JP2019077648A - 酸化カルシウムを水中に分散させた殺菌/吸着剤組成物 - Google Patents

酸化カルシウムを水中に分散させた殺菌/吸着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】酸化カルシウムを含有する殺菌/吸着剤組成物を提供する。【解決手段】水と、酸化カルシウムと、100質量部の酸化カルシウムに対して30〜100質量部のリン酸類化合物と、を含有する殺菌/吸着剤組成物であって、酸化カルシウムが水中に分散している、殺菌/吸着剤組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、酸化カルシウムが水中に分散している殺菌/吸着剤組成物に関する。より詳しくは、リン酸類化合物を含有し、酸化カルシウムが水中に分散している殺菌/吸着剤組成物に関する。
貝、卵、ウニなどの食品には貝殻、卵殻、ウニ殻などの廃棄物を生じる問題があった。近年、貝殻、卵殻、ウニ殻などの廃棄物の有効活用として、これらを焼成してできる焼成物の研究が行われている。この焼成物は焼成カルシウムとも呼ばれている。これら廃棄物の主成分は炭酸カルシウムであり、焼成により炭酸カルシウムから二酸化炭素が遊離して生じる酸化カルシウムが焼成カルシウムの主成分である。しかし、石灰石を焼成してできる従来の酸化カルシウム(生石灰)は水と触れると高熱を発するのに対して、焼成カルシウムは水と触れてもほとんど熱を発しない。また焼成カルシウムは肌刺激性が弱いなど安全性が高く食品添加剤として認可されている。さらに焼成カルシウムには、有機毒物吸着効果や殺菌効果、抗ウイルス効果などがあることが報告されている。このような背景から、貝殻、卵殻、ウニ殻などを焼成してできる焼成カルシウムは衛生環境に対処する重要な素材として注目されている。
貝殻などの廃棄物を有効に利用するため、各種の貝殻に由来する焼成カルシウムを有効に利用する方法が提案されている。たとえば、貝殻由来焼成カルシウムには吸水による発熱や障害性が少なく、高い安全性が認められており、食品洗浄・鮮度保存剤としての利用、食品用殺菌剤、ウイルス不活化剤としての利用等が開示されている(例えば特許文献1および2)。しかしながら、焼成カルシウムの研究は依然として不十分であり、多くのことが未解明のままである。
特許文献1には、荒潰ししたホタテ貝殻を1000℃〜1100℃で2〜4時間焼成し、湿式ビーズミル粉砕機などの高価な粉砕装置を用いて平均粒径0.5〜3μmにした微細焼成粉砕物の抗ウイルス効果が開示されている。ここで、抗ウイルス効果の測定をしている対象は、飽和溶解量(約0.1質量%)以下の焼成カルシウムを含有する水溶液である。
特許文献2には、洗浄ホタテ貝殻を1100℃で2時間焼成して得られた100〜500nmの焼成ナノ粉末混合物の上清について抗ウイルス剤としての適用が開示されている。ここで、抗ウイルス剤として使用しているものは、精製水に過剰量の焼成カルシウムを添加した後、余剰焼成カルシウムを遠心分離で沈殿させて得た上清(すなわち焼成カルシウムの飽和水溶液)またはその希釈物である。
特開2008−179555号公報 特開2012−062257号公報
これら特許文献において、貝殻焼成カルシウムを水に混合して得られる水溶液として使用している。しかしながら焼成カルシウムの溶解度は極めて小さく、水100質量部に対して約0.1質量部しか溶解しない。現行の従来製品は、水に対して飽和溶解量以上の焼成カルシウムを配合した後、沈殿した不溶分を取り除いて得られる上清(飽和水溶液)として製造されている。上清のみの使用は、沈殿の除去工程を必須とし、また沈殿した焼成カルシウムの大きな損失を生じてしまい、コストが増大するなど製造上不利である。また飽和溶解度が小さいため、より高い効果を得るため焼成カルシウム濃度を上げることが不可能である。また、沈殿を生じているこのような混合物を噴霧装置に用いようとしても、噴霧装置の目詰まり等を生じる恐れが極めて大きい。
本発明はそのような事情を鑑みて完成された発明であり、上述の課題を解決することを目的とする。
本発明者らは、焼成カルシウムについて鋭意研究した結果、所定量の正リン酸やその塩などを配合させることで、平均粒径が極めて小さい状態で酸化カルシウムが分散している分散液が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、水と、酸化カルシウムと、100質量部の酸化カルシウムに対して30〜100質量部のリン酸類化合物と、を含有する殺菌/吸着剤組成物であって、酸化カルシウムが水中に分散している、殺菌/吸着剤組成物である。
100質量部の水に対して0.01〜4質量部の酸化カルシウムを含有してもよい。
リン酸類化合物は、正リン酸(HPO)およびその塩から成る群より選択される少なくとも1つの化合物としてもよい。
正リン酸の塩は、LiPO、LiHPO、LiHPO、NaPO、NaHPO、NaHPO、KPO、KHPO、KHPO、(NHPO、(NHHPO、(NH)HPO、LiNaPO、LiNaPO、LiKPO、LiKPO、Li(NH)PO、Li(NHPO、NaKPO、NaKPO、Na(NH)PO、Na(NHPO、K(NH)PO、K(NHPO、LiNaKPO、LiNa(NH)PO、LiK(NH)PO、NaK(NH)POでもよい。
pHは10以上でもよい。
分散している酸化カルシウムの平均粒径が1〜500nmでもよい。
殺菌/吸着剤組成物が含有する酸化カルシウムの一部または全部を、貝殻、卵殻、ウニ殻、珊瑚、甲殻から選ばれる少なくとも1つの開始材料を1000℃以上において1時間以上焼成して得られる酸化カルシウムとしてもよい。
貝殻、卵殻、ウニ殻、珊瑚、甲殻から選ばれる少なくとも1つの開始材料から酸化カルシウムを製造する方法は、特に、
(A)開始材料を1100℃以上で4時間以上焼成する一次焼成工程、
(B)焼成された一次焼成物を外気温まで自然冷却させる工程、
(C)一次焼成物を実質的に均等になるよう撹拌および/または混合する工程、
(D)一次焼成物を1100℃以上で2時間以上焼成する二次焼成工程、
(E)焼成された二次焼成物を外気温まで自然冷却させる工程、
を順番に含む製造方法であってもよい。
開始材料として、ホタテ貝殻を特に含んでもよい。
また本発明は、上記の殺菌/吸着剤組成物の使用である。
また本発明は、上記の殺菌/吸着剤組成物を使用して、有害物質および/または病原体を吸着および/または除去する方法である。
また本発明は、水と、酸化カルシウムと、100質量部の酸化カルシウムに対して30〜100質量部のリン酸類化合物とを含有し、酸化カルシウムが水中に分散している分散液を調製するための分散液調製キットである。
さらに本発明は、
酸化カルシウムが水中に分散している分散液を製造する方法であって、
水に酸化カルシウムを添加する工程と、
不溶酸化カルシウムを含む水/酸化カルシウム混合物に、100質量部の酸化カルシウムに対して30〜100質量部のリン酸類化合物を混合する工程と、
を含む分散液の製造方法である。
ここで、不溶酸化カルシウムは、典型的には飽和溶解量を超える量の添加によるものであるが、飽和溶解量未満の添加において混合が不十分で不溶なものが残存する場合もあり得る。
本発明によれば、平均粒径が極めて小さい状態で焼成カルシウムが分散している分散液を提供することができる。また効果は劣るものの、焼成カルシウムだけではなく酸化カルシウムも同様の挙動が見られ、これらは吸着能力がある。したがって本発明は、平均粒径が極めて小さい状態で酸化カルシウムが水中に分散し、殺菌活性や消臭能力のある殺菌/吸着剤組成物を提供する。
焼成カルシウムを水分散液として調製すれば、不溶分ロスの低減または防止に繋がる。また、溶解している焼成カルシウムに加えて分散している焼成カルシウムが存在することによって、従来焼成カルシウム水溶液よりも殺菌活性、有害物質の吸着、除去などの効果を増進させることが期待できる。さらに、この分散液に分散している焼成カルシウムの平均粒径は極めて小さく、また沈殿を全くまたはほぼ生じることがないため噴霧装置の目詰まり等の問題がなくなる。さらに湿式ビーズミル粉砕機などの高価な粉砕機を用いることなく製造することが可能であるため、製造コストの大幅な増大を招くことがなく製品化が実現可能となった。
ある態様の焼成カルシウムと各種酸とを混合した様子を撮影した写真である。 実施例および比較例の消臭効果の評価試験の結果を示すグラフである。 実施例および比較例の一般生菌および大腸菌群の殺菌活性の試験の結果を示すグラフである。
本発明の殺菌/吸着剤組成物は、水、酸化カルシウムと、リン酸類化合物を含有する。
以後、本発明においては酸化カルシウムとして特に焼成カルシウムについて説明する。しかしながら、焼成カルシウムだけでなく通常入手される石灰石由来の酸化カルシウムも本発明の範囲内である。あるいは酸化カルシウムの供給源の典型例として焼成カルシウムを特に含有する。
本発明の殺菌/吸着剤組成物は、焼成カルシウムの分散媒として水を含有する。水の含有量に特に制限はないが、分散媒として機能するため、その含有量は殺菌/吸着剤組成物全量基準として通常50質量%以上である。さらに60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上が好ましい。他方、上限に特に制限はなく、100質量%未満であり、殺菌/吸着剤組成物から他の化合物を取り除いた残部が水である。
本発明において、水とは蒸留水、イオン交換水、純水、水道水及び工業用水等を例示することができる。いずれも使用可能であり、費用対効果を鑑みて使用する水を選択すればよい。焼成カルシウム自体が殺菌、洗浄効果を奏するため雨水などを使用してもよい。
本発明において用いる酸化カルシウムとしては特に制限はない。石灰石を高温にて脱炭酸して得られる従来の酸化カルシウムや、貝殻などを焼成して得られる焼成カルシウムを使用することができる。発熱性、毒性などの観点で焼成カルシウムが好ましい。焼成カルシウムは人体に対する刺激性が極めて弱く、また水に反応/溶解させたり水で希釈したりしても発熱をほぼ発しない。このような利点を有するため、簡便、且つ、安全に本発明の組成物を製造することができる。特に本発明の組成物を噴霧して使用する場合、安全性は重要である。
本発明において用いる焼成カルシウムとしては特に制限はなく、従来公知の焼成カルシウムを使用することができる。
焼成カルシウムの平均粒径に特に制限はないが通常1mm未満である。リン酸等の配合によって平均粒径の小さい焼成カルシウムの分散液を得ることができるが、配合する焼成カルシウムの平均粒径も寄与することから、平均粒径はある程度小さいことが好ましい。よって焼成カルシウムの平均粒径は100μm以下、50μm以下、30μm以下、または10μm以下が好ましい。下限値について特に制限はないが通常1nm以上、10nm以上、100nm以上である。
焼成カルシウムの開始材料としては、従来公知な材料が使用できる。具体的には、炭酸カルシウムを主成分として含有する生物由来材料(特に貝殻、卵殻、ウニ殻、珊瑚、甲殻)が使用される。依然として解明されていないが、石灰石由来の炭酸カルシウムを焼成してできる酸化カルシウムと、生物由来材料を焼成してできる酸化カルシウムとでは構造、組成、その他の相違により発熱性などの特性が異なるものと推測される。
生物由来材料とは、生物学上の生物がその生命活動において生成する物質を意味する。本発明においては、特に炭酸カルシウムを含む生物由来材料を利用する(これらは主に外殻として形成される)。このような生物由来材料としては貝殻、卵殻、ウニ殻、珊瑚、甲殻などが挙げられる。なかでも入手容易性、操作性および加工性の観点から貝殻、卵殻および甲殻が好ましく、貝殻が特に好ましい。
貝殻とは、一般に貝と呼称される生物やこれに類する生物(多くは貝殻亜門に属する)が外殻として形成する、炭酸カルシウムを含む材料を指す。貝は一般的に一枚貝、二枚貝、巻貝といった分類に分けられる。一枚貝としてはアワビ、トコブシなどが挙げられ、二枚貝としてはホタテ、カキ、シジミ、ハマグリ、アサリなどが挙げられ、巻貝としてはサザエ、ツブ、カタツムリなどが挙げられる。いずれの貝の貝殻も開始材料として使用可能であるが、洗浄が容易で不純物の混入リスクを低減できることから二枚貝の貝殻が好ましい。二枚貝の貝殻の中でもホタテ貝殻とカキ貝殻がより好ましく、ホタテ貝殻が特に好ましい。
卵殻とは、鳥類などの卵生生物が卵の外殻として形成する、炭酸カルシウムを含む材料を指す。鳥類やこれに類する卵生生物としては特に制限はないが、家畜として飼育されている関係から鶏や鶉の卵殻は入手性の点で優れている。
ウニ殻とは、ウニ綱に属する生物やこれに類する生物が外殻として形成する、炭酸カルシウムを含む材料を指す。
珊瑚とは、生物サンゴ(俗にサンゴ虫とも呼ぶ)が外殻として形成する、炭酸カルシウムを含む材料を指す。
甲殻とは、甲殻類(甲殻亜門に属する生物)やこれに類する生物が外殻として形成する、炭酸カルシウムを含む材料を指す。甲殻類としてはエビ、カニ、フジツボなどが挙げられる。洗浄が容易で不純物の混入リスクを低減できることからカニ甲殻が好ましい。
なお、貝や甲殻類などが生息した地域によって、その貝殻や甲殻の微量成分(主にミネラル)などが異なることが予想されるが、本発明においてはいずれも使用できる。入手性の観点から通常は日本産、北海道産、オホーツク海産の貝(特にホタテ)の貝殻や甲殻類(特にカニ)の甲殻が使用される。
上述した開始材料から焼成カルシウムを製造する方法は任意であり、従来公知な方法が使用できる。例えば、上述の開始材料を1000℃以上の焼成温度において1時間以上の焼成時間に亘って焼成して得ることができる。
焼成温度は1000℃以上、1050℃以上、1100℃以上としてもよい。焼成温度は1時間以上、1.5時間以上、2時間以上としてもよい。焼成工程における雰囲気や昇温温度、焼成後の冷却工程などは任意である。十分な焼成工程を経ることで、開始材料に含まれる有機物が燃焼して二酸化炭素や水蒸気となって遊離する。また開始材料に含まれる炭酸カルシウムが酸化カルシウムへと変質する。この2つの反応による反応生成物として、酸化カルシウムを含有する多孔性の焼成体(焼成カルシウム)が得られる。
当然のことながら、焼成カルシウムは2種以上を使用してもよい。異なる開始材料から製造された2種以上の焼成カルシウムを混合して使用してもよいし、異なる製造方法によって製造された2種以上の焼成カルシウムを混合して使用してもよい。
上述した通り、焼成カルシウムは従来公知な製造方法によって製造してよいが、特に後述する製造方法によって製造することが好ましい。後述する製造方法によって製造した焼成カルシウムは、理由は不明であるが、平均粒径が小さい焼成カルシウム微粉末を得ることが容易である。焼成カルシウム微粉末であればリン酸等の配合によって、より平均粒径の小さな焼成カルシウムの分散液を得ることができる。平均粒径の小さな焼成カルシウムの分散液の方が分散性並びに殺菌活性や吸着能力が優れる。
特に好ましい製造方法は、少なくとも以下の工程(A)〜(E)を順番に実行する。
(A)開始材料を1100℃以上で4時間以上焼成する一次焼成工程
(B)焼成された一次焼成物を外気温まで自然冷却させる工程
(C)一次焼成物を実質的に均等になるよう撹拌および/または混合する工程
(D)一次焼成物を1100℃以上で2時間以上焼成する二次焼成工程
(E)焼成された二次焼成物を外気温まで自然冷却させる工程
以下、各工程について説明する。
工程(A)は、開始材料を一次焼成する一次焼成工程である。この焼成において開始材料に含まれるタンパク質などに由来する炭素や水素が放出され、主成分の炭酸カルシウムの一部は酸化カルシウムへと変質する。工程(A)はタンパク質などの有機物の除去と炭酸カルシウムの一部を酸化カルシウムへ変質させることを目的としている。
焼成温度は1100℃以上、1150℃以上、1200℃以上、1250℃以上または1300℃以上である。これら温度以上にすることで充分に有機物を除去でき焼成カルシウムの純度が高くなる。他方、焼成温度の上限については酸化カルシウムの融点(約2600℃)以下であれば特に制限はないが、焼成炉への負荷やエネルギーコストの観点から1600℃以下、1550℃以下、1500℃以下、1450℃以下または1400℃以下が好ましい。当然のことながら、焼成工程に亘って、上記範囲内である限り、焼成温度は一定でも変動してもよい。
なお、本発明において温度は全てセルシウス温度を意味することを明記しておく。
焼成時間は4時間以上、4.5時間以上または5時間以上である。これら時間焼成することで充分に有機物を除去でき焼成カルシウムの純度が高くなる。他方、焼成時間の上限は7時間以下、6.5時間以下または6時間以下が好ましい。
工程(A)は有機物の除去を行うため酸素含有雰囲気下(通常は大気雰囲気下)で実行する。タンパク質などに含まれる炭素や水素は酸素と反応し、二酸化炭素や水となって開始材料から遊離する。
外気温から先の焼成温度に昇温する速度に特に制限はないが、通常は100〜500℃/時間、150〜450℃/時間、200〜400℃/時間または250〜350℃/時間である。
なお本発明において「外気温」とは焼成を行う装置(焼成炉)が置かれている周囲環境の気温を意味する。焼成炉が配される地域や場所並びに時刻や季節によって周囲環境の気温は変動するものであり、一律に定義することはできないが、100℃未満、80℃未満、60℃未満または50℃未満の温度と解釈してもよい。
工程(B)は、工程(A)によって焼成された一次焼成物を冷却する工程である。積極的に冷却させるのではなく、加熱を停止させ放熱によって外気温まで自然冷却させる。工程(B)に要する時間は外気温の温度や開始材料によって左右されると考えられるが、凡そ、10時間以上、15時間以上、20時間以上である。
工程(B)は任意の雰囲気下で行ってよい。例えば、不活性ガス(ヘリウムや窒素など)雰囲気下でもよいし、大気雰囲気下でもよい。また工程(A)の雰囲気下と同じでも異なっていてもよい。
緩やかに自然冷却させる過程において、酸化カルシウム結晶が高い結晶性を維持したまま冷却されるものと解される。
工程(C)は、一次焼成物を実質的に均等にするための工程である。一次焼成物は開始材料と比べ脆弱である。これは中に含有されていた有機物を消失したことによるものと考えられる。脆弱ゆえ撹拌機などでも容易に粉末化でき、粉末化並びに撹拌および/または混合を同時に実行することができる。粉末化並びに撹拌および/または混合には周知な任意の装置および方法が使用され得る。
「一次焼成物を実質的に均等にする」とは、工程(C)を経た一次焼成物のいずれの画分もほぼ同質であると期待できる程度に十分撹拌および/または混合することを意味する。必要となる撹拌および/または混合の程度は、開始材料や工程(A)〜(B)の状況、撹拌および/または混合に使用する装置および方法に左右され得るものである。十分に撹拌および/または混合し、一次焼成物を実質的に均等にすることによって、歩留まりの向上および最終生成物の品質の安定化に繋がる。
工程(C)は任意の雰囲気下で行ってよい。例えば、酸素含有雰囲気下(例えば大気雰囲気下)で実行してもよいし、その他の雰囲気下(例えばヘリウムや窒素などの不活性ガス雰囲気下)で実行してもよい。また工程(A)〜(B)の雰囲気下と同じでも異なっていてもよい。
工程(D)は、開始材料を二次焼成する二次焼成工程である。炭酸カルシウムを完全に酸化カルシウムへ変質させることを目的としている。
焼成温度は1100℃以上、1150℃以上、1200℃以上、1250℃以上または1300℃以上である。これら温度以上にすることで炭酸カルシウムを酸化カルシウムへ変質でき焼成カルシウムの純度が高くなる。他方、焼成温度の上限については酸化カルシウムの融点(約2600℃)以下であれば特に制限はないが、焼成炉への負荷やエネルギーコストの観点から1600℃以下、1550℃以下、1500℃以下、1450℃以下または1400℃以下が好ましい。当然のことながら、焼成工程に亘って、上記範囲内である限り、焼成温度は一定でも変動してもよい。工程(A)の焼成温度と同じでも異なっていてもよい。
焼成時間は2時間以上、2.5時間以上または3時間以上である。これら時間焼成することで充分焼成することができ、焼成カルシウムの純度が高くなる。他方、焼成時間の上限は7時間以下、6.5時間以下または6時間以下が好ましい。
工程(D)は任意の雰囲気下で行ってよい。例えば、酸素含有雰囲気下(例えば大気雰囲気下)で実行してもよいし、その他の雰囲気下(例えばヘリウムや窒素などの不活性ガス雰囲気下)で実行してもよい。また工程(A)〜(C)の雰囲気下と同じでも異なっていてもよい。
外気温から先の焼成温度に昇温する速度に特に制限はないが、通常は100〜500℃/時間、150〜450℃/時間、200〜400℃/時間または250〜350℃/時間である。工程(A)の昇温速度条件と同じでも異なっていてもよい。
工程(E)は、工程(D)によって焼成された二次焼成物を冷却する工程である。積極的に冷却させるのではなく、加熱を停止させ放熱によって外気温まで自然冷却させる。工程(E)に要する時間は外気温の温度や開始材料によって左右されると考えられるが、凡そ、10時間以上、15時間以上、20時間以上である。
工程(E)は任意の雰囲気下で行ってよい。例えば、酸素含有雰囲気下(例えば大気雰囲気下)で実行してもよいし、その他の雰囲気下(例えばヘリウムや窒素などの不活性ガス雰囲気下)で実行してもよい。また工程(A)〜(D)の雰囲気下と同じでも異なっていてもよい。
緩やかに自然冷却させる過程において、工程(A)および(B)で生じた酸化カルシウム結晶を種結晶として酸化カルシウム結晶が高い結晶性を維持したまま成長するものと解される。
少なくとも2度の焼成および自然冷却サイクルを経ることで、高い結晶性と純度を備えた焼成カルシウムを得ることができるものと解される。
下記する微粉砕工程及び微鉄粉除去工程をさらに含むことが好ましい。これによって焼成カルシウムは純度の高い微粉末となり、より高い性状を備えることが期待できる。
微粉砕工程は、工程(E)によって得られた二次焼成物を微粉砕する工程である。粉砕する手法および機材は任意であり、公知のものが使用可能である。高価および/または専用の手法、機材を使用してもよいが、この方法によれば、安価かつ汎用の手法、機材を使用して焼成カルシウムを微粉末に微粉砕することが可能である。このような粉砕機として、例えば株式会社セイシン企業のIMPシリーズなどが挙げられる。
微鉄粉除去工程は強力磁石を用いて、焼成物から微鉄粉などの不純物を除去する工程である。開始材料が生物由来材料であるため、鉄分などの不純物が含まれていると推測される。
使用する磁石は任意のものが使用でき、焼成物との距離も適宜調整し得る。磁石としては例えば磁束密度が1テスラ(10,000ガウス)の磁石が使用できる。この磁石を焼成物との距離が1〜10cmになるように移動させて微鉄粉を除去してもよい。あるいはこの磁石を焼成物との距離が1〜10cmになるように配置し、焼成物を前記磁石に晒しながらコンベアなどで移送するとともに微鉄粉などの不純物を除去してもよい。
ここで、微粉砕工程と微鉄粉除去工程の順序は任意である。
任意の工程を工程(A)の前、工程(E)の後、各工程の間に実行してもよい。
例えば洗浄工程を工程(A)の前に行ってもよく、工程(E)の後に行ってもよく、各工程の間に行ってもよい。不純物汚染を防止するため、工程(A)の前に開始材料を洗浄する洗浄工程を含むことが好ましい。
これに加えて/これとは別に、上述した微粉砕工程の他に材料を粉砕する粉砕工程を工程(A)の前や工程(A)〜(E)の間に実行してもよい。例えば、開始材料が大きい場合には焼成の効率を高めるため、工程(A)の前に開始材料を粗粉砕または切断する工程を実行することが好ましい。粗粉砕または切断には周知の技術が適宜使用できる。素粉砕または切断によって開始材料の最長の長さが凡そ10cm未満、5cm未満、3cm未満、1cm未満になるようにする。
不純物や粒径が所望の範囲から外れるものを除去するため、所定メッシュ(例えば40〜50メッシュ)の篩を使用した篩工程を実行してもよい。
この製造方法によって製造される焼成カルシウムは非常に容易に微粉砕可能である。汎用粉砕機を用いて粉砕することによって平均粒径が20μm以下、15μm以下、特に10μm以下の微粉末とすることができる。
水と焼成カルシウムの混合割合に特に制限はない。100質量部の水に対して100質量部の焼成カルシウムを配合してもよい。分散性の観点から、100質量部の水に対して焼成カルシウムの配合量は、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、9質量部以下、8質量部以下、7質量部以下、6質量部以下、5質量部以下、4質量部以下、3質量部以下、2質量部以下、1質量部以下が好ましい。他方、0.01質量部以上、0.05質量部以上、0.1質量部以上、0.2質量部以上、0.3質量部以上、0.4質量部以上、0.5質量部以上、0.6質量部以上、0.7質量部以上、0.8質量部以上、0.9質量部以上、1質量部以上が好ましい。
なお、焼成カルシウムの水に対する飽和溶解量は、100質量部の水に対して通常0.1質量部程度である。この飽和溶解量を超える量の焼成カルシウムを配合することが1つの基準ともなり得る。
ある実施態様においては、100質量部の水に対して焼成カルシウムの配合量の特に好適な範囲は、0.01〜4質量部、0.1〜3質量部、1〜2質量部である。この範囲であれば分散性と殺菌活性/吸着効果および経済的コストが高い水準で兼ね備えることができる。
本発明の殺菌/吸着剤組成物における焼成カルシウムの含有量は、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上としてもよい。他方、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、4質量%以下としてもよい。
焼成カルシウムを水に配合すると、一部の焼成カルシウムが水に反応および/または溶解し、pH12以上の強アルカリ性の水溶液を生じることが知られていた。この水溶液中において、焼成カルシウムは難溶性であり、溶解しない焼成カルシウムは容易に沈殿する。病原体や有害物質の除去のため、焼成カルシウムを噴霧することが期待されたが、このような混合物を噴霧装置に用いるのは目詰まりのリスクが大きく、不溶分を取り除いた水溶液を使用していた。焼成カルシウムの平均粒径を小さくする試みが行われてきたが、平均粒径の小さい焼成カルシウムの微粉末を得るためには、高価な粉砕機を使用する方法しか従来手段がない上、良好な分散性を有する分散液を得ることができなかった。これは製造コストを増大させるばかりで、およそ実用化に至らせるものではなかった。
本発明は、水と焼成カルシウムとの混合物に、リン酸類化合物を配合するという簡便な手段によって、平均粒径の小さい良好な分散液を得ることを可能とさせた。
リン酸類化合物とは、典型的には、正リン酸(HPO)、その誘導体および前駆体、並びにこれらの塩を意味する。特に水中で正リン酸および/またはリン酸イオンを生じるものを意味する。本発明において、リン酸イオンは広義の意味においてはPO 3−、HPO 2−、HPO の全てを意味する。
この点で、リン酸類化合物は水溶性であることが好ましい。ある化合物が水溶性であるとは、25℃において100mLの水に対して、その化合物が1g以上、5g以上、10g以上または15g以上溶解することを意味する。
なお、正リン酸のpKaはpKa1=2.12、pKa2=7.21、pKa3=12.67である。典型的には、本発明の分散液のpHはアルカリ性(pH10以上)であるため、PO 3−だけでなくHPO 2−も多く存在するが、HPO はほぼ存在しないものと推測される。よって本発明において、リン酸イオンとはPO 3−、HPO 2−を特に意味する。
このような誘導体および前駆体としては、例えば、十酸化四リン(P10)や、正リン酸の重合体であるポリリン酸が挙げられる。ポリリン酸としては、例えば、ピロリン酸(正リン酸の二量体)、トリリン酸(正リン酸の三量体)、シクロトリリン酸(正リン酸の三量体の環状化したもの)や四量体以上のポリリン酸などが挙げられる。
これに加えて、リン酸類化合物には亜リン酸(HPO)、次亜リン酸(HPO)、それらの誘導体および前駆体、並びにこれらの塩が含まれる。これらは正リン酸の前駆体または誘導体として考えることもできる。
上述した化合物の塩としては特に制限はなく、正リン酸(HPO)の塩、正リン酸の誘導体の塩、正リン酸の前駆体の塩、亜リン酸(HPO)の塩、亜リン酸の誘導体の塩、亜リン酸の前駆体の塩、次亜リン酸(HPO)の塩、次亜リン酸の誘導体の塩、次亜リン酸の前駆体の塩のいずれも使用可能である。
これらの中でも、正リン酸の塩、正リン酸の誘導体の塩、正リン酸の前駆体の塩が好ましく、正リン酸の塩が特に好ましい。
これら塩を形成するカチオンは特に制限はない。水溶解度の高い塩が好ましいことからアルカリ金属塩、アンモニウム塩などが好ましい。
アルカリ金属カチオンとしては、リチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオンが好ましい。これらカチオンの塩は商業的に入手容易だからである。
リン酸類化合物としては、上述した例示化合物の中でも、正リン酸および正リン酸の塩、特に正リン酸並びに正リン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が好ましい。
正リン酸の塩は、正リン酸のプロトンの一部又は全部をカチオンに置き換えた塩である。2以上のプロトンを置き換える場合、2種以上の異なるカチオンで置き換えてもよい。3つ全てのプロトンを置き換えたものを正塩、2つまたは1つのプロトンを置き換えたものを水素塩とも呼ぶ。
正リン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩は、正リン酸のプロトンの一部又は全部をアルカリ金属カチオン、アンモニウムカチオンに置き換えた塩である。
正リン酸のアルカリ金属塩およびアンモニウム塩はとしては、LiPO、LiHPO、LiHPO、NaPO、NaHPO、NaHPO、KPO、KHPO、KHPO、(NHPO、(NHHPO、(NH)HPO、LiNaPO、LiNaPO、LiKPO、LiKPO、Li(NH)PO、Li(NHPO、NaKPO、NaKPO、Na(NH)PO、Na(NHPO、K(NH)PO、K(NHPO、LiNaKPO、LiNa(NH)PO、LiK(NH)PO、NaK(NH)POが例示できる。
すなわち、リン酸類化合物の典型例としては、HPO、LiPO、LiHPO、LiHPO、NaPO、NaHPO、NaHPO、KPO、KHPO、KHPO、(NHPO、(NHHPO、(NH)HPO、LiNaPO、LiNaPO、LiKPO、LiKPO、Li(NH)PO、Li(NHPO、NaKPO、NaKPO、Na(NH)PO、Na(NHPO、K(NH)PO、K(NHPO、LiNaKPO、LiNa(NH)PO、LiK(NH)PO、NaK(NH)POが挙げられる。
正リン酸のアルカリ金属塩としては、水溶解性や入手容易性を考慮するとナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。つまりNaPO、NaHPO、NaHPO、KPO、KHPO、KHPOが好ましい。
本発明においては、後述するように分散液のpHはアルカリ性に保つことが望ましいことから、その水溶液が中性〜アルカリ性となるリン酸類化合物が好ましく使用される。このような化合物としてはLiPO、LiHPO、NaPO、NaHPO、KPO、KHPO、(NHPO、(NHHPOが挙げられる。
以上のことから、リン酸類化合物としては、NaPO、NaHPO、KPO、KHPO、(NHPO、(NHHPOが特に好ましい。
なおリン酸類化合物には、上述したリン酸類化合物が各種溶媒と溶媒和している溶媒和物も含まれる。溶媒としては水などが挙げられ、溶媒和物としては水和物が典型例である。
当然のことながら、リン酸類化合物は2種以上を併用してもよい。例えばNaPOとKPOを等質量使用してもよい。
水とリン酸類化合物の混合割合に特に制限はない。通常は、100質量部の水に対してリン酸類化合物は0.003〜50質量部配合される。
100質量部の水に対してリン酸類化合物の配合量は、50質量部以下、40質量部以下、30質量部以下、20質量部以下、10質量部以下、9質量部以下、8質量部以下、7質量部以下、6質量部以下、5質量部以下、4質量部以下、3質量部以下、2質量部以下、1質量部以下としてもよい。
他方、100質量部の水に対してリン酸類化合物の配合量は、0.01質量部以上、0.02質量部以上、0.03質量部以上、0.04質量部以上、0.05質量部以上、0.06質量部以上、0.07質量部以上、0.08質量部以上、0.09質量部以上、0.1質量部以上、0.15質量部以上、0.2質量部以上、0.25質量部以上、0.3質量部以上、0.35質量部以上、0.4質量部以上、0.45質量部以上、0.5質量部以上、0.55質量部以上、0.6質量部以上、0.65質量部以上、0.7質量部以上、0.75質量部以上、0.8質量部以上、0.85質量部以上、0.9質量部以上、0.95質量部以上、1質量部以上としてもよい。
焼成カルシウムとリン酸類化合物の混合割合は、100質量部の焼成カルシウムに対してリン酸類化合物が30〜100質量部である。焼成カルシウムに対する相対量をこの範囲に調整することで、焼成カルシウムを良好に分散させることができる。
100質量部の焼成カルシウムに対するリン酸類化合物の相対量は、35質量部以上、40質量部以上、45質量部以上、50質量部以上、55質量部以上、60質量部以上としてもよい。他方、95質量部以下、90質量部以下、85質量部以下、80質量部以下、75質量部以下としてもよい。
本発明の殺菌/吸着剤組成物におけるリン酸類化合物の含有量は、0.001質量%以上、0.01質量%以上、0.05質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上としてもよい。他方、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、6質量%以下、4質量%以下としてもよい。
本発明の殺菌/吸着剤組成物のpHは特に制限はないが10以上、10.5以上、11以上、11.5以上または12以上が好ましい。pHが10未満となると、アルカリ性に由来する殺菌活性などが低下する恐れがあり、また理由は不明だが分散性が低下し焼成カルシウムの一部が凝集し易くなるからである。他方、上限について特に制限はないが通常14以下、13.5以下、13以下である。
本発明において、水などの溶媒のpHが6以下の場合を酸性、8以上の場合をアルカリ性、6を超え8未満の場合を中性と表現する。またpHが10以上の場合は強アルカリ性と表現し、pHが8以上10未満の場合には弱アルカリ性と表現する場合がある。
本発明の殺菌/吸着剤組成物において分散している焼成カルシウムの平均粒径は、分散していることから通常1000nm以下である。また500nm以下、450nm以下、400nm以下、350nm以下、300nm以下、250nm以下または200nm以下が好ましい。十分小さな粒径によって、焼成カルシウム微粒子は水中に安定して分散することができる。また吸着能力(特に殺菌活性)をさらに高めることができる。他方、下限について特に制限はないが通常1nm以上、5nm以上、10nm以上、20nm以上、30nm以上、40nm以上、50nm以上である。
本発明の殺菌/吸着剤組成物において分散している焼成カルシウムのゼータ電位は特に制限はないが+10mV以上、+15mV以上、+20mV以上または+25mV以上が好ましい。十分大きなゼータ電位によって、焼成カルシウム微粒子は水中に安定して分散することができる。他方、上限について特に制限はないが通常+100mV以下、+75mV以下、+50mV以下、+40mV以下である。
本発明の殺菌/吸着剤組成物において、焼成カルシウム微粒子は十分小さな粒径および十分大きなゼータ電位を備えており、焼成カルシウム微粒子は水中に安定して分散している。本発明の殺菌/吸着剤組成物は、室温において少なくとも6か月に亘って焼成カルシウム微粒子が安定して分散し続け、また遠心加速度1000G(例えば回転半径10cm、回転速度3000rpm)で10分間遠心しても焼成カルシウム微粒子は全く沈殿しない。
水、焼成カルシウム、リン酸類化合物を混合する順番に特に制限はなく任意の順番に混合してもよい。
例えば、固形状(特に粉末状)の焼成カルシウムと固形状(特に粉末状)のリン酸類化合物を混合した固形状混合物(特に粉末状混合物)を得た後、この混合物を水に配合して得てもよい。あるいは、液状のリン酸類化合物またはリン酸類化合物の溶液に焼成カルシウムを配合し混合物を得た後、この混合物を水に配合して得てもよい。あるいは、リン酸類化合物の水溶液に焼成カルシウムを配合して得てもよい。
典型的には、水に過剰量(すなわち飽和溶解量以上)の焼成カルシウムを混合した後、リン酸類化合物またはその溶液(好ましくは水溶液)を添加して混合することで得られる。当然のことながら、この混合物に対して水をさらに添加して希釈したり、水を除去して濃縮したりしてもよいし、追加的に焼成カルシウムやリン酸類化合物を添加してもよい。さらに、飽和溶解量未満の量を添加し、混合が不十分で不溶なものが残存している水/焼成カルシウム混合物に対して、リン酸類化合物を添加してもよい。
より詳細には、以下の通りである。水に飽和溶解量を超える量の焼成カルシウムを添加・混合し、不溶分を有する焼成カルシウムの飽和水溶液を調製する。この飽和水溶液のpHは12〜13である。このとき不溶な焼成カルシウムは容器の底面に堆積していてもよいし、水溶液界面近くに浮遊していてもよいし、水溶液中を沈降または浮上している状態でもよい。焼成カルシウム飽和水溶液および不溶な焼成カルシウムを含有する、この水/焼成カルシウム混合物に、所定量のリン酸類化合物を添加・混合することで焼成カルシウムの水分散液を得ることができる。リン酸類化合物の添加・混合にあたり、飽和水溶液/分散液のpHが10以上、11以上または12以上を維持するようにリン酸類化合物を添加することが好ましい。リン酸類化合物は1回に全量を添加してもよいし、2回以上に分けて添加してもよい。必要に応じて、得られた焼成カルシウム分散液に水を添加して希釈してもよいし、水を除去して濃縮してもよい。焼成カルシウムを追加的に添加してもよい。これに加えて/これとは別に、任意のタイミングで追加成分を添加してもよい。
水、焼成カルシウム、リン酸類化合物を混合する手法に特に制限はなく任意の手法によって混合してよい。例えば、撹拌機によって撹拌するなどが挙げられる。
不溶分を有する酸化カルシウム水溶液(pH12.5)に、正リン酸または正リン酸塩(例えばNaPO、NaHPO、NaHPO、KPO、KHPO、あるいはKHPO)を添加すると、同様の分散液が得られる。しかし殺菌活性や吸着能力などの能力は焼成カルシウムの分散液の方が有意に高い。また酸化カルシウムの水への溶解などで発熱が起こる。
不溶分を有する水酸化カルシウム水溶液(pH12.5)、または塩化カルシウム水溶液をNaOHでpH12.5に調整した水溶液に、正リン酸または正リン酸塩(例えばNaPO、NaHPO、NaHPO、KPO、KHPO、あるいはKHPO)を添加すると、いずれも凝集沈殿を生じてしまい、凝集沈殿を生じない分散液の生成はない。この沈殿は難溶性リン酸カルシウムの生成のためと推測される。
焼成カルシウム/水混合物に、リン酸類化合物と同程度の量の他の無機酸(例えば硫酸、塩酸、硝酸、ホウ酸)やその塩(例えば塩化ナトリウム,硫酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム)を添加しても、特に変化は起こらず相変わらず沈殿が生じたままか、沈殿の溶解を生じ、分散液とならなかった。沈殿が溶解した水溶液は吸着能力を消失していた。
焼成カルシウム/水混合物に、リン酸類化合物と同程度の量の有機酸(例えば酢酸、クエン酸)やその塩(例えば酢酸ナトリウム、クエン酸3ナトリウム)を添加しても、特に変化は起こらず相変わらず沈殿が生じたままか、僅かに分散性が見られたものの長時間(例えば24時間)放置すると結局沈殿してしまい、分散液とならなかった。
あくまで仮説であり本発明を限定するものではないが、強アルカリ性の焼成カルシウム/リン酸類化合物分散液において焼成カルシウムナノ粒子が、限定的に生成したリン酸カルシウムにより効率的に分散されているものと推察される。これによって焼成カルシウムの多孔性に由来する高い吸着性が毀損することなく発揮されることが期待できる。
本発明の殺菌/吸着剤組成物は、任意に他の化合物を含有することができる。
他の化合物として、例えば、水溶性の有機溶剤を含むことができる。水溶性の有機溶剤としては、例えばアセトン、低級アルコール(メタノールやエタノールなど)等が挙げられる。これら化合物を配合すると、揮発性や殺菌活性の向上などが期待できる。当然のことながら、これらを全く含有性しなくてもよい(つまり含有量0%でもよい)。本発明の殺菌/吸着剤組成物におけるこれら水溶性有機溶媒の含有量は、殺菌/吸着剤組成物全量基準で50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、5質量%以下としてもよい。他方、0質量%以上、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上としてもよい。水に他の水溶性の溶媒が混合している場合、その混合物を水性溶媒と呼称してもよいが、上記範囲を満足する限り、本願では単に「水」と呼称する場合がある。
分散性に悪影響を及ぼす恐れがあることから、リン酸類化合物以外の他の塩については含有しない方が好ましい。このような他の塩の含有量は、殺菌/吸着剤組成物全量基準で10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、6質量%以下、5質量%以下、4質量%以下、3質量%以下、2質量%以下、1質量%以下が好ましい。
本発明の殺菌/吸着剤組成物(焼成カルシウム/リン酸類化合物分散液)は、スプレー剤、泡状、高圧ミスト噴射などの形態による殺菌剤・消臭剤を製造し、提供できる。さらに、有毒物質や有機物質の吸着、洗浄、除去、無毒化剤として、スプレー、泡状、高圧ミスト噴射などの形態によって提供できる。
本発明の組成物を使用して殺菌する対象は特に限定されず、任意の病原体に使用できる。より具体的には、真正細菌、古細菌、真菌、ウイルスに使用できる。真正細菌としては、例えば、大腸菌、緑膿菌、サルモネラ菌などのグラム陰性菌、ブドウ球菌などのグラム陽性菌が挙げられる。真菌としては、例えば、白癬菌、カンジダ菌などが挙げられる。ウイルスとしては、例えば、インフルエンザウイルス、ノロウイルスなどが挙げられる。当然のことながら、従来周知のものだけでなく、今後特定された病原体や、新たに生じた病原体に対しても本発明の組成物を使用することができる。
なお、本発明においては、ウイルスの無毒化(抗ウイルス活性)もまとめて「殺菌」と呼称する。また、本発明において殺菌とは、対象物を完全にまたはほぼ完全に無毒化/除去することを意味するだけでなく、対象物の増殖を低減させる「静菌」も含まれる概念である。
本発明の組成物を噴霧して使用する場合、本発明の組成物を噴霧して使用する対象は特に限定されず、任意である。焼成カルシウムを使用する場合、既に安全性が確認されており、また多くのリン酸類化合物も人体や他の哺乳類への強い毒性はない。したがって、例えば、牛舎や豚舎などの動物の宿舎や生活区域の殺菌に使用してよい。これに加えて/これとは別に、本発明の組成物は吸着能力がある。そのため、動物に由来する悪臭などの除去や低減も同時に行うことができる。
本発明の組成物は、吸着能力を有するため、有害物質の吸着除去のために使用することができる。有害物質としては、特に限定されず、任意のものを対象として良い。例えば、残留農薬などの化学薬品が挙げられる。本発明の組成物を化学薬品の工場施設などの洗浄に使用してもよい。
本発明の組成物を使用する場合には(特に噴霧して使用する場合には)、調製キットを使用してもよい。この調製キットは、所定量の焼成カルシウムおよびリン酸類化合物を含有している。調製キットが水をさらに含んでいてもよいし、エンドユーザーが水道水などを用意し調製キットにセットしてもよい。このキットによって、所定の順番で、水、焼成カルシウム、リン酸類化合物が混合されて本発明の組成物を得ることができる。キットはさらに噴霧ノズルなどの部品を含んでいてもよい。これら部品を用いて調製した組成物を使用(例えば噴霧)することができる。
なお本発明において、粉末とは、平均粒径が1mm未満の粉体を意味する。また特に微粉末とは、粉体の平均粒径が100μm以下、50μm以下、30μm以下、または10μm以下であることを意味する。他方、微粉砕とは粉砕対象物が微粉末になるよう粉砕する処理である。
粉体の平均粒径は、例えば、粒度分布測定装置を用いて測定すればよい。このような装置として、例えば、大塚電子株式会社のゼータ電位・粒径測定システム(ELSZシリーズ)などが挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(製造例1)
徹底洗浄した帆立貝殻(オホーツク海産)について以下工程によって焼成カルシウムを得た。
(A)300℃/時間の昇温速度で1250℃まで昇温、1250℃で5時間に亘って一次焼成し、その後、(B)これを約20時間放置して完全に自然冷却させた。(C)この焼成物を撹拌して実質的に均一にした後、(D)300℃/時間の昇温速度で1250℃まで昇温、1250℃で4時間に亘って二次焼成し、その後、(E)これを約20時間放置して完全に自然冷却させた。さらに1テスラ(10,000ガウス)の磁石をかけて微粉鉄を除去した後、株式会社セイシン企業のIMP−400(汎用ローター型粉砕機)を用いて粉砕処理を施した。こうして得られたのが製造例1に係る焼成カルシウムである。いずれの工程も大気雰囲気下、大気圧下で実行した。平均粒径は4.5μmだった。
(製造例2)
1100℃で4時間に亘って焼成する一次焼成を行い、900℃で1時間に亘って焼成する二次焼成を行った以外は製造例1と同様に行い、製造例2に係る焼成カルシウムを製造した。平均粒径は36.5μmだった。
(製造例3)
1100℃で4時間に亘って焼成する一次焼成を行い、二次焼成及びその後の自然冷却を行わなかった以外は製造例1と同様に行い、製造例3に係る焼成カルシウムを製造した。平均粒径は100μm超だった。
(製造例4)
試薬として商業的に入手可能な石灰石由来の酸化カルシウム(和光純薬工業株式会社)を用いた。
[実施例]
100質量部の純水に、それぞれ0.2質量部の製造例1〜4を添加して沈殿が存在する混合物(pH12.4〜12.6)を得た。これに適量の正リン酸液を滴下してpHを12に調整して焼成カルシウム/正リン酸分散液または酸化カルシウム/正リン酸分散液を得た。またはこの混合物に、100質量部の焼成カルシウムまたは酸化カルシウムに対し70質量部のNaPO、NaHPO、あるいはNaHPOを添加・混合して白濁状の焼成カルシウム/正リン酸塩分散液または酸化カルシウム/正リン酸塩分散液を得た。この分散液を十分に撹拌した後、24時間静置した時の形態、特性をそれぞれ表1〜4に示した。
また製造例1に由来する分散液についてはその様子を撮影した写真を図1に提供する。
[比較例]
100質量部の純水に、それぞれ0.2質量部の製造例1〜4を添加して沈殿が存在する混合物(pH12.4〜12.6)を得た。これに塩酸、硫酸、硝酸、酢酸あるいはクエン酸をpH12がなるまで添加しても、いずれも分散液となることなく沈殿物と水溶液の混合物のままであった。これらの混合物は24時間以上の静置あるいは遠心加速度1000G(回転半径10cm、回転速度3000rpm)、10分間の遠心分離で、ほとんどの焼成カルシウムまたは酸化カルシウムは沈殿物となり、その上清はpHが11.5以下の透明な溶液となった。
さらに、100質量部の純水に、それぞれ0.2質量部の製造例1〜4を添加して沈殿が存在する混合物(pH12.4〜12.6)を得た。これに100質量部の焼成カルシウムまたは酸化カルシウムに対し70質量部のクエン酸3Na、CHCOONa、あるいはNaSOを添加して焼成カルシウム/酸塩混合物または酸化カルシウム/酸塩混合物(pH12.2〜12.5)を得た。これを1時間以上強く撹拌しても分散液となることはなかった。これらは24時間以上の静置、あるいは1000G、10分間の遠心分離でほとんどの焼成カルシウムまたは酸化カルシウムは沈殿物となり、その上清はpHが12.2以上を維持した透明な溶液となった。
クエン酸3Na、CHCOONa、あるいはNaSOを添加した焼成カルシウム/酸塩混合物については、混合物を十分に撹拌した後、24時間静置した時の形態、特性を表1〜4に示した。
また製造例1に由来する混合物についてはその様子を撮影した写真を図1に提供する。
これら分散液または混合物における粒子の粒径、ゼータ電位をゼータ電位・粒径測定システム(ELSZ−1000、大塚電子(株)、東京)を用いて測定した。
なお表中の測定不可とは、測定対象物の平均粒径が測定限界を超過していること、すなわち分散しておらず沈殿物となっていることを意味する。
図1に示す通り、正リン酸または正リン酸塩を配合した場合には、焼成カルシウムが水中を分散しており白く濁って見える。これに対して、リン酸類化合物を配合しない場合、透明な水溶液と沈殿物が見られた。またリン酸類化合物以外の酸やその塩を配合しても、変化は見られなかった。
いずれの分散液における焼成カルシウム微粒子または酸化カルシウム微粒子も、粒径は500nm以下、ゼータ電位は+30mV以上であり、これら分散液は安定なナノ粒子分散液であった。
製造例1〜3の乾燥状態における焼成カルシウムの平均粒径はそれぞれ4.5μm、36.5μm、100μm超である(製造例4の酸化カルシウムは測定不可)。他方、分散液中におけるこれらの平均粒径はいずれも500nm以下であり、適量のリン酸類化合物(例えば正リン酸または正リン酸塩)の添加は焼成カルシウムの理想的な分散剤として作用することがわかった。特に乾燥状態における平均粒径が4.5μmと小さい製造例1は、焼成カルシウム/リン酸類化合物分散液中のナノ粒子の平均粒径が200nm以下であった。
製造例3の焼成カルシウム由来の分散液と、製造例4の酸化カルシウム由来の分散液におけるナノ粒子の平均粒径はほぼ同程度である。しかしながら、製造例3の焼成カルシウム由来の分散液の方が高い吸着能力を有していた(詳細は後述する)。
なお、製造例1〜3の焼成カルシウムを水に配合しても発熱は見られなかった。他方、製造例4の酸化カルシウムを水に配合すると発熱が見られた。
(消臭効果)
挽肉を用いた消臭効果についての実験のため、豚挽肉10gを下記消臭剤5mLとともにファスナー付ビニール袋に入れ、3日間37℃でインキュベートしたものを、消臭対象として準備した。また消臭対象に対する消臭効果は、臭度計(Handheld Odor Meter、OMX−SR、神栄テクノロジー株式会社製)を用い、ビニール袋内の臭度を測定・評価した(図2)。
消臭剤として以下(1)〜(7)のものを使用した。その結果を図2に示す。
(1)100質量部の純水に、製造例1の焼成カルシウムをそれぞれ0.04、0.2、1質量部添加した混合物を得た後、100質量部の焼成カルシウムに対して70質量部(100質量部の純水に対してそれぞれ0.028、0.14、0.7質量部)のNaPOを添加した焼成カルシウム/NaPO分散液(表1の実施例1−2に対応)
(2)100質量部の純水に、製造例2の焼成カルシウムをそれぞれ0.04、0.2、1質量部添加した混合物を得た後、100質量部の焼成カルシウムに対して70質量部(100質量部の純水に対してそれぞれ0.028、0.14、0.7質量部)のNaPOを添加した焼成カルシウム/NaPO分散液(表2の実施例2−2に対応)
(3)100質量部の純水に、製造例3の焼成カルシウムをそれぞれ0.04、0.2、1質量部添加した混合物を得た後、100質量部の焼成カルシウムに対して70質量部(100質量部の純水に対してそれぞれ0.028、0.14、0.7質量部)のNaPOを添加した焼成カルシウム/NaPO分散液(表3の実施例3−2に対応)
(4)100質量部の純水に、製造例4の酸化カルシウムをそれぞれ0.04、0.2、1質量部添加した混合物を得た後、100質量部の酸化カルシウムに対して70質量部(100質量部の純水に対してそれぞれ0.028、0.14、0.7質量部)のNaPOを添加した酸化カルシウム/NaPO分散液(表4の実施例4−2に対応)
(5)100質量部の純水に、製造例1の焼成カルシウムをそれぞれ0.04、0.2、1質量部添加した混合物を得た後、100質量部の焼成カルシウムに対して70質量部(100質量部の純水に対してそれぞれ0.028、0.14、0.7質量部)のクエン酸3Naを添加して得られた焼成カルシウム/酸塩混合物(表1の比較例1−1に対応)を1000Gで10分間に亘って遠心分離して得られた上清
(6)100質量部の純水に、製造例1の焼成カルシウムをそれぞれ0.04、0.2、1質量部添加した混合物を得た後、100質量部の焼成カルシウムに対して70質量部(100質量部の純水に対してそれぞれ0.028、0.14、0.7質量部)のCHCOONaを添加して得られた焼成カルシウム/酸塩混合物(表1の比較例1−2に対応)を1000Gで10分間に亘って遠心分離して得られた上清
(7)100質量部の純水に製造例1の焼成カルシウムをそれぞれ0.04、0.2、1質量部添加した混合物を得た後、これを1000Gで10分間に亘って遠心分離して得られた上清(製造例1の焼成カルシウムの水溶液)
図2に示す通り、各実施例の分散液(1)〜(4)は、製造例1の焼成カルシウムと純水との混合物から得られる上清(7)や、製造例1の焼成カルシウムと純水との混合物にクエン酸3NaまたはCHCOONaをさらに混合した混合物から得られる上清(5)または(6)、と比較して強い消臭効果が認められる。特に、焼成カルシウムの分散液(1)は優れた消臭効果を発揮した。
(殺菌活性)
池の濁水に2%のDMEM培地(D5796,Sigma Life Science、Sigma−Aldorich Japan、Tokyo)を添加し、室温で18時間インキュベートすることで一般生菌および大腸菌群を増やした。この培地における一般生菌および大腸菌群濃度は、それぞれ約10/mLおよび約10/mLであった。この培地を殺菌対象とした。
殺菌剤として上述の(1)〜(4)、(7)のうち、焼成カルシウム、酸化カルシウムの配合量が純水100質量部に対して0.2質量部のものを使用した(それぞれ実施例1−2、2−2、3−2、4−2に相当)。これら殺菌剤を27、9、3、1、または0.33容量%含有するように殺菌対象に添加して室温で撹拌した後30分間静置した。それぞれのサンプルは、一般生菌群及び大腸菌群数測定用培地キット(コンパクトドライ「ニッスイ」TC及びCF、日水製薬株式会社製)を用いて、一般生菌(TC)及び大腸菌群数(CF)を測定した。その結果を図3に示す。
図3に示す通り、焼成カルシウムの分散液(1)〜(3)は、製造例1の焼成カルシウムと純水との混合物から得られる上清(7)よりも強い殺菌活性が認められる。特に製造例1〜2の焼成カルシウムを含む分散液(1)および(2)は強い殺菌活性が見られた。この差は分散粒子の粒径の影響に因るものと思われる。他方、酸化カルシウムの分散液(4)は、焼成カルシウム水溶液(7)とほぼ同程度の殺菌活性であった。
また、この殺菌活性の差がpHのみの差ではないことを出願人は確認した。例えば、一般生菌における試験で、製造例1の焼成カルシウムを含む分散液(実施例1−2)を1容量%含有する培地のpHは9.8であり弱アルカリ性である。このときlogOFUは0.5未満であった。これに対して、他の分散液または水溶液を3容量%含有する培地はいずれもpHは9.8以上であり、通常はより強い殺菌活性が観測されるべきものである。しかしながら、logOFUは、それぞれ製造例2の焼成カルシウムを含む分散液(実施例2−2)では0.5未満(同程度)であり、製造例3の焼成カルシウムを含む分散液(実施例3−2)、製造例4の焼成カルシウムを含む分散液(実施例4−2)および製造例1の焼成カルシウムを水溶液では1.0〜1.5だった。大腸菌群における試験でも同様の傾向が見られる。未だ詳細は解明されていないが、焼成カルシウムによる殺菌活性は粒径が小さい方が顕著に表れることがわかった。このため、平均粒径の小さい焼成カルシウムが分散している分散液が好ましい。またそのような分散液を調製するため、焼成カルシウムの平均粒径は小さい方が好ましい。
本発明は、帆立貝殻の処理業、帆立貝殻の焼成・破砕粉末(マイクロレベルまたはナノレベルの焼成カルシウムパウダー)の製造業、帆立貝殻の焼成・破砕粉末に付加価値を付けた焼成カルシウム/正リン酸あるいは正リン酸塩分散液組成品、および焼成カルシウム/正リン酸あるいは正リン酸塩分散液を主成分とした有害物質の無毒化、吸着、洗浄、除去が可能な殺菌、消臭、除染剤としての環境衛生用組成品の製造業などに、利用可能性がある。


Claims (13)

  1. 水と、酸化カルシウムと、100質量部の酸化カルシウムに対して30〜100質量部のリン酸類化合物と、を含有する殺菌/吸着剤組成物であって、酸化カルシウムが水中に分散している、殺菌/吸着剤組成物。
  2. 100質量部の水に対して0.01〜4質量部の酸化カルシウムを含有することを特徴とする請求項1に記載の殺菌/吸着剤組成物。
  3. リン酸類化合物が、正リン酸(HPO)およびその塩から成る群より選択される少なくとも1つの化合物を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の殺菌/吸着剤組成物。
  4. 正リン酸の塩がLiPO、LiHPO、LiHPO、NaPO、NaHPO、NaHPO、KPO、KHPO、KHPO、(NHPO、(NHHPO、(NH)HPO、LiNaPO、LiNaPO、LiKPO、LiKPO、Li(NH)PO、Li(NHPO、NaKPO、NaKPO、Na(NH)PO、Na(NHPO、K(NH)PO、K(NHPO、LiNaKPO、LiNa(NH)PO、LiK(NH)PO、NaK(NH)POであることを特徴とする請求項3に記載の殺菌/吸着剤組成物。
  5. pHが10以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の殺菌/吸着剤組成物。
  6. 分散している酸化カルシウムの平均粒径が1〜500nmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の殺菌/吸着剤組成物。
  7. 貝殻、卵殻、ウニ殻、珊瑚、甲殻から選ばれる少なくとも1つの開始材料を1000℃以上において1時間以上焼成して得られる酸化カルシウムを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の殺菌/吸着剤組成物。
  8. (A)開始材料を1100℃以上で4時間以上焼成する一次焼成工程、
    (B)焼成された一次焼成物を外気温まで自然冷却させる工程、
    (C)一次焼成物を実質的に均等になるよう撹拌および/または混合する工程、
    (D)一次焼成物を1100℃以上で2時間以上焼成する二次焼成工程、
    (E)焼成された二次焼成物を外気温まで自然冷却させる工程、
    を順番に含む製造方法によって得られる酸化カルシウムを含むことを特徴とする請求項7に記載の殺菌/吸着剤組成物。
  9. 開始材料が、ホタテ貝殻を含むものであることを特徴とする請求項7または8に記載の殺菌/吸着剤組成物。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の殺菌/吸着剤組成物の使用。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の殺菌/吸着剤組成物を使用して、有害物質および/または病原体を吸着および/または除去する方法。
  12. 水と、酸化カルシウムと、100質量部の酸化カルシウムに対して30〜100質量部のリン酸類化合物とを含有し、酸化カルシウムが水中に分散している分散液を調製するための分散液調製キット。
  13. 酸化カルシウムが水中に分散している分散液を製造する方法であって、
    水に酸化カルシウムを添加する工程と、
    不溶酸化カルシウムを含む水/酸化カルシウム混合物に、100質量部の酸化カルシウムに対して30〜100質量部のリン酸類化合物を混合する工程と、
    を含む分散液の製造方法。


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