JP2019077744A - ウエットシート用液組成物及びウエットシート - Google Patents
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Abstract
Description
本実施の形態のウエットシート用液組成物は、シリカゾル加水分解物と水と炭素数1〜3のアルコールとを含む。液組成物100質量%に対して、シリカゾル加水分解物を0.5〜4.0質量%、アルコールを1.0〜5.0質量%、水を90〜99質量%それぞれ含む。このウエットシート用液組成物は、シリカゾル加水分解物を100質量%とするときに、シリカゾル加水分解物が上記の一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造のフッ素含有官能基成分を0.5〜15質量%含む。
本実施の形態のウエットシート用液組成物は、次に述べる混合液と触媒とを混合して、シリカゾル加水分解物を含む液を調製し、このシリカゾル加水分解物を含む液に水を加えて製造される。
先ず、ケイ素アルコキシドとしてのテトラメトキシシラン(以下、「TMOS」ということもある。)又はテトラエトキシシラン(以下、「TEOS」ということもある。)と、下記の一般式(2)で示されるフッ素含有シランと、炭素数1〜3のアルコールと、水とを混合して混合液を調製する。このケイ素アルコキシドとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、そのオリゴマー又はテトラエトキシシラン、そのオリゴマーが挙げられる。例えば、硬度の高い膜を得る目的には、テトラメトキシシランを用いることが好ましく、一方、加水分解時に発生するメタノールを避ける場合は、テトラエトキシシランを用いることが好ましい。
上記調製された混合液と有機酸、無機酸又はチタン化合物からなる触媒とを混合する。このとき液温を好ましくは30〜80℃の温度に保持して好ましくは1〜24時間撹拌する。これにより、ケイ素アルコキシドとフッ素含有シランのシリカゾル加水分解物を含む液が調製される。特には限定されないが、シリカゾル加水分解物を含む液は、ケイ素アルコキシドを5〜40質量%(好ましくは10〜35質量%)、フッ素含有シランを0.05〜0.55質量%(好ましくは0.2〜0.5質量%)、炭素数1〜3のアルコールを0.01〜4質量%(好ましくは0.1〜2質量%)、水を60〜75質量%(好ましくは65〜70質量%)、有機酸、無機酸又はチタン化合物を触媒として0.05〜0.5質量%(好ましくは0.1〜0.3質量%)の割合で混合してケイ素アルコキシドとフッ素含有シランとの加水分解反応を進行させることで得られる。
上記調製されたシリカゾル加水分解物を含む液に、水を加えてウエットシート用液組成物を製造する。水は、ウエットシート用液組成物100質量%に対して90〜99質量%含有するように添加される。シリカゾル加水分解物が上記一般式(2)で示され、具体的には上述した式(19)〜(29)で示されるペルフルオロアミン構造のフッ素含有官能基成分を含むため、撥水並びに撥油の効果がある。
また特に限定はされないが、本実施の形態の液組成物には防腐剤を含んでもよい。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、パラオキシ安息香酸エステルのナトリウム塩、安息香酸、安息香酸塩類、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩類、ヒノキチオール、フェノキシエタノール等が挙げられる。
本実施の形態のウエットシートは、シート母材である不織布に上記液組成物を含浸して構成される。このシート母材は30〜100g/m2の目付を有し、1〜250cm3/cm2/secの通気度を有する不織布からなる。好ましい目付は、40〜80g/m2であり、好ましい通気度は、10〜180cm3/cm2/secである。この不織布の目付が30g/m2未満では強度が不足し、ウエットシートを基材表面に沿って移動したときに、不織布が破れ易くなる。この目付が100g/m2を超えると、不織布が分厚過ぎ、取扱いにくくなる。不織布の目付は、不織布を100mm×100mmのサイズに裁断し、裁断した不織布の温度25℃及び湿度50%における水分平衡状態(以下、単に水分平衡状態という。)の質量を測定し、1m2当たりの目付質量に換算して求める。
シート母材である不織布を所定のサイズに裁断する。次いで液組成物を不織布に接触させる。第一の方法は、一枚の不織布又は複数枚を重ね合わせた不織布積層体(以下、単に不織布という。)をパッド又は広口の容器に貯えた上記液組成物中に所定時間浸漬した後、液組成物から引上げ、脱液する。第二の方法は、不織布に上記液組成物を所定量スプレーノズルから噴霧する。
防油性の塗膜は、上記ウエットシートを基材表面に沿って移動して基材表面に上記液組成物を塗布する。基材としては、防油処理を必要とする金属材、プラスチック材、セラミック材、ガラス材、表面加工した木材、加工紙等が挙げられる。基材表面に塗布した液組成物を塗布後室温で放置して自然乾燥することにより、基材表面に防油性の塗膜を形成する。
式(29)で表されるフッ素含有シラン0.48gをアルコールとしてのエタノール0.1gに混合した。このフッ素含有シランとケイ素アルコキシドとしてテトラメトキシシラン(TMOS)の3〜5量体(三菱化学社製、商品名:MKCシリケートMS51)8.22gと水21.13gに混合し、この混合液に触媒として濃度60質量%の硝酸0.07gを添加して60℃の温度で3時間撹拌した。これによりシリカゾル加水分解物が得られた。このシリカゾル加水分解物を10.0g秤量し、これを水30.8gで希釈して、ウエットシート用液組成物を調製した。ウェットシート用液組成物中のアルコールの含有割合は4.9質量%、水の含有割合は91.3質量%、触媒の含有割合は0.03質量%、シリカゾル加水分解物の含有割合は3.8質量%であった。またシリカゾル加水分解物100質量%に対して、フッ素含有シランの含有割合は14.8質量%であった。シリカゾル加水分解物を含む液の各成分の量及び割合を表1に示し、ウエットシート用液組成物を調製するためのシリカゾル加水分解物を含む液とこれに添加する水の各量(g)、液組成物の各成分の割合(質量%)を表2に示す。
表1に示されるケイ素アルコキシド、フッ素含有シラン、アルコール、水及び触媒を用いて、実施例1と同様にして、シリカゾル加水分解物を含む液を調製し、また表2に示されるウエットシート用液組成物を調製した。
試験例1〜8、比較試験例1〜6の14種類のウエットシートを構成する液組成物、母材シートである不織布、不織布に液組成物を吸収させた後のシリカゾル加水分解物の含有量と液分含有量の詳細を表3に示す。
A4サイズ(たて297mm、よこ210mm)に裁断した目付60g/m2、厚さ0.3mm、通気度150cm3/cm2/secのPET繊維とパルプ繊維を混合した不織布を用意した。不織布を天秤の上に水平におき、実施例2の液組成物をスプレーにより、不織布に均一に噴霧して、所定の質量になるまで、不織布に吸収させることにより含浸して、試験例1のウエットシートを作製した。
A4サイズ(たて297mm、よこ210mm)に裁断した目付30g/m2、厚さ0.3mm、通気度200cm3/cm2/secのPP繊維からなる不織布を用意した。不織布を天秤の上に水平におき、実施例3の液組成物をスプレーにより、不織布に均一に噴霧して、所定の質量になるまで、不織布に吸収させることにより含浸して、試験例2のウエットシートを作製した。
表3に示すように液組成物の種類を変え、母材シートである不織布の目付、通気度、材質を変え、試験例1、2と同様にして不織布に液組成物を吸収させ、表3に示すようにシリカゾル加水分解物の含有量、液分含有量を変えた。それ以外は、試験例1又は試験例2と同様にして、試験例3〜8、比較試験例1〜6のウエットシートを作製した。
試験例1〜8、比較試験例1〜6の14種類のウエットシートを手に持って、予めアセトンで脱脂した厚さ1mm、たて150mm、よこ70mmのSUS基板を垂直に立てた状態にしてから、ウエットシートをSUS基板の表面全体に沿って移動し、温度25℃で3時間乾燥して基板表面に塗膜を形成した。上記14種類の塗膜の外観と膜表面の防油性を調べた。また調理の際に発生する油蒸気を導くレンジフードの表面に沿ってウエットシートを移動した後の油汚れの状況とその油汚れを水を含ませた布を基板表面に沿って移動(以下、水拭きという。)したときの清掃性について調べた。これらの結果を表4に示す。
SUS基板の表面に形成された塗膜を目視により、塗膜にひび割れが見られたり、塗膜が均一に形成されずにまだら模様を呈する場合を「不良」と判定し、塗膜にひび割れもなく、塗膜が均一に形成されている場合を「良好」と判定した。
水平状態のSUS基板の表面に形成された塗膜上にシリンジからn−ヘキサデカンを9μLの液滴を滴下した後、SUS基板を45度傾斜させ、ヘキサデカンが塗膜により弾かれて、ヘキサデカンの跡が残らないか否かを確認した。ヘキサデカンの跡が残らない場合を「良好」と判定し、残る場合を「不良」と判定した。
表面に塗膜が形成されたSUS基板を温度15℃の純水の中に24時間浸漬し、純水からSUS基板を引上げ、室温で自然乾燥した後、水平状態のSUS基板の表面にn−ヘキサデカンを9μLの液滴を滴下し、上記弾き性試験と同様に、その転落性を調べた。
14種類のウエットシートを手に持って、ウエットシートを厨房の清浄なレンジフード内面に沿って移動し、室温で自然乾燥し、防油性の塗膜を形成した。なお、比較のために、一部分を塗布しない箇所にした。レンジフードの下方で毎日0.5時間油蒸気を発生させ、30日経過後のレンジフード内面における油の付着状況を目視で調べた。未塗布箇所と比較し、明らかに油付着量が少ない場合を「極少量」とした。未塗布箇所と同等の油が付着した場合を「不良」とした。油が付着している箇所と付着していない箇所がまだらの状態を「やや不良」とした。
上記(4)で、30日経過後のレンジフード内面に付着した油汚れを水を含ませた布で拭いたときに、その油汚れが落ちるか否かの清掃性を調べた。水を含ませた布で拭いたときに、油汚れ試験前と同程度の清浄度を有する場合、即ち水拭きで油汚れを除去できる場合を「良好」と判定し、清掃後も油が多量に付着し洗剤で油を除去する必要がある場合を「不良」と判定した。
Claims (4)
- ウエットシートに含浸して用いられ、シリカゾル加水分解物と炭素数1〜3の範囲にある1種又は2種以上のアルコールと水とを含み、
前記シリカゾル加水分解物の含有量が0.5〜4.0質量%であり、前記アルコールの含有量が1.0〜5.0質量%以下であり、前記水の含有量が90〜99質量%であり
前記シリカゾル加水分解物を100質量%とするときに、前記シリカゾル加水分解物が下記の一般式(1)で示されるペルフルオロアミン構造のフッ素含有官能基成分を0.5〜15質量%含むことを特徴とするウエットシート用液組成物。
- 請求項1記載の液組成物を含浸したウエットシートであって、
シート母材が30〜100g/m2の目付と1〜250cm3/cm2/secの通気度を有する不織布からなり、前記不織布の単位面積当たり前記液組成物中のシリカゾル加水分解物を0.005〜1.9g/m2の割合で含み、水分平衡状態の前記不織布に対して水分又は水とアルコールを併せた液分を1〜50g/m2の割合で含有することを特徴とするウエットシート。 - 前記不織布がポリプロピレン(PP)繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、パルプ繊維及びガラス繊維からなる群より選ばれた1種又は2種以上を混合した繊維からなり、前記不織布が複数枚積層されてなる請求項2記載のウエットシート。
- 請求項1記載の液組成物を含浸したウエットシート又は請求項2もしくは3記載のウエットシートを基材表面に沿って移動して前記基材表面に前記液組成物を塗布し、前記塗布した液組成物を乾燥することにより、前記基材表面に防油性の塗膜を形成する防油性の塗膜の形成方法。
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