塗膜を硬化させ、透明基材/高屈折率層/防汚層からなる反射防止積層体12を得た。得られた反射防止積層体12の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例2)
透明基材として、厚さ70μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルム(A4300、東洋紡績社製)を用いた。この透明基材上に高屈折率層形成用組成物をバーコーターで塗布した。紫外線照射機を用いて積算光量500mJ/cmとなるように紫外線を照射し硬化させて、透明基材/高屈折率層積層体を得た。高屈折率層は、平均厚さが2μm、屈折率が1.70であった。
次に、高屈折率層の上に、防汚層用コーティング剤2をバーコーターで塗布し、得られた塗膜を120℃で3分間加熱し熱硬化させて、透明基材/高屈折率層/防汚層からなる反射防止積層体13を得た。得られた反射防止積層体13の評価を行った。評価結果を表2に示す。
(比較例3)
防汚層用コーティング剤1の代わりに防汚層用コーティング剤9を用いた他は実施例1と同様にして、反射防止積層体9を得た。得られた反射防止積層体9について、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 0005157162
表1及び表2から以下のことがわかる。
実施例に示すように本発明の反射防止積層体は、耐アルカリ性に優れており、かつ表面が十分な物理的強度を有していることがわかる。これに対して、比較例は、表面強度(耐擦傷性、鉛筆硬度)、耐汚染性、耐アルカリ性が不十分である。

Claims (7)

  1. 透明基材と、
    その上に直接またはその他の層を介して、 シリコーンオイル含む保護膜によって被覆された微粒子と、加熱及び紫外線照射によって硬化するバインダーとを含有する硬化性組成物を塗布して塗膜を形成し、該塗膜を80〜130℃で加熱した後、紫外線照射することにより、該塗膜を硬化させてなる防汚層と
    を有する反射防止積層体。
  2. 前記防汚層は、濃度1重量%のNaOH水溶液に0.5時間接触した後の最小反射率が、接触前の最小反射率の±0.05%の範囲である請求項1記載の反射防止積層体。
  3. 前記防汚層は、濃度1重量%のNaOH水溶液に0.5時間接触した後の水に対する接触角が100°以上である請求項1又は2に記載の反射防止積層体。
  4. 前記防汚層は、その屈折率が1.45以下である請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止積層体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止積層体を備える光学部材。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止積層体又は請求項5に記載の光学部材を備える表示装置。
  7. 透明基材上に直接またはその他の層を介して、
    シリコーンオイル含む保護膜によって被覆されている微粒子と、加熱及び紫外線照射によって硬化するバインダーとを含有する硬化性組成物を塗布し、
    該塗膜に80〜130℃の熱を加え、
    次いで紫外線を照射することを含む、
    防汚層を有する反射防止積層体の製造方法。

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