JP2019073228A - サスペンションシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 元バルブ対80の閉故障を適正に検出する。【解決手段】 ECU100は、前輪の車高を下降させる場合には、第1元バルブ81を開弁状態、第2元バルブ82を閉弁状態、レベリングバルブ61Fを開弁状態とする第1制御状態に制御する。ECU100は、このとき、油圧センサ90の検出値の変化、および、前輪の車高の変化が検出されなかった場合、第2元バルブ82を閉弁状態から開弁状態に切り替え、そのときに油圧センサ90の検出値の変化、および、前輪の車高の変化が検出された場合に、第1元バルブ81が異常であると判定する。【選択図】 図1

Description

本発明は、車体と車輪保持部材との間に設けた油圧シリンダの油圧により車高を調整する車高調整機能を備えたサスペンションシステムに関する。
従来から、例えば、特許文献1に提案されているように、車体と4輪の車輪保持部材との間に設けた油圧シリンダ(ショックアブソーバ)の油圧を制御して車高を調整するサスペンションシステムが知られている。各輪の油圧シリンダは、個別制御通路を介して作動油給排装置に接続されている。このサスペンションシステムにおいては、個別制御通路を開閉する個別制御バルブおよび作動油給排装置を制御して、各油圧シリンダに作動油を供給することにより車高を上昇させ、各油圧シリンダから作動油を排出させることにより車高を下降させる。
また、各油圧シリンダには、それぞれ、ばね定数の大きい高圧アキュムレータと、ばね定数の小さい低圧アキュムレータとが連通されている。油圧シリンダと低圧アキュムレータとを連通する通路には、両者の連通を許容する状態と遮断する状態とに切り替え可能なばね切替バルブが設けられている。従って、ばね切替バルブの開閉によってホイールレートを切り替えることができる。
このサスペンションシステムにおいては、通常走行時においては、油圧シリンダに高圧アキュムレータと低圧アキュムレータとが連通されて(ばね切替バルブ:開)ホイールレートが小(ソフト)に設定される。また、急旋回時および急加減速時においては、油圧シリンダと低圧アキュムレータとの連通が遮断されて(ばね切替バルブ:閉)ホイールレートが大(ハード)に設定される。尚、ホイールレートとは、ホイール位置におけるばね定数のことであり、車輪の接地荷重の変化とその車輪における車体とホイールセンターとの上下距離の変化(ホイールトラベル)の比、すなわち、単位ホイールトラベルを生じさせるのに必要なその車輪の接地荷重変化量を表す。
特開2008−168861号公報
上記のシステムでは、車高を上昇させる場合、油圧シリンダに作動油を供給することにより油圧シリンダ内の油圧を増加させてピストンロッドを上昇させるが、このとき、低圧アキュムレータおよび高圧アキュムレータにも同時に作動油が供給される。このため、車高を上昇させるために必要となる作動油量が多く、これに伴って、車高を上昇させるために必要な時間が長くなる。
そこで、本願出願人は、油圧シリンダの作動油の給排と、低圧アキュムレータの作動油の給排とを独立して行うことができる新しいサスペンションシステムを考えた。この新しいサスペンションシステムにおいては、個別制御バルブおよびばね切替バルブをバイパスして低圧アキュムレータと作動油給排装置とを連通させるバイパス通路、および、バイパス通路を開閉するバイパスバルブを備えている。従って、バイパスバルブおよびばね切替バルブを閉弁した状態で作動油給排装置から油圧シリンダに作動油を供給することにより、低圧アキュムレータへの作動油の供給を伴わずに車高を上昇させることができる。
このようにして車高を上昇させた状態から、ばね切替バルブを開弁すると、油圧シリンダと低圧アキュムレータとが連通して、両者の差圧によって両者間を作動油が移動して車高が変動してしまう。しかし、この新しいシステムにおいては、車高上昇が完了した後、個別制御バルブおよびばね切替バルブを閉弁させた状態でバイパスバルブを開弁することにより、作動油給排装置から低圧アキュムレータのみに作動油を供給することができる。従って、低圧アキュムレータの油圧を油圧シリンダの油圧と等しくなるまで上昇させておくことによって、それ以降、ばね切替バルブを開弁しても車高が変化しないようにすることができる。
こうしたシステムにおいては、油圧シリンダや低圧アキュムレータの油圧を個々に測定する必要がある。そのために、作動油給排装置から各車輪の油圧シリンダに作動油を供給する共通の通路である給排元通路に元バルブが設けられ、その元バルブよりも下流側(作動給排装置を上流側として考えた場合)に油圧センサが設けられる。
しかし、新たに追加した元バルブの故障検出を適正に行う必要がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、元バルブの故障を適正に検出することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、
車両の左右前後輪のそれぞれにおいて車輪保持部材と車体との間に設けられ、作動油を収容して前記車輪保持部材と前記車体との間の距離変化に合わせて伸縮する油圧シリンダ(20)と、
前記左右前後輪の各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダに連通して油圧系のばねとして機能する第1ガスばね(31)、および、第2ガスばね(32)と、
前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダと前記第2ガスばねとの連通を許容する状態と遮断する状態とに切り替え可能なばね切替バルブ(62)と、
前記各油圧シリンダに対して作動油の供給および排出を行うためのポンプ、および、リザーバタンクを有する作動油給排装置(70)と、
前記作動油給排装置に接続され作動油の流れる流路となる給排元通路、および、前記給排元通路の開閉を行う第1元バルブと第2元バルブとを並列に備えた元バルブ対を有する給排油圧制御回路(54,80)と、
前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダのそれぞれと前記給排元通路とを連通させる作動油の流路である車高調整用通路、および、前記車高調整用通路の開閉を行う車高調整用バルブを有する車高調整用油圧制御回路(51,61)と、
前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記ばね切替バルブおよび前記車高調整用バルブをバイパスして、前記第2ガスばねのそれぞれと前記給排元通路とを連通させる作動油の流路であるバイパス通路、および、前記バイパス通路の開閉を行うバイパスバルブを有する第2ガスばね用油圧制御回路(53,63)と、
前記元バルブ対に対して前記油圧シリンダ側であって、前記バイパスバルブに対して前記元バルブ対側であり前記車高調整用バルブに対して前記元バルブ対側となる作動油の流路に設けられ、前記流路の油圧を検出する油圧センサ(90)と、
車高を上昇方向に調整する場合、前記第1元バルブと前記第2元バルブとを開弁状態に制御するとともに、車高調整対象輪の前記ばね切替バルブおよび前記バイパスバルブを閉弁させた状態で、車高が目標車高に達するまで車高調整対象輪の前記車高調整用バルブを開弁状態に制御して前記作動油給排装置により前記油圧シリンダに作動油を供給し、車高が目標車高に達したときの前記油圧センサにより検出された油圧を記憶し、車高調整対象輪の前記ばね切替バルブおよび前記車高調整用バルブを閉弁させた状態で、車高調整対象輪の前記第2ガスばねの油圧が前記記憶した油圧と等しくなるまで前記バイパスバルブを開弁状態に制御して前記作動油給排装置により前記第2ガスばねに作動油を供給する車高上昇制御手段(10、S20)と、
車高を下降方向に調整する場合、前輪と後輪とで同時に車高調整を行わずに、前輪の車高を下降させる場合には、前記第1元バルブを開弁状態、前記第2元バルブを閉弁状態、前輪の少なくとも前記車高調整用バルブを開弁状態とする第1制御状態(S41)に制御して、前記前輪の前記油圧シリンダの作動油を前記作動油給排装置に戻し、後輪の車高を下降させる場合には、前記第2元バルブを開弁状態、前記第1元バルブを閉弁状態、後輪の少なくとも前記車高調整用バルブを開弁状態とする第2制御状態(S61)に制御して、前記後輪の前記油圧シリンダの作動油を前記作動油給排装置に戻す車高下降制御手段と、
前記車高下降制御手段が前記第1制御状態に制御したときに前記油圧センサの検出値の変化、および、前記前輪の車高の変化が検出されなかった場合、前記第2元バルブを閉弁状態から開弁状態に切り替え、そのときに前記油圧センサの検出値の変化、および、前記前輪の車高の変化が検出された場合に、前記第1元バルブが異常であると判定し(S42,S46,S47,S48)、前記車高下降制御手段が前記第2制御状態に制御したときに前記油圧センサの検出値の変化、および、前記後輪の車高の変化が検出されなかった場合、前記第1元バルブを閉弁状態から開弁状態に切り替え、そのときに前記油圧センサの検出値の変化、および、前記後輪の車高の変化が検出された場合に、前記第2元バルブが異常であると判定する(S62,S66,S67,S68)異常検出手段とを備えたことにある。
本発明においては、車両の左右前後輪のそれぞれにおいて車輪保持部材と車体との間に油圧シリンダが設けられている。この油圧シリンダは、作動油を収容して車輪保持部材と車体との間の距離変化に合わせて伸縮する。
左右前後輪の各油圧シリンダには、油圧シリンダに連通して油圧系のばねとして機能する第1ガスばね、および、第2ガスばねが設けられる。第1ガスばねは、例えば、第1ガス室と、油圧シリンダに連通する第1油室とを区画して備え、油圧シリンダの油圧に応じて第1油室に収容される作動油の量が変化して油圧系のばねとして機能する。第2ガスばねは、例えば、第2ガス室と、油圧シリンダに連通する第2油室とを区画して備え、油圧シリンダの油圧に応じて第2油室に収容される作動油の量が変化して油圧系のばねとして機能する。
この第2ガスばねについては、ばね切替バルブによって、油圧シリンダとの連通を許容する状態と遮断する状態とに切り替えられる。従って、ばね切替バルブが開弁されることによって、油圧シリンダは、第1ガスばねと第2ガスばねとの両方に連通した状態、つまり、ホイールレートが小さく設定された状態(ソフト)となる。また、ばね切替バルブが閉弁されることによって、油圧シリンダは、第1ガスばねと第2ガスばねとのうち、第1ガスばねのみに連通した状態、つまり、ホイールレートが高く設定された状態(ハード)となる。
油圧シリンダに収容される作動油の圧力を調整することによって、その油圧シリンダの設けられている車輪位置の車高を調整することができる。各油圧シリンダにおいては、作動油給排装置および給排油圧制御回路によって作動油の供給および排出が行なわれ、これにより車高が調整される。作動油給排装置は、作動油を油圧シリンダに供給するためのポンプ(高圧源)、および、作動油を油圧シリンダから排出するためのリザーバタンク(低圧源)を有している。
給排油圧制御回路は、作動油給排装置に接続され作動油の流れる流路となる給排元通路、および、給排元通路の開閉を行う元バルブ対を有している。元バルブ対は、第1元バルブと第2元バルブとを並列に備えて構成される。従って、第1元バルブと第2元バルブとにおける何れか一方を開弁状態にすれば、給排元通路は開く。また、第1元バルブと第2元バルブとの両方を開弁状態にしている場合には、何れか一方を開弁状態にしている場合に比べて、給排元通路の通路抵抗を小さくすることができる。以下、元バルブ対の開弁状態とは、第1元バルブと第2元バルブの少なくとも一方が開弁されている状態を表し、元バルブ対の閉弁状態とは、第1元バルブと第2元バルブとの両方が閉弁している状態を表す。
サスペンションシステムは、各油圧シリンダに対応して設けられる、車高調整用油圧制御回路、および、第2ガスばね用油圧制御回路を備えている。車高調整用油圧制御回路は、油圧シリンダのそれぞれと給排元通路とを連通させる作動油の流路である車高調整用通路、および、車高調整用通路の開閉を行う車高調整用バルブを有する。従って、元バルブ対、および、車高調整対象輪の車高調整用バルブを開弁状態にすることで、車高調整対象輪の油圧シリンダの油圧を調整して車高を調整することができる。
第2ガスばね用油圧制御回路は、ばね切替バルブおよび車高調整用バルブをバイパスして、第2ガスばねのそれぞれと給排元通路とを連通させる作動油の流路であるバイパス通路、および、バイパス通路の開閉を行うバイパスバルブを有する。従って、ばね切替バルブおよび車高調整用バルブを閉弁した状態で、元バルブ対および任意のバイパスバルブを開弁状態にすることで、任意の第2ガスばねの油圧を独立して調整することができる。
任意の第2ガスばねの油圧を独立して調整する場合には、油圧シリンダの油圧と第2ガスばね油圧とを同圧にしておけば、その後、ばね切替バルブを開閉しても、車高を変化させずにホイールレートを切り替えることができる。そのために、油圧センサが設けられている。油圧センサは、元バルブ対に対して油圧シリンダ側であって、バイパスバルブに対して元バルブ対側であり車高調整用バルブに対して元バルブ対側となる作動油の流路に設けられ、その流路の油圧を検出する。
車高上昇制御手段は、車高を上昇方向に調整する場合、第1元バルブと第2元バルブとを開弁状態に制御するとともに、車高調整対象輪のばね切替バルブおよびバイパスバルブを閉弁させた状態で、車高が目標車高に達するまで車高調整対象輪の車高調整用バルブを開弁状態に制御して作動油給排装置により油圧シリンダに作動油を供給し、車高が目標車高に達したときの油圧センサにより検出された油圧を記憶し、車高調整対象輪のばね切替バルブおよび車高調整用バルブを閉弁させた状態で、車高調整対象輪の第2ガスばねの油圧が記憶した油圧と等しくなるまでバイパスバルブを開弁状態に制御して作動油給排装置により第2ガスばねに作動油を供給する。この場合、油圧シリンダへ作動油を供給するときには、第2ガスばねに作動油を供給しないため、短時間にて(少油量の給排にて)車高を目標車高にまで上昇させることができる。
また、車高が目標車高に達した後に、第2ガスばねの油圧が、油圧シリンダの油圧と等しくなるように、第2ガスばねに作動油が供給されるため、その後、ばね切替バルブを開弁状態にしても、油圧シリンダに圧力変動を生じさせることなく(車高変動ショックを生じさせることなく)ホイールレートを小さくすることができる。
車高下降制御手段は、車高を下降方向に調整する場合には、前輪と後輪とで同時に車高調整を行わない(左右の前輪同士、および、左右の後輪同士については、それぞれ同時に車高調整を行う)。車高下降制御手段は、前輪の車高を下降させる場合には、第1元バルブを開弁状態、第2元バルブを閉弁状態、前輪の少なくとも車高調整用バルブを開弁状態とする第1制御状態に制御して、前輪の油圧シリンダの作動油を作動油給排装置に戻す。これにより、前輪の車高が低下する。尚、油圧シリンダの作動油とは、油圧シリンダに連通しているガスばねの作動油も含めた意味にて使われる。
また、「前輪の少なくとも車高調整用バルブを開弁状態とする」とは、前輪のバイパスバルブ、および、ばね切替バルブについては、開弁状態としても閉弁状態としてもどちらでもよいことを意味している。例えば、車高調整用バルブに加えて、バイパスバルブ、あるいは、ばね切替バルブを開弁状態とすることもできる。この場合には、油圧シリンダの作動油と第2ガスばねの作動油とを同時に作動油給排装置に戻すことができる。また、バイパスバルブとばね切替バルブとを閉弁状態とすれば、油圧シリンダの作動油のみが作動油給排装置に戻される。この場合、車高の調整後、第2ガスばねの油圧を油圧シリンダの油圧と同じになるように調整するとよい。
また、車高下降制御手段は、後輪の車高を下降させる場合には、第2元バルブを開弁状態、第1元バルブを閉弁状態、後輪の少なくとも車高調整用バルブを開弁状態とする第2制御状態に制御して、後輪の油圧シリンダの作動油を作動油給排装置に戻す。これにより、後輪の車高が低下する。尚、「後輪の少なくとも車高調整用バルブを開弁状態とする」とは、後輪のバイパスバルブ、および、ばね切替バルブについては、開弁状態としても閉弁状態としてもどちらでもよいことを意味している。
元バルブ対が閉故障(開弁できない故障)した場合、ポンプがロック状態となってポンプモータの故障を引き起こしてしまう。そこで、本発明のサスペンションシステムには、元バルブ対の異常を検出する異常検出手段を備えている。
異常検出手段は、車高下降制御手段が第1制御状態に制御したときに油圧センサの検出値の変化、および、前輪の車高の変化が検出されなかった場合、第2元バルブを閉弁状態から開弁状態に切り替え、そのときに油圧センサの検出値の変化、および、前輪の車高の変化が検出された場合に、第1元バルブが異常(閉故障)であると判定する。例えば、油圧センサの検出値の変化が、予め設定された設定油圧変化値より小さい場合に、油圧センサの検出値の変化が検出されなかったと判定され、設定油圧変化値以上の場合に、油圧センサの検出値の変化が検出されたと判定される。また、例えば、前輪の車高の変化値が、予め設定された設定車高変化値より小さい場合に、前輪の車高の変化が検出されなかったと判定され、設定車高変化値以上の場合に、前輪の車高の変化が検出されたと判定される。
また、異常検出手段は、車高下降制御手段が第2制御状態に制御したときに油圧センサの検出値の変化、および、後輪の車高の変化が検出されなかった場合、第1元バルブを閉弁状態から開弁状態に切り替え、そのときに油圧センサの検出値の変化、および、後輪の車高の変化が検出された場合に、第2元バルブが異常(閉故障)であると判定する。例えば、油圧センサの検出値の変化が、予め設定された設定油圧変化値より小さい場合に、油圧センサの検出値の変化が検出されなかったと判定され、設定油圧変化値以上の場合に、油圧センサの検出値の変化が検出されたと判定される。また、例えば、後輪の車高の変化値が、予め設定された設定車高変化値より小さい場合に、後輪の車高の変化が検出されなかったと判定され、設定車高変化値以上の場合に、後輪の車高の変化が検出されたと判定される。
第1元バルブが閉故障している場合には、第1制御状態に制御しても作動油はリザーバタンクに排出されず、油圧センサの検出値の変化、および、車高の変化が検出されない。その状態で第2元バルブを閉弁状態から開弁状態に切り替ると、作動油はリザーバタンクに排出され、これに伴って、油圧センサの検出値の変化、および、車高の変化が検出される。従って、異常検出手段は、こうした現象を検出することにより第1元バルブの閉故障を検出することができる。
第2元バルブが閉故障している場合には、第2制御状態に制御しても作動油はリザーバタンクに排出されず、油圧センサの検出値の変化、および、車高の変化が検出されない。その状態で第1元バルブを閉弁状態から開弁状態に切り替ると、作動油はリザーバタンクに排出され、これに伴って、油圧センサの検出値の変化、および、車高の変化が検出される。従って、異常検出手段は、こうした現象を検出することにより第2元バルブの閉故障を検出することができる。
これにより、本発明によれば、第1元バルブおよび第2元バルブの閉故障を適正に検出することができる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係るサスペンションシステムの概略を示す全体構成図である。 車高制御ルーチンを表すフローチャートである。 車高上昇制御ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャートである。 フロント車高下降制御ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャートである。 リア車高下降制御ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャートである。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態のサスペンションシステム1の概略を示す全体構成図である。
サスペンションシステム1は、左右前後輪WFL,WFR,WRL,WRRの各々と車体とを離接可能に連結するサスペンション装置10FL,10FR,10RL,10RRと、車高を調整する際にサスペンション装置10FL,10FR,10RL,10RRに対して作動油の供給および排出を行うための作動油給排装置70と、サスペンション装置10FL,10FR,10RL,10RRと作動油給排装置70との間に設けられる油圧制御回路50と、システム全体の作動を制御する電子制御ユニット100(ECU100呼ぶ)とを備える。
以下、符号末尾に付した記号に関して、FLは左前輪に対応して設けられる部材であること、FRは右前輪に対応して設けられる部材であること、RLは左後輪に対応して設けられる部材であること、RRは右後輪に対応して設けられる部材であることを表すが、明細書中において、対応する車輪を特定する必要がない場合には、末尾の記号を省略する。また、左右前後輪に対応して設けられる部材のうち、前輪に対応して設けられる部材を特定する場合には、その符号末尾にFを付し、後輪に対応して設けられる部材を特定する場合には、その符号末尾にRを付す。
サスペンション装置10は、左右前後輪Wのそれぞれを保持する車輪保持部材11(例えば、ロアアーム)、および、各車輪保持部材11と車体との間に設けられる油圧シリンダ20を備えている。尚、図示しないが、各車輪保持部材11と車体との間には、油圧シリンダ20と並列にサスペンションスプリング(コイルスプリング)が設けられている。油圧シリンダ20は、ショックアブソーバとして機能し、車輪保持部材11と車体との間の距離変化に合わせて伸縮する。
各油圧シリンダ20は、互いに構造が同じであって、それぞれ、ハウジング21と、ハウジング21の内部にハウジング21に対して相対移動可能に嵌合されたピストン22と、ピストン22からハウジング21の外部まで延びたピストンロッド23とを備えている。ハウジング21は、車輪保持部材11に連結され、ピストンロッド23は、車体に連結されている。ハウジング21は、ピストン22によって2つの油室24a,24bに仕切られている。ピストン22には、油室24a,24bを連通させる連通路25が形成され、連通路25には絞り(図示略)が形成されている。この絞りによって、ピストン22のハウジング21に対する相対移動速度に応じた減衰力が発生する。
各油圧シリンダ20の油室24aには、それぞれ、作動油の流れる通路である個別給排通路51が接続されている。油圧シリンダ20は、個別給排通路51から供給される作動油の圧力によって車輪保持部材11と車体とを離間させる方向の力を発生させる。従って、油圧シリンダ20は、個別給排通路51から供給される作動油の圧力が高いほど、車輪保持部材11と車体との距離を大きくして車高を上昇させる。
各個別給排通路51には、油圧シリンダ20に近い側から順に、主アキュムレータ31およびレベリングバルブ61が接続されている。主アキュムレータ31は、サスペンションスプリング(コイルスプリング)とは別に設けられた油圧系のガスばねとして機能する。
個別給排通路51は、本発明の車高調整用通路に相当する。主アキュムレータ31は、本発明の第1ガスばねに相当する。レベリングバルブ61は、本発明の車高調整用バルブに相当する。従って、個別給排通路51とレベリングバルブ61とからなる構成が、本発明の車高調整用油圧制御回路に相当する。
主アキュムレータ31は、ハウジング31aと、そのハウジング31a内を2つの容量変化室に仕切る仕切り部材31bとを備え、仕切り部材31bによって仕切られた一方の容量変化室である油室31cに個別給排通路51が連通し、他方の容量変化室であるガス室31dに弾性体であるガス(例えば、窒素ガス)が充填されて構成されている。主アキュムレータ31は、油室31cの容積の増加に起因してガス室31dの容積が減少する。従って、主アキュムレータ31は、油圧シリンダ20の油圧に応じて油室31cに収容される作動油の量が変化して、油圧シリンダ20の伸縮動作に弾性力を発生させる油圧系のガスばねとして機能する。主アキュムレータ31の油室31cは、常時、油圧シリンダ20の油室24aに連通している。
レベリングバルブ61は、車高調整時に作動して、個別給排通路51を開閉する常閉式の電磁開閉弁である。
各個別給排通路51には、レベリングバルブ61と油圧シリンダ20との間となる位置において、個別レート切替通路52が分岐して接続される。個別レート切替通路52には、個別給排通路51との接続位置に近い側から順に、ばね切替バルブ62および副アキュムレータ32が接続されている。
副アキュムレータ32は、本発明の第2ガスばねに相当する。
副アキュムレータ32は、ハウジング32aと、そのハウジング32a内を2つの容量変化室に仕切る仕切り部材32bとを備え、仕切り部材32bによって仕切られた一方の容量変化室である油室32cに個別レート切替通路52が連通し、他方の容量変化室であるガス室32dに弾性体であるガス(例えば、窒素ガス)が充填されて構成されている。副アキュムレータ32は、油室32cの容積の増加に起因してガス室32dの容積が減少する。従って、副アキュムレータ32は、油圧シリンダ20の油圧に応じて油室32cに収容される作動油の量が変化して、油圧シリンダ20の伸縮動作に弾性力を発生させる油圧系のガスばねとして機能する。
副アキュムレータ32は、主アキュムレータ31よりもばね定数が小さい。主アキュムレータ31および副アキュムレータ32は、ベローズ式、ブラダ式、および、ピストン式など任意の形式のものを採用することができる。本実施形態では、主アキュムレータ31には、高圧縮圧力時の耐ガス透過性に優れた金属ベローズ式アキュムレータが採用される。また、副アキュムレータ32には、比較的大きな容量を確保でき耐ガス透過性に優れた樹脂膜入りブラダ式アキュムレータが採用される。
ばね切替バルブ62は、ホイールレートの切り替え時に作動する常開式の電磁開閉弁である。ばね切替バルブ62が開弁している状態においては、油圧シリンダ20に対して主アキュムレータ31と副アキュムレータ32とが並列に接続され、ばね切替バルブ62が閉弁している状態においては、油圧シリンダ20と副アキュムレータ32との連通が遮断される(主アキュムレータ31と副アキュムレータ32との連通が遮断されると表現することもできる)。以下、主アキュムレータ31を高ガスばね31と呼び、副アキュムレータ32を低ガスばね32と呼ぶ。
このように、サスペンション装置10は、車輪保持部材11と、油圧シリンダ20と、油圧シリンダ20に並列に接続される高ガスばね61および低ガスばね62から構成されている。
各個別給排通路51は、それぞれ、共通給排通路54に接続される。共通給排通路54は、作動油給排装置70に接続されており、作動油給排装置70から作動油を各個別給排通路51に供給する通路でもあり、各個別給排通路51から作動油を作動油給排装置70に戻す通路でもある。
共通給排通路54には、元バルブ対80が設けられている。元バルブ対80は、常閉式の電磁開閉弁である第1元バルブ81と、常閉式の電磁開閉弁である第2元バルブ82とを並列に備えて構成されている。従って、第1元バルブ81と第2元バルブ82との少なくとも一方が開弁されている状態においては、各個別給排通路51と作動油給排装置70とが連通し、第1元バルブ81と第2元バルブ82との両方が閉弁されている状態においては、各個別給排通路51と作動油給排装置70との連通が遮断される。以下、元バルブ対80の開弁状態とは、第1元バルブ81と第2元バルブ82との少なくとも一方が開弁されている状態を表し、元バルブ対80の閉弁状態とは、第1元バルブ81と第2元バルブ82との両方が開弁されている状態を表す。
尚、図1においては、共通給排通路54は、元バルブ対80の下流側で、左右前輪の個別給排通路51FL,51FRに連通される通路と、左右後輪の個別給排通路51RL,51RRに連通される通路とに分岐しているが、必ずしもこのように分岐させる必要はない。例えば、各個別給排通路51FL,51FR,51RL,51RRが直接、4輪共通の共通給排通路54に連通されているなど、作動油給排装置70から各個別給排通路51までの作動油の通路(つまり共通給排通路54)は任意に構成できるものである。
共通給排通路54は、本発明の給排元通路に相当する。この共通給排通路54および元バルブ対80からなる構成が、本発明の給排油圧制御回路に相当する。
油圧制御回路50には、レベリングバルブ61、および、ばね切替バルブ62をバイパスして、低ガスばね32を共通給排通路54に連通させる個別バイパス通路53が設けられている。各個別バイパス通路53には、それぞれ、バイパスバルブ63が設けられている。このバイパスバルブ63は、常閉式の電磁開閉弁である。従って、バイパスバルブ63が開弁されている状態においては、レベリングバルブ61、および、ばね切替バルブ62の状態に関係なく、低ガスばね32が共通給排通路54に連通する。この個別バイパス通路53およびバイパスバルブ63からなる構成が、本発明の第2ガスばね用油圧制御回路に相当する。
作動油給排装置70は、高圧源としてのポンプ装置71と、低圧源としてのリザーバタンク72とを備えている。ポンプ装置71は、ポンプ71a、および、ポンプ71aを駆動するポンプモータ71bを備えている。ポンプ装置71は、リザーバタンク72の作動油をくみ上げて共通給排通路54に供給する。作動油給排装置70は、ポンプ装置71の下流側となる共通給排通路54であって、元バルブ対80よりも上流側となる位置にチェックバルブ73(逆止弁)とリターンバルブ74とを並列に備えている。
リターンバルブ74は、ポンプ装置71から元バルブ対80への作動油の供給と、元バルブ対80からリザーバタンク72への作動油の排出とを切り替えるバルブである。リターンバルブ74は、通常、スプリングの力により元バルブ対80とリザーバタンク72との間の通路が開いた状態となっており、ポンプ装置71が駆動されると、その吐出圧と共通給排通路54の油圧との差圧によって弁体が押されて元バルブ対80とリザーバタンク72との間の通路を閉じる。これにより、チェックバルブ73が開弁してポンプ装置71から吐出された作動油が、開弁された元バルブ対80に流れる。
また、共通給排通路54には、元バルブ対80の下流側の油圧を検出するための油圧センサ90が設けられている。この油圧センサ90は、元バルブ対80、4つのレベリングバルブ61、および、4つのバイパスバルブ63で囲まれる作動油の流路ならどこに設けられていてもよい。つまり、油圧センサ90は、元バルブ対80に対して油圧シリンダ20側であって、4つのバイパスバルブ63に対して元バルブ対80側でありレベリングバルブ61に対して元バルブ対80側となる作動油の流路に設けられていればよい。従って、この油圧センサ90によれば、元バルブ対80を閉弁した状態で、任意の車輪のレベリングバルブ61を開弁した場合には、その車輪の油圧シリンダ20の油圧を検出することができ、任意の車輪のバイパスバルブ63を開弁した場合には、その車輪の低ガスばね32の油圧を検出することができる。
このように、油圧制御回路50は、共通給排通路54と、元バルブ対80と、個別給排通路51と、レベリングバルブ61と、個別レート切替通路52と、ばね切替バルブ62と、個別バイパス通路53と、バイパスバルブ63とから構成されている。
ECU100は、マイクロコンピュータおよび駆動回路(モータ駆動回路、および、電磁弁駆動回路)を主要部として備えている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPUとROM及びRAM等の記憶装置を含み、CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。
ECU100には、油圧制御回路50に設けられた各種の電磁弁(レベリングバルブ61、ばね切替バルブ62、バイパスバルブ63、および、元バルブ対80)と、作動油給排装置70に設けられたポンプモータ71bと、油圧センサ90とが接続されている。更に、ECU100には、車両運動状態を検出する運動検出センサ110と、ドライバーの操作を検出する操作検出センサ120とが接続されている。
運動検出センサ110としては、例えば、車速を検出する車速センサ、前後左右輪位置ごとに車高を検出する車高センサ、車体の上下方向の加速度を検出する上下加速度センサ、車体のヨーレートを検出するヨーレートセンサ、および、車体の前後左右方向の加速度を検出する水平加速度センサなどである。車高センサは、例えば、各車輪Wを保持する車輪保持部材11と、その車輪位置における車体との間の距離を車高として検出する。
操作検出センサ120としては、ブレーキペダルの踏み込みストロークを検出するストロークセンサ、ステアリングの操舵角を検出する操舵角センサ、および、トランスファのレンジ状態を検出するトランスファセンサなどである。尚、ECU100は、運動検出センサ110および操作検出センサ120を直接的に接続している必要はなく、それらのセンサを接続している他の車載ECU(例えば、エンジンECU、ブレーキECU、および、ステアリングECUなど)から検出信号を入力してもよい。また、ECU100は、操作検出センサ120として車高選択スイッチと、車高調整オフスイッチとを接続している。
車高選択スイッチは、ドライバーの操作によって、目標車高を、ノーマル車高、ロー車高、および、ハイ車高の3通りにて選択するスイッチである。車高調整オフスイッチは、ドライバーの操作によって、車高制御を禁止するスイッチである。
ECU100は、運動検出センサ110および操作検出センサ120によって検出された検出信号に基づいて、ホイールレート切替制御、および、車高制御を実施する。
<ホイールレート切替制御>
まず、ホイールレート切替制御について説明する。本実施形態のサスペンションシステムにおいては、各車輪Wごとに、当該車輪位置における低ガスばね32と油圧シリンダ20との連通および遮断を切り替えることにより、当該車輪Wのホイールレートを切り替えることができる。つまり、ばね切替バルブ62の開閉制御によって、油圧シリンダ20と低ガスばね32との連通状態/遮断状態(高ガスばね31と低ガスばね32との連通状態/遮断状態と表現することもできる)を切り替えることにより、ホイールレートを小(ソフト)/大(ハード)に切り替えることができる。
例えば、ECU100は、基本的には、4輪Wのばね切替バルブ62を開弁状態に維持することにより、ホイールレートを小(ソフト)に設定して乗り心地を確保する。また、ECU100は、運動検出センサ110および操作検出センサ120によって、車両旋回時のロール運動、あるいは、車両制動時のピッチ運動などの車体の姿勢変化が検出(あるいは予測)されたときに、姿勢変化状況に応じた車輪W(例えば、左右前輪)のばね切替バルブ62を閉弁することにより、当該車輪Wの油圧シリンダ20から低ガスばね32を切り離してホイールレートを増加させる(ハード)。これにより、車体のロール運動およびピッチ運動(車体の姿勢変化)を抑制することができる。
<車高制御>
次に、車高制御について説明する。ECU100は、車高選択スイッチによって選択された車高と、運動検出センサ110および操作検出センサ120によって検出された信号に基づいて、作動油給排装置70および各種電磁弁61,62,63,81,82を制御することにより、前後左右輪Wそれぞれの油圧シリンダ20の作動油の供給・排出・保持を切り替えて車高を調整する。
例えば、ECU100は、乗員数および積載量などの荷重条件に関わらず、常にドライバーの選択した車高を維持するオートレベリング制御を実施する。また、ECU100は、車速に応じて最適な目標車高を設定する機能を有している。例えば、ECU100は、ドライバーのスイッチ操作によってロー車高、ハイ車高が選択されている場合には、車速が予め設定された閾値よりも増加すると、ドライバーの選択車高を解除して、目標車高をノーマル車高に変更する。また、ECU100は、高速走行時には、ドライバーの選択車高を解除して、目標車高を予め設定された高速走行用ロー車高に変更する。また、ECU100は、トランスファセンサによって検出されるトランスファの設定がL4レンジ(オフロード走行用レンジ)である場合には、車速が予め設定された車速以上になると、目標車高をハイ車高に切り替える。
ECU100は、車高センサによって検出された車高(実車高)が目標車高と一致するように作動油給排装置70、レベリングバルブ61、ばね切替バルブ62、バイパスバルブ63、および、元バルブ対80を駆動制御する。尚、ECU100は、レベリングバルブ61、切替バルブ62、バイパスバルブ63、および、元バルブ対80の状態を切り替える場合、これらのバルブに対して開弁指令、あるいは、閉弁指令を出力する。開弁指令は、バルブを開弁するための駆動信号であって、常閉式電磁弁(NC)に対しては駆動信号の出力オンを表し、常開式電磁弁(NO)に対しては駆動信号の出力オフを表す。また、閉弁指令は、バルブを閉弁するための駆動信号であって、常閉式電磁弁に対しては駆動信号の出力オフを表し、常開式電磁弁に対しては駆動信号の出力オンを表す。
<車高制御ルーチン>
図2は、ECU100の実施する車高制御ルーチンを表す。車高制御ルーチンは、車高制御許可条件が成立している場合に実施される。車高制御ルーチンが起動すると、ECU100は、まず、ステップS11において、車高調整要求が発生しているか否かについて判定する。車高調整要求は、例えば、車高センサによって検出される車高Lx(以下、実車高Lxと呼ぶ)と目標車高L0との偏差の絶対値(|L0−Lx|)が許容値を超えた場合に発生する。ECU100は、車高調整要求が発生していない場合、本ルーチンを一旦終了する。ECU100は、所定の演算周期にて本ルーチンを繰り返す。従って、車高調整要求が発生するまで、ステップS11の判定処理が繰り返される。
車高調整要求が発生すると、ECU100は、ステップS12において、車高調整要求が車高を上昇させる上昇要求であるか否かについて判定する。上昇要求は、目標車高L0から実車高Lxを減算した値(L0−Lx)が許容値を超えた場合に発生する。また、下降要求は、実車高Lxから目標車高L0を減算した値(Lx−L0)が許容値を超えた場合に発生する。ECU100は、車高調整要求が上昇要求である場合(S12:Yes)には、その処理をステップS20に進めて、車高上昇制御を実施する。
一方、車高調整要求が車高を下降させる下降要求である場合(S12:No)、ECU100は、ステップS13において、前輪の車高についての下降要求があるか否かについて判定する。前輪の車高と後輪の車高との両方について下降要求がある場合、その下降要求には、前輪の車高についての下降要求が含まれているため「Yes」と判定される。一方、前輪の車高についての下降要求が無い場合、つまり、後輪の車高についてのみ下降要求がある場合には、「No」と判定される。
ECU100は、前輪の車高についての下降要求がある場合、その処理をステップS40に進めて、フロント車高下降制御を実施し、後輪の車高についてのみ下降要求がある場合、その処理をステップS60に進めて、リア車高下降制御を実施する。
ECU100は、車高上昇制御(S20)、フロント車高下降制御(S40)、リア車高下降制御(S60)の何れかの処理を実施すると、車高制御ルーチンを一旦終了し、所定のインターバルをあけて、車高制御ルーチンを再開する。従って、本実施形態においては、車高を下降させる下降制御については、前輪と後輪とで同時に行われるわけではなく、前輪の下降制御が、後輪の下降制御よりも先に実施される。尚、後輪の下降制御が、前輪の下降制御よりも先に実施されるように構成されていてもよい。その場合、ステップS13の処理は、後輪の車高についての下降要求があるか否かについての判定処理とすればよい。
図3は、車高上昇制御(S20)の処理である車高上昇制御ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャート、図4は、フロント車高下降制御(S40)の処理であるフロント車高下降制御ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャート、図5は、リア車高下降制御(S60)の処理であるリア車高下降制御ルーチン(サブルーチン)を表すフローチャートである。フロント車高下降制御ルーチンおよびリア車高下降制御ルーチンには、元バルブ対80の異常を検出する処理が組み込まれている。
<車高上昇制御ルーチン>
まず、図3に示す車高上昇制御ルーチンについて説明する。ここでは、1輪の車高上昇制御ルーチンについて説明する。従って、各車輪ごとに設けられている構成(油圧シリンダ20、ガスばね31,32、および、バルブ61,62,63)の作動説明は、車高調整対象輪における上記構成の作動説明である。車高上昇制御ルーチンが起動すると、ECU100は、ステップS21において、バイパスバルブ63を閉弁状態に維持したまま、第1元バルブ81、第2元バルブ82、および、レベリングバルブ61に開弁指令を出力して、第1元バルブ81、第2元バルブ82、および、レベリングバルブ61を閉弁状態から開弁状態に切り替えるとともに、ばね切替バルブ62に閉弁指令を出力して、ばね切替バルブ62を開弁状態から閉弁状態に切り替える。
続いて、ECU100は、ステップS22において、ポンプ装置71を起動させる。これにより、リザーバタンク72に溜まっている作動油が油圧制御回路50を介して、油圧シリンダ20および高ガスばね31に供給される。これにより、当該車輪の車高が上昇する。この場合、低ガスばね32には作動油が供給されないため、少ない油量で早く車高を上昇させることができる。また、第1元バルブ81と第2元バルブ82との両方が開弁状態とされるため、共通給排通路54における流路抵抗を小さくして作動油を供給できる。このため、一層、早く車高を上昇させることができる。
続いて、ECU100は、ステップS23において、車高センサによって検出された実車高Lxが目標車高L0に達するまで待機し、実車高Lxが目標車高L0に達すると(S23:Yes)、ステップS24において、その時点における油圧センサ90の検出値を車高調整完了圧力P0として記憶する。この車高調整完了圧力P0は、車高調整対象輪の油圧シリンダ20および高ガスばね31の油圧と等しい。
続いて、ECU100は、ステップS25において、第1元バルブ81、および、第2元バルブ82を開弁状態、ばね切替バルブ62を閉弁状態に維持したまま、レベリングバルブ61に閉弁指令を出力してレベリングバルブ61を開弁状態から閉弁状態に切り替えるとともに、バイパスバルブ63に開弁指令を出力してバイパスバルブ63を閉弁状態から開弁状態に切り替える。これにより、油圧シリンダ20および高ガスばね31の油圧が保持された状態で、リザーバタンク72に溜まっている作動油が、ポンプ装置71の作動によって、元バルブ対80(第1元バルブ81、および、第2元バルブ82)およびバイパスバルブ63を介して、低ガスばね32に供給される。
続いて、ECU100は、ステップS26において、油圧センサ90の検出値Px(実油圧Pxと呼ぶ)が車高調整完了圧力P0に達するまで待機する。つまり、低ガスばね32の油圧が、当該車輪の油圧シリンダ20および高ガスばね31の油圧と等しくなるまで待機する。
ECU100は、実油圧Pxが車高調整完了圧力P0に達すると(S26:Yes)、ステップS27において、バイパスバルブ63に閉弁指令、ばね切替バルブ62に開弁指令、第1元バルブ81に閉弁指令、第2元バルブ82に閉弁指令、ポンプ装置71に停止指令を出力する。これにより、ポンプ71aが停止するとともに、バイパスバルブ63、第1元バルブ81、および、第2元バルブ82が開弁状態から閉弁状態に切り替わり、ばね切替バルブ62が閉弁状態から開弁状態に切り替わる。こうして、油圧シリンダ20、高ガスばね31、および、低ガスばね32は、互いに連通状態になる。ECU100は、ステップS27の処理を実施すると車高上昇制御ルーチンを終了する。
この車高上昇制御ルーチンによれば、車高を上昇させるときには、低ガスばね32に作動油が供給されず、車高が目標車高にまで上昇した後に低ガスばね32に作動油が供給されるため、車高を上昇させるために必要な油量を最小にすることができる。また、車高を早く目標車高にまで上昇させることができる。また、車高が目標車高にまで上昇した後に、低ガスばね32と高ガスばね31とが同圧となるように低ガスばね32に作動油が供給されるため、ばね切替バルブ62の開弁動作による車高変動を防止することができる。
尚、車高を上昇させる対象となる車輪(対象車輪)が複数ある場合には、ECU100は、対象車輪の全てについて同時にステップS21の処理を開始し(元バルブ対80の開弁動作については共通)、その後、各対象車輪ごとに、実車高Lxが目標車高L0に到達したときに、車高調整完了圧力P0を記憶するとともに、当該車輪のレベリングバルブ61を閉弁する。そして、ECU100は、最後の対象車輪の車高調整が完了したタイミングで、低ガスばね32の油圧調整を開始する。この場合、ECU100は、ポンプ装置71を作動状態、第1元バルブ81および第2元バルブ82を開弁状態、ばね切替バルブ62を閉弁状態に維持した状態で、対象車輪のバイパスバルブ63を一輪ずつ切り替えて開弁する。バイパスバルブ63は、実油圧Pxが車高調整完了圧力P0に到達したタイミングで閉弁され、このタイミングで、次の対象車輪のバイパスバルブ63が開弁される。ECU100は、最後の対象車輪の低ガスばね32の油圧調整が完了したタイミングで(最後の対象車輪のバイパスバルブ63を閉弁するタイミングで)、第1元バルブ81および第2元バルブ82を閉弁し、ばね切替バルブ62を開弁し、ポンプ装置71を停止する。
<フロント車高下降制御ルーチン>
次に、図4に示すフロント車高下降制御ルーチンについて説明する。このフロント車高下降制御ルーチンでは、前輪WFの車高調整に係る電磁弁(レベリングバルブ61F、切替バルブ62F、バイパスバルブ63F、および、元バルブ対80)が制御対象となる。
フロント車高下降制御ルーチンが起動すると、ECU100は、ステップS41において、第1元バルブ81、および、前輪WFのレベリングバルブ61Fに開弁指令を出力する。この場合、ポンプ装置71は停止しており、第2元バルブ82は閉弁状態、前輪WFのばね切替バルブ62Fは開弁状態、前輪Wのバイパスバルブ63Fは閉弁状態に維持されている。これにより、第1元バルブ81、および、前輪WFのレベリングバルブ61Fが閉弁状態から開弁状態に切り替えられる。ここで前輪WFとは、車高下降要求が発生している前輪(左右両輪の場合と左右片輪の場合とがある)である。このステップS41によって制御される各バルブ61F,62F,63F,81,82の制御状態が本発明の第1制御状態に相当する。
続いて、ECU100は、ステップS42において、車高センサにより検出される前輪(車高調整対象輪)WFの車高が変化せず、かつ、油圧センサ90によって検出される油圧が変化しなかったか否かについて判定する。例えば、ECU100は、所定期間における前輪WFの車高の変化値が、予め設定された設定車高変化値より小さい場合に、車高が変化しなかったと判定する。また、例えば、ECU100は、所定期間における油圧センサ90の検出値の変化が、予め設定された設定油圧変化値より小さい場合に、油圧が変化しなかったと判定する。
ステップS41によって第1元バルブ81とレベリングバルブ61Fとが開弁された場合、サスペンションシステム1が正常であれば、油圧シリンダ20を収縮させる方向に作用する力(車両重量)によって、前輪WFの油圧シリンダ20Fの作動油(油圧シリンダ20Fに連通している高ガスばね31F、および、低ガスばね32Fの作動油も含める)は、リザーバタンク72に戻される。従って、前輪WFの油圧シリンダ20Fが収縮して、車高センサにより検出される前輪WFの車高は低下し、かつ、油圧センサ90によって検出される油圧も低下するはずである。
ECU100は、ステップS42において「No」と判定した場合には、その処理をステップS43に進め、「Yes」と判定した場合には、その処理をステップS46に進める。ステップS46からの処理は、第1元バルブ81の異常を判定する処理である。
ECU100は、ステップS43において、実車高Lxが目標車高L0以下に低下するまで待機し、実車高Lxが目標車高L0以下に達すると、ステップS44において、前輪WFのレベリングバルブ61Fに閉弁指令を出力して前輪WFのレベリングバルブ61Fを開弁状態から閉弁状態に切り替える。
尚、ステップS43,S44の処理は、車高調整対象輪が左右両輪である場合には、左前輪WFLと右前輪WFRとでそれぞれ独立して並行して行われる。
前輪WFに係る全ての車高調整対象輪の実車高Lxが目標車高L0以下にまで低下すると、ECU100は、ステップS45において、第1元バルブ81に閉弁指令を出力して第1元バルブ81を開弁状態から閉弁状態に切り替える。尚、後述するステップS46の処理を実施して第2元バルブ82が開弁している場合には、このステップS45において、第2元バルブ82についても閉弁指令を出力して第2元バルブ82を開弁状態から閉弁状態に切り替える。
ECU100は、ステップS45の処理を実施すると、フロント車高下降制御ルーチンを終了する。
ステップS42において「Yes」と判定されている場合は、前輪WFの油圧シリンダ20Fの作動油がリザーバタンク72に戻されていかない。従って、第1元バルブ81に作動油が流れていないため、第1元バルブ81の閉故障(閉弁状態に固着されて開弁できない故障)の疑いがある。
そこで、ECU100は、ステップS46以下の処理を実施する。ECU100は、ステップS46において、第2元バルブ82に対して開弁指令を出力して第2元バルブ82を閉弁状態から開弁状態に切り替える。
続いて、ECU100は、ステップS47において、車高センサにより検出される前輪WFの車高が変化し、かつ、油圧センサ90によって検出される油圧が変化したか否かについて判定する。例えば、ECU100は、所定期間における前輪WFの車高の変化値が、予め設定された設定車高変化値以上である場合に、車高が変化したと判定する。また、例えば、ECU100は、所定期間における油圧センサ90の検出値の変化が、予め設定された設定油圧変化値以上である場合に、油圧が変化したと判定する。
開弁指令に従って第2元バルブ82が開弁してリザーバタンク71に作動油が流れ出た場合には、車高センサにより検出される前輪WFの車高が変化し、かつ、油圧センサ90によって検出される油圧が変化する。この場合、ECU100は、ステップS48において、第1元バルブ81が閉故障しているとして、第1元バルブ81の異常を確定する。例えば、ECU100は、第1元バルブ81が閉故障していることを表すダイアグノーシス異常コードを不揮発性メモリに記憶する。また、ECU100は、図示しない異常ランプを点灯させて、ドライバーに対して異常が発生していることを報知する。
続いて、ECU100は、その処理を43に進めて上述した処理、つまり、車高の下降調整を実施する。この場合、第1元バルブ81が閉故障していても、第2元バルブ82を開弁させることによって、上述した車高調整を実施することができる。
一方、ステップS47において「No」と判定された場合、ECU100は、ステップS49において、サスペンションシステム1の異常を確定する。例えば、ECU100は、サスペンションシステム1が異常であることを表すダイアグノーシス異常コードを不揮発性メモリに記憶する。また、ECU100は、図示しない異常ランプを点灯させて、ドライバーに対して異常が発生していることを報知する。
この場合、第1元バルブ81に加えて第2元バルブ82までも閉故障していることは考えにくい。従って、ステップS47において「No」と判定された場合、他の油圧系部品、例えば、油圧シリンダ20F等において故障が発生していると考えられる。そこで、ECU100は、ステップS47において「No」と判定された場合、第2元バルブ82が閉故障であると判定せずに、サスペンションシステム1が異常であると判定する。
この場合には、車高調整を実施することができない。そのため、ECU100は、続くステップS50において、前輪WFのレベリングバルブ61Fに閉弁指令を出力してレベリングバルブ61Fを開弁状態から閉弁状態に切り替える。
続いて、ECU100は、その処理をステップS45に進めて、第1元バルブ81および第2元バルブ82に閉弁指令を出力し、フロント車高下降制御ルーチンを終了する。
サスペンションシステム1の異常が確定された場合には、所定の修理が行われてダイアグノーシス異常コードが消去されるまでは、車高制御ルーチン(図2)の実施が禁止される。
<リア車高下降制御ルーチン>
次に、図5に示すリア車高下降制御ルーチンについて説明する。このリア車高下降制御ルーチンでは、後輪WRの車高調整に係る電磁弁(レベリングバルブ61R、切替バルブ62R、バイパスバルブ63R、および、元バルブ対80)が制御対象となる。
リア車高下降制御ルーチンが起動すると、ECU100は、ステップS61において、第2元バルブ82、および、後輪WRのレベリングバルブ61Rに開弁指令を出力する。この場合、ポンプ装置71は停止しており、第1元バルブ81は閉弁状態、後輪WRのばね切替バルブ62Rは開弁状態、後輪WRのバイパスバルブ63Rは閉弁状態に維持されている。これにより、第2元バルブ82、および、後輪WRのレベリングバルブ61Rが閉弁状態から開弁状態に切り替えられる。ここで後輪WRとは、車高下降要求が発生している後輪(左右両輪の場合と左右片輪の場合とがある)である。このステップS61によって制御される各バルブ61R,62R,63R,81,82の制御状態が本発明の第2制御状態に相当する。
続いて、ECU100は、ステップS62において、車高センサにより検出される後輪(車高調整対象輪)WRの車高が変化せず、かつ、油圧センサ90によって検出される油圧が変化しなかったか否かについて判定する。例えば、ECU100は、所定期間における後輪WRの車高の変化値が、予め設定された設定車高変化値より小さい場合に、車高が変化しなかったと判定する。また、例えば、ECU100は、所定期間における油圧センサ90の検出値の変化が、予め設定された設定油圧変化値より小さい場合に、油圧が変化しなかったと判定する。
ステップS61によって第2元バルブ82とレベリングバルブ61Rとが開弁された場合、サスペンションシステム1が正常であれば、油圧シリンダ20を収縮させる方向に作用する力(車両重量)によって、後輪WRの油圧シリンダ20Rの作動油(油圧シリンダ20Rに連通している高ガスばね31R、および、低ガスばね32Rの作動油も含める)は、リザーバタンク72に戻される。従って、後輪WRの油圧シリンダ20Rが収縮して、車高センサにより検出される後輪WRの車高は低下し、かつ、油圧センサ90によって検出される油圧も低下するはずである。
ECU100は、ステップS62において「No」と判定した場合には、その処理をステップS63に進め、「Yes」と判定した場合には、その処理をステップS66に進める。ステップS66からの処理は、第2元バルブ82の異常を判定する処理である。
ECU100は、ステップS63において、実車高Lxが目標車高L0以下に低下するまで待機し、実車高Lxが目標車高L0以下に達すると、ステップS64において、後輪WRのレベリングバルブ61Rに閉弁指令を出力して後輪WRのレベリングバルブ61Rを開弁状態から閉弁状態に切り替える。
尚、ステップS63,S64の処理は、車高調整対象輪が左右両輪である場合には、左後輪WRLと右後輪WRRとでそれぞれ独立して並行して行われる。
後輪WRに係る全ての車高調整対象輪の実車高Lxが目標車高L0以下にまで低下すると、ECU100は、ステップS65において、第2元バルブ82に閉弁指令を出力して第2元バルブ82を開弁状態から閉弁状態に切り替える。尚、後述するステップS66の処理を実施して第1元バルブ81が開弁している場合には、このステップS65において、第1元バルブ81についても閉弁指令を出力して第1元バルブ81を開弁状態から閉弁状態に切り替える。
ECU100は、ステップS65の処理を実施すると、リア車高下降制御ルーチンを終了する。
ステップS62において「Yes」と判定されている場合は、後輪WRの油圧シリンダ20Rの作動油がリザーバタンク72に戻されていかない。従って、第2元バルブ82に作動油が流れていないため、第2元バルブ82の閉故障の疑いがある。
そこで、ECU100は、ステップS66以下の処理を実施する。ECU100は、ステップS66において、第1元バルブ81に対して開弁指令を出力して第1元バルブ81を閉弁状態から開弁状態に切り替える。
続いて、ECU100は、ステップS67において、車高センサにより検出される後輪WRの車高が変化し、かつ、油圧センサ90によって検出される油圧が変化したか否かについて判定する。例えば、ECU100は、所定期間における後輪WRの車高の変化値が、予め設定された設定車高変化値以上である場合に、車高が変化したと判定する。また、例えば、ECU100は、所定期間における油圧センサ90の検出値の変化が、予め設定された設定油圧変化値以上である場合に、油圧が変化したと判定する。
開弁指令に従って第1元バルブ81が開弁してリザーバタンク71に作動油が流れ出た場合には、車高センサにより検出される後輪WRの車高が変化し、かつ、油圧センサ90によって検出される油圧が変化する。この場合、ECU100は、ステップS68において、第2元バルブ82が閉故障しているとして、第2元バルブ82の異常を確定する。例えば、ECU100は、第2元バルブ82が閉故障していることを表すダイアグノーシス異常コードを不揮発性メモリに記憶する。また、ECU100は、図示しない異常ランプを点灯させて、ドライバーに対して異常が発生していることを報知する。
続いて、ECU100は、その処理を63に進めて上述した処理、つまり、車高の下降調整を実施する。この場合、第2元バルブ82が閉故障していても、第1元バルブ81を開弁させることによって、上述した車高調整を実施することができる。
一方、ステップS67において「No」と判定された場合、ECU100は、ステップS69において、サスペンションシステム1の異常を確定する。例えば、ECU100は、サスペンションシステム1が異常であることを表すダイアグノーシス異常コードを不揮発性メモリに記憶する。また、ECU100は、図示しない異常ランプを点灯させて、ドライバーに対して異常が発生していることを報知する。
この場合、第2元バルブ82に加えて第1元バルブ81までも閉故障していることは考えにくい。従って、ステップS67において「No」と判定された場合、他の油圧系部品、例えば、油圧シリンダ20F等において故障が発生していると考えられる。そこで、ECU100は、ステップS67において「No」と判定された場合、第1元バルブ81が閉故障であると判定せずに、サスペンションシステム1が異常であると判定する。
この場合には、車高調整を実施することができない。そのため、ECU100は、続くステップS70において、後輪WRのレベリングバルブ61Rに閉弁指令を出力してレベリングバルブ61Rを開弁状態から閉弁状態に切り替える。
続いて、ECU100は、その処理をステップS65に進めて、第1元バルブ81および第2元バルブ82に閉弁指令を出力し、リア車高下降制御ルーチンを終了する。
尚、フロント車高下降制御ルーチンにおいて第1元バルブ81の閉故障が検出された場合、あるいはリア車高下降制御ルーチンにおいて第2元バルブ82の閉故障が検出された場合には、元バルブ対80における一方のバルブについては開閉制御が可能である。従って、閉故障が検出された以降においては、必ずしも車高制御を禁止する必要は無く、車高制御を継続させてもよい。車高制御を継続させる場合には、閉故障が検出されていないほうの元バルブ81(あるいは82)を用いて共通給排通路54の開閉を行えばよい。
以上説明した本実施形態のサスペンションシステムによれば、個別バイパス通路53とバイパスバルブ63とを備えているため、油圧シリンダ20および高ガスばね31に対する作動油の供給/排出と、低ガスばね32に対する作動油の供給/排出とを互いに独立して行うことができる。これにより、低ガスばね32を除いた油圧系統を使って車高調整を行うことができるため、少ない油量で早く車高を上昇させることができる。
これに伴って、作動油給排装置70における作動油の必要供給流量を少なくすることができるため、その構成を簡易にすることができる。例えば、ポンプ71aの吐出流量を少なくすることができる。また、従来装置のようにポンプの吐出流量を補うための蓄圧用アキュムレータ等を設ける必要がなくなる。これらの結果、作動油給排装置70の軽量化を図ることができる。
また、車高の上昇方向の調整後に、低ガスばね32の油圧が油圧シリンダ20の油圧と等しくなるように調整されるため、ばね切替バルブ62を開弁してホイールレートを切り替えても車高変動を発生しないようにすることができる。
また、車高を下降方向に調整する車高下降制御は、前輪側と後輪側とで同時に行われず、前輪の車高下降制御は、第1元バルブ81が開弁されて実施され、後輪の車高下降制御は、第2元バルブ82が開弁されて実施される。そして、車高下降制御時における車高の変化、および、油圧の変化の有無に基づいて、第1元バルブ81、および、第2元バルブ82の閉故障の有無が判定される。従って、元バルブ対80(第1元バルブ81、および、第2元バルブ82)の閉故障を適切に検出することができる。また、元バルブ対80の故障は、元バルブ対80と作動油給排装置70との間に油圧センサを設ければ検出することができるが、そうした油圧センサを別途設ける必要が無く、低コストにて実施することができる。
車高を上昇方向に調整する場合には、車両重量に抗して、ポンプ装置71から油圧シリンダ20および高ガスばね31に作動油が供給されるため、車高を下降方向に調整する場合に比べて、車高調整に時間がかかるが、本実施形態においては、第1元バルブ81、および、第2元バルブ82が同時に開弁状態に制御されるため、共通給排通路54における流路抵抗が小さくなり、車高調整時間の短縮を図ることができる。また、第1元バルブ81あるいは第2元バルブ82が閉故障しても、ポンプ71aがロックしてしまうことがなく、ポンプモータ71bの故障を招かないようにすることができる。
また、車高を下降方向に調整する場合には、車両重量により、油圧シリンダ20の高圧の作動油をリザーバタンク72に戻す動作となるため、車高を上昇方向に調整する場合に比べて、短時間にて車高が変化する。本実施形態においては、元バルブ対80の何れか一方のバルブ81,82のみが開弁状態に制御されるため、ゆっくりと車高を下降調整することができる。つまり、所定の車高制御性能を確保できる速度にて車高調整を行うことができる。このため、精度のよい車高調整を実施することができる。また、車高下降制御は、ポンプ装置71を作動させないため、第1元バルブ81あるいは第2元バルブ82が閉故障しても、サスペンションシステム1にダメージを与えない。
以上、本実施形態に係るサスペンションシステムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、本実施形態においては、車高下降制御ルーチンにおいては、油圧シリンダ20と低ガスばね32とを連通した状態で、元バルブ(第1元バルブ81、あるいは、第2元バルブ82)を開弁するが、それに代えて、車高上昇制御ルーチンと同様に、油圧シリンダ20と低ガスばね32とを分離した状態で(ばね切替バルブ62を閉弁した状態で)、元バルブ(第1元バルブ81、あるいは、第2元バルブ82)を開弁してもよい。この場合、対象輪の車高調整が完了するたびに、そのときの車高調整完了圧力P0を記憶し、対象輪の車高が調整された後、ばね切替バルブ62を閉弁状態に維持したまま、バイパスバルブを開弁して、低ガスばね32の油圧を車高調整完了圧力P0にまで低下させればよい。この変形例によれば、下降方向の車高調整時間を短縮することができる。
また、本実施形態においては、車高を上昇方向に調整する場合は、油圧シリンダ20と低ガスばね32とが分離されて先に油圧シリンダ20に作動油が供給されるが、必ずしも常にそのようにする必要は無く、特定の状況においてのみ、そのようにする構成であってもよい。例えば、ドライバーが車高選択スイッチを操作したことにより、その操作時に車高を上昇させる必要が生じた場合には、ドライバーの要求に応えるために、早く車高を上昇させる必要がある。その場合にのみ、油圧シリンダ20と低ガスばね32とを分離して油圧シリンダ20に作動油を供給する構成、つまり、実施形態の車高上昇制御ルーチンを実施し、それ以外の場合には、油圧シリンダ20と低ガスばね32とを連通した状態で両者に作動油を供給する構成であってもよい。
また、例えば、本実施形態においては、各輪Wの油圧シリンダ20に対応して設けられるガスばねの数は2つであるが(高ガスばね31、低ガスばね32)、更に、別のガスばねが設けられていてもよい。例えば、油圧回路の圧力が異常上昇した場合に圧力を逃がすためのリリーフ用ガスばねが油圧シリンダ20に常時連通されている構成であってもよい。
1…サスペンションシステム、10…サスペンション装置、11…車輪保持部材、20…油圧シリンダ、21…ハウジング、22…ピストン、31…主アキュムレータ(高ガスばね)、32…副アキュムレータ(低ガスばね)、50…油圧制御回路、51…個別給排通路、52…個別レート切替通路、53…個別バイパス通路、54…共通給排通路、61…レベリングバルブ、62…ばね切替バルブ、63…バイパスバルブ、70…作動油給排装置、71…ポンプ装置、71a…ポンプ、71b…ポンプモータ、72…リザーバタンク、73…チェックバルブ、74…リターンバルブ、80…元バルブ対、81…第1元バルブ、82…第2元バルブ、90…油圧センサ、100…電子制御ユニット(ECU)、110…運動検出センサ、120…操作検出センサ、W…車輪。

Claims (1)

  1. 車両の左右前後輪のそれぞれにおいて車輪保持部材と車体との間に設けられ、作動油を収容して前記車輪保持部材と前記車体との間の距離変化に合わせて伸縮する油圧シリンダと、
    前記左右前後輪の各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダに連通して油圧系のばねとして機能する第1ガスばね、および、第2ガスばねと、
    前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダと前記第2ガスばねとの連通を許容する状態と遮断する状態とに切り替え可能なばね切替バルブと、
    前記各油圧シリンダに対して作動油の供給および排出を行うためのポンプ、および、リザーバタンクを有する作動油給排装置と、
    前記作動油給排装置に接続され作動油の流れる流路となる給排元通路、および、前記給排元通路の開閉を行う第1元バルブと第2元バルブとを並列に備えた元バルブ対を有する給排油圧制御回路と、
    前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記油圧シリンダのそれぞれと前記給排元通路とを連通させる作動油の流路である車高調整用通路、および、前記車高調整用通路の開閉を行う車高調整用バルブを有する車高調整用油圧制御回路と、
    前記各油圧シリンダに対応して設けられ、前記ばね切替バルブおよび前記車高調整用バルブをバイパスして、前記第2ガスばねのそれぞれと前記給排元通路とを連通させる作動油の流路であるバイパス通路、および、前記バイパス通路の開閉を行うバイパスバルブを有する第2ガスばね用油圧制御回路と、
    前記元バルブ対に対して前記油圧シリンダ側であって、前記バイパスバルブに対して前記元バルブ対側であり前記車高調整用バルブに対して前記元バルブ対側となる作動油の流路に設けられ、前記流路の油圧を検出する油圧センサと、
    車高を上昇方向に調整する場合、前記第1元バルブと前記第2元バルブとを開弁状態に制御するとともに、車高調整対象輪の前記ばね切替バルブおよび前記バイパスバルブを閉弁させた状態で、車高が目標車高に達するまで車高調整対象輪の前記車高調整用バルブを開弁状態に制御して前記作動油給排装置により前記油圧シリンダに作動油を供給し、車高が目標車高に達したときの前記油圧センサにより検出された油圧を記憶し、車高調整対象輪の前記ばね切替バルブおよび前記車高調整用バルブを閉弁させた状態で、車高調整対象輪の前記第2ガスばねの油圧が前記記憶した油圧と等しくなるまで前記バイパスバルブを開弁状態に制御して前記作動油給排装置により前記第2ガスばねに作動油を供給する車高上昇制御手段と、
    車高を下降方向に調整する場合、前輪と後輪とで同時に車高調整を行わずに、前輪の車高を下降させる場合には、前記第1元バルブを開弁状態、前記第2元バルブを閉弁状態、前輪の少なくとも前記車高調整用バルブを開弁状態とする第1制御状態に制御して、前記前輪の前記油圧シリンダの作動油を前記作動油給排装置に戻し、後輪の車高を下降させる場合には、前記第2元バルブを開弁状態、前記第1元バルブを閉弁状態、後輪の少なくとも前記車高調整用バルブを開弁状態とする第2制御状態に制御して、前記後輪の前記油圧シリンダの作動油を前記作動油給排装置に戻す車高下降制御手段と、
    前記車高下降制御手段が前記第1制御状態に制御したときに前記油圧センサの検出値の変化、および、前記前輪の車高の変化が検出されなかった場合、前記第2元バルブを閉弁状態から開弁状態に切り替え、そのときに前記油圧センサの検出値の変化、および、前記前輪の車高の変化が検出された場合に、前記第1元バルブが異常であると判定し、前記車高下降制御手段が前記第2制御状態に制御したときに前記油圧センサの検出値の変化、および、前記後輪の車高の変化が検出されなかった場合、前記第1元バルブを閉弁状態から開弁状態に切り替え、そのときに前記油圧センサの検出値の変化、および、前記後輪の車高の変化が検出された場合に、前記第2元バルブが異常であると判定する異常検出手段と
    を備えたサスペンションシステム。
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