JP7481617B2 - 加工方法および金型の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、加工方法および金型の製造方法に関するものである。
3軸加工機による金型等の切削加工に用いられるエンドミルとしては、例えば特許文献1に記載されているようなボールエンドミルが知られている。このようなボールエンドミルは、回転軌跡が半球状をなす底刃と、底刃に連なる螺旋状の外周刃と、を備えている。
特開平5-337718号公報
ボールエンドミルは、曲面を有する加工対象の加工に用いられる。3軸加工機による加工では、ボールエンドミルの工具経路と直交する方向に所定の送り量(ピックフィード)で送りを与えて加工される。この場合、加工面の粗さは、ピックフィード間の段差高さ(以下、カスプハイトと呼ぶ)に依存する。このため、加工面粗さを向上させるためには、ピックフィードを小さくするか、大径のエンドミルを用いることが考えられる。しかしながら、ピックフィードを小さくすると加工時間が長くなり、また、狭小部分を加工する場合にはボールエンドミルの大径化には限界がある。
本発明は、このような背景の下になされたもので、加工コストを抑制しつつカスプハイトを抑制した平坦面を形成できる加工方法の提供を目的としている。
本発明の加工方法の一態様は、第1工具、第2工具および第3工具を用いて加工対象を加工する加工方法であって、前記第1工具、前記第2工具および前記第3工具は、軸線回りの回転軌跡が、それぞれの前記軸線に沿った断面においてエンドミル本体の外周側に凸となる凸曲線状の切刃を有しており、それぞれの前記切刃の径方向すくい角が-20°以上で0°以下とされており、前記第1工具と前記第2工具は、前記切刃の回転軌跡の凸曲線の中心が前記軸線に対し前記切刃の反対側に位置しており、かつ、前記軸線から前記凸曲線の中心までの距離が、前記第1工具の方が前記第2工具より離れており、前記第3工具は、前記切刃の回転軌跡の凸曲線の中心が前記軸線上に位置しており、前記加工対象は、深さ方向に対する傾斜角度が、0°以上第1角度以下である第1領域と、前記第1角度以上、第2角度以下である第2領域と、前記第2角度以上、90°以下である第3領域と、を有し、前記第1領域に対しては、前記第1工具を選択して加工を行い、前記第2領域に対しては、前記第2工具を選択して加工を行い、前記第3領域に対しては、前記第3工具を選択して加工を行う。
一般的なボールエンドミルは、先端の曲率半径が切刃の最大直径の1/2と等しい。
これに対し、上述の加工方法において、第1工具と第2工具は、切刃の回転軌跡の凸曲線の中心が軸線に対し切刃の反対側に位置する。また、第3工具は、切刃の回転軌跡の曲率半径がエンドミル本体の外径の1/2より大きい。すなわち、第1、第2および第3工具は、切刃の回転軌跡がなす凸曲線の曲率半径が、切刃の最大直径の1/2よりも大きい。これにより、第1、第2および第3工具は、切刃の最大直径を抑制することで狭小部分に挿入可能としつつ、ピックフィードを大きく確保した場合であってもカスプハイトを抑制することができる。このため、上述の構成の加工方法によれば、加工コストを抑制しつつカスプハイトを抑制した平坦面を形成できる。
さらに、上述の構成によれば、加工対象の傾斜角度によって、最適な工具(エンドミル)を使い分けることで、各領域におけるカプスハイトを抑制できる。すなわち、第1~第3工具は、加工対象の深さ方向(すなわち各工具の回転軸線)に対する傾斜角度が、小さい場合、大きい場合、その間の場合、とで、カプスハイトを抑制できるように、回転軌跡の凸曲面が構成されている。
さらに本発明は、前記第1工具は、前記エンドミル本体として第1の軸線回りに回転される第1のエンドミル本体と、前記切刃として前記第1のエンドミル本体の外周に設けられる第1の外周刃を有する第1の切刃と、を備え、前記第1の外周刃は、前記第1の軸線回りの回転軌跡の前記第1の軸線に沿った断面が、前記第1のエンドミル本体の外周側に凸となる凸曲線状をなしていて、前記第1の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、前記第1の切刃の最大直径である前記第1の切刃の外径の1/2よりも大きく、かつ3倍以下とされており、前記第1の外周刃は前記第1のエンドミル本体の後端側に向かうに従いエンドミル回転方向とは反対側に捩れていて、前記第1の外周刃の捩れ角が20°以上とされる、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第1工具は、前記第1の外周刃の捩れ角が40°以上とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第1工具は、前記第1の外周刃の径方向すくい角が-10°以上で-3°以下とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第1工具は、前記第1の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線が前記第1のエンドミル本体の先端側に向かうに従い漸次内周側に向かって延びている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第1工具は、前記第1の外周刃が形成された部分の前記第1の軸線に直交する断面における前記第1のエンドミル本体の芯厚が同じ断面における前記第1の外周刃の直径の70%以上で85%以下とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第1の外周刃の前記第1の軸線方向の長さが、前記第1の切刃の外径の0.75倍以上で2倍以下の範囲内とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第1工具は、前記第1の切刃が前記第1のエンドミル本体の先端部に、前記第1の軸線回りの回転軌跡の前記第1の軸線に沿った断面が前記第1の軸線上に中心を有して前記第1の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の先端に接する凸曲線状をなす第1の底刃をさらに有しており、前記第1の底刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径に対して、前記第1の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、5倍以上で20倍以下の範囲内とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記エンドミル本体として第2の軸線回りに回転される第2のエンドミル本体と、前記切刃として前記第2のエンドミル本体の外周に設けられる第2の外周刃を有する第2の切刃と、を備え、前記第2の外周刃は、前記第2の軸線回りの回転軌跡の前記第2の軸線に沿った断面が、前記第2のエンドミル本体の外周側に凸となる凸曲線状をなしていて、前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、前記第2の切刃の最大直径である前記第2の切刃の外径の1/2よりも大きく、かつ3倍以下とされるとともに、前記第2の軸線に沿った断面において、前記第2の外周刃の回転軌跡の凸曲線の中心は、前記第2の外周刃に対して前記第2の軸線を間にして反対側に位置しており、前記第2の外周刃は前記第2のエンドミル本体の後端側に向かうに従いエンドミル回転方向とは反対側に捩れていて、前記第2の外周刃の捩れ角が20°以上とされる、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線が前記第2のエンドミル本体の先端側に向かうに従い漸次内周側に向かって延びている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記第2の軸線回りの回転軌跡の前記第2の軸線に沿った断面において、前記第2の外周刃の回転軌跡がなす凸曲線の延長線と前記第2の切刃の最大直径の位置を通り前記第2の軸線に平行な直線との交点と、前記第2の外周刃の回転軌跡がなす凸曲線の内周端とを結ぶ仮想テーパ線が前記第2の軸線に対してなす仮想テーパ角が25°以上で65°以下の範囲内とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記第2の軸線に沿った断面において、前記第2の外周刃の回転軌跡の凸曲線の中心が、前記第2の外周刃に対して前記第2の軸線を間にして反対側の前記第2の切刃の最大直径の位置を通り前記第2の軸線に平行な直線よりも内周側に位置している、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記第2の外周刃の捩れ角が40°以上とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記第2の外周刃の径方向すくい角が-10°以上で-3°以下とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記第2の外周刃が形成された部分の前記第2の軸線に直交する断面における前記第2のエンドミル本体の芯厚が同じ断面における前記第2の外周刃の直径の70%以上で85%以下とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記第2の外周刃の前記第2の軸線方向の長さが、前記切刃の外径の0.2倍以上で1.0倍以下の範囲内とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記第2の切刃が、前記第2のエンドミル本体の先端部に、前記第2の軸線回りの回転軌跡の前記第2の軸線に沿った断面が前記第2の軸線上に中心を有して前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の先端に接する凸曲線状をなす第2の底刃をさらに有しており、前記第2の底刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径に対して、前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、5倍以上で20倍以下の範囲内とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第2工具は、前記第2の切刃が、前記第2の外周刃の後端部に、前記第2の軸線回りの回転軌跡の前記第2の軸線に沿った断面が前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の後端と前記第2の切刃の最大直径の位置を通り前記第2の軸線に平行な直線とに接する凸曲線状をなす後端刃をさらに有しており、前記後端刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径に対して、前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、5倍以上で20倍以下の範囲内とされている、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第3工具は、前記エンドミル本体として第の軸線回りに回転され、先端部に径方向に沿って延び周方向に沿って並ぶ複数のギャッシュが設けられた第3のエンドミル本体と、前記切刃として前記ギャッシュのエンドミル回転方向を向く壁面の先端側辺稜部に設けられる複数の第3の切刃と、を備え、前記第3の切刃の回転軌跡は、側面視において円弧中心が前記第3の軸線上に位置する先端側凸の円弧状であり、前記第3の切刃の刃先は、平面視において回転方向側に凸状に湾曲し、前記刃先の径方向両端を結ぶ仮想線に対する回転方向側への最大突出寸法が、前記第3のエンドミル本体の外径の3%以上4%以下であり、複数の前記第3の切刃には、周方向に等間隔に並ぶ複数の親刃と、周方向においてそれぞれ前記親刃同士の間に配置され前記親刃よりも径方向の内側へ向けた刃長が短い子刃と、が含まれる、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第3工具は、前記ギャッシュの先端側を向く底面が、前記第3の軸線と直交する平面に対し、40°以上50°以下で傾斜する、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第3工具は、平面視における前記子刃の径方向内端と前記第3の軸線との距離が、前記第のエンドミル本体の外径の4%以上9%以下である、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第3工具の前記親刃が、回転方向先端稜線に設けられる前記刃先と、前記刃先の回転方向後方に隣接する第1の逃げ面と、前記第1の逃げ面の回転方向後方に隣接する第2の逃げ面と、を有し、前記親刃において、平面視における前記第2の逃げ面の径方向内端と前記第3の軸線との距離が、前記第3のエンドミル本体の外径の10%以上20%以下である、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第3工具は、平面視において、前記子刃の径方向内端と、前記親刃の前記第2の逃げ面の径方向内端と、が前記第3の軸線を中心としてなす角度が、40°以上60°以下である、構成を採用できる。
さらに本発明は、前記第3工具の前記子刃は、回転方向先端稜線に設けられる前記刃先と、前記刃先の回転方向後方に隣接する第1の逃げ面と、前記第1の逃げ面の回転方向後方に隣接する第2の逃げ面と、を有し、前記子刃において、平面視における前記第2の逃げ面の径方向内端と前記第3の軸線との距離が、前記第3のエンドミル本体の外径の20%以上30%以下である、構成を採用できる。
さらに本発明の一態様の金型の製造方法は、上述した何れかの加工方法によって金型加工を行う。
以上説明したように、本発明によれば、加工コストを抑制しつつカスプハイトを抑制した平坦面を形成できる加工方法を提供できる。
一実施形態を示す第1のエンドミルの先端部の側面図である。 図1に示す実施形態のさらに先端部の拡大側面図である。 図1に示す実施形態の中心部を示す軸線方向先端側から見た拡大正面図である。 図1におけるZZ断面図(第1のエンドミルの先端から軸線方向後端側に5mmの位置の断面図)である。 一実施形態を示す第2のエンドミルの先端部の斜視図である。 図5に示す実施形態の先端部の側面図である。 図5に示す実施形態の先端部を軸線方向先端側から見た正面図である。 図5に示す実施形態の先端部の軸線回りの回転軌跡の軸線に沿った断面図である。 図6におけるZZ断面図(第2のエンドミルの先端から軸線方向後端側に2mmの位置の断面図)である。 一実施形態の第3のエンドミルの平面図である。 一実施形態の第3のエンドミルの側面図である。 図11とは直交する方向から見た第3のエンドミルの側面図である。 一実施形態の加工方法を示す概略図である。
以下、本発明の一実施形態に係る加工方法および金型の製造方法について、図面を参照して説明する。
本実施形態の加工方法は、後述する第1エンドミル(第1工具)110、第2エンドミル(第2工具)210および第3エンドミル(第3工具)310のうち、少なくとも2つを用いて加工対象としての金型を製造する。
本実施形態の加工方法では、それぞれのエンドミル110、210、310の切刃によって、被削材に比較的小さな切り込み量で仕上げ加工や中仕上げ加工等の切削加工(転削加工)を行う。これによって、金型等の加工対象に凹曲面や凸曲面の曲面加工やポケット加工、深掘り加工、面取り加工等の各種切削加工を施す。本実施形態の第1エンドミル110、第2エンドミル210および第3エンドミル310は、例えば、超硬合金や高速度工具鋼等からなる。
以下、第1エンドミル110、第2エンドミル210、第3エンドミル310について説明する。
<第1エンドミル(第1工具)>
図1ないし図4は、第1エンドミル110を示す。
本実施形態の第1エンドミル110は、第1のエンドミル本体101と、第1のエンドミル本体101の表面に形成される硬質皮膜(図示省略)とを含む。第1エンドミル110は、硬質皮膜を備えない構成であってもよい。
本実施形態において、第1のエンドミル本体101は、例えば超硬合金や高速度工具鋼等の硬質な金属材料によって一体に形成されて、第1の軸線O1を中心とした略円柱の軸状をなしている。第1のエンドミル本体101の先端部(図1および図2において左側部分)には第1の刃部102が形成される。第1の刃部102以外の後端部(図1において右側部分)は円柱状のままのシャンク部103とされている。
第1エンドミル110は、シャンク部103がマシニングセンタ等の工作機械の主軸に把持されて、第1の軸線O1回りにエンドミル回転方向Tに回転されつつ、通常は第1の軸線O1に垂直な方向に送り出されて、被削材に切り込んでいく。
第1の刃部102には、第1の刃部102の先端から後端側に向けて延びる第1の切屑排出溝104が形成されている。本実施形態では、複数(4つ)の第1の切屑排出溝104が周方向に間隔をあけて形成されている。これらの第1の切屑排出溝104は、第1のエンドミル本体101の後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に向かうように捩れている。
第1の切屑排出溝104のエンドミル回転方向Tを向く壁面は、図4に示すように外周側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に向かうように延びている。第1の切屑排出溝104の壁面の外周側辺稜部には第1の切刃105として、第1の外周刃106が周方向に等間隔に形成されている。すなわち、本実施形態の第1エンドミル110は4枚刃のソリッドエンドミルである。第1の外周刃106は周方向に不等間隔に形成されていてもよい。
第1の切屑排出溝104のエンドミル回転方向Tを向く上記壁面は第1の外周刃106のすくい面とされる。第1の外周刃106を介してすくい面に交差する第1の刃部102の外周面は第1の外周刃106の逃げ面とされる。本実施形態では第1の外周刃106に負の径方向すくい角α1と正の捩れ角β1が与えられる。なお、複数の第1の切屑排出溝104にそれぞれ形成される複数(4つ)の第1の外周刃106は、第1の軸線O1回りの回転軌跡が互いに一致させられる。
第1の切屑排出溝104の先端部には、第1の刃部102の内周側に延びる凹溝状のギャッシュ107が形成されている。ギャッシュ107のエンドミル回転方向Tを向く壁面の先端から外周側に延びる辺稜部には、第1の外周刃106の先端にそれぞれ連なる第1の底刃108が、第1の切刃105として形成されている。ギャッシュ107のエンドミル回転方向Tを向く壁面は第1の底刃108のすくい面とされる。第1の底刃108のすくい面に第1の底刃108を介して連なる第1の刃部102の先端面は第1の底刃108の逃げ面とされる。
本実施形態では、複数の第1の底刃108は、図3に示すように第1の軸線O1方向先端側から見て、周方向に交互に位置する第1の長第1の底刃108Aと第1の短第1の底刃108Bとからなる。第1の長第1の底刃108Aは、第1の外周刃106の先端からエンドミル回転方向Tに凸となる凸曲線を描きつつ第1の軸線O1を越えて延びる。第1の短第1の底刃108Bは、第1の外周刃106の先端からエンドミル回転方向Tに凸となる凸曲線を描きつつ第1の軸線O1を越えずに延びる。本実施形態の場合、2つの第1の長第1の底刃108Aは第1の軸線O1に交差することはなく、これらの第1の長第1の底刃108Aの内周端同士は第1の軸線O1に対する径方向に互いに行き違っている。
第1の外周刃106は、第1の軸線O1回りの回転軌跡の第1の軸線O1に沿った断面が、図1に鎖線で示すように第1のエンドミル本体101の外周側に凸となる凸曲線状をなしている。第1の外周刃106の回転軌跡の断面がなす凸曲線は、本実施形態では凸円弧であり、第1のエンドミル本体101の先端側に向かうに従い漸次内周側に向かうように延びている。第1の底刃108の第1の軸線O1回りの回転軌跡は、第1の外周刃106の回転軌跡に第1の外周刃106の先端において接して第1の軸線O1上に中心を有する1つの凸半球状面に位置している。
第1の切刃105の直径d1、すなわち第1の切刃105が第1の軸線O1回りになす円の直径d1は、第1の外周刃106の後端において最大となる。第1の外周刃106の第1の軸線O1回りの回転軌跡の第1の軸線O1に沿った断面がなす上記凸曲線の曲率半径R1は、第1の切刃105の最大直径である第1の切刃105の外径D1の1/2よりも大きく、外径D1の3倍以下とされている。本実施形態では、上記凸曲線の曲率半径R1は第1の切刃105の外径D1と等しくされている。
また、第1の外周刃106の回転軌跡の凸曲線の中心C1は、図1に示すように、第1の軸線O1に対し第1の外周刃106の反対側に位置している。第1の軸線O1から凸曲線の中心C1までの距離K1は、第1の切刃105の外径D1の1/2と等しい。
第1の外周刃106は、第1のエンドミル本体101の後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に捩れていて、上述のように正の捩れ角β1が与えられている。第1の外周刃106の捩れ角β1は20°以上とされ、好ましくは30°以上、望ましくは40°以上とされている。本実施形態では、第1の外周刃106の径方向すくい角α1は上述のように負角とされているが、この径方向すくい角α1は-20°以上で0°以下とされて、望ましくは-10°以上で-3°以下とされている。
第1の外周刃106が形成された部分の第1の軸線O1に直交する断面における第1のエンドミル本体101の第1の刃部102の芯厚Dw1は、図4に示すように第1の軸線O1に直交する断面において第1の切屑排出溝104の第1のエンドミル本体101外周側を向く底面に内接する芯厚円U1の直径d1である。芯厚Dw1は、同じ断面における第1の外周刃106の直径d1の70%以上で85%以下とされている。また、第1の外周刃106の第1の軸線O1方向の長さL1は、第1の切刃105の最大直径である外径D1の0.75倍以上で2倍以下の範囲内とされている。
さらに、第1の外周刃106の第1の軸線O1回りの回転軌跡の第1の軸線O1に沿った断面がなす上記凸曲線の曲率半径R1は、第1の底刃108の第1の軸線O1回りの回転軌跡の第1の軸線O1に沿った断面がなす凸曲線(凸円弧)の曲率半径r1に対しては、5倍以上で20倍以下の範囲内とされている。
このような構成の第1エンドミル110によって、金型等の第1の軸線O1に対する傾斜角が小さい縦壁の切削加工を行う場合には、まず縦壁の例えば上端部に第1の刃部102の位置を合わせて第1の軸線O1に垂直な方向に第1のエンドミル本体101を送り出すことにより、等高線加工を行う。次いで、第1のエンドミル本体101を、第1の刃部102による切削面同士が重なり合うように第1の軸線O1方向の先端側に所定のピッチで移動させて再び等高線加工を行う。以後、上記の等高線加工を繰り返すことによって縦壁を切削加工する。
上記構成の第1エンドミル110では、第1の外周刃106の第1の軸線O1回りの回転軌跡の第1の軸線O1に沿った断面が第1のエンドミル本体101の外周側に凸となる凸曲線状をなしていて、この凸曲線の曲率半径R1が第1の切刃105の最大直径である第1の切刃105の外径D1の1/2よりも大きくされている。このため、回転軌跡が半球状とされたボールエンドミルの底刃のように曲率半径(半径)が切刃の外径の1/2とされているのと比べ、第1の切刃105の外径D1が同じであれば、上述のような縦壁切削の際の移動ピッチを大きくしても切削面同士の境界部分が大きく突出するのを抑えることができる。
上記構成の第1エンドミル110では、第1の外周刃106の捩れ角β1が20°以上の正角とされるとともに、第1の外周刃106の径方向すくい角α1は0°以下の負角とされている。従って、第1の外周刃106には刃先強度を確保しつつ鋭い切れ味を与えることができるので、切削負荷を低減できる。また、第1のエンドミル本体101を大型化することなく、第1の軸線O1方向に少ない移動ピッチで移動させたときに優れた加工面粗さを得ることができる。このため、第1のエンドミル本体101の回転駆動力やコストの増大を招くことなく、上述のような被削材の縦壁の仕上げ切削加工や中仕上げ切削加工を効率的に、しかも高品位に行うことが可能となる。
なお、第1の外周刃106の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径R1が大きくなりすぎると、第1の外周刃106が第1の軸線O1方向に広い範囲に亙って被削材に食い付いた状態となり、切削抵抗の増大を招いてビビリ振動が発生してしまうため、加工面粗さを却って損なうおそれがある。このため、第1の外周刃106の回転軌跡がなす凸曲線の曲率半径R1は第1の切刃105の最大直径である外径D1の3倍以下とされる。また、第1の外周刃106の径方向すくい角α1が小さくなりすぎても、同様に切削抵抗の増大を招くおそれがあるので、第1の外周刃106の径方向すくい角α1は-20°以上とされる。
さらに、第1の外周刃106の捩れ角β1を30°以上、または40°以上とすることにより、一層鋭い切れ味を第1の外周刃106に与えて切削抵抗をさらに低減でき、加工面粗さを向上させることができる。第1の外周刃106の捩れ角β1を大きくしすぎると、第1の外周刃106の剛性が低下してチッピングを生じやすくなる。そのため、第1の外周刃106の捩れ角β1は60°以下であることが好ましく、50°以下であることがより好ましい。また、第1の外周刃106の径方向すくい角α1を-10°以上で-3°以下とすることによっても、切削抵抗を一層低減できるとともに、刃先強度を確実に確保することが可能となる。
さらにまた、本実施形態では、第1の外周刃106の回転軌跡の断面がなす凸曲線が、第1のエンドミル本体101の先端側に向かうに従い漸次第1のエンドミル本体101の内周側に向かって延びるように形成されている。このため、3軸加工機によって第1の軸線O1に対する傾斜角が小さな被削材の縦壁を切削する場合には、この縦壁の傾斜に沿って第1のエンドミル本体101を第1の軸線O1方向先端側に所定のピッチで移動させることで、第1のエンドミル本体101と縦壁とを干渉させることなく切削加工を行うことができる。従って、4軸以上の複雑な制御を要する加工機を用いることなく、このような縦壁の切削加工を行うことができる。
また、本実施形態では、第1の外周刃106が形成された部分の第1の軸線O1に直交する断面における第1のエンドミル本体101の第1の刃部102の芯厚Dw1が、同じ断面における第1の外周刃106の直径d1の70%以上で85%以下とされている。このため、第1の切屑排出溝104に十分な大きさ(容量)を確保して良好に切屑を排出し、円滑な切削を行うことができる。また、上記構成により、第1の外周刃106が形成された第1の刃部102における第1のエンドミル本体101の剛性を高めることができて、切削抵抗による第1のエンドミル本体101のビビリや撓みを防ぐことができるので、加工面粗さを一層向上できる。
さらに、本実施形態では、第1の外周刃106の第1の軸線O1方向の長さL1が、第1の切刃105の外径D1の0.75倍以上で2倍以下の範囲内とされている。これにより、1回の等高線加工における縦壁の加工幅は十分に確保して加工効率を維持することができる。また、縦壁に続いて第1の軸線O1方向先端側に第1の軸線O1に垂直な被削材の底面や縦壁よりも傾斜が緩やかな傾斜面が形成されている場合でも、被削材の底面や傾斜面の極近くまで第1のエンドミル本体101を移動させることができて3軸加工機により縦壁の切削加工を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、第1の切刃105が、第1のエンドミル本体101の先端部に、凸曲線状の第1の底刃108をさらに有する。凸曲線状の第1の底刃108は、第1の軸線O1回りの回転軌跡の第1の軸線O1に沿った断面が、第1の軸線O1上に中心を有する。凸曲線状の第1の底刃108は、第1の外周刃106の回転軌跡の断面がなす凸曲線の先端に接する。このため、例えば被削材の縦壁に続いて第1の軸線O1に垂直な底面が形成されている場合に、縦壁と底面との間の隅角部の切削加工を、この第1の底刃108を用いて3軸加工機により連続して行うことができる。
なお、第1のエンドミル本体101の先端部に回転軌跡が半球状をなす第1の底刃108が形成されている場合には、第1の底刃108の回転軌跡の断面がなす凸曲線(凸円弧)の曲率半径(半径r1)に対して、第1の外周刃106の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径R1が大きすぎると、相対的に第1の底刃108の曲率半径r1が小さくなりすぎて第1の底刃108に欠損を生じるおそれがある。
その一方で、第1の底刃108の曲率半径(半径r1)に対して第1の外周刃106の曲率半径R1が相対的に小さすぎると、第1の底刃108と第1の外周刃106の曲率半径r1、R1が略等しくなり、ボールエンドミルによる切削加工と変わらなくなってしまう。このため、本実施形態のように第1のエンドミル本体101の先端部に第1の底刃108が形成されている場合には、第1の底刃108の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径r1に対して、第1の外周刃106の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径R1は、5倍以上で20倍以下の範囲内とされるのが望ましい。
なお、本実施形態では、第1の外周刃106の第1の軸線O1回りの回転軌跡の第1の軸線O1に沿った断面がなす凸曲線が凸円弧とされているが、楕円弧や放物線等の凸曲線であってもよい。また、本実施形態では、第1の外周刃106の回転軌跡の断面がなす凸曲線が、第1のエンドミル本体101の先端側に向かうに従い漸次内周側に向かって延びているが、第1のエンドミル本体101の先端側に向かうに従い一旦外周側に延びて拡径した後に、漸次内周側に向かって延びるように形成されていてもよい。この場合に第1の切刃105の最大直径となる外径D1は、第1の外周刃106が最も拡径した位置の外径D1となる。
<第2エンドミル(第2工具)>
図5~図9は、第2エンドミル210を示す。
本実施形態において、第2のエンドミル本体201は、例えば超硬合金や高速度工具鋼等の硬質な金属材料によって一体に形成されていて、第2の軸線O2を中心C2とした略円柱の軸状をなしている。第2のエンドミル本体201の先端部(図6および図8において左側部分)の先端には第2の刃部202が形成されるとともに、この第2の刃部202以外の後端部(図6および図8において右側部分)は円柱状のままのシャンク部203とされている。
第2エンドミル210は、シャンク部203がマシニングセンタ等の工作機械の主軸に把持されて、第2の軸線O2回りにエンドミル回転方向Tに回転されつつ、通常は第2の軸線O2に垂直な方向に送り出されて、被削材に切り込んでいく。
上記第2の刃部202には、その先端から後端側に向けて延びる第2の切屑排出溝204が形成されている。本実施形態では、複数(4つ)の第2の切屑排出溝204が周方向に間隔をあけて形成されている。また、これらの第2の切屑排出溝204は、第2のエンドミル本体201の後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に向かうように捩れている。
これらの第2の切屑排出溝204のエンドミル回転方向Tを向く壁面は、図5および図9に示すように外周側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に向かうように延びている。そして、この壁面の外周側辺稜部には第2の切刃205として、第2の外周刃206が例えば周方向に等間隔に形成されている。すなわち、第2エンドミル210は、4枚刃のソリッドエンドミルである。
従って、第2の切屑排出溝204のエンドミル回転方向Tを向く上記壁面は第2の外周刃206のすくい面とされるとともに、この第2の外周刃206を介してすくい面に交差する第2の刃部202の外周面は第2の外周刃206の逃げ面とされ、本実施形態では第2の外周刃206に負の径方向すくい角α2と正の捩れ角β2が与えられる。なお、複数の第2の切屑排出溝204にそれぞれ形成される複数(4つ)の第2の外周刃206は、第2の軸線O2回りの回転軌跡が一致させられる。
また、第2の切屑排出溝204の先端部には、第2の刃部202の内周側に延びる凹溝状のギャッシュ207が形成されており、このギャッシュ207のエンドミル回転方向Tを向く壁面の先端から外周側に延びる辺稜部には、第2の外周刃206の先端にそれぞれ連なる第2の底刃208が、やはり上記第2の切刃205として形成されている。従って、ギャッシュ207のエンドミル回転方向Tを向く上記壁面は第2の底刃208のすくい面とされ、このすくい面に第2の底刃208を介して連なる第2の刃部202の先端面は第2の底刃208の逃げ面とされる。
本実施形態では、これらの第2の底刃208は、図7に示すように第2の軸線O2方向先端側から見て、第2の外周刃206の先端からエンドミル回転方向Tに凸となる凸曲線を描きつつ第2の軸線O2を越えて延びる第2の長第2の底刃208Aと、同じく第2の外周刃206の先端からエンドミル回転方向Tに凸となる凸曲線を描きつつ第2の軸線O2を越えずに延びる第2の短第2の底刃208Bとが、周方向に交互に位置するように形成されている。ただし、第2の長第2の底刃208Aは第2の軸線O2に交差することはなく、これらの第2の長第2の底刃208Aの内周端同士は第2の軸線O2に対する径方向に互いに行き違っている。
上記第2の外周刃206は、第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面が、図8に示すように第2のエンドミル本体201の外周側に凸となる凸曲線状をなしている。この第2の外周刃206の回転軌跡の断面がなす凸曲線は、本実施形態では凸円弧であり、第2のエンドミル本体201の先端側に向かうに従い漸次内周側に向かうように延びている。また、第2の底刃208の第2の軸線O2回りの回転軌跡の断面も凸円弧であり、第2の底刃208は、第2の外周刃206の回転軌跡に第2の外周刃206の先端において接して第2の軸線O2上に中心C2を有する1つの凸半球状面に位置している。
さらに、第2の切刃205は、第2の外周刃206の後端部に、第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面が、第2の外周刃206の回転軌跡の断面がなす凸曲線の後端と第2の切刃205の最大直径の位置を通り第2の軸線O2に平行な直線M1とに接する凸曲線状をなす後端刃209を有している。本実施形態では、この後端刃209の第2の軸線O2回りの回転軌跡の断面も凸円弧である。従って、本実施形態では、第2の切刃205の直径d2、すなわち第2の切刃205が第2の軸線O2回りになす円の直径d2は、この後端刃209の外周端の位置において最大となる。
そして、第2の外周刃206の第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面がなす上記凸曲線の曲率半径(該凸曲線がなす上記凸円弧の半径)R2は、この第2の切刃205の最大直径である第2の切刃205の外径D2の1/2よりも大きく、この外径D2の3倍以下とされている。本実施形態では、上記凸曲線の曲率半径R2は上記第2の切刃205の外径D2と等しくされている。
また、第2の外周刃206の回転軌跡の凸曲線の中心C2は、図8に示すように、第2の軸線O2に対し第2の外周刃206の反対側に位置している。第2の軸線O2から凸曲線の中心C2までの距離K2は、第2の切刃205の外径D2の1/2よりも小さい。したがって、第1エンドミル110において、第1の軸線O1から凸曲面の中心C1までの距離K1(図1参照)の方が、第2エンドミル210において、第2の軸線O2から凸曲面の中心C2までの距離K2より離れている。
ただし、本実施形態では、この第2の外周刃206の第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面がなす凸曲線の中心(該凸曲線がなす上記凸円弧の中心)C2は、図8に示すように第2の軸線O2に沿った断面において、この第2の外周刃206に対して第2の軸線O2を間にして反対側の第2の切刃205の最大直径の位置(後端刃209の外周端)を通り第2の軸線O2に平行な直線M2よりも第2のエンドミル本体201の内周側に位置している。
また、第2のエンドミル本体201の先端側に向かうに従い漸次内周側に向かうように延びる第2の外周刃206は、第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面において図8に示すように、この第2の外周刃206の回転軌跡がなす凸曲線の第2のエンドミル本体201の外周側への延長線と第2の切刃205の最大直径の位置(後端刃209の外周端)を通り第2の軸線O2に平行な直線M1との交点Pと、第2の外周刃206の回転軌跡がなす凸曲線の内周端Q(第2の外周刃206と第2の底刃208との接点)とを結ぶ直線を仮想テーパ線Nとするとともに、この仮想テーパ線Nが第2の軸線O2に平行な直線(例えば,図8に示すように円柱状のシャンク部203の外周面の第2の軸線O2に沿った断面がなす直線M1)に対してなす角度を仮想テーパ角θ2としたとき、この仮想テーパ角θ2が25°以上で65°以下の範囲内とされている。
さらに、第2の外周刃206は、第2のエンドミル本体201の後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に捩れていて、上述のように正の捩れ角β2が与えられており、この第2の外周刃206の捩れ角β2は20°以上とされ、望ましくは40°以上とされている。また、本実施形態では、第2の外周刃206の径方向すくい角α2は上述のように負角とされているが、この径方向すくい角α2は-20°以上で0°以下とされて、望ましくは-10°以上で-3°以下とされている。
さらにまた、第2の外周刃206が形成された部分の第2の軸線O2に直交する断面における第2のエンドミル本体201の第2の刃部202の芯厚Dw2、すなわち図9に示すように第2の軸線O2に直交する断面において第2の切屑排出溝204の第2のエンドミル本体201外周側を向く底面に内接する芯厚円U2の直径d2は、同じ断面における第2の外周刃206の直径d2の70%以上で85%以下とされている。また、第2の外周刃206の第2の軸線O2方向の長さL2は、第2の切刃205の最大直径である上記外径D2の0.2倍以上で1.0倍以下の範囲内とされている。
さらに、第2の外周刃206の第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面がなす上記凸曲線の曲率半径R2は、上記第2の底刃208の第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面がなす凸曲線(凸円弧)の曲率半径r21に対しては、5倍以上で20倍以下の範囲内とされている。また、同じく第2の外周刃206の第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面がなす上記凸曲線の曲率半径R2は、上記後端刃209の回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面がなす凸曲線(凸円弧)の曲率半径r22に対しても、5倍以上で20倍以下の範囲内とされている。
第2エンドミル210は、例えば上述したように金型等の被削材の内壁面のうち、第2の軸線O2に対する傾斜角が小さな縦壁部分と傾斜角が大きな底面部分との間の傾斜面部分の切削に用いられる。すなわち、この傾斜面部分の例えば上端部に第2の刃部202の位置を合わせて第2の軸線O2に垂直な方向に第2のエンドミル本体201を送り出すことにより、等高線加工を行う。次いで、この第2のエンドミル本体201を、第2の刃部202による切削面同士が重なり合うように第2の軸線O2方向先端側に所定のピッチで移動させて再び等高線加工を行い、このような等高線加工を繰り返すことによって傾斜面部分を切削加工する。
ここで、第2エンドミル210では、第2の外周刃206の第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面が第2のエンドミル本体201の外周側に凸となる凸曲線状をなしていて、この凸曲線の曲率半径R2が第2の切刃205の最大直径である第2の切刃205の外径D2の1/2よりも大きくされている。このため、回転軌跡が半球状とされたボールエンドミルの底刃のように曲率半径(半径)が切刃の外径の1/2とされているのと比べ、第2の切刃205の外径D2が同じであれば、上述のような傾斜面部分の切削の際の第2のエンドミル本体201の移動ピッチを大きくしても切削面同士の境界部分が大きく突出するのを抑えることができる。
さらに、第2エンドミル210では、第2の外周刃206の捩れ角β2が20°以上の正角とされるとともに、第2の外周刃206の径方向すくい角α2は0°以下で、特に負角とされている。従って、第2の外周刃206には刃先強度を確保しつつ鋭い切れ味を与えることができるので、切削負荷の低減を図ることができるとともに、第2のエンドミル本体201を大型化することなく、第2の軸線O2方向に少ない移動ピッチで移動させたときに優れた加工面粗さを得ることができる。このため、第2のエンドミル本体201の回転駆動力やコストの増大を招くことなく、上述のような被削材の傾斜面部分の仕上げ切削加工や中仕上げ切削加工を効率的に、しかも高品位に行うことが可能となる。
なお、第2の外周刃206の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径R2が大きくなりすぎると、第2の外周刃206が第2の軸線O2方向に広い範囲に亙って被削材に食い付いた状態となり、切削抵抗の増大を招いてビビリ振動が発生してしまうため、加工面粗さを却って損なうおそれがある。このため、第2の外周刃206の回転軌跡がなす凸曲線の曲率半径R2は第2の切刃205の最大直径である外径D2の3倍以下とされる。また、第2の外周刃206の径方向すくい角α2が小さくなりすぎても、同様に切削抵抗の増大を招くおそれがあるので、第2の外周刃206の径方向すくい角α2は-20°以上とされる。
さらに、本実施形態では、第2の外周刃206の回転軌跡の断面がなす凸曲線が、第2のエンドミル本体201の先端側に向かうに従い漸次第2のエンドミル本体201の内周側に向かって延びるように形成されている。このため、3軸加工機によって上述のような傾斜面部分を切削する場合には、この傾斜面部分の傾斜に沿って第2のエンドミル本体201を第2の軸線O2方向先端側に所定のピッチで移動させることで、第2のエンドミル本体201を第2の軸線O2に対する傾斜角が小さな縦壁部分と干渉させることなく切削加工を行うことができる。従って、4軸以上の複雑な制御を要する加工機を用いることなく、このような縦傾斜面部分の切削加工を行うことができる。
しかも、このように第2の外周刃206の回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面がなす凸曲線が第2のエンドミル本体201の先端側に向かうに従い漸次第2のエンドミル本体201の内周側に向かって延びるように形成されて傾斜していることにより、この凸曲線の傾斜に沿って第2の軸線O2に対して傾斜する傾斜面部分を被削材に切削加工する際には、この傾斜面(加工面)部分に接触する第2の外周刃206の位置を、第2の切刃205の外径D2が同じボールエンドミルに対して外周側とすることができる。このため、上記傾斜面部分に接触する第2の外周刃206の切削速度を高くすることができるので、切削抵抗の低減を図ることが可能となる。
さらにまた、本実施形態では、こうして第2の外周刃206の回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面がなす凸曲線が第2のエンドミル本体201の先端側に向かうに従い漸次第2のエンドミル本体201の内周側に向かって延びるように形成されて傾斜している場合において、第2の外周刃206の回転軌跡がなす凸曲線の延長線と第2の切刃205の最大直径の位置を通り第2の軸線O2に平行な直線M1との交点Pと、第2の外周刃206の回転軌跡がなす凸曲線の内周端Qとを結ぶ仮想テーパ線Nが第2の軸線O2に対してなす仮想テーパ角θ2が25°以上で65°以下の範囲内とされている。このため、上述のような切削抵抗の低減を確実に促しつつ、加工効率も向上させることができる。
すなわち、この仮想テーパ角θ2が25°を下回ると、第2の軸線O2に沿った断面において第2の外周刃206の回転軌跡がなす凸曲線が第2の軸線O2に平行な状態に近くなってしまい、被削材の内壁面の縦壁部分と底面部分との間の傾斜面部分に接触する第2の外周刃206の位置が第2のエンドミル本体201の内周側となって第2の切刃205の外径D2が同じボールエンドミルと変わらなくなり、上述のように切削速度を高くして切削抵抗を低減することが困難となるおそれがある。また、この仮想テーパ角θ2が65°を上回ると、第2の外周刃206の第2の軸線O2方向の長さが短くなり、傾斜面部分の切削の際に第2のエンドミル本体201の第2の軸線O2方向の移動ピッチを小さくしなければならなくなって加工効率が損なわれるおそれがある。
さらに、本実施形態では、第2の軸線O2に沿った断面において、第2の外周刃206の回転軌跡がなす凸曲線の中心C2が、この第2の外周刃206に対して第2の軸線O2を間にして反対側の第2の切刃205の最大直径の位置を通り第2の軸線O2に平行な直線M1よりも内周側に位置している。このため、切削時に第2の外周刃206から上記凸曲線の中心C2に向けて作用する切削負荷を、第2の切刃205の最大直径よりも内周側の第2のエンドミル本体201内で受け止めることができるので、切削負荷によって第2のエンドミル本体201の先端部に撓みが生じるのを防ぐことができ、加工面粗さを一層向上させることが可能となる。
さらにまた、上述のように第2の外周刃206の捩れ角β2を40°以上とすることにより、一層鋭い切れ味を第2の外周刃206に与えて切削抵抗のさらなる低減を図るとともに加工面粗さを向上させることができる。また、第2の外周刃206の径方向すくい角α2を-10°以上で-3°以下とすることによっても、切削抵抗の一層の低減を図ることができるとともに、刃先強度を確実に確保することが可能となる。
さらに、本実施形態では、第2の外周刃206が形成された部分の第2の軸線O2に直交する断面における第2のエンドミル本体201の第2の刃部202の芯厚Dw2が、同じ断面における第2の外周刃206の直径d2の70%以上で85%以下とされている。このため、第2の切屑排出溝204に十分な大きさ(容量)を確保して良好に切屑を排出し、円滑な切削を行うことができるとともに、第2の外周刃206が形成された第2の刃部202における第2のエンドミル本体201の剛性を高めることができて、切削抵抗による第2のエンドミル本体201のビビリや撓みを防ぐことができるので、加工面粗さのより一層の向上を図ることが可能となる。
さらに、本実施形態では、第2の外周刃206の第2の軸線O2方向の長さL2が、第2の切刃205の外径D2の0.2倍以上で1.0倍以下の範囲内とされている。これにより、1回の等高線加工における傾斜面部分の加工幅は十分に確保して加工効率を維持することができるとともに、このような傾斜面部分に続いて第2の軸線O2方向先端側に第2の軸線O2に垂直または傾斜面部分よりも緩やかな傾斜の加工面が形成されている場合でも、これら底面や加工面の極近くまで第2のエンドミル本体201を移動させることができ、3軸加工機によって傾斜面部分の切削加工を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、第2の切刃205が、第2のエンドミル本体201の先端部に、第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面が第2の軸線O2上に中心C2を有して第2の外周刃206の回転軌跡の断面がなす凸曲線の先端に接する凸曲線状をなす第2の底刃208をさらに有している。このため、例えば上述のように被削材の傾斜面部分に続いて第2の軸線O2に垂直な底面部分や傾斜面部分よりも傾斜の緩やかな部分が形成されているような場合に、これら傾斜面部分と底面部分との間の隅角部の切削加工や、上記傾斜の緩やかな部分の切削加工を、この第2の底刃208を用いて3軸加工機により連続して行うことができる。
さらに、本実施形態では、第2の切刃205が、第2の外周刃206の後端部に、第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面が、第2の外周刃206の回転軌跡の断面がなす凸曲線の後端と第2の切刃205の最大直径の位置を通り第2の軸線O2に平行な直線M1とに接する凸曲線状をなす後端刃209をさらに有している。従って、第2の切刃205の最外周は、この凸曲線状の後端刃209の外周端の位置となるので、例えば第2の外周刃206が角度をもって最大直径の位置を通り回転軌跡が第2の軸線O2に平行な直線M1と交差している場合などに比べ、第2の切刃205の最外周に欠損等が生じるのを防ぐことが可能となる。
なお、このように第2のエンドミル本体201の先端部に回転軌跡が半球状をなす第2の底刃208が形成されていたり、第2の外周刃206の後端部に回転軌跡が凸曲線状をなす後端刃209が形成されていたりする場合において、これらの第2の底刃208や後端刃209の回転軌跡の断面がなす凸曲線(凸円弧)の曲率半径(半径)r2に対して、第2の外周刃206の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径R2が大きすぎると、相対的に第2の底刃208や後端刃209の曲率半径r2が小さくなりすぎて第2の底刃208や後端刃209に欠損を生じてしまうおそれがある。
その一方で、逆にこれら第2の底刃208や後端刃209の曲率半径(半径)r2に対して第2の外周刃206の曲率半径R2が相対的に小さすぎると、第2の底刃208や後端刃209と第2の外周刃206の曲率半径r2、R2が略等しくなって、ボールエンドミルによる切削加工と変わらなくなってしまう。このため、本実施形態のように第2のエンドミル本体201の先端部に第2の底刃208が形成されていたり、第2の外周刃206の後端部に後端刃209が形成されていたりする場合には、これら第2の底刃208や後端刃209の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径r2に対して、第2の外周刃206の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径R2は、上述のように5倍以上で20倍以下の範囲内とされるのが望ましい。
なお、本実施形態では、第2の外周刃206の第2の軸線O2回りの回転軌跡の第2の軸線O2に沿った断面がなす凸曲線が凸円弧とされているが、楕円弧や放物線等の凸曲線であってもよい。また、本実施形態では、この第2の外周刃206の回転軌跡の断面がなす凸曲線が、第2のエンドミル本体201の先端側に向かうに従い漸次内周側に向かって延びているが、第2のエンドミル本体201の先端側に向かうに従い一旦外周側に延びて拡径した後に、漸次内周側に向かって延びるように形成されていてもよく、この場合に第2の切刃205の最大直径となる外径D2は、第2の外周刃206が最も拡径した位置の外径D2となる。
<第3エンドミル(第3工具)>
図10は、本実施形態の第3エンドミル310の平面図である。図11および図12は、互いに直交する方向から見た第3エンドミル310の側面図である。
本実施形態の第3エンドミル310は、金属材料等からなる被削材に対して、例えば仕上げ加工や中仕上げ加工等の切削加工(転削加工)を施す切削工具(転削工具)である。
本実施形態の第3エンドミル310は、第3の軸線O3に沿って延びる軸状の第3のエンドミル本体302と、第3のエンドミル本体302の先端部に設けられる複数の第3の切刃309と、を有する。また、第3のエンドミル本体302の基端側には、マシニングセンタ等の工作機械の主軸に取り付けるためのシャンク部(図示略)が設けられる。
第3のエンドミル本体302は、工作機械により第3の軸線O3回りに回転される。第3エンドミル310は、上記回転とともに第3の軸線O3方向への切り込みや第3の軸線O3に直交する径方向への送りを与えられて、被削材に切り込んでいき、被削材を切削加工する。本実施形態の第3エンドミル310は、主に、第3の軸線O3と直交する平面の加工に用いられる。また、第3エンドミル310は、被削材に対して例えば曲面加工、ポケット加工、深掘り加工、R加工(凸R、凹R)、面取り加工等の各種加工を施すために用いることができる。
本明細書において、第3の軸線O3に直交する方向を径方向という。径方向のうち、第3の軸線O3に接近する向きを径方向内側といい、第3の軸線O3から離間する向きを径方向外側という。また、第3の軸線O3回りに周回する方向を周方向という。本明細書において、周方向のうち、切削時に工作機械の主軸により第3のエンドミル本体302が回転させられる向きをエンドミル回転方向Tという。また、本明細書において、特定部位に対してエンドミル回転方向T側の領域を回転方向前方側とよびエンドミル回転方向T側と反対側の領域を回転方向後方側と呼ぶ場合がある。
また、本明細書において、「平面視」とは図10に示すように第3の軸線O3の軸方向から見た状態であり、図11および図12に示すように「側面視」とは軸方向と直交する方向から見た状態を意味する。
図11に示すように、第3のエンドミル本体302の外周には、周方向に互いに間隔をあけて複数の切屑排出溝304が形成されている。本実施形態ではこれらの切屑排出溝304が、互いに周方向に等間隔に配置されている。本実施形態の例では、第3のエンドミル本体302の外周に切屑排出溝304が4つ形成されている。
切屑排出溝304は、第3のエンドミル本体302の第3の軸線O3方向の先端から基端側へ向かうに従い周方向へ向けて延びている。本実施形態では、切屑排出溝304が、第3のエンドミル本体302の先端側に開口し、該先端側から基端側へ向かうに従い徐々にエンドミル回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて、螺旋状に延びている。切屑排出溝304は、第3のエンドミル本体302の基端側の端部において、第3のエンドミル本体302の外周に切り上がっている。
図10に示すように、第3のエンドミル本体302の先端部には、溝状の複数のギャッシュ307が設けられる。ギャッシュ307は、径方向に沿って延びる。また複数のギャッシュ307は、周方向に沿って並ぶ。ギャッシュ307の径方向内側の端部は、第3の軸線O3近傍に配置されている。ギャッシュ307は、径方向内側の端部から径方向外側へ向かうに従い徐々に第3の軸線O3方向の基端側へ向けて延びている。
ギャッシュ307の数は、切屑排出溝304の数に対応する。本実施形態の例では、第3のエンドミル本体302には、4つのギャッシュ307が設けられる。これらのギャッシュ307には、後述する第3の切刃309の種類(親刃309Aおよび子刃309B)に応じて、複数種類のギャッシュ307A、7Bが含まれる。ギャッシュ307A、7Bの詳細は後述する。
複数の第3の切刃309は、第3のエンドミル本体302の先端部において周方向に互いに間隔をあけて配置される。第3の切刃309の数は、ギャッシュ307の数に対応しており、本実施形態の例では4つ(4本)の第3の切刃309が設けられている。つまり、本実施形態の第3エンドミル310は、4枚刃のエンドミルである。
第3の切刃309は、ギャッシュ307のエンドミル回転方向Tを向く壁面の先端側辺稜部に設けられる。複数(本実施形態の例では4つ)の第3の切刃309は、第3のエンドミル本体302の第3の軸線O3方向の先端部に、第3の軸線O3回りに互いに間隔をあけて配置される。
図11に示すように、第3の切刃309は、側面視で第3のエンドミル本体302の先端外周側へ向けて凸となる円弧状をなすボール刃である。第3の切刃309の第3の軸線O3回りの回転軌跡は、側面視において円弧中心C3が第3の軸線O3上に位置する先端側凸の円弧状である。すなわち、第3の切刃309の回転軌跡の凸曲線の中心C3は第3の軸線O3上に位置している。第3の切刃309の回転軌跡の曲率半径R3は、第3のエンドミル本体302の外径D3の1/2より大きい。なお、第3のエンドミル本体302の外径D3とは、エンドミルの工具径D3を意味する。第3の切刃309の回転軌跡の曲率半径R3が大きくなり過ぎると第3エンドミル310の製造が困難となるため、第3の切刃309の回転軌跡の曲率半径R3は第3のエンドミル本体302の外径D3の3倍以下であることが好ましい。
本実施形態の第3エンドミル310によれば、先端部に設けられた円弧状の第3の切刃309の回転軌跡の曲率半径R3が、第3のエンドミル本体302の外径D3の1/2より大きい。このため、切刃の回転軌跡の半径とエンドミル本体の外径の1/2とが等しい従来のエンドミルと比較すると、第3のエンドミル本体302の外径D3を小型化しつつ、同ピックフィードで第3の軸線O3と直交する平坦面を形成する場合のカスプハイトを小さくすることができる。したがって上述の構成によれば、第3エンドミル310を小径化して比較的小型の工作機械を使用することで加工コストを抑制しつつ、カスプハイトを抑制して加工面の面粗さを向上できる。
なお、本実施形態の第3の切刃309の回転軌跡の曲率半径R3は、第3のエンドミル本体302の直径と略等しい。このような第3の切刃309の曲率半径R3を採用することで、上述の効果をより十分に得ることができる。
図10に示すように、第3の切刃309は、刃先314と、すくい面313と、第1の逃げ面311と、第2の逃げ面312と、有する。第3の切刃309は、すくい面313と第1の逃げ面311との回転方向先端稜線に設けられる。
第3の切刃309は、第3のエンドミル本体302の後端側に向かうに従いエンドミル回転方向Tとは反対側に捩れていて、上述のように正の捩れ角が与えられている。第3の切刃309の捩れ角は20°以上とされ、望ましくは40°以上とされている。また、本実施形態では、第3の切刃309の径方向すくい角は負角とされている。第3の切刃309の径方向すくい角α2は-20°以上で0°以下とされて、望ましくは-10°以上で-3°以下とされている。
本実施形態によれば、第3エンドミル310では、第3の切刃309の捩れ角が20°以上の正角とされるとともに、第3の切刃309の径方向すくい角α1は0°以下の負角とされている。従って、第3の切刃309には刃先強度を確保しつつ鋭い切れ味を与えることができるので、切削負荷を低減できる。また、第3のエンドミル本体302を大型化することなく優れた加工面粗さを得ることができる。このため、第3のエンドミル本体302の回転駆動力やコストの増大を招くことなく、上述のような被削材の縦壁の仕上げ切削加工や中仕上げ切削加工を効率的に、しかも高品位に行うことが可能となる。
図10に示す平面視において、第3の切刃309の刃先314は、回転方向側に凸状に湾曲する。このため、各第3の切刃309は、切屑を径方向外側に速やかに排出することができる。すなわち上述の構成によれば、エンドミルの切屑排出性能を高めることができる。加えて、刃先314が回転方向前方に凸状に湾曲することで切削時に刃先314にビビリ振動が発生することを抑制することができる。
図10に示すように、また、刃先314の径方向両端を結ぶ仮想線Lを想定する。刃先314は、仮想線Lに対する回転方向側への最大突出寸法Eが、第3のエンドミル本体302の外径D3の3%以上4%以下であることが好ましい。刃先314の最大突出寸法Eを3%以上とすることで、刃先314の湾曲を十分に大きくして、上述したように切屑の排出性能を高めることができる。さらに、刃先314の湾曲を十分に大きくすることで、切削抵抗が軽減され刃先314の振動を抑制できる。一方で、刃先314の最大突出寸法Eが4%を超えると、刃先314の成形が困難となる。すなわち、本実施形態によれば、刃先314の最大突出寸法Eを4%以下とすることで、第3エンドミル310を容易に製造することができ安価な第3エンドミル310を提供できる。
後述するように、本実施形態の第3エンドミル310において4つの第3の切刃309には、2つの親刃309Aと2つの子刃309Bとが含まれる。本実施形態において、全ての第3の切刃309(すなわち、親刃309Aおよび子刃309B)の、最大突出寸法Eは、互いに等しい。しかしながら、親刃309Aの最大突出寸法Eと子刃309Bの最大突出寸法Eとは、上述の範囲内の値であれば、互いに異なっていてもよい。
すくい面313は、ギャッシュ307のエンドミル回転方向Tを向く壁面のうち先端側の端部に位置する。すくい面313は、刃先314の回転方向前方側に隣接する。
第1の逃げ面311および第2の逃げ面312は、第3のエンドミル本体302の先端面において周方向に並ぶギャッシュ307同士の間に配置される。第1の逃げ面311は、ギャッシュ307のエンドミル回転方向Tとは反対側に隣接する。第1の逃げ面311は、刃先314の回転方向後方に隣接する。第2の逃げ面312は、第1の逃げ面311のさらに回転方向後方に隣接する。
第1の逃げ面311および第2の逃げ面312は、それぞれ刃先314から回転方向後方側へ向かうに従い基端側に向かって所定の逃げ角で傾斜する。第2の逃げ面312の逃げ角は、第1の逃げ面311の逃げ角より大きい。
図10に示すように、複数の第3の切刃309には、周方向に等間隔に並ぶ複数の親刃309Aと、周方向においてそれぞれ親刃309A同士の間に配置される子刃309Bと、が含まれる。親刃309Aと子刃309Bとは、互いに刃長が異なる。
親刃309Aは、径方向の内側へ向けた刃長が、子刃309Bと比較して長くされている。親刃309Aの径方向内側の先端は、第3の軸線O3を越えた位置に配置されている。つまり親刃309Aは、径方向内側へ向けて延びる刃長方向の先端が、第3の軸線O3に達しているとともに、第3の軸線O3の先にまで延びている。なお、本実施形態において親刃309Aの刃先314は、第3の軸線O3の直上は通過せず、2本の親刃309Aが第3の軸線O3を挟んですれ違うように配置されている。
子刃309Bは、親刃309Aよりも径方向の内側へ向けた刃長が短い。子刃309Bの刃長方向の先端は、第3の軸線O3を越えない位置に配置されている。つまり子刃309Bは、径方向内側へ向けて延びる刃長方向の先端が、第3の軸線O3に達していない。
本実施形態では、親刃309Aおよび子刃309Bの組が、第3の軸線O3を中心として180°回転対称に2組設けられている。
本実施形態の第3エンドミル310によれば、先端部の複数の第3の切刃309には、複数の親刃309Aと親刃309A同士の間に配置される子刃309Bとが含まれる。このため、親刃のみが設けられたエンドミルと比較して、それぞれの第3の切刃309の切込み量を低減することができ、第3エンドミル310で形成した加工面にむしれが生じることを抑制できる。
図10に示すように、平面視における子刃309Bの径方向内端と第3の軸線O3との距離を子刃開始寸法Aとする。本実施形態において、子刃開始寸法Aは、第3のエンドミル本体302の外径D3の4%以上9%以下であることが好ましい。
第3のエンドミル本体302の先端において第3の軸線O3の近傍は、親刃309Aによって切削された切屑の詰まりが生じやすい。子刃開始寸法Aを第3のエンドミル本体302の外径D3の4%以上とすることで、子刃309Bの径方向内端を第3の軸線O3から十分に離すことができ、第3の軸線O3の近傍の中心ポケットが十分に確保され切屑の詰まりを抑制できる。
また、子刃309Bの開始位置が第3の軸線O3から離れすぎると、第3の切刃309の回転軌跡において親刃309Aのみで切削する領域が広くなり、親刃309Aへの負担が大きくなりすぎて親刃309Aに損傷が生じる虞がある。子刃開始寸法Aを第3のエンドミル本体302の外径D3の9%以下とすることで、親刃309Aへの負担を軽減して親刃309Aの損傷を抑制できる。
上述したように、親刃309Aおよび子刃309Bは、それぞれ形状の異なる第1の逃げ面311および第2の逃げ面312を有する。すなわち、親刃309Aは第1の逃げ面311Aおよび第2の逃げ面312Aを有し、子刃309Bは第1の逃げ面311Bおよび第2の逃げ面312Bを有する。
親刃309Aにおいて、平面視における第2の逃げ面312Aの径方向内端と第3の軸線O3との距離HAを第3のエンドミル本体302の外径D3の10%以上20%以下とすることが好ましい。
親刃309Aにおいて、第2の逃げ面312Aの開始位置を第3の軸線O3から外径D3の10%以上離すことで、第1の逃げ面311Aの幅TAを十分に確保することができる。結果的に、親刃309Aの刃厚を大きくし親刃309Aの剛性を十分に確保できる。一方で、第2の逃げ面312Aの開始位置を第3の軸線O3から離しすぎると製造が困難となる。すなわち、第2の逃げ面312Aの開始位置を第3の軸線O3から外径D3の20%以下とすることで、第3エンドミル310を容易に製造することができる。
子刃309Bにおいて、平面視における第2の逃げ面312Bの径方向内端と第3の軸線O3との距離HBが、第3のエンドミル本体302の外径D3の20%以上30%以下とすることが好ましい。
子刃309Bにおいて、第2の逃げ面312Bの開始位置を第3の軸線O3から外径D3の20%以上離すことで、第1の逃げ面311Bの幅TBを十分に確保することができる。結果的に、子刃309Bの刃厚を大きくし子刃309Bの剛性を十分に確保できる。一方で、第2の逃げ面312Bの開始位置を第3の軸線O3から離しすぎると製造が困難となる。すなわち、第2の逃げ面312Bの開始位置を第3の軸線O3から外径D3の30%以下とすることで、第3エンドミル310を容易に製造することができる。
図10に示すように、平面視において、子刃309Bの径方向内端と、親刃309Aの第2の逃げ面312Aの径方向内端と、が第3の軸線O3を中心としてなす角度をギャッシュ開き角θ3とする。
ギャッシュ開き角θ3は、40°以上60°以下であることが好ましい。
ギャッシュ開き角θ3を40°以上とすることで、第3の軸線O3の近傍において、親刃309Aの回転方向前方の空間を十分に確保して切屑の詰まりを抑制できる。また、ギャッシュ開き角θ3を60°以下とすることで、第3の軸線O3の近傍において親刃309Aの第1の逃げ面311Aの幅を十分に確保して、親刃309Aの刃厚を大きくし親刃309Aの剛性を十分に確保し親刃309Aの振動を抑制し、振動に起因する加工面の表面性状の悪化を抑制できる。
第3のエンドミル本体302の先端部には、複数の第3の切刃309に対して、回転方向前方にそれぞれギャッシュ307が隣接配置されている。複数のギャッシュ307には、互いに長さ(溝長)が異なる複数種類のギャッシュが含まれている。具体的には、複数のギャッシュ307には、親刃309Aのギャッシュ307Aと、子刃309Bのギャッシュ307Bとが含まれる。
本実施形態では、親刃309Aのギャッシュ307Aおよび子刃309Bのギャッシュ307Bの組が、第3の軸線O3を中心として180°回転対称に2組設けられている。第3のエンドミル本体302の平面視において、親刃309Aのギャッシュ307Aに対して子刃309Bのギャッシュ307Bの長さが短い。
図11は、親刃309Aのギャッシュ307Aを示す。また、図12は、子刃309Bのギャッシュ307Bを示す。図11および図12に示すように、ギャッシュ307A、7Bは、それぞれ軸方向の先端側を向く底面307cを有する。親刃309Aのギャッシュ307Aおよび子刃309Bのギャッシュ307Bともに、ギャッシュ307の底面307cは、第3の軸線O3と直交する仮想的な平面P3に対し傾斜角α3で傾斜する。傾斜角α3は、40°以上50°以下であることが好ましい。底面307cの傾斜角α3を40°以上とすることで、第3の切刃309で切削した切屑をスムーズに行うことができる。また、底面307cの傾斜角α3を50°以下とすることで、第3エンドミル310の剛性を十分に確保して加工時のエンドミルの振動および破損を抑制できる。
<加工方法>
図13は、本実施形態の加工方法を示す模式図である。
本実施形態の加工方向は、ワーク(加工対象)Wに、仕上げ加工や中仕上げ加工等の切削加工を行い、金型を製造する方法である。本実施形態の加工方法では、予め荒加工が施されたワークWに仕上げ加工を施す。また、本実施形態の加工方法では、ワークWの表面に自由曲面を形成する。このため、金型の表面の各領域は、深さ方向に対して様々な方向に傾斜する。
ここで、ワークWの表面の各部を、第1領域A1、第2領域A2および第3領域A3に分ける。第1領域A1は、ワークWの深さ方向に対する傾斜角度が、0°以上第1角度φ1以下である領域である。第2領域A2は、ワークWの深さ方向に対する傾斜角度が、第1角度φ1以上第2角度φ2以下である領域である。第3領域A3は、ワークWの深さ方向に対する傾斜角度が、第2角度φ2以上90°以下である領域である。ここで、深さ方向とは各エンドミルの軸線O1、O2、O3に沿う方向である。すなわち、深さ方向は、各エンドミルを保持する3軸加工機の主軸の延びる方向である。
なお、第1角度φ1および第2角度φ2は、以下の関係を有する。
0°≦φ1≦φ2≦90°
この加工方法では、まず、第1領域A1を、第1エンドミル110を用いて加工する。次に、第2領域A2を、第2エンドミル210を用いて加工する。次に、第3領域A3を、第3エンドミル310を用いて加工する。
なお、各加工工程で、各エンドミルは、3軸加工機の主軸に装着され、エンドミル回転方向Tに回転させられる。また、各エンドミルは、3軸加工機によって、等高線加工がなされる。一例として、各エンドミルを把持する主軸は、各エンドミルを把持した状態で、紙面奥行方向を工具経路とし、紙面右側から左側に所定の送り量(ピックフィード)だけ送りが付与されて等高線加工がなされる。
一般的なボールエンドミルは、先端の曲率半径が切刃の最大直径の1/2と等しい。これに対して、第1、第2および第3エンドミル110、210、310は、切刃の回転軌跡がなす凸曲線の曲率半径が、切刃の最大直径の1/2よりも大きい。すなわち、第1、第2および第3エンドミル110、210、310は、切刃の最大直径を抑制することで狭小部分に挿入可能としつつ、ピックフィードを大きく確保した場合であってもカスプハイトを抑制することができ、加工面の面粗さを向上できる。すなわち、本実施形態によれば、加工コストを抑制しつつカスプハイトを抑制した平坦面を形成できる。
本実施形態によれば、第1エンドミル110、第2エンドミル210および第3エンドミル310は、それぞれの軸線O1、O2、O3からそれぞれの切刃105、205、309の回転軌跡の凸曲線の中心C1、C2、C3までの距離は、この順で小さくなる(第3エンドミル310では距離は0)。このため、切刃105、205、309の回転軌跡をワークWの各領域の傾斜角度に沿わせることができる。すなわち、上述の構成によれば、ワークWの各領域A1、A2、A3の傾斜角度によって、最適なエンドミル110、210、310を使い分けることで、各領域A1、A2、A3におけるカプスハイトを抑制できる。すなわち、第1~第3工具は、加工対象の深さ方向(すなわち各工具の回転軸線)に対する傾斜角度が、小さい場合、大きい場合、その間の場合、とで、カプスハイトを抑制できるように、回転軌跡の凸曲面が構成されている。
本実施形態では、第1エンドミル110、第2エンドミル210および第3エンドミル310をすべて用いた加工方法について説明した。しかしながら、加工対象の構成によっては、第1エンドミル110、第2エンドミル210および第3エンドミル310のうち、何れか2つを用いる加工方法を採用してもよい。
<試験1(第1エンドミルについて)>
次に、本発明の第1エンドミルの実施例を挙げて、本発明の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径(図1に示す曲率半径R1。以下、外周Rと称する。)、外周刃の径方向すくい角および外周刃の捩れ角による効果について実証する。本試験では、上記実施形態に基づき、切刃の外径が10mm、外周Rが切刃の外径と等しく10mm、外周刃の捩れ角が40°~60°で、外周刃の径方向すくい角を変化させた6種のエンドミル(第1エンドミルに相当)を製造した。これらをサンプル1-1~1-6として、表1に外径、外周R、径方向すくい角および捩れ角を示す。
また、これらサンプル1-1~1-6と比較するサンプルとして、同じく切刃の外径が10mmで、外周Rが85mm(切刃の外径の8.5倍)、外周刃の径方向すくい角が-1.6°、捩れ角が20°のエンドミルと、切刃の外径が10mm、外周Rが10mm、外周刃の径方向すくい角が-2.5°、捩れ角が40°のエンドミルと、切刃の外径が10mm、外周Rが10mm、外周刃の径方向すくい角が-3.7°、捩れ角が20°のエンドミルと、切刃の外径が10mm、外周Rが5mm(切刃の外径の1/2)、外周刃の径方向すくい角が-5.3°、捩れ角が20°のエンドミルと、を製造した。これらを順にサンプル1-7~1-10として表1に併せて示す。サンプル1-10はボールエンドミルである。
そして、サンプル1-1~1-10のエンドミルにより、被削材の縦壁に対してエンドミル本体の軸線に垂直な方向にエンドミル本体を送り出す等高線加工を軸線方向先端側に所定のピッチで繰り返し、切削試験を実施した。被削材の切削面(加工面)について、送り方向と軸線方向の加工面粗さ(JIS B 0601-2013における最大高さ粗さRz(μm))を測定した。この結果も、表1に併せて示す。
サンプル1-1~1-10のエンドミルは、エンドミル本体の基材がいずれも超硬合金であり、刃部の表面には硬質皮膜が被覆されている。また、被削材はJIS G 4404におけるSKD61相当材(硬度43HRC)である。切削加工は、水平面に対して60°傾斜させた縦壁を回転数8800min-1(切削速度276m/min)、送り速度2220mm/min、取り代0.1mmの等高線加工をピッチ0.2mmで繰り返した。また、エンドミル本体の突き出し量は40mmでホルダは大昭和精機株式会社製ミーリングホルダであり、水溶性の切削油剤を用いた湿式加工とした。
Figure 0007481617000001
表1の結果より、まず外周Rが切刃の外径の8.5倍と大きいサンプル1-7では、外周刃が軸線方向に広い範囲にわたって被削材に食いついてしまい、切削抵抗が増大してビビリ振動が発生した。そのため、サンプル1-7のエンドミルでは、送り方向と軸線方向のいずれの加工面粗さも2.0μmを越えてしまった。
外周刃の径方向すくい角が正角であるサンプル1-8のエンドミルは、すくい角が強すぎるためにビビリ振動が発生した。そのために加工面粗さが2.0μmを越えてしまった。
外周刃の捩れ角が20°であるサンプル1-9のエンドミルは、捩れ角が弱すぎるために切削抵抗が大きくなり、ビビリ振動が発生した。そのために加工面粗さが2.0μmを越えてしまった。
外周Rが切刃の外径の1/2のボールエンドミルであるサンプル1-10では、送り方向の加工面粗さは2.0μmを越えることはなかったものの、エンドミル本体を軸線方向に移動させて等高線加工を行った際の切削面同士の境界部分が突出してしまい、軸線方向の加工面粗さが2.0μmを越えてしまった。
サンプル1-7~1-10に対して、本発明の第1エンドミルに係るサンプル1-1~1-6では、ビビリ振動を生じることもなく、送り方向と軸線方向の加工面粗さはいずれも2.0μm以下であった。特に、外周刃の径方向すくい角が-10°以上で-3°以下とされたサンプル1-1~1-3では、送り方向の加工面粗さが1.2μm以下、軸線方向の加工面粗さが1.7μm以下であり、さらに優れた加工面粗さが得られた。外周刃の捩れ角をそれぞれ30°、60°としたサンプル1-5、1-6では、サンプル1-1~1-4と比較すると加工面粗さがやや大きくなったが、送り方向と軸線方向の加工面粗さはいずれも2.0μm以下であった。
<試験2(第2エンドミルについて)>
次に、本発明の第2エンドミルの実施例を挙げて、本発明の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径(図8に示す曲率半径R2。以下、外周Rと称する。)、外周刃の径方向すくい角および外周刃の捩れ角による効果について実証する。本試験では、上記実施形態に基づき、切刃の数(以下、刃数と称する。)が4つ、切刃の外径が10mm、底刃の軸線回りの回転軌跡がなす凸曲線(凸円弧)の半径(図8に示す曲率半径r21。以下、先端Rと称する。)が1mm、外周Rが切刃の外径と等しく10mm、後端刃の軸線回りの回転軌跡がなす凸曲線(凸円弧)の半径(図8に示す曲率半径r22。以下、コーナRと称する。)が1mm、仮想テーパ角が59°、外周刃の捩れ角が30°、エンドミル本体の先端から軸線方向後端側に2mmの位置における芯厚の外周刃の直径に対する割合(以下、単に芯厚と称する。)が85%で、外周刃の径方向すくい角を変化させた2種のエンドミル(第2エンドミル)を製造した。これらをサンプル2-1、2-2として、表2に刃数、外径、先端R、外周R、コーナR、仮想テーパ角、径方向すくい角、捩れ角および芯厚の割合を示す。
また、これらサンプル2-1、2-2と比較するサンプルとして、同じく切刃の外径が10mmで、外周刃の径方向すくい角、外周刃の捩れ角、仮想テーパ角、芯厚、刃数、外周R、コーナR、先端Rのうちいずれか少なくとも1つをサンプル2-1、2-2とは異なるものとした6種のエンドミルを製造した。これらを順にサンプル2-3~2-8として表2に併せて示す。このうちサンプル2-8はボールエンドミルであり、従って先端R、外周R、コーナRは、ともに切刃の外径の1/2の5mmである。
そして、これらサンプル2-1~2-8のエンドミルにより、被削材の縦壁に対してエンドミル本体の軸線に垂直な方向にエンドミル本体を送り出す等高線加工を軸線方向先端側に所定のピッチで繰り返し、このときの切削面(加工面)の送り方向と軸線方向の面粗さ(JIS B 0601-2013における最大高さ粗さRz(μm))を測定した。この結果も、表2に併せて示す。
なお、これらサンプル2-1~2-8のエンドミルは、エンドミル本体の基材がいずれも超硬合金であり、刃部の表面には硬質皮膜が被覆されている。また、被削材はJIS G 4404におけるSKD61相当材(硬度43HRC)であって、水平面に対して40°傾斜させた縦壁に対して、回転数8800min-1(切削速度276m/min)、送り速度2220mm/min、取り代0.1mmの等高線加工をピッチ0.2mm(理論カスプ0.5μm)で繰り返して切削加工を行った。また、エンドミル本体の突き出し量は40mmでホルダは大昭和精機株式会社製ミーリングホルダであり、水溶性の切削油剤を用いた湿式加工でダウンカットによる切削とした。
Figure 0007481617000002
この表2の結果より、まず外周刃の径方向すくい角が-23.2°と負角側に大きすぎるサンプル2-3では、加工面にむしれが発生したために送り方向および軸線方向ともに面粗さが損なわれていた。一方、逆に外周刃の径方向すくい角が0.8°と正角であって刃物角が小さいサンプル2-4では、刃先強度が不足して外周刃にチッピングが発生し、切削加工を続けることが不可能となった。また、外周刃の捩れ角が15°と小さすぎるサンプル2-5でも、切削抵抗が大きくなりすぎて外周刃にチッピングが発生し、やはり切削加工を続けることが不可能となった。
さらに、芯厚が63%と小さいサンプル2-6では、エンドミル本体先端部の剛性が不足して切削加工時にビビリ振動が発生し、送り方向および軸線方向ともに面粗さが損なわれる結果となった。また、外周Rが200mmと大きいサンプル2-7では、外周刃と被削材との接触長さが長くなりすぎ、切削抵抗が大きくなりすぎてチッピングが発生した。さらにまた、ボールエンドミルであるサンプル2-8では、外周Rが切刃の外径の1/2であるため、送り方向および軸線方向ともに面粗さが損なわれていた。
これらサンプル2-3~2-8に対して、本発明に係るサンプル2-1、2-2では、外周刃にチッピングを生じるようなこともなく、円滑な切削加工を行うことができ、送り方向の面粗さは1.0μm以下、軸線方向の面粗さは1.5μm以下であり、良好な面粗さを得ることが可能であった。
<試験3(第3エンドミルについて)>
次に、本発明の第3エンドミルの実施例を挙げて、本発明の各構成に関する効果について実証する。
本試験では、上記実施形態に基づき、後段の表3に示す複数のサンプルを製造した。各サンプルのエンドミルは、工具径D3が10mmかつ、切刃の回転軌跡の曲率半径R3が10mmであり、各パラメータが異なる。また、各サンプルのエンドミルは、2枚の親刃309Aと2枚の子刃309Bを有する4枚刃である。
本試験では、以下の加工条件において様々なエンドミルのサンプルを用いて、工具軸と直交する平面に対する等高線加工を行い、このときの切削面(加工面)の送り方向と軸線方向の加工面粗さ(算術平均粗さRa(μm)および最大高さRz(μm))を測定した。測定結果を、後段の表3にまとめる。
また、表3には、工具径の1/2と、切刃の回転軌跡の曲率半径が一致する従来のエンドミルの実施結果を合わせて記載する。従来のエンドミルは、2枚刃のエンドミルである。
<加工条件>
・被削材:日立金属工具鋼株式会社製、DAC(JIS G4404 SKD61相当材、硬度43HRC)
・機械:オークマ株式会社製、HSK-A63
・切削条件:回転数n=8800回転/分
送り速度Vf=2220mm/分
ピックフィード0.2mm
取りしろ0.1mm
溶性の切削油剤を用いた湿式加工
Figure 0007481617000003
各サンプルのうち、基準サンプルは、各パラメータの値を範囲の中央値としたサンプルである。基準サンプルは、算術平均粗さRaおよび最大高さRzともに十分に抑制されることが確認された。
なお、本試験の加工対象は金型用途であるため、算術平均粗さRaが、0.15μm以下かつ最大高さRzが1.5μm以下の表面性状の好ましい範囲として、加工面を評価する。
サンプルA-1~A-4は、ギャッシュ底面の傾斜角α3(図11および図12)を様々に変化させたサンプルのグループである。
サンプルA-2、A-3のエンドミルによる加工では、表面粗さを好ましい範囲内とすることができた。一方で、サンプルA-1のエンドミルによる加工では、傾斜角α3が小さすぎるために切削時に切屑詰まりが発生し、加工面の表面性状が悪化したと考えられる。また、サンプルA-4のエンドミルによる加工では、傾斜角α3が大きくギャッシュが広すぎることで、刃先の剛性が低減し振動の影響により表面性状が悪化したと考えられる。
サンプルB-1~B-4は、ギャッシュ開き角θ3(図10)を様々に変化させたサンプルのグループである。
サンプルB-2、B-3のエンドミルによる加工では、表面粗さを好ましい範囲内とすることができた。一方で、サンプルB-1のエンドミルによる加工では、ギャッシュ開き角θ3が小さすぎるために切削時に切屑詰まりが発生し、加工面の表面性状が悪化したと考えられる。また、サンプルB-4のエンドミルによる加工では、ギャッシュ開き角θ3が大きすぎるために切刃309の幅刃が狭くなることで、刃先の剛性が低減し振動の影響により表面性状が悪化したと考えられる。
サンプルC-1~C-5は、子刃開始寸法A(図1)を様々に変化させたサンプルのグループである。
サンプルC-3、C-4のエンドミルによる加工では、表面粗さを好ましい範囲内とすることができた。一方で、サンプルC-1のエンドミルは、子刃309Bの開始位置が第3の軸線O3に一致する。サンプルC-1のエンドミルによる加工では、一対の子刃309B同士が第3の軸線O3において互いに繋がっているために、切削時に切屑詰まりが発生し加工面の表面性状が悪化したと考えられる。サンプルC-2のエンドミルによる加工では、第3の軸線O3の近傍のポケットが狭いために切削時に切屑詰まりが発生し加工面の表面性状が悪化したと考えられる。また、サンプルC-5のエンドミルによる加工では、親刃309Aのみで切削する領域が広くなり親刃309Aの損傷が生じる虞がある。このため、表面性状の悪化が見られなかったが、サンプルC-5のエンドミルの評価を×とした。
サンプルD-1~D-4は、親刃309Aの第2の逃げ面312Aの開始位置の第3の軸線O3からの距離HA(図1)を様々に変化させたサンプルのグループである。
サンプルD-2、D-3のエンドミルによる加工では、表面粗さを好ましい範囲内とすることができた。一方で、サンプルD-1のエンドミルによる加工では、距離HAが小さすぎるために親刃309Aの刃厚が低下し親刃309Aの剛性が低減するため振動の影響により表面性状が悪化したと考えられる。また、サンプルD-4のエンドミルによる加工では、親刃309Aの第2の逃げ面312Aの開始位置を第3の軸線O3から離しすぎているために振動の影響により表面性状が悪化したと考えられる。加えて、サンプルD-4のエンドミルは、製造が困難となりエンドミルが高価となってしまう。
サンプルE-1~E-4は、最大突出寸法E(図1)を様々に変化させたサンプルのグループである。
サンプルE-2、E-3のエンドミルによる加工では、表面粗さを好ましい範囲内とすることができた。一方で、サンプルE-1のエンドミルによる加工では、刃先314の湾曲が不十分であるため、切削抵抗が大きくなり振動の影響により表面性状が悪化したと考えられる。また、サンプルE-4のエンドミルによる加工では、刃先の湾曲が大きすぎて製造することができなかった。このため、サンプルE-4のエンドミルの評価を×とした。
以上に、本発明の様々な実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
101…第1のエンドミル本体
104…第1の切屑排出溝
105…第1の切刃
106…第1の外周刃
107,207,307,307A,307B…ギャッシュ
108…第1の底刃
110…第1エンドミル(第1工具)
201…第2のエンドミル本体
204…第2の切屑排出溝
205…第2の切刃
206…第2の外周刃
208…第2の底刃
209…後端刃
210…第2エンドミル(第2工具)
302…第3のエンドミル本体
304…切屑排出溝
309…第3の切刃
309A…親刃
309B…子刃
310…第3エンドミル(第3工具)
311,311A,311B…第1の逃げ面
312,312A,312B…第2の逃げ面
314…刃先
O1…第1の軸線
O2…第2の軸線
O3…第3の軸線
T…エンドミル回転方向
W…ワーク(加工対象)
φ1…第1角度
φ2…第2角度

Claims (25)

  1. 第1工具、第2工具および第3工具を用いて加工対象を加工する加工方法であって、
    前記第1工具、前記第2工具および前記第3工具は、軸線回りの回転軌跡が、それぞれの前記軸線に沿った断面においてエンドミル本体の外周側に凸となる凸曲線状の切刃を有しており、
    それぞれの前記切刃の径方向すくい角が-20°以上で0°以下とされており、
    前記第1工具と前記第2工具は、前記切刃の回転軌跡の凸曲線の中心が前記軸線に対し前記切刃の反対側に位置しており、かつ、前記軸線から凸曲線の中心までの距離が、前記第1工具の方が前記第2工具より離れており、
    前記第3工具は、前記切刃の回転軌跡の曲率半径が前記エンドミル本体の外径の1/2より大きく、前記切刃の回転軌跡の凸曲線の中心が前記軸線上に位置しており、
    前記加工対象は、深さ方向に対する傾斜角度が、
    0°以上第1角度以下である第1領域と、
    前記第1角度以上、第2角度以下である第2領域と、
    前記第2角度以上、90°以下である第3領域と、を有し、
    前記第1領域に対しては、前記第1工具を選択して加工を行い、
    前記第2領域に対しては、前記第2工具を選択して加工を行い、
    前記第3領域に対しては、前記第3工具を選択して加工を行う、
    加工方法。
  2. 前記第1工具は、
    前記エンドミル本体として第1の軸線回りに回転される第1のエンドミル本体と、
    前記切刃として前記第1のエンドミル本体の外周に設けられる第1の外周刃を有する第1の切刃と、を備え、
    前記第1の外周刃は、前記第1の軸線回りの回転軌跡の前記第1の軸線に沿った断面が、前記第1のエンドミル本体の外周側に凸となる凸曲線状をなしていて、
    前記第1の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、前記第1の切刃の最大直径である前記第1の切刃の外径の1/2よりも大きく、かつ3倍以下とされており、
    前記第1の外周刃は前記第1のエンドミル本体の後端側に向かうに従いエンドミル回転方向とは反対側に捩れていて、前記第1の外周刃の捩れ角が20°以上とされる、請求項1に記載の加工方法。
  3. 前記第1工具は、前記第1の外周刃の捩れ角が40°以上とされている、請求項2に記載の加工方法。
  4. 前記第1工具は、前記第1の外周刃の径方向すくい角が-10°以上で-3°以下とされている、
    請求項2又は3に記載の加工方法。
  5. 前記第1工具は、前記第1の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線が前記第1のエンドミル本体の先端側に向かうに従い漸次内周側に向かって延びている、請求項2~4の何れか一項に記載の加工方法。
  6. 前記第1工具は、前記第1の外周刃が形成された部分の前記第1の軸線に直交する断面における前記第1のエンドミル本体の芯厚が同じ断面における前記第1の外周刃の直径の70%以上で85%以下とされている、
    請求項2~5の何れか一項に記載の加工方法。
  7. 前記第1の外周刃の前記第1の軸線方向の長さが、前記第1の切刃の外径の0.75倍以上で2倍以下の範囲内とされている、
    請求項2~6の何れか一項に記載の加工方法。
  8. 前記第1工具は、前記第1の切刃が前記第1のエンドミル本体の先端部に、前記第1の軸線回りの回転軌跡の前記第1の軸線に沿った断面が前記第1の軸線上に中心を有して前記第1の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の先端に接する凸曲線状をなす第1の底刃をさらに有しており、
    前記第1の底刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径に対して、前記第1の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、5倍以上で20倍以下の範囲内とされている、
    請求項2~7何れか一項に記載の加工方法。
  9. 前記第2工具は、
    前記エンドミル本体として第2の軸線回りに回転される第2のエンドミル本体と、
    前記切刃として前記第2のエンドミル本体の外周に設けられる第2の外周刃を有する第2の切刃と、を備え、
    前記第2の外周刃は、前記第2の軸線回りの回転軌跡の前記第2の軸線に沿った断面が、前記第2のエンドミル本体の外周側に凸となる凸曲線状をなしていて、
    前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、前記第2の切刃の最大直径である前記第2の切刃の外径の1/2よりも大きく、かつ3倍以下とされるとともに、
    前記第2の軸線に沿った断面において、前記第2の外周刃の回転軌跡の凸曲線の中心は、前記第2の外周刃に対して前記第2の軸線を間にして反対側に位置しており、
    前記第2の外周刃は前記第2のエンドミル本体の後端側に向かうに従いエンドミル回転方向とは反対側に捩れていて、前記第2の外周刃の捩れ角が20°以上とされる、請求項1~8の何れか一項に記載の加工方法。
  10. 前記第2工具は、前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線が前記第2のエンドミル本体の先端側に向かうに従い漸次内周側に向かって延びている、請求項9に記載の加工方法。
  11. 前記第2工具は、前記第2の軸線回りの回転軌跡の前記第2の軸線に沿った断面において、前記第2の外周刃の回転軌跡がなす凸曲線の延長線と前記第2の切刃の最大直径の位置を通り前記第2の軸線に平行な直線との交点と、前記第2の外周刃の回転軌跡がなす凸曲線の内周端とを結ぶ仮想テーパ線が前記第2の軸線に対してなす仮想テーパ角が25°以上で65°以下の範囲内とされている、
    請求項10に記載の加工方法。
  12. 前記第2工具は、前記第2の軸線に沿った断面において、前記第2の外周刃の回転軌跡の凸曲線の中心が、前記第2の外周刃に対して前記第2の軸線を間にして反対側の前記第2の切刃の最大直径の位置を通り前記第2の軸線に平行な直線よりも内周側に位置している、
    請求項9~11の何れか一項に記載の加工方法。
  13. 前記第2工具は、前記第2の外周刃の捩れ角が40°以上とされている、請求項9~12の何れか一項に記載の加工方法。
  14. 前記第2工具は、前記第2の外周刃の径方向すくい角が-10°以上で-3°以下とされている、
    請求項9~13の何れか一項に記載の加工方法。
  15. 前記第2工具は、前記第2の外周刃が形成された部分の前記第2の軸線に直交する断面における前記第2のエンドミル本体の芯厚が同じ断面における前記第2の外周刃の直径の70%以上で85%以下とされている、
    請求項9~14の何れか一項に記載の加工方法。
  16. 前記第2工具は、前記第2の外周刃の前記第2の軸線方向の長さが、前記切刃の外径の0.2倍以上で1.0倍以下の範囲内とされている、
    請求項9~15の何れか一項に記載の加工方法。
  17. 前記第2工具は、前記第2の切刃が、前記第2のエンドミル本体の先端部に、前記第2の軸線回りの回転軌跡の前記第2の軸線に沿った断面が前記第2の軸線上に中心を有して前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の先端に接する凸曲線状をなす第2の底刃をさらに有しており、
    前記第2の底刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径に対して、前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、5倍以上で20倍以下の範囲内とされている、
    請求項9~16の何れか一項に記載の加工方法。
  18. 前記第2工具は、前記第2の切刃が、前記第2の外周刃の後端部に、前記第2の軸線回りの回転軌跡の前記第2の軸線に沿った断面が前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の後端と前記第2の切刃の最大直径の位置を通り前記第2の軸線に平行な直線とに接する凸曲線状をなす後端刃をさらに有しており、
    前記後端刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径に対して、前記第2の外周刃の回転軌跡の断面がなす凸曲線の曲率半径が、5倍以上で20倍以下の範囲内とされている、請求項9~17の何れか一項に記載の加工方法。
  19. 前記第3工具は、
    前記エンドミル本体として第3の軸線回りに回転され、先端部に径方向に沿って延び周方向に沿って並ぶ複数のギャッシュが設けられた第3のエンドミル本体と、
    前記切刃として前記ギャッシュのエンドミル回転方向を向く壁面の先端側辺稜部に設けられる複数の第3の切刃と、を備え、
    前記第3の切刃の回転軌跡は、側面視において円弧中心が前記第3の軸線上に位置する先端側凸の円弧状であり、
    前記第3の切刃の刃先は、平面視において回転方向側に凸状に湾曲し、前記刃先の径方向両端を結ぶ仮想線に対する回転方向側への最大突出寸法が、前記第3のエンドミル本体の外径の3%以上4%以下であり、
    複数の前記第3の切刃には、周方向に等間隔に並ぶ複数の親刃と、周方向においてそれぞれ前記親刃同士の間に配置され前記親刃よりも径方向の内側へ向けた刃長が短い子刃と、が含まれる、
    請求項1~18の何れか一項に記載の加工方法。
  20. 前記第3工具は、前記ギャッシュの先端側を向く底面が、前記第3の軸線と直交する平面に対し、40°以上50°以下で傾斜する、
    請求項19に記載の加工方法。
  21. 前記第3工具は、平面視における前記子刃の径方向内端と前記第3の軸線との距離が、前記第3のエンドミル本体の外径の4%以上9%以下である、請求項19又は20に記載の加工方法。
  22. 前記第3工具の前記親刃が、
    回転方向先端稜線に設けられる前記刃先と、
    前記刃先の回転方向後方に隣接する第1の逃げ面と、
    前記第1の逃げ面の回転方向後方に隣接する第2の逃げ面と、を有し、
    前記親刃において、平面視における前記第2の逃げ面の径方向内端と前記第3の軸線との距離が、前記第3のエンドミル本体の外径の10%以上20%以下である、請求項19~21の何れか一項に記載の加工方法。
  23. 前記第3工具は、平面視において、前記子刃の径方向内端と、前記親刃の前記第2の逃げ面の径方向内端と、が前記第3の軸線を中心としてなす角度が、40°以上60°以下である、
    請求項22に記載の加工方法。
  24. 前記第3工具の前記子刃は、
    回転方向先端稜線に設けられる前記刃先と、
    前記刃先の回転方向後方に隣接する第1の逃げ面と、
    前記第1の逃げ面の回転方向後方に隣接する第2の逃げ面と、を有し、
    前記子刃において、平面視における前記第2の逃げ面の径方向内端と前記第3の軸線との距離が、前記第3のエンドミル本体の外径の20%以上30%以下である、請求項19~23の何れか一項に記載の加工方法。
  25. 請求項1~24の何れか一項に記載の加工方法によって金型を加工する、金型の製造方法。
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