JP2021187779A - 消毒液 - Google Patents
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Abstract
Description
2価の金属を含有する塩基性化合物と、を含有する消毒液、
(2)上記(1)に記載の消毒液において、
前記塩基性化合物は、貝殻焼成カルシウムに含まれる塩基性カルシウム化合物である消毒液、
(3)上記(1)または(2)に記載の消毒液において、
前記塩基性化合物は、水酸化カルシウムである消毒液、
(4)上記(1)から(3)のいずれかに記載の消毒液において、
増粘剤をさらに含有する消毒液、を要旨とする。
1 第1の実施形態にかかる消毒液
2 第2の実施形態にかかる消毒液
第1の実施形態にかかる消毒液は、超臨界経由水と塩基性化合物を含む。本明細書において、超臨界経由水とは、超臨界状態から常温常圧下の状態への移行を施された水を示す。超臨界状態とは、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態を示す。なお、臨界温度及び臨界圧力の組み合わせを臨界条件と呼ぶことがある。本明細書においては、常温とは、例えば、温度が1℃から35℃程度であることを示す。常圧とは、例えば、圧力が1atm(約0.1013MPa)程度であることを示す。なお、常温は、人間の生活圏の室温でもよい。常圧は、人間の生活圏の大気圧でもよい。また、常温は菌の培養温度でもよい。
前記した塩基性化合物は、その分子中に2価の金属を含有する。
塩基性化合物は、水に混ぜられた状態でpH12以上のアルカリ性の液体を形成することができるものであることが好ましい。pH12以上の液体を形成できるものが塩基性化合物として用いられることで、殺菌力をより効果的に発揮できる消毒液を得ることができる。殺菌力を得る観点からは、塩基性化合物は、水に混ぜられた状態でpH12.3以上の液体を形成することができるものであることが好ましく、pH12.5以上であることがより好ましい。また、取り扱いの容易性の観点からは、塩基性化合物は、水に混ぜられた状態でpH13.8以下の液体を形成することができるものであることが好ましく、pH13.2以下であることがより好ましい。
2価の金属は、マグネシウム、カルシウム等の2価の陽イオンとなりうる金属を挙げることができる。2価の金属としては、人体への安全性等の取り扱い容易性の観点からはマグネシウム、カルシウムが好ましく、特に、カルシウムが好ましい。なお、2価の金属は、一種類でもよいし二種類以上の併用であってもよい。したがって、例えば、塩基性化合物として、水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムが併用されてもよい。
塩基性化合物の分子に含まれる塩基としては、強いアルカリ性の溶液実現の観点からは水酸基が好適である。水酸基を有する塩基性化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどを例示することができ、水酸化カルシウムが好ましい。水酸化カルシウムは、水に混ぜられた状態でpH12以上のアルカリ性を示す水溶液を形成することができる。
環境への配慮と高いアルカリ性の実現の観点からは、塩基剤化合物は、貝殻焼成カルシウムに含まれる塩基性カルシウム化合物であることが好ましい。貝殻焼成カルシウムは、水に混ぜられた際の発熱性の少なさ等の取り扱いの安全性の観点や、漁業系等の廃棄物の活用の観点からも好ましい。塩基性カルシウム化合物としては、具体的に水酸化カルシウムが例示される。
貝殻焼成カルシウムの平均粒径は、特に限定されるものではないが、pHの高い消毒液を得やすくする観点から、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。貝殻焼成カルシウムの平均粒径が小さいほど水に対する貝殻焼成カルシウムの粒子表面の総接触面積が増え、pHの高い消毒液が得やすくなり、そして所定のpHの消毒液を得る際に使用される貝殻焼成カルシウムの量を少なくすることができる。また、取り扱いの容易性や製造コストの観点からは、貝殻焼成カルシウムの平均粒径は、0.1μm以上であることが好ましい。
消毒液には、塩基性化合物が水に対する溶解度の限界量以下で含まれていることが、塩基性化合物の不溶分による白濁等を抑制することができて好ましい。具体的には、塩基剤化合物の添加量は、塩基性化合物の水に対する溶解性にもよるが、後述する超臨界経由水の重量に対する重量比率で0.01重量%以上5重量%であることが好ましく、0.01重量%以上2重量%以下であることがより好ましい。塩基性化合物が超臨界経由水に対して0.01重量%以上含まれていることで、消毒液のpHをよりアルカリ性にすることができ、塩基性化合物が超臨界経由水に対して5重量%以下とされることで、消毒液における塩基性化合物の不溶分の発生を抑制しやすくなる。
消毒液のpHは、上記したように、殺菌性を高める観点からは、12.0以上であることが好ましく、12.3以上であることがより好ましく、12.5以上であることがさらに好ましい。また、消毒液のpHは、取り扱いの安全性を高める観点からは、13.8以下であることが好ましく、13.2以下であることがより好ましい。
超臨界経由水は、上述したように超臨界状態から常温常圧下の状態への移行を施された水である。
超臨界経由水は、例えば、図1に示すような装置を用いて製造することができる。図1は、超臨界経由水の製造装置の一例を示す図である。図1を用いた下記の説明は一例であり、超臨界経由水の製造装置及び製造方法は、ここに述べる例に限定されるものではない。
消毒液の製造方法について、塩基性化合物が貝殻焼成カルシウムである場合を例として、図2を用いて説明する。図2は、消毒液の製造方法の一例を示す。
貝殻焼成カルシウムは、例えば、図2の工程S1から工程S4に示すようにして製造することができる。
上記で得られた塩基性化合物を用いて、例えば、図2の工程S5から工程S6に示すようにして消毒液を製造することができる。例えば工程S4で得られた乾燥物の貝殻焼成カルシウムのような塩基性化合物を超臨界経由水に添加し(工程S5)、攪拌する。これにより混合液が得られる。この混合液を濾過して上清液と沈殿物に分ける(工程S6)。このとき得られた上清液(以下、塩基性化合物水溶液と呼ぶ。)が消毒液をなす。なお、工程S6については、混合液を静置して得られる上澄み液を分取し、上澄み液が濾過されることで上清液と沈殿物に分けられる工程であってもよい。
第1の実施形態にかかる消毒液によれば、超臨界経由水に塩基性化合物を溶解させていることにより、塩基性化合物による殺菌力の限界を超えて殺菌力を一層向上させることができる。
上記の第1の実施形態の消毒液には、増粘剤がさらに添加されていてもよい(第2の実施形態)。
増粘剤は、アルカリ性下で液体の粘性を高めることができるものを用いられる。具体的には、増粘剤としては、ヒドロキシアルキル基を有するセルロースの誘導体等を例示することができ、より具体的にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどを例示することができる。ヒドロキシアルキル基を有するセルロースの誘導体は、セルロースの水酸基の水素原子の少なくとも一部をヒドロキシアルキル基で置換したものである。なお、セルロースの誘導体には、ヒドロキシアルキル基の他にさらにメチル基などのアルキル基でセルロースの水酸基の水素原子が置換されたものが含まれる。増粘剤は、消毒液の適度な粘性を実現する観点からはヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いられることが好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、セルロースに対してその分子内に存在する水酸基の少なくとも一部をメトキシ基に置換しさらにヒドロキシプロピル基を導入したものである。また、消毒液の粘性の維持の観点からも、増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いられることが好ましい。
消毒液における増粘剤の添加量は、上述した塩基性化合物水溶液の重量に対する重量比率で0.005重量%以上10重量%以下であることが好ましく、0.008重量以上0.1重量%以下であることがより好ましい。増粘剤の添加量が水の重量に対する重量比率で0.005重量%以上であることで、粘性を発揮させた状態を形成しやすくなる。増粘剤の添加量が水の重量に対する重量比率で10重量%以下であることで、消毒液の粘性が高くなりすぎないように規制しやすくなり、また消毒液の殺菌性に対して過度な影響を及ぼすことを規制しやすくなる。
第2の実施形態にかかる消毒液は、例えば次に示すように製造することができる。上記の第1の実施形態の消毒液と同様に、超臨界経由水に塩基性化合物を添加し、さら攪拌する。これにより混合液が得られる。この混合液を濾過して上清液と沈殿物に分離する。このとき得られた上清液に増粘剤を添加し攪拌する。攪拌は、ブレンダーなどを用いて実施できる。増粘剤は、上清液に対して複数回に分けて徐々に添加されることが好ましい。こうして、第2の実施形態にかかる消毒液を製造することができる。なお、上記混合物の濾過を行う工程については、混合液を静置して得られる上澄み液を分取し、その上澄み液が濾過されることで上清液が得られる工程とされてよい。
第2の実施形態にかかる消毒液によれば、消毒液に増粘剤が添加されていることで消毒対象から消毒液が流れ落ちにくくなり、消毒液による消毒時間を延ばしやすくなる。
塩基性化合物として貝殻焼成カルシウムに含まれる塩基性カルシウム化合物を準備した。貝殻焼成カルシウムは、上記した消毒液の製造方法で詳述したようにして得られた。貝殻焼成カルシウムは、平均粒子径が3.6μmであった。
塩基性化合物水溶液に対して次に示すように増粘剤を添加したほかは、実施例1と同様として、実施例2の消毒液が得られた。
増粘剤としては、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(信越化学工業株式会社製、商品名メトローズ(登録商標)65SH−400)が準備された。塩基性化合物水溶液8.5Lを容器に入れ、増粘剤74g(塩基性化合物水溶液に対する重量%でおおよそ0.9重量%)が塩基性化合物水溶液に添加された。増粘剤は、塩基性化合物水溶液をブレンダーで攪拌しながら20回に分けて徐々に添加された。増粘剤全量を添加した後、5分間攪拌を継続し、実施例2の消毒液を得た。消毒液のpHは12.5であった。
消毒液における増粘剤の均一分散・溶解性については、増粘剤全量を添加した後の攪拌が終了した後において消毒液に増粘剤のダマ部(塊状部分)が残るか否か、及び白濁等の着色が認められるか否かを目視観察することにより実施された。
消毒液の粘性の評価は、得られた消毒液を水平に広げた掌の上に1滴とった状態で掌を約90度傾けた際に、液滴が掌で下方流動するか否か、及び、液滴が掌内に所定時間とどまっているか否かを目視確認することにより実施された。ここでは、所定時間として5秒間を設定した。
超臨界経由水500mLに対して貝殻焼成カルシウム1g(超臨界経由水に対する重量%でおおよそ0.2重量%)を添加して塩基性化合物を調製し、調製された塩基性化合物水溶液500mLに対して増粘剤5g(塩基性化合物水溶液に対する重量%でおおよそ1重量%)を添加したほかは、実施例2と同様として、実施例3の消毒液が得られた。実施例3の消毒液のpHは12.5であった。実施例3の消毒液について、実施例2と同様にして増粘剤の均一分散・溶解性の評価、及び粘性の評価を行った。結果、実施例3の消毒液は、ダマ部及び着色も観察されなかった。また、実施例3の消毒液では、液滴が掌内で流動し且つ掌で所定時間以上掌内にとどまることが確認され、適切な粘性を有することが確認された。
超臨界経由水にかえて水道水を用いた他は実施例1と同様にして、比較例1の液を得た。
実施例1で準備された超臨界経由水を比較例2の液とした。
増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ニチリン化学工業社製、商品名キッコレート(登録商標)F−120)添加したほかは、実施例3と同様として、比較例3の液が得られた。比較例3の液について、実施例2と同様にして粘性の評価を行った。比較例3の液では、液滴が掌から流れ落ちることが確認され、粘性が弱いことが確認された。
増粘剤としてカルボキシビニルポリマー(和光純薬工業社製、商品名ハイビスコワー(登録商標)103)添加したほかは、実施例3と同様として、比較例4の液が得られた。比較例4の液について、実施例2と同様にして増粘剤の均一分散・溶解性の評価を行った。比較例4の液では、ダマ部が確認された。また、比較例4の液はpHが5.5となり酸性化することが確認された。
実施例1の消毒液、比較例1、2の液を用いて次のように殺菌性試験及びウイルス不活性化試験を行った。
水道水5mLを滅菌チューブに入れ、試験菌1エーゼを投入して攪拌することで試験菌含有液を調製した。
試験液は、所定の暴露時間(Exposure Time)、常温(25℃)常圧(1atm)下で静置された。
暴露工程後、試験液100μLがトリプトソイ寒天培地プレート(栄研化学株式会社 商品名パールコアトリプトソイ寒天培地)に塗抹された。次いで、そのトリプトソイ寒天培地プレートが、37℃で24時間インキュベーター内に置かれ、試験液に含まれる試験菌の培養が実施された。培養後、トリプトソイ寒天培地上に形成されたコロニー数がカウントされた。
実施例1、2の消毒液を試験液として用いて次のようにウイルス不活性化試験を行った。なお、試験液として、ウイルス不活性化の比較対照用の液として対照液(PBS:Phosphate buffered saline)がさらに準備された。
試験液0.9mLに対して、試験用のウイルス(ネココロナウイルス(Feline Enteric Coronavirus)、WSU 79−1683株)を含有するウイルス液0.1mLを試験管内で混合して室温で所定時間作用させた。作用時間は、表1に示すとおりである。なお、試験用のウイルス液の感染価は、3.3×107TCID50/mLである。
試験液とウイルス液を所定時間作用させた後、0.1M HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)緩衝液(pH7.0)(ナカライテクス社製)で20倍に希釈することで、試験用のウイルスと試験液との作用を停止させた。
作用停止工程で得られた液をウイルス感染価測定用の試験液として感染価を測定した。感染価の測定方法としては、TCID50法が用いられた。TCID50法は、次のように実施される。PBSで試験液の10倍希釈系列の液が作成され、それらの10希釈系列をなす各液が、感染価測定用の細胞(全ネコ胎児由来株化細胞)を培養した96ウェルプレートに接種された。感染価測定用の細胞について接種後4日間、CO2インキュベーターで培養し、細胞変性効果が顕微鏡下で観察された。そしてReed−Muench法を用いて1mLあたりの感染価(力価)[単位:TCID50/mL]が測定された。
11 昇温部
12 配管
Claims (4)
- 臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水と、
2価の金属を含有する塩基性化合物と、を含有する消毒液。 - 請求項1に記載の消毒液において、
前記塩基性化合物は、貝殻焼成カルシウムに含まれる塩基性カルシウム化合物である消毒液。 - 請求項1または2に記載の消毒液において、
前記塩基性化合物は、水酸化カルシウムである消毒液。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の消毒液において、
増粘剤をさらに含有する消毒液。
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