JP2019088241A - パン用熱処理小麦粉、パン用ミックス粉、および、パン類の製造方法 - Google Patents

パン用熱処理小麦粉、パン用ミックス粉、および、パン類の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2019088241A
JP2019088241A JP2017220228A JP2017220228A JP2019088241A JP 2019088241 A JP2019088241 A JP 2019088241A JP 2017220228 A JP2017220228 A JP 2017220228A JP 2017220228 A JP2017220228 A JP 2017220228A JP 2019088241 A JP2019088241 A JP 2019088241A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
flour
bread
wheat flour
dough
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017220228A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6574233B2 (ja
Inventor
常典 小貫
Tsunenori Konuki
常典 小貫
新 山本
Arata Yamamoto
新 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Chiba Flour Milling Co Ltd
Original Assignee
Chiba Flour Milling Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Chiba Flour Milling Co Ltd filed Critical Chiba Flour Milling Co Ltd
Priority to JP2017220228A priority Critical patent/JP6574233B2/ja
Publication of JP2019088241A publication Critical patent/JP2019088241A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6574233B2 publication Critical patent/JP6574233B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Abstract

【課題】塩の配合を減らしても、製パン性に加え、製品ボリューム及び食感に優れたパン類を製造するためのパン用熱処理小麦粉、パン用ミックス粉、並びにこれを使用したパン類の提供。【解決手段】60℃以上100℃以下の温度で加熱された強力粉を含み、好ましくは、前記温度が85℃以上100℃以下であるパン用熱処理小麦粉。前記パン用熱処理小麦粉と、100重量部の前記パン用熱処理小麦粉に対する0重量部以上2重量部以下の塩とを含むパン用ミックス粉。【選択図】図1

Description

本発明は、小麦粉を加熱処理して得られるパン用熱処理小麦粉、パン用ミックス粉、および、パン類の製造方法に関する。
従来、食感や二次加工性の改良を目的として、小麦粉を加熱処理することが知られている。例えば特許文献1に記載の製パン用粉では、薄力粉あるいは中力粉、あるいはこれらを分級して得られる高タンパク質の小麦粉を一定時間加熱処理することにより、製パン性の高い小麦粉に改質改良している。
特開平7−50973号公報
ところで、近年では、健康志向の高まりから、塩分摂取量を低減するために、パン類を製造するときの食塩の配合量を減らすことが求められている。しかしながら、一般的なパン類の製造において、食塩はパン類の風味を整えるだけでなく、製造工程中の生地の性質にも大きく影響を及ぼす。すなわち、食塩を加えずに生地を作ると、生地の粘着性が高いため(生地がベトベトであるため)、手や機械に生地が付きやすく、製パン時の作業性(製パン性)が劣る。また、食塩を加えない場合、イーストの活動が活発になるために炭酸ガスの発生量は増えるが、グルテン形成が劣ることから炭酸ガスの保持力が低くなり、生地が十分に膨張しない。その結果、ソフトで食べやすい食感のパン類とはならないという問題があった。
本開示の技術は、このような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、塩の配合を減らしても、製パン性に加え、製品ボリューム及び食感に優れたパン類を製造するためのパン用熱処理小麦粉、パン用ミックス粉、並びにパン類の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するパン用熱処理小麦粉は、60℃以上100℃以下の温度で加熱された強力粉を含む。
上記パン用熱処理小麦粉において、前記温度が85℃以上100℃以下であることが好ましい。
上記課題を解決するパン用ミックス粉は、上記構成のパン用熱処理小麦粉と、100重量部の前記パン用熱処理小麦粉に対する0重量部以上2重量部以下の塩とを含む。
上記パン用ミックス粉において、前記温度が85℃以上100℃未満であり、塩の含有量が0重量部であることが好ましい。
上記課題を解決するパン類の製造方法は、上記構成のパン用ミックス粉を用いる。
パン用熱処理小麦粉に食塩を添加しないときの製パン試験の結果を示すデータテーブル。 100重量部のパン用熱処理小麦粉に1重量部の食塩を添加したときの製パン試験の結果を示すデータテーブル。 100重量部のパン用熱処理小麦粉に2重量部の食塩を添加したときの製パン試験の結果を示すデータテーブル。
図1〜図3を参照してパン用熱処理小麦粉の一実施形態を説明する。
[パン用熱処理小麦粉の製造方法]
パン用熱処理小麦粉は、60℃以上100℃以下で加熱された強力粉を含む。本実施の形態における強力粉は、カナダ産No.1カナダウェスタンレッドスプリング(No.1 Canada Western Red Spring)やアメリカ産ダークノーザンスプリング(Dark Northern Spring)などの硬質小麦から製造され、タンパク質含有量が例えば13%以上の最強力粉やタンパク質含有量が例えば11.5%以上の強力粉を含む。また、本実施形態における強力粉は、アメリカ産ハードレッドウィンターなどの準硬質小麦から製造され、タンパク質含有量が例えば10.5%以上12.5%以下の準強力粉を含む。
パン用熱処理小麦粉を製造する際には、まず、100重量部の小麦粉をパドル式ドライヤーにより予め設定した温度で40分加熱する。本実施形態では、60℃以上100℃以下に小麦粉の加熱温度を設定する。
小麦粉の加熱が完了すると、加熱された小麦粉を、例えば、衛生的な環境下で薄く広げることですみやかに余熱を冷却する、あるいは撹拌冷却装置を用いて急速に冷却する。冷却された小麦粉を、所定の大きさのメッシュを有する篩、例えば50メッシュの篩にかけることで、パン用熱処理小麦粉を製造する。
[パンの製造方法]
パン用の生地を調整する際には、まず、小麦粉、上白糖、食塩、パン酵母、水をミキサーボウルに入れる。この場合、小麦粉を100重量部とするとき、上白糖が5重量部であり、食塩が2重量部であり、パン酵母が2重量部である。なお、パン酵母は水の一部に分散させておく。そして、低速で1分30秒混捏しながら生地の硬さに応じて加水量を調整する。なお、小麦粉を100重量部とするとき、加水量は生地の硬さに応じて70重量部の前後となるように調整する。
次に、ショートニングを加え、更に低速で1分混捏する。この場合、小麦粉を100重量部とするとき、ショートニングは4重量部である。そして、一定の粘弾性になるまで高速で1分混捏し、油脂を塗ったボックスに入れる。
次に、温度28℃、湿度85%の発酵室で120分一次発酵を取り(途中80分でパンチ作業を行う)、400gの生地を2つに分割し、ナマコ型に丸める。同じ発酵室で20分ベンチタイム(寝かせ)を取り、モルダー成型しワンローフ型に詰める。
その後、温度38℃、湿度85%の発酵室で最終発酵を取り、型上1.5cmまで膨張したところで焼成を行う。この場合、焼成は、リールオーブンを用いて焼成温度210℃、焼成時間25分の条件下で行う。
[小麦粉の製パン特性の評価方法]
小麦粉の製パン特性の評価には、ブラベンダー社のエクステンソグラフを用いる。この評価の際には、まず、小麦粉300gに対し、終わりの硬さが500B.U(ブラベンダー社グラフ特有の単位)になる量の水に溶かして加え、ファリノグラフのミキサーで混捏して生地を作製する。次に、150gを試験片として取り、丸めてから棒状に成形し、生地皿に固定して30℃の恒温箱に45分入れた後、棒状の生地の中心にフックをかけて引っ張り試験を行う。計測後は、生地を再成形して恒温箱に45分入れ、再び計測を行う。最初の成形からそれぞれ45分、90分、135分経過した生地の計測を計3回行う。
なお、エクステンソグラフは、生地が切れるまでの時間が横幅となり、このときの生地が示す抵抗の強さが高さとして表れる。そして、生地の伸長度及び伸長抵抗と、その経時変化を測定することによって、製パン時の生地の物性変化と麩質の強弱を読み解くためのデータとなる。具体的には、エクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は、主に製パン性の指標となり、この数値が大きいほど強力度が高く、パンの製品面積も大きくなる傾向にある。また、エクステンソグラフから求まるエクステンソ形状係数は、生地の弾性と伸展性のバランスを示す指標となり、この数値が大きいほど生地は弾力が強く伸びにくくなり、この数値が小さいほど生地は弾力が弱く伸びやすくなる。この数値は、R(抵張力)÷E(伸展性)で求めるものであり、通常のパン用小麦粉であれば、おおよそ3.0以上4.0以下である。
[各実施例及び各比較例における条件]
図1から図3を参照して、各実施例1〜9及び各比較例1〜15におけるパン用熱処理小麦粉を調整する条件と、このパン用熱処理小麦粉に対するエクステンソグラフを用いた評価結果とを説明する。
[実施例1]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより60℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩を添加することなく生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「57」であり、エクステンソ形状係数は「1.8」であった。
[実施例2]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより85℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩を添加することなく生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「127」であり、エクステンソ形状係数は「5.7」であった。
[実施例3]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより100℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、特級食塩を添加することなく生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「60」であり、エクステンソ形状係数は「12.4」であった。
[実施例4]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより60℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩3gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「122」であり、エクステンソ形状係数は「2.2」であった。
[実施例5]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより85℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩3gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「121」であり、エクステンソ形状係数は「7.2」であった。
[実施例6]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより100℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩3gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「18」であり、エクステンソ形状係数は「12.4」であった。
[実施例7]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより60℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩6gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「128」であり、エクステンソ形状係数は「2.9」であった。
[実施例8]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより85℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩6gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「154」であり、エクステンソ形状係数は「8.9」であった。
[実施例9]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより100℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩6gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「40」であり、エクステンソ形状係数は「7.2」であった。
[比較例1]
100重量部の小麦粉(薄力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象特うめ」)をパドル式ドライヤーにより85℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩を添加することなく生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「64」であり、エクステンソ形状係数は「6.4」であった。
[比較例2]
100重量部の小麦粉(中力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「五色櫻」)をパドル式ドライヤーにより85℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩を添加することなく生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「72」であり、エクステンソ形状係数は「11.0」であった。
[比較例3]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)について、未加熱の小麦粉300gに対し、食塩を添加することなく生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「85」であり、エクステンソ形状係数は「2.1」であった。
[比較例4]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより50℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩を添加することなく生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「90」であり、エクステンソ形状係数は「2.1」であった。
[比較例5]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより120℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩を添加することなく生地の作製を試みたが、生地が作製できず、エクステンソグラフの測定もできなかった。これは、小麦粉の加熱温度が高すぎる場合、小麦粉中の蛋白質が失活してグルテンの形成ができなくなったためであると考えられる。
[比較例6]
100重量部の小麦粉(薄力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象特うめ」)をパドル式ドライヤーにより85℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩3gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「41」であり、エクステンソ形状係数は「8.5」であった。
[比較例7]
100重量部の小麦粉(中力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「五色櫻」)をパドル式ドライヤーにより85℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩3gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「125」であり、エクステンソ形状係数は「8.5」であった。
[比較例8]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)について、未加熱の小麦粉300gに対し、食塩3gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「102」であり、エクステンソ形状係数は「1.9」であった。
[比較例9]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより50℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩3gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「110」であり、エクステンソ形状係数は「2.1」であった。
[比較例10]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより120℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩3gを添加して生地の作製を試みたが、生地が作製できず、エクステンソグラフの測定もできなかった。これは、小麦粉の加熱温度が高すぎる場合、小麦粉中の蛋白質が失活してグルテンの形成ができなくなったためであると考えられる。
[比較例11]
100重量部の小麦粉(薄力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象特うめ」)をパドル式ドライヤーにより85℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩6gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「70」であり、エクステンソ形状係数は「9.3」であった。
[比較例12]
100重量部の小麦粉(中力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「五色櫻」)をパドル式ドライヤーにより85℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩6gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「92」であり、エクステンソ形状係数は「14.1」であった。
[比較例13]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)について、未加熱の小麦粉300gに対し、食塩6gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「166」であり、エクステンソ形状係数は「3.1」であった。
[比較例14]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより50℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩6gを添加して生地を作製してエクステンソグラフを求めた。このエクステンソグラフから求まるエクステンソ面積は「130」であり、エクステンソ形状係数は「3.1」であった。
[比較例15]
100重量部の小麦粉(強力粉、千葉製粉(株)製、商品名:「花象ばら」)をパドル式ドライヤーにより120℃で40分加熱した。そして、この小麦粉300gに対し、食塩6gを添加して生地の作製を試みたが、生地が作製できず、エクステンソグラフの測定もできなかった。これは、小麦粉の加熱温度が高すぎる場合、小麦粉中の蛋白質が失活してグルテンの形成ができなくなったためであると考えられる。
[作業性の評価方法]
パネラー8名による評価として、小麦粉の生地からパンを製造するときの作業性を以下の基準で評価した。
◎:良好
○:良い
△:やや劣る
×:劣る
[評価]
図1に示した小麦粉に対して食塩を添加していない条件の各実施例1〜3および各比較例1〜5のうち、実施例1から実施例3、および、比較例2、比較例4のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的多く、かつ、小麦粉の加熱条件が適正であるときには、小麦粉の生地からパンを製造するときの作業性が比較的高くなることが確認された。これに対し、比較例1、比較例3、比較例5のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的少なかったり、小麦粉の加熱量が不足していたり、逆に、小麦粉の加熱量が過剰であったりするときには、小麦粉の生地からパンを製造するときの作業性が比較的低くなることが確認された。
また、図2に示した小麦粉に対して食塩を通常量よりも少量だけ添加した条件の各実施例4〜6および各比較例6〜10のうち、実施例4、実施例5、比較例7〜9のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的多く、かつ、小麦粉の加熱条件が緩やかであるときには、小麦粉の生地からパンを製造するときの作業性が比較的高くなることが確認された。これに対し、実施例6、比較例6、比較例10のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的少なかったり、小麦粉の加熱量が過剰であったりするときには、小麦粉の生地からパンを製造するときの作業性が比較的低くなることが確認された。
また、図3に示した小麦粉に対して食塩を通常量だけ添加した条件の各実施例7〜9および各比較例11〜15のうち、実施例7、比較例12〜14のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的多く、かつ、小麦粉の加熱条件が緩やかであるときには、小麦粉の生地からパンを製造するときの作業性が比較的高くなることが確認された。これに対し、実施例8〜9、比較例11、比較例13のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的少なかったり、小麦粉の加熱量が過剰であったりするときには、小麦粉の生地からパンを製造するときの作業性が比較的低くなることが確認された。
[ボリュームの評価方法]
パネラー8名による評価として、小麦粉の生地から製造されたパンのボリュームを以下の基準で評価した。
◎:良好
○:良い
△:やや劣る
×:劣る
[評価]
図1に示した小麦粉に対して食塩を添加していない条件の各実施例1〜3および各比較例1〜5のうち、実施例1から実施例3のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的多く、かつ、小麦粉の加熱条件が適正であるときには、小麦粉の生地から製造されたパンのボリュームが比較的大きくなることが確認された。これに対し、比較例1から比較例5のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的少なかったり、小麦粉の加熱量が不足していたり、逆に、小麦粉の加熱量が過剰であったりするときには、小麦粉の生地から製造されたパンのボリュームが比較的小さくなることが確認された。
また、図2に示した小麦粉に対して食塩を通常量よりも少量だけ添加した条件の各実施例4〜6および各比較例6〜10のうち、実施例4、実施例5、比較例8、比較例9のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的多く、かつ、小麦粉の加熱条件が緩やかであるときには、小麦粉の生地から製造されたパンのボリュームが比較的大きくなることが確認された。これに対し、実施例6、比較例6〜7、比較例10のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的少なかったり、小麦粉の加熱量が過剰であったりするときには、小麦粉の生地から製造されたパンのボリュームが比較的小さくなることが確認された。
また、図3に示した小麦粉に対して食塩を通常量だけ添加した条件の各実施例7〜9および各比較例11〜15のうち、実施例7、比較例13、比較例14のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的多く、かつ、小麦粉の加熱条件が緩やかであるときには、小麦粉の生地から製造されたパンのボリュームが比較的大きくなることが確認された。これに対し、実施例8〜9、比較例11、比較例12、比較例15のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的少なかったり、小麦粉の加熱量が過剰であったりするときには、小麦粉の生地から製造されたパンのボリュームが比較的小さくなることが確認された。
[食感の評価方法]
パネラー8名による評価として、小麦粉の生地から製造されたパンの食感を以下の基準で評価した。
◎:良好
○:良い
△:やや劣る
×:劣る
[評価]
図1に示した小麦粉に対して食塩を添加していない条件の各実施例1〜3および各比較例1〜5のうち、実施例1から実施例3のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的多く、かつ、小麦粉の加熱条件が適正であるときには、小麦粉の生地から製造されたパンの食感が良好であることが確認された。これに対し、比較例1から比較例5のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的少なかったり、小麦粉の加熱量が不足していたり、逆に、小麦粉の加熱量が過剰であったりするときには、小麦粉の生地から製造されたパンの食感が不良であることが確認された。
また、図2に示した小麦粉に対して食塩を通常量よりも少量だけ添加した条件の各実施例4〜6および各比較例6〜10のうち、実施例4、実施例5、比較例8、比較例9のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的多く、かつ、小麦粉の加熱条件が緩やかであるときには、小麦粉の生地から製造されたパンの食感が良好であることが確認された。これに対し、実施例6、比較例6、比較例7、比較例10のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的少なかったり、小麦粉の加熱量が過剰であったりするときには、小麦粉の生地から製造されたパンの食感が不良であることが確認された。
また、図3に示した小麦粉に対して食塩を通常量だけ添加した条件の各比較例のうち、比較例6、比較例11から比較例12のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的多く、かつ、小麦粉の加熱条件が緩やかであるときには、小麦粉の生地から製造されたパンの食感が良好であることが確認された。これに対し、比較例7から比較例10、比較例13のように、小麦粉の蛋白含有量が比較的少なかったり、小麦粉の加熱量が過剰であったりするときには、小麦粉の生地から製造されたパンの食感が不良であることが確認された。
[評価の総括]
図1から図3を参照して、上述した実施例および比較例についての作業性・ボリューム・食感を含めた製パン性の評価の結果を総括して説明する。
図1において、実施例1〜3として示すように、小麦粉に対して食塩を添加しないときには、小麦粉の種類が強力粉であって、かつ、小麦粉の加熱温度が適正な温度範囲となる「60℃〜100℃」の範囲にあるときには、作業性・ボリューム・食感のいずれの評価の結果も良好となる。また、同じく小麦粉に対して食塩を添加していないときには、小麦粉の種類が強力粉であって、かつ、小麦粉の加熱温度がより適正な温度範囲となる「60℃〜85℃」の範囲にあるときには、作業性・ボリューム・食感のいずれの評価の結果もより一層高いレベルで充足される。
また、図2において、実施例4、実施例5として示すように、小麦粉に対して食塩を通常量よりも少量だけ添加したときには、小麦粉の種類が強力粉であって、かつ、小麦の加熱温度が適正な温度範囲となる「60℃〜85℃」の範囲にあるときには、作業性・ボリューム・食感のいずれの評価の結果も良好となる。また、図2において、比較例8、比較例9として示すように、小麦粉に対して食塩を添加していないときには、小麦粉の種類が強力粉であって、かつ、小麦粉の加熱温度が適正な温度範囲となる「50℃未満」の範囲にあるときには、作業性・ボリューム・食感のいずれの評価の結果も良好となる。これに対し、図2において、実施例6、比較例10として示すように、小麦粉に対して食塩を添加していないときには、小麦粉の種類が強力粉であって、かつ、小麦粉の加熱温度が適正な温度範囲よりも高い「100℃」であるときには、作業性・ボリューム・食感のいずれの評価の結果も不良となる。すなわち、小麦粉に対して食塩を通常量よりも少量だけ添加したときの小麦粉の加熱温度の適正範囲は、小麦粉に対して食塩を添加していないときの小麦粉の加熱温度の適正範囲よりも低い傾向にある。これは、実施例6として示すように、小麦粉に対して加熱を行ったときには蛋白質の変性が生じており、エクステンソ形状係数が非常に高く、小麦粉の生地が締まり伸びにくい状態となっております。そのため、小麦粉に対して食塩を添加していない状態では、生地がだれることで生地の物性のバランスが取れるものの、小麦粉に対して食塩を添加した状態では、生地が締まることで伸展性が著しく劣るようになったためであると考えられる。
また、図3において、実施例8、実施例9として示すように、小麦粉に対して食塩を通常量だけ添加したときには、図1に示した場合とは異なり、小麦粉の種類が強力粉であって、かつ、小麦粉の加熱温度が「85℃から100℃」の範囲にあったとしても、作業性・ボリューム・食感のいずれの評価の結果も不良となる。これは、上述と同様、小麦粉の加熱による蛋白質の変性が生じており、エクステンソ形状係数が非常に高く、小麦粉の生地が締まり伸びにくい状態となっている。そのため、小麦粉に対して食塩を添加していない状態では、生地がだれることで生地の物性のバランスが取れるものの、小麦粉に対して食塩を添加した状態では、生地が締まることで伸展性が著しく劣るようになったためであると考えられる。

Claims (5)

  1. 60℃以上100℃以下の温度で加熱された強力粉を含む
    ことを特徴とするパン用熱処理小麦粉。
  2. 前記温度が85℃以上100℃以下である
    請求項1に記載のパン用熱処理小麦粉。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のパン用熱処理小麦粉と、
    100重量部の前記パン用熱処理小麦粉に対する0重量部以上2重量部以下の塩と
    を含む
    ことを特徴とするパン用ミックス粉。
  4. 前記温度が85℃以上100℃未満であり、
    前記塩の含有量が0重量部である
    請求項3に記載のパン用ミックス粉。
  5. 請求項3又は請求項4に記載のパン用ミックス粉を用いるパン類の製造方法。
JP2017220228A 2017-11-15 2017-11-15 パン類の製造方法 Active JP6574233B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017220228A JP6574233B2 (ja) 2017-11-15 2017-11-15 パン類の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017220228A JP6574233B2 (ja) 2017-11-15 2017-11-15 パン類の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019088241A true JP2019088241A (ja) 2019-06-13
JP6574233B2 JP6574233B2 (ja) 2019-09-11

Family

ID=66835122

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017220228A Active JP6574233B2 (ja) 2017-11-15 2017-11-15 パン類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6574233B2 (ja)

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04141055A (ja) * 1990-09-29 1992-05-14 Terumo Corp 改質小麦粉の製造方法
JPH0750973A (ja) * 1993-08-10 1995-02-28 Torigoe Seifun Kk 薄力及び中力粉の含有する小麦蛋白を熱変性させ、改質改良した製パン用粉の開発及びその製造方法
JPH1014481A (ja) * 1996-07-02 1998-01-20 Rennou Suisan:Kk パン類及びパン粉の製造方法
JP2004283151A (ja) * 2003-03-20 2004-10-14 Masaharu Seguchi 親油性小麦デンプンを用いた腎臓病患者用パンの製造方法
JP2007097507A (ja) * 2005-10-05 2007-04-19 Nisshin Flour Milling Inc 低アミロ小麦粉の品質改良方法
JP2007125006A (ja) * 2005-10-04 2007-05-24 Nisshin Flour Milling Inc 製パン用小麦粉およびその製造方法
JP2011092064A (ja) * 2009-10-28 2011-05-12 Fukumori Dou:Kk 麺類及び麺類の製造方法
JP2012228195A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Nippon Flour Mills Co Ltd パン用熱処理小麦粉及びその製造方法並びにこれを使用したパン類
JP2014036610A (ja) * 2012-08-16 2014-02-27 Nisshin Flour Milling Inc 熱処理小麦粉の製造方法
JP2017131190A (ja) * 2016-01-29 2017-08-03 日東富士製粉株式会社 熱処理小麦粉の製造方法、小麦粉組成物の製造方法、並びにパン又は焼菓子の製造方法

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04141055A (ja) * 1990-09-29 1992-05-14 Terumo Corp 改質小麦粉の製造方法
JPH0750973A (ja) * 1993-08-10 1995-02-28 Torigoe Seifun Kk 薄力及び中力粉の含有する小麦蛋白を熱変性させ、改質改良した製パン用粉の開発及びその製造方法
JPH1014481A (ja) * 1996-07-02 1998-01-20 Rennou Suisan:Kk パン類及びパン粉の製造方法
JP2004283151A (ja) * 2003-03-20 2004-10-14 Masaharu Seguchi 親油性小麦デンプンを用いた腎臓病患者用パンの製造方法
JP2007125006A (ja) * 2005-10-04 2007-05-24 Nisshin Flour Milling Inc 製パン用小麦粉およびその製造方法
JP2007097507A (ja) * 2005-10-05 2007-04-19 Nisshin Flour Milling Inc 低アミロ小麦粉の品質改良方法
JP2011092064A (ja) * 2009-10-28 2011-05-12 Fukumori Dou:Kk 麺類及び麺類の製造方法
JP2012228195A (ja) * 2011-04-26 2012-11-22 Nippon Flour Mills Co Ltd パン用熱処理小麦粉及びその製造方法並びにこれを使用したパン類
JP2014036610A (ja) * 2012-08-16 2014-02-27 Nisshin Flour Milling Inc 熱処理小麦粉の製造方法
JP2017131190A (ja) * 2016-01-29 2017-08-03 日東富士製粉株式会社 熱処理小麦粉の製造方法、小麦粉組成物の製造方法、並びにパン又は焼菓子の製造方法

Non-Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
"SITE MAP | AWDLP310-023"、[ONLINE], JPN6019007673, 18 November 2016 (2016-11-18), ISSN: 0004084168 *
新しい製パン基礎知識(再改訂版), vol. 第26版, JPN6019007672, 28 September 2009 (2009-09-28), pages 60 - 61, ISSN: 0003990736 *
無塩パン★テーブルロール★"、[ONLINE], JPN6019007670, 6 July 2015 (2015-07-06), ISSN: 0003990735 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP6574233B2 (ja) 2019-09-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2010279352A5 (ja)
Rodríguez-García et al. Optimizing mixing during the sponge cake manufacturing process
EP2926665A1 (en) Rice dough composition, and rice dough prepared therefrom
CA1230255A (en) Bakery products and method for making bakery products
JPH0750973A (ja) 薄力及び中力粉の含有する小麦蛋白を熱変性させ、改質改良した製パン用粉の開発及びその製造方法
JP2017112989A (ja) パン類の製造方法
JP6891137B2 (ja) 焼き菓子用ミックス
JP2019088241A (ja) パン用熱処理小麦粉、パン用ミックス粉、および、パン類の製造方法
JP2006320207A (ja) 多加水パン用有形水及びこれを用いた多加水パンの製造方法
CA1294819C (en) Method of preparing yeast-leavened bread crumbs
JP3641313B2 (ja) パン類用穀粉及びパン類
JP2019024347A (ja) 米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地、米粉パンの製造方法
JP6853679B2 (ja) 焼き菓子用ミックス
JP2017055672A (ja) 餃子の皮の製造方法
JP6360413B2 (ja) 多加水パン類の製造方法及び多加水パン類
JP2001008612A (ja) 餅様食感を有するピザクラスト及びピザ
JP2006034223A (ja) パン用小麦粉及びそれを用いたパン類
KR20200056601A (ko) 오프리 밀을 이용한 제과방법
JP7442773B1 (ja) パンの製造方法
JP2005253361A (ja) 米粉を主原料とした含泡食品生地形成方法と含泡食品生地、及びこれらを用いたパン風味含泡食品とその製造方法。
JP7293073B2 (ja) ホイロ発酵済みパン用冷凍生地の製造方法及びパン類の製造方法
JP6254462B2 (ja) パン類の製造方法
JP5943177B2 (ja) パン用米粉
JP6185700B2 (ja) パンの製造方法及びパン
JP2010187559A (ja) 製パン用米フィリング

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180405

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190528

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190717

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190730

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190815

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6574233

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250