JP2019070645A - ペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法及び免疫測定方法 - Google Patents

ペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法及び免疫測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ロットによる反応性のばらつきが少ないペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法及びこれを用いた免疫測定方法を提供することを目的とする。【解決手段】ペルオキシダーゼで標識した抗体(A)とグリシン及び/又はその塩(B)とを含む水溶液(X)を25〜60℃で熟成する工程(I)をn個含み、nは1以上の整数であり、工程(I)がn個ある場合は各工程(I)における熟成温度Ti(℃)と熟成時間Si(日)とが数式(1)及び(2)の関係を満たすペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法及び免疫測定方法に関する。
近年、臨床検査や免疫学などの分野で、操作が簡単なことから免疫反応を利用した測定法が多用されている。免疫測定法のうち、酵素標識を特徴とする酵素免疫測定法(EIA法)は、放射性同位体元素を用いている放射免疫測定法(RIA法)に比べて廉価で危険な廃棄物を伴わず、測定の感度と精度の面でも遜色のないことが知られている。
また、EIA法のうち固相を用いる場合はELISA法と称されるが、その中には競合法やサンドイッチ法などの改良された測定方法がある。
EIA法においては、一般的に酵素標識(特にペルオキシダーゼ標識)された抗体を用いるが、抗体は、水溶液中では反応性が低下してしまったり、ロットによって反応性のばらつきがある問題がある。特に、酵素標識された抗体は、ロットによる反応性のばらつきが大きい。
そこで、反応性が低下する問題を解決するために、酵素標識された抗体を牛血清アルブミン液で安定化する技術が知られている(特許文献1)。
特開平09−127114号公報
しかしながら、この方法では、ロットによる反応性のばらつきは依然解消されない。
本発明は、ペルオキシダーゼで標識された抗体(ペルオキシダーゼ標識抗体)の反応性が高く、ロットによる反応性のばらつきが少ないペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法及びこれを用いた免疫測定方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明はペルオキシダーゼで標識した抗体(A)とグリシン及び/又はその塩(B)とを含む水溶液(X)を25〜60℃で熟成する工程(I)をn個含み、nは1以上の整数であり、
n個ある各工程(I)における熟成温度Ti(℃)と熟成時間Si(日)とが下記数式(1)及び(2)の関係を満たすペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法;前記製造方法により得られたペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液を標識試薬として用いる免疫測定方法である。
Figure 2019070645
Figure 2019070645
本発明の製造方法により得られるペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液は、ロットによる反応性のばらつきが少ない。また、本発明の製造方法により得られる酵素標識抗体含有水溶液を用いた免疫測定方法は、ロットによる反応性のばらつきが少ない。
なお、本発明において、「ロットによる反応性のばらつきが少ない」とは、ペルオキシダーゼで標識された抗体の製造ロットが異なるものを用いて、本発明の製造方法によりペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液を製造し、同濃度の測定対象物質サンプルを測定した場合、発光量の不偏標準偏差が小さいことを意味する。
<ペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法>
本発明のペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法は、ペルオキシダーゼで標識した抗体(A)とグリシン及び/又はその塩(B)とを含む水溶液(X)を25〜60℃で熟成する工程(I)をn個含み、nは1以上の整数であり、
n個ある各工程(I)における熟成温度Ti(℃)と熟成時間Si(日)とが上記数式(1)及び(2)の関係を満たすペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法である。
なお、本発明において、熟成とは、水溶液(X)を、式(1)及び(2)を満たす条件で、時間放置することをいう。
本発明の製造方法によれば、ペルオキシダーゼで標識した抗体(A)を、グリシン及び/又はその塩(B)を含む水溶液中で25〜60℃で熟成させることにより、(A)の製造ロットが異なっていても、一定の水準まで活性を高めることができる。上記の熟成後の抗体は、(A)の製造ロットが異なっていても、活性が高い水準でそろっているため、結果としてロットによる反応性のばらつきが少なくなる。
したがって、本発明の製造方法により得られたペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液を標識試薬として用いて免疫測定すれば、反応性が高く、ロットによる反応性のばらつきが少ないので、感度が上がる、再現性が高くなる等の効果が期待できる。
なお、本発明の製造方法は上記工程(I)含んでいればよく、得られたペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液は冷蔵(4〜10℃)でさらに保管してもよい。
工程(I)において、熟成温度は、水溶液(X)の液温であり、前述の通り、25〜60℃である。60℃を超えると抗体が変性して反応性が悪くなる。また、25℃未満であると、反応性が向上しにくい。
なお、熟成温度は、小数点第一位を四捨五入した値を用いる。
本発明の製造方法において、水溶液(X)の液温が25〜60℃から外れる工程を有していても良いが、60℃を超える工程の時間は、1分以下であることが好ましく、30秒以下であることが更に好ましく、10秒以下であることが特に好ましく、1秒以下であることが最も好ましい。
ここで、上記数式(1)及び(2)は、例えばn=1の場合は、下記数式(3)の通り表すことができる。
Figure 2019070645
数式(3)は経験式であり、原理は明らかではないが、グリシン及び/又はその塩(B)の存在下、熟成温度T1(℃)で上記数式(3)の左辺以上の熟成時間S1(日)で熟成させることにより、抗体(A)がリフォールディングされ、反応性が向上すると考えられる。
また、抗体(A)は熱で変性しやすく、抗体(A)の温度と変性との関係が指数関数的であることから、上記数式(3)が導かれ、上記数式(3)の右辺より熟成時間S1が長くなると、抗体(A)の反応性が低下すると考えられる。
また、工程(I)がn個ある場合は、各工程(I)における熟成温度Ti(℃)と熟時時間Si(日)とが上記数式(1)及び(2)を満たすことにより、上記数式(3)を満たしたことと見なすことができ、同様に反応性を向上させることができる。
なお、本発明の製造方法において、熟成温度、即ち、水溶液(X)の液温が変化する場合は、その都度、別の工程(I)が実施されているとみなして、式(1)及び式(2)を計算する。上記数式(1)及び(2)を満たせば、工程(I)の個数は何個でもよい。
上述の通り、熟成温度は、小数点第一位を四捨五入した値を用いるため、小数点第一位を四捨五入した値が変化しない期間は、1個の工程(I)が実施されているとみなす。
本発明において、熟成時間Si(日)の最小単位は、1/(24×60)日(=1分)とし、工程(I)の開始は水溶液(X)の液温が最初に25〜60℃にあるいずれかの温度に達した時点である。1つの工程(I)の熟成時間は、1/(24×60)日以上であり、n個ある工程(I)は連続して行われてよく、水溶液(X)の液温が25〜60℃から外れる期間を挟んで断続的に行われても良い。
また、工程(I)の開始から熟成温度Tiを1/(24×60)日間隔で区切った場合、1/(24×60)日の期間の開始時の液温と終了時の液温とが異なるとき[すなわち、工程(I)の熟成温度Tiが1/(24×60)日以下の期間で変化したとき]には、当該1/(24×60)日の期間における熟成温度Tiの平均値(小数点第一位を四捨五入した値)を算出し、当該工程(I)における熟成温度Tiとして前記数式(1)及び(2)での計算に用いる。そして、1/(24×60)日の区切られた当該の期間における熟成温度Tiの平均値がその前後いずれかの期間における熟成温度Tiと変化していない場合は、その熟成温度Tiで行う1個の工程(I)が実施されているとみなす。
本発明において、工程(I)における水溶液(X)中にはペルオキシダーゼで標識した抗体(A)とグリシン及び/又はその塩(B)とを含む。
抗体(A)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明において、ペルオキシダーゼ(以下においてPODと略記することがある)としては、西洋わさび(Horseradish)由来のペルオキシダーゼ等が挙げられる。
前記の抗体(A)の原料となる抗体は、ペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液を標識試薬として用いて行う免疫測定の測定対象物質に応じて選択することができるが、例えば、哺乳類等由来のポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体、人工的に作製されたキメラ抗体、ヒト化抗体及び完全ヒト抗体等が使用できる。
具体的には、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgE等が挙げられる。
またこれらの抗体断片も抗体と同様に用いることができる。
抗体断片とは、完全長の抗体が有する特異的結合能の少なくとも一部を保持し、かつ、完全長よりも短い抗体をいい、具体的には、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fab&apos、scFv及びFv等の抗体断片が挙げられる。
上記原料となる抗体をペルオキシダーゼで標識する方法としては、例えば西洋ワサビ由来PODについては公知文献(エス・ヨシタケ、エム・イマガワ、イー・イシカワ、エトール;ジェイ.バイオケム,Vol.92,1982,1413−1424)に記載の方法等が挙げられる。
グリシン及び/又はその塩(B)において、塩としては、グリシン中のアミノ基が酸で中和された塩が含まれる。酸としては、塩酸及び硫酸等が挙げられる。グリシン塩として具体的には、グリシン塩酸塩及びグリシン硫酸塩等が挙げられる。
本発明において、水溶液(X)は、上記ペルオキシダーゼで標識した抗体(A)とグリシン及び/又はその塩(B)とを含む。
水溶液(X)中の抗体(A)の濃度は、安定性の観点から、(X)の体積を基準として、0.01〜100μg/mLであることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜50μg/mLである。
水溶液(X)中の(B)の含有量は、安定性の観点から、(X)の重量を基準として0.05〜10重量%が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。
工程(I)において、水溶液(X)中の(A)及び(B)の含有量は、n個ある工程(I)の熟成時間Siの合計のうち50%以上の時間において上記範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは60〜100%の時間において上記範囲内であることである。
水溶液(X)中には、さらに塩化ナトリウムを含有してもよい。
水溶液(X)中の塩化ナトリウムの含有量は、免疫反応性の観点から、(X)の重量を基準として0.1〜5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.2〜4重量%である。
工程(I)において、水溶液(X)中の塩化ナトリウムの含有量は、n個ある工程(I)の熟成時間Siの合計のうち50%以上の時間において上記範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは60〜100%の時間において上記範囲内であることである。
水溶液(X)は、水性溶媒(C)中に上記(A)、(B)及び必要により塩化ナトリウムを混合して製造してもよい。好ましくは、(B)及び必要により塩化ナトリウムを水性溶媒(C)中に混合したものに(A)を混合することである。
水性溶媒(C)としては、水及び緩衝液等が挙げられる。
緩衝液としては、生化学分野で一般的に用いられる各種緩衝液を用いることができ、例えばリン酸緩衝液、Tris−塩酸緩衝液及びクエン酸緩衝液等が挙げられる。
水溶液(X)のpH(25℃)は、免疫反応性の観点から、5.0〜9.0が好ましく、さらに好ましくは5.5〜8.5である。
また、全工程(I)中において、水溶液(X)のpHが上記の好ましい値となっている時間の割合は、n個ある工程(I)の熟成時間Siの合計を基準として、50%以上であることが好ましく、80%以上であることが更にこのましく、95%以上であることが特に好ましい。
本発明の製造方法は、例えば、水溶液(X)を容器(試験管及びマイクロチューブ等)に格納し、この容器を、恒温槽等を用いて式(1)及び式(2)を満たすように温調することで実施することができる。
本発明の製造方法により得られるペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液は、免疫測定における標識試薬として好適に用いることができる。
<免疫測定方法>
本発明の免疫測定方法は、上記ペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液(標識試薬)を用いればよく、上記ペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液以外に、下記固相担体試薬(D)、ルミノール発光試薬(E)及び過酸化物水溶液(F)等と組み合わせて行ってもよい。
固相担体試薬(D)としては、固相担体(G)に物質(H)が固定化された固相担体(GH)を含むものが挙げられる。
本発明において、固相担体(G)は、一般的にこの分野で使用されるものであれば特に限定されないが、例えばガラスビーズ、ポリスチレンビーズ、磁性シリカ粒子(G1)、マイクロプレート、ラテックス等が代表的なものとして挙げられる。
磁性シリカ粒子(G1)としては、特開2014−210680号公報及び特開2013−019889号公報等に記載の公知の磁性シリカ粒子等が挙げられる。
これらのうち、免疫反応性の観点から、磁性シリカ粒子(G1)が好ましい。
前記の磁性シリカ粒子(G1)としては、シリカのマトリックス中に体積平均粒子径が1〜15nmで超常磁性を有する金属酸化物を分散されているもの好ましい。超常磁性とは、外部磁場の存在下で物質の個々の原子磁気モーメントが整列し誘発された一時的な磁場を示し、外部磁場を取り除くと、部分的な整列が損なわれ磁場を示さなくなることをいう。
体積平均粒子径が1〜15nmで超常磁性を示す超常磁性金属酸化物としては、鉄、コバルト、ニッケル及びこれらの合金等の酸化物が挙げられるが、磁界に対する感応性が優れていることから、酸化鉄が特に好ましい。超常磁性金属酸化物は、1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
酸化鉄としては、公知の種々の酸化鉄を用いることができる。酸化鉄の内、特に化学的な安定性に優れることから、マグネタイト、γ−ヘマタイト、マグネタイト−α−ヘマタイト中間酸化鉄及びγ−ヘマタイト−α−ヘマタイト中間酸化鉄が好ましく、大きな飽和磁化を有し、外部磁場に対する感応性が優れていることから、マグネタイトが更に好ましい。
前記の磁性シリカ粒子(G1)中の超常磁性金属酸化物の含有量の下限は、60重量%が好ましく、さらに好ましくは65重量%であり、上限は95重量%が好ましく、さらに好ましくは80重量%である。
超常磁性金属酸化物の含有量が60重量%以上であると、得られた磁性シリカ粒子(G1)の磁性が十分であるため、実際の用途面における分離操作に時間がかからないので好ましい。また95重量%以下であると、合成が容易であるので好ましい。
なお、磁性シリカ粒子(G1)中の超常磁性金属酸化物の含有量は、特開2014−210680号公報及び特開2013−019889号公報等に記載の方法(走査型電子顕微鏡及びエネルギー分散型X線分光装置を用いた方法)により、測定することができる。
超常磁性金属酸化物の製造方法は、特に限定されないが、Massartにより報告されたものをベースとして水溶性鉄塩及びアンモニアを用いる共沈殿法(R.Massart,IEEE Trans.Magn.1981,17,1247)や水溶性鉄塩の水溶液中の酸化反応を用いた方法により合成することができる。
前記の磁性シリカ粒子(G1)の体積平均粒子径は、好ましくは1〜5μm、更に好ましくは1〜3μmである。平均粒子径が1μm以上であると、分離回収の際に時間がかからない傾向にあり、5μm以下であると、表面積が大きくなり、固定化する物質(対象物質、測定対象物質の類似物質又は測定対象物質と特異的に結合する物質)の結合量が多くなり、結合効率が上昇する傾向にある。
前記の磁性シリカ粒子(G1)の体積平均粒子径は、任意の200個の磁性シリカ粒子について走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製「JSM−7000F」)で観察して測定された粒子径の平均値である。
前記の磁性シリカ粒子(G1)の体積平均粒子径は、後述の水中油型エマルションを作製する際の混合条件(せん断力等)を調節して水中油型エマルションの粒子径を調整することにより制御することができる。また、磁性シリカ粒子製造時の水洗工程の条件変更や一般的な分級等の方法によっても平均粒子径を所望の値とすることができる。
前記の磁性シリカ粒子(G1)は、例えば体積平均粒子径が1〜15nmの超常磁性金属酸化物粒子、前記超常磁性金属酸化物粒子の重量に基づいて30〜500重量%の(アルキル)アルコキシシラン及び分散剤を含有する分散液と、水、水溶性有機溶媒、非イオン性界面活性剤及び(アルキル)アルコキシシランの加水分解用触媒を含有する溶液とを混合して水中油型エマルションを形成後、(アルキル)アルコキシシランの加水分解反応及び縮合反応を行い、超常磁性金属酸化物がシリカに包含された磁性シリカ粒子の水性分散体が得た後、磁性シリカ粒子の水性分散体を遠心分離及び/又は集磁により固液分離し、水又はメタノール等で洗浄することにより得られる。
上記及び以下において、(アルキル)アルコキシシランとは、アルキルアルコキシシラン及び/又はアルコキシシランを意味する。
前記の磁性シリカ粒子(G1)は、超常磁性金属酸化物がシリカに包含され、粒子表面に存在しないことから、多くの測定対象物質、測定対象物質の類似物質、又は測定対象物質と特異的に結合する物質をその表面に固定化することができる。
本発明において、固相担体(G){好ましくは磁性シリカ粒子(G1)}に、物質(H)を固定化し、固相担体(G)の表面に物質(H)が固定化された固相担体(GH)を製造する方法としては、上述の(G)に物質(H)を物理吸着させる方法が挙げられるが、より効率良く物質(H)等を固定化させる観点から、グルタルアルデヒド、アルブミン、カルボジイミド、ストレプトアビジン、ビオチン及び官能基を有するアルキルアルコキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の有機化合物を(G)表面に結合させ、それらを介して物質(H)等を(G)に固定化させるのが好ましい。これらの有機化合物の内、特定の物質(H)等を結合させる観点から、官能基を有するアルキルアルコキシシランが更に好ましい。
前記の官能基としては、エチレン性不飽和基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基及びイソシアネート基等が挙げられる。
物質(H)としては、検体中の測定対象物質及び標識試薬中の抗体(A)にもよるが、例えば、ヌクレオチド鎖(オリゴヌクレオチド鎖、ポリヌクレオチド鎖);染色体;ペプチド鎖(C−ペプチド、アンジオテンシンI等)、タンパク質〔例えばプロカルシトニン、免疫グロブリンA(IgA)、免疫グロブリンE(IgE)、免疫グロブリンG(IgG),免疫グロブリンM(IgM)、免疫グロブリンD(IgD)、β2−ミクログロブリン、アルブミン、これらの分解産物、フェリチン等の血清タンパク質〕;酵素〔アミラーゼ(膵型、唾液腺型、X型等)、アルカリホスファターゼ(肝性、骨性、胎盤性、小腸性等)、酸性ホスファターゼ(PAP等)、γ−グルタミルトランスファラーゼ(腎性、膵性、肝性等)、リパーゼ(膵型、胃型等)、クレアチンキナーゼ(CK−1、CK−2、mCK等)、乳酸脱水素酵素(LDH1〜LDH5等)、グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ(ASTm,ASTs等)、グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALTm、ALTs等)、コリンエステラーゼ(ChE1〜ChE5等)、ロイシンアミノペプチダーゼ(C−LAP、AA、CAP等)、レニン、プロテインキナーゼ、チロシンキナーゼ等〕及びこれら酵素のインヒビター、ホルモン(PTH、TSH、インスリン、LH、FSH、プロラクチン等)、レセプター(エストロゲン、TSH等に対するレセプター);リガンド(エストロゲン、TSH等);細菌(結核菌、肺炎球菌、ジフテリア菌、髄膜炎菌、淋菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、腸内細菌、大腸菌、ヘリコバクター・ピロリ等)、ウイルス(ルベラウイルス、ヘルペスウイルス、肝炎ウイルス、ATLウイルス、AIDSウイルス、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、ポリオウイルス、EBウイルス、HAV、HBV、HCV、HIV、HTLV等)、真菌(カンジダ、クリプトコッカス等)、スピロヘータ(レプトスピラ、梅毒トレポネーマ等)、クラミジア、マイコプラズマ等の微生物;当該微生物に由来するタンパク質、ペプチド又は糖鎖抗原;気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎等のアレルギーの原因となる各種アレルゲン[ハウスダスト、ダニ類(コナヒョウダニ、ヤケヒョウダニ等)、花粉(スギ、ヒノキ、スズメノヒエ、ブタクサ、オオアワガエリ、ハルガヤ、ライムギ等)、動物(ネコ,イヌ,カニ等)、食物(米、卵白等)、真菌、昆虫、木材、薬剤、化学物質等に由来するアレルゲン等];脂質(リポタンパク質等);プロテアーゼ(トリプシン、プラスミン、セリンプロテアーゼ等);腫瘍マーカータンパク抗原(PSA、PGI、PGII等);糖鎖抗原〔AFP(L1からL3等)、hCG(hCGファミリー)、トランスフェリン、IgG、サイログロブリン、Decay−accelerating−factor(DAF)、癌胎児性抗原(CEA、NCA、NCA−2、NFA等)、CA19−9、PIVKA−II、CA125、CA15−3、前立腺特異抗原、トロポニンT(TnT)、ヒト脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT−proBNP)等の心疾患抗原、癌細胞が産生する特殊な糖鎖を有する腫瘍マーカー糖鎖抗原、ABO糖鎖抗原等〕;糖鎖(ヒアルロン酸、β−グルカン、上記糖鎖抗原等が有する糖鎖等);糖鎖に結合するタンパク質(ヒアルロン酸結合タンパク、βグルカン結合タンパク等);リン脂質(カルジオリピン等);リポ多糖(エンドトキシン等);化学物質(T3、T4、トリブチルスズ、ノニルフェノール、4−オクチルフェノール、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジシクロヘキシル、ベンゾフェノン、オクタクロロスチレン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル等の環境ホルモン);人体に投与・接種される各種薬剤及びこれらの代謝物;アプタマー;核酸結合性物質、これらに対する抗体が挙げられる。
尚、本発明において用いられる抗体には、パパイン及びペプシン等の蛋白質分解酵素、並びに、化学的分解により生じるFab、F(ab’)2フラグメント等の分解産物等が挙げられる。
ルミノール発光試薬(E)としては、2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物及び化学発光増強剤を必須構成成分としてなるルミノール発光試薬等が挙げられる。
過酸化物水溶液(F)は、過酸化物及び水を必須構成成分としてなる過酸化物水溶液である。
ルミノール発光試薬(E)において、2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物としては、例えば、特開平2−291299号公報、特開平10−319015号公報及び特開2000−279196号公報等に記載の公知の2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物及びこれらの混合物等が使用できる。
これらの内、ルミノール、イソルミノール、N−アミノヘキシル−N−エチルイソルミノール(AHEI)、N−アミノブチル−N−エチルイソルミノール(ABEI)及びこれらの金属塩(アルカリ金属塩等)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、更に好ましいのはルミノール及び/又はその金属塩、特に好ましいのはルミノールのナトリウム塩である。
化学発光増強剤としては、例えば、特開昭59−500252号公報、特開昭59−171839号公報及び特開平2−291299号公報等に記載の公知の化学発光増強剤及びこれらの混合物等が使用できる。
これらの内、化学発光増強効果等の観点から、フェノール系化合物が好ましく、更に好ましいのはP−ヨードフェノール、4−(シアノメチルチオ)フェノール及び4−シアノメチルチオ−2−クロロフェノールからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、特に好ましいのは4−(シアノメチルチオ)フェノールである。
ルミノール発光試薬(E)には、2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物及び化学発光増強剤以外に、緩衝液及び/又はキレート剤等を含むことができる。
緩衝液としては、例えば、特開平10−319015号公報及び特開2003−279489号公報等に記載の公知の緩衝液等が使用できる。
これらの内、化学発光増強効果及び保存安定性等の観点から、3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液、2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸・1水和物/水酸化ナトリウム緩衝液及びピペラジニル−1,4−ビス(2−ヒドロキシ−3−プロパンスルホン酸)・2水和物/水酸化ナトリウム緩衝液が好ましく、更に好ましいのは3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液及び2−ヒドロキシ−3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸・1水和物/水酸化ナトリウム緩衝液であり、特に好ましいのは3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液である。
緩衝液は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
キレート剤としては、例えば、特開平9−75099号公報及び特開2003−279489号公報等に記載の公知のキレート剤等が使用できる。
これらの内、化学発光増強効果及び保存安定性等の観点から、4配位キレート剤が好ましく、更に好ましいのはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩(エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸三ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二カリウム及びエチレンジアミン四酢酸三カリウム等)並びにトランス−1,2ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸(CyDTA)であり、特に好ましいのはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及び/又はその塩である。
キレート剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ルミノール発光試薬(E)は、液体であることが好ましく、また、酵素の蛍光強度の観点からはアルカリ性であることが好ましい。
(E)のpHは、7〜11が好ましく、更に好ましくは8〜10である。
なお、本発明において、pHは、JIS K0400−12−10:2000に準拠して測定される(測定温度25℃)。
ルミノール発光試薬(E)は、2,3−ジヒドロ−1,4−フタラジンジオン化合物、化学発光増強剤並びに必要により緩衝液及び/又はキレート剤を均一混合することにより容易に得ることができる。
過酸化物水溶液(F)が含有する過酸化物としては、例えば、特開平8−261943号公報及び特開2000−279196号公報等に記載の公知の酸化剤等[無機の過酸化物(過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム及び過ホウ酸カリウム等)、有機過酸化物(過酸化ジアルキル及び過酸化アシル等)、ペルオキソ酸化合物(ペルオキソ硫酸及びペルオキソリン酸等)等]の水溶液が挙げられる。
これらの内、保存安定性等の観点から、過酸化水素水溶液、過ホウ酸ナトリウム水溶液及び過ホウ酸カリウム水溶液が好ましく、更に好ましいのは過酸化水素水溶液である。
過酸化物は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
過酸化物水溶液(F)が含有する水としては、蒸留水、逆浸透水及び脱イオン水等が挙げられる。これらの内、化学発光増強効果及び保存安定性等の観点から、蒸留水及び脱イオン水が好ましく、更に好ましいのは脱イオン水である。
過酸化物水溶液(F)は、過酸化物及び水以外にキレート剤等を含むことができる。
キレート剤としては、上述のルミノール発光試薬に含むことができるキレート剤として例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
過酸化物水溶液(F)は、過酸化物、水及び必要によりキレート剤を均一混合することにより容易に得られる。
本発明の免疫測定方法は、試料中の測定対象物質を定量する免疫測定方法としてこの分野で一般的に行われる方法に用いることができ、例えば、文献[例えば、酵素免疫測定法第2版(石川栄治ら編集、医学書院)1982年]記載のサンドイッチ法、競合法及び特開平6−130063号公報記載の測定法に準じて行えばよい。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>
○表面に抗CA15−3モノクローナル抗体(H−1)を固定化した固相担体(GH−1)の作製
1重量%γ−アミノプロピルトリエトキシシラン含有水溶液40mLの入った蓋付きポリスチレン瓶に製造した磁性シリカ粒子(商品名:マグラピッド、三洋化成工業(株)製)40mgを加え、25℃で1時間反応させ、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去した。次いで脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌した後、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性シリカ粒子を洗浄した。この洗浄操作を5回行った。次いで、この洗浄後の磁性シリカ粒子を2重量%グルタルアルデヒド含有水溶液40mLの入った蓋付きポリスチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。そして、脱イオン水40mLを加えて蓋をし、ポリスチレン瓶をゆっくりと2回倒置攪拌したのち、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、液をアスピレーターで吸引除去して磁性シリカ粒子を洗浄した。この洗浄操作を10回行った。更にこの洗浄後の磁性シリカ粒子を抗CA115−3モノクローナル抗体(フナコシ(株)製)10μg/mLの濃度で含む0.02Mリン酸緩衝液(pH8.7)120mLの入った蓋付きポリスチレン瓶に加え、25℃で1時間反応させた。反応後、ネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を集磁後、抗CA15−3モノクローナル抗体含有リン酸緩衝液を除去した。次いで、磁性シリカ粒子を1重量%の牛血清アルブミン含有の0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0)40mLの入った蓋付きポリエチレン瓶に加え、25℃で12時間浸漬させた。これにより、抗CA15−3モノクローナル抗体を固定化した固相担体(GH−1)を得た。
<製造例2>
○ルミノール発光試薬(E)の調製:
ルミノールのナトリウム塩[シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製]0.7g及び4−(シアノメチルチオ)フェノール0.1gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。3−[4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル]プロパンスルホン酸/水酸化ナトリウム緩衝液(10mM、pH8.6)を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合して化学発光試薬第1液を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2〜10℃)保存した。
<製造例3>
○過酸化物水溶液(F)の調製:
過酸化水素[和光純薬工業(株)製、試薬特級、濃度30重量%]6.6gを1,000mLメスフラスコに仕込んだ。脱イオン水を溶液の容量が1,000mLになるように仕込み、25℃で均一混合して化学発光試薬第2液を調製した。測定に用いるまで冷蔵(2〜10℃)保存した。
<実施例1〜12及び比較例1〜9の水溶液の調製>
抗CA15−3モノクローナル抗体、西洋ワサビ由来POD(東洋紡製)を用い、文献(エス・ヨシタケ、エム・イマガワ、イー・イシカワ、エトール;ジェイ.バイオケム,Vol.92,1982,1413−1424)に記載の方法で、POD標識抗CA15−3抗体を調製した。これを0.5重量%牛血清アルブミン、4重量%グリシン及び2重量%塩化ナトリウムを含有する0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0、25℃)で、POD標識CA15−3抗体濃度として20μg/mLの濃度に希釈し、ペルオキシダーゼで標識した抗体(以下において標識抗体と略記することがある)(A)及びグリシン(B)を含有する水溶液(X1)を調整し(pH7.0、25℃)、ロット1の水溶液とした。
また同様の方法にて、水溶液(X2)、水溶液(X3)、水溶液(X4)及び水溶液(X5)を、作成日をそれぞれ変えて調整し(pH7.0、25℃)、それぞれロット2〜5の水溶液とした。
得られた水溶液(X1)〜(X5)を、それぞれ22個の0.2mLマイクロチューブに、0.1mLずつ小分けし、22個の内の14個はそれぞれ、下記の実施例1〜8及び比較例1〜6に用い、22個の内の7個はそれぞれ、下記の実施例9〜12及び比較例7〜9に用い、残りの1個は未熟成の水溶液とした。
<実施例1〜8及び比較例1〜6の水溶液の熟成>
上記の22個に小分けしたマイクロチューブの内、14個をそれぞれ、表1に記載の熟成温度T1(℃)で表1に記載の熟成時間S1(日)熟成させた。
なお、実施例1〜8は、工程(I)を1個有する製造方法であり、工程(I)のうち100%時間において、水溶液(X)中の抗体(A)及び(B)の濃度が上記範囲である製造方法に該当するものである。また、熟成温度を変化させる場合は、マイクロチューブを移動させることで、瞬時にマイクロチューブ周囲の温度を所定の熟成温度と同じ温度に変化させ、各水溶液(X)の液温も瞬時に変化したものとした。
<実施例9〜12及び比較例7〜9の水溶液の熟成>
上記の22個に小分けしたマイクロチューブの内の7個を、表2に記載の熟成温度T1(℃)で表2に記載の熟成時間S1(日)熟成させた。その後、表2に記載の熟成温度T2(℃)で表2に記載の熟成時間S2(日)熟成させた。次に、実施例11、12及び比較例9については、表2に記載の熟成温度T3(℃)で表2に記載の熟成時間S3(日)熟成させた。
なお、実施例9〜12は、工程(I)を2個または3個有する製造方法であり、工程(I)のうち100%時間において、水溶液(X)中の抗体(A)及び(B)の濃度が上記範囲である製造方法に該当するものである。また、熟成温度を変化させる場合は、マイクロチューブを移動させることで、瞬時にマイクロチューブ周囲の温度を所定の熟成温度と同じ温度に変化させ、各水溶液(X)の液温も瞬時に変化したものとした。
<実施例13〜15の水溶液の調製>
実施例1において、0.02Mリン酸緩衝液中、「4重量%グリシン及び2重量%塩化ナトリウム」に代えて、表3に記載のものを表3に記載の量含有する緩衝液を用いる以外は同様にして、実施例13〜15水溶液を調製した(それぞれロット1〜5の水溶液を調製した)。
なお、実施例13の水溶液は、pH7.0(25℃)の水溶液を調製後、N塩酸を加え、pH6.5(25℃)に調整したものを用いた。また、実施例14の水溶液は、pH7.0(25℃)の水溶液を調製後、1N水酸化ナトリウム水溶液を加えpH7.8(25℃)に調整したものを用いた。
各得られた水溶液(X1)〜(X5)を、それぞれ2個の0.2mLマイクロチューブに、0.1mLずつ小分けし、その内の1個を以下の熟成に用い、残りの1個は未熟成の水溶液とした。
<実施例13〜15の水溶液の熟成>
上記の2個に小分けしたマイクロチューブの内の1個を、表3に記載の熟成温度T1(℃)で表3に記載の熟成時間S1(日)熟成させた。その後、表3に記載の熟成温度T2(℃)で表3に記載の熟成時間S2(日)熟成させた。次に、実施例14については、表3に記載の熟成温度T3(℃)で表3に記載の熟成時間S3(日)熟成させた。
なお、実施例13〜15は、工程(I)を2個または3個有する製造方法であり、工程(I)のうち100%時間において、水溶液(X)中の抗体(A)及び(B)の濃度が上記範囲である製造方法に該当するものである。また、熟成温度を変化させる場合は、マイクロチューブを移動させることで、瞬時にマイクロチューブ周囲の温度を所定の熟成温度と同じ温度に変化させ、各水溶液(X)の液温も瞬時に変化したものとした。
実施例1〜15及び比較例1〜9の熟成させた水溶液(X1)〜(X5)及び未熟成の水溶液(X1)〜(X5)をそれぞれ標識試薬として用いて、下記の標識試薬の評価方法に基づき、評価した。結果を表1〜3に示す。なお、未熟成の水溶液については、7℃で作製し、作製してから5℃で保管し、作製してから24時間以内のものを用いた。
Figure 2019070645
Figure 2019070645
Figure 2019070645
<標識試薬の評価方法>
0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0、25℃)を用いて、CA15−3濃度が5U/mLの溶液(1)及びCA15−3濃度が0U/mLの溶液(2)を調整した。
2つの試験管に固相担体(GH−1)0.025mLをそれぞれ入れ、調整した2種の溶液(1)〜(2)を0.025mL入れて混合し、試験管中で37℃3分間反応させ、抗CA15−3抗体結合磁性シリカ粒子/CA15−3複合体を形成させた。
反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離した。その後、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を3回行った。
続いて、標識試薬を0.025mLを試験管に注入し、試験管中で37℃3分間反応させ、抗CA15−3抗体結合磁性シリカ粒子/CA15−3/POD標識抗CA15−3抗体複合体を形成させた。反応後、試験管の外側からネオジウム磁石で磁性シリカ粒子を10秒間集め、試験管中の液をアスピレーターで除き、ネオジウム磁石を側面から十分に離した。その後、生理食塩水0.5mLを加えて磁性シリカ粒子を分散させて集磁後、アスピレーターで液を除く洗浄操作を2回行った。
最後に、ルミノール発光試薬(E)0.07mLと過酸化物水溶液(F)0.07mLとを同時に加え、37℃で45秒間発光反応させ、化学発光試薬を添加後43〜45秒の平均発光量をルミノメーター[ベルトールドジャパン社製「Lumat LB9507」]で測定した。
得られた発光量を元に、下記値を求めた。結果を表1に示す。
<水溶液(Xn)の反応性の変化(n=1〜5)>
溶液(1){CA15−3濃度が5U/mL}を用いた場合の発光量から、未熟成の水溶液(Xn)を標識試薬として用いた場合の発光量をJ(Xn)、熟成させた水溶液(Xn)を標識試薬として用いた場合の発光量をK(Xn)として、以下の計算式で算出した。
水溶液(Xn)の反応性の変化=K(Xn)/J(Xn)
なお、数値が1よりも大きくなればなるほど抗体の反応性が向上したことを示す。
<ロットによる反応性のばらつき>
熟成させた水溶液(Xn)(n=1〜5)を用いて溶液(1)の免疫測定を行った場合の発光量K1(Xn)と、熟成させた水溶液(Xn)を用いて溶液(2){CA15−3濃度が0U/mL}の免疫測定を行った場合の発光量K0(Xn)との差Ln[=K1(Xn)−K0(Xn)]を、各ロットについて算出した。次に、5つのロットの各Lnについて、不偏標準偏差を算出し、これを「ロットによる反応性のばらつき」の指標とした。
なお、得られた不偏標準偏差の値が小さいほど、標識抗体のロットによる反応性のばらつきが小さいことを意味しており、ロット差がない標識試薬であることを示す。
<実施例16〜20及び比較例10〜17の水溶液の調製並びに熟成>
実施例1において、0.02Mリン酸緩衝液中、「4重量%グリシン及び2重量%塩化ナトリウム」に代えて、表4に記載のものを表4に記載の量含有する緩衝液を用いる以外は同様にして実施例16〜20の水溶液(X)及び比較例10〜17の比較用の水溶液(X’)を作成した(それぞれロット1の水溶液を作成した)。
作成した水溶液をそれぞれ2個の0.2mLマイクロチューブに0.1mLずつ小分けして、1つを40℃で8日間熟成させた。
また、標識抗体の安定性を評価するために、参考としてもう一つを40℃で15日間熟成させた。
なお、熟成温度を変化させる場合は、マイクロチューブを移動させることで、瞬時にマイクロチューブ周囲の温度を所定の熟成温度と同じ温度に変化させ、各水溶液(X)の液温も瞬時に変化したものとした。
<実施例21の水溶液の調製及び熟成>
実施例17における水溶液(X)(pH7.0、25℃)に1N塩酸を加え水溶液(X)(pH5.5、25℃)を作成した。
作成した水溶液をそれぞれ2個の0.2mLマイクロチューブに0.1mLずつ小分けして、1つを40℃で8日間熟成させた。
また、標識抗体の安定性を評価するために、参考としてもう一つを40℃で15日間熟成させた。
なお、熟成温度を変化させる場合は、マイクロチューブを移動させることで、瞬時にマイクロチューブ周囲の温度を所定の熟成温度と同じ温度に変化させ、各水溶液(X)の液温も瞬時に変化したものとした。
<実施例22の水溶液の調製及び熟成>
実施例17における水溶液(X)(pH7.0、25℃)に1N水酸化ナトリウム水溶液を加え水溶液(X)(pH8.5、25℃)を作成した。
作成した水溶液をそれぞれ2個の0.2mLマイクロチューブに0.1mLずつ小分けして、1つを40℃で8日間熟成させた。
また、標識抗体の安定性を評価するために、参考としてもう一つを40℃で15日間熟成させた。
また、熟成温度を変化させる場合は、マイクロチューブを移動させることで、瞬時にマイクロチューブ周囲の温度を所定の熟成温度と同じ温度に変化させ、各水溶液(X)の液温も瞬時に変化したものとした。
Figure 2019070645
<標識抗体の反応性>
実施例16〜22及び比較例10〜17で得た40℃で8日間熟成させた水溶液を用いて、溶液(3){0.02Mリン酸緩衝液(pH7.0、25℃)を用いてCA15−3濃度150U/mLに調整した溶液}の免疫測定を上記「標識試薬の評価方法」に準じて実施し、発光量を測定した。結果を表4に示す。なお、発光量が高いほど反応性が高いことを示す。
<標識抗体の安定性>
実施例16〜22及び比較例10〜17で得た40℃で8日間又は40℃で15日間熟成させた水溶液を用いて、溶液(1){CA15−3濃度が5U/mL}の免疫測定を上記「標識試薬の評価方法」に準じて実施し、発光量を測定した。40℃で8日間熟成させた水溶液を用いて測定した発光量K8と、40℃で15日間熟成させた水溶液を用いて測定した発光量K15とから、下記式により標識抗体の安定性を評価した。結果を表4に示す。
安定性(%)=K15/K8
なお、値が大きい(100%に近い)ほど、製造後長期間保管しても反応性が変化しにくく、長期間安定な標識試薬であることを意味する。
表1の結果から、ペルオキシダーゼで標識した抗体(A)とグリシン及び/又はその塩(B)とを含む水溶液(X)を25〜60℃で熟成する工程(I)を含み、工程(I)における熟成温度Ti(℃)と熟成時間Si(日)とが数式(1)及び(2)の関係を満たす実施例1〜15で得られたペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液は、発光量の不偏標準偏差が小さく、ロットによる反応性のばらつきが少ない。
これは、反応性の変化の評価から分かるように、本発明の製造方法を実施した結果、各ロットの反応性が高い方の水準にあわさっているためである。
さらに、表4の結果から、本発明の実施例16〜22で得られたペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液は、水溶液(X)中にグリシン又はグリシンと塩化ナトリウムとを含むことにより、発光量が高いことから、反応性が高いことがわかる。また、40℃で15日間熟成させた場合、40℃で8日間熟成させたものと比較して、反応性が86〜93%に低下しているものの、他の化合物を用いた比較例10〜17の25〜80%よりも高く、長期間保管することによる反応性の低下が少なく、安定性が高いことがわかる。
本発明の製造方法により得られるペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液は、ロットによる反応性のばらつきが少ないので、本発明のペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液を標識試薬として用いた免疫測定方法は、酵素免疫測定法(EIA法)等の臨床検査に幅広く適用できる。また、本発明の製造方法により得られるペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液は、上記測定方法に用いるのに適したものであり、同様に、酵素免疫測定法の臨床検査薬として用いることができる。

Claims (6)

  1. ペルオキシダーゼで標識した抗体(A)とグリシン及び/又はその塩(B)とを含む水溶液(X)を25〜60℃で熟成する工程(I)をn個含み、nは1以上の整数であり、
    n個ある各工程(I)における熟成温度Ti(℃)と熟成時間Si(日)とが下記数式(1)及び(2)の関係を満たすペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法。
    Figure 2019070645
    Figure 2019070645
  2. 水溶液(X)のpH(25℃)が5.0〜9.0である請求項1に記載のペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法。
  3. n個ある工程(I)の熟成時間Siの合計のうち50%以上の時間において、水溶液(X)中の前記(A)の濃度が(X)の体積を基準として0.1〜100μg/mLであり、水溶液(X)中の前記(B)の含有量が(X)の重量を基準として0.05〜10重量%である請求項1又は2に記載のペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法。
  4. 水溶液(X)中に、さらに塩化ナトリウムを含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法。
  5. n個ある工程(I)の熟成時間Siの合計のうち50%以上の時間において、水溶液(X)の塩化ナトリウムの含有量が(X)の重量を基準として0.1〜5重量%である請求項4に記載のペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法により得られたペルオキシダーゼ標識抗体含有水溶液を標識試薬として用いる免疫測定方法。
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