JP2019086605A - 反射防止層付偏光板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
1つの実施形態においては、上記保護層の透湿度は1.0g/m2/24hr以下である。
1つの実施形態においては、上記保護層は(メタ)アクリル系樹脂を含む。
1つの実施形態においては、上記基材は、反射防止層側の表面にハードコート層を有する。
1つの実施形態においては、上記反射防止層付偏光板は、上記偏光子の上記保護層と反対側に、nx>ny>nzの屈折率特性を有する第1の位相差層をさらに備える。
1つの実施形態においては、上記反射防止層付偏光板は、上記第1の位相差層の上記偏光子と反対側に、nz>nx>nyの屈折率特性を有する第2の位相差層をさらに備える。
1つの実施形態においては、上記反射防止層付偏光板における、65℃および90%RHで500時間保持した後の上記偏光子の吸収軸方向の寸法変化率が、0.10%未満である。
1つの実施形態においては、上記反射防止層付偏光板における、65℃および90%RHで500時間保持した後に発生し得るカールが、上記反射防止層と反対側に凸である。
本発明の別の局面によれば、上記の反射防止層付偏光板の製造方法が提供される。この製造方法は、偏光子および保護層を含む偏光子積層体を作製すること;基材に反射防止層を形成し、反射防止積層体を作製すること;および、該偏光子積層体の保護層表面に、該反射防止積層体の基材を貼り合わせること;を含む。
1つの実施形態においては、上記反射防止層はスパッタリングにより形成される。
図1は、本発明の1つの実施形態による反射防止層付偏光板の概略断面図である。反射防止層付偏光板100は、偏光子11および保護層12を有する偏光板10と、基材20と、反射防止層30と、をこの順に備える。基材20は、代表的には、任意の適切な接着層(接着剤層、粘着剤層:図示せず)を介して偏光板20の保護層12に貼り合わせられている。接着層は、代表的には、アクリル系粘着剤層である。反射防止層30は、基材20に直接形成されている。本明細書において「直接」とは接着層が介在しないことを意味する。1つの実施形態においては、基材20は、反射防止層30側の表面にハードコート層および/または密着層(いずれも図示せず)を有していてもよい。この構成も、「反射防止層が基材に直接形成されている」形態に包含される。反射防止層30の表面には、必要に応じて防汚層(図示せず)が設けられてもよい。
B−1.偏光子
偏光子11は、代表的には、二色性物質を含む樹脂フィルムで構成される。
保護層12としては、任意の適切な樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルムの形成材料としては、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂等のシクロオレフィン系樹脂、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等のエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、これらの共重合体樹脂等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル系樹脂」とは、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂をいう。
C−1.基材本体
基材20は、反射防止層30を形成するために用いられる。後述するように、基材に反射防止層を形成し、基材/反射防止層の積層体を偏光板に貼り合わせることにより、偏光板を反射防止層形成プロセス(代表的には、スパッタリング)に供する必要がなくなる。その結果、偏光板が高温に曝されることがなくなるので、偏光板の水分率を上記所望の範囲に維持することができる。
上記のとおり、基材の反射防止層側の表面には、ハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層を形成することにより、基材と反射防止層との密着性が向上し得るという利点がある。さらに、ハードコート層と反射防止層との屈折率差を適切に調整することにより、反射率をさらに低下させることができる。
反射防止層の構成としては、任意の適切な構成が採用され得る。反射防止層の代表的な構成としては、(1)光学膜厚が120nm〜140nmである、屈折率1.35〜1.55程度の低屈折率層の単一層;(2)基材側から順に中屈折率層と高屈折率層と低屈折率層とを有する積層体;(3)高屈折率層と低屈折率層との交互多層積層体;が挙げられる。
本発明の1つの実施形態による反射防止層付偏光板の製造方法は、偏光子および保護層を含む偏光子積層体を作製すること、基材に反射防止層を形成し、反射防止積層体を作製すること、および、該偏光子積層体の保護層表面に、該反射防止積層体の基材を貼り合わせることを含む。
本発明の実施形態による反射防止層付偏光板は、画像表示装置に適用され得る。代表的には、反射防止層付偏光板は、反射防止層が視認側となるようにして画像表示装置の視認側に配置され得る。画像表示装置の代表例としては、液晶表示装置、有機エレクトロルミネセンス(EL)表示装置、量子ドット表示装置が挙げられる。
実施例および比較例で用いた保護層(を構成する樹脂フィルム)を10cmΦの円状に切り出し、測定試料とした。この測定試料について、日立製作所社製「MOCON」を用いて、40℃、90%RHの試験条件で透湿度を測定した。
(2)偏光板の水分率
実施例および比較例で用いた偏光板を100mm×100mmの大きさに切り出し、23℃、55%RHの環境下で72時間以上保管したものを測定試料とし、この測定試料の重量を測定した。このようにして測定した重量を初期重量とした。次いで、この測定試料を120℃で24時間乾燥し、乾燥重量を測定して、下記式により水分率を決定した。なお、下記式において、初期重量および乾燥重量は、それぞれ3回測定を行った平均値を用いた。
水分率(重量%)=〔(初期重量−乾燥重量)/初期重量〕×100
(3)寸法変化率
実施例および比較例で得られた反射防止層付偏光板を、偏光子の吸収軸方向が長辺となるように112mm×65mm(5インチサイズ)に切り出して測定試料とした。この測定試料を65℃および90%RHの環境下に500時間置き、測定試料の長辺方向の寸法変化を、ミツトヨ社製の大型CNC画像測定機(商品名:QV ACCEL808)を用いて測定した。初期長さ(100mm)に対する寸法変化量を寸法変化率とした。なお、膨張した場合(寸法が長くなった場合)を「+」で、収縮した場合(寸法が短くなった場合)を「−」で表記する。
(4)反り
実施例および比較例で得られた反射防止層付偏光板を、偏光子の吸収軸方向が長辺となるように112mm×65mm(5インチサイズ)に切り出して測定試料とした。この測定試料を65℃および90%RHの環境下に500時間置き、反り(カール)を目視により観察した。反りが反射防止層と反対側に凸の場合を「良好」、反射防止層側に凸の場合を「不良」とした。
1.偏光板(偏光子積層体)の作製
樹脂基材として、長尺状で、吸水率0.75%、Tg75℃の非晶質のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート(IPA共重合PET)フィルム(厚み:100μm)を用いた。基材の片面に、コロナ処理を施し、このコロナ処理面に、ポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)およびアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業社製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を9:1の比で含む水溶液を25℃で塗布および乾燥して、厚み11μmのPVA系樹脂層を形成し、積層体を作製した。
得られた積層体を、120℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に2.0倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。
次いで、積層体を、液温30℃の不溶化浴(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(不溶化処理)。
次いで、液温30℃の染色浴に、偏光板が所定の透過率となるようにヨウ素濃度、浸漬時間を調整しながら浸漬させた。本実施例では、水100重量部に対して、ヨウ素を0.2重量部配合し、ヨウ化カリウムを1.5重量部配合して得られたヨウ素水溶液に60秒間浸漬させた(染色処理)。
次いで、液温30℃の架橋浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを3重量部配合し、ホウ酸を3重量部配合して得られたホウ酸水溶液)に30秒間浸漬させた(架橋処理)。
その後、積層体を、液温70℃のホウ酸水溶液(水100重量部に対して、ホウ酸を4重量部配合し、ヨウ化カリウムを5重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させながら、周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に総延伸倍率が5.5倍となるように一軸延伸を行った(水中延伸)。
その後、積層体を液温30℃の洗浄浴(水100重量部に対して、ヨウ化カリウムを4重量部配合して得られた水溶液)に浸漬させた(洗浄処理)。
続いて、積層体のPVA系樹脂層(偏光子)表面に、下記に示す接着剤を硬化後の接着剤層厚みが1.0μmとなるように塗布し、保護層を構成するメタクリル樹脂フィルム(厚み:40μm、透湿度:0.6g/m2/24hr、グルタルイミド構造を有する)を貼り合わせ、当該メタクリル系樹脂フィルム側からIRヒーターを用いて50℃に加温し、下記の紫外線を照射して接着剤を硬化させた。その後、基材をPVA系樹脂層から剥離し、偏光子積層体(偏光子/保護層の構成を有する偏光板)を得た。なお、偏光子の厚みは5μm、単体透過率は42.3%であった。また、得られた偏光板の水分率は1.0重量%であった。
(接着剤組成)
N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)40重量部とアクリロイルモルホリン(ACMO)60重量部と光開始剤「IRGACURE 819」(BASF社製)3重量部を混合し、硬化前の粘度が40mPa・Sの接着剤を調製した。
(紫外線)
活性エネルギー線として、紫外線(ガリウム封入メタルハライドランプ、照射装置:Fusion UV Systems,Inc社製のLight HAMMER10、バルブ:Vバルブ、ピーク照度:1600mW/cm2、積算照射量1000/mJ/cm2(波長380〜440nm))を使用した。なお、紫外線の照度は、Solatell社製のSola−Checkシステムを使用して測定した。
富士フイルム社製のTACフィルム(製品名:TD80−UL、厚み:80μm)の片面にハードコート処理によりハードコート(HC)層(厚み:7μm)を形成することにより、HC−TACフィルム(厚み:87μm)を得た。このHC−TACフィルムを反射防止層形成用基材として用いた。基材のHC層表面に、SiOxからなる密着層(厚み:10nm)をスパッタリングにより形成し、さらに、当該密着層上にNb2O5膜(高屈折率層)、SiO2膜(低屈折率層)、Nb2O5膜(高屈折率層)、およびSiO2膜(低屈折率層)を順次製膜することにより、反射防止層(4層の合計厚み:200nm)を形成した。さらに、反射防止層上にパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物からなる防汚層(厚み:10nm)を形成し、反射防止積層体を作製した。
上記偏光子積層体の偏光子表面に、第1の位相差層として環状オレフィン系フィルム(屈折率特性:nx>ny>nz、面内位相差:116nm)、および、第2の位相差層として変性ポリエチレンフィルム(屈折率特性:nz>nx>ny、面内位相差:35nm)を順次貼り合わせた。貼り合わせには上記と同じ紫外線硬化型接着剤を用いた。なお、第1の位相差層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して0°、第2の位相差層の遅相軸が偏光子の吸収軸に対して90°の角度をなすようにして貼り合わせた。さらに、上記偏光子積層体の保護層(メタクリル系樹脂フィルム)表面に、アクリル系粘着剤(厚み:20μm)を介して、反射防止積層体のHC−TACフィルムを貼り合わせ、反射防止層付偏光板を得た。得られた反射防止層付偏光板を上記(3)および(4)の評価に供した。結果を表1に示す。
偏光板の水分率を0.6重量%としたこと以外は実施例1と同様にして反射防止層付偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
保護層の透湿度を0.2g/m2/24hrとしたこと以外は実施例1と同様にして反射防止層付偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
偏光板の水分率を0.6重量%としたこと以外は実施例3と同様にして反射防止層付偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
偏光板の水分率を2.0重量%としたこと以外は実施例1と同様にして反射防止層付偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
実施例2と同様の偏光子積層体の保護層表面に、アクリル系粘着剤(厚み:20μm)を介して実施例1で用いたHC−TACフィルムを貼り合わせた。得られた積層体のHC−TACフィルム表面に、実施例1と同様にして反射防止層(密着層および防汚層を含む)を形成した。さらに、偏光子表面に、実施例1と同様にして第1の位相差層および第2の位相差層を貼り合わせた。すなわち、偏光板を含む積層体を反射防止層形成プロセスに供する手順を用いて反射防止層付偏光板を作製した。得られた偏光板を実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
11 偏光子
12 保護層
20 基材
30 反射防止層
100 反射防止層付偏光板
Claims (10)
- 偏光子および該偏光子の一方の側に設けられた保護層を有する偏光板と、該保護層に貼り合わせられた基材と、該基材に直接形成された反射防止層と、を備え、
該偏光板の水分率が0.5重量%以上である、
反射防止層付偏光板。 - 前記保護層の透湿度が1.0g/m2/24hr以下である、請求項1に記載の反射防止層付偏光板。
- 前記保護層が(メタ)アクリル系樹脂を含む、請求項2に記載の反射防止層付偏光板。
- 前記基材が、反射防止層側の表面にハードコート層を有する、請求項1から3のいずれかに記載の反射防止層付偏光板。
- 前記偏光子の前記保護層と反対側に、nx>ny>nzの屈折率特性を有する第1の位相差層をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の反射防止層付偏光板。
- 前記第1の位相差層の前記偏光子と反対側に、nz>nx>nyの屈折率特性を有する第2の位相差層をさらに備える、請求項5に記載の反射防止層付偏光板。
- 65℃および90%RHで500時間保持した後の、前記偏光子の吸収軸方向の寸法変化率が、0.10%未満である、請求項1から6のいずれかに記載の反射防止層付偏光板。
- 65℃および90%RHで500時間保持した後に発生し得るカールが、前記反射防止層と反対側に凸である、請求項7に記載の反射防止層付偏光板。
- 請求項1から8のいずれかに記載の反射防止層付偏光板の製造方法であって、
偏光子および保護層を含む偏光子積層体を作製すること、
基材に反射防止層を形成し、反射防止積層体を作製すること、および
該偏光子積層体の保護層表面に、該反射防止積層体の基材を貼り合わせること
を含む、製造方法。 - 前記反射防止層がスパッタリングにより形成される、請求項9に記載の製造方法。
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