JP2006282583A - 固形粉末化粧料 - Google Patents
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Abstract
とれ・肌あたり等の使用性が良好で、発色が高く、様々な形に成形が可能で、しかも使用上、充分な強度を有することに優れる固形粉末化粧料を提供する。
【解決手段】
粉体を主成分とする化粧料基材を、揮発性の水性溶媒と混合してスラリー状とし、これを成形した後、溶媒を除去して得られる化粧料において、特定量の、煙霧状無水珪酸、澱粉、水膨潤性粘土鉱物を含有することを特徴とする固形粉末化粧料である。
Description
しかし圧縮成形法は、成形品の形状がケーキ状等の圧縮しやすい形状に限られるという点と、滑らかな使用感やパール剤による審美性等を演出するために、球状や板状の粉体を多量に含有すると、圧縮固化しにくくなり、使用に耐え得る充分な強度が得られないという制約があった。そこで、これらの欠点を解消するために、粘土鉱物等の結合剤を含有する粉体と、水や揮発性有機溶剤を混合したスラリー状組成物を、容器又は充填型に充填し成形後、乾燥して固化させる、スラリー充填法が試みられてきた(例えば、特許文献1、2等)。
一方、食品工業分野では、澱粉は糊剤やゲル化剤として使用されており、水中で加熱することにより糊化することが知られている。この技術を応用した例として、工業分野において、澱粉と水を混合して圧縮成形後、焼成することにより廃棄物等を固化する技術(特許文献3)が知られている。
また、近年の固形粉末化粧料においては、パール剤による審美性にとどまらず、ピラミッド状やドーム状等の立体成形までもが求められており、使用中にその形状を維持したり、落下のような衝撃に対する充分な強度が必要とされている。しかし、従来の膨潤性粘土鉱物を配合したスラリー成形による固形粉末化粧料は、衝撃に弱くもろい性質があり、衝撃に耐え得る強度になると、小道具へのとれが悪いために塗布膜の発色が悪くなったり、また特に、スティック状等で直接肌に塗布する場合には、肌あたりが硬く好ましくない使用感になる場合があった。
従って、様々な形に成形が可能で、使用上、充分な強度を有し、且つ、とれや肌あたり等の使用性が良好で、発色に優れる固形粉末化粧料が望まれていた。
該化粧料基材が、次の成分(a)〜(c);
(a)煙霧状無水珪酸 1〜5質量%、
(b)澱粉 0.5〜7質量%
(c)水膨潤性粘土鉱物 1〜4質量%
を含有し、更に成分(b)と成分(c)の含有量の合計が1.5〜8質量%であり、含有量の比(b)/(c)が0.5〜6であることを特徴とする固形粉末化粧料を提供するものである。
また、該固形粉末化粧料が立体状に成形されていることを特徴とする固形粉末化粧料を提供するものである。
本発明に用いられる成分(a)の煙霧状無水珪酸は、粉体の凝集防止剤として一般に知られているが、水性溶媒を用いたスラリー充填法による固形粉末化粧料においても、適度な崩壊性を与えることでとれを良くし、発色を向上させるものである。具体的には、平均粒径が7−40nmの超微粒子であり、その表面は親水性であることが好ましい。煙霧状無水珪酸の表面が親水性であれば、化粧料基材を水性溶媒と混合してスラリー状とする際に、水性溶媒中で良好な分散性を示し、成分(c)の水膨潤性粘土鉱物と相互作用し、緩和な結合性を示すとともに、乾燥時には水膨潤性粘土鉱物の過度の固化を抑え、適度な崩壊性を付与できる。市販品としては、例えば、AEROSIL 200、300(日本アエロジル社製)等が挙げられる。
本発明の化粧料基材における煙霧状無水珪酸の含有量は、1〜5質量%(以下単に「%」と略す)であり、1%未満であると固形粉末化粧料に充分な崩壊性が得られず、5%を超えると成形時の充分な強度が保てなくなってしまう。1〜5%の範囲であると、固形粉末化粧料のとれが良く、発色に優れるため好ましい。
本発明の化粧料基材における澱粉の含有量は、0.5〜7%であり、0.5%未満であると化粧料基材同士の接着に寄与することができず、固形粉末化粧料がもろくなってしまい、一方、7%を超えると固くなり過ぎて、使用性や感触が悪くなってしまう。0.5〜7%の範囲であると、使用性が良好で、固形粉末化粧料の強度を向上させるため好ましい。
本発明の化粧料基材における水膨潤性粘土鉱物の含有量は、1〜4%であり、1%未満であると固形粉末化粧料に使用上充分な強度を付与することができなくなってしまい、一方、4%を超えると固くなり過ぎて、使用性や感触が悪くなってしまう。1〜4%の範囲であると、良好な強度を保持しつつ、良好な使用性が得られるため好ましい。
本発明の成形方法としては、特に限定されないが、水性溶媒と混合してスラリー状とした化粧料基材を、金皿等の容器に充填し成形するか、又は希望する立体形状にそのまま成形することができる。すなわち、本発明におけるスラリー状とは、一般的なスラリー状より流動性が少なく、立体状に形状を維持できる性状を含むものである。そのため、押し出し成形によりスティック状に成形した固形粉末化粧料や、練り合わせて球状に成形した固形粉末化粧料等を提供することができる。また、本発明における立体状とは、金皿等の容器を用いる場合は、容器内底面から頂点までの高さが3mm以上である、例えばピラミッド状、ドーム状、円錐状等の形状であり、容器を用いない場合は、例えば型抜きや練り上げ等により得られる球状等の自由な形状、円柱や角柱等のスティック状等の形状である。このような立体状に成形することにより、本発明の効果はより顕著となる。
また、本発明において、水性溶媒を用いて化粧料基材を均一なスラリー状にするためには、化粧料基材100質量部に対して水性溶媒40〜100質量部を用いることが好ましい。この量比で形成されたスラリーであれば、様々な形に成形が可能である。
表1及び表2に示す組成のスティック状アイカラーを下記製造方法により調製し、「折れ強度」、「落下強度」、「使用性」、「発色のよさ」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1、表2に示した。
A:成分1〜7をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一に分散する。
B:8〜10を均一に混合する。
C:AにBを添加し、混合する。
D:化粧料基材(成分1〜12)100質量部に対し、水性溶媒として、精製水40質量部とエタノール10質量部を計量する。
E:11、12にDを添加し、均一に膨潤する。
F:CにEを添加して均一に混合し、スラリー状組成物を得る。
G:Fを押出し成形機により、直径1cm、長さ5cmの円柱状に成形し、70℃にて7時間乾燥させてスティック状アイカラーを得た。
上記スティック状アイカラーを30℃の恒温槽にセットし、24時間後に取り出して折れ荷重を測定した。測定は、レオメーターNRM−2002D(不動工業社製)を用いて行った。以上の評価方法により得られた結果から、以下に示す判定基準に従って折れ強度を判定した。
[判定基準]
(折れ荷重値) : (判定)
500以上 : ◎
250〜500 : ○
250以下 : ×
前記本発明品及び比較品のスティック状アイカラーを正立方向(長さ方向)で高さ30cmからベニヤ板上に1〜5回落下させ、その落下毎にスティックの表面を観察し、ヒビや割れの発生を確認し、以下に示す判定基準に従って落下強度を判定した。
[判定基準]
(評点の平均点) : (判定)
5回落下してもヒビや割れ無し : ◎
5回目でヒビや割れが生じる : ○
2〜3回目でヒビや割れが生じる : △
1回目でヒビや割れが生じる : ×
化粧品評価専門パネル20名に、前記発明品及び比較品のスティック状アイカラーを使用してもらい、「使用性」として肌あたり(塗布時の滑らかな伸び広がり)、「発色のよさ」の其々の項目について、各自が以下の評価基準に従って5段階評価しアイカラー毎に評点を付し、更に全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って使用性及び発色のよさを判定した。
[評価基準]
(評価結果) : (評点)
非常に良好 : 5点
良好 : 4点
普通 : 3点
やや不良 : 2点
不良 : 1点
[判定基準]
(評点の平均点) : (判定)
4.5以上 : ◎
3.5以上〜4.5未満 : ○
1.5以上〜3.5未満 : △
1.5未満 : ×
(成分) (%)
1.タルク 12.7
2.セリサイト 5
3.雲母チタン(注1) 60
4.ポリスチレン 3
5.煙霧状無水珪酸(注2) 2
6.トウモロコシデンプン(注3) 3
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
8.シリコーン2%処理赤色226 0.2
9.シリコーン2%処理ベンガラ 0.5
10.シリコーン1%処理黄色酸化鉄 1
11.シリコーン1%処理黒色酸化鉄 0.2
12.ワセリン 1
13.スクワラン 3
14.ジペンタエリトリット脂肪酸エステル 1
15.ジメチルポリシロキサン(50cs) 2
16.α−トコフェロール 0.1
17.ベントナイト(注5) 1.5
18.ジプロピレングリコール 3.5
19.精製水 40
20.アルコール 10
A:成分1〜11をヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で均一分散する。
B:12〜16を均一に混合する。
C:AにBを添加し、混合する。
D:化粧料基材(成分1〜18)100質量部に対し、水性溶媒として、精製水40質量部とエタノール10質量部を計量する。
E:17、18にDを添加し、均一に膨潤する。
F:CにEを添加して均一に混合し、スラリー状組成物を得る。
G:Fを金皿に充填して、70℃にて6時間、乾燥させてケーキ状頬紅を得た。
実施例2のケーキ状頬紅は、使用上充分な強度を保ちつつ、のび・とれ等の使用性が良好で、発色の良さに優れた固形粉末化粧料であった。
Claims (2)
- 粉体を主成分とする化粧料基材を、水性溶媒と混合してスラリー状とし、これを成形した後、揮発性の溶媒を除去して得られる化粧料において、
該化粧料基材が、次の成分(a)〜(c);
(a)煙霧状無水珪酸 1〜5質量%、
(b)澱粉 0.5〜7質量%
(c)水膨潤性粘土鉱物 1〜4質量%
を含有し、更に成分(b)と成分(c)の含有量の合計が1.5〜8質量%であり、含有量の比(b)/(c)が0.5〜6であることを特徴とする固形粉末化粧料。 - 該固形粉末化粧料が立体状に成形されていることを特徴とする請求項1の固形粉末化粧料。
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