JP2016113446A - 固形粉末化粧料 - Google Patents
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Description
しかしながら、従来の固形粉末化粧料は、しっとり感等と落下衝撃耐性等が十分に両立できておらず、しっとり感等を重視して油性成分を多くすると落下衝撃耐性等が低下し、落下衝撃耐性等を重視して油性成分を少なくするとしっとり感等が低下する問題が生じていた。
前記ポリエチレン粉末の平均粒子径は、5〜30μmが好ましい。
前記ポリエチレン粉末の摩擦係数は、0.1〜0.3が好ましい。
前記ポリエチレン粉末の破断点抗張力は、40〜50MPaが好ましい。
前記ポリエチレン粉末の破断点伸びは、300〜400が好ましい。
前記シリコーン油の粘度は、25℃で1000mPa・s以下が好ましい。
また、本発明の固形粉末化粧料は、
(A)(i)ポリエチレン粉末5〜35質量部と、
(ii)該ポリエチレン粉末を除く粉末成分30〜75質量部と、
(iii)油性成分25〜45質量部と、
(iv)前記(i)〜(iii)に対する溶媒としてのシリコーン油
を添加しスラリーとする工程、
(B)該スラリーを容器に充填する工程、及び
(C)該充填物の溶媒及び油性成分を一部除去する工程
を含む方法で製造される。
本明細書に記載の固形粉末化粧料は、(a)ポリエチレン粉末3〜35質量%と、(b)該ポリエチレン粉末を除く粉末成分20〜62質量%と、(c)シリコーン油を含む油性成分35〜45質量%と、を含有するものである。
ポリエチレン粉末(以下、PE粉末ということがある。)は、固形粉末化粧料に3〜35質量%含有される。好ましくは、7〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%含有される。
3〜35質量%の範囲であれば、しっとり感、滑らかな伸びに優れ、充填時の溶媒及び油性成分の除去効率が良く、成形後の落下衝撃耐性にも優れる固形粉末化粧料を得ることができる。
前記平均粒子径、前記摩擦係数の範囲内であると、固形粉末化粧料を肌に適用したときに、滑らかに伸び広がり、使用感がよい。
前記破断点抗張力、前記破断点伸びの範囲内であると、固形粉末化粧料を肌に適用したときに、しっとり感(保湿感)が得られ、使用感がよい。また、充填時の溶媒及び油性成分の除去効率がよくなり、成形性が向上する。
前記(a)のポリエチレン粉末を除く粉末成分は、固形粉末化粧料に20〜62質量%含有される。好ましくは40〜60質量%、より好ましくは50〜60質量%含有される。
ポリエチレン粉末を除く粉末成分が20質量%未満だと、落下時にヨレ等が生じてしまい成形性不良となることがあり、62質量%を超えると肌に適用したときに、しっとり感(保湿感)が得られなくなることがある。
本明細書に記載の固形粉末化粧料において、油性成分は、シリコーン油を含んで35〜45質量%含有される。好ましくは37〜43質量%、より好ましくは39〜41質量%含有される。
油性成分が35質量%未満だと、肌に適用したときに、しっとり感(保湿感)が得られなくなることがあり、45質量%を超えると落下時にヨレ等が生じてしまい成形性不良となることがある。
本明細書に記載の固形粉末化粧料は、
(A)(i)ポリエチレン粉末5〜35質量部と、
(ii)該ポリエチレン粉末を除く粉末成分30〜75質量部と、
(iii)油性成分25〜45質量部と、
(iv)前記(i)〜(iii)に対する溶媒としてのシリコーン油
を添加しスラリーとする工程、
(B)該スラリーを容器に充填する工程、及び
(C)該充填物の溶媒及び油性成分を一部除去する工程
を含む方法で製造される。
前記(i)〜(iv)の成分の混合方法は、特に限定されないが、好ましくは(i)ポリエチレン粉末と(ii)その他の粉末成分とをミキサー等で均一に混合し分散させる。一方、(iii)油性成分を混合しておき、(i)と(ii)の粉体混合物と、(iii)の油性成分の混合物とをミキサー等で混合する。
ここで、(iii)の油性成分には、シリコーン油を含めても含めなくてもよいが、その後、後述する溶媒として(iv)のシリコーン油を混合するとき、相溶性が良く、混ざりやすくなるため、例えば、5〜15質量部程度のシリコーン油を含めてもよい。 次に、(i)〜(iii)の混合物に、溶媒として、更にシリコーン油を好ましくは10〜100質量部均一に混合する。
シリコーン油は、本明細書に記載の固形粉末化粧料の製造時に溶媒として用いられる。後述の製造方法における容器充填成形時に、余分なシリコーン油が、吸い取り等の除去工程により除去される。シリコーン油を溶媒として用い、粉末に前記ポリエチレン粉末を含有させることにより、シリコーン油とポリエチレン粉末との相溶性の悪さに起因して、吸い取り等の工程で十分に適度にシリコーン油を除去することができると考えられ、充填成形性(充填時の溶媒及び油性成分の除去効率、成形後の固形粉末化粧料の固さ(以下、落下衝撃耐性ということがある。))を向上させることができる。溶媒及び油性成分の除去効率が良いと、ファンデーション用等の大きな容器や、特異的な形状(湾曲型等)をしているメーキャップ用等の容器への充填が容易となる。
成形後の固形粉末化粧料は、シリコーン油を含有する油剤を高配合しているため、しっとり感、滑らかな伸び広がりが得られ、落下衝撃耐性にも優れる。
前記工程(A)で得られた混合物を任意の容器、例えば金皿、樹脂皿等に充填する(工程(B))。充填後、好ましくは圧縮成形する。充填された混合物から溶媒及び油性成分を一部除去する(工程(C))。除去する方法は、特に限定されないが、圧縮成形時及び/又は圧縮成形後に、紙や布等を1層又は2層以上、容器に充填した粉末化粧料に接するように配置し、シリコーン油等を吸い取らせる等の方法で除去する。吸い取らせるときに適度に加圧してもよい。粉体中に特定量含まれるポリエチレン粒子と、溶媒としてのシリコーン油との組合せにより、従来よりも多くかつ適度に溶媒及び油性成分を除去することができる。
圧縮成形時の圧力の大きさは、一般的に化粧品を圧縮成形するときにかける圧力でよく、圧縮成形後、40〜90℃で加熱乾燥する工程を加えてもよい。
(式1)溶媒及び油性成分の除去率(質量%)=(充填前質量−充填後質量)/(充填前質量中の溶媒及び油性成分質量)×100
表1に示す組成で、以下に示す手順に従って、実施例1〜8及び比較例1〜5の固形粉末化粧料(アイカラー)を製造した。
(1)成分1〜13をスーパーミキサー(三井三池社製)で均一に分散する。
(2)成分14〜17を均一に混合する。
(3)上記(1)及び(2)で得た混合物を、プラネタリーミキサー(ミズホ社製)にて均一に混合する。
(4)上記(3)で得た混合物に成分18〜23を加え均一に混合する。
(5)上記(4)で得た混合物を金皿(2.2cm×2.2cm)に2.0gを乗せ、プレス圧2.0kg、プレス時間4秒、紙4枚を用いて充填した後、70℃で10時間乾燥し、アイカラーを得る。
(溶媒及び油性成分の除去効率)
以下の式にて溶媒及び油性成分の除去率を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(式1)溶媒及び油性成分の除去率(質量%)=(充填前質量−充填後質量)/(充填前質量中の溶媒及び油性成分質量)×100
4段階判定基準:
◎:溶媒及び油性成分の除去率が8質量%以上
○:溶媒及び油性成分の除去率が6質量%以上8質量%未満
△:溶媒及び油性成分の除去率が4質量%以上6質量%未満
×:溶媒及び油性成分の除去率が4質量%未満
前記アイカラーを50cmの高さから落とした時の状態を下記4段階判定基準により判定した。
◎:変化無し
○:若干のよれ、割れ、浮きが生じるが問題なし
△:よれ、割れ、浮きが生じ、問題あり。
×:著しいよれ、割れ、浮きが生じ、問題あり。
専門パネル員20名により、前記アイカラーを使用し、「しっとり感」、「なめらかな伸び」、についてパネル各人が下記絶対評価にて6段階に評価し評点を付け、アイカラーごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
・絶対評価基準
(評点):(評価)
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点不良
・4段階判定基準
(判定):(評点の平均点)
◎:5点を超える:非常に良好
○:3点を超える5点以下:良好
△:1点を超える3点以下:やや不良
×:1点以下:不良
一方、弾性球状ポリエチレン粉末の代わりに球状シリコーンを配合した比較例1では、なめらかな伸び広がり、しっとり感において、及び落下衝撃耐性、溶媒及び油性成分の除去効率において、満足のいくものが得られなかった。弾性球状ポリエチレン粉末の代わりに球状ウレタン粒子を配合した比較例2では、なめらかな伸び広がり、しっとり感、及び落下衝撃耐性において、満足のいくものが得られなかった。弾性球状ポリエチレン粉末の代わりに球状ナイロン粒子を配合した比較例3、及び球状PMMAを配合した比較例4では、なめらかな伸び広がり、しっとり感において、満足のいくものが得られなかった。また、弾性球状ポリエチレン粉末を配合しない比較例5では、なめらかな伸び広がり、しっとり感において、満足のいくものが得られなかった。
(成分) (質量部)
1.セリサイト 10.0
2.弾性球状ポリエチレン粉末 (注1) 15.0
3.タルク 31.74
4.無水ケイ酸 5.0
5.酸化チタン 5.0
6.酸化亜鉛 2.0
7.赤酸化鉄 0.3
8.黄色酸化鉄 0.8
9.黒酸化鉄 0.1
10.セラミド 0.01
11.ヒアルロン酸 0.05
12.メチルフェニルポリシロキサン 10.0
13.合成炭化水素ワックス 3.0
14.リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
15.2−エチルヘキサン酸セチル 15.0
(1)成分1〜11をスーパーミキサーで均一に分散する。
(2)成分12〜15を均一に混合する。
(3)前記(2)の混合物に前記(1)の混合物を加え均一に攪拌混合したもの100質量部に、溶媒としてジメチルポリシロキサン(100mPa・S)20質量部を加え、均一に混合する。
(4)前記(3)の混合物を金皿に充填し、溶媒及び油性成分を吸取りながら圧縮成形しファンデーションを得た。
(成分) (質量部)
1.セリサイト 20.0
2.弾性球状ポリエチレン粉末 (注1) 15.0
3.タルク 24.28
4.ラウリン酸亜鉛処理セリサイト 10.0
5.赤酸化鉄 0.15
6.黄色酸化鉄 0.5
7.黒酸化鉄 0.01
8.フィトステロール 0.01
9.ラウロイルグルタミン酸ジ
(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル) 0.05
10.メチルフェニルポリシロキサン 10.0
11.合成炭化水素ワックス 3.0
12.リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
13.2−エチルヘキサン酸セチル 15.0
(1)成分1〜7をスーパーミキサーで均一に分散する。
(2)成分8〜13を均一に混合する。
(3)前記(2)の混合物に前記(1)の混合物を加え均一に攪拌混合したもの100質量部に、溶媒としてジメチルポリシロキサン(10mPa・S)20質量部を加え、均一に混合する。
(4)前記(3)の混合物を金皿に充填し、溶媒及び油性成分を吸取りながら圧縮成形した後、70℃で10時間乾燥しフェイスパウダーを得た。
(成分) (質量部)
1.セリサイト 20.0
2.弾性球状ポリエチレン粉末 (注1) 15.0
3.タルク 16.99
4.酸化チタン 5.0
5.酸化亜鉛 2.0
6.赤酸化鉄 2.0
7.黄色酸化鉄 6.0
8.黒酸化鉄 3.0
9.メチルフェニルポリシロキサン 10.0
10.合成炭化水素ワックス 3.0
11.リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
12.2−エチルヘキサン酸セチル 15.0
13.ホホバ油 0.01
(1)成分1〜8をスーパーミキサーで均一に分散する。
(2)成分9〜13を均一に混合する。
(3)前記(2)の混合物に前記(1)の混合物を加え均一に攪拌混合したもの100質量部に、溶媒としてジメチルポリシロキサン(1000mPa・S)20質量部を加え、均一に混合する。
(4)前記(3)の混合物を金皿に充填し、溶媒及び油性成分を吸取りながら圧縮成形した後、70℃で10時間乾燥しアイブロウを得た。
(成分) (質量部)
1.セリサイト 41.8
2.弾性球状ポリエチレン粉末 (注1) 15.0
3.酸化亜鉛 2.0
4.赤色226号 0.4
5.赤酸化鉄 0.3
6.黄色酸化鉄 0.3
7.黒酸化鉄 0.1
8.赤酸化鉄被雲母チタン 7.0
9.黒酸化鉄被雲母チタン 3.0
10.メチルフェニルポリシロキサン 10.0
11.合成炭化水素ワックス 3.0
12.リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
13.2−エチルヘキサン酸セチル 15.0
14.ジリノール酸ジ(フィトステリル/
イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル) 0.05
15.マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル 0.05
(1)成分1〜9をスーパーミキサーで均一に分散する。
(2)成分10〜15を均一に混合する。
(3)前記(2)の混合物に前記(1)の混合物を加え均一に攪拌混合したもの100質量部に、溶媒としてジメチルポリシロキサン(10mPa・S)20質量部を加え、均一に混合する。
(4)前記(3)の混合物を金皿に充填、圧縮成形した後、70℃で10時間乾燥し頬紅を得た。
(成分) (質量部)
1.無水ケイ酸 5.0
2.黒酸化鉄被雲母チタン 30.0
3.黒酸化鉄 10.0
4.セリサイト 7.68
5.弾性球状ポリエチレン粉末 (注1) 15.0
6.酸化亜鉛 2.0
7.メチルパラベン 0.3
8.メチルフェニルポリシロキサン 10.0
9.合成炭化水素ワックス 3.0
10.リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
11.2−エチルヘキサン酸セチル 15.0
12.トコフェロール 0.01
13.水素添加大豆リン脂質 0.01
(1)成分1〜7をスーパーミキサーで均一に分散する。
(2)成分8〜13を均一に混合する。
(3)前記(2)の混合物に前記(1)の混合物を加え均一に攪拌混合したもの100質量部に、溶媒としてジメチルポリシロキサン(100mPa・S)20質量部を加え、均一に混合する。
(4)前記(3)の混合物を金皿に充填し、溶媒及び油性成分を吸取りながら圧縮成形しアイライナーを得た。
(成分) (質量部)
1.セリサイト 38.9
2.弾性球状PE粉末 (注1) 15.0
3.酸化亜鉛 2.0
4.赤色226号 0.4
5.赤酸化鉄 0.3
6.黄色酸化鉄 0.3
7.黒酸化鉄 0.1
8.赤酸化鉄被雲母チタン 7.0
9.黒酸化鉄被雲母チタン 3.0
10.メチルフェニルポリシロキサン 10.0
11.合成炭化水素ワックス 3.0
12.リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
13.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 15.0
14.(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー (注6) 3.0
注6:KSG−16(信越化学工業社製)
(1)成分1〜9をスーパーミキサーで均一に分散する。
(2)成分10〜14を均一に混合する。
(3)前記(2)の混合物に前記(1)の混合物を加え均一に攪拌混合したもの100質量部に、溶媒としてジメチルポリシロキサン(10mPa・S)20質量部を加え、均一に混合する。
(4)前記(3)の混合物を金皿に充填、圧縮成形し頬紅を得た。
Claims (7)
- ポリエチレン粉末3〜35質量%と、該ポリエチレン粉末を除く粉末成分20〜62質量%と、シリコーン油を含む油性成分35〜45質量%と、を含有する固形粉末化粧料。
- ポリエチレン粉末の平均粒子径が、5〜30μmである、請求項1に記載の固形粉末化粧料。
- ポリエチレン粉末の摩擦係数が、0.1〜0.3である、請求項1又は2に記載の固形粉末化粧料。
- ポリエチレン粉末の破断点抗張力が、40〜50MPaである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
- ポリエチレン粉末の破断点伸びが、300〜400である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
- シリコーン油の粘度が、25℃で1000mPa・s以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の固形粉末化粧料。
- (A)(i)ポリエチレン粉末5〜35質量部と、
(ii)該ポリエチレン粉末を除く粉末成分30〜75質量部と、
(iii)油性成分25〜45質量部と、
(iv)前記(i)〜(iii)に対する溶媒としてのシリコーン油
を添加しスラリーとする工程、
(B)該スラリーを容器に充填する工程、及び
(C)該充填物の溶媒及び油性成分を一部除去する工程
を含む、固形粉末化粧料の製造方法。
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