JP2019084604A - テーパエンドミルおよびリブ溝の壁面の加工方法 - Google Patents

テーパエンドミルおよびリブ溝の壁面の加工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】加工面の面荒さを保ちつつ取り残し量を少なくできるテーパエンドミルおよび当該テーパエンドミルを用いたリブ溝の壁面の加工方法の提供を目的とする。【解決手段】工作機械に保持されるシャンク部と、シャンク部の先端側に位置し軸線方向に沿ってテーパ状に延びる首部と、首部の先端側に位置する刃部と、を備え、刃部は、軸線に沿って先端側に向かうに従い細くなる先細りのテーパ状に形成される芯厚部と、芯厚部の外周に位置し軸線に沿って螺旋状に延びる複数の外周刃と、を有し、複数の外周刃は、1段の逃げ面で構成される第1の外周刃と、2段の逃げ面で構成される第2の外周刃と、を含む、テーパエンドミル。【選択図】図3A

Description

本発明は、テーパエンドミルおよびリブ溝の壁面の加工方法に関する。
従来、金型のリブ溝加工においては、特許文献1の図1にあるような刃長が長いテーパエンドミルを用いて往復加工が行われている。
特開2002−126929号公報
金型のリブ溝の加工において、テーパエンドミルを用いて往復加工をする場合、加工部分が深くなるに従いエンドミルの撓みが大きくなり取り残し量が増大するという問題があった。一方で、取り残し量を少なくする目的で、外周刃の逃げ面を被削材に対する食いつきの良い1段の逃げ面で構成すると、加工面の面荒さが悪化するという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、加工面の面荒さを保ちつつ取り残し量を少なくできるテーパエンドミルおよび当該テーパエンドミルを用いたリブ溝の壁面の加工方法の提供を目的とする。
本発明の一態様のテーパエンドミルは、工作機械に保持されるシャンク部と、前記シャンク部の先端側に位置し軸線方向に沿ってテーパ状に延びる首部と、前記首部の先端側に位置する刃部と、を備え、前記刃部は、前記軸線に沿って先端側に向かうに従い細くなる先細りのテーパ状に形成される芯厚部と、前記芯厚部の外周に位置し前記軸線に沿って螺旋状に延びる複数の外周刃と、を有し、複数の前記外周刃は、1段の逃げ面で構成される第1の外周刃と、2段の逃げ面で構成される第2の外周刃と、を含む。
上述の構成のテーパエンドミルは、1段の逃げ面で構成される第1の外周刃と、2段の逃げ面で構成される第2の外周刃と、が設けられている。1段の逃げ面で構成される第1の外周刃は、被削材に対する食いつきがよい一方で、第1の外周刃によって加工された加工面は、荒くなりやすい。これに対して、2段の逃げ面で構成される第2の外周面は、加工面の面性状が優れる一方で、被削材に対して食いつきが悪い。上述の構成によれば、第1の外周刃と第2の外周刃とが設けられることで、第1の外周刃によって被削材に対して食いつきを良くし、加工面の取り残し量を減少させるとともに、第2の外周刃によって加工面の面荒さを良好にすることができる。
また、上述のテーパエンドミルにおいて、前記第1の外周刃と前記第2の外周刃とが、周方向に交互に並ぶ。
上述の構成によれば、第1の外周刃と第2の外周刃とが、周方向に交互に並ぶため、第1の外周刃による取り残し量減少の効果と第2の外周刃による面荒さを良好にする効果のバランスを良くして、優れた加工面を形成するテーパエンドミルを提供できる。
また、上述のテーパエンドミルにおいて、前記刃部は、2つの前記第1の外周刃と、2つの前記第2の外周刃と、を含む、4つの前記外周刃を有する構成としてもよい。
上述の構成によれば、外周刃と被削材との接触回数を十分に確保して、取り残し量を減少させることができる。
また、上述のテーパエンドミルにおいて、前記刃部は、前記芯厚部の先端に位置する球状部と、前記球状部の外周に位置する底刃と、を有し、前記底刃は、複数の前記外周刃のうち少なくとも一部と連なる構成としてもよい。
上述の構成によれば、外周刃と底刃とが連なった切刃を構成する。結果として、底刃による切削において形成された切屑を、外周刃同士の間に設けられた切屑排出溝においてスムーズに排出させることができる。
また、上述のテーパエンドミルにおいて、前記第1の外周刃が、前記底刃と連なる構成としてもよい。
上述の構成によれば、底刃に連続する外周刃の逃げ面が1段の逃げ面で構成される。切刃の逃げ面が1段で構成されることで、底刃と外周刃との境界部の近傍において被削材に対する食いつきがよくなる。このため、テーパエンドミルの外周刃の先端側において、被削材に対する食いつきを高めて軸方向に沿う加工面全体において、取り残し量を抑制できる。また、底刃に連なる外周刃が、底刃と同様に一段の逃げ面であるため、エンドミル製造時における逃げ面の研磨工程が容易となり、テーパエンドミルを安価に製造できる。
また、上述のテーパエンドミルにおいて、前記刃部は、軸方向の長さが2mm以上8mm以下であり、前記首部は、軸方向の長さが前記刃部の軸方向の長さ以上であり、前記刃部と前記首部との境界部において、前記首部の直径は、前記外周刃の直径より小さく、前記芯厚部の直径より大きい構成としてもよい。
上述の構成によれば、刃部と首部との境界部において、首部の直径が外周刃の直径より小さく、芯厚部の直径より大きい。境界部において首部の直径が外周刃の直径より小さいため、等高線加工によるリブ溝の壁面の加工において被削材と首部との干渉を確実に抑制できる。また、境界部において首部の直径が芯厚部の直径より大きいため、加工時の首部の撓みを抑制して取り残し量を抑制することができる。なお、首部は先細り状のテーパ状に形成されているため、首部の直径は境界部において最も細くなる。
また、上述のテーパエンドミルには、軸方向の長さが2mm以上8mm以下の刃部と、刃部の軸方向の長さ以上の首部と、が設けられている。刃部を8mm以下とすることで、等高線加工によるリブ溝の壁面の加工において、深さ方向に沿う取り残し量の不均一さを解消することができる。反対に、刃部が長くなりすぎると、深さ方向において外周刃と被削材との接触回数の不均一さが顕著となる。より具体的には、刃部が長くなるに従い、加工領域の下端近傍における外周刃と被削材との接触回数が、上端近傍における接触回数と比較して顕著に少なくなる。被削材において外周刃との接触回数が減少すると、取り残し量が相対的に増加する。このため、刃部が長すぎると、仕上げ加工が施された加工面において、深さ方向に向かうに従い取り残し量が増加する虞がある。加えて、刃部を8mm以下とすることで、首下部において剛性が高い首部を相対的に長くすることができる。これにより、首下部の剛性を高めて首下部の撓みを抑止し、深さ方向における被削材の取り残し量の不均一さを抑制できる。
また、刃部を2mm以上とすることで、等高線加工によるリブ溝の壁面の加工において、取り残し量を十分に抑制することができる。特に仕上げ加工に適用すれば、荒加工により生じた段差を確実に除去することができる。なお、刃部が短すぎると、外周刃と被削材との接触回数が減少し、荒加工により生じた段差の除去が不十分となる虞がある。
また、首部を刃部より長くすることで、十分に深いリブ溝の加工が可能となる。上述したように、首部は、刃部と比較して高剛性であるため、首部を刃部より長くすることで首下部の剛性を高めて撓みを抑止、取り残し量を低減することができる。
また、上述のテーパエンドミルにおいて、前記芯厚部の先端における前記外周刃の直径に対する前記刃部および前記首部の軸線方向の合計の長さの比が、8以上20以下である構成としてもよい。
上述の構成によれば、十分に深いリブ溝の加工を可能とするとともに、首下部の撓みを抑制して取り残し量を低減することができる。
また、上述のテーパエンドミルにおいて、軸方向の任意の点において、テーパ状の前記首部の直径は、テーパ状の前記外周刃の延長面の直径に対して90%以上である構成としてもよい。
上述の構成によれば、首部の直径が十分に太く構成されているため、加工時の首部の撓みを抑制して、取り残し量を抑制することができる。
また、上述のテーパエンドミルにおいて、前記外周刃の捻れ角が40°以上である構成としてもよい。
上述の構成によれば、取り残し量を減少させることができ仕上げ加工に用いる場合には荒加工により生じた段差を十分に除去できる。
本発明の一態様のリブ溝の壁面の加工方法は、上述のテーパエンドミルを用いて等高線加工を行う方法である。
上述の構成によれば、上述のテーパエンドミルを用いることによって、取り残し量を抑制しつつ良好な面荒さの加工面を形成できる。
また、上述のリブ溝の壁面の加工方法において、微小な段差を有するリブ溝の壁面の仕上げ加工を行う方法としてもよい。
上述の加工方法は、荒加工により生じた段差を確実に除去することができるので、微小な段差を有するリブ溝の壁面の仕上げ加工に適用することが効果的である。
一方、本発明の加工方法は荒加工に適用することもできる。リブ溝の荒加工に適用すれば、段差が無い一定の取り残し量の壁面を形成できるので、次工程の仕上げ加工の負荷が低減されるとともに、より高精度のリブ溝の壁面を達成することができる。また、本発明の加工方法を、荒加工、次いで、仕上げ加工のそれぞれに適用すれば、加工能率をより高めることができる。
また、上述のリブ溝の壁面の加工方法において、軸方向の切り込み量を0.025mm以上とする方法としてもよい。
上述の構成によれば、上述のテーパエンドミルを用いたことによって、軸方向の切り込み量を0.025mm以上とした場合であっても、仕上げ加工に用いる場合には荒加工により生じた段差を十分に除去することができる。したがって仕上げ加工に適用する場合、仕上げに要する加工時間を短縮することができる。なお、軸方向の切込み量は0.05mm以上であることがより好ましく、さらに、0.10mm以上であることがさらに好ましく、0.20mm以上であることがさらに好ましい。
本発明によれば、加工面の面荒さを保ちつつ取り残し量を少なくできるテーパエンドミルおよび当該テーパエンドミルを用いたリブ溝の壁面の加工方法を提供できる。
図1は、一実施形態の加工方法に用いられるエンドミルの正面図である。 図2は、一実施形態のエンドミルによる加工工程を示す模式図である。 図3Aは、図1のIII−III線に沿う断面図である。 図3Bは、図3Aの領域Bの拡大図である。 図3Cは、図3Aの領域Cの拡大図である。 図4は、エンドミルの先端近傍の斜視図である。 図5は、切削試験において形成するリブ溝の斜視図である。 図6は、切削試験において、第1の被削材に対するサンプルNo.1〜サンプルNo.4を用いた仕上げ加工後の仕上げ加工面の深さと取り残し量の測定結果の関係を示すグラフである。 図7は、切削試験において、第2の被削材に対するサンプルNo.1〜サンプルNo.4を用いた仕上げ加工後の仕上げ加工面の深さと取り残し量の測定結果の関係を示すグラフである。 図8は、比較例として首下部の略全体に亘って刃部が設けられたエンドミルを例示する模式図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴部分をわかりやすくするために、特徴とならない部分を便宜上省略して図示している場合がある。また、以下の説明では、荒加工より微小な段差が生じたリブ溝の壁面の仕上げ加工を主に説明をしている。
図1は、本実施形態の加工方法に用いられるテーパエンドミル(以下、単にエンドミル)1の正面図である。図2は、エンドミル1による加工工程を模式的に示す図である。図3Aは、図1のIII−III線に沿う断面図である。図3Bは、図3Aの領域Bの拡大図である。図3Cは、図3Aの領域Cの拡大図である。図4は、エンドミル1の先端近傍の斜視図である。
図1に示すように、エンドミル1は、軸線Oを中心として軸線方向に沿って延びる概略円柱の棒体である。エンドミル1は、超硬合金等の硬質材料から構成される。
本明細書において、エンドミル1の軸線Oと平行な方向を単に軸線方向という。また、軸線Oに直交する方向を径方向という。また、軸線O周りに周回する方向を周方向という。周方向のうち、切削加工時にエンドミル1が回転する方向を工具回転方向Tという。また、以下の説明において、特定部位に対して回転方向T側の領域を回転方向前方側とよび回転方向T側と反対側の領域を回転方向後方側と呼ぶ場合がある。
エンドミル1は、エンドミル1を工作機械9の主軸に装着するためのシャンク部3と、シャンク部3の先端側に位置する首下部2と、を有する。
エンドミル1は、シャンク部3において工作機械9の主軸等に把持され、軸線O周りのうち工具回転方向Tに回転させられる。エンドミル1は、金属材料等の被削材の切削加工(転削加工)に使用される。また、エンドミル1は、軸線O周りの回転とともに、軸線Oに交差する方向に送りを与えられて、被削材Wの仕上げ加工を行う。
図2に示すように、エンドミル1は、所定の傾斜角に荒加工された被削材Wの荒加工面8に首下部2を対向配置して等高線加工によって仕上げ加工を行う。被削材Wの荒加工面8には、荒加工を行う工具のツールパスに起因する段差8aが形成されている。エンドミル1は、段差8aを除去するとともに、目標とする面までを用いた仕上げ加工を行う。エンドミル1の被削材Wは、金型であり、エンドミル1によって加工された溝は、リブとなる。すなわち、本実施形態のエンドミル1は、微小な段差を有する金型のリブ溝の壁面の仕上げ加工を行うために用いられる。
本実施形態の加工方法において、軸方向の切り込み量を0.025mm以上としてもよい。以下に説明するエンドミル1を用いる場合には、軸方向の切り込み量を0.025mm以上とした場合であっても、荒加工により生じた段差を十分に除去することができる。これにより、リブ溝の仕上げ加工に要する加工時間を短縮することができる。
エンドミル1の各部について具体的に説明する。
エンドミル1のシャンク部3は、エンドミル1の基端側に位置する。シャンク部3は、工作機械の主軸に把持される部分となるストレートの円柱状部3aと、この円柱状部3aの先端側にあって、漸次縮径する円錐台状部3bとからなっている。すなわち、シャンク部3は、円柱状部3aと円錐台状部3bを合わせた部分である。円錐台状部3bの先端側は、首下部2の基端側と同径となって首下部2につながっている。
首下部2は、シャンク部3の先端側に位置する。首下部2は、先細りのテーパ状である。すなわち、エンドミル1は、首下部2において、軸線O方向に沿って先細りのテーパ状に延びる。首下部2は、エンドミル1を用いた等高線加工により形成された加工面に対向する領域である。
首下部2には、先端側(すなわちシャンク部3と反対側)に位置する刃部20と、基端側(すなわち刃部20とシャンク部3との間)に位置する首部10と、が設けられている。すなわち、刃部20は、首部10の先端側に位置する。
シャンク部3と首下部2との境界からエンドミル1の先端までの長さが首下部2の長さLである。すなわち、首下部2の長さLとは、刃部20および首部10の軸線方向の合計の長さである。本実施形態において、首下部2の長さLは例えば17mmである。
首下部2において、首部10と刃部20との境界から先端までの長さが、刃部20の長さNである。本実施形態において、刃部20の長さNは、例えば4mmである。刃部20および首部10は、ともにテーパ形状を有する。刃部20のテーパ角θ20および首部10のテーパ角θ10は、互いに一致している。刃部20のテーパ角θ20および首部10のテーパ角θ10は、例えば0.5°である。
刃部20は、軸方向に沿ってエンドミル1の先端側に向かうに従い細くなる先細りのテーパ状に形成される芯厚部22と、芯厚部22の先端に位置する球状部23と、芯厚部22および球状部23の外周に設けられた切刃21と、を有する。
切刃21は、テーパ状の芯厚部22の外周面に位置する外周刃21aと、球状部23の外周面に位置する底刃21bと、に区分される。すなわち、刃部20は、外周刃21aと底刃21bとを有する。外周刃21aは、軸方向に沿って螺旋状に延びる。外周刃21aは、刃部20に4つ設けられている。4つの外周刃21aは、周方向に沿って等間隔に並んでいる。底刃21bは、球状部23の外周面において径方向に沿って延びる。底刃21bは、刃部20に2つ設けられている。2つの底刃21bは、周方向に沿って等間隔に並んでいる。すなわち、刃部20は、テーパ状の芯厚部22と、芯厚部22の外周に位置し軸方向に沿って螺旋状に延びる4つの外周刃21aと、芯厚部22の先端に位置する球状部23の外周に位置する2つの底刃21bと、を有する。図4に示すように、4つの外周刃21aのうち2つの外周刃21aは、底刃21bと滑らかに連続する。また、残る2つの外周刃21aは、底刃21bと連続せず先端近傍で途切れている。
外周刃21aは、軸方向に沿って螺旋状に延びる。外周刃21aは、エンドミル1の先端面から基端側へ向かうに従い工具回転方向Tとは反対側へ向かって一定の捻れ角φで螺旋状に捻れている。
図1に示すように、切刃21同士の間には、切屑排出溝24が構成される。本実施形態において、切屑排出溝24は、芯厚部22に対応する部分で4条設けられ、球状部23に対応する部分で2条設けられている。複数の切屑排出溝24は、周方向に等間隔に形成されている。切屑排出溝24は、軸方向に沿って一定の捻れ角で螺旋状に捻れている。切屑排出溝24の捻れ角は、外周刃21aの捻れ角φと一致する。切屑排出溝24は、刃部20の基端側の端部において、エンドミル1の外周に切り上がっている。
図3Aに示すように、切屑排出溝24の回転方向後方側の端縁に切刃21が形成されている。すなわち、切屑排出溝24は、切刃21(外周刃21aおよび底刃21b)の回転方向前方側に位置する。切屑排出溝24の壁面は、底面24aとすくい面24bとを含む。
底面24aは、切屑排出溝24において軸線Oに対し径方向外側を向く面である。また、すくい面24bは、切屑排出溝24において工具回転方向Tを向く壁面である。なお、すくい面24bは、外周刃21aに連なって形成される外周すくい面と、底刃21bに連なって形成される先端すくい面と、を含む。
外周刃21aは、刃部20の外周面において、すくい面24bと逃げ面25との交差稜線に形成されている。逃げ面25は、切屑排出溝24に対し回転方向後方側に隣接する面である。逃げ面25は、外周刃21aの回転方向後方側において外周刃21aから切屑排出溝24に向かって周方向に1連なりに延びる。
4つの外周刃21aは、逃げ面25の構成の違いから、2つの第1の外周刃26と、2つの第2の外周刃27と、に分類される。すなわち、複数(本実施形態では4つ)の外周刃21aは、第1の外周刃26と、第2の外周刃27と、を含む。第1の外周刃26と第2の外周刃27とは、周方向に交互に並ぶ。
図3Bは、第1の外周刃26の拡大断面図である。第1の外周刃26は、1段の逃げ面25Aで構成される。第1の外周刃26の逃げ面25Aは、周方向において第1の外周刃26から切屑排出溝24まで延びる。第1の外周刃26の逃げ面25Aは、2段目の逃げ面で構成されておらず、1段の逃げ面で構成される。第1の外周刃26の逃げ面25Aは、エンドミル1の横断面において、軸線Oを中心とする仮想円に対して偏心する円形状に構成されている。第1の外周刃26の逃げ面25Aの逃げ角αは、例えば15°である。
なお、本明細書において、逃げ面の逃げ角は、軸線Oに直交する切断面において測定される。測定時には、まず外周刃の先端を結ぶ仮想円を求め、測定対象の外周刃の先端を通過する仮想円の接線に対して、逃げ面の角度を求める。
図3Cは、第2の外周刃27の拡大断面図である。第2の外周刃27は、2段の逃げ面25Bで構成される。第2の外周刃27の逃げ面25Bは、周方向において第2の外周刃27から切屑排出溝24まで延びる。第2の外周刃27の逃げ面25Bは、周方向に沿って並ぶ第1領域28および第2領域29を有する。第1領域28は、第2の外周刃27側に位置する。また、第2領域29は、切屑排出溝24側に位置する。第1領域28および第2領域29は、それぞれエンドミル1の横断面において、軸線Oを中心とする仮想円に対して偏心する円形状に構成されている。第1領域28と第2領域29とは、それぞれ互いに異なる偏心する円形状に構成されている。第2の外周刃27の逃げ面25Bにおいて、第1領域28の逃げ角βは、例えば5°である。また、第2の外周刃27の逃げ面25Bにおいて、第2領域29の逃げ角γは、例えば15°である。すなわち、第2領域29の逃げ角γは、第1領域28の逃げ角βより大きい。
2段の逃げ面25Bで構成される第2の外周刃27は、微小な1段目の逃げ面(第1領域28)が加工面に接触して擦れることで、加工面に形成された傷や凹凸を平滑にでき、加工面精度を向上させる。しかしながら、第2の外周刃27は、2段の逃げ面25Bを構成するため、先端の刃物角が十分に鋭利にならず、このために加工面に対する食いつきがよくなく、加工面の取り残し量が増加しやすくなる。したがって、第2の外周刃27を用いた切削加工では、加工面精度を向上させる一方で、加工面の取り残し量が増加しやすくなる。
一方で、1段の逃げ面25Aで構成される第1の外周刃26は、1段の逃げ面25Aで構成されることで、先端の刃物角が十分に鋭利になるため、被削材に対する食いつきがよくなる。しかしながら、第1の外周刃26は、逃げ面25Aが加工面に接触し難くなるため、加工面を平滑にし難く、加工面精度が低下する。したがって、第1の外周刃26を用いた切削加工では、加工面の取り残し量が減少しやすくなる一方で、加工面精度が低下しやすくなる。
本実施形態のエンドミル1は、1段の逃げ面25Aで構成される第1の外周刃26と、2段の逃げ面25Bで構成される第2の外周刃27と、が設けられている。このため、外周刃21aは、第1の外周刃26によって被削材に対して食いつきを良くし加工面の取り残し量を減少させるとともに、第2の外周刃27によって加工面の面荒さを良好にすることができる。結果として、本実施形態のエンドミル1によれば、取り残し量および面荒さに優れた加工面を形成することができる。
本実施形態によれば、第1の外周刃26と第2の外周刃27とが、周方向に沿って交互に並ぶ。このため、第1の外周刃26による取り残し量減少の効果と第2の外周刃27による面荒さを良好にする効果のバランスを良くして、優れた加工面を形成するエンドミル1を提供できる。
図4に示すように、底刃21bは、それぞれ4つの外周刃21aのうち第1の外周刃26に連なる。なお、底刃21bは、ボール刃の回転方向後方側に形成される二番面と、この二番面に回転方向後方側に連続して形成され、二番面と異なる面をなる三番面とを有する。更に、三番面に回転方向後方側に連続して形成され、三番面と異なる面をなる四番面を有しても良い。
上述したように、第1の外周刃26は、1段の逃げ面25Aで構成されている。そして、底刃21bの逃げ面25Cと第1の外周刃26の逃げ面25Aは、連なっている。
図4に示す様に、エンドミル1は、第1の外周刃26と底刃21bとの境界部において、外周に第2の外周刃27を有さず第1の外周刃26のみが設けられた2枚刃領域Aを有する。2枚刃領域Aは、第1の外周刃26のみが設けられているため、加工面に対する食いつきがよい。
本実施形態によれば、底刃21bに連続する外周刃(第1の外周刃26)の逃げ面は1段の逃げ面で構成される。第1の外周刃26の逃げ面が1段で構成されることで、底刃と外周刃との境界部の近傍(2枚刃領域A)において被削材に対する食いつきがよい。このため、エンドミル1の外周刃の先端側において、被削材に対する食いつきを高めて軸方向に沿う加工面全体において、取り残し量を抑制できる。また、底刃21bに連なる第1の外周刃26が、底刃21bと同様に一段の逃げ面25Aであるため、エンドミル製造時における逃げ面25A、25Cの研磨工程が容易となり、エンドミル1を安価に製造できる。
本実施形態によれば、底刃21bは、複数の外周刃21aのうち少なくとも一部と連なり切刃21を構成できる。結果として、底刃21bによる切削において形成された切屑を、外周刃21a同士の間に設けられた切屑排出溝24においてスムーズに排出させることができる。
なお、外周刃および底刃は、エキセントリック刃付けの逃げ面にすることで、逃げ面の仕上げ面荒さが向上するのと同時に、刃先強度を高めることができる。
図2に示すように、外周刃21aは、テーパ刃である。したがって、外周刃21aの直径は、軸線O方向に沿って先端側に向かうに従って小さくなっている。外周刃21aが軸線O周りに回転して形成される回転軌跡は、軸線Oを中心とする1つの円錐面となる。なお、本明細書において、切刃21(外周刃21aおよび底刃21b)の直径とは、該当部分における切刃21の回転軌跡の直径を意味する。
底刃21bは、エンドミル1の先端外周側へ向けて凸となる凸円弧状である。エンドミル1の側面視において、底刃21bが軸線O周りに回転して形成される回転軌跡は、軸線O状の中心点を中心とする1つの半球面となる。外周刃21aの直径は、底刃21bと外周刃21aとの境界部において最も小さくなる。外周刃21aの最小の直径D(図2参照)は、底刃21bの回転軌跡が構成する半球面の直径と一致する。
本実施形態において、刃部20と首部10との境界部15において、首部10の直径が、外周刃21aの直径より小さく、芯厚部22の直径より大きい。境界部15の首部10の直径が、境界部15の外周刃21aの直径より小さいため、等高線加工によるリブ溝の壁面の仕上げ加工において被削材Wと首部10との干渉を確実に抑制できる。また、境界部15の首部10の直径が、境界部15の芯厚部22の直径より大きいため、首部10の剛性を刃部20と比較して高くすることができる。首下部2において首部10は、基端側に位置するため、首部10の剛性を高めることで首下部2の撓みを効果的に抑制することができ、被削材Wの加工面における取り残し量を低減することができる。
本実施形態において、首部10の軸方向の長さMは、刃部20の軸方向の長さN以上であることが好ましい。これにより、エンドミル1は、刃部20の長さに対して2倍以上の十分に深いリブ溝の仕上げ加工を行うことができる。また上述したように、首部10は、刃部20と比較して剛性が高い。首部10の軸方向の長さMを刃部20の軸方向の長さNより長くすることで、首下部2の剛性を高くすることができ、首下部2の撓みを抑制できる。これにより、被削材Wの加工面における取り残し量を低減することができる。
本実施形態において、刃部20の軸方向の長さNが2mm以上8mm以下であることが好ましい。また、刃部20の軸方向の長さNが、3mm以上5mm以下とすることがより好ましい。
比較例として、図8は、首下部902の略全体に亘って刃部920が設けられたエンドミル901の模式図を示す。比較例のエンドミル901は、首下部902の長さLが17mmであり、刃部920の長さNが16mmである。比較例のエンドミル901を用いて軸方向の切り込み量0.025mmの等高線加工によって、深さ16mmのリブ溝の壁面の仕上げを行うと、加工面の上端では、外周刃と被削材とが640回接触する。一方で、加工面の下端近傍(例えば下端から4mm上側)では、外周刃と被削材が160回しか接触しない。このため、比較例のエンドミル901を用いた仕上げ加工では、加工面の取り残し量が深さ方向に下側に向かうに従い増大する。
これに対して、本実施形態のエンドミル1は、図2に示すように、刃部20が軸方向の長さNが8mm以下(より好ましくは5mm以下)であるため、深さ方向における取り残し量の不均一さを解消することができる。すなわち、本実施形態のエンドミル1を用いたリブ溝の壁面の仕上げ加工方法によれば、被削材Wの加工面の取り残し量を深さ方向に沿って均一にすることができる。なお、被削材Wの加工面の取り残し量が軸方向にそって均一である場合には、エンドミル1のパスラインを、取り残し量を減少する方向にオフセットさせることで、取り残し量を全体的に少なくすることができる。
本実施形態によれば、刃部20を2mm以上(より好ましくは3mm以上)とすることで、等高線加工によるリブ溝の壁面の仕上げ加工において、取り残し量を十分に抑制することができ、荒加工により生じた段差を確実に除去することができる。なお、刃部が短すぎると、外周刃と被削材との接触回数が減少し、荒加工により生じた段差の除去が不十分となる虞がある。
本実施形態のエンドミル1において、外周刃21aの先端の直径Dに対する首下部2の軸方向の長さLの比(L/D)が、8以上20以下であることが好ましい。L/Dを8以上とすることによって、十分に深いリブ溝の仕上げ加工が可能となる。また、L/Dを20以下とすることによって、首下部2の撓みを抑制でき被削材Wの加工面における取り残し量を低減することができる。
なお、本実施形態において、外周刃21aの先端の直径は、例えば1mmであり、首下部2の軸方向の長さLは、例えば17mmである。したがって、本実施形態のエンドミル1のL/Dは、例えば17である。
図2に示すように、テーパ状の外周刃21aの延長面VSを定義する。外周刃21aの回転軌跡は、先端側に向かって先細りのテーパ状の円錐面である。延長面VSは、外周刃21aの回転軌跡が構成する円柱面を基端側に延長する面である。したがって、延長面VSは、テーパ状の円錐面である。
本実施形態のエンドミル1において、軸方向の任意の点において、テーパ状の首部10の直径は、延長面VSの直径に対して90%以上であることが好ましい。
軸方向の任意の点として、外周刃21aの先端(すなわち外周刃21aと底刃21bとの境界部)から基端側に距離Xの点について考える。
距離Xの点における延長面VSの直径D20は、外周刃21aの先端の直径Dおよび外周刃21aのテーパ角θ20を用いて、以下の式により表される。
D20=D+2Xtanθ20
このような延長面VSの直径D20に対して、テーパ状の首部10の直径D10を90%以上(すなわちD10≧0.9×D20)とすることが好ましい。
外周刃21aの先端の直径Dを1mm(D=1mm)、外周刃21aおよび首部10のテーパ角θ20、θ10を0.5°(θ10=θ20=0.5°)の場合、距離X=10mmにおける延長面VSおよび首部10の直径D20、D10は、概ね以下のようになる。
D20=1.174
D10≧1.056
一般的にテーパエンドミルにおいて、芯厚部22の直径は、外周刃の直径に対して80%程度とされる。本実施形態によれば、首部10の直径D10を、外周刃21aを延長した延長面の直径D20に対して90%以上とすることで、首部10の剛性を刃部20に対して十分に高めて、首下部2全体の剛性を高めることができる。これにより、被削材Wの加工面における取り残し量を低減することができる。
本実施形態のエンドミル1において、刃部20は、周方向に沿って並ぶ4つの外周刃21aを有する。外周刃21aは、刃部20に4つ以上設けられていることが好ましい。外周刃21aを増加させることで、被削材Wに対する外周刃21aの接触回数が増加する。上述したように、被削材Wと外周刃21aとの接触回数は、取り残し量に影響を与えるため、外周刃21aを4つ以上とすることで、取り残し量を減少させることができ、荒加工により生じた段差を効果的に除去することができる。なお、切屑排出溝24の幅を十分に確保する観点から、外周刃21aの数は、4つであることが最も好ましい。
本実施形態のエンドミル1において、外周刃21aの捻れ角φ(図1参照)を40°以上としてもよい。外周刃21aの捻れ角φを40°以上とする場合には、取り残し量を減少させることができ荒加工により生じた段差を十分に除去できる。
なお本実施形態では、エンドミル1をリブ溝の壁面の仕上げ加工に使用する場合について説明した。しかしながら、エンドミル1は、リブ溝の壁面の荒加工に用いてもよい。この場合には、荒加工後の壁面(荒加工面)の段差を小さくすることができ、結果として仕上げ加工後の壁面(仕上げ加工面)の取り残し量を深さ方向において均一に近づけることができる。
以下、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
リブ溝の加工において、上述の第1の外周刃および第2の外周刃を有するエンドミルの効果を確認する切削試験を行った。
図5に本試験において形成するリブ溝Gの斜視図を示す。この試験では、深さ16mmの十字状のリブ溝を形成する。リブ溝の勾配角は、0.5°である。また、リブ溝の底幅は、1.1mmである。
本試験において2種類の被削材(第1の被削材および第2の被削材)に対してリブ溝の加工を行った。第1の被削材としては、プラスチック金型用鋼であるSTAVAX(登録商標)のロックウェル硬さHRC52のものを用いた。第2の被削材としては、プラスチック金型用鋼であるNAK80(登録商標)を用いた。
(荒加工)
まず、リブ溝の壁面の荒加工について説明する。荒加工は、3種類の工具を用いて深さ方向を3段階に分けて加工を行った。なお、この試験において、荒加工では、最終的な加工面(仕上げ加工を行った後の加工面)に対して、仕上げ加工における取り代を30μm残した荒加工面を形成する。
まず、溝の開口から深さ6mmまでの領域を、首下長さ6mmのボールエンドミルを用いて加工する。ボールエンドミルとしては、三菱日立ツール社製のEPDBPE2010-6-04-ATHを用いた。
次いで、深さ6mmの領域から深さ10mmまでの領域を首下長さ10mmのボールエンドミルを用いて加工する。ボールエンドミルとしては、三菱日立ツール社製のEPDBPE2010-10-04-ATHを用いた。
次いで、深さ10mmの領域から深さ16mmまでの領域を首下長さ15mmのボールエンドミルを用いて加工する。ボールエンドミルとしては、三菱日立ツール社製のEPDBPE2010-15-04-ATHを用いた。
(仕上げ加工)
荒加工面に対して、外周刃および底刃の構成が異なるサンプルNo.1〜サンプルNo.4のエンドミルを用いて仕上げ加工を行い最終的な加工面(以下、仕上げ加工面と呼ぶ)を形成した。
サンプルNo.1〜サンプルNo.4のエンドミルの外周刃および底刃の構成と、仕上げ面の評価結果について表1にまとめて示す。なお、サンプルNo.1〜サンプルNo.4のエンドミルの先端の直径Dは、1mm、刃部の長さは、4mm、首下部の長さLは17mm、外周刃のテーパ角度は、0.5°、外周刃の捻れ角は、40°である。また、サンプルNo.1〜サンプルNo.4のエンドミルによる仕上げ加工において、回転数は、10820[/min]、送り量は424[mm/min]、切り込み量は0.025[mm]、加工深さは16[mm]、取り代は0.03[mm]である。
Figure 2019084604
表1において、(1段)とは、外周刃が1段の逃げ面で構成さえることを意味し、(2段)とは、外周刃が2段の逃げ面で構成されることを意味する。
また、各サンプルにおける取り残し量および面荒さについて上段および下段の測定結果を別々に示す。仕上げ加工面の深さ方向の取り残し量の測定範囲は、深さ0mmから深さ5mmの範囲を上段とし、深さ10mmから15mmの範囲を下段とする。
サンプルNo.1のエンドミルは、第1の外周刃および第2の外周刃が1段の逃げ面で構成され、逃げ角が15°である。サンプルNo.1のエンドミルにおいて、第1の外周刃と第2外周刃との形状は、同じである。
サンプルNo.2のエンドミルは、第1の外周刃が1段の逃げ面で構成され、逃げ角が15°である。また、第2の外周刃は、2段の逃げ面で構成され、刃先に近い第1領域の逃げ角が5°であり、第1領域より刃先から遠い第2領域の逃げ角が15°である。
サンプルNo.3のエンドミルは、第1の外周刃が2段の逃げ面で構成され、刃先に近い第1領域の逃げ角が5°であり、第1領域より刃先から遠い第2領域の逃げ角が15°である。また、第2の外周刃は、1段の逃げ面で構成され、逃げ角が15°である。
サンプルNo.4のエンドミルは、第1の外周刃および第2の外周刃は、2段の逃げ面で構成され、刃先に近い第1領域の逃げ角が5°であり、第1領域より刃先から遠い第2領域の逃げ角が15°である。サンプルNo.4のエンドミルにおいて、第1の外周刃と第2外周刃との形状が同じである。
図6は、第1の被削材に対するサンプルNo.1〜サンプルNo.4を用いた仕上げ加工後の仕上げ加工面の深さと取り残し量の測定結果の関係を示すグラフである。図7は、第2の被削材に対するサンプルNo.1〜サンプルNo.4を用いた仕上げ加工後の仕上げ加工面の深さと取り残し量の測定結果の関係を示すグラフである。
サンプルNo.1のエンドミルで形成された加工面は、図6および図7に示すように、何れの被削材に対しても、他のサンプルのエンドミルで形成された加工面と比較して、取り残し量が小さい。一方で、表1に示すように、サンプルNo.1のエンドミルで形成された加工面は、何れの被削材に対しても、他のサンプルのエンドミルで形成された加工面と比較して、面荒さが大きくなっている。
また、図6、図7および表1に示すようにサンプルNo.1のエンドミルで形成された加工面は、上段および下段においても、比較的取り残し量が小さい。これは、サンプルNo.1のエンドミルの外周刃が、1段の逃げ面で構成されているために、深さ方向全域において加工面に対して食いつきがよいためであると考えられる。
サンプルNo.4のエンドミルで形成された加工面は、図6および図7に示すように、何れの被削材に対しても、他のサンプルのエンドミルで形成された加工面と比較して、取り残し量が大きくなっている。一方で、表1に示すように、サンプルNo.4のエンドミルで形成された加工面は、何れの被削材に対しても、他のサンプルのエンドミルで形成された加工面と比較して、面荒さが小さい。
また、図6、図7および表1に示すようにサンプルNo.4のエンドミルで形成された加工面は、上段における取り残し量と比較して、下段における取り残し量が大きい。これは、サンプルNo.4のエンドミルの外周刃が、2段の逃げ面で構成されているために、深さ方向全域において加工面に対して食いつきがよくなく、特に先端においてエンドミルに撓みが生じたためであると考えられる。
このように、サンプルNo.1およびサンプルNo.4のエンドミルで形成された加工面では、取り残し量又は面荒さの何れか一方の特性が悪い。これに対して、サンプルNo.2およびサンプルNo.3のエンドミルで形成された加工面は、取り残し量および面荒さの特性のバランスが良い。サンプルNo.2およびサンプルNo.3のエンドミルのように1段の逃げ面で構成される外周刃と、2段の逃げ面で構成される外周刃とが、設けられたエンドミルを用いることで、取り残し量又は面荒さの何れについても良好な特性を示す。
表1に示すように、サンプルNo.2のエンドミルで形成された加工面は、サンプルNo.3のエンドミルで形成された加工面と比較して、取り残し量が小さい一方で、面荒さが大きい。サンプルNo.2およびサンプルNo.3の比較において、面荒さの差は小さく、取り残し量の差が大きい。したがって、サンプルNo.2は、サンプルNo.3に対して優れた特性を有すると言える。これは、サンプルNo.2においては、底刃に連なる第1の外周刃が、1段の逃げ面で構成されるため、底刃と第1の外周刃との境界部(すなわち、エンドミル先端の近傍)において被削材に対する食いつきを高めて、結果としてエンドミルの軸方向に沿う加工面全体において、取り残し量を抑制しているためであると考えられる。このことは、表1を参照し、サンプルNo.2のエンドミルで形成された加工面において、下段においても取り残し量が十分に抑制されていることからも確認できる。
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
1…エンドミル、2…首下部、3…シャンク部、9…工作機械、10…首部、15…境界部、20…刃部、21a…外周刃、21b…底刃、22…芯厚部、23…球状部、24…切屑排出溝、25,25A,25B,25C…逃げ面、26…第1の外周刃、27…第2の外周刃、D,D10,D20…直径、G…リブ溝、L…首下部の軸方向の長さ,M…首部の軸方向の長さ,N…刃部の軸方向の長さ、VS…延長面、φ…捻れ角

Claims (12)

  1. 工作機械に保持されるシャンク部と、前記シャンク部の先端側に位置し軸線方向に沿ってテーパ状に延びる首部と、前記首部の先端側に位置する刃部と、を備え、
    前記刃部は、
    前記軸線に沿って先端側に向かうに従い細くなる先細りのテーパ状に形成される芯厚部と、
    前記芯厚部の外周に位置し前記軸線に沿って螺旋状に延びる複数の外周刃と、を有し、
    複数の前記外周刃は、
    1段の逃げ面から構成される第1の外周刃と、
    2段の逃げ面から構成される第2の外周刃と、を含む、
    テーパエンドミル。
  2. 前記第1の外周刃と前記第2の外周刃とが、周方向に交互に並ぶ、
    請求項1に記載のテーパエンドミル。
  3. 前記刃部は、2つの前記第1の外周刃と、2つの前記第2の外周刃と、を含む、4つの前記外周刃を有する、
    請求項1又は2に記載のテーパエンドミル。
  4. 前記刃部は、前記芯厚部の先端に位置する球状部と、前記球状部の外周に位置する底刃と、を有し、
    前記底刃は、複数の前記外周刃のうち少なくとも一部と連なる、
    請求項1〜3の何れか一項に記載のテーパエンドミル。
  5. 前記第1の外周刃が、前記底刃と連なる、
    請求項4に記載のテーパエンドミル。
  6. 前記刃部は、軸方向の長さが2mm以上8mm以下であり、
    前記首部は、軸方向の長さが前記刃部の軸方向の長さ以上であり、
    前記刃部と前記首部との境界部において、前記首部の直径は、前記外周刃の直径より小さく、前記芯厚部の直径より大きい、
    請求項1〜5の何れか一項に記載のテーパエンドミル。
  7. 前記芯厚部の先端における前記外周刃の直径に対する前記刃部および前記首部の軸線方向の合計の長さの比が、8以上20以下である、
    請求項6に記載のテーパエンドミル。
  8. 軸方向の任意の点において、テーパ状の前記首部の直径は、テーパ状の前記外周刃の延長面の直径に対して90%以上である、
    請求項6又は7に記載のテーパエンドミル。
  9. 前記外周刃の捻れ角が40°以上である、
    請求項6〜8の何れか一項に記載のテーパエンドミル。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載のテーパエンドミルを用いたリブ溝の壁面の加工方法であって、
    前記テーパエンドミルを用いて等高線加工を行う、
    リブ溝の壁面の加工方法。
  11. 微小な段差を有するリブ溝の壁面の仕上げ加工を行う、
    請求項10に記載のリブ溝の壁面の加工方法。
  12. 軸方向の切り込み量を0.025mm以上とする、
    請求項11に記載のリブ溝の壁面の加工方法。
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