JP2019024347A - 米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地、米粉パンの製造方法 - Google Patents

米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地、米粉パンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】グルテンを含まないにもかかわらず良好な膨らみや食感を維持することに加え、良好な食感が長時間持続される米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地、米粉パンの製造方法を提供すること。【解決手段】本発明に係る米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地は、主成分である米粉に対して、特定範囲のサイリウムと大豆粉を含有するので、グルテンを含まないにもかかわらず良好な膨らみや食感を備えることに加え、良好な食感が長時間持続される米粉パンを構成可能なミックス粉等となる。また、得られた米粉パンは、グルテンを含まないので、いわゆるグルテン含有パンの問題(小麦粉アレルギー等。)を回避できるとともに、価格の安い米ないし米粉の消費拡大にも繋がる。加えて、ミックス粉が、自然由来のものだけで構成されるため、身体や自然にも優しいものとなる。【選択図】なし

Description

本発明は、米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地、米粉パンの製造方法に関する。さらに詳しくは、グルテンを含まないグルテンフリーの米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地、米粉パンの製造方法に関する。
発酵パンの主原料として利用されているのは小麦粉等である。また、かかる小麦粉等に含まれるタンパク質のグリアジンとグルテニンに対して加水及び混練を行うことにより、粘弾性を備えたグルテンとすることができる。
そして、グリアジンとグルテニンからなるグルテンが発酵することにより発生する炭酸ガスをパン生地中に包蔵することで、パン生地の伸張性及び弾力性を向上させるができ、その結果、発酵パンの容積を拡大することになる。小麦粉を主成分とする小麦粉パンはふっくらと膨らんだものが好まれており、前記したグルテンの作用による発酵パンの容積拡大は、小麦粉パンの膨らみを醸し出すために重要である。
近年、穀物価格の高騰や、米ないし米粉の消費拡大の要請、そして小麦粉アレルギーの患者に対応するために、小麦粉の代わりに米の粉(米粉)を用いた、いわゆる米粉パンの検討が進められている。しかしながら、米が有するタンパク質には、前記したグリアジンやグルテニンが含まれていないため、グルテンを形成させることができず、発酵中に生じる炭酸ガスを包蔵させるためには、米粉パンのパン生地に対して別途グルテンを添加する必要があった(例えば、特許文献1を参照。)。
しかし、米粉パンのパン生地にグルテンを添加した場合には、小麦粉アレルギー患者が摂取できないばかりか、グルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患であるセリアック病や、グルテンを原因とする非セリアック・グルテン過敏症(Non−Celiac Gluten Sensitivity:NCGS)による胃腸障害、精神障害等を招く場合もある。よって、これらの障害等を回避するため、グルテンフリー食品の有効性が見直されており、グルテンを用いない米粉パンの検討も進められている(例えば、特許文献2を参照。)。
特開2004−222548号公報 特開2005−245409号公報
しかしながら、これまで提供されたグルテンを含まない米粉パンは、良好な膨らみや食感を備えることが難しかった。加えて、これまでの米粉パンは、良好な食感が時間の経過により持続せず、日持ちがしないという問題もあり、改善が求められていた。
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、グルテンを含まないにもかかわらず良好な膨らみや食感を備えることに加え、良好な食感が長時間持続される米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地、米粉パンの製造方法を提供することにある。
前記の課題を解決するために、本発明に係る米粉パン用ミックス粉は、米粉と、当該米粉100質量部に対して、サイリウム1.0〜4.0質量部、大豆粉1.0〜5.0質量部、を含有することを特徴とする。
本発明に係る米粉パン用ミックス粉は、前記した本発明において、前記サイリウムの含有量が前記米粉100質量部に対して2.0〜4.0質量部、前記大豆粉の含有量が前記米粉100質量部に対して2.0〜4.0質量部、であることを特徴とする。
本発明に係る米粉パン用ミックス粉は、前記した本発明において、さらに、α化米粉を前記米粉100質量部に対して1.0〜5.0質量部含有することを特徴とする。
本発明に係る米粉パン用パン生地は、前記した本発明に係る米粉パン用ミックス粉と、糖類、塩、酵母及び水分を含む成分を混合してなることを特徴とする。
本発明に係る米粉パンの製造方法は、前記した本発明に係る米粉パン用ミックス粉と、糖類、塩、酵母及び水分を含む成分を混合してなる米粉パン用パン生地を分割、成形、発酵させた後、焼成することを含むことを特徴とする。
本発明に係る米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地は、主成分である米粉に対して、特定範囲のサイリウムと大豆粉を含有するので、グルテンを含まないにもかかわらず良好な膨らみや食感を備えることに加え、良好な食感が長時間持続される米粉パンを構成可能なミックス粉等となる。また、得られた米粉パンは、グルテンを含まないので、いわゆるグルテン含有パンの問題(小麦粉アレルギー等。)を回避できるとともに、価格の安い米ないし米粉の消費拡大にも繋がる。加えて、ミックス粉が、自然由来のものだけで構成されるため、身体や自然にも優しい。
また、本発明に係る米粉パンの製造方法は、前記した効果を奏する米粉パンを簡便な方法で提供することができる。
以下、本発明に係る米粉パン用ミックス粉の一態様について説明する。本発明に係る米粉パン用ミックス粉(以下、単に「ミックス粉」とする場合もある。)は、主成分である米粉に対して、特定範囲のサイリウムと大豆粉を含有する。
ミックス粉の主成分として用いられる米粉としては、特に限定されず、一般に使用されている米粉を用いることができる。ここで、「米粉」とは、生米の粉を指し、かかる生米の品種や性状に特に制限はなく、生米を各種公知の製粉方法(後記)で粉末化した生米粉が使用できる。
米粉の平均粒径(平均一次粒子径)は、きめの整ったパンを製造するという観点から、概ね、100μm未満であることが好ましく、30〜80μmの範囲内であることが特に好ましいが、特にこの範囲には限定されない。また、米粉の水分率は、10〜15%の範囲内であれば、パンを製造するという意味では良好であるが、特にこの範囲には限定されない。
平均粒径の測定方法については、例えば、米粉業界の慣例で実施される、いわゆる「メッシュパス」で平均粒径の概算を測定することができる。また、平均粒径は、例えば、レーザー回折散乱法によって測定した体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径により決定してもよい(以下、平均粒径について同様。)。
また、生米を粉砕する際に発生する熱等により割れや傷等ができたデンプン粒の割合(デンプンの損傷率)が高いと、膨張率が悪くなる等、米粉パンの品質に影響する場合がある。よって、デンプンの損傷率の値が5%以下である米粉が好ましく、4%以下であることが特に好ましい。ここで、デンプンの損傷率は、市販の測定キットを用いて測定することができ、例えば、「STARCH DAMAGE ASSAY KIT」(Megazyme製)等を使用すればよいが、これには限定されない。
米粉の製粉方法としては、湿式気流粉砕機による製粉、ピンミル製粉、胴搗き製粉、ロール製粉、石臼製粉、気流粉砕製粉等を用いることができる。損傷澱粉の割合や平均粒径の観点から。湿式気流粉砕機により製粉された米粉とすることが好ましいが、これには限定されない。
ミックス粉は、主成分である米粉に加えて、サイリウムを含有する。サイリウムは「サイリウムハスク」とも呼ばれ、オオバコ(大葉子、学名:Plantago asiatica)の種子ないしはその殻の部分から採取できる天然の食物繊維を意味すると考えられている(「サイリウム『シード』ハスク」等と呼ばれることもある。)。サイリウムは、水分を吸収して膨らむ(30〜40倍と考えられている。)性質を有するため、ミックス粉からなるパン生地の成分として適量のサイリウムを添加することにより、米粉パンに膨らみを与えることができると考えられ、また、良好な食感を長時間付与できる。
サイリウムの含有量は、米粉100質量部に対して、1.0〜4.0質量部とする。サイリウムの添加量がかかる範囲であれば、米粉パンの膨らみを良好なものとすることができ、また、食感も良好とすることができるとともに、かかる食感を長時間維持することができる。サイリウムの含有量が1.0質量部より少ないと、サイリウムを添加する効能を発揮できず、米粉パンの膨らみ等が不十分である一方、含有量が4.0質量部を超えると、サイリウムが水分を過度に吸収して膨らみすぎてしまい、パン生地がベタつき過ぎ、その結果却って米粉パンの膨らみが悪くなり、食感にも悪影響を与える場合がある。サイリウムは、米粉100質量部に対して、2.0〜4.0質量部とすることが好ましく、2.0〜3.0質量部とすることが特に好ましい。
サイリウムの形状は、特に制限はないが、例えば、いわゆるサイリウム(ハスク)パウダーと呼ばれる、粉末状のものを使用することができる。
なお、サイリウム(サイリウムハスク)は、例えば、「サイリウム粉末」((株)京のくすり屋)等の市販品を用いるようにしてもよいが、これには限定されない。
また、ミックス粉は、主成分である米粉に対して、サイリウムのほか、大豆粉を含む。大豆粉を前記したサイリウムと併用することで、両成分の相互作用もあり、サイリウムを単独で添加することより、米粉パンに良好な膨らみや食感を好適に付与することができ、また、良好な食感を長時間持続させることができる。
大豆粉は、大豆の(加熱)乾燥工程、脱皮工程及び粉砕工程等を経て得られる(生大豆粉は、大豆を生のまま粉砕し、加熱せずに粉にしたものである。)。一般に、大豆粉は臭いが特有であり好まれない場合もあるため、脱臭工程(失活工程)を経たものが多いが、大豆を失活させると、水溶性窒素指数(Nitrogen Solubility Index:NSI)が低下する傾向にある。以上より、大豆粉としては、大豆の失活をできる限り抑えたものを使用することが好ましく、例えば、生大豆粉か、生大豆を加熱乾燥し、脱皮し、粉砕した大豆粉(失活工程(脱臭工程)を経ずに得られた大豆粉。)を用いるようにしてもよい。
また、大豆粉の水溶性窒素指数は、米粉パンの焼成時における米粉パンのふっくら感に影響を与え、その値が高いほど米粉パンはふっくらと膨らんだものになり、一方、その値が低いほど米粉パンは膨らまなくなる。生の大豆に含まれるタンパク質の大部分は水溶性であるが、大豆を加熱等するとタンパク質(酵素を構成)は変性して、水に不溶になる。全体のタンパク質窒素に占める水溶性の割合が水溶性窒素指数(NSI)(%)であり、かかる水溶性窒素指数の数値により、大豆タンパク質の変性(酵素の変性)の程度を判断できる。本発明にあっては、大豆粉の水溶性窒素指数が70%以上のものが好ましく、75〜90%であるものが特に好ましいが、特にこの範囲には限定されない。
使用される大豆粉は、市販品を使用してもよい。市販品としては、「まるごと大豆粉」((株)アサヒエンジニアリング(大豆まるごと工房))等が挙げられるが、これには限定されない。
大豆粉の含有量は、米粉100質量部に対して、1.0〜5.0質量部とする。大豆粉の含有量がかかる範囲であれば、前記のサイリウムと併用して、米粉パンの膨らみを良好なものとすることができ、また、食感も良好とすることができるとともに、食感を長時間持続させることができる。大豆粉の含有量が1.0質量部より少ないと、大豆粉を添加する効果が発揮できない一方、含有量が5.0質量部を超えると、サイリウム等の他の成分とのバランスが悪くなり、却って膨らみや食感に悪影響を与える場合がある。大豆粉は、米粉100質量部に対して、2.0〜4.0質量部とすることが好ましい。
大豆粉の平均粒径は、特に制限はないが、5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることが特に好ましい。大豆粉の平均粒径が5μmより小さいと、扱いにくくなって生産効率が低下する場合がある。一方、大豆粉の平均粒径が50μmより大きいとパン生地が膨らみにくく、得られる米粉パンもざらついてしまい、食感等に悪影響を与える場合がある。
ミックス粉には、前記のサイリウムや大豆粉に加えて、α化米粉を添加してもよい。「α(アルファ)化米粉」とは、生米の粉に水を加えて加熱処理した米粉である。このα化米粉は、米粉パンのパン生地ないしは米粉パン自体に糊状の強いデンプンネットワークを形成し、パン生地の発酵によって生じるガスの気泡を閉じ込める機能を発揮するため、グルテン様の役割を果たすことにもなり、パン生地や米粉パンの膨らみを向上させ、また、食感も向上させることができる。
ミックス粉にα化米粉を添加する場合、α化米粉の含有量は、米粉100質量部に対して、1.0〜5.0質量部とすることが好ましい。α化米粉の含有量がかかる範囲であれば、米粉パンの良好な膨らみや食感を向上させることができる。α化米粉は、米粉100質量部に対して、2.0〜4.0質量部とすることが好ましい。
本発明に係る米粉パン用ミックス粉は、前記した成分を必須(α化米粉は必要により。)として含有するが、かかるミックス粉を用いて米粉パン用パン生地(以下、単に「パン生地」とする場合がある。)とするための他の成分(水分、糖類、塩、酵母等。)について説明する。
パン生地は水分(吸水)を含有する。代表的な水分は水であるが、パン生地中の水等の水分の量は、米粉パンの製造に原料として使用する水分としての一般的な量であってよいが、例えば、米粉100質量部に対して、80.0〜100.0質量部とすることが好ましいが、特にこの範囲には限定されない。また、水等の水分の温度は、常温でもよく、おおむね35〜42℃程度が好ましいが、特にこの範囲には限定されない。
また、パン生地に添加される酵母は、パンの発酵に使用できる任意の酵母であってよいが、例えば、パン製造に使用されるサッカロマイセス・セレビシエ(サッカロミセス・セレビシエとも呼ばれる。)(Saccharomyces cerevisiae)株)等が挙げられる。酵母は、乾燥イーストであっても生イーストであってもよい。
酵母の含有量は、酵母の種類や、米粉をはじめとした他の成分の種類や含有量に応じて適宜調整すればよいが、概ね、米粉100質量部に対して、1.0〜3.0質量部とすることが好ましいが、特にこの範囲には限定されない。酵母は、あらかじめ水分(吸水等)とともに混合しておくことが望ましい。また、あらかじめ米粉ないし他の成分とともに混合しておいてもよい。
なお、酵母の予備発酵については、酵母の種類等により適宜決定すればよく、予備発酵を行わない酵母を米粉やミックス粉、パン生地に添加するようにしてもよく、また、予備発酵を行った酵母を米粉やミックス粉、パン生地に添加するようにしてもよい。
パン生地には、例えば、砂糖等の糖類、食塩等の塩等を含有させることができ、また、油脂(こめ油(米油)、オリーブ油等の植物油脂、バター等の動物油脂、ショートニング、マーガリン等の任意の油脂またはそれらの混合物等を指す。)の、パン生地ないしは(米粉)パン生地に通常使用される成分を添加するようにしてもよい。これらの成分は、例えば、米粉100質量部に対して下記の範囲で含有させることが好ましいが、この範囲には限定されない。
糖類:米粉100質量部に対して3.0〜8.0質量部
塩:米粉100質量部に対して1.0〜2.0質量部
油脂:米粉100質量部に対して3.0〜8.0質量部
米粉パンの製造は、前記した米粉パン用ミックス粉(α化米粉は必要により。)と、糖類、塩、酵母及び水分を含む成分を混合してなる米粉パン用パン生地を分割、成形、発酵させた後、焼成すればよく、例えば、下記のようにして実施される。前記した米粉パン用ミックス粉の必須成分(α化米粉は必要により。)と、水、酵母(パン酵母)を混合して、パン生地を得ることができ、例えば、水(吸水)等の水分に、砂糖等の糖類、食塩等の塩、酵母等を入れて混合したものと、米粉、サイリウム、大豆粉、必要によりα化米粉や油脂を混合したものと混合するようにしてもよく、成分の混合の順序や手段は任意である。ここで、通常の小麦粉パンでは、混捏(こんねつ:粉体物、液状物を含有する原料の混合物を各成分が均一に分散させるように練る作業を呼ぶ。)するようにして、パン生地を得ることができるが、本発明におけるパン生地の製造は、ミックス粉が小麦粉成分のデンプンを持たないため、成分同士が混合しやすいので、いわゆる「混捏」程はたんねんに練らなくても、成分は十分に混ざり合うと考えられる。また、後記する成形についても、手成形が容易に可能である。
なお、混捏ないし混合は、敢えて従来のパン作りの装置等を用いなくても、必要によりゴムべら等を用いることによって、手等による作業で簡単に行うことができる。また、1回の工程で生地を作ることができる。また、混捏ないし混合の条件(各成分の混合順序、温度、時間)は、従来公知の条件間で実施すればよく、前記したように1回の工程で実施可能であるが、複数の工程で行うようにしてもよい。
得られたパン生地は、例えば、手によって分割、成形(必要により所定の容器に入れたりする等を含む。)等を行い、また、通常のパン製造で用いられる従来公知の方法で発酵させる。発酵は、例えば、パン生地を分割後、あるいはパン生地を分割及び成形等の後に実施してもよいし、また、パン生地を発酵後に分割、成形等を行ってもよく、分割、成形、発酵の順序は任意である。パン生地の発酵は、例えば、発酵に適した温度(例えば、30〜40℃。)下で、20〜50分程度(より好ましくは30〜40分程度。)放置すればよい。発酵は、本発明にあっては、通常は、1回の発酵工程で終了させることができるが、場合によっては、複数回の発酵工程を行うようにしてもよい。
発酵されたパン生地は、焼成することにより、米粉パンを製造することができる。パン生地の焼成方法は、特に制限はなく、従来公知の方法を用いることができ、例えば、パン生地をオーブン、電子レンジ、釜等、従来公知の焼成手段により焼成(温度の目安として、例えば、160〜220℃等)、固化させればよい。焼成における時間は、特に制限はないが、例えば25〜40分程度である。焼成温度や焼成時間は、米粉をはじめとした他の成分の種類や含有量等により適宜調整すればよい。焼成は、複数の工程で実施するようにしてもよい。
以上説明したように、本発明に係る米粉パン用ミックス粉、米粉パン用パン生地は、主成分である米粉に対して、特定範囲のサイリウムと大豆粉を含有するので、グルテンを含まないにもかかわらず良好な膨らみや食感を備えることに加え、米粉パンの良好な食感が長時間持続される米粉パンを構成可能なミックス粉等となる。また、得られた米粉パンは、グルテンを含まないので、いわゆるグルテン含有パンの問題(小麦粉アレルギー、セリアック病や、非セリアック・グルテン過敏症による胃腸障害等。)を回避できるとともに、価格の安い米ないし米粉の消費拡大にも繋がる。加えて、ミックス粉が、自然由来のものだけで構成されるため、身体や自然にも優しいものとなる。
そして、本発明に係る米粉パンの製造方法は、前記した効果を奏する米粉パンを簡便な方法で提供することができる。
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
本発明の米粉パン用ミックス粉としては、米粉、サイリウム、大豆粉、必要によりα化米粉を含有する態様を示したが、ミックス粉としては、これらの成分に、あらかじめ、砂糖等の糖類や食塩等の塩、酵母等を含有させた状態で、ミックス粉として取り扱うようにしてもよい。
また、パン生地中には、水に代表される「水分」が必要とされるが、水として添加されるのはもちろんのこと、例えば、従来公知の飲料(牛乳、ジュース等)等による水分を用いてもよい。
なお、ミックス粉、パン生地ないし米粉パンには、従来の発酵パンに通常用いられる成分(グルテンを除く。)を添加するようにしてもよく、必要により、食品添加物として、乳化剤、保存料、香料、着色料等の食品添加物を含んでもよいが、自然由来の米粉パンを形成したい場合は、人工的に製造された食品添加物を含まないことが好ましい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造及び形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[実施例1ないし実施例7、比較例1ないし比較例8]
米粉パンの製造:
下記(1)〜(3)に示した方法を用いて、米粉パンを製造した。なお、表1に、使用した米粉パン用ミックス粉の組成(成分と含有量(質量部))を示した。また、表1及び下記の「質量部」は、米粉100質量部に対する値である。
(1)混合工程:
(a)約40℃の水85質量部に、砂糖3.0質量部、食塩1.4質量部、をよく混ぜて、さらに酵母2.0量部を入れて混合した。
(b)表1に示した組成の米粉パン用ミックス粉に油脂としてこめ油(米油)5.0質量部を入れて、こすりあわせるように混合した。
(c)前記(b)に前記(a)を入れ、ゴムべらを用いて混合してパン生地とした。
(成分について)
米粉:インディカ米、国産、200メッシュ(約74μm)
サイリウム:サイリウム粉末((株)京のくすり屋)
大豆粉:まるごと大豆粉((株)アサヒエンジニアリング(大豆まるごと工房))(約10μm)(生大豆を加熱乾燥し、脱皮し、粉砕したもの。失活は積極的に行っていない。)
α化米粉:マイプラス((株)サラ秋田白神)
酵母:サッカロマイセス・セレビシエ(白神こだま酵母ドライG)((株)秋田十條化成)
こめ油(米油):植物油・みづほ(三和油脂(株))
(2)分割、成形工程:
前記(1)で得られたパン生地を1つあたり70gに分割し、所望の形状(クッペ型)に成形した。
(3)発酵工程:
前記(2)で成形したパン生地を、35〜40℃で30分間発酵させた。
(4)焼成工程:
前記(3)で発酵させたパン生地を、160〜200℃で25〜30分間、オーブンで焼成して固化させ、米粉パンを得た。
[試験例1]
米粉パンの評価:
得られた実施例1ないし実施例7、比較例1ないし比較例8の米粉パンについて、評価項目を「(1)発酵後の膨らみ」、「(2)焼成後の膨らみ」、「(3)食感」、「(4)焼成後18時間経過後の食感」として、下記の評点及び内容に従い、比較・評価した。なお、「(1)発酵後の膨らみ」は、前記した「米粉パンの製造」の「(3)発酵工程」後のパン生地について、発酵後の膨らみを評価した。
評価は、「(1)発酵後の膨らみ」、「(2)焼成後の膨らみ」、「(4)焼成後18時間経過後の食感」はそれぞれ3以上を合格、「(3)食感」、は2以上を合格とし、各項目について合格のものを「○」とし、それ以外のものを「×」として総合的に判定した(評価は2名で実施し、2名で検討した結果を評点とした。)。結果を組成とあわせて表1に示す(評点の合計も参考として載せた。)。
(1)発酵後の膨らみ:
評点 : 内容
4 : 発酵が十分で、膨らみが理想的である。
3 : 4には劣るが、問題ない膨らみである。
2 : 3に劣り、膨らみが不十分。
1 : 膨らみが全く不十分。
0 : 所望の形状を手成形できる状態ではなく、評価できなかった。
(2)焼成後の膨らみ:
評点 : 内容
4 : 膨らみが理想的であり、ふっくらと膨らんだ焼き上がりである。
3 : 4には劣るが、問題ない膨らみである。
2 : 3に劣り、膨らみが不十分。
1 : 膨らみが全く不十分
0 : 所望の形状を手成形できる状態ではなく、評価できなかった。
(3)食感:
評点 : 内容
4 : 食感が理想的で、心地よいもっちり感がある。
3 : 4には劣るが、問題ない食感である。
2 : 3には劣るが、問題ない食感である。
1 : 食感が不十分。
0 : 食感が全く不十分で、パンとしての評価に値しない。
(4)焼成後18時間経過後の食感(表1では、「18時間経過後の食感」と記載。):
評点 : 内容
4 : 18時間経過後も製造直後とほぼ変わらない状態であった。
3 : 4には劣るが、食するには問題ない状態である。
2 : 固くなった状態ではあるが、オーブン等で熱を加えれば食することができ
る。
1 : オーブン等で焼きなおしても、ボロボロした食感が残る。
0 : オーブン等で熱処理しても、パンとしての評価に値しない。
(組成及び評価結果)
Figure 2019024347
表1に示すように、特定範囲のサイリウムと大豆粉を含有したミックス粉及びかかるミックス粉によるパン生地を用いて製造された実施例の米粉パンは、サイリウムと大豆粉の相互作用等により、良好な膨らみ(発酵後、焼成後とも)を呈し、また、食感も良好であった。加えて、焼成後18時間経過しても問題ない食感を維持しており、良好な食感が長時間持続され、評価した各項目に対して合格となり、総合評価も「○」であった。
一方、特定量のサイリウムと大豆粉の少なくとも一方を含有しない、あるいは特定範囲を外れたミックス粉及びかかるミックス粉によるパン生地を用いて製造された、比較例の米粉パンは、評価項目の全てを合格するものはなく、総合評価も「×」であった。
本発明は、ふっくらした膨らみを呈し、良好な食感を長時間持続できる米粉パンを、グルテンを用いずに提供する手段として有利に使用することができ、産業上の利用可能性は高いものである。
前記の課題を解決するために、本発明に係る米粉パン用ミックス粉は、米粉と、当該米粉100質量部に対して、サイリウム1.0〜4.0質量部、大豆粉1.0〜5.0質量部、を含有し、グルテンを含まないことを特徴とする。

Claims (5)

  1. 米粉と、当該米粉100質量部に対して、
    サイリウム1.0〜4.0質量部、
    大豆粉1.0〜5.0質量部、
    を含有することを特徴とする米粉パン用ミックス粉。
  2. 前記サイリウムの含有量が前記米粉100質量部に対して2.0〜4.0質量部、
    前記大豆粉の含有量が前記米粉100質量部に対して2.0〜4.0質量部、
    であることを特徴とする請求項1に記載の米粉パン用ミックス粉。
  3. さらに、α化米粉を前記米粉100質量部に対して1.0〜5.0質量部含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の米粉パン用ミックス粉。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の米粉パン用ミックス粉と、糖類、塩、酵母及び水分を含む成分を混合してなることを特徴とする米粉パン用パン生地。
  5. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の米粉パン用ミックス粉と、糖類、塩、酵母及び水分を含む成分を混合してなる米粉パン用パン生地を分割、成形、発酵させた後、焼成することを含むことを特徴とする米粉パンの製造方法。
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