JP2019081825A - フィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ及びフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 - Google Patents

フィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ及びフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた透明性を有し、生産加工性に優れるフィルムを作製することができるフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチおよびポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得ること。【解決手段】固有粘度0.9〜1.5dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂(a)100重量部に対し、平均粒子径0.5〜5μmの無機粒子(b)を5〜10重量部含有するフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ。【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ及びフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。特に透明性かつ帯電防止性を要求されるフィルム用途へ好適に使用されるフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ及びポリブチレンテレフタレート樹脂組成物に関する。
熱可塑性ポリエステル樹脂、中でもポリブチレンテレフタレート樹脂(以下、PBT樹脂と略す。)は優れた機械特性、成形性、耐熱性及び耐薬品性など、エンジニアリングプラスチックとして好適な性質を有することから、射出成形による成形品を中心として、各種自動車部品、電気部品、建設部品などの用途に使用されている。また、近年ではPBT樹脂の有するガスバリア性、耐熱性、および形状保持性能を生かしたフィルム用途へ適用されている。
従来より、フィルム用材料として生産性を考慮し帯電防止を目的に無機粒子を含有したマスターバッチ(以下、MBと略す)が使用されてきた。しかしながら、フィルム用途においては微細な無機粒子の添加は分散性が悪くフィルムの透明性が十分でないという課題があった。
このような課題に対し、例えば特許文献1には平均粒子径0.5〜3μmの無機粒子を1〜2重量%含有したポリエステルMBと無機粒子を含まないポリエステル樹脂を配合してなる樹脂組成物が提案されている。
また、分散性を向上させる方法として、例えば特許文献2では、ヘキサメチルジシラザンで表面処理した平均粒子径5〜50μmの無機粒子をポリエステルへ直接配合する樹脂組成物が提案されている。
国際公開第2013/146524号 特開平7−286095号公報
上述のとおり、フィルム特性としては帯電防止性と透明性を要求されるが、従来公知のPBT樹脂組成物を用いたフィルムは、帯電防止効果は得られるものの、無機粒子の分散性が悪く透明性が不十分であった。また、分散性を考慮し表面処理した無機粒子を使用した場合においてもPBT樹脂の固有粘度が特定値以上になると、無機粒子の分散性が悪く透明性が不十分であった。
本発明は、上述の課題を解決し、帯電防止性と透明性を両立できるフィルム用PBT樹脂マスターバッチ及びPBT樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らはかかる課題を解決するために、鋭意研究、検討を重ねた結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、
(1)固有粘度0.9〜1.5dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂(a)100重量部に対し、平均粒子径0.5〜5μmの無機粒子(b)を5〜10重量部含有するフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ、
(2)無機粒子を含まないポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、(1)記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチを3〜10重量部含有するフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、
(3)前記無機粒子を含まないポリブチレンテレフタレート樹脂が固有粘度0.9〜1.5dl/gのPBT樹脂を含む、(2)記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物、
(4)無機粒子を含まないポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、(1)に記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチを3〜10重量部を混合および/または溶融混練する、(2)または(3)に記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法、である。
本発明によれば、優れた透明性を有し、生産加工性に優れるフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ及びポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施する事ができる。
本発明のフィルム用PBT樹脂MBは、(a)PBT樹脂、および(b)無機粒子を含有する。また本発明のPBT樹脂組成物は、(A)フィルム用PBT樹脂MB、および無機粒子を含まないPBT樹脂を含有する。
本発明に用いられる(a)PBT樹脂は、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体と1,4−ブタンジオールあるいはそのエステル形成性誘導体とを主成分とする原料から、重縮合反応等の通常の重合反応によって得られる重合体である。テレフタル酸のエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸の低級アルキルエステル等が挙げられる。より具体的には、テレフタル酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、およびブチルエステル等が挙げられる。
前記(a)PBT樹脂は、さらに本発明の目的を損なわない範囲であれば、テレフタル酸またはその誘導体、および1,4−ブタンジオールまたはその誘導体とともに、他のジカルボン酸またはその誘導体を共重合したものであってもよいし、他のジオールまたはその誘導体を共重合したものであってもよい。共重合成分として用いられるジカルボン酸またはその誘導体としては、イソフタル酸、アジピン酸、シュウ酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。共重合成分として用いられるジオール成分またはその誘導体としては、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。共重合成分は、テレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体と、1,4−ブタンジオールあるいはそのエステル形成性誘導体を重縮合することにより得られるポリエステルに対して20モル%以下であることが好ましい。
(a)PBT樹脂および共重合体の好ましい例としては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)等が挙げられる。ここで、「/」は共重合成分を示す。これらを2種以上配合してもよい。
本発明に用いられる(a)PBT樹脂は、固有粘度が0.9〜1.5dl/gの範囲にある必要がある。固有粘度が0.9dl/g未満の場合、加工方法によってはフィルムの製造が困難となる。また固有粘度が1.5dl/gを超えるとマスターバッチを生産すること自体が困難となる。より好ましくは固有粘度が0.95〜1.25dl/gである。なお、PBT樹脂の固有粘度は、オクトクロロフェノール溶液を使用してPBT樹脂を溶解し、温度23℃にて測定した値である。
本発明に用いられる(a)PBT樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の重縮合法や開環重合法等を用いることができる。バッチ重合法および連続重合法のいずれでもよく、また、エステル交換反応および重縮合反応によりポリブチレンテレフタレートを得る方法、ならびにエステル化反応および重縮合反応によりポリブチレンテレフタレートを得る直接重合法のいずれも適用することができる。カルボキシ末端基量を少なくすることができ、かつ、流動性向上効果が大きくなるという点で、連続重合法が好ましく、コストの点で、直接重合法が好ましい。
なお、前記エステル化反応による重縮合および前記エステル交換反応による重縮合を効果的に進めるために、これらの反応時に触媒を添加することが好ましい。触媒の具体例としては、有機チタン化合物、スズ化合物、ジルコニア化合物、アンチモン化合物等が挙げられる。
前記有機チタン化合物のより具体的な例としては、チタン酸のメチルエステル、テトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステル、テトライソブチルエステル、テトラ−tert−ブチルエステル、シクロヘキシルエステル、フェニルエステル、ベンジルエステル、トリルエステル、あるいはこれらの混合エステル等が挙げられる。
前記スズ化合物のより具体的な例としては、ジブチルスズオキシド、メチルフェニルスズオキシド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキシド、シクロヘキサヘキシルジスズオキシド、ジドデシルスズオキシド、トリエチルスズハイドロオキシド、トリフェニルスズハイドロオキシド、トリイソブチルスズアセテート、ジブチルスズジアセテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズジクロライド、トリブチルスズクロライド、ジブチルスズサルファイド、ブチルヒドロキシスズオキシド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸、ブチルスタンノン酸等のアルキルスタンノン酸等が挙げられる。
前記ジルコニア化合物のより具体的な例としては、ジルコニウムテトラ−n−ブトキシド等のジルコニア化合物が挙げられる。
前記アンチモン化合物のより具体的な例としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン等が挙げられる。
これらのうち、触媒効果の点で好ましいのは有機チタン化合物、スズ化合物であり、さらに、より高い触媒効果を有する点でチタン酸のテトラ−n−プロピルエステル、テトラ−n−ブチルエステル、テトライソプロピルエステルが好ましく、チタン酸のテトラ−n−ブチルエステルが特に好ましい。また、これらの触媒は2種以上併用することもできる。
前記触媒の添加量は、(a)PBT樹脂100重量部に対して、0.005〜0.5重量部の範囲が好ましく、0.010〜0.2重量部の範囲がより好ましい。
本発明に用いられる(b)無機粒子は、その平均粒子径が0.5〜5μmである。0.5μm未満では、帯電防止性が低下しフィルム生産性を付与する効果が低下するので好ましくない。一方、5μmを越えた場合、粗大突起の形成によりフィルムの透明性を損なう場合があるので好ましくない。透明性の観点から、3μm以下がさらに好ましい。
なお平均粒子径は、水あるいはエチレングリコールを触媒とし、レーザー光散乱法で測定した粒度分布から求められる数平均粒子径の値をいう。
本発明において、ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ中における上述の無機粒子(b)のPBT樹脂への添加量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(a)100重量部に対し、5〜10重量部の範囲である。好ましくは6〜8重量部の範囲である。5重量部未満では、フィルム中の無機粒子の量が少なくなるため分散性が悪くなり、帯電防止効果が得られない。また10重量部を超えた場合、マスターバッチの生産工程において全無機粒子を供給するのが困難であり、マスターバッチの生産性が悪くなる。また、マスターバッチの生産工程において全無機粒子を供給できなくなった結果、無機粒子の添加量が10重量部未満となり、所望の無機粒子を含有するマスターバッチを生産することができない可能性があり、好ましくない。
本発明で用いる無機粒子としては、チタン、アルミニウム、ケイ素、カルシウム、マグネシウム、バリウムなどの金属の酸化物、炭酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、アルミン酸塩からなる粒子を使用することができる。
具体的には、二酸化ケイ素、二酸化チタン、アルミナ、アルミノシリケート、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどのほか、天然由来のタルク、マイカ、カオリナイト、ゼオライトなどの粒子があげられるが、これらに限定されない。帯電防止性の観点から、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、タルクが好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
これらの無機粒子は凝集防止のため、グリコール類でスラリー化した後、サンドグラインダー、アトライター、超音波などの媒体拡販型分散機により機械的分散させてから添加することが好ましい。また、アルカリ金属化合物、アンモニウム化合物、リン化合物などを添加して分散効率を向上させた後、添加する方法も好ましい。ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチを製造する際の上述の無機粒子(b)の添加時期および添加方法は、特に制限されない。
本発明のフィルム用ポリブチレンテレフタレートマスターバッチ中には使用する目的に応じて、無機粒子以外に、耐熱剤、架橋高分子粒子などの不活性粒子、傾向増白剤、紫外線防止剤、赤外線吸収色素、熱安定剤、界面活性剤、酸化防止剤などの各種添加剤を1種もしくは2種以上配合させることができる。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系などの酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステルなどのリン系、イオウ系、アミン系などの安定剤が使用可能である。
これら無機粒子以外の添加剤は、合計で、ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ中に、好ましくは5重量%以下の割合で添加することができ、より好ましくは3重量%以下の割合である。
本発明のフィムル用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物は、無機粒子を含まないポリブチレンテレフタレート樹脂および本発明の無機粒子を含有するポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチを含有する。
本発明で用いられる無機粒子を含まないPBT樹脂は、無機粒子を含まないPBT樹脂であり、上記で説明した、フィルム用ポリブチレンテレフタレートマスターバッチを作製する際に用いる(a)PBT樹脂と同様のPBT樹脂を用いることができる。
また、無機粒子を含まないPBT樹脂は、その固有粘度が0.9〜1.5dl/gの範囲にあることが好ましい。本来ならば凝集しやすい粒子径の無機粒子が、このような固有粘度のPBT樹脂を用いることで容易に分散可能となった。固有粘度が0.9dl/g以上の場合、フィルムの製造が容易であり好ましい。また1.5dl/g以下とすることで、マスターバッチ中の無機粒子の分散性が向上し透明性に優れたフィルムを得ることができる。
本発明で得られるPBT樹脂組成物は、上記無機粒子を含まないPBT樹脂100重量部に対し、上記フィルム用PBT樹脂マスターバッチを3〜10重量部を含有する。好ましくは5〜7重量部である。3重量部以上とすることで帯電防止効果が得られ、生産性よくフィルムを生産することができる。10重量部以下とすることで、透明性に優れたフィルムを得ることができる。
本発明のPBT樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、離型剤、難燃剤などの通常の添加剤および少量の他種ポリマーを添加することができる。
酸化防止剤の例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート等のフェノール系化合物、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート等のイオウ系化合物、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト等のリン系化合物等が挙げられる。
安定剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールを含むベンゾトリアゾール系化合物、ならびに2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンのようなベンゾフェノン系化合物、モノまたはジステアリルホスフェート、トリメチルホスフェートなどのリン酸エステルなどを挙げることができる。
これらの各種添加剤は、2種以上を組み合わせることによって相乗的な効果が得られることがあるので、併用して使用してもよい。
なお、例えば酸化防止剤として例示した添加剤は、安定剤や紫外線吸収剤として作用することもある。また、安定剤として例示したものについても酸化防止作用や紫外線吸収作用のあるものがある。すなわち前記分類は便宜的なものであり、作用を限定したものではない。
離型剤としては、カルナウバワックス、ライスワックス等の植物系ワックス、蜜ろう、ラノリン等の動物系ワックス、モンタンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等の石油系ワックス、ひまし油及びその誘導体、脂肪酸及びその誘導体等の油脂系ワックスが挙げられ、高級脂肪酸誘導体としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸等の高級脂肪酸と1価または2価以上のアルコールとのエステル、これら高級脂肪酸エステルを部分的に金属酸化物、例えばCa(OH)、NaOH、Mg(OH)、Zn(OH)、LiOH、Al(OH)を用いてケン化した部分ケン化エステル、高級脂肪酸と金属酸化物または金属水酸化物とから得られる完全ケン化物、高級脂肪酸、多価アルコールのエステルにつなぎ剤としてアジピン酸等のジカルボン酸を用いて縮合させた複合エステル、高級脂肪酸とモノアミンまたはジアミンから得られるモノまたはジアミドなどが挙げられる。
本発明のフィルム用PBT樹脂マスターバッチ及びPBT樹脂組成物の製造方法としては、2軸押出機を用い、シリンダー温度230〜300℃にて該押出機の上流側から原料を供給・混練する方法が挙げられるが、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーあるいはミキシングロールなど、公知の溶融混合機を用いて、200〜350℃の温度で溶融混練してもよく、また、各成分を予め一括して混合しておき、それから溶融混練してもよい。また、本発明のフィルム用PBT樹脂組成物は、PBT樹脂マスターバッチのペレットおよびPBT樹脂ペレットを混合する(ドライブレンドする)方法によっても得ることができる。さらに、(a)成分、(b)成分の合計量100重量%に対し、その添加量が例えば1重量%以下であるような、少量を添加する添加剤成分については、他の成分を上記の方法などで混練しペレット化した後、成形前に添加してもよい。なお、各成分に付着している水分は少ない方がよく、各成分は予め事前乾燥しておくことが望ましいが、必ずしも全ての成分を乾燥させる必要がある訳ではない。
本発明のフィルム用PBT樹脂マスターバッチおよびPBT樹脂組成物は、一般に行われる熱可塑性樹脂フィルムの成形方法により成形されるが、なかでも押出成形に好適に用いられる。また、本発明のフィルム用PBT樹脂マスターバッチおよびPBT樹脂組成物は、射出成形、押出成型、ブロー成形、トランスファー成形、真空成形などの一般的な成形方法による成形においても用いることができる。
本発明のフィルム用PBT樹脂マスターバッチ及びPBT樹脂組成物は、無機粒子の分散性及びフィルム等の薄膜成形品の生産における帯電防止性に優れるため、単層、多層に限らずフィルム用途全般に好ましく適用される。特に30μm以下の薄肉で透明性が要求されるフィルム用途に好適である。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の効果を更に詳細に説明する。本発明の骨子は以下の実施例のみに限定されるものではない。各実施例及び比較例に使用する原料について以下に示す。
(a−1)PBT:東レ(株)ポリブチレンテレフタレート(固有粘度0.95dl/g)
(a−2)PBT:東レ(株)ポリブチレンテレフタレート(固有粘度1.25dl/g)
(a−3)PBT:東レ(株)ポリブチレンテレフタレート(固有粘度0.75dl/g)(b−1)無機粒子:富士シリシア化学(株)製二酸化ケイ素 サイロホービック100、平均粒子径2.7μm
(b−2)無機粒子:富士シリシア化学(株)製二酸化ケイ素 サイロホービック704、平均粒子径6.2μm
各実施例及び比較例における評価方法を説明する。評価n数は、特にこだわらない限り、n=3とし平均値を求めた。
(1)PBT樹脂の固有粘度(IV)
オクトクロロフェノール溶液を使用してPBT樹脂を溶解し、温度23℃にて測定した。
(2)フィルム用PBT樹脂マスターバッチ中の無機粒子分散性
各実施例および比較例で得られたPBT樹脂マスターバッチのペレットを用いて、小型単軸押出機((株)東洋精機製作所製ラボプラストミル)へ前記ペレットを300g投入し、シリンダー温度260℃、スクリュウ回転数100rpmに設定し、20μmのろ過フィルタ通過時の圧力を測定した。流動開始直後の圧力と流動後安定した時の圧力を測定し、それらの差異を求め、分散性の指標とした。圧力差が小さいほど、分散性に優れるといえる。
(3)PBT樹脂組成物中の無機粒子分散性
各実施例および比較例に記載の組成でPBT樹脂組成物のペレットを作成した。40mmのTダイを有する単軸押出機(シンコーマシナリー社製VS40−25型)に得られたPBT樹脂組成物ペレットを投入し、シリンダー温度260℃、ダイス温度260℃、スクリュウ回転数100rpmに設定し、製膜速度10m/minでフィルムを押出し、20mm×20mm×30μmのフィルム状試験片を作成した。フィムル状試験片の全体をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製VHX−900)を用いて観察し、存在する無機粒子の凝集物を観察し、その凝集物の直径を測定し、大きさ別の個数を評価した。
〔実施例1、2および比較例1〜3〕
表1に記載する組成に従って各成分全てを二軸押出機の主投入口から供給し、シリンダー温度250℃に設定したスクリュー径40mmφの二軸押出機で溶融混練を行い、ペレット状のPBT樹脂マスターバッチを得た。得られたペレットを用いて、前記(2)に記載の方法により、PBT樹脂マスターバッチ中における無機粒子の分散性を評価した。実施例1〜2および比較例1〜3の評価結果から明らかなように、本発明のPBT樹脂マスターバッチは無機粒子の分散性に優れていた。
〔実施例3〜7および比較例4〜6〕
表2に記載する組成に従って各成分をタンブラーへ投入し、回転数50rpmに設定したタンブラーで物理混合を5分間行い、PBT樹脂マスターバッチと無機粒子を含まないPBT樹脂を混合したPBT樹脂組成物を得た。得られたペレットを用いて、前記(3)記載の方法により、フィルム状の試験片を作製し、PBT樹脂組成物中の無機粒子の分散性を評価した。なお、比較例6は、マスターバッチを用いないで、直接ポリブチレンテレフタレート樹脂および無機粒子を溶融混練し、樹脂組成物ペレットを作製したものである。実施例3〜7および比較例4〜6の評価結果から明らかなように、本発明のPBT樹脂組成物はフィルム中の無機粒子の分散性に優れている結果であった。
表1、2に実施例1〜7および比較例1〜6の組成および評価結果を示す。
Figure 2019081825
Figure 2019081825
本発明のフィルム用PBT樹脂マスターバッチおよびPBT樹脂組成物は、薄肉で透明性が要求される食品包装、各種容器、壁材、床材などのフィルム用途に特に有効である。

Claims (4)

  1. 固有粘度0.9〜1.5dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂(a)100重量部に対し、平均粒子径0.5〜5μmの無機粒子(b)を5〜10重量部含有するフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチ。
  2. 無機粒子を含まないポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、請求項1に記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチを3〜10重量部含有するフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  3. 前記無機粒子を含まないポリブチレンテレフタレート樹脂が固有粘度0.9〜1.5dl/gのポリブチレンテレフタレート樹脂を含む請求項2に記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物。
  4. 無機粒子を含まないポリブチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、請求項1に記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂マスターバッチを3〜10重量部を混合および/または溶融混練する、請求項2または3に記載のフィルム用ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法。
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