JP2019099098A - 車両部材の接合構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】鉄製のリベットと軽金属製の第1部材との間に生じる電食を抑制することができる車両部材の接合構造を得る。【解決手段】車両部材の接合構造としての第1接合構造S30は、軽金属製の板状のルールパネル16と、鉄製の板状のフロントヘッダ32と、ルールパネル16を貫通する軸部34Aと、ルールパネル16の表面側に残る頭部34Bとを備え、軸部34Aがフロントヘッダ32と溶接されることでルーフパネル16とフロントヘッダ32とを結合する鉄製のリベット34と、リベット34とルーフパネル16とが接する領域を水が侵入しないように覆う防水在36と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、車両部材の接合構造に関する。
下記特許文献1には、異種材の接合構造として、鉄製のリベットの軸部をアルミニウム合金材に貫通させると共に、リベットの頭部をアルミニウム合金材の表面上に残した状態で、リベットと鋼材とを溶接することで、アルミニウム合金材と鋼材とを接合する構造が開示されている。なお、アルミニウム合金製のルーフパネルと鉄製のルーフサイドレールとを非貫通型のリベットで接合すると共に、ルーフサイドレールを高張力鋼板で構成した構造として、特許文献2に記載されたものがある。
特開2010−207898号公報 特開2005−119577号公報
上記特許文献1に記載の構造では、アルミニウム合金材の表面に鉄製のリベットの頭部が露出してしまうため、車両の車外の側に設けられた部位においては、水の侵入により電食(カルバニック腐食という場合もある)が発生する可能性がある。
本発明は上記事実を考慮し、鉄製のリベットと軽金属製の第1部材との間に生じる電食を抑制することができる車両部材の接合構造を得ることが目的である。
請求項1の発明に係る車両部材の接合構造は、軽金属製の板状の第1部材と、鉄製の板状の第2部材と、前記第1部材を貫通する軸部と、前記第1部材の表面側に残る頭部とを備え、前記軸部が前記第2部材と溶接されることで前記第1部材と前記第2部材とを結合する鉄製のリベットと、前記リベットと前記第1部材とが接する領域を水が侵入しないように覆う防水部と、を有する。
請求項1記載の本発明によれば、鉄製のリベットの軸部を軽金属製の第1部材に貫通させ、リベットの頭部を第1部材の表面側に残した状態で、リベットの軸部が鉄製の第2部材に溶接されることで、第1部材と前記第2部材とが結合されている。さらに、リベットと第1部材とが接する領域が防止部で覆われているため、リベットと第1部材とが接する領域に水が侵入しにくい。このため、リベットと第1部材との間で水が介在されることで発生する電食を抑制することができる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両部材の接合構造において、前記第2部材には、高張力鋼材又は超高張力鋼材が用いられている。
請求項2記載の本発明によれば、鉄製の第2部材に高張力鋼材又は超高張力鋼材が用いられていることで、第2部材が一般鋼材の場合に比べて、第2部材の強度を確保することができる。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造において、前記第1部材は、車両の上部に車両前後方向及び車両幅方向に沿って延在されるルーフパネルであり、前記第2部材は、車両の側部に車両前後方向に沿って延在されるサイドアウタパネルであり、前記防水部は、前記リベットと前記ルーフパネルとが接する車外側の領域を覆うシーラである。
請求項3記載の本発明によれば、軽金属製のルーフパネルに鉄製のリベットの軸部を貫通させ、リベットの軸部が鉄製のサイドアウタパネルに溶接されることで、ルーフパネルとサイドアウタパネルとが結合されている。さらに、リベットとルーフパネルとが接する車外側の領域がシーラで覆われている。これにより、ルーフパネルとサイドアウタパネルとのリベットによる接合部の電食を抑制することができる。
請求項4の発明は、請求項3に記載の車両部材の接合構造において、前記ルーフパネル及び前記サイドアウタパネルの少なくとも一方には、前記リベットの前記頭部の側に車両前後方向を長手方向とした棚形状部が形成されている。
請求項4記載の本発明では、ルーフパネル及びサイドアウタパネルの少なくとも一方には、リベットの頭部の側に車両前後方向を長手方向とした棚形状部が形成されており、シーラを吐出するシーラノズルを棚形状部と接触させることによって、シーラノズルがガイドされる。これにより、シーラの塗布性が向上する。
請求項5の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造において、前記第1部材は、車両の上部に車両前後方向及び車両幅方向に沿って延在されるルーフパネルであり、前記第2部材は、前記ルーフパネルの車両前後方向の前端部の下側に車両幅方向に沿って延在されるフロントヘッダである。
請求項5記載の本発明では、軽金属製のルーフパネルに鉄製のリベットの軸部を貫通させ、リベットの軸部が鉄製のフロントヘッダに溶接されることで、ルーフパネルとフロントヘッダとが結合されている。さらに、リベットとルーフパネルとが接する領域を、水が侵入しないように覆う防水部が設けられている。これにより、ルーフパネルとフロントヘッダとのリベットによる接合部の電食を抑制することができる。
請求項6の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造において、前記第1部材は、車両の上部に車両前後方向及び車両幅方向に沿って延在されるルーフパネルであり、前記第2部材は、前記ルーフパネルの車両前後方向の後端部の下側に車両幅方向に沿って延在されるバックウインドフレームである。
請求項6記載の本発明では、軽金属製のルーフパネルに鉄製のリベットの軸部を貫通させ、リベットの軸部が鉄製のバックウインドフレームに溶接されることで、ルーフパネルとバックウインドフレームとが結合されている。さらに、リベットとルーフパネルとが接する領域を、水が侵入しないように覆う防水部が設けられている。これにより、ルーフパネルとバックウインドフレームとのリベットによる接合部の電食を抑制することができる。
請求項7の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造において、前記第1部材は、車両の後部に設けられる三角窓の縁部に配置され、車両前後方向に沿って延在されるサイドアウタパネルであり、前記第2部材は、前記サイドアウタパネルの車両内側に車両前後方向に沿って延在されるルーフサイドアウタである。
請求項7記載の本発明では、軽金属製のサイドアウタパネルに鉄製のリベットの軸部を貫通させ、リベットの軸部が鉄製のルーフサイドアウタに溶接されることで、サイドアウタパネルとルーフサイドアウタとが結合されている。さらに、リベットとサイドアウタパネルとが接する領域を、水が侵入しないように覆う防水部が設けられている。これにより、サイドアウタパネルとルーフサイドアウタとのリベットによる接合部の電食を抑制することができる。
請求項8の発明は、請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の車両部材の接合構造において、前記防水部は、前記リベットと前記第1部材とが接する領域の少なくとも一部を覆う位置に取り付けられた防水材である。
請求項8記載の本発明では、防水材が、リベットと第1部材とが接する領域の少なくとも一部を覆う位置に取り付けられており、リベットと第1部材とが接する領域の防水材による防水が容易となる。
請求項9の発明は、請求項8に記載の車両部材の接合構造において、前記リベットの車両上下方向の上側を含む位置から車両前後方向外側に向かってウインドウガラスが配置されており、前記防水材は、前記リベットの車両前後方向外側端部よりも車両前後方向内側に配置されると共に、前記ウインドウガラスと前記第1部材との間をシールする構成とされている。
請求項9記載の本発明では、防水材は、リベットの車両前後方向外側端部よりも車両前後方向内側に配置されると共に、ウインドウガラスと第1部材との間をシールする構成とされている。すなわち、ウインドウガラスと第1部材との間におけるリベットよりも水の浸入側に防水材が配置されることで、防水材の量を削減すると共に電食を抑制することができる。
請求項10の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造において、前記第1部材は、車両の側部に車両前後方向に沿って延在されるサイドアウタパネルであり、前記第2部材は、前記サイドアウタパネルの車両上下方向下側に車両前後方向に沿って延在されるルーフサイドレールアウタであり、前記防水部は、軽金属製のルーフパネルと前記サイドアウタパネルとを接触させた接触部が車両前後方向に沿って接合部で接合されることで構成されている。
請求項10記載の本発明では、防水部は、軽金属製のルーフパネルと軽金属製のサイドアウタパネルとを接触させた接触部が車両前後方向に沿って接合部で接合されることで構成されている。これにより、リベットとサイドアウタパネルとが接する領域への水の侵入が防水部によって抑制され、電食が抑制される。
本発明に係る車両部材の接合構造によれば、鉄製のリベットと軽金属製の第1部材との間に生じる電食を抑制することができる。
第1実施形態に係る車両部材の接合構造が適用される車両の上部側を示す斜視図である。 第1実施形態に係る車両部材の接合構造に用いられるルーフパネルとフロントヘッダとの接合部を示す断面図(図1中の2A−2A線に沿った断面図)である。 第1実施形態に係る車両部材の接合構造に用いられるルーフパネルとバックウインドフレームとの接合部を示す断面図(図1中の3A−3A線に沿った断面図)である。 第1実施形態に係る車両部材の接合構造に用いられるルーフパネルとサイドアウタとの接合部を示す断面図(図1中の4A−4A線に沿った断面図)である。 図4に示すルーフパネルとサイドアウタとの接合部に、ルーフパネルの棚形状部に接触させたシーラノズルによりシーラを塗布する状態を示す断面図である。 第1実施形態に係る車両部材の接合構造に用いられるリベットの軸部とフロントヘッダとを溶接によって接合する状態を示す断面図である。 第2実施形態に係る車両部材の接合構造に用いられるサイドアウタとルーフサイドレールとの接合部及び防水部を示す断面図である。 第3実施形態に係る車両部材の接合構造に用いられるサイドアウタとルーフサイドレールとの接合部及び防水部を示す断面図である。 第4実施形態に係る車両部材の接合構造が適用される車両を示す概略斜視図である。 第4実施形態に係る車両部材の接合構造に用いられるサイメンアウタとルーフサイドレールとの接合部を示す断面図(図9中の10A−10A線に沿った断面図)である。 比較例に係る車両部材の接合構造に用いられるルーフパネルとルーフサイドレールとを非貫通型リベットで接合した状態を示す断面図である。
本発明の実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは車両前方側を示しており、矢印UPは車両上方側を示しており、矢印OUTは車両幅方向外側を示している。
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図6を用いて、第1実施形態に係る車両部材の接合構造について説明する。
図1には、第1実施形態の車両部材の接合構造が適用された車両10の上部12の側が斜視図にて示されている。図1に示されるように、車両10の上部12の車両幅方向の外側端部には、略車両前後方向に延在されるルーフサイドレール14が設けられている。図1では、車両後方側からみて車両幅方向右側の側部は見えないが、ルーフサイドレール14は、車両幅方向両端部に左右一対で設けられている。車両10の上部12には、左右一対のルーフサイドレール14の間に架け渡されるルーフパネル16が設けられている。ルーフパネル16は、略車両幅方向及び略車両前後方向に延在されている。本実施形態では、ルーフパネル16は、車両前後方向の中間部が車両前後方向の両端部よりも上側に突出するような湾曲形状とされている。
左右一対のルーフサイドレール14の車両前後方向の前端部は、フロントピラー18の上端部に結合されている。なお、図1では、車両後方側からみて車両幅方向右側のフロントピラーは見えない。ルーフパネル16の車両前方側には、左右一対のフロントピラー18の間にウインドウガラスとしてのウインドシールドガラス20が設けられている。車両10の上部12におけるルーフパネル16の前端部の車両上下方向下側(車両内側)には、左右一対のルーフサイドレール14同士を繋ぐフロントヘッダ32(図2参照)が設けられている。
また、左右一対のルーフサイドレール14の車両前後方向の後端部は、リアピラー22の上端部に結合されている。なお、図1では、車両後方側からみて車両幅方向右側のリアピラーは見えない。ルーフパネル16の車両後方側には、左右一対のリアピラー22の間にウインドウガラスとしてのバックウインドウガラス24が設けられている。車両10の上部12におけるルーフパネル16の後端部の車両上下方向下側(車両内側)には、左右一対のルーフサイドレール14同士を繋ぐバックウインドフレーム42(図3参照)が設けられている。
図2には、車両部材の接合構造としての第1接合構造S30が断面図(図1中の2A−2A線に沿った断面図)にて示されている。図2に示されるように、ルーフパネル16は、略車両幅方向及び略車両前後方向に延在されると共に面積の大きい部位からなる一般部16Aを備えている。また、ルーフパネル16は、一般部16Aの車両前後方向の前端部から略車両下方側に延びた縦壁部16Bと、縦壁部16Bの下端部から略車両前方側に延びたフランジ部16Cと、を備えている。ルーフパネル16は、アルミニウム合金、マグネシウム合金などからなる軽金属製とされている。本実施形態では、ルーフパネル16は、アルミニウム合金で形成されている。ここで、ルーフパネル16は、板状の第1部材の一例である。
フロントヘッダ32は、略車両幅方向及び略車両前後方向に配置された横壁部32Aと、横壁部32Aの車両前後方向の前端部から略車両上方側に延びた縦壁部32Bと、縦壁部32Bの上端部から略車両前方側に延びたフランジ部32Cと、を備えている。ルーフパネル16のフランジ部16Cは、フロントヘッダ32のフランジ部32Cの上面に重ね合わされている。フロントヘッダ32は、鉄製とされている。本実施形態では、フロントヘッダ32は、高張力鋼板(High Tensile Strength Steel Sheets)、又は超高張力鋼板であるホットスタンプ材(HS材)で形成されている。ここで、フロントヘッダ32は、板状の第2部材の一例である。また、この実施形態(自動車用途)における高張力鋼板とは、例えば引張強さ(公称、以下同じ)が350MPa以上の自動車用鋼板をいい、引張強さが590MPa以上のものを超高張力鋼板という場合もある。
第1接合構造S30は、ルーフパネル16のフランジ部16Cとフロントヘッダ32のフランジ部32Cとを結合する鉄製のリベット34を備えている。リベット34は、軸部34Aと頭部34Bとを備えている。リベット34の軸部34Aは、ルーフパネル16のフランジ部16Cに貫通されており、リベット34の頭部34Bは、フランジ部16Cの表面側(本実施形態では上面側)に残っている。そして、鉄製のリベット34の軸部34Aと鉄製のフロントヘッダ32のフランジ部32Cとが溶接されることで、ルーフパネル16のフランジ部16Cとフロントヘッダ32のフランジ部32Cとが結合されている。すなわち、ルーフパネル16のフランジ部16Cがリベット34の頭部34Bとフロントヘッダ32のフランジ部32Cに挟まれることで、フランジ部16Cとフランジ部32Cとが結合されている。本実施形態では、リベット34の軸部34Aとフロントヘッダ32のフランジ部32Cとはスポット溶接により接合されている。
ここで、リベット34による接合方法について説明する。例えば、ルーフパネル16のフランジ部16Cにリベット34の軸部34Aをプレス機などで打ち込む。なお、ルーフパネル16のフランジ部16Cに予め貫通孔を開けておいてもよい。さらに、リベット34の軸部34Aの先端部及びルーフパネル16のフランジ部16Cにフロントヘッダ32のフランジ部32Cを接触させる。そして、図6に示されるように、リベット34の頭部34Bに一方のスポット溶接電極チップ180を当てると共に、フランジ部32Cに他方のスポット溶接電極チップ182を当てる。この状態で、スポット溶接電極チップ180とスポット溶接電極チップ182に電流を流すことで、リベット34の軸部34Aの先端部とフランジ部32Cの一部に跨って溶接ナゲット35が形成され、リベット34の軸部34Aとフランジ部32Cとが接合される。
図2に示されるように、第1接合構造S30は、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Cとが接する領域を水が侵入しないように覆う防水材36を備えている。防水材36は、防水部の一例であり、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Cとが接する領域の少なくとも一部を覆う位置に取り付けられている。
第1接合構造S30では、リベット34の車両上下方向の上側を含む位置から車両前後方向外側(本実施形態では、車両前後方向前側)に向かってウインドシールドガラス20が配置されている。防水材36は、リベット34の車両前後方向外側端部(本実施形態では、車両前後方向前側端部)よりも車両前後方向内側(車両前後方向後側)に配置されると共に、ウインドシールドガラス20とルーフパネル16のフランジ部16Cとに接するように配置されている。ここで、ウインドシールドガラス20は、ウインドウガラスの一例である。本実施形態では、防水材36は、ウインドシールドガラス20の下面と、ルーフパネル16のフランジ部16Cの上面及びリベット34の頭部34Bとの間に配置されている。
防水材36の上面36Aは、ウインドシールドガラス20の下面に接着剤(図示省略)により接着されている。また、防水材36の車両前後方向後側の下面36Bは、ルーフパネル16のフランジ部16Cの上面に接着剤(図示省略)により接着されている。さらに、防水材36の下面36Bの車両前後方向前側には、リベット34の頭部34Bに沿って角部側が切り欠かれた切欠き部36Cが形成されており、切欠き部36Cがリベット34の頭部34Bと接触している。言い換えると、リベット34は、ウインドシールドガラス20の防水材36の下面36Bとルーフパネル16のフランジ部16Cとの接着部より車両10の室内側に配置されている。本実施形態では、防水材36としては、ポリウレタン等の発泡樹脂からなるシール材が用いられている。
例えば、防水材36は、上面36Aがウインドシールドガラス20の下面に接着された状態で、ウインドシールドガラス20をルーフパネル16のフランジ部16Cに組み付けることで、防水材36の下面36Bがルーフパネル16のフランジ部16Cに接着されるようになっている。
また、ウインドシールドガラス20の後部側とルーフパネル16の縦壁部16B及びフランジ部16Cとの間には、モール38が取り付けられている。モール38は、本体部38Aがウインドシールドガラス20とルーフパネル16のフランジ部16Cとの間に配置されると共に、モール38の2つのリップ38B、38Cがウインドシールドガラス20の端面とルーフパネル16の縦壁部16Bにそれぞれ接触している。
図3には、車両部材の接合構造としての第2接合構造S40が断面図(図1中の3A−3A線に沿った断面図)にて示されている。図3に示されるように、ルーフパネル16は、一般部16Aと、一般部16Aの車両前後方向の後端部から略車両下方側に延びた縦壁部16Dと、縦壁部16Dの下端部から略車両後方側に延びたフランジ部16Eと、を備えている。前述のように、ルーフパネル16は、アルミニウム合金で形成されており、板状の第1部材の一例である。
バックウインドフレーム42は、略車両幅方向及び略車両前後方向に配置された横壁部42Aと、横壁部42Aの車両前後方向の後端部から略車両上方側及び車両後方側に向かって斜め方向に延びた傾斜部42Bと、傾斜部42Bの上端部から略車両後方側に延びたフランジ部42Cと、を備えている。ルーフパネル16のフランジ部16Eは、バックウインドフレーム42のフランジ部42Cの上面に重ね合わされている。バックウインドフレーム42は、鉄製とされている。本実施形態では、バックウインドフレーム42は、高張力鋼材又はホットスタンプ材で形成されている。ここで、バックウインドフレーム42は、板状の第2部材の一例である。
第2接合構造S40は、ルーフパネル16のフランジ部16Eとバックウインドフレーム42のフランジ部42Cとを結合する鉄製のリベット34を備えている。リベット34の軸部34Aは、ルーフパネル16のフランジ部16Eに貫通されており、リベット34の頭部34Bは、フランジ部16Eの表面側(本実施形態では上面側)に残っている。そして、鉄製のリベット34の軸部34Aと鉄製のバックウインドフレーム42のフランジ部42Cとが溶接されることで、ルーフパネル16のフランジ部16Eとフロントヘッダ32のフランジ部32Cとが結合されている。本実施形態では、リベット34の軸部34Aとバックウインドフレーム42のフランジ部42Cとは、スポット溶接(図6参照)により接合されている。
第2接合構造S40は、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Eとが接する領域を水が侵入しないように覆う防水材44を備えている。防水材44は、防水部の一例であり、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Eとが接する領域の少なくとも一部を覆う位置に取り付けられている。
第2接合構造S40では、リベット34の車両上下方向の上側を含む位置から車両前後方向外側(本実施形態では、車両前後方向後側)に向かってウインドウガラスとしてのバックウインドウガラス24が配置されている。防水材44は、リベット34の車両前後方向外側端部(本実施形態では、車両前後方向後側端部)よりも車両前後方向内側(車両前後方向前側)に配置されると共に、バックウインドウガラス24とルーフパネル16のフランジ部16Eとに接するように配置されている。本実施形態では、防水材44は、バックウインドウガラス24の下面と、ルーフパネル16のフランジ部16Eの上面及びリベット34の頭部34Bとの間に配置されている。
防水材44の上面44Aは、バックウインドウガラス24の下面に接着剤(図示省略)により接着されている。また、防水材44の車両前後方向前側の下面44Bは、ルーフパネル16のフランジ部16Eの上面に接着剤(図示省略)により接着されている。さらに、防水材44の下面44Bの車両前後方向後側には、リベット34の頭部34Bに沿って角部側が切り欠かれた切欠き部44Cが形成されており、切欠き部44Cがリベット34の頭部34Bと接触している。言い換えると、リベット34は、バックウインドウガラス24の防水材44の下面44Bとルーフパネル16のフランジ部16Eとの接着部より車両10の室内側に配置されている。本実施形態では、防水材44としては、ポリウレタン等の発泡樹脂からなるシール材が用いられている。
また、バックウインドウガラス24の下面には、防水材44よりもウインドシールドガラス20の端面の側に、ゴム製のダム46が設けられている。ダム46の上面は、ウインドシールドガラス20の下面に接着等により取り付けられている。ダム46は、防水材44がウインドシールドガラス20の端面とルーフパネル16の縦壁部16Dとの間に押し出されるのを防止するようになっている。
図4には、車両部材の接合構造としての第3接合構造S50が断面図(図1中の4A−4A線に沿った断面図)にて示されている。図4に示されるように、ルーフパネル16は、一般部16Aと、一般部16Aの車両幅方向の外側端部から略車両下方側に配置された縦壁部16Fと、縦壁部16Fの途中で車両幅方向外側に棚状に突出する棚形状部52と、を備えている。さらに、ルーフパネル16は、棚形状部52の下端部から略車両幅方向外側に延びたフランジ部16Gと、を備えている。棚形状部52は、図4に示す断面視にて略逆L字状に形成されている。前述のように、ルーフパネル16は、アルミニウム合金で形成されており、板状の第1部材の一例である。
第3接合構造S50は、ルーフパネル16の車両幅方向外側で、車両外側(本実施形態では、車両上下方向の上側)に配置されるサイドアウタパネルとしてのサイドアウタ54を備えている。また、第3接合構造S50は、サイドアウタ54の車両内側(本実施形態では、車両上下方向の下側)に配置されるルーフサイドレールアウタ56と、ルーフサイドレールアウタ56の車両内側(本実施形態では、車両上下方向の下側)に配置されるルーフサイドレールインナ58と、を備えている。第3接合構造S50では、サイドアウタ54と、ルーフサイドレールアウタ56と、ルーフサイドレールインナ58とでルーフサイドレール14(図1参照)が構成されている。
サイドアウタ54は、車両上部から車両幅方向外側及び車両下方側に向かって湾曲形状に配置された湾曲部54Aと、湾曲部54Aの車両幅方向内側端部から車両幅方向内側及び車両下方側に向かって斜め方向に延びた傾斜部54Bと、を備えている。また、サイドアウタ54は、傾斜部54Bの下端部から略車両幅方向内側に棚状に突出する棚形状部60と、棚形状部60の下端部から略車両幅方向内側に延びたフランジ部54Cと、を備えている。棚形状部60は、図4に示す断面視にて略逆L字状に形成されている。ルーフパネル16のフランジ部16Gは、サイドアウタ54のフランジ部54Cの上面に重ね合わされている。
サイドアウタ54は、鉄製とされている。本実施形態では、サイドアウタ54は、高張力鋼材又はホットスタンプ材で形成されている。ここで、サイドアウタ54は、板状の第2部材の一例である。
ルーフサイドレールアウタ56は、凸状に突出する突出部56Aと、突出部56Aの車両幅方向内側端部から略車両幅方向内側に延びたフランジ部56Bと、を備えている。サイドアウタ54のフランジ部54Cは、ルーフサイドレールアウタ56のフランジ部56Bの上面に重ね合わされている。ルーフサイドレールアウタ56は、鉄製とされている。
ルーフサイドレールインナ58は、略車両上下方向に沿って配置された壁部58Aと、壁部58Aの上端部から略車両幅方向内側に延びたフランジ部58Bと、を備えている。ルーフサイドレールアウタ56のフランジ部56Bは、ルーフサイドレールインナ58のフランジ部58Bの上面に重ね合わされている。ルーフサイドレールインナ58は、鉄製とされている。
第3接合構造S50は、ルーフパネル16のフランジ部16Gとサイドアウタ54のフランジ部54Cとを結合する鉄製のリベット34を備えている。リベット34の軸部34Aは、ルーフパネル16のフランジ部16Gに貫通されており、リベット34の頭部34Bは、フランジ部16Gの表面側(本実施形態では上面側)に残っている。そして、鉄製のリベット34の軸部34Aと鉄製のサイドアウタ54のフランジ部54Cとが溶接されることで、ルーフパネル16のフランジ部16Gとサイドアウタ54のフランジ部54Cとが結合されている。本実施形態では、リベット34の軸部34Aとサイドアウタ54のフランジ部54Cとは、スポット溶接(図6参照)により接合されている。また、リベット34の軸部34Aは、サイドアウタ54のフランジ部54Cとルーフサイドレールアウタ56のフランジ部56Bとルーフサイドレールインナ58のフランジ部58Bとを3枚重ねにした状態で、これらがスポット溶接により接合されている。
第3接合構造S50は、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Gとが接する領域を水が侵入しないように覆うシーラ62を備えている。シーラ62は、防水部の一例であり、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Gとが接する車外側の領域を覆うように配置されている。本実施形態では、シーラ62は、ルーフパネル16のフランジ部16Gに接触するリベット34の頭部34Bの全体を覆うと共に、ルーフパネル16のフランジ部16Gの端面とサイドアウタ54のフランジ部54Cとが接触する領域を略車両前後方向に覆うように配置されている。
ルーフパネル16の棚形状部52は、リベット34の頭部34Bの側に略車両前後方向を長手方向として形成されている。また、サイドアウタ54の棚形状部60は、ルーフパネル16の棚形状部52の突出方向と逆方向に突出しており、リベット34の頭部34Bの側に略車両前後方向を長手方向として形成されている。
図5に示されるように、シーラ62を塗布する際には、ルーフパネル16の棚形状部52又はサイドアウタ54の棚形状部60のいずれか一方に、シーラ62を吐出するシーラノズル70の側部を接触させる。図5では、一例として、ルーフパネル16の棚形状部52にシーラノズル70の側部を接触させる。シーラノズル70は、リベット34の頭部34Bと対向する位置に、シーラ62(図4参照)を吐出するノズル70Aが設けられている。また、シーラノズル70の側部には、ノズル70Aとルーフパネル16のフランジ部16Gとを所定の間隔で保持する保持棒70Bが突出している。シーラノズル70は、側部をルーフパネル16の棚形状部52に接触させ、保持棒70Bの先端をルーフパネル16のフランジ部16Gに接触させた状態で、シーラ62を塗布しながら略車両前後方向に移動させる。これにより、シーラノズル70は、ルーフパネル16の棚形状部52にガイドされた状態で、所定の位置にシーラ62(図4参照)を塗布するようになっている。
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
図2に示されるように、第1接合構造S30では、軽金属製の板状のルーフパネル16のフランジ部16Cと、鉄製の板状のフロントヘッダ32のフランジ部32Cとが設けられている。また、鉄製のリベット34には、ルーフパネル16のフランジ部16Cを貫通する軸部34Aと、ルーフパネル16のフランジ部16Cの表面側に残る頭部34Bとが設けられている。そして、リベット34の軸部34Aがフロントヘッダ32のフランジ部32Cと溶接されることで、ルーフパネル16のフランジ部16Cとフロントヘッダ32のフランジ部32Cとが結合されている。さらに、第1接合構造S30には、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Cとが接する領域を水が浸入しないように覆う防水材36が設けられている。したがって、防水材36により、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Cとが接する領域に水が侵入しにくい。このため、ルーフパネル16とフロントヘッダ32とのリベット34による接合部の電食、すなわち、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Cとの間で水が介在されることで発生する電食を抑制することができる。
また、図3に示されるように、第2接合構造S40では、軽金属製の板状のルーフパネル16のフランジ部16Eと、鉄製の板状のバックウインドフレーム42のフランジ部42Cとが設けられている。また、鉄製のリベット34には、ルーフパネル16のフランジ部16Eを貫通する軸部34Aと、ルーフパネル16のフランジ部16Eの表面側に残る頭部34Bとが設けられている。そして、リベット34の軸部34Aがバックウインドフレーム42のフランジ部42Cと溶接されることで、ルーフパネル16のフランジ部16Eとバックウインドフレーム42のフランジ部42Cとが結合されている。さらに、第2接合構造S40には、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Eとが接する領域を水が侵入しないように覆う防水材44が設けられている。したがって、防水材44により、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Eとが接する領域に水が侵入しにくい。このため、ルーフパネル16とバックウインドフレーム42とのリベット34による接合部の電食、すなわち、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Eとの間で水が介在されることで発生する電食を抑制することができる。
また、図4に示されるように、第3接合構造S50では、軽金属製の板状のルーフパネル16のフランジ部16Gと、鉄製の板状のサイドアウタ54のフランジ部54Cとが設けられている。また、鉄製のリベット34には、ルーフパネル16のフランジ部16Gを貫通する軸部34Aと、ルーフパネル16のフランジ部16Gの表面側に残る頭部34Bとが設けられている。そして、リベット34の軸部34Aがサイドアウタ54のフランジ部54Cと溶接されることで、ルーフパネル16のフランジ部16Gとサイドアウタ54のフランジ部54Cとが結合されている。さらに、第3接合構造S50には、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Gとが接する領域を水が侵入しないように覆うシーラ62が設けられている。したがって、シーラ62により、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Gとが接する領域に水が侵入しにくい。このため、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Gとの間で水が介在されることで発生する電食を抑制することができる。
また、第3接合構造S50では、リベット34の頭部34Bとルーフパネル16のフランジ部16Gとが接する車外側の領域がシーラ62で覆われている。これにより、ルーフパネル16とサイドアウタ54とのリベット34による接合部の電食を抑制することができる。また、ルーフパネル16のフランジ部16Gの端面とサイドアウタ54のフランジ部54Cとが接する領域がシーラ62で覆われていることで、ルーフパネル16のフランジ部16Gの端面とサイドアウタ54のフランジ部54Cとの間の電食も抑制することができる。
第1接合構造S30では、フロントヘッダ32には、高張力鋼材又はホットスタンプ材が用いられている。これにより、第1接合構造S30では、フロンドヘッダが一般鋼材の場合に比べて、フロントヘッダ32の強度を確保することができる。また、第2接合構造S40では、バックウインドフレーム42には、高張力鋼材又はホットスタンプ材が用いられている。これにより、第2接合構造S40では、バックウインドフレームが一般鋼材の場合に比べて、バックウインドフレーム42の強度を確保することができる。さらに、第3接合構造S50では、サイドアウタ54には、高張力鋼材又はホットスタンプ材が用いられている。これにより、第3接合構造S50では、サイドアウタが一般鋼材の場合に比べて、サイドアウタ54の強度を確保することができる。
また、第3接合構造S50では、ルーフパネル16及びサイドアウタ54の少なくとも一方には、リベット34の頭部34Bの側に略車両前後方向を長手方向とした棚形状部52、60が形成されている。これにより、シーラノズル70の側部が棚形状部52又は棚形状部60と接触させることによってガイドされる。これにより、シーラ62の塗布性が向上する。
また、第1接合構造S30では、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Cとが接する領域の少なくとも一部を覆う位置に、防水材36が取り付けられている。これにより、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Cとが接する領域の防水が容易となる。また、第2接合構造S40では、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Eとが接する領域の少なくとも一部を覆う位置に、防水材44が取り付けられている。これにより、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Cとが接する領域の防水が容易となる。
また、第1接合構造S30では、リベット34の車両上下方向の上側を含む位置から車両前後方向外側(本実施形態では、車両前後方向前側)に向かってウインドシールドガラス20が配置されている。防水材36は、リベット34の車両前後方向外側端部(本実施形態では、車両前後方向前側端部)よりも車両前後方向内側(車両前後方向後側)に配置されると共に、ウインドシールドガラス20とルーフパネル16のフランジ部16Cとに接するように配置されている。すなわち、第1接合構造S30では、ウインドシールドガラス20とルーフパネル16のフランジ部16Cとの間におけるリベット34よりも水の浸入側に防水材36が配置されることで、防水材36の量を削減すると共に電食を抑制することができる。
さらに、第2接合構造S40では、リベット34の車両上下方向の上側を含む位置から車両前後方向外側(例えば、車両前後方向後側)に向かってバックウインドウガラス24が配置されている。防水材44は、リベット34の車両前後方向外側端部(例えば、車両前後方向後側端部)よりも車両前後方向内側(例えば、車両前後方向前側)に配置されると共に、バックウインドウガラス24とルーフパネル16のフランジ部16Eとに接するように配置されている。すなわち、第2接合構造S40では、バックウインドウガラス24とルーフパネル16のフランジ部16Eとの間におけるリベット34よりも水の浸入側に防水材44が配置されることで、防水材44の量を削減すると共に電食を抑制することができる。
図11には、比較例の車両部材の接合構造S200が断面図にて示されている。
図11に示されるように、車両部材の接合構造S200では、アルミニウム合金製のルーフパネル202と、ルーフパネル202に接触する鋼板製のルーフサイドレールアウタ204と、ルーフサイドレールアウタ204に接触する鋼板製のルーフサイドレールインナ206と、を備えている。ルーフサイドレールアウタ204とルーフサイドレールインナ206には、ホットスタンプ材が用いられている。
また、車両部材の接合構造S200では、ルーフパネル202とルーフサイドレールアウタ204とルーフサイドレールインナ206とを接合する非貫通型リベットとしてのセルフピアスリベット(SPR)208が設けられている。ルーフパネル202とルーフサイドレールアウタ204をセルフピアスリベット208で打ち抜くことで、セルフピアスリベット208の軸部208Aをルーフパネル202とルーフサイドレールアウタ204に貫通させる。さらに、セルフピアスリベット208の軸部208Aの先端の爪部208Cをルーフサイドレールインナ206が塑性変形した部分に引っ掛ける。また、セルフピアスリベット208の頭部208Bは、ルーフパネル202の表面側に残ることで、頭部208Bと爪部208Cにより、ルーフパネル202とルーフサイドレールアウタ204とルーフサイドレールインナ206とが接合されている。
この車両部材の接合構造S200では、ホットスタンプ材で形成されたルーフサイドレールアウタ204をセルフピアスリベット208で打ち抜くため、ルーフサイドレールアウタ204の打ち抜き端面に割れ、亀裂が発生する場合がある。骨格部材を構成するルーフサイドレールアウタ204をセルフピアスリベット208で打ち抜くと、接合部の強度が低下する可能性がある。
また、ルーフサイドレールインナ206が薄板の場合は、セルフピアスリベット208がルーフサイドレールインナ206を貫通する可能性がある。このため、例えば、ルーフサイドレールインナ206の板厚を厚くする対策が考えられるが、板厚を厚くすると質量が増加するという問題がある。
これに対して、第1接合構造S30、第2接合構造S40、及び第3接合構造S50では、リベット34の軸部34Aは、アルミニウム合金製のルーフパネル16を貫通し、鉄製のフロントヘッダ32、バックウインドフレーム42、サイドアウタ54を貫通しない。このため、フロントヘッダ32、バックウインドフレーム42、及びサイドアウタ54に高張力鋼板又はホットスタンプ材を用いた場合でも、リベット34による接合部の強度の低下を抑制することができる。また、リベット34の軸部34Aが鉄製のフロントヘッダ32、バックウインドフレーム42、サイドアウタ54を貫通しないため、フロントヘッダ32、バックウインドフレーム42、サイドアウタ54の板厚を車両性能上必要な最低の板厚とすることができ、軽量化が可能となる。
〔第2実施形態〕
次に、図7を用いて、第2実施形態の車両部材の接合構造について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図7には、第2実施形態の車両部材の接合構造としての第4接合構造S100が断面図にて示されている。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ第1接合構造S30(図2参照)と第2接合構造S40(図3参照)とが設けられており、これらについては説明を省略する。図7に示されるように、第4接合構造S100は、軽金属製のサイドアウタパネルとしてのサイドアウタ104と、鉄製のルーフサイドレールアウタ56と、鉄製のルーフサイドレールインナ58と、を備えている。サイドアウタ104は、例えば、アルミニウム合金で形成されており、板状の第1部材の一例である。ルーフサイドレールアウタ56は、高張力鋼材又はホットスタンプ材で形成されており、板状の第2部材の一例である。さらに、第4接合構造S100は、軽金属製のルーフパネル102を備えている。本実施形態では、ルーフパネル102は、アルミニウム合金製とされている。
サイドアウタ104は、ルーフパネル102の車両幅方向外側に配置されている。また、ルーフサイドレールアウタ56は、サイドアウタ104の車両内側(本実施形態では、車両上下方向の下側)に配置されている。また、ルーフサイドレールインナ58は、ルーフサイドレールアウタ56の車両内側(本実施形態では、車両上下方向の下側)に配置されている。
サイドアウタ104は、車両幅方向斜め外側に向かって突出する突出部104Aと、突出部104Aの車両幅方向内側端部から車両幅方向内側及び車両下方側に向かって斜め方向に延びた傾斜部104Bと、を備えている。また、サイドアウタ104は、傾斜部104Bの下端部から略車両下方斜め外側に配置された壁部104Cと、壁部104Cの下端部から略車両幅方向内側に延びたフランジ部104Dと、を備えている。
第4接合構造S100では、リベット34の軸部34Aが、サイドアウタ104のフランジ部104Dに貫通されており、リベット34の頭部34Bは、フランジ部104Dの表面側(本実施形態では上面側)に残っている。そして、鉄製のリベット34の軸部34Aと鉄製のルーフサイドレールアウタ56のフランジ部56Bとがスポット溶接等により溶接されることで、サイドアウタ104のフランジ部104Dとルーフサイドレールアウタ56のフランジ部56Bとが結合されている。本実施形態では、ルーフサイドレールアウタ56のフランジ部56Bとルーフサイドレールインナ58のフランジ部58Bとが二枚重ねで溶接されている。
ルーフパネル102は、略車両前後方向及び略車両幅方向に延在される一般部102Aを備えている。また、ルーフパネル102は、一般部102Aの車両幅方向の外側端部から車両幅方向内側の斜め下方側に角部102Cを介して屈曲されると共にサイドアウタ104の傾斜部104Bに接触される屈曲部102Bを備えている。ここで、角部102Cは、接触部の一例である。ルーフパネル102の角部102Cとサイドアウタ104の傾斜部104Bとは、レーザロウ付けによる接合部106で略車両前後方向に接合されている。この接合部106により、リベット34とサイドアウタ104のフランジ部104Dとが接する領域を水が侵入しないように覆う防水部108を構成している。
第4接合構造S100では、防水部108は、ルーフパネル102の角部102Cとサイドアウタ104の傾斜部104Bとを接合部106で接合することで構成されている。このため、リベット34とサイドアウタ104のフランジ部104Dとが接する領域への水の侵入が防水部108によって抑制され、リベット34による接合部での電食が抑制される。
〔第3実施形態〕
次に、図8を用いて、第3実施形態の車両部材の接合構造について説明する。なお、前述した第1及び第2実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図8には、第3実施形態の車両部材の接合構造としての第5接合構造S120が断面図にて示されている。なお、第3実施形態では、第1実施形態と同じ第1接合構造S30(図2参照)と第2接合構造S40(図3参照)とが設けられており、これらについては説明を省略する。図8に示されるように、第5接合構造S120は、軽金属製のサイドアウタ124と、鉄製のルーフサイドレールアウタ56と、鉄製のルーフサイドレールインナ58と、を備えている。サイドアウタ124は、例えば、アルミニウム合金で形成されており、板状の第1部材の一例である。ルーフサイドレールアウタ56は、高張力鋼材又はホットスタンプ材で形成されており、板状の第2部材の一例である。さらに、第5接合構造S120は、軽金属製のルーフパネル122を備えている。本実施形態では、ルーフパネル122は、アルミニウム合金製とされている。
サイドアウタ124は、傾斜部104Bの下端部から略車両幅方向内側に延びた横壁部124Cと、横壁部124Cの車両幅方向の内側端部から略車両下方側に延びた縦壁部124Dと、縦壁部124Dの下端部から略車両幅方向内側に延びたフランジ部104Dと、を備えている。
ルーフパネル122は、一般部102Aの車両幅方向の外側端部から略車両下方側に延びた縦壁部122Bと、縦壁部122Bの下端部から略車両幅方向外側に延びる共にサイドアウタ124の横壁部124Cに重ね合わされる接触部としての横壁部122Cと、を備えている。ルーフパネル122の横壁部122Cとサイドアウタ124の横壁部124Cとは、レーザ溶接による接合部126で略車両前後方向に沿って接合されている。この接合部126により、リベット34とサイドアウタ124のフランジ部104Dとが接する領域を水が侵入しないように覆う防水部128を構成している。
第5接合構造S120では、防水部128は、ルーフパネル122の横壁部122Cとサイドアウタ124の横壁部124Cとを接合部126で接合することで構成されている。このため、リベット34とサイドアウタ124のフランジ部104Dとが接する領域への水の侵入が防水部128によって抑制され、リベット34による接合部での電食が抑制される。
〔第4実施形態〕
次に、図9及び図10を用いて、第4実施形態の車両部材の接合構造について説明する。なお、前述した第1〜第3実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
図9には、第4実施形態の車両部材の接合構造としての第6接合構造S140(図10参照)が適用される車両が斜視図にて示されている。また、図10には、第6接合構造S140が断面図(図9中の10A−10A線に沿った断面図)にて示されている。
図9に示されるように、車両142の前後方向の後部には、リアドア開口部144の後方側に、三角窓としてのクオーターウインドウ146が設けられている。クオーターウインドウ146は、ルーフサイドレール14の車両前後方向の後部側に設けられている。クオーターウインドウ146は、開閉できない固定式の窓である。
図10に示されるように、第6接合構造S140は、車両外側(本実施形態では、車両上下方向の上側)に配置されるサイドアウタパネルとしてのサイメンアウタ150を備えている。また、第6接合構造S140は、サイメンアウタ150の車両内側(本実施形態では、車両上下方向の下側)に配置されるルーフサイドアウタ152と、ルーフサイドアウタ152の車両内側(本実施形態では、車両上下方向の下側)に配置されるルーフサイドインナ154と、を備えている。
サイメンアウタ150は、車両幅方向外側及び車両下方側に向かって斜め方向に配置された傾斜部150Aと、傾斜部150Aの車両幅方向外側端部から略車両下方側に延びた縦壁部150Bと、を備えている。さらに、サイメンアウタ150は、縦壁部150Bの下部から略車両幅方向外側及び車両下方側に向かって斜め方向に延びたフランジ部150Cを備えている。サイメンアウタ150は、軽金属製とされている。サイメンアウタ150は、例えば、アルミニウム合金で形成されており、板状の第1部材の一例である。
ルーフサイドアウタ152は、車両幅方向外側及び車両下方側に向かって斜め方向に配置された傾斜部152Aと、傾斜部152Aの車両幅方向外側端部から略車両下方側に延びた縦壁部152Bと、を備えている。さらに、ルーフサイドアウタ152は、縦壁部152Bの下部から略車両幅方向外側及び車両下方側に向かって斜め方向に延びたフランジ部152Cを備えている。サイメンアウタ150のフランジ部150Cは、ルーフサイドアウタ152のフランジ部152Cに重ね合わされている。ルーフサイドアウタ152は、鉄製とされている。本実施形態では、ルーフサイドアウタ152は、高張力鋼材又はホットスタンプ材で形成されている。ここで、ルーフサイドアウタ152は、板状の第2部材の一例である。
ルーフサイドインナ154は、車両幅方向外側に向かって車両上方側にクランク状に屈曲されている。ルーフサイドインナ154の車両幅方向外側端部には、略車両幅方向外側及び車両下方側に向かって斜め方向に延びたフランジ部154Aが形成されている。ルーフサイドアウタ152のフランジ部152Cは、ルーフサイドインナ154のフランジ部154Aに重ね合わされている。ルーフサイドインナ154は、鉄製とされている。
第6接合構造S140では、リベット34の軸部34Aは、サイメンアウタ150のフランジ部150Cに貫通されており、リベット34の頭部34Bは、フランジ部150Cの表面側(本実施形態では上面側)に残っている。そして、鉄製のリベット34の軸部34Aと鉄製のルーフサイドアウタ152のフランジ部152Cとがスポット溶接等により溶接されることで、フランジ部150Cとフランジ部152Cとが結合されている。本実施形態では、ルーフサイドアウタ152のフランジ部152Cとルーフサイドインナ154のフランジ部154Aとが2枚重ねで溶接されている。
第6接合構造S140は、リベット34の頭部34Bとサイメンアウタ150のフランジ部150Cとが接する領域を水が侵入しないように覆う防水材158を備えている。防水材158は、防水部の一例であり、リベット34とルーフパネル16のフランジ部16Eとが接する領域の少なくとも一部を覆う位置に取り付けられている。
第6接合構造S140では、リベット34の車両上下方向の上側を含む位置から車両幅方向外側に向かってウインドウガラスとしてのクオーターウインドウガラス156が配置されている。防水材158は、リベット34の車両幅方向外側端部よりも車両幅方向内側に配置されると共に、クオーターウインドウガラス156に取り付けられたモール160とサイメンアウタ150のフランジ部150Cとに接するように配置されている。本実施形態では、防水材158の下面158Aは、フランジ部150Cの上面に接着剤(図示省略)により接着されている。さらに、防水材158の下面158Aの車両幅方向外側には、リベット34の頭部34Bに沿って角部側が切り欠かれた切欠き部が形成されており、切欠き部がリベット34の頭部34Bと接触している。リベット34は、防水材158の下面158Aとサイメンアウタ150のフランジ部150Cとの接着部より車両142の室内側に配置されている。また、モール160は、クオーターウインドウガラス156の車両幅方向の内側端部を囲むように取り付けられている。モール160の車両幅方向の内側端部は、サイメンアウタ150の縦壁部150Bに接触するように配置されている。
上記の第6接合構造S140では、防水材158により、リベット34の頭部34Bとサイメンアウタ150のフランジ部150Cとが接する領域に水が侵入しにくい。このため、サイメンアウタ150とルーフサイドアウタ152とのリベット34による接合部の電食、すなわち、リベット34とサイメンアウタ150のフランジ部150Cとの間で水が介在されることで発生する電食を抑制することができる。
なお、本発明の車両部材の接合構造は、第1〜第4実施形態の構成に限定されず、車両の他の部位に設けてもよい。例えば、本発明の車両部材の接合構造は、フード周りなどにも適用することができる。
また、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
10 車両
14 ルーフサイドレール
16 ルーフパネル(第1部材)
20 ウインドシールドガラス(ウインドウガラス)
24 バックウインドウガラス(ウインドウガラス)
32 フロントヘッダ(第2部材)
34 リベット
34A 軸部
34B 頭部
36 防水材(防水部)
42 バックウインドフレーム(第2部材)
44 防水材(防水部)
52 棚形状部
54 サイドアウタ(第2部材、サイドアウタパネル)
56 ルーフサイドレールアウタ(第2部材)
60 棚形状部
62 シーラ
104 サイドアウタ(第1部材)
106 接合部
108 防水部
124 サイドアウタ(第1部材)
126 接合部
128 防水部
142 車両
146 クオーターウインドウ(三角窓)
150 サイメンアウタ(第1部材、サイドアウタパネル)
152 ルーフサイドアウタ(第2部材)
156 クオーターウインドウガラス(ウインドウガラス)
158 防水材(防水部)
S30 第1接合構造(車両部材の接合構造)
S40 第2接合構造(車両部材の接合構造)
S50 第3接合構造(車両部材の接合構造)
S100 第4接合構造(車両部材の接合構造)
S120 第5接合構造(車両部材の接合構造)
S140 第6接合構造(車両部材の接合構造)

Claims (10)

  1. 軽金属製の板状の第1部材と、
    鉄製の板状の第2部材と、
    前記第1部材を貫通する軸部と、前記第1部材の表面側に残る頭部とを備え、前記軸部が前記第2部材と溶接されることで前記第1部材と前記第2部材とを結合する鉄製のリベットと、
    前記リベットと前記第1部材とが接する領域を水が侵入しないように覆う防水部と、
    を有する車両部材の接合構造。
  2. 前記第2部材には、高張力鋼材又は超高張力鋼材が用いられている請求項1に記載の車両部材の接合構造。
  3. 前記第1部材は、車両の上部に車両前後方向及び車両幅方向に沿って延在されるルーフパネルであり、
    前記第2部材は、車両の側部に車両前後方向に沿って延在されるサイドアウタパネルであり、
    前記防水部は、前記リベットと前記ルーフパネルとが接する車外側の領域を覆うシーラである請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造。
  4. 前記ルーフパネル及び前記サイドアウタパネルの少なくとも一方には、前記リベットの前記頭部の側に車両前後方向を長手方向とした棚形状部が形成されている請求項3に記載の車両部材の接合構造。
  5. 前記第1部材は、車両の上部に車両前後方向及び車両幅方向に沿って延在されるルーフパネルであり、
    前記第2部材は、前記ルーフパネルの車両前後方向の前端部の下側に車両幅方向に沿って延在されるフロントヘッダである請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造。
  6. 前記第1部材は、車両の上部に車両前後方向及び車両幅方向に沿って延在されるルーフパネルであり、
    前記第2部材は、前記ルーフパネルの車両前後方向の後端部の下側に車両幅方向に沿って延在されるバックウインドフレームである請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造。
  7. 前記第1部材は、車両の後部に設けられる三角窓の縁部に配置され、車両前後方向に沿って延在されるサイドアウタパネルであり、
    前記第2部材は、前記サイドアウタパネルの車両内側に車両前後方向に沿って延在されるルーフサイドアウタである請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造。
  8. 前記防水部は、前記リベットと前記第1部材とが接する領域の少なくとも一部を覆う位置に取り付けられた防水材である請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の車両部材の接合構造。
  9. 前記リベットの車両上下方向の上側を含む位置から車両前後方向外側に向かってウインドウガラスが配置されており、
    前記防水材は、前記リベットの車両前後方向外側端部よりも車両前後方向内側に配置されると共に、前記ウインドウガラスと前記第1部材との間をシールする構成とされている請求項8に記載の車両部材の接合構造。
  10. 前記第1部材は、車両の側部に車両前後方向に沿って延在されるサイドアウタパネルであり、
    前記第2部材は、前記サイドアウタパネルの車両上下方向下側に車両前後方向に沿って延在されるルーフサイドレールアウタであり、
    前記防水部は、軽金属製のルーフパネルと前記サイドアウタパネルとを接触させた接触部が車両前後方向に沿って接合部で接合されることで構成されている請求項1又は請求項2に記載の車両部材の接合構造。
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