JP2014087891A - ボールエンドミル - Google Patents

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一也 藤本
Isao Nakanishi
功 中西
Etsushi Imaizumi
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Abstract

【課題】切削加工後の被削面粗さを十分に良好なものとするボールエンドミルを提供する。
【解決手段】部分球状部16aに形成されたボール刃18a、18b、18c、18dのうちボール刃18b、18dが、そのボール刃18b、18dに沿って部分球状部16aにおける球面の一部に相当するラウンド面22が形成されたバニッシュ刃とされたものであることから、バニッシュ刃のバニシ効果により、切削加工後の被削面粗さを良好なものとすることができることに加え、バニッシュ刃とされたものではないボール刃18a、18cにより十分な切削性能を確保でき、仕上げ切削加工延いては磨き加工を実現できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、ボールエンドミルに関し、特に、そのボールエンドミルによる切削加工後の被削面粗さを十分に良好なものとするための改良に関する。
工具本体の先端に設けられた部分球状部に2枚以上のボール刃が形成されたボールエンドミルが知られている。例えば、特許文献1に記載された球状刃エンドミルがそれである。斯かるボールエンドミルは、例えばよく知られたマシニングセンタに取り付けられて用いられることで3次元自由曲面の切削加工を可能とするものであり、金型のならい加工やコーナーアールの加工等、各種被削材の切削加工に広く用いられている。
特開平11−156622号公報
ところで、前記ボールエンドミルを用いた金型の加工では、通常、切削加工後の被削面に磨き加工が施される。特に、意匠面等は、金型に鏡面が求められるため、斯かる磨き加工の必要性が高いが、従来の技術では、この磨き加工に要するコストが問題となっていた。すなわち、従来のボールエンドミルによる切削加工では十分な被削面粗さが得られないため、手作業で仕上げ研磨を行う必要があるが、磨き技術や加工時間に人的或いは時間的コストを要するという弊害があった。斯かる弊害を解消するため、ダイヤモンドやCBN工具等を用いて同様の加工を行うことが考えられるが、工具コストがかさむという新たな弊害を生じさせるものであった。このため、切削加工後の被削面粗さを十分に良好なものとするボールエンドミルの開発が求められていたが、斯かるボールエンドミルは未だ開発されていないのが現状である。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、切削加工後の被削面粗さを十分に良好なものとするボールエンドミルを提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本第1発明の要旨とするところは、工具本体の先端に設けられた部分球状部に2枚以上のボール刃が形成されたボールエンドミルであって、前記ボール刃のうち少なくとも1枚が、そのボール刃に沿って前記部分球状部における球面の一部に相当するラウンド面が形成されたバニッシュ刃とされたことを特徴とするものである。
このように、前記第1発明によれば、工具本体の先端に設けられた部分球状部に2枚以上のボール刃が形成されたボールエンドミルであって、前記ボール刃のうち少なくとも1枚が、そのボール刃に沿って前記部分球状部における球面の一部に相当するラウンド面が形成されたバニッシュ刃とされたものであることから、前記バニッシュ刃のバニシ効果(バニシング)により、切削加工後の被削面粗さを良好なものとすることができることに加え、前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃により十分な切削性能を確保でき、仕上げ切削加工延いては磨き加工を実現できる。すなわち、切削加工後の被削面粗さを十分に良好なものとするボールエンドミルを提供することができる。
前記第1発明に従属する本第2発明の要旨とするところは、前記ボール刃のうち前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃の切れ刃は、前記バニッシュ刃におけるラウンド面に比べて小径であり、そのラウンド面と前記切れ刃との径寸法の差は0mmよりも大きく0.02mm以下の範囲内である。このようにすれば、前記ボールエンドミルによる切削加工において、切削加工後の被加工面にラウンド面が確実に摺接させられることから、バニッシュ刃とされたボール刃により十分なバニシ効果を実現できる。
前記第1発明又は第2発明に従属する本第3発明の要旨とするところは、前記ボール刃のうち前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃は、そのボール刃に沿って二番面を備えたものであり、その二番面は、逃げ角が10°以上20°以下の範囲内、幅寸法が0.02mm以上0.06mm以下の範囲内とされたものである。このようにすれば、前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃により十分な切削性能を実現できる。
前記第1発明、第2発明、第1発明に従属する第3発明、又は第2発明に従属する第3発明に従属する本第4発明の要旨とするところは、バニッシュ刃とされた前記ボール刃は、そのボール刃に幅寸法0.02mm以上の面取りが施されたものである。このようにすれば、前記バニッシュ刃により十分なバニシ効果を実現できる。
前記第1発明、第2発明、第1発明に従属する第3発明、第2発明に従属する第3発明、第1発明に従属する第4発明、第2発明に従属する第4発明、第1発明に従属する第3発明に従属する第4発明、又は第2発明に従属する第3発明に従属する第4発明に従属する本第5発明の要旨とするところは、バニッシュ刃とされた前記ボール刃と、バニッシュ刃とされたものではない前記ボール刃とが、前記部分球状部の周方向に交互に設けられたものである。このようにすれば、前記バニッシュ刃によるバニシ効果と、前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃による切削性能とをバランス良く両立させるボールエンドミルを提供することができる。
本発明の好適な実施例であるボールエンドミルを軸心に垂直な方向から見た正面図である。 図1のボールエンドミルに備えられた刃部を工具先端側から軸心方向に視た図である。 図1のボールエンドミルに備えられたバニッシュ刃とされたものではないボール刃の一部構成を詳しく説明する部分断面図である。 図1のボールエンドミルに備えられたバニッシュ刃とされたボール刃の一部構成を詳しく説明する部分断面図である。 本発明の効果を検証するために本発明者等が行った試験について説明する図であり、従来品による切削加工後の被削面のピックフィード方向の粗さ曲線を示している。 本発明の効果を検証するために本発明者等が行った試験について説明する図であり、従来品による切削加工後の被削面の送り方向の粗さ曲線を示している。 本発明の効果を検証するために本発明者等が行った試験について説明する図であり、本実施例のボールエンドミルによる切削加工後の被削面のピックフィード方向の粗さ曲線を示している。 本発明の効果を検証するために本発明者等が行った試験について説明する図であり、本実施例のボールエンドミルによる切削加工後の被削面の送り方向の粗さ曲線を示している。 本発明の他の実施例であるボールエンドミルに備えられた刃部を工具先端側から軸心方向に視た図である。 本発明の更に別の実施例であるボールエンドミルに備えられた刃部を工具先端側から軸心方向に視た図である。
本発明のボールエンドミルは、好適には、金型の加工面やキャビティをはじめとする3次元曲面を加工するための切削加工に用いられる。好適には、加工対象となる曲面に沿って切削加工を行うならい加工法や、加工対象となる部分の高さを段階的に変化させながら切削加工を行う等高線加工法等による金型の加工に用いられるが、その他にも各種被削材の切削加工に広く用いられる。
本発明のボールエンドミルの材質としては、超硬合金や高速度工具鋼が好適に用いられるが、他の材料でもよい。必要に応じてTiAlN、TiN、TiCN等の硬質被膜を刃部等の表面にコーティングすることが望ましい。
本発明のボールエンドミルは、好適には、部分球状部に4枚のボール刃が形成された4刃ボールエンドミルであるが、2枚乃至3枚のボール刃を備えたもの、或いは5枚以上のボール刃を備えた多刃ボールエンドミルにも本発明は好適に適用される。
本発明のボールエンドミルに備えられたボール刃は、軸心側端部から外周側へ向かうに従って、換言すれば工具先端から離隔するに従って、切削加工方向と反対方向へ捩れたスパイラル状に設けることが望ましく、その外周側端部には、例えば所定のねじれ角で捩れた外周切れ刃が滑らかに接続される。
本発明のボールエンドミルにおいて、ラウンド面は、前記部分球状部における球面の一部に相当するものであり、換言すれば、その部分球状部の同一球径面である。
本発明のボールエンドミルは、工具先端側から軸心方向に視た場合において、バニッシュ刃とされた複数の前記ボール刃と、バニッシュ刃とされたものではない複数の前記ボール刃とが、それぞれ軸心を中心とする点対称に設けられたものである。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明に用いる図面において、各部の寸法比等は必ずしも正確には描かれていない。
図1は、本発明の好適な実施例であるボールエンドミル10を軸心Cに垂直な方向から見た正面図である。この図1に示すように、本実施例のボールエンドミル10は、円柱形状のシャンク部12と、首部14と、工具本体の先端に設けられて切削加工に関与する刃部16とを、一体的に備えている。前記ボールエンドミル10は、好適には、例えば超硬合金や高速度工具鋼等の材料の研磨加工により、前記シャンク部12、首部14、及び刃部16が一体に形成されたものである。
図2は、前記ボールエンドミル10に備えられた刃部16を工具先端側から軸心C方向に視た図である。前記ボールエンドミル10に備えられた刃部16は、少なくとも一部が規定の径寸法の球面に相当する部分球状部16aとされたものであり、その部分球状部16aには、軸心Cまわりに等角度間隔(本実施例では90°間隔)で4枚のボール刃18a、18b、18c、18d(以下、特に区別しない場合には単にボール刃18という)が設けられている。このボール刃18は、好適には、軸心側端部から外周側へ向かうに従って(換言すれば、工具先端から離隔するに従って)、前記ボールエンドミル10の切削加工方向(図2に示す例では紙面向かって反時計回り)と反対方向へねじれたスパイラル状に設けられている。前記ボール刃18の外周側端部には、そのボール刃18に連続して例えば規定のねじれ角でねじれた外周切れ刃20が滑らかに接続されている。好適には、前記刃部16の表面には、必要に応じてTiAlN、TiN、TiCN等の硬質被膜がコーティングされる。
前記ボールエンドミル10においては、前記ボール刃18のうち少なくとも1枚が、そのボール刃18に沿って前記部分球状部16aにおける球面の一部に相当するラウンド面22が形成されたバニッシュ刃とされたものである。すなわち、図2に示すボールエンドミル10においては、前記ボール刃18b及び18dが、そのボール刃18に沿って前記部分球状部16aにおける球面の一部に相当するラウンド面(図2においては斜線範囲で示している)22が形成されたバニッシュ刃とされ、余のボール刃18a及び18cが、バニッシュ刃とされたものではない通常のボール刃(切削に係る切れ刃26を有するボール刃)とされたものである。図2に示すように、前記ボールエンドミル10には、好適には、バニッシュ刃とされたボール刃18b、18dと、バニッシュ刃とされたものではないボール刃18a、18cとが、前記刃部16を工具先端側から軸心方向に視た場合において、軸心Cを中心とする点対称に設けられている。
図3及び図4は、前記刃部16の一部構成を詳しく説明するために、斯かる部分を前記部分球状部16aにおける球面の大円に相当する平面で切断して示す部分断面図(例えば、軸心Cを基準とする中心角45°の断面形状)であり、図3は、前記ボール刃18のうちバニッシュ刃とされたものではないボール刃18a、18cの構成を、図4は、前記ボール刃18のうちバニッシュ刃とされたボール刃18b、18dの構成をそれぞれ例示するものである。これら図3及び図4においては、前記部分球状部16aにおける球面を破線で示している。
図3に示すように、前記ボールエンドミル10は、好適には、バニッシュ刃とされたものではない前記ボール刃18a、18cに沿って、逃げ面である二番面24を備えたものである。この二番面24は、好適には、逃げ角φが10°以上20°以下の範囲内、幅寸法d1が0.02mm以上0.06mm以下の範囲内とされたものである。前記ボール刃18a、18cにおける切れ刃26のすくい角θは、例えば5°程度とされたものである。好適には、前記ボール刃18a、18cの切れ刃26の径寸法(部分球状部16aにおける球の中心からの径方向寸法)は、前記ラウンド面22すなわち部分球状部16aにおける球面の径寸法に比べて小径である。換言すれば、前記ラウンド面22は、前記ボール刃18a、18cの切れ刃26よりも大径とされている。前記ラウンド面22と前記切れ刃26との径寸法の差δdは、0mmよりも大きく0.02mm以下の範囲内である。特に、工具中心付近(軸心C付近)において、前記ラウンド面22と前記切れ刃26との径寸法の差δdは、可及的に0mmに近い値とされることが望ましい。
図4に示すように、前記ボールエンドミル10は、バニッシュ刃とされた前記ボール刃18b、18dに沿って、前記部分球状部16aにおける球面の一部に相当する(部分球状部16aにおける球面と同じ径寸法に対応する)ラウンド面22を備えている。換言すれば、前記刃部16において、前記ラウンド面22は逃げ面とされておらず、前記ボールエンドミル10による切削加工に際して被削材における被削面に当接(摺接)させられる構成とされている。図4に示すように、好適には、前記ボール刃18b、18dには、切れ刃に相当する部分に面取り28が施されたものである。すなわち、バニッシュ刃とされた前記ボール刃18b、18dには、前記ボールエンドミル10による切削加工に関与する切れ刃が備えられていない。この面取り28は、図4に示すようにボール刃18b、18dの切れ刃に相当する部分を平坦に削り取る(角を落とす)ものであってもよいし、角部に丸みをつける所謂R面取りであってもよい。前記面取り28の幅寸法d2は、好適には、0.02mm以上である。
本実施例のボールエンドミル10の具体的な寸法として、前記シャンク部12は、例えば径寸法6mmφ程度、長さ寸法40mm程度の円柱形状とされたものである。前記首部14は、例えば径寸法3.85mmφ程度、長さ寸法4mm程度の円柱形状とされたものであり、例えば図1に示すように、前記シャンク部12から首部14へ向かって径寸法が漸減させられるテーパ部が設けられている。前記刃部16は、例えば軸方向長さ寸法(刃長)4mm程度、径寸法4mmφ程度とされたものであり、前記部分球状部16aにおける球面は、例えば半径2mm程度に相当するものである。前記外周切れ刃20のねじれ角は、例えば30°程度とされたものである。
以上のように構成された本実施例のボールエンドミル10による被削材の切削加工においては、前記シャンク部12において図示しないマシニングセンタ等の切削装置に取り付けられてその切削装置により軸心まわりに回転駆動させられることにより、前記刃部16におけるボール刃18(切れ刃26)及び外周切れ刃20によって被削材に対する切削加工が行われる。本実施例のボールエンドミル10は、好適には、金型のキャビティをはじめとする3次元曲面を加工するための切削加工に用いられる。例えば、加工対象となる曲面に沿って切削加工を行うならい加工法や、加工対象となる部分の高さを段階的に変化させながら切削加工を行う等高線加工法等による金型の加工に好適に用いられる。ここで、バニッシュ刃とされたものではない前記ボール刃18a、18cが備えられていることで、斯かるボール刃18a、18cにより十分な切削性能を確保できる。更に、バニッシュ刃とされた前記ボール刃18b、18dが備えられていることで、斯かるボール刃18b、18dのバニシ効果(バニシング)により、切削加工後の被削面粗さを良好なものとすることができる。すなわち、切削加工後の被削面の面粗さを最大高さRz(JIS B 0601:2001)で1.2μm以下といった磨き面に近いものとすることができ、本実施例のボールエンドミル10一本で仕上げ切削加工延いては磨き加工を実現できる。
続いて、本発明の効果を検証するために本発明者等が行った試験について説明する。本発明者等は、前記ボール刃に沿って二番角17°に対応する二番面(逃げ面)が形成されると共に、その二番面の幅寸法が0.1mm、ボール刃のすくい角が5°、コーティング無しとされたR2ボールエンドミル従来品(標準品)と、図2に示すように、前記部分球状部16aにバニッシュ刃とされたものではないボール刃18a、18cと、バニッシュ刃とされたボール刃18b、18dとが交互に設けられた4枚刃のボールエンドミルであり、前記ボール刃18a、18cにおける二番面24の逃げ角φが15°、幅寸法d1が0.04mm、ラウンド面22と切れ刃26との径寸法の差δdが0.01mmとされた本実施例のボールエンドミル10とを用意し、それぞれのボールエンドミルを用いて以下の切削条件で切削試験を行った。
[切削条件]
・被削材:STAVAX(登録商標)50HRC
・被削材形状:R11mmコア形状
・走査線加工
・工具形状:R2ボールエンドミル
・主軸回転速度:20000rpm
・送り速度:1000mm/min
・ピックフィード:0.1mm
・切込量:0.05mm
・切削油:センタースルーオイルミスト
図5〜図8は、前記切削試験の結果として、各試料による切削加工後の被削面の面粗さを示す粗さ曲線を例示するものであり、前記従来品による切削加工後の被削面のピックフィード方向の粗さ曲線を図5に、送り方向(被削材周面の円周方向)の粗さ曲線を図6に、本実施例のボールエンドミル10による切削加工後の被削面のピックフィード方向の粗さ曲線を図7に、送り方向の粗さ曲線を図8にそれぞれ示している。図5及び図6に示す粗さ曲線に対応する被削面すなわち従来品による切削加工後の被削面では、ピックフィード方向の十点平均粗さRa(JIS B 0601:2001)は0.309μm、最大高さRz(JIS B 0601:2001)は1.725μmであった。送り方向の十点平均粗さRaは0.214μm、最大高さRzは1.379μmであった。一方、図7及び図8に示す粗さ曲線に対応する被削面すなわち本実施例のボールエンドミル10による切削加工後の被削面では、ピックフィード方向の十点平均粗さRaは0.12μm、最大高さRzは0.98μmであった。送り方向の十点平均粗さRaは0.11μm、最大高さRzは0.68μmであった。これらの結果から明らかなように、本実施例のボールエンドミル10による切削加工後の被削面の面粗さは、ピックフィード方向及び送り方向の何れにおいても従来品による切削加工後の被削面よりも大幅に改善されており、磨き加工後の被削面に近い仕上がりが得られていることがわかる。
このように、本実施例によれば、前記ボール刃18のうちボール刃18b、18dが、そのボール刃18b、18dに沿って前記部分球状部16aにおける球面の一部に相当するラウンド面22が形成されたバニッシュ刃とされたものであることから、前記バニッシュ刃のバニシ効果(バニシング)により、切削加工後の被削面粗さを良好なものとすることができることに加え、前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃18a、18cにより十分な切削性能を確保でき、仕上げ切削加工延いては磨き加工を実現できる。すなわち、切削加工後の被削面粗さを十分に良好なものとするボールエンドミル10を提供することができる。
前記ボール刃18のうち前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃18a、18cの切れ刃26は、前記バニッシュ刃におけるラウンド面22に比べて小径であり、そのラウンド面22と前記切れ刃26との径寸法の差δdは0mmよりも大きく0.02mm以下の範囲内であるため、前記ボールエンドミル10による切削加工において、切削加工後の被加工面に前記ラウンド面22が確実に摺接させられることから、バニッシュ刃とされたボール刃18b、18dにより十分なバニシ効果を実現できる。
前記ボール刃18のうち前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃18a、18cは、そのボール刃18a、18cに沿って二番面24を備えたものであり、その二番面24は、逃げ角φが10°以上20°以下の範囲内、幅寸法d1が0.02mm以上0.06mm以下の範囲内とされたものであるため、前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃18a、18cにより十分な切削性能を実現できる。
前記バニッシュ刃とされたボール刃18b、18dは、そのボール刃18b、18dに幅寸法d2が0.02mm以上の面取り28が施されたものであるため、バニッシュ刃とされたボール刃18b、18dにより十分なバニシ効果を実現できる。
バニッシュ刃とされた前記ボール刃18b、18dと、バニッシュ刃とされたものではない前記ボール刃18a、18cとが、前記部分球状部16aの周方向に交互に設けられたものであるため、バニッシュ刃とされた前記ボール刃18b、18cによるバニシ効果と、前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃18a、18cによる切削性能とをバランス良く両立させるボールエンドミル10を提供することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
図9及び図10は、本発明のボールエンドミルの他の好適な実施例を例示する図であり、前述した図2に対応するものである。これらの図において、前述した実施例と共通する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。前述の実施例では、前記部分球状部16aに形成されたボール刃18a、18b、18c、18dのうち、2枚のボール刃18b、18dがバニッシュ刃とされたものであり、余のボール刃18a、18cがバニッシュ刃とされたものではない構成を例示したが、図9に示すように、前記部分球状部16aに形成されたボール刃18a、18b、18c、18dのうち、1枚のボール刃18bのみが前記バニッシュ刃とされ、余のボール刃18a、18c、18dが前記バニッシュ刃とされたものではない構成においても、本発明の一応の効果を奏する。図10に示すように、前記部分球状部16aに形成された2枚のボール刃30a、30bのうち、一方のボール刃30bが他方のボール刃30aにおける二番面24と略同じ幅で前記バニッシュ刃とされ、他方のボール刃30aが前記バニッシュ刃とされたものではないボールエンドミルによっても、本発明の一応の効果を奏する。
本発明のボールエンドミルは、切削加工後の被削面に関して磨き面に近い面粗さを実現するものであるが、本発明のボールエンドミルによる被削材の切削加工後に、被削面に磨き加工を施してもよい。斯かる態様においても、従来のボールエンドミルにより切削された被削材に対する磨き加工よりも短時間の簡単な処理で済むため、本発明の一応の効果を奏する。また、本発明のボールエンドミルは、専ら切削加工用の他のボールエンドミルによる切削加工後の仕上げ加工に用いられるものであってもよい。斯かる態様においても、手作業による磨き加工の人的或いは時間的コストを大幅に削減することができる。
前述の実施例においては、前記ラウンド面22と前記切れ刃26との径寸法の差δdが0mmよりも大きく0.02mm以下の範囲内、前記二番面24の逃げ角φが10°以上20°以下の範囲内、幅寸法d1が0.02mm以上0.06mm以下の範囲内であり、バニッシュ刃とされた前記ボール刃18b、18dに幅寸法d2が0.02mm以上の面取り28が施されたボールエンドミル10を例示したが、これらの数値範囲は最良の実施形態を示すものであり、斯かる数値範囲を逸脱する構成においても本発明の一応の効果を奏する。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
10:ボールエンドミル、16a:部分球状部、18a、18c、30a:ボール刃、18b、18d、30b:ボール刃(バニッシュ刃)、22:ラウンド面、24:二番面、26:切れ刃、28:面取り

Claims (5)

  1. 工具本体の先端に設けられた部分球状部に2枚以上のボール刃が形成されたボールエンドミルであって、
    前記ボール刃のうち少なくとも1枚が、該ボール刃に沿って前記部分球状部における球面の一部に相当するラウンド面が形成されたバニッシュ刃とされたものであることを特徴とするボールエンドミル。
  2. 前記ボール刃のうち前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃の切れ刃は、前記バニッシュ刃におけるラウンド面に比べて小径であり、該ラウンド面と前記切れ刃との径寸法の差は0mmよりも大きく0.02mm以下の範囲内である請求項1に記載のボールエンドミル。
  3. 前記ボール刃のうち前記バニッシュ刃とされたものではないボール刃は、該ボール刃に沿って二番面を備えたものであり、該二番面は、逃げ角が10°以上20°以下の範囲内、幅寸法が0.02mm以上0.06mm以下の範囲内とされたものである請求項1又は2に記載のボールエンドミル。
  4. バニッシュ刃とされた前記ボール刃は、該ボール刃に幅寸法0.02mm以上の面取りが施されたものである請求項1から3の何れか1項に記載のボールエンドミル。
  5. バニッシュ刃とされた前記ボール刃と、バニッシュ刃とされたものではない前記ボール刃とが、前記部分球状部の周方向に交互に設けられたものである請求項1から4の何れか1項に記載のボールエンドミル。
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