JP2019081864A - 共重合ポリエステル組成物およびそれを含む複合繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属スルホネート基含有イソフタル酸を増量してアルカリ易溶性を向上させた共重合ポリエステル組成物のタフネスを改善した易溶解性複合繊維用ポリエステル組成物の提供。【解決手段】金属スルホネート基含有イソフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体成分(A)が全酸成分に対して10〜25モル%共重合され、かつ、プレート直径20mmの粘弾性測定装置を用いて0.1Hzの周波数にて285℃で測定した際に損失正接が20〜200を示す共重合ポリエステル組成物。テレフタル酸及び/又はそのエステル形成性誘導体以外の非イオン性ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体成分が(A+10)〜50モル%共重合された共重合ポリエステル組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の粘弾性特性を有するアルカリ易溶性共重合ポリエステル組成物、およびその共重合ポリエステル組成物を含む複合繊維に関するものである。
機能性繊維は、衣料用途のみならずインテリアや車輌内装、産業用途等幅広く利用されており、産業上の価値は極めて高い。一方で、求められる要求特性は多様化しており、単一成分のポリマーからなる単成分糸では、対応できない場合がある。このような状況下、複数のポリマーを組み合わせて得られる複合繊維の開発が行われている。特に複合繊維の中でも、二成分のポリマーからなるC型や芯鞘型複合繊維を加工して得られる軽量中空繊維や、海成分の中に多数の島成分を配した海島複合繊維を加工して得られる極細繊維の開発が盛んである。
これら中空繊維や極細繊維を得るために、アルカリ易溶性共重合ポリエステルが用いられる。例えば、通常のポリエステルとアルカリ易溶性共重合ポリエステルを複合紡糸したのち、糸または布帛の状態でアルカリ処理することにより、アルカリ易溶性共重合ポリエステルのみを溶出し、中空繊維や極細繊維またはそれらからなる布帛を得ることができる。このアルカリ易溶性共重合ポリエステルとしては、イソフタル酸や金属スルホネート基含有イソフタル酸、ポリアルキレンオキサイド化合物を共重合したポリエステルが提案されている(特許文献1)。また、金属スルホネート基含有イソフタル酸の共重合に伴う重合反応性の悪化を改善するべく、片末端封鎖ポリアルキレンオキサイド化合物を共重合したアルカリ易溶性共重合ポリエステルも提案されている(特許文献2)。
特開昭63−159525号公報 特開2016−222802号公報
特許文献1、2に記載の共重合ポリエステル組成物において、十分なアルカリ易溶性を得るべく金属スルホネート基含有イソフタル酸成分の共重合率を10モル%以上に増量すると、複合繊維形態とした場合にタフネスが低下する課題があった。
本発明では、金属スルホネート基含有イソフタル酸を増量してアルカリ易溶性を向上させつつ、複合繊維形態とした場合に優れたタフネスを示す共重合ポリエステル組成物を提供することを目的とする。
上記課題は、ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、ならびにジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体から得られる共重合ポリエステルであって、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体成分が全酸成分に対して10〜25モル%共重合され、かつ、プレート直径20mmの粘弾性測定装置を用いて0.1Hzの周波数にて285℃で測定した際の損失正接が20〜200を示す共重合ポリエステル組成物により解決される。
本発明によれば、金属スルホネート基含有イソフタル酸成分の増量によってアルカリ易溶性が向上し、かつ、複合繊維形態とした場合に優れたタフネスを示す共重合ポリエステル組成物が得られる。
本発明の共重合ポリエステル組成物は、ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、ならびにジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体から得られるポリエステルに、金属スルホネート基含有イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体が共重合された共重合ポリエステル組成物である。そして、金属スルホネート基含有イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体成分の共重合率が、共重合ポリエステルを構成する全ジカルボン酸由来の構造に対して10〜25モル%であり、かつ、プレート直径20mmの粘弾性測定装置を用いて0.1Hzの周波数にて285℃で測定した際の損失正接が20〜200を示す共重合ポリエステル組成物である。
ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、ならびにジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体から得られるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンセバシエート、ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン−1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボキシレートなどが挙げられる。中でも、最も汎用的に用いられているポリエチレンテレフタレートまたは主としてエチレンテレフタレート単位を含むポリエステル共重合体が好ましい。
金属スルホネート基含有イソフタル酸としては、4−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、4−スルホイソフタル酸カリウム塩、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸カリウム塩、5−スルホイソフタル酸バリウム塩などが挙げられる。中でも、重合性に優れる点から5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸カリウム塩が好ましく、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩が特に好ましい。なお、これら金属スルホネート基を含有するイソフタル酸は、1種類の化学構造のものを用いても良く、2種類以上を組み合わせたものを用いても良い。
金属スルホネート基含有イソフタル酸のエステル形成性誘導体としては、それらのメチルエステル、エチルエステルなどのアルキルエステル、それらの酸塩化物や酸臭化物などの酸ハロゲン化物、さらにはイソフタル酸無水物などが挙げられる。例えば、紡糸時のパック交換頻度を低減できるという生産性の観点から、メチルエステルやエチルエステルなどのアルキルエステルが好ましく、メチルエステルが特に好ましい。
金属スルホネート基含有イソフタル酸成分の共重合率は、希薄アルカリ溶液、例えば0.06重量%水酸化ナトリウム水溶液への十分な易溶性を付与する点から10モル%以上が必須であり、織編加工などに必要なタフネスを有する複合繊維を得るため25モル%以下が必須である。より高いタフネスを有する複合繊維が得られる点から、10〜20モル%がより好ましく、10〜15モル%がさらに好ましい。
また、金属スルホネート基含有イソフタル酸成分の共重合率が10〜25モル%の範囲であっても、プレート直径20mmの粘弾性測定装置を用いて0.1Hzの周波数にて285℃で測定した際の損失正接が20未満となる共重合ポリエステル組成物である場合、共重合ポリエステル組成物の弾性に対する粘性比が低く紡糸性が著しく悪化することを見出しており、織編加工などに必要なタフネスを有する複合繊維を得ることはできない。例えば、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸由来の構造を90モル%、金属スルホネート基含有イソフタル酸由来の構造を10モル%、ジオール成分としてエチレングリコール由来の構造を100モル%含む共重合ポリエステル組成物は、損失正接が20未満を示し十分なタフネスを有する複合繊維が得られない。
織編加工などに必要なタフネスを有する複合繊維を得るには、損失正接が20以上を示す共重合ポリエステル組成物であることが必須である。より高いタフネスを有する複合繊維が得られる点から、共重合ポリエステル組成物の有する損失正接は30以上が好ましく、40以上がさらに好ましく、50以上が特に好ましい。また、重合時吐出性に優れペレット化が容易である点から損失正接は200以下が必須である。なお、損失正接が20〜200の範囲である本発明の共重合ポリエステル組成物は、金属スルホネート基含有イソフタル酸成分の共重合率に応じ、共重合ポリエステルの分子量、共重合組成、結晶性などを変更することで得られる。中でも、損失正接を20〜200とし、同時にアルカリ易溶性の向上効果も期待できる共重合ポリエステル組成物の設計方法を以下に例示する。
本発明の共重合ポリエステル組成物において、損失正接を20〜200とする目的で、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体以外の非イオン性ジカルボン酸および/またはそのエステル形成誘導体成分が共重合されていてもよい。テレフタル酸以外の非イオン性共重合成分を導入することで、共重合ポリエステルの分子運動性向上や分子屈曲性の変化に起因して損失正接が向上する。また、共重合ポリエステル組成物の結晶性が抑制されることで、アルカリ易溶性が向上する効果も得られる。
非イオン性共重合成分としては、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸、ならびにそのエステル形成性誘導体が好ましい例として挙げられる。非イオン性共重合成分は、1種類の化学構造のものを使用しても良く、2種類以上を組み合わせても良い。
テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体以外の非イオン性ジカルボン酸および/またはそのエステル形成誘導体成分を共重合させる場合は、効率的に損失正接を向上させる点からA+10モル%以上(金属スルホネート基含有イソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体成分の共重合率をAモル%とする)共重合することが好ましく、共重合ポリエステル組成物の重合時吐出性および乾燥のしやすさの点から50モル%以下であることが好ましい。
また、 本発明の共重合ポリエステル組成物において、損失正接を20〜200とする目的で、下記式(1)で表される片末端封鎖ポリアルキレンオキサイド化合物が共重合されていてもよい。片末端封鎖ポリアルキレンオキサイド化合物が共重合されたポリエステルは分子運動性に優れ、高い損失正接を示す。さらに、共重合ポリエステル組成物の親水性が向上することにより、アルカリ易溶性が向上する効果も得られる。
H[−O−R]n−O−X 式(1)
上記式(1)において、効率的に損失正接を向上させる点から、Xは炭素数1〜10のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。メチル基、エチル基、ブチル基、デシル基がより好ましく、メチル基、デシル基がさらに好ましい。
また、上記式(1)において、Rは炭素数1〜12のアルキレン基から選択される少なくとも1種であり、1〜4のアルキレン基から選択される少なくとも1種であることが好ましい。具体例としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられ、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基がより好ましく、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基がさらに好ましく、エチレン基が特に好ましい。
上記化学式(1)における繰返し構造単位−(O−R)−は、1種類のみを使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて使用してもいい。2種類以上を組み合わせる場合は、繰り返し構造単位のランダム共重合、ブロック共重合、交互共重合いずれでも良い。
さらに、上記式(1)において、繰返し単位数nは平均重合度を表し、45〜113の整数である。なかでも、nは45〜91の整数であることが好ましい。繰返し単位数nがこのような範囲にあることにより、損失正接を効率的に向上させ、かつ、アルカリ易溶性にも優れた共重合ポリエステル組成物となる。
本発明における片末端封鎖ポリアルキレンオキサイド化合物を共重合させる場合は、効率的に損失正接を向上させる点から、得られる共重合ポリエステル組成物に対して5重量%以上であることが好ましく、共重合ポリエステル組成物の重合時吐出性および乾燥のしやすさの点から20重量%以下であることが好ましい。ここで記載している共重合量は共重合成分の水酸基の水素も含んでの重量である。
本発明の共重合ポリエステル組成物は、o−クロロフェノールを溶媒として25℃で測定を行ったときの固有粘度が0.60dL/g以上であることが好ましく、0.65dL/g以上がより好ましく、0.70dL/g以上がさらに好ましい。この範囲にあることで、複合繊維とした場合に、より高いタフネスを示す共重合ポリエステル組成物となる。また、重合時の吐出性の点から、固有粘度は1.20dL/g以下であることが好ましい。
また、本発明の共重合ポリエステル組成物には、成形加工工程での各種ガイド、ローラー等の接触物との摩擦を低減し、工程通過性を向上させる目的や、製品の色調を調整する目的で粒子が含まれていても構わない。この含まれる粒子の種類は任意である。具体例を示すと二酸化ケイ素、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の無機粒子や、架橋ポリスチレン等の有機高分子粒子を用いることができる。これらの粒子の中でも、二酸化チタン粒子は、ポリマー中での分散性が良好で、比較的低コストであることから好ましい。
本発明の共重合ポリエステル組成物は、任意の方法によって合成できる。例えば、以下に示す一般的なポリエチレンテレフタレートの合成方法と同様の工程を用いることができる。
ポリエチレンテレフタレートはテレフタル酸とエチレングリコールとのエステル化反応、または、テレフタル酸ジメチルに代表されるテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとのエステル交換反応によって、テレフタル酸のグリコールエステルまたはその低重合体を生成させる第一段階の反応、そして第一段階の反応生成物を重合触媒の存在下で減圧加熱し、所望の重合度となるまでに重縮合反応行う第二段階の反応によって合成できる。
本発明においては、上記工程のいずれかに、または工程と工程との間に共重合成分を添加する。共重合成分の添加時期は、例えば、エステル化反応前または、エステル交換反応時、エステル交換反応の終了した時点から重縮合反応が開始されるまで、あるいは重縮合反応が実質的に終了するまでのいつでもよい。
エステル化は無触媒においても反応が進む。エステル交換反応においては、通常、リチウム、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物添加が行われる。重縮合反応触媒としては、アンチモン系化合物、チタン系化合物、ゲルマニウム系化合物などの化合物等を用いることができる。
本発明の共重合ポリエステル組成物を複合繊維の構成成分として用いることができる。ここで述べる複合繊維とは1本の繊維の中に2種以上のポリマーが分離して存在しているものを示している。本発明の共重合ポリエステル組成物を使用することにより、金属スルホネート基含有イソフタル酸の増量によるアルカリ易溶性の向上と、織編加工などに必要なタフネスの両立が可能となる。
繊維の形態として、C型複合繊維、芯鞘型複合繊維、海島複合繊維等があげられ、本発明の共重合ポリエステル組成物を任意の割合で構成成分として用いることができる。例えば、C型複合繊維や芯鞘型複合繊維の場合、芯部に共重合ポリエステル組成物を配置した際の複合比率(重量%)は芯/鞘=5/95〜90/10とすることが好ましい。さらに好ましくは10/90〜70/30、特に好ましくは30〜70〜60/40である。複合比率はアルカリ減量加工後、得られる複合繊維の所望の中空率から任意に選択できる。芯部の複合比率の下限は十分な中空率を付与する目的から設定され、複合繊維比率の上限は紡糸性の低下や繊維物性の低下を防止する観点から設定される。
本発明の共重合ポリエステル組成物とともに複合繊維を構成するポリマーとしては、良好なタフネスの複合糸が得られる点から、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66およびそれらを主成分とした共重合ポリマーを用いることが好ましい。
本発明の共重合ポリエステル組成物を芯部に、ポリエステルやナイロンを鞘部に用いる複合繊維の製法としては任意の方法で製造することができる。以下C型複合繊維の代表的製造方法を示す。C型複合繊維の場合、鞘部となるポリエステルやナイロンおよび芯部となる本発明の共重合ポリエステル組成物をそれぞれ別々に溶融し、紡糸パックに導き口金装置内でC型複合流を形成し、吐出孔から紡出する。紡出したフィラメント糸を所定の速度で引取った後、一旦パッケージに巻上げ、得られた未延伸糸を通常の延伸機にて延伸を行う。また、紡出糸を引取った後、巻取ることなく連続して延伸を行い、それを巻上げても良い。また高速で引取り、実質的に延伸することなく一挙に所望の特性をもつ繊維を得る方法をとってもよい。直接紡糸延伸法としては、例えば、紡出糸を1000〜5000m/分で引取り、引続いて3000〜6000m/分で延伸・熱固定する方法が挙げられる。該繊維の糸状形態は、フィラメント、ステープルのどちらでも良く、用途によって適宜選定される。布帛形態としては、織物、編物、不織布など目的に応じて適宜選択できる。
複合繊維中の本発明の共重合ポリエステル成分を減量する方法としては、アルカリ減量法または熱水減量法が挙げられる。アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム等の化合物を水溶液として用いることができる。その濃度は0.06〜10.0重量%の範囲が好ましい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。これらは例示であってこれらに限定されるものではない。
<ポリエステル組成物の損失正接>
共重合ポリエステル組成物の損失正接の測定には、動的粘弾性測定装置を用いた。あらかじめ285℃に設定した直径20mmのプレート上にペレットを乗せ、窒素気流下で4分間加熱溶融させた後、プレート間隔が0.5mmとなるよう2枚のプレートではさみ込み、設定温度285℃、設定周波数0.1Hzの条件で測定を実施した。なお、測定は1試料につき5回行い、その平均値を損失正接とした。
装置:株式会社ユービーエム製 Rheosol−G3000
プレート直径:20mm
プレート間隔(ギャップ値):0.5mm
設定温度:285℃
設定周波数:0.1Hz 。
<ポリエステル組成物の固有粘度(IV)>
ポリエステル組成物の固有粘度の抽出手順を示す。得られたポリエステル組成物を、o−クロロフェノール溶媒に溶解し、0.5g/dL、0.2g/dL、0.1g/dLの濃度の溶液を調整した。その後、得られた濃度Cの溶液の25℃における相対粘度(ηr)を、ウベローデ粘度計により測定し、(ηr−1)/CをCに対してプロットした。得られた結果を濃度0に外挿することにより、固有粘度を求めた。
<共重合ポリエステル組成物の組成分析>
共重合ポリエステル組成物における、金属スルホネート基含有イソフタル酸またはそのエステル形成誘導体成分、その他非イオン性共重合成分、およびポリアルキレンオキサイド化合物の共重合量の分析は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて実施した。
装置:日本電子株式会社製 AL−400
重溶媒:重水素化ヘキサフルオロイソプロパノール
積算回数:128回
サンプル濃度:測定サンプル50mg/重溶媒1mL 。
<共重合ポリエステル組成物中の片末端封鎖ポリアルキレンオキサイド化合物の抽出>
共重合ポリエステル組成物中のポリアルキレンオキサイド化合物の抽出を以下の手順で行い、ポリアルキレンオキサイド化合物の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。
共重合ポリエステル組成物中のポリアルキレンオキサイド化合物の抽出手順を示す。得られた共重合ポリエステル組成物を0.05g採取し、1mLの28%アンモニア水中にて120℃で5時間加熱溶解し、放冷後、精製水1mL、6M塩酸1.5mLを加え、精製水で5mL定容、遠心分離後、0.45μmフィルターにて濾過し、濾液をGPC測定に用いた。
<片末端封鎖ポリアルキレンオキサイド化合物の分子量>
共重合ポリエステル組成物中のポリアルキレンオキサイドの分子量の分析は、上記の抽出した濾液のGPC測定により行った。
装置:Waters社製 Waters−2690
検出器:Waters社製 示差屈折率検出器RI(Waters−2410,感度128x)
カラム:東ソー株式会社製 TSKgelG3000PWXL(1本)
カラム温度:40℃
溶媒:0.1M塩化ナトリウム水溶液
流速:0.8mL/min
注入量:0.05mL
標準サンプル:標準ポリエチレングリコール 。
<共重合ポリエステル組成物のアルカリ重量減少>
共重合ポリエステル組成物のアルカリ重量減少は以下のように評価した。共重合ポリエステル組成物のペレットを、0.1KPa以下に減圧した真空乾燥機にて乾燥可能温度で含水率700ppm以下となるまで乾燥した。その後、濃度0.6g/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用い、共重合ポリエステル組成物の重量に対する水酸化ナトリウム水溶液重量で表される浴比を1:100とし、室温から90℃へ4℃/分で昇温し、90℃到達時の重量減少を測定した。値が大きいほどアルカリ易溶性に優れる。
装置:株式会社テクサム技研 UR・MINI−COLOR
アルカリ溶液:0.06重量%水酸化ナトリウム水溶液
浴比:1:100
昇温速度:4℃/分、室温→90℃、90℃到達時点で取出し
アルカリ重量減少:アルカリ重量減少(%)=(A−B)/A×100
Aはアルカリ処理前の共重合ポリエステル組成物の重量(g)
Bはアルカリ処理後の共重合ポリエステル組成物の重量(g) 。
<強度・伸度・タフネス>
強度および伸度は、実施例によって得られた繊維を試料とし、JIS L1013:2010(化学繊維フィラメント糸試験方法)8.5.1に準じて算出した。温度20℃、湿度65%RHの環境下において、オリエンテック社製テンシロンUTM−III−100型を用いて、初期試料長20cm、引張速度20cm/分の条件で引張試験を行った。最大荷重を示す点の応力(cN)を繊度(dtex)で除して強度(cN/dtex)を算出し、最大荷重を示す点の伸び(L1)と初期試料長(L0)を用いて伸度(%)を算出した。さらに得られた強度と伸度よりタフネスを算出した。なお、測定は1試料につき10回行い、その平均値から強度、伸度、タフネスを求めた。
伸度(%)={(L1−L0)/L0}×100。
タフネス=(強度(cN/dtex))×[(伸度(%))^(1/2)] 。
[参考例1]
ε−カプロラクタム10kg、イオン交換水2.5kgを反応容器に仕込み密閉し、窒素置換した。反応容器外周にあるヒーターの設定温度を275℃とし、加熱を開始した。缶内圧力が1.0MPaに到達した後、水分を系外へ放出させながら缶内圧力1.0MPaに保持し、缶内温度が240℃になるまで昇温した。缶内温度が240℃に到達した後、ヒーターの設定温度を255℃に変更し、1時間かけて常圧となるよう缶内圧力を調節した。続けて、缶内に窒素を流しながら40分間保持した。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻して重縮合反応を停止させ、口金からストランド状に押出して水槽冷却、カッティングしてポリアミド6(ナイロン6)のペレットを得た。得られたナイロン6の相対粘度ηr(濃度0.01g/mLの98%硫酸溶液、25℃、オストワルド式粘度計で測定)は2.40であった。
[実施例1]
ジメチルテレフタル酸(DMT)6.1kg(全酸成分に対して70モル%)、ジメチル5−スルホイソフタル酸ナトリウム(SSIA)1.3kg(全酸成分に対して10モル%)、ジメチルイソフタル酸(DMI)1.7kg(全酸成分に対して20モル%)、エチレングリコール(EG)5.2kg、酢酸マンガン4水和物(MN)4.5g、酢酸リチウム2水和物(LAH)49.5g、三酸化アンチモン(AO)2.3gを加え、140〜230℃でメタノールを留出しつつエステル交換(EI)反応を行い、250分後、リン酸(PA)0.9gを添加した。さらに、数平均分子量4000の片末端メトキシ基封鎖PEG(日油製“ユニオックスM‐4000”)1.0kg(得られる共重合ポリエステルに対して10.0重量%)、[ペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート)](BASF製“Irganox(登録商標。以下同じ。)1010”)25.0g、シリコーンオイル(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製“TSF433”)10.0gを加え、減圧および昇温開始し、重縮合反応を開始した。徐々に0.1kPa以下まで減圧し、同時に290℃まで昇温し、重合開始90分後、反応系を窒素パージして常圧に戻して重縮合反応を停止させ、口金からストランド状に押出して水槽冷却し、ペレット状にカッティングを実施した。
得られた共重合ポリエステル組成物を芯成分、参考例1で得られたナイロン6を鞘成分とし、それぞれを水分率500ppm以下になるまで乾燥した後、芯成分を50重量%、鞘成分を50重量%の配合比でプレッシャーメルター型複合紡糸機へ供給して、別々に溶融させ、紡糸温度280℃において、C型口金(フィラメント数36)を組み込んだ紡糸パックに流入させ、280dtex−36fの未延伸糸を得た。その後、延伸仮撚機(ツイスター部:フリクションディスク式、ヒーター部:接触式)を用いて、得られた未延伸糸をヒーター温度150℃、倍率3.3倍の条件で延伸し、84dtex−36fのC型複合繊維を得た。得られた共重合ポリエステル組成物のポリマー特性、およびナイロン6との複合繊維特性を表2に記す。
[実施例2〜5]
実施例1で用いたDMT添加量、およびDMI添加量を表1に記載のとおり変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、共重合ポリエステルおよび複合繊維を得た。
[実施例6〜8]
実施例1で用いたユニオックスM−4000の添加量、EG添加量、MN添加量、およびLAH添加量を組成変更に伴い表1に記載のとおり変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、共重合ポリエステルおよび複合繊維を得た。
[実施例9〜12]
実施例1で用いたDMT添加量、SSIA添加量、DMI添加量、EG添加量、MN添加量、およびLAH添加量を組成変更に伴い表1に記載のとおり変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、共重合ポリエステルおよび複合繊維を得た。
Figure 2019081864
Figure 2019081864
[実施例13]
実施例1で用いたDMT添加量、DMI添加量を表3に記載のとおり変更し、EG添加量、MN添加量、およびLAH添加量を組成変更に伴い表3に記載のとおり変更し、ユニオックス‐M4000を添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施し、共重合ポリエステルおよび複合繊維を得た。
[実施例14]
実施例1で用いたDMT添加量、ユニオックス‐M4000の添加量、EG添加量、MN添加量、およびLAH添加量を組成変更に伴い表1に記載のとおり変更し、DMIを添加しなかったこと以外は実施例1と同様に実施し、共重合ポリエステルおよび複合繊維を得た。
[実施例15〜16]
実施例1で添加したポリアルキレンオキサイド化合物を表3に記載のとおりに変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、共重合ポリエステルおよび複合繊維を得た。
[実施例17〜19]
実施例1で用いたDMT添加量、EG添加量を表3に記載のとおり変更し、DMIを添加する代わりに表1に記載の第3成分を20モル%添加したこと以外は実施例1と同様に実施し、共重合ポリエステルおよび複合繊維を得た。
[比較例1〜3]
実施例1で用いたDMT添加量、DMI添加量、ユニオックス‐M4000の添加量、EG添加量、MN添加量、およびLAH添加量を表1に記載のとおり変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、共重合ポリエステルおよび複合繊維を得た。
比較例1はDMIおよびユニオックス‐M4000が添加されておらず、酸成分としてはテレフタル酸成分とSSIA成分のみ、ジオール成分としてはEGのみからなる共重合ポリエステル組成物であるため、損失正接が20未満となり、複合繊維形態でのタフネスが織編加工などに必要とされる13を下回った。
比較例2は、比較例1に対してDMIを15モル%共重合したが損失正接は20以上に至らず、複合繊維形態でのタフネスが織編加工などに必要とされる13を下回った。
比較例3は、比較例1に対してユニオックス‐M4000を1.0重量%共重合したが損失正接は20以上に至らず、複合繊維形態でのタフネスが織編加工などに必要とされる13を下回った。
[比較例4]
実施例1で用いたDMT添加量、SSIA添加量、DMI添加量、ユニオックス‐M4000の添加量、EG添加量、MN添加量、およびLAH添加量を表3に記載のとおり変更したこと以外は実施例1と同様に実施し、共重合ポリエステルおよび複合繊維を得た。
比較例4は、SSIA共重合率が10モル%を下回ったため、0.06重量%水酸化ナトリウム溶液への重量減少率が著しく悪化した。
Figure 2019081864
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Claims (7)

  1. ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体、ならびにジオールおよび/またはそのエステル形成性誘導体から得られる共重合ポリエステルであって、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体成分が全酸成分に対して下記式1を満たすようにAモル%共重合され、かつ、プレート直径20mmの粘弾性測定装置を用いて0.1Hzの周波数にて285℃で測定した際に損失正接が20〜200を示す共重合ポリエステル組成物。
    10 ≦ A ≦ 25 (式1)
  2. テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体以外の非イオン性ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体成分が(A+10)〜50モル%共重合された請求項1に記載の共重合ポリエステル組成物。
  3. 非イオン性ジカルボン酸および/またはそのエステル形成性誘導体成分が、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、およびシクロヘキサンジカルボン酸、ならびにそのエステル形成性誘導体の少なくとも一種である請求項2に記載の共重合ポリエステル組成物。
  4. テレフタル酸由来の構造をジカルボン酸由来の構造に対して40〜70モル%含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の共重合ポリエステル組成物。
  5. 下記式(1)で表される片末端封鎖ポリアルキレンオキサイド化合物がポリエステルに対して5〜20重量%共重合された請求項1〜4のいずれか一項に記載の共重合ポリエステル組成物。
    H[−O−R]n−O−X 式(1)
    (上記式(1)において、Xは炭素数1〜10のアルキル基から選ばれる少なくとも1種であり、Rは炭素数1〜12のアルキレン基から選択される少なくとも1種であり、nは45〜113の整数である。)
  6. 固有粘度が0.60〜1.20dL/gである請求項1〜5のいずれか一項に記載の共重合ポリエステル組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の共重合ポリエステル組成物を含む複合繊維。
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