以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で行う。
本発明の第一実施形態は、成分(A):金属石鹸処理粉体、成分(B):α−D−グルコースを構成糖とし、かつ分子内に分岐がある糖高分子、および成分(C):ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物で表面処理された粉体、を有する固形粉末化粧料である。
上述したように、耐衝撃性と、塗布具への付着性がよいといういわゆるとれのよさとは、トレードオフの関係にあり、両立させることが困難である。一方で、本実施形態の構成とすることで、耐衝撃性を維持したまま、とれが向上し、さらにケーキングが抑制される。また、本実施形態の化粧料は、肌上に化粧料を適用する際に化粧料が肌に対してくいつくことが少なく、なめらかな使用感が発揮される。
本実施形態の化粧料が上記効果を奏する詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように考えられる。なお、以下のメカニズムは本発明の範囲を何ら制限するものではない。
本願の成分(A)は、粉体表面が金属石鹸で被覆されていることで、粉体同士を緩やかに結合する。特に表面処理剤として金属石鹸を用いることで肌付着性が高まり、化粧料のなめらかな使用感が向上するため、肌上での化粧料の伸び広がりが向上する。これに、成分(B)を含有することで、成分(B)における糖構造が金属石鹸処理粉体同士を結合し、耐衝撃性が顕著に向上するとともに、成分(B)が分岐鎖を持つことで、結合の自由度が増し、とれが良好となり、またケーキングが抑制されるものと考えられる。すなわち、成分(A)、成分(B)が相互に作用して粉体同士の結合を高めることで、良好な耐衝撃性が維持されるとともに、成分(B)が分岐鎖を持つことで、成分(A)および成分(B)の結合がフレキシブルとなり、とれが良好となり、またケーキングが効果的に防止されるものと考えられる。一方、成分(C)は、ジメチコノールに起因する水酸基を有するため、特に成分(A)との相互作用が高まると考えられ、かような結合により耐衝撃性の向上に寄与するとともに、成分(C)はアミノシランに起因した構造を有するので、粉体の表面にかさ高い架橋生成物を有するため、パッキングされた粉体同士の距離を広げることで、とれが顕著に向上するものと考えられる。また、成分(C)は構造内にアミノ基を有するため、肌親和性が高く、肌上に化粧料を塗布した際に肌上でなめらかに化粧料が広がっていくものと考えられる。
なお、本発明における固形粉末化粧料とは、粉体を主成分として構成される固形状化粧料である。好適には、化粧料に対して30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは、1〜20質量%の油剤を含有することで固形状とした化粧料である。なお、ここで主成分とは、50質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上であることを指す。すなわち、本実施形態においては、成分(A)およびその他の粉体を含めた粉体(表面処理粉体を含む)の合計量が、化粧料に対して50質量%以上(上限は化粧料全量から成分(B)の含有量を除いた質量%)であり、好ましくは60質量%以上(上限は化粧料全量から成分(B)の含有量を除いた質量%)、より好ましくは70質量%以上(上限は化粧料全量から成分(B)の含有量を除いた質量%)、特に好ましくは、80〜99質量%である。
以下、本実施形態を構成する各成分について説明する。
(成分(A):金属石鹸処理粉体)
金属石鹸処理粉体を構成する粉体(金属石鹸処理を受ける被粉体、金属石鹸処理被処理粉体)としては、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、有色顔料類、複合粉体類、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などが挙げられる。
無機粉体類としては、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、雲母(マイカ)、合成雲母、セリサイト、合成セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、シリカなどが挙げられる。
光輝性粉体類としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、二酸化珪素・酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダーなどが挙げられる。
有機粉体類としては、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸粉体、N−アシルリジン、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルとポリイソプレンの複合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンコポリオールクロスポリマーなどの部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型アルキル変性シリコーン、(ラウリルジメチコン・PEG)クロスポリマーなどの部分架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、例えば、INCI名称で、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。
有色顔料類としては、赤色酸化鉄(ベンガラ)、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄色酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒色酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をアルミニウムなどでレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などが挙げられる。タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号などが挙げられる。
複合粉体類としては、酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、酸化鉄被覆チタン・マイカ、酸化亜鉛被覆チタン・マイカ、硫酸バリウム被覆チタン・マイカ、有機顔料処理チタン・マイカ、二酸化珪素・酸化チタン被覆マイカ、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素などが挙げられる。
金属石鹸処理粉体は、粉体の表面を脂肪酸の金属塩からなる金属石鹸で処理したものである。
金属石鹸を構成する脂肪酸には、側鎖の水素原子の少なくとも一部が置換基に置換されているものも含まれ、このような置換脂肪酸としては、具体的には、側鎖の水素原子の少なくとも1つが水酸基に置換されたヒドロキシ脂肪酸が挙げられる。
脂肪酸としては具体的には、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、イソステアリン酸などの飽和脂肪酸;ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸のモノ不飽和脂肪酸;リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸のジ不飽和脂肪酸;及びリノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、エイコサトリエン酸のトリ不飽和脂肪酸;2−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシカプリル酸、3−ヒドロキシカプリル酸、2−ヒドロキシカプリン酸、3−ヒドロキシカプリン酸、2−ヒドロキシラウリン酸、3−ヒドロキシラウリン酸、12−ヒドロキシラウリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸(リシノール酸)、2−ヒドロキシミリスチン酸、3−ヒドロキシミリスチン酸、14−ヒドロキシミリスチン酸、2−ヒドロキシペンタデカン酸、3−ヒドロキシペンタデカン酸、15−ヒドロキシペンタデカン酸、2−ヒドロキシパルミチン酸、16−ヒドロキシパルミチン酸、2−ヒドロキシステアリン酸、3−ヒドロキシステアリン酸、2−ヒドロキシパルミトレイン酸、3−ヒドロキシパルミトレイン酸、2−ヒドロキシリノール酸、3−ヒドロキシリノール酸、2−ヒドロキシリノレン酸、3−ヒドロキシリノレン酸、2−ヒドロキシ−γ−リノレン酸、3−ヒドロキシアラキドン酸、2−ヒドロキシ−4−メチルドデカン酸、18−ヒドロキシ−3−メチルオクタデカン酸、2−ヒドロキシリグノセリン酸、2−ヒドロキシフィタン酸、18−ヒドロキシ−4−エチルオレイン酸などのヒドロキシ脂肪酸などが挙げられる。
これらの中でも、炭素数が8〜24の飽和脂肪酸またはヒドロキシ飽和脂肪酸であることがより好ましく、炭素数が12〜18の飽和脂肪酸またはヒドロキシ飽和脂肪酸であることがより好ましく、ミリスチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸であることがさらに好ましい。
金属塩を構成する金属としては特に限定されるものではないが、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リチウム、バリウム、アルミニウム等が挙げられる。
より具体的には、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、イソステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウムなどの金属石鹸などが挙げられる。
金属石鹸処理粉体における金属石鹸含有量は、金属石鹸処理粉体に対して0.1〜15質量%が好ましく、0.2〜10質量%であることがより好ましい。なお、金属石鹸の含有量は、金属石鹸処理粉体の製造時の金属石鹸の処理量とほぼ一致する。
金属石鹸処理粉体は、なめらかな使用感が得られることから、板状粉体であることが好ましい。ここで金属石鹸被覆は粉体形状に影響をほぼ与えないため、金属石鹸処理粉体が板状粉体であるとは、金属石鹸被処理粉体が板状であることを指す。板状粉体としては、具体的にはマイカ、セリサイト、タルク、板状硫酸バリウム、板状硫酸カルシウム等の無機板状粉体、およびこれらの板状粉体に被覆処理を施した複合粉体(酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、二酸化珪素・酸化チタン被覆マイカなど)などが好ましい。板状粉体はその形状に依存して層状に粉体が重なり合う構造をとるため、耐衝撃性が低下する傾向にあるが、本実施形態の構成によれば、板状粉体を含有することによるなめらかな使用感を維持したまま、耐衝撃性を向上させることができる。なお、板状粉体には、板状の他、薄片状等の形状の粉体も含まれる。本明細書において、板状粉体とは、平均粒径が平均厚みよりも大きい粉体を指し、具体的にはアスペクト比が3以上であることが好ましい。アスペクト比は、平均粒径と粒子の平均厚さとの比により計算されるものであり、アスペクト比=(平均粒径/平均厚さ)で定義される。厚さは、原子間力顕微鏡により基準面との差を測定し、相加平均したものを平均厚さとする。
金属石鹸処理粉体の平均粒径は、0.5〜200μmが好ましく、更に好ましくは1〜150μmである。なお、本明細書において平均粒径は、卓上走査型電子顕微鏡(proX PREMIUM、ジャスコインタナショナル社製)を用いて、加速電圧5〜15kV、拡大率1000〜25000倍にて測定し、得られた画像データの任意の視野の粒子50個から算出した。
成分(A)の金属石鹸処理粉体の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、金属石鹸被処理粉体の一種又は二種以上の混合物と、脂肪酸のアルカリ塩と、水とを混合した中に、金属の塩化物を加えて反応させ、処理物を沈降させる方法によって行われる。成分(A)における金属石鹸の処理量は特に限定されないが、所望の金属石鹸含有量となるように適宜設定される。
成分(A)は市販品を用いてもよく、市販品としては、板状硫酸バリウムH−LF(堺化学工業社製)、板状硫酸バリウムH−LFM(堺化学工業社製)、MTZE−07EX(テイカ社製)などが挙げられる。
成分(A)は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
成分(A)の含有量は特に限定されるものではないが、化粧料に対して合計で10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましく、25〜38質量%であることがさらに好ましい。
(成分(B):α−D−グルコースを構成糖とし、かつ分子内に分岐がある糖高分子)
成分(B)のα−D−グルコースを構成糖とし、かつ分子内に分岐がある糖高分子は、成分(A)、および成分(C)と組み合わさることで、耐衝撃性が顕著に向上する。
成分(B)としては、特に限定されるものではないが、具体的には、グリコーゲン、プルラン、デキストラン、アミロペクチン、またはアミロースなどが挙げられる。成分(B)は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。中でも、分岐密度が高く、耐衝撃性の向上およびとれの向上の両立の観点からは、成分(B)がグリコーゲンであることが好ましい。
本明細書では、「グリコーゲン」とは、D−グルコースを構成単位とする糖であって、α−1,4−グルコシド結合およびα−1,6−グルコシド結合のみによって連結されており、分子量が100万Da以上であるものをいう。グリコーゲンは、ホタテ、アワビ、牡蛎、イガイ、アコヤ貝等の貝類、ウシ、豚の肝臓等に由来する動物性グリコーゲン;トウモロコシ、オオムギ、米、ポテト、タピオカ等に由来する植物性グリコーゲンを挙げることができる。これらグリコーゲンは、常法により調製した天然物に含まれるグリコーゲンをそのまま使用することもでき、また、グリコーゲンを、酵素を用いて合成することもできる。例えば、砂糖とプライマー分子(マルトオリゴ等やデキストリン)にスクロースホスホリラーゼ(EC2.4.1.7)とα−グルカンホスホリラーゼ(EC2.4.1.1)およびブランチングエンザイム(EC2.4.1.18)を作用させる方法、および短鎖のアミロースにブランチングエンザイム(EC2.4.1.18)を作用させる方法などがある。これらの方法で合成したグリコーゲンも、天然グリコーゲンと同様の化学的構造、および物理的構造を持つことが知られており、これらの酵素合成グリコーゲンも使用することができる。また、天然または合成のグリコーゲンを用いる以外に、それらの誘導体を用いても良く、それらの同等物であってもよい。
グリコーゲンは、当業者に周知の分離方法、例えば、クロマト分離(例えば、ゲル濾過クロマトグラフィー、HPLC)、膜分離等で適当な分子量分布を持つ画分に分離することができる。また、溶媒(例えば、メタノール、エタノール)を用いる沈澱等の方法を、単独で、あるいは組み合わせて用いて適当な分子量分布を持つ画分に分離することができる。また、天然または合成のグリコーゲンを当業者に周知の方法でエーテル化、エステル化、架橋化、およびグラフト化したものも使用することができる。誘導体化の方法としては、通常、澱粉の修飾に用いられる方法が用いられ得る(生物化学実験法19,「澱粉・関連糖質実験法」:中村ら、学会出版センター、1986年273〜303頁)。リン酸化の例としては、グリコーゲンをジメチルホルムアミド中でオキシ塩化リンと反応させることにより、リン酸化したグリコーゲンを得ることができる。
グリコーゲンは市販品を用いることもでき、市販品としては、ムラサキイガイ由来のBIOSACCHARIDES LS/HG(LABORATORIES SEROBIOLOGIQUES社製)、キューピー株式会社のフィトグリコーゲン(登録商標)等が挙げられる。
成分(B)の含有量は、耐衝撃性の観点から化粧料に対して0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.03質量%以上であることがさらに好ましい。また、とれの向上、なめらかな使用感およびケーキング防止の観点から成分(B)の含有量は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0.08質量%以下であることが特に好ましい。成分(B)の含有量は、耐衝撃性、とれの向上、なめらかな使用感およびケーキングの観点から、化粧料に対して0.01〜0.1質量%であることが好ましい。
(成分(C):ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物で表面処理された粉体)
ジメチコノールとは、リニアなジオルガノポリシロキサン骨格の両末端に水酸基を有する両末端反応性ジオルガノポリシロキサンを指し、好ましくは下記式(1)で表される構造を有する。
R1は水酸基であり、R2は、それぞれ独立して非置換または置換の炭素数1〜20の炭化水素基であり、Lは3〜10,000である。
R2としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラシル基等のアルキル基;シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基、β−フェニルプロピル基等のアラルキル基;及びこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)等の原子及び/又はアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシル基等の置換基で置換した炭化水素基等が挙げられる。
ジメチコノールの分子量は、300〜200,000であることが好ましい。ジメチコノールとしてはオイルの形態の物や、他のシリコーンオイルとの希釈物、または、水との乳化物からなるジメチコノールエマルジョンがある。ジメチコノールのエマルジョンはジメチコノールのオイルを機械乳化して得られたものと、低分子シロキサンを出発原料として乳化重合により得られたものとがある。エマルジョン化する時の乳化剤が安全性の高いものであれば、いずれのタイプのエマルジョンを用いても構わない。エマルジョンの製造方法としては、特開2016−145213号公報に記載の方法などを用いることができる。例えば、式(1)の両末端反応性ジオルガノポリシロキサンの水エマルジョンを調製する方法としては、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの低分子環状シロキサンを出発原料として乳化重合する方法やオイル状の両末端反応性ジオルガノポリシロキサンと界面活性剤、水を少なくとも含有する系を乳化混合装置により機械乳化する方法が例示される。
アミノシランとしては、(アミノアルキル)アルコキシシランが好ましく、例えば、下記式(2)または(3)で表される化合物が挙げられる。
一般式(2)または(3)中、R3、およびR5は、それぞれ独立してアミノ基で置換された炭素数1〜10(好ましくは1〜8、より好ましくは1〜6、特に好ましくは2〜3)のアルキル基であり、R4、R6およびR7は、それぞれ独立して、炭素数1〜10(好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2)のアルキル基である。R3、およびR5におけるアミノ基の置換数は2〜3であることが好ましく、1である(アミノアルキル基である)ことが好ましい。複数のR3〜R7は、それぞれ同じであってもよいし、異なる置換基であってもよい。また、一般式(2)または(3)中、nおよびmは1〜4の整数を表す。nおよびmは2または3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
アルコキシシランとしては、具体的には、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。反応副生物の安全性の観点で3−アミノプロピルトリエトキシシランが好ましい。
ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物は、シリコーンゲルであることが好ましい。シリコーンゲルとはゴム弾性つまりゴム硬度を有しないジオルガノポリシロキサンの微3次元架橋構造を有する重合体である。具体的には、前記式(1)の両末端反応性ジオルガノポリシロキサンが水サスペンションまたは水エマルジョンの形態にあるものを出発原料としてアミノシランと反応させたシリコーンゲルである。
ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物処理を受ける粉体(ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物被処理粉体)としては、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、有色顔料類、複合粉体類、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などが挙げられる。これらの粉体の具体例は成分(A)で挙げたものと同様である。
ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物処理粉体におけるジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物含有量は、ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物処理粉体に対して0.01〜30質量%が好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。なお、架橋生成物の含有量は、架橋生成物処理粉体の製造時の架橋生成物の処理量とほぼ一致する。
ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物処理粉体の平均粒径は、0.1〜100μmが好ましく、1〜30μmがより好ましく、更に好ましくは3〜25μmである。
ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物の製造方法は、公知の手法を用いることができ、例えば、特開2016−145213号公報に記載の方法が挙げられる。具体的には、ジメチコノールのエマルジョン、好適には水エマルジョンと、アミノシランとを反応させることで得ることができる。反応の際には、触媒を用いてもよい。ジメチコノールおよびアミノシランの含有比率は、架橋生成物がシリコーンゲル形状である場合には、例えば、ジメチコノール:アミノシラン=100:0.1〜100:35(質量比)であり、100:5〜100:25(質量比)である。
この際、シリコーンゲルを製造してから、被処理粉体の表面処理を行ってもよいし、被処理粉体の存在下で、ジメチコノールおよびアミノシランを混合し、加水分解・縮合反応を行うことで、シリコーンゲルを粉体粒子表面に析出させた後、加熱することで粒子表面に架橋生成物を固着する方法であってもよい。加水分解・縮合反応の際には水性溶媒を用いることが好ましく、水性溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコールおよびこれらの混合溶媒が挙げられる。好ましくは、水性溶媒は水である。また、加水分解・縮合反応の際の温度は、例えば、5〜60℃であることが好ましく、15〜30℃であることがより好ましい。また、加水分解・縮合反応後の加熱における加熱条件は適宜設定されるが、例えば、100〜180℃で3時間以上である。また、被処理粉体と、架橋生成物との混合質量比は、例えば、被処理粉体:架橋生成物=99.99〜0.01〜70:30であり、99:1〜90:10である。
成分(C)は、なめらかな使用感が得られることから、板状粉体であることが好ましい。ここでジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物による被覆は粉体形状に影響をほぼ与えないため、ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物処理粉体が板状粉体であるとは、ジメチコノールおよびアミノシランの架橋生成物被処理粉体が板状であることを指す。板状粉体としては、具体的にはマイカ、セリサイト、タルク、板状硫酸バリウム、板状硫酸カルシウム等の無機板状粉体、およびこれらの板状粉体に被覆処理を施した複合粉体(酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、二酸化珪素・酸化チタン被覆マイカなど)などが好ましく、特にトレやなめらかな使用感の観点からマイカ、タルクが好ましい。板状粉体はその形状に依存して層状に粉体が重なり合う構造をとるため、耐衝撃性が低下する傾向にあるが、本実施形態の構成によれば、板状粉体を含有することによるなめらかな使用感を維持したまま、耐衝撃性を向上させることができる。
成分(C)の含有量は特に限定されるものではないが、化粧料に対して合計で0.5〜20質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましく、3〜8質量%であることがさらに好ましい。
(成分(D):ワックス)
本実施形態においては、さらに成分(D)としてワックスを含むことが好ましい。成分(D)をさらに含むことで、耐衝撃性がさらに向上する。
ワックスとしては、特に制限されるものではないが、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、水添マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ビーズワックス、ミツロウ、モクロウ、ゲイロウ、ジロウ、モンタンワックス、オゾケライトワックス、ライスワックスなどが挙げられる。
成分(D)は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
成分(D)の含有量は、特に限定されるものではないが、耐衝撃性の観点から、化粧料に対して0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、0.8質量%以上であることがさらに好ましい。また、とれ、なめらかな使用感を向上させ、ケーキングを抑制する観点からは、化粧料に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1.5質量%以下であることがさらに好ましく、1.2質量%以下であることが特に好ましい。
(その他の粉体)
本実施形態の固形粉末化粧料は、感触調整などの観点から、成分(A)および成分(C)以外の粉体を含んでいてもよい。
粉体としては、板状、紡錘状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級などの粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、有色顔料類、複合粉体類、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などが挙げられる。
無機粉体類としては、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化鉄、雲母(マイカ)、合成雲母、セリサイト、合成セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、シリカなどが挙げられる。
光輝性粉体類としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄処理雲母、酸化鉄処理雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、二酸化珪素・酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、アルミニウムパウダーなどが挙げられる。
有機粉体類としては、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ラウリン酸マグネシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム等の金属石鹸粉体、N−アシルリジン、ナイロン、ポリメチルシルセスキオキサン、架橋型オルガノポリシロキサン重合体、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸エステル、ポリメタクリル酸メチルとポリイソプレンの複合体、ポリアクリル酸エステル、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリテトラフルオロエチレンなどが挙げられる。架橋型オルガノポリシロキサン重合体としては、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルポリシロキサン、(ジメチコン/フェニルジメチコン)クロスポリマーなどの部分架橋型メチルフェニルポリシロキサン、ジメチコンコポリオールクロスポリマーなどの部分架橋型ポリエーテル変性シリコーン、部分架橋型アルキル変性シリコーン、(ラウリルジメチコン・PEG)クロスポリマーなどの部分架橋型アルキル・ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられ、例えば、INCI名称で、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/フェニルビニルジメチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ビニルジメチコン/メチコン)クロスポリマー、(ジメチコン/ラウリルジメチコン)クロスポリマー、(ジフェニルジメチコン/ビニルジフェニルジメチコン/シルセスキオキサン)クロスポリマー、(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン)クロスポリマー等が挙げられる。なお、架橋型オルガノポリシロキサン重合体は、架橋型オルガノポリシロキサン重合体と溶媒とからなるシリコーンゲルの状態で化粧料に含有させてもよい。このようなシリコーンゲルは市販品を使用することができ、例えば、KSG−18A、KSG−16、KSG−15AP(以上、信越シリコーン社製)、エラストマーブレンドDC9045(東レ・ダウコーニング社製)などを挙げることができる。
有色顔料類としては、赤色酸化鉄(ベンガラ)、水酸化鉄、チタン酸鉄等の無機赤色顔料、γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄色酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒色酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をアルミニウムなどでレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、およびこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体などが挙げられる。タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号などが挙げられる。
複合粉体類としては、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、二酸化珪素・酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆ガラス末、酸化鉄酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素、硫酸バリウム被覆雲母チタンなどが挙げられる。
粉体は、1種または2種以上の表面処理剤を用いて表面処理を施してもよい。表面処理としては、シリコーン処理、トリアルコキシアルキルシラン処理、アルキルチタネート処理、油剤処理、フッ素化合物処理、リン脂質処理、脂肪酸処理などが挙げられる。
シリコーン処理におけるシリコーンとしては、例えば、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の鎖状シリコーン類、シリコーンリン酸トリエステル、アモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン等の変性シリコーン類、トリメチルシロキシケイ酸やアクリレートシリコーン等のシリコーン樹脂類、シリコーンゴム類、部分又は全架橋オルガノポリシロキサン類、各種シリル化剤類などが挙げられる。
トリアルコキシアルキルシラン処理におけるトリアルコキシアルキルシランは、ケイ素原子に三つのアルコキシ基と一つのアルキル基が結合した化合物であり、該アルコキシ基が粉体表面の水酸基等と反応することにより、粉体表面を化学的に被覆する化合物である。該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルコキシ基は、炭素数1〜3であるメトキシ、エトキシ、プロポキシ等が好ましい。また、該トリアルコキシアルキルシランにおける、アルキル基は、炭素数6〜18のアルキル基であるヘキシル基、オクチル基、デシル基、オクタデシル基等が好ましい。このようなトリアルコキシアルキルシランは、例えば、トリメトキシヘキシルシラン、トリメトキシオクチルシラン、トリメトキシデシルシラン、トリメトキシオクタデシルシラン、トリエトキシヘキシルシラン、トリエトキシオクチルシラン(トリエトキシカプリリルシラン)、トリエトキシデシルシラン、トリエトキシオクタデシルシランなどが挙げられる。
アルキルチタネート処理におけるアルキルチタネートとしては、例えば、長鎖カルボン酸型、ピロリン酸型、亜リン酸型、アミノ酸型等のアルキルチタネートが挙げられる。具体的には、長鎖カルボン酸型のアルキルチタネートとして、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられ、ピロリン酸型アルキルチタネートとして、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等が挙げられ、亜リン酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルピロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられ、アミノ酸型アルキルチタネートとして、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネートなどが挙げられる。
フッ素化合物処理におけるフッ素化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸およびこの塩、パーフルオロポリエーテル、フルオロアルコキシシラン、パーフルオロアルキルアルコキシシラン(例えば、パーフルオロオクチルトリエトキシシラン)、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸およびこの塩、パーフルオロアルキルシランなどが挙げられる。
油剤処理における油剤としては、例えば、ポリイソブチレン、ワックス、高級脂肪酸、高級アルコールなどが挙げられる。
処理量は粉体に対して0.5〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%のである。
(油性成分)
本実施形態の固形粉末化粧料は、感触調整などの観点から、ワックス以外の油性成分を含んでいてもよい。
油性成分としては、液状油、固形油などが挙げられる。
液状油とは25℃で液状の(流動性を有する)油を指す。液状油としては、具体的には、イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、スクワラン、スクワレン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、ポリイソブチレン、水添ポリイソブテン等の炭化水素類、アブラナ種子油、アボカド油、アルモンド油、アンズ核油、エゴマ油、オレンジ油、オリーブ油、キウイ種子油、ゴマ油、小麦胚芽油、米胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、セージ油、大豆油、チャ種子油、トウモロコシ油、ナタネ油、月見草油、ツバキ油、パーシック油、ハトムギ油、ピーナッツ油、ひまわり油、ブドウ種子油、メドウフォーム油、ローズマリー油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、ラベンダー油、ローズヒップ油、ミンク油等の動植物油;トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、2−エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル(デカイソステアリン酸ポリグリセリル−10)、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリトリット、炭酸ジアルキル、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物等のエステル類;オレイン酸、イソステアリン酸等の脂肪酸類;オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール、2−デシルテトラデカノール、イソステアリルアルコール、2−ヘキシルデカノール等の高級アルコール類;ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルトリメチコン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラトリフロロプロピルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルペンタトリフロロプロピルシクロペンタシロキサン、ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性メチルポリシロキサン、ポリビニルピロリドン変性メチルポリシロキサン等のシリコーン油類;パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類;酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類;パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、サリチル酸エチルヘキシル等の液状の紫外線吸収剤等が挙げられる。
ワックス以外の固形油としては、カカオ脂、シアバター、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、硬化ヤシ油、ワセリン、モノステアリン酸硬化ヒマシ油、モノヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリトリット脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−ジ(オクチルドデシル/コレステリル/ベヘニル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)等のペースト状の油剤;ステアリン酸、ベヘン酸、パルミチン酸セチル、ジステアリン酸ポリエチレングリコール、トリベヘン酸グリセリル、コレステロール、フィトステロール、ステアリル変性ポリシロキサン、硬化油、パーム油等の固形状の油剤が挙げられる。
油性成分は1種単独で用いても2種以上併用してもよい。
(任意成分)
本実施形態の固形粉末化粧料は、上記成分の他、通常化粧料に使用される油性ゲル化剤、高級アルコール、界面活性剤、高分子、紫外線吸収剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止剤、香料、アルコール類、美容成分等を本発明の効果を妨げない範囲で適宜含有することができる。
油性ゲル化剤としては、化粧料に通常用いられるものであれば特に限定されないが、糖脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、金属石鹸、有機変性粘土鉱物、アミノ酸系ゲル化剤、グリセリンオリゴエステルなどが挙げられる。
界面活性剤としては、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ポリ12−ヒドロキシステアリン酸、脂肪酸石鹸類、アシルグルタミン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレン付加アルキルリン酸塩等の陰イオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物(例えば、トリイソステアリン酸ジグリセリル)、プロピレングリコール脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ソルビタン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、蔗糖脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、グリセリン変性オルガノポリシロキサン、水素添加レシチン、シリコーン系界面活性剤等の非イオン性界面活性剤などが挙げられる。
高分子としては、カラギーナン、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(PEG−240/デシルテトラデセス−20/HDI)コポリマーなどの水溶性高分子:テルペン系樹脂、シリコーン樹脂(例えば、アクリルポリマーおよびジメチルポリシロキサンのグラフト共重合体(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー(INCI名))、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(アクリレーツコポリマー(INCI名))、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン)、炭化水素樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ロジン系樹脂(例えば、ロジン酸ペンタエリスリチル、水添ロジン酸ペンタエリスリチル、水添アビエチン酸グリセリル)、アクリル系樹脂(例えば、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル、アクリル酸/アクリル酸アルキル共重合体、アクリル酸アルキル/酢酸ビニル共重合体)などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ケイ皮酸誘導体、アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、フェニルベンゾイミダゾール誘導体、フェニルベンゾトリアゾール誘導体、シリコーン誘導体などが挙げられる。具体的には、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、オクトクリレン、ポリシリコン−15、t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルトリアゾン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、オキシベンゾン、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、ホモサレート、サリチル酸エチルへキシルなどが挙げられる。
防腐剤としては、パラオキシ安息香酸誘導体(例えば、メチルパラベン)、フェノキシエタノール、アルカンジオール(例えば、1,2−ヘキサンジオール)、デヒドロ酢酸ナトリウム、ジプロピレングリコールなどが挙げられる。
酸化防止剤としては、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられる。
アルコール類としてはエタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、マルチトール、グルコシルトレハロース等の多価アルコールが挙げられる。
美容成分としては、ビタミンEおよびその酢酸エステルなどのビタミンE誘導体;ステアリン酸アスコルビル、L−アスコルビン酸2−グルコシド、パルミチン酸アスコルビル、テトライソパルミチン酸アスコルビル、テトラヘキシルデカン酸アスコルビル、酢酸アスコルビル等の油溶性アスコルビン酸誘導体;ローズマリーエキス、アロエエキス、カミツレエキス、緑茶抽出液、コラーゲン、ヒアルロン酸(塩)、セラミドなどが挙げられる。
本実施形態の固形粉末化粧料は、特に限定されないが、ファンデーション、下地、アイカラー、アイライナー、頬紅、白粉、コンシーラー、アイブロウ等のメーキャップ化粧料に好適に用いられるが、本発明の効果が顕著に発揮される化粧料は、ファンデーション、下地、コンシーラーなどのメーキャップ化粧料である。
本実施形態の固形粉末化粧料の製造方法は、特に限定されず、例えば、化粧料基材を金皿等の容器に充填し圧縮する乾式製法、化粧料基材を溶媒と混合したものを容器に充填した後溶媒を除去する湿式製法が挙げられる。
溶媒を用いて成型する湿式製法(スラリー剤型とも言われる)においては、溶媒が除去された後に溶媒分の空隙が残ることで独特の使用感が得られる一方で、空隙が存在することで粉体同士の結着性が低下し耐衝撃性が低下しやすい。本発明の固形粉末化粧料はこのような湿式製法で製造した場合であっても、高い耐衝撃性を得ることができる。
湿式製法に用いられる溶媒としては、常圧における沸点が260℃以下の揮発性化合物が好ましく、具体的には、水;エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールのような低沸点アルコール;イソドデカン、イソヘキサデカン、軽質流動イソパラフィン等の低沸点炭化水素油;低重合度のジメチルポリシロキサン、メチルトリメチコン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の低沸点の鎖状もしくは環状シリコーン油;低沸点パーフルオロポリエーテル等の低沸点フッ素化合物等が挙げられる。これらの溶媒は単独もしくは二種以上の混合物として用いることができる。
中でも、本発明の効果がより発揮されることから、湿式製法における溶媒は水性溶媒であることが好ましい。すなわち、本発明の好適な形態は、成分(A)〜(C)、場合により成分(D)および水性溶媒を混合した混合物を成型した後、該水性溶媒を除去して得られる、固形粉末化粧料である。成分(A)が表面処理により疎水性となっているため、水性溶媒を用いることで、粉体が凝集体となり、油性溶媒を用いた場合や乾式製法とは異なる感触の化粧料が得られる。湿式製法において、本発明の効果が奏される詳細なメカニズムは不明であるが、水性溶媒中に成分(B)である糖高分子が溶解し、粉体間の隅々まで水性溶媒が行きわたることで、成分(B)を介する粉体同士の結着がより強固になると同時に、分岐鎖を有する成分(B)によるとれ向上の効果が一層発揮されると考えられる。
なお、湿式製法においては、流動性のあるスラリー状態の化粧基剤が容器に充填され、充填時に化粧料基剤が流動することで、流動方向に板状粉体が配向するという構造を有する傾向がある。特に表面付近の板状粉体は表面に対して平行に配向する傾向が強く、湿式製法で成型された固形粉末化粧料は、板状粉体が成型品の上面に規則的に並んだ状態となる。乾式法により成型された固形粉末化粧料は、板状粉体の向きがランダムになると考えられる。そのため、それぞれの成型法で、例えばパール感のある板状粉体を同量用いた場合には、湿式法では表面の輝きがより多く、乾式法では表面がよりマットな仕上がりになると考えられ、製造方法により得られる化粧料の構造も異なるものと考えられる。
溶媒を混合する前の化粧料基材の製造方法は特に限定されず、例えば、成分(A)〜成分(C)およびその他の粉体をヘンシェルミキサー等で混合分散し、必要に応じて、油剤等をさらに混合する方法等が挙げられる。
水性溶媒とは、水を必須とし、好ましくは溶媒中50質量%以上(上限100質量%)が水であり、より好ましくは75質量%以上(上限100質量%)、さらに好ましくは85質量%以上(上限100質量%)、特に好ましくは95質量%以上(上限100質量%)が水である溶媒を指す。水性溶媒に含まれうるその他の溶媒としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノールのような低沸点アルコールなどが挙げられる。
水性溶媒の混合量は、成型前の混合物を容器又は中皿に充填するために、流動性を付与する程度に任意に選択されるが、化粧料基材100質量部に対して溶媒10〜150質量部を用いることが好ましく、40〜120質量部用いることがより好ましい。この範囲であれば、溶媒の除去が良好である。
溶媒除去方法としては、特に限定されないが、成型したスラリー状組成物を20〜80℃で乾燥することが好ましい。乾燥時間は、水性溶媒の種類や乾燥温度により異なるが、5時間〜30時間である。乾燥前に表面に吸い取り紙を置き、加圧して溶媒の一部を除去してもよい。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いる場合があるが、特に断りがない限り、「質量部」あるいは「質量%」を表す。また、特記しない限り、各操作は、室温(25℃)で行われる。
製造例1:(ジメチコノール/アミノシラン=100/10(質量比))5%表面被覆マイカ
特開2016−216424号公報の製造例1と同様にしてジメチコノールの水エマルジョンを得た。具体的には以下のとおりである。容量2リットルのポリエチレンビーカーにオクタメチルシクロテトラシロキサン450gとイオン交換水500g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム6.75gを仕込み、ホモミキサー撹拌2,000rpmにより予備混合した後、クエン酸4gを添加して、70℃に昇温してホモミキサー5000rpmにより24時間乳化重合した。卓上加圧ホモジナイザー(APVゴーリン製)で50MPaにて1回乳化分散した。次いで10%炭酸ナトリウムを加えてpH7に調整してジメチコノールの水エマルジョン(1)を得た(固形分45.0%、固形分分子量100,000)。
容量20リットルのPE製容器に、水7LとY−2300(ヤマグチマイカ社製)1kgを仕込み、ディスパーミキサー(プライムミクス社;AM−40)にて2000rpmで5分間分散した。前記の水エマルジョン(1)103gを添加して2500rpmにて5分間攪拌した。次いで、架橋剤としてアミノプロピルトリエトキシシラン(KBE−903;信越化学工業社製)5質量%水溶液を96g添加した。1N−NaOH水溶液にてpHを10.3に調整した後、3000rpmにて30分間攪拌反応させた。遠心脱水機にてろ過して7Lの水にて洗浄した後、脱水ケーキを乾燥機中120℃にて16時間乾燥した。この時ケーキ中に温度センサーを挿入して温度を記録したところ、115℃以上で7時間加熱されていた。乾燥したケーキをパルベライザーで粉砕して、5%表面被覆マイカを得た。
製造例2:(ジメチコノール/アミノシラン=100/10(質量比))5%表面被覆タルク
製造例1の粉体をタルクJA−13R(浅田製粉社製)に換えた以外は、製造例1に準じて5%表面被覆タルクを得た。
実施例1〜11、比較例1〜5:固形状ファンデーション
下記表1に示す処方のファンデーションを調製した。
(製造方法)
A.成分12〜15を75℃に加熱し、均一混合する。
B.成分1〜11をスーパーミキサーで均一混合する。
C.Bを攪拌しながら、Aを添加し、均一分散して化粧料基材を得る。
D.Cの化粧料基材100部に対して、精製水100部を添加し、均一に混合し、スラリー状とする。
E.Dを金皿に充填し、表面に吸い取り紙を置き、加圧して精製水の一部を除去する。
F.Eを室温で24時間乾燥し、精製水を完全に除去して、固形状ファンデーションを得た。
評価1:塗布具への付着量の適量性(とれ)
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には各試料を化粧パフに取り、そのパフに付着する試料が多すぎず、少なすぎず適量であるかどうかを評価した。
(評価基準)
(評点):(評価)
3 :非常に良い
2 :良い
1 :普通
0 :悪い
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
評価2:耐衝撃性
各試料についてプラスティック製タイルに65cmの高さから2度落下させた後、その状態を判定した(N=5)。評価は落下後、崩壊の程度を確認し以下の評価基準に従って評価し、各5サンプルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
(評価基準)
(評点):(評価結果)
3 :変化なし
2 :欠けや隙間が僅かに観察される
1 :欠けや隙間がはっきり観察される
0 :抜け、割れが発生
<判定基準>
(評点の平均点) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
評価3:なめらかな使用感
各試料について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記絶対評価にて4段階に評価し、パネル全員の評点合計からその平均値を算出し、下記判定基準により判定した。具体的には、各試料を肌上にウレタン製化粧塗布用マットを用いて塗布し、肌上へ伸ばした際に感じるなめらかな使用感(くいつきがないこと)を評価した。
(絶対基準)
(評点):(評価結果)
3 :非常に感じる
2 :感じる
1 :やや感じる
0 :感じない
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
2.5点以上 : ◎
2点以上2.5点未満: ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : ×
評価4:ケーキング防止効果
各試料について、ウレタン製化粧塗布用マットにて、同一方向に50回繰り返し擦り取り、表面を観察し、油性成分の固まり様(「ケーキング防止効果」)を以下に示す判定基準に従って判定した。
判定基準 :[判定]
固まり様が見られない、変化なし : ◎
固まり様が見られるが使用性に問題なし: ○
固まり様が見られ使用性に問題がある : △
固まり様が見られ使用できない : ×
各評価結果を表1に示す。
上記実施例のパウダーファンデーションは、比較例のパウダーファンデーションと比較して、耐衝撃性が高いとともに、とれおよびなめらかな使用感が向上し、ケーキングを効果的に抑制した。
これに対して、成分(A)を含有していない比較例1は、耐衝撃性が顕著に低下した。成分(C)を含有していない比較例2は、トレが顕著に低下した。成分(B)を含有していない比較例3は、耐衝撃性が顕著に低下した。成分(B)を含有せず、直鎖状の糖である結晶セルロースを含有した比較例4は、耐衝撃性が顕著に低下した。また、成分(B)を含有せず、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを含有した比較例5は、トレが顕著に低下した。これは、ヒドロキシプロピルセルロースは水溶性であるために、粉体同士の結合性を有効に高めることができる一方で、直鎖状であるために結合の自由度が減少し、化粧品が硬く固まっている状態になったためと考えられる。
(実施例12 ファンデーション)
成分 (質量%)
(1)ミリスチン酸マグネシウム処理硫酸バリウム*1 25
(2)イソステアリン酸亜鉛処理酸化チタン被覆マイカ*7 15
(3)グリコーゲン*2 0.1
(4)製造例1に記載の表面処理マイカ 10
(5)タルク 10
(6)架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体*8 2
(7)合成ワックス 1
(8)シリコーン処理マイカ 残量
(9)顔料混合物*6 14
(10)ミツロウ 1.5
(11)流動パラフィン 4
(12)ジメチルポリシロキサン 1
(13)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5
(14)マイカイカエキス 0.01
(15)冬虫夏草エキス 0.01
(16)加水分解コラーゲン 0.04
(17)ポリメタクロイルオキシエチルホスホリルコリン液 0.03
(18)エイジツエキス 0.01
(19)トゲナシエキス 0.02
(20)ユリエキス 0.03
(21)グレープシードオイル 0.02
(22)ローズヒップ油 0.05
(23)クロルヒドロキシアルミニウム 0.1
(24)アスコルビン酸 0.01
*7:MTZE−07EX(テイカ社製)
*8:KSP−100(信越化学工業社製)
(製造方法)
A.成分(1)〜(9)をスーパーミキサーで均一に混合する。
B.成分(10)〜(24)を75℃で均一に加熱溶解する。
C.AにBを添加し、均一分散する。
D.Cを金皿に充填し、圧縮成型し、ファンデーションを得た。
(評価)
実施例12のファンデーションは、耐衝撃性に優れながらも、ケーキングが抑制され、化粧料のとれが良好であり、なめらかな使用感を有する優れたものであった。