JP7197868B2 - 消毒液 - Google Patents

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Description

本発明は、消毒液に関する。
殺菌性、抗菌・抗ウイルス性を有する消毒液として、特許文献1には、二枚貝の殻に焼成処理および粉砕処理を行うことにより得られる貝殻焼成カルシウム粉末を含有する貝殻焼成カルシウム水溶液が提案されている。
特開2011-26254号公報
特許文献1に提案された技術では、貝殻焼成カルシウムの添加量を増やして殺菌力を高めるにも限界があり、殺菌性、抗菌・抗ウイルス性を高めるために更なる改善が要請されている。
本発明の目的は、一層殺菌力を向上させた消毒液を提供することにある。
本発明は、(1)臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水と、
2価の金属を含有する塩基性化合物と、を含有し、
前記塩基性化合物は、貝殻焼成カルシウムに含まれる塩基性カルシウム化合物である、
消毒液、
(2)上記(1)に記載の消毒液において、
前記塩基性カルシウム化合物は、水酸化カルシウムである消毒液、
(3)上記(1)または(2)に記載の消毒液において、
増粘剤をさらに含有する消毒液、を要旨とする。
本発明によれば、一層殺菌力を向上させた消毒液を提供することができる。
図1は、超臨界経由水の製造装置の一例を説明するための図である。 図2は、貝殻焼成カルシウムの製造方法の一例を説明するための図である。 図3Aは、実施例1の結果を示すグラフである。図3Bは、比較例1の結果を示すグラフである。図3Cは、比較例2の結果を示すグラフである。
本発明の実施形態について以下の順序で説明する。
1 第1の実施形態にかかる消毒液
2 第2の実施形態にかかる消毒液
なお、本発明は、以下に説明する実施の形態等に限定されない。
[1 第1の実施形態]
第1の実施形態にかかる消毒液は、超臨界経由水と塩基性化合物を含む。本明細書において、超臨界経由水とは、超臨界状態から常温常圧下の状態への移行を施された水を示す。超臨界状態とは、臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態を示す。なお、臨界温度及び臨界圧力の組み合わせを臨界条件と呼ぶことがある。本明細書においては、常温とは、例えば、温度が1℃から35℃程度であることを示す。常圧とは、例えば、圧力が1atm(約0.1013MPa)程度であることを示す。なお、常温は、人間の生活圏の室温でもよい。常圧は、人間の生活圏の大気圧でもよい。また、常温は菌の培養温度でもよい。
(塩基性化合物)
前記した塩基性化合物は、その分子中に2価の金属を含有する。
(アルカリ性の程度)
塩基性化合物は、水に混ぜられた状態でpH12以上のアルカリ性の液体を形成することができるものであることが好ましい。pH12以上の液体を形成できるものが塩基性化合物として用いられることで、殺菌力をより効果的に発揮できる消毒液を得ることができる。殺菌力を得る観点からは、塩基性化合物は、水に混ぜられた状態でpH12.3以上の液体を形成することができるものであることが好ましく、pH12.5以上であることがより好ましい。また、取り扱いの容易性の観点からは、塩基性化合物は、水に混ぜられた状態でpH13.8以下の液体を形成することができるものであることが好ましく、pH13.2以下であることがより好ましい。
(2価の金属)
2価の金属は、マグネシウム、カルシウム等の2価の陽イオンとなりうる金属を挙げることができる。2価の金属としては、人体への安全性等の取り扱い容易性の観点からはマグネシウム、カルシウムが好ましく、特に、カルシウムが好ましい。なお、2価の金属は、一種類でもよいし二種類以上の併用であってもよい。したがって、例えば、塩基性化合物として、水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムが併用されてもよい。
(塩基)
塩基性化合物の分子に含まれる塩基としては、強いアルカリ性の溶液実現の観点からは水酸基が好適である。水酸基を有する塩基性化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどを例示することができ、水酸化カルシウムが好ましい。水酸化カルシウムは、水に混ぜられた状態でpH12以上のアルカリ性を示す水溶液を形成することができる。
(貝殻焼成カルシウム)
環境への配慮と高いアルカリ性の実現の観点からは、塩基剤化合物は、貝殻焼成カルシウムに含まれる塩基性カルシウム化合物であることが好ましい。貝殻焼成カルシウムは、水に混ぜられた際の発熱性の少なさ等の取り扱いの安全性の観点や、漁業系等の廃棄物の活用の観点からも好ましい。塩基性カルシウム化合物としては、具体的に水酸化カルシウムが例示される。
貝殻焼成カルシウムの原料となる貝殻は、ハマグリ、カキ、アサリ、シジミ、ホンビノス貝、ホッキ貝、ホタテ貝等を例示することができる。原料は、殺菌性に優れた消毒液の実現の観点からはホタテ貝の貝殻が好ましい。
(貝殻焼成カルシウムの平均粒径)
貝殻焼成カルシウムの平均粒径は、特に限定されるものではないが、pHの高い消毒液を得やすくする観点から、50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましい。貝殻焼成カルシウムの平均粒径が小さいほど水に対する貝殻焼成カルシウムの粒子表面の総接触面積が増え、pHの高い消毒液が得やすくなり、そして所定のpHの消毒液を得る際に使用される貝殻焼成カルシウムの量を少なくすることができる。また、取り扱いの容易性や製造コストの観点からは、貝殻焼成カルシウムの平均粒径は、0.1μm以上であることが好ましい。
(塩基性化合物の含有量)
消毒液には、塩基性化合物が水に対する溶解度の限界量以下で含まれていることが、塩基性化合物の不溶分による白濁等を抑制することができて好ましい。具体的には、塩基剤化合物の添加量は、塩基性化合物の水に対する溶解性にもよるが、後述する超臨界経由水の重量に対する重量比率で0.01重量%以上5重量%であることが好ましく、0.01重量%以上2重量%以下であることがより好ましい。塩基性化合物が超臨界経由水に対して0.01重量%以上含まれていることで、消毒液のpHをよりアルカリ性にすることができ、塩基性化合物が超臨界経由水に対して5重量%以下とされることで、消毒液における塩基性化合物の不溶分の発生を抑制しやすくなる。
(消毒液のpH)
消毒液のpHは、上記したように、殺菌性を高める観点からは、12.0以上であることが好ましく、12.3以上であることがより好ましく、12.5以上であることがさらに好ましい。また、消毒液のpHは、取り扱いの安全性を高める観点からは、13.8以下であることが好ましく、13.2以下であることがより好ましい。
(超臨界経由水)
超臨界経由水は、上述したように超臨界状態から常温常圧下の状態への移行を施された水である。
(超臨界経由水の製造装置及び製造方法)
超臨界経由水は、例えば、図1に示すような装置を用いて製造することができる。図1は、超臨界経由水の製造装置の一例を示す図である。図1を用いた下記の説明は一例であり、超臨界経由水の製造装置及び製造方法は、ここに述べる例に限定されるものではない。
図1に例示された超臨界経由水の製造装置は、昇圧部10と昇温部11とを備えており、昇圧部10と昇温部11とを繋げる配管12を設けられている。昇圧部10は、例えば高圧ポンプ等による加圧装置を挙げることができる。昇温部11は、例えば公知の加熱ヒーター等を挙げることができる。
図1の製造装置では、原料となる水(原水と呼ぶ。)(図1において、符号W(in)で示す)が、昇圧部10に注入され、昇圧部10内で水の臨界圧力(約22MPa)を超える圧力まで上昇される。昇圧部10内の温度は、昇圧部10内で原水の固化が規制される温度とされている。次に昇圧部10で昇圧された流体が配管12から昇温部11に送られる。昇温部11では、水の臨界温度(約374℃)を超える温度まで流体が加熱される。このとき、昇温部11内の流体は、水の臨界条件(圧力:約22MPa、温度:約374℃)を超える温度及び圧力の状態となっており、すなわち超臨界状態となっている。昇温部11で加熱された後、昇温部11内の流体は、温度と圧力を常温常圧まで下げられる。これにより、流体が常温常圧下の状態に移行し、すなわち水の状態に移行する。その後、昇温部11内から外部に流出された流体が、超臨界経由水(図1において、符号W(out)にて示す。)をなす。なお、昇温部11の温度と圧力を常温常圧まで下げる工程は、例えば、昇温部11に冷却装置と減圧装置を設けることで実現できる。
超臨界経由水を製造する際に用いられる原水は、特に限定されるものではなく、水道水、ミネラルウォーター、純水等を例示することができるが、不純物をできるだけ除かれている点で純水であることが好ましい。
昇圧部10の昇圧機構は、水を臨界圧力以上に昇圧することができれば、その昇圧機構を特に限定されるものでなく、高圧ポンプによる加圧の他、高所から低所まで連続する管内を原水で満たすことで原水の水面を高所に位置させて低所の静水圧を高めた状態を形成して低所に位置する原水を加圧する機構等でもよい。水の臨界圧力を実現する高所は、低所を基準におおむね2200m以上となる高さの位置とされればよい。
昇温部11の昇温機構は、水の臨界温度を超える温度まで昇温することができれば、その昇温機構を特に限定されるものではなく、有機物等の燃焼熱の利用、太陽光などの光エネルギーの利用、電熱線等の通電による発熱の利用などを例示することができる。
上記の製造装置では、昇圧部10と昇温部11とが配管12で繋がっており昇圧と昇温が個別に実施されていたが、昇温部11が昇圧部10内に設けられる等により昇圧と昇温とが同時に実施されてもよい。
<消毒液の製造方法>
消毒液の製造方法について、塩基性化合物が貝殻焼成カルシウムである場合を例として、図2を用いて説明する。図2は、消毒液の製造方法の一例を示す。
(貝殻焼成カルシウムの製造)
貝殻焼成カルシウムは、例えば、図2の工程S1から工程S4に示すようにして製造することができる。
まず洗浄された原料となる貝殻が加熱焼成され、焼成物が得られる(焼成工程)(工程S1)。焼成工程は、例えば、電気炉や高熱焼成分解炉などの焼成装置を用いることで実施できる。焼成工程での焼成条件については、貝殻に含まれる炭酸カルシウムを酸化カルシウムにすることができる温度及び時間が定められる。この観点から、焼成条件は、例えば、焼成温度を1000℃以上1100℃以下程度、焼成温度を30分以上120分以下程度とされてよい。
焼成工程の後、焼成物を放置する等により、焼成物が冷却される。さらに焼成物が粉砕され、粉砕物が得られる(粉砕工程)(工程S2)。粉砕工程は、例えば、乾式ビーズミルなどの粉砕装置を用いることで実現することができる。
粉砕物に対して水が添加される(加水工程)(工程S3)。このとき粉砕物がさらに細かな粒子となり粉末化し、粉末が水中に混ざった状態のスラリーが得られる。加水工程では、粉砕物に含まれる酸化カルシウムが水酸化カルシウムに変化する化学反応が生じる。スラリーには、水と水酸化カルシウムが含まれることとなる。そして、加水工程によって得られたスラリーが乾燥され(工程S4)、貝殻焼成カルシウムが得られる。
なお、上記した貝殻焼成カルシウムの製造工程においては、スラリーを乾燥させる前に、粉砕工程が追加実施されてもよい。追加される粉砕工程は、例えば、湿式ビーズミルなどの粉砕装置を用いることで実現することができる。
(消毒液の調製)
上記で得られた塩基性化合物を用いて、例えば、図2の工程S5から工程S6に示すようにして消毒液を製造することができる。例えば工程S4で得られた乾燥物の貝殻焼成カルシウムのような塩基性化合物を超臨界経由水に添加し(工程S5)、攪拌する。これにより混合液が得られる。この混合液を濾過して上清液と沈殿物に分ける(工程S6)。このとき得られた上清液(以下、塩基性化合物水溶液と呼ぶ。)が消毒液をなす。なお、工程S6については、混合液を静置して得られる上澄み液を分取し、上澄み液が濾過されることで上清液と沈殿物に分けられる工程であってもよい。
(効果)
第1の実施形態にかかる消毒液によれば、超臨界経由水に塩基性化合物を溶解させていることにより、塩基性化合物による殺菌力の限界を超えて殺菌力を一層向上させることができる。
[2 第2の実施形態]
上記の第1の実施形態の消毒液には、増粘剤がさらに添加されていてもよい(第2の実施形態)。
(増粘剤)
増粘剤は、アルカリ性下で液体の粘性を高めることができるものを用いられる。具体的には、増粘剤としては、ヒドロキシアルキル基を有するセルロースの誘導体等を例示することができ、より具体的にはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどを例示することができる。ヒドロキシアルキル基を有するセルロースの誘導体は、セルロースの水酸基の水素原子の少なくとも一部をヒドロキシアルキル基で置換したものである。なお、セルロースの誘導体には、ヒドロキシアルキル基の他にさらにメチル基などのアルキル基でセルロースの水酸基の水素原子が置換されたものが含まれる。増粘剤は、消毒液の適度な粘性を実現する観点からはヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いられることが好ましい。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、セルロースに対してその分子内に存在する水酸基の少なくとも一部をメトキシ基に置換しさらにヒドロキシプロピル基を導入したものである。また、消毒液の粘性の維持の観点からも、増粘剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いられることが好ましい。
(増粘剤の添加量)
消毒液における増粘剤の添加量は、上述した塩基性化合物水溶液の重量に対する重量比率で0.005重量%以上10重量%以下であることが好ましく、0.008重量以上0.1重量%以下であることがより好ましい。増粘剤の添加量が水の重量に対する重量比率で0.005重量%以上であることで、粘性を発揮させた状態を形成しやすくなる。増粘剤の添加量が水の重量に対する重量比率で10重量%以下であることで、消毒液の粘性が高くなりすぎないように規制しやすくなり、また消毒液の殺菌性に対して過度な影響を及ぼすことを規制しやすくなる。
(消毒液の製造方法)
第2の実施形態にかかる消毒液は、例えば次に示すように製造することができる。上記の第1の実施形態の消毒液と同様に、超臨界経由水に塩基性化合物を添加し、さら攪拌する。これにより混合液が得られる。この混合液を濾過して上清液と沈殿物に分離する。このとき得られた上清液に増粘剤を添加し攪拌する。攪拌は、ブレンダーなどを用いて実施できる。増粘剤は、上清液に対して複数回に分けて徐々に添加されることが好ましい。こうして、第2の実施形態にかかる消毒液を製造することができる。なお、上記混合物の濾過を行う工程については、混合液を静置して得られる上澄み液を分取し、その上澄み液が濾過されることで上清液が得られる工程とされてよい。
(効果)
第2の実施形態にかかる消毒液によれば、消毒液に増粘剤が添加されていることで消毒対象から消毒液が流れ落ちにくくなり、消毒液による消毒時間を延ばしやすくなる。
第2の実施形態で説明した消毒液は、超臨界経由水と、2価の金属を含有する塩基性化合物と、増粘剤とを含むが、アルカリ性下でも液体の粘性を高めることを実現する効果を重視すれば、消毒液は、水と、2価の金属を含有する塩基性化合物と、増粘剤とが含まれているものでもよい。この場合における、水は、特に限定されず、例えば水道水、純水、ミネラルウォーター等が例示される。増粘剤としては、上記で説明したようにヒドロキシアルキル基を有するセルロースの誘導体等を例示することができ、消毒液の適度な粘性を実現する観点からはヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いられることが好ましい。
次に、実施例を用いてさらに詳細に説明する。
実施例1
塩基性化合物として貝殻焼成カルシウムに含まれる塩基性カルシウム化合物を準備した。貝殻焼成カルシウムは、上記した消毒液の製造方法で詳述したようにして得られた。貝殻焼成カルシウムは、平均粒子径が3.6μmであった。
超臨界経由水として純水を原水に用いたものが準備された。
超臨界経由水1リットルに対して貝殻焼成カルシウム1重量部(超臨界経由水に対する重量%でおおよそ0.1重量%)を添加し、さらに攪拌して混合液を得た。攪拌後、混合液を静置して、上澄み液を分取し、さらに上澄み液を濾過することで上清液と沈殿物とに分けた。このようにして、塩基性化合物水溶液となる上清液を得ることで実施例1の消毒液を得た。消毒液のpHは12.5であった。
実施例2
塩基性化合物水溶液に対して次に示すように増粘剤を添加したほかは、実施例1と同様として、実施例2の消毒液が得られた。
(増粘剤の添加)
増粘剤としては、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(信越化学工業株式会社製、商品名メトローズ(登録商標)65SH-400)が準備された。塩基性化合物水溶液8.5Lを容器に入れ、増粘剤74g(塩基性化合物水溶液に対する重量%でおおよそ0.9重量%)が塩基性化合物水溶液に添加された。増粘剤は、塩基性化合物水溶液をブレンダーで攪拌しながら20回に分けて徐々に添加された。増粘剤全量を添加した後、5分間攪拌を継続し、実施例2の消毒液を得た。消毒液のpHは12.5であった。
(消毒液における増粘剤の均一分散・溶解性の評価)
消毒液における増粘剤の均一分散・溶解性については、増粘剤全量を添加した後の攪拌が終了した後において消毒液に増粘剤のダマ部(塊状部分)が残るか否か、及び白濁等の着色が認められるか否かを目視観察することにより実施された。
実施例1の消毒液は、ダマ部及び着色も観察されなかった。
(粘性の評価)
消毒液の粘性の評価は、得られた消毒液を水平に広げた掌の上に1滴とった状態で掌を約90度傾けた際に、液滴が掌で下方流動するか否か、及び、液滴が掌内に所定時間とどまっているか否かを目視確認することにより実施された。ここでは、所定時間として5秒間を設定した。
実施例2の消毒液では、液滴が掌内でわずかに下方に向かって流動し且つ掌で所定時間以上掌内にとどまることが確認され、適切な粘性を有することが確認された。
実施例3
超臨界経由水500mLに対して貝殻焼成カルシウム1g(超臨界経由水に対する重量%でおおよそ0.2重量%)を添加して塩基性化合物を調製し、調製された塩基性化合物水溶液500mLに対して増粘剤5g(塩基性化合物水溶液に対する重量%でおおよそ1重量%)を添加したほかは、実施例2と同様として、実施例3の消毒液が得られた。実施例3の消毒液のpHは12.5であった。実施例3の消毒液について、実施例2と同様にして増粘剤の均一分散・溶解性の評価、及び粘性の評価を行った。結果、実施例3の消毒液は、ダマ部及び着色も観察されなかった。また、実施例3の消毒液では、液滴が掌内で流動し且つ掌で所定時間以上掌内にとどまることが確認され、適切な粘性を有することが確認された。
比較例1
超臨界経由水にかえて水道水を用いた他は実施例1と同様にして、比較例1の液を得た。
比較例2
実施例1で準備された超臨界経由水を比較例2の液とした。
比較例3
増粘剤としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(ニチリン化学工業社製、商品名キッコレート(登録商標)F-120)添加したほかは、実施例3と同様として、比較例3の液が得られた。比較例3の液について、実施例2と同様にして粘性の評価を行った。比較例3の液では、液滴が掌から流れ落ちることが確認され、粘性が弱いことが確認された。
比較例4
増粘剤としてカルボキシビニルポリマー(和光純薬工業社製、商品名ハイビスコワー(登録商標)103)添加したほかは、実施例3と同様として、比較例4の液が得られた。比較例4の液について、実施例2と同様にして増粘剤の均一分散・溶解性の評価を行った。比較例4の液では、ダマ部が確認された。また、比較例4の液はpHが5.5となり酸性化することが確認された。
実施例2、3、比較例3、4から、pH、増粘剤の均一分散・溶解性及び粘性の観点で、増粘剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いた場合に適切な消毒液が調製されていることが確認された。
[殺菌性試験]
実施例1の消毒液、比較例1、2の液を用いて次のように殺菌性試験及びウイルス不活性化試験を行った。
殺菌性試験の対象となる試験菌の種類として、大腸菌(学名:Escherichia coli(E.coliと略称することがある))及び緑膿菌(学名:Pseudomonas aeruginosa(PAと略称することがある))の2種類を準備した。
(試験液の準備)
水道水5mLを滅菌チューブに入れ、試験菌1エーゼを投入して攪拌することで試験菌含有液を調製した。
実施例1の消毒液1.8mL(比較例1、2については、それぞれ比較例1、2の液1.8mL)に対し試験菌含有液200μLを添加して試験液が調製された。
(暴露工程)
試験液は、所定の暴露時間(Exposure Time)、常温(25℃)常圧(1atm)下で静置された。
(培養工程)
暴露工程後、試験液100μLがトリプトソイ寒天培地プレート(栄研化学株式会社 商品名パールコアトリプトソイ寒天培地)に塗抹された。次いで、そのトリプトソイ寒天培地プレートが、37℃で24時間インキュベーター内に置かれ、試験液に含まれる試験菌の培養が実施された。培養後、トリプトソイ寒天培地上に形成されたコロニー数がカウントされた。
なお、暴露時間としては、0、15、30、45、60分の5種類の時間が定められた。それぞれの暴露時間の条件について、上述の暴露工程及び培養工程が実施され、さらに、コロニー数がカウントされた。
暴露時間が0分である場合のコロニー数を基準とし、暴露時間が15分、30分、45分、60分の場合のコロニー数の比率[単位:%](Ratio of Colony Forimg Unit)を算出した。さらに、暴露時間(単位:分)を横軸にとり、コロニー数の比率を縦軸にとってグラフを得た。
大腸菌、緑膿菌の2種類の試験菌について上記殺菌試験を行った結果のグラフは、図3Aから図3C(Fig.3AからFig.3C)に示すとおりであった。図3Aは、実施例1の消毒液についての殺菌試験の結果を示すグラフである。図3B、図3Cは、それぞれ比較例1、2の液についての殺菌試験の結果を示すグラフである。図3A、図3B、図3Cにより、大腸菌(E.coli)、緑膿菌(PA)いずれについても、実施例1では、比較例1、2に比べて、少ない暴露時間で高い効果が実現されていることが確認された。
[ウイルス不活性化試験]
実施例1、2の消毒液を試験液として用いて次のようにウイルス不活性化試験を行った。なお、試験液として、ウイルス不活性化の比較対照用の液として対照液(PBS:Phosphate buffered saline)がさらに準備された。
(作用工程)
試験液0.9mLに対して、試験用のウイルス(ネココロナウイルス(Feline Enteric Coronavirus)、WSU 79-1683株)を含有するウイルス液0.1mLを試験管内で混合して室温で所定時間作用させた。作用時間は、表1に示すとおりである。なお、試験用のウイルス液の感染価は、3.3×10TCID50/mLである。
(作用停止工程)
試験液とウイルス液を所定時間作用させた後、0.1M HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)緩衝液(pH7.0)(ナカライテクス社製)で20倍に希釈することで、試験用のウイルスと試験液との作用を停止させた。
(感染価の測定)
作用停止工程で得られた液をウイルス感染価測定用の試験液として感染価を測定した。感染価の測定方法としては、TCID50法が用いられた。TCID50法は、次のように実施される。PBSで試験液の10倍希釈系列の液が作成され、それらの10希釈系列をなす各液が、感染価測定用の細胞(全ネコ胎児由来株化細胞)を培養した96ウェルプレートに接種された。感染価測定用の細胞について接種後4日間、COインキュベーターで培養し、細胞変性効果が顕微鏡下で観察された。そしてReed-Muench法を用いて1mLあたりの感染価(力価)[単位:TCID50/mL]が測定された。
また、測定された感染価の値に基づき、感染価対数減少値と減少率を算出した。感染価対数減少値(LRV:log reduction value)は、log10(初期状態の感染価/作用時間後の感染価)で求められる。減少率[単位:%]は、(1-1/10(LRV))×100で求められる。
実施例1、2の消毒液を試験液としたウイルス不活性化試験の結果は、表1の作用時間1分間の欄の数値に示される通りである。また、あわせて対照液を試験液としてウイルス不活性化試験の結果が表1の作用時間1分間の欄の数値に示されている。表1の作用時間0分間の欄の数値は、初期状態におけるウイルスの感染価である。
表1により、実施例1、2のいずれについても、高いウイルス不活性化の効果が実現されていることが確認された。
Figure 0007197868000001
例えば、上述の実施形態および応用例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値等を用いてもよい。また、上述の実施形態および応用例の構成、方法、工程、形状、材料および数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
10 昇圧部
11 昇温部
12 配管

Claims (3)

  1. 臨界温度を超える温度及び臨界圧力を超える圧力下の状態から常温常圧下の状態へ移行された水と、
    2価の金属を含有する塩基性化合物と、を含有し、
    前記塩基性化合物は、貝殻焼成カルシウムに含まれる塩基性カルシウム化合物である、
    消毒液。
  2. 請求項1に記載の消毒液において、
    前記塩基性カルシウム化合物は、水酸化カルシウムである消毒液。
  3. 請求項1または2に記載の消毒液において、
    増粘剤をさらに含有する消毒液。
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