JP2019067618A - 空気電池の封入体、デバイスの封入体 - Google Patents

空気電池の封入体、デバイスの封入体 Download PDF

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Abstract

【課題】空気電池、または、空気電池を動作電源とするデバイスについて、使用前の状態では不所望な放電が生じないように維持することができるともに、使用開始時には、迅速、かつ、確実に空気電池からの発電を開始させ、デバイスが動作を開始するようにすること。【解決手段】空気電池の封入体100は、正極1側の表面に空気孔7が形成された外装体6を備えた空気電池10と、前記空気電池を収容するパッケージ部材20とを備え、前記空気電池が、前記空気孔が塞がれていない状態で前記パッケージ部材内に気密状態で封入されている。【選択図】図1

Description

本開示は、空気電池や、空気電池を動作電源として動作するウェアラブルのデバイスを、使用前に封入してある、空気電池の封入体、および、デバイスの封入体に関する。
近年、皮膚の表面に直接貼り付けることで体温や心拍数などの生体情報を取得できる、パッチタイプの医療用生体情報取得デバイスが普及し始めている。
このようなデバイスは、樹脂製の基材の表面に、皮膚に触れることで生体情報を取得可能な機能素子であるセンサ電極と、センサ電極からの情報を取得するとともに、例えばスマートフォンなどの別の機器に取得した情報を伝送する送信装置を含む駆動回路部と、駆動回路部の動作電源となる電池とが配置され、センサ電極部分以外の皮膚に面した部分に接着層が形成されることで、皮膚に貼り付けることができるパッチとして構成され、身体に直接貼り付けて使用されるウェアラブルの医療機器となっている。
このような医療機器の動作電源としては、ウェアラブルであるために要求される小型軽量性と、長時間動作させることが可能な電池容量の大きさとを考慮して、空気電池が用いられることが多い。
例えば、特許文献1には、ユーザの心拍数や呼吸、身体の移動状況などを各種センサで測定可能な生体計測パッチとして、センサ、プロセッサ、アプリケーション、送信機などを有する再利用可能なセンサデバイスと亜鉛空気電池として例示される電池とを、気泡層や接着層を含む複数の層が積層された廃棄可能なパッチデバイスに収容するものが開示されている。
また、特許文献2には、樹脂製基板に、センサや半導体装置を含む電子部品と、この電子部品の動作電源としてのコイン型の空気電池とが実装された医療用の絆創膏型の計測モジュールについて、基板を人体に接着させるための接着層を覆う保護シートが空気電池収容部の正極側を覆うシール部材を兼ねることで、保護シートを剥がして計測モジュールを人体に装着する際に、空気電池の正極に空気が接触して電力を供給し始めるものが開示されている。
特表2016−515022号公報 特開2017− 370号公報
空気電池は、空気中の酸素を正極活物質として用いるために、あらかじめ電池内に収容する必要が無く、体積当たりの電池容量が大きい。また、発電要素をシート状で構成して、全体として可撓性を有するシート状電池とすることができるなど、ウェアラブルなデバイスの動作電源として用いられる上での利点が大きい。
一方で、正極に空気中の酸素が触れると発電を始めて自己放電が起きてしまい、保管中に電池容量が低下する。このため、正極に空気を供給する空気孔をシール部材で塞いでおいて、実際に使用する前にこのシール部材を除去する必要があり、シール部材を除去しない状態では、空気電池が発電を行わず、空気電池を動作電源とするデバイスは動作を開始しない。
上記特許文献2では、絆創膏型の計測モジュールを身体に貼り付ける際に必ず行う、接着層を覆う保護シートを外す動作によって空気電池の空気孔が解放されるため、空気電池の空気孔を覆うシール部材の外し忘れを防止できる。しかし、接着層と空気電池の空気孔とは基本的に計測モジュールの反対側の面に位置するため、保護シートと一体化されたシール部材が大きくなり、計測モジュールの取り扱い上不便である。
本開示は、上記従来の課題を解決し、空気電池、または、空気電池を動作電源とするデバイスについて、使用前の状態では不所望な放電が生じないように維持することができるともに、使用開始時には、迅速、かつ、確実に空気電池からの発電を開始させ、デバイスが動作を開始するようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため本願で開示する空気電池の封入体は、正極側の表面に空気孔が形成された外装体を備えた空気電池と、前記空気電池を収容するパッケージ部材とを備え、前記空気電池が、前記空気孔が塞がれていない状態で前記パッケージ部材内に気密状態で封入されていることを特徴とする。
また、本願で開示するデバイスの封入体は、正極側の表面に空気孔が形成された外装体を備えた空気電池を動作電源として備えるデバイスと、前記デバイスを収容するパッケージ部材とを備え、前記デバイスが、前記空気電池の前記空気孔が塞がれていない状態で前記パッケージ部材内に気密状態で封入されていることを特徴とする。
本願で開示する空気電池の封入体、および、デバイスの封入体は、いずれも、空気電池の空気孔が塞がれていない状態で、その内部に、空気電池、または、デバイスが気密状態で封入されている。このため、使用開始時までに空気電池が動作を開始することを防止するとともに、実際の使用時に、空気孔を覆うシール部材を除去し忘れることを回避できる。
本実施形態にかかる空気電池の封入体から、シート状の空気電池を取り出す様子を説明するイメージ図である。 シート状の空気電池の構成を説明するための断面構成図である。 シート状の空気電池の構成を説明するための平面図である。 本実施形態にかかる空気電池の封入体から、コイン型の空気電池を取り出す様子を説明するイメージ図である。 コイン型の空気電池の構成を説明するための断面構成図である。 本実施形態にかかるデバイスの封入体から、パッチ型のデバイスを取り出す様子を説明するイメージ図である。 パッチ型デバイスの構成を説明するための断面構成図である。 デバイスの封入体に封入されるデバイスの別の構成を説明するための断面構成図である。
本開示にかかるシート電池の封入体は、正極側の表面に空気孔が形成された外装体を備えた空気電池と、前記空気電池を収容するパッケージ部材とを備え、前記空気電池が、前記空気孔が塞がれていない状態で前記パッケージ部材内に気密状態で封入されている。
本開示にかかる空気電池の封入体は、上記の構成を備えることで、密閉状態で封入されている使用前の空気電池が自己放電を続けて、電池容量が大きく低減してしまうことを防止できる。また、封入体から取り出すことで正極への空気の供給が開始されるため、使用前のシール部材の取り忘れが生じず、確実に空気電池の動作を開始できる。
本開示の空気電池の封入体において、前記パッケージ部材の内部に存在する気体の体積が、前記空気電池の体積の10%以下であることが好ましい。このようにすることで、封入から2年程度の間は、空気電池をその電池容量を十分保った状態で保管できる。
また、前記パッケージ部材の内部に存在する酸素の体積が、前記パッケージ内に存在する気体の体積の2%以下であることが好ましい。例えば封入体の内部に不活性ガスを封入するなどして、封入体内部の気体体積に対する酸素の比率を抑えることで、空気電池の自己放電を防止することができる。
また、本願で開示するデバイスの封入体は、正極側の表面に空気孔が形成された外装体を備えた空気電池を動作電源として備えるデバイスと、前記デバイスを収容するパッケージ部材とを備え、前記デバイスが、前記空気電池の前記空気孔が塞がれていない状態で前記パッケージ部材内に気密状態で封入されている。
本願で開示するデバイスの封入体は、上記の構成を備えることで、封入体に封入されている状態ではデバイスの動作が停止されているとともに、封入体から取り出すと空気電池に空気が供給されてデバイスへの電力の供給が開始されるため、シール部材の取り忘れのような過誤によって、デバイスが動作しないという不測の事態を回避できる。
本願で開示するデバイスの封入体において、前記デバイスが、前記空気電池の前記空気孔に連通する開口部を備えた外殻部材の内部に前記空気電池を収容していることが好ましい。このようにすることで、全体が外殻部材内に収容されている形態のデバイスにおいても、保管状態でのデバイスの動作を停止させるとともに、使用するために封入体からデバイスを取り出すことで、確実に空気電池の正極への空気の供給を開始させることができる。
また、前記パッケージ部材の内部に存在する気体の体積が、前記デバイスの体積の10%以下であることが好ましい。さらに、前記パッケージ部材の内部に存在する酸素の体積が、前記パッケージ内に存在する気体の体積の2%以下であることが好ましい。このようにすることで、空気電池の電池容量低下を良好に防止できる。
以下、本開示にかかる空気電池の封入体、および、デバイスの封入体について、図面を参照して説明する。
なお、本実施形態の説明で用いる空気電池やデバイスの構造を説明するための各図面は、各部材の形状とその配置位置の相互関係とをわかりやすく説明するものであり、各図に示した部材の大きさは、必ずしも実際の大きさを反映するものではない。
(実施の形態)
[シート状空気電池の封入体]
図1は、本実施形態にかかる空気電池の封入体から、シート状の空気電池を取り出す様子を示すイメージ図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる空気電池の封入体100は、内部に空気電池10が封入された、パッケージ部材としてのアルミラミネートフィルム製密閉袋20である。
図1中の左側の状態では、密閉袋20が完全な気密状態を保っているため、密閉袋20内に外部から空気が侵入することはない。このため、密閉袋20内に収容されている空気電池10は、正極側の外装体に形成された空気孔7を覆うシール部材が配置されていない状態であるものの、密閉袋20内に残存する分を除いて、正極に正極活物質である空気中の酸素が新たに供給されない状態で維持される。
ユーザが、空気電池10の使用を開始するために、図1中右側に示すように、密閉袋20を破断線21で破って内部から空気電池10を取り出すと、空気電池10の空気孔7が露出状態となって、空気電池の正極に酸素が供給されて電力の供給が開始される。
なお、密閉袋20は、アルミラミネートなど、樹脂製基材に金属膜が蒸着されるなどして空気の透過を防止できる、各種の気密性素材で構成することができる。また、ユーザが内部から空気電池10を容易に取り出すことができるように、気密袋20の側面のシール部分に切れ込みを形成するなど、破断線21が容易に定まるような構成とすることが好ましい。
以下、図3と図4とを用いて、本実施形態において密閉袋内に封入されていたシート状の空気電池の構成例について説明する。
図3は、シート状の空気電池の構成を説明するための断面構成図である。
図4は、シート状の空気電池を説明する上面から見た平面図である。
なお、図3は、図4において、A−A’で示す部分の断面を示している。また、便宜上、図3の上下方向を、本実施形態で説明する空気電池10の上下方向として説明する。
空気電池10は、正極1と負極2とを含む発電要素をはじめとする各部材をシート状に形成することで全体として可撓性を有するシート状に構成されている。
図3にその断面を示すように、本実施形態で説明するシート状の空気電池10は、それぞれがシート状に形成された、正極1と負極2、正極1と負極2との間に配置されたセパレータ3と、図示を省略する電解液とが、その周囲部分がシールされたいずれもシート状に形成された正極1側の外装体6と、負極2側の外装体5との間に密閉されて構成されている。また、正極1と、正極1側の外装体6との間には、空気を透過するが水分(電解液)は透過しない撥水膜4が配置されていて、正極1側の外装体6に形成された空気孔7から撥水膜4を介して、正極1に正極活物質である空気(酸素)が供給される。
なお、本実施形態で説明する空気電池10では、正極1側の外装体6に形成された空気孔7の表面は、シール部材などで覆われておらず、空気孔7が露出状態となっている。
(正極)
正極1は、触媒層を有するもの、例えば、触媒層と集電体とを積層した構造のものを使用することができる。
触媒層には、触媒やバインダなどを含有させることができる。
触媒層に係る触媒としては、例えば、銀、白金族金属またはその合金、遷移金属、Pt/IrO2などの白金/金属酸化物、La1-xCaxCoO3などのベロブスカイト酸化物、WCなどの炭化物、Mn4Nなどの窒化物、二酸化マンガンなどのマンガン酸化物、カーボン[黒鉛、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなど)、木炭、活性炭など]などが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が使用される。
なお、触媒層は、電解液の成分を除く重金属の含有量が、1質量%以下であることが好ましい。重金属の含有量が前記のように少ない触媒層を有する正極の場合、特別な処理などを経ずに廃棄しても環境負荷が小さい電池とすることができる。この点からも、触媒としては前述のカーボンを使用することがより好ましい。
また、正極の反応性をより高める観点からは、触媒として使用するカーボンの比表面積は、200m2/g以上であることが好ましく、300m2/g以上であることがより好ましく、500m2/g以上であることが更に好ましい。なお、カーボンの比表面積は、JIS K 6217に準じたBET法によって求められる値であり、例えば、窒素吸着法による比表面積測定装置を用いて測定することができる。なお、カーボンの比表面積の 上限値は、通常、2000m2/g程度である。
触媒層における触媒の含有量は、20〜70質量%であることが好ましい。
触媒層に係るパインダとしては、PVDF、PTFE、フッ化ビニリデンの共重合体やテトラフルオロエチレンの共重合体[フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HEP)、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVDF−CTFE)、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF−TFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF−HEP−TFE)など]などのフッ素樹脂バインダなどが挙げられる。これらの中でもテトラフルオロエチレンの重合体(PTFE)または共重合体が好ましく、PTFEがより好ましい。触媒層におけるパインダの含有量は、3〜50質量%であることが好ましい。
触媒層を有する正極の場合、例えば、前記触媒、バインダなどを水と混合してロールで圧延し、集電体と密着させることにより製造することができる。また前記の触媒や必要に応じて使用するバインダなどを、水や有機溶媒に分散させて調製した触媒層形成用組成物(スラリー、ペーストなど)を、集電体の表面に塗布し乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することもできる。
正極合剤層を有する正極や触媒層を有する正極に係る集電体には、例えば、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、銅などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル;カーボンの網、多孔質シート;などを用いることができる。正極に係る集電体の厚みは、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
また、正極の集電体には、シート状外装体を構成する樹脂製フィルムや、樹脂製フィルムと金属フィルムとの積層体の一部を利用することもできる。この場合、例えば、樹脂製フィルムや前記積層体の、シート状外装体の内面となることが予定される面にカーボンペーストを塗布して集電体としたり、前記積層体の金属層を集電体としたりし、この表面に前記と同様の方法で正極合剤層や触媒層を形成することで、正極とすることができる。前記のカーボンペースト層の厚みは、30〜300μmであることが好ましい。
(負極)
負極2には、亜鉛系材料やマグネシウム系材料(マグネシウム材料とマグネシウム合金材料とを纏めてこのように称する)、アルミニウム系材料(アルミニウム材料とアルミニウム合金材料とを纏めてこのように称する)などの金属材料を含有するものが使用される。このような負極では、亜鉛やマグネシウムやアルミニウムといった金属が、活物質として作用する。
金属材料を含有する負極の具体例としては、亜鉛系粒子(亜鉛粒子と亜鉛合金粒子とを纏めてこのように称する)やマグネシウム系粒子(マグネシウム粒子とマグネシウム合金粒子とを纏めてこのように称する)やアルミニウム系粒子(アルミニウム粒子とアルミニウム合金粒子とを纏めてこのように称する)などを含有する負極が挙げられる。
亜鉛合金粒子の合金成分としては、例えば、インジウム(例えば含有量が質量基準で0.005〜0.05%)、ビスマス(例えば含有量が質量基準で0.005〜0.05%)、 アルミニウム(例えば含有量が質量基準で0.001〜0.15%)などが挙げられる。
また、マグネシウム合金粒子の合金成分としては、例えば、カルシウム(例えば含有量が質量基準で1〜3%)、マンガン(例えば含有量が質量基準で0.1〜0.5%)、亜鉛(例えば含有量が質量基準で0.4〜1%)、アルミニウム(例えば含有量が質量基準で8〜10%)などが挙げられる。
さらに、アルミニウム合金粒子の合金成分としては、例えば、亜鉛(例えば含有量が質量基準で0.5〜10%)、スズ(例えば含有量が質量基準で0.04〜1.0%)、ガリウム(例えば含有量が質量基準で0.003〜1.0%)、ケイ素(例えば含有量が質量基準で0.05%以下)、鉄(例えば含有量が質量基準で0.1%以下)、マグネシウム(例えば含有量が質量基準で0.1〜2.05%)、マンガン(例えば含有量が質量基準で0.01〜0.5%)などが挙げられる。
金属粒子を含有する負極の場合、その金属粒子は、1種単独でもよく、2種以上であってもよい。
なお、電池の廃棄時の環境負荷の低減を考慮すると、負極に使用する金属材料は、水銀、カドミウム、鉛およびクロムの含有量が少ないことが好ましく、具体的な含有量が、質量基準で、水銀:0.1%以下、カドミウム:0.01%以下、鉛:0.1%以下、およびクロム:0.1%以下であることがより好ましい。
亜鉛系粒子の粒度としては、例えば、全粒子中、粒径が75μm以下の粒子の割合が50質量%以下のものが好ましく、30質量%以下のものがより好ましく、また、粒径が100〜200μmの粒子の割合が、50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であるものが挙げられる。
また、マグネシウム系粒子およびアルミニウム系粒子の粒度としては、例えば、全粒子中、粒径が30μm以下の粒子の割合が50質量%以下のものが好ましく、30質量%以下のものがより好ましく、また、粒径が50〜200μmの粒子の割合が、50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であるものが挙げられる。
なお、上記説明における金属粒子の粒度は、レーザー散乱粒度分布計を用い、粒子を溶解しない媒体に、これらの粒子を分散させて測定した、体積基準での累積頻度50%における粒径(D50)である。
金属粒子を含有する負極の場合には、必要に応じて添加されるゲル化剤(ポリアクリル酸ソーダ、カルボキシメチルセルロースなど)やバインダを含んでもよく、これに電解液を加えることで構成される負極剤(ゲル状負極など)を使用することができる。負極中のゲル化剤の量は、例えば、0.5〜1.5質量%とすることが好ましく、バインダの量は、0.5〜3質量%とすることが好ましい。
金属粒子を含有する負極に係る電解液には、電池に注入するものと同じものを使用することができる。
負極における金属粒子の含有量は、例えば、60質量%以上であることが好ましく、65質量%以上であることがより好ましく、また、95質量%以下であることが好ましく、90質量%以下であることがより好ましい。
金属粒子を含有する負極は、酸化インジウム、水酸化インジウムなどのインジウム化合物を含有していることが好ましい。負極がインジウム化合物を含有することによって、金属粒子と電解液との腐食反応による水素ガス発生をより効果的に防ぐことができる。
負極に使用するインジウム化合物の量は、質量比で、金属粒子:100に対し、0.03〜1であることが好ましい。
また、負極には、前記亜鉛系粒子と同じ組成の亜鉛系シート(亜鉛箔や亜鉛合金箔など)や、前記マグネシウム系粒子と同じ組成のマグネシウム系シート(マグネシウム箔やマグネシウム合金箔など)といった金属シートを用いることもできる。このような負極の場合、その厚みは、10〜500μmであることが好ましい。
また、金属材料を含有する負極には、必要に応じて集電体を用いてもよい。金属材料を含有する負極の集電体としては、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル;カーボンのシート、網;などが挙げられる。負極の集電体の厚みは、10μm以上300μm以下であることが好ましい。
負極の集電体には、前記正極の場合と同様に、シート状外装体の内面となることが予定される面にカーボンベーストを塗布して用いたり、シート状外装体を構成する金属層を用いたりすることができる。カーボンベースト層の厚みは、50〜200μmであることが好ましい。
(セパレータ)
セパレータ3としては、樹脂製の多孔質膜(微多孔膜、不織布など)や、セロファンフィルムに代表される半透膜などの、各種電池で一般的に採用されているセパレータが挙げられる。なお、シート状電池の短絡防止および負荷特性を向上させる観点からは、半透膜をセバレータに使用することが好ましい。
樹脂製の多孔質膜からなるセパレータを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンなどが挙げられる。
樹脂製のセバレータの場合、空孔率は30〜80%であることが好ましく、また、厚みは10〜100μmであることが好ましい。
また、セロファンフィルムなどの半透膜をセパレータに使用する場合、半透膜のみでセパレータを構成してもよい。しかしながら、半透膜は強度が小さいため、電池組み立て時の破損などの問題が発生しやすい。よって、特定の重合体で構成されるグラフトフィルムと、半透膜とを積層した積層体でセパレータを構成することも推奨される。
グラフトフィルムを構成するグラフト重合体は、例えば、幹ポリマーであるポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)に、(メタ)アクリル酸またはその誘導体が、グラフト重合した形態を有するものである。ただし、グラフト重合体は前記の形態を有していればよく、ポリオレフィンに、(メタ)アクリル酸やその誘導体をグラフト重合させる方法により製造されたものでなくともよい。
前記グラフト重合体を構成する(メタ)アクリル酸またはその誘導体とは、下記一般式(1)によって表されるものである。なお、下記一般式(1)のうち、R1はHまたはCH3であり、R2はHまたはNH4、Na、K、Rb、Csなどの親水性置換基を意味している。
Figure 2019067618
前記のグラフトフィルムやセロファンフィルムは、これらのフィルムを構成する重合体自身が、電解液を吸収してイオンを透過する機能を有するものである。
前記グラフトフィルムを構成するグラフト重合体は、下記式(2)で定義されるグラフト率が、160%以上であることが好ましい。グラフト重合体のグラフト率とグラフトフィルムの電気抵抗には相関関係があるため、グラフト率が上記のような値のグラフト重合体を用いることで、グラフトフィルムの電気抵抗が、20〜120mΩ・in2の好適値となるように制御することができる。なお、グラフトフィルムの電気抵抗は交流式電圧降下法(1kHz)により得られる値である。雰囲気温度を20〜25度とし、25プラスマイナス1度の40%KOH(比重:1.400プラスマイナス0.005)水溶液中にフィルムを浸潰し、5〜15時間後に取り出して、電気抵抗を測定すればよい。
グラフト率(%)=100×(A−B)/B (2)
式(2)中、A:グラフト重合体の質量(g)、B:グラフト重合体中の幹ポリマーの質量(g)である。
なお、前記式(2)の「B(グラフト重合体中の幹ポリマーの質量)」は、例えば、グラフト重合体を、幹ポリマーであるポリオレフィンに、(メタ)アクリル酸やその誘導体をグラフト重合させる方法で形成する場合には、このグラフト重合に用いる幹ポリマーの質量を予め測定しておけばよい。また、前記グラフト重合体において、グラフト率が100%を超える場合があるのは、グラフト重合に用いるモノマー[(メタ)アクリル酸やその誘導体]同士が重合して、グラフト分子が長鎖となる場合があるからである。前記式(2)で定義されるグラフト重合体のグラフト率の上限値は、400%であることが好ましい。なお、前記の「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸と メタクリル酸とを纏めて表現したものである。
セロファンフィルムのみで構成されるセパレータの場合、その厚みは、例えば、15μm以上であることが好ましく、また、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
さらに、グラフトフィルムとセロファンフィルムとの積層体で構成されるセパレータの場合、グラフトフィルムとセロファンフィルムとの合計厚みで、例えば、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、また、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。
さらに、グラフトフィルムとセロファンフィルムの積層体で構成されるセバレータの場合、グラフトフィルムの厚みは、例えば、15μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、また、30μm以下であることが好ましい。
セパレータを構成するためのグラフトフィルムとセロファンフィルムとの積層体としては、例えば、株式会社ユアサメンブレンシステムから「YG9132」や「YG9122」、「YG2152」の名称で市販されているものが挙げられる。
また、セロファンフィルムや、セロファンフィルムおよびグラフトフィルムと、ビニロン−レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを組み合わせてセパレータを構成しでもよい。このような吸液層の厚みは20〜500μmであることが好ましい。
(外装体)
シート状の外装体5、6を構成する樹脂フィルムとしては、ナイロンフィルム(ナイロン66フィルムなど)、ポリエステルフィルム[ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど]などが挙げられる。樹脂フィルムの厚みは、20〜100μmであることが好ましい。
シート状外装体5、6の封止は、正極1側のシート状外装体6の端部と負極2側の外装体5の端部との熱融着によって行うことが一般的であるが、この熱融着をより容易にする目的で、樹脂フィルムに熱融着樹脂層を積層してシート状外装体5、6として用いてもよい。熱融着樹脂層を構成する熱融着樹脂としては、変性ポリオレフィンフィルム(変性ポリオレフィンアイオノマーフィルムなど)、ポリプロピレンおよびその共重合体などが挙げられる。熱融着樹脂層の厚みが20〜100μmであることが好ましい。
また、樹脂フィルムには金属層を積層してもよい。金属層は、アルミニウムフィルム(アルミニウム箔。アルミニウム合金箔を含む。)、ステンレス鋼フィルム(ステンレス鋼箔。)などにより構成することができる。金属層の厚みが10〜150μmであることが好ましい。
また、シート状外装体5、6を構成する樹脂フィルムは、前記の熱融着樹脂層と前記の金属層とが積層された構成のフィルムであってもよい。
シート状外装体の形状は、空気電池として求められる形状として、平面視で四角形としたものを示している。しかし、空気電池10に用いられるシート状外装体5、6の平面視形状は四角形には限られず、使用される機器の形状や、空気電池が収容される部分の形状に合わせて、三角形、五角形、六角形、七角形、八角形などの多角形や、円形や楕円形であってもよい。
図2、図3に示したように、本実施形態で説明する空気電池10では、正極1側の外装体6の正極1と重なる部分に、空気孔7が形成されている。
空気孔7を介して、外部の空気が取り込まれて空気中の酸素が正極活物質として機能し、電力が供給される。なお、空気孔7は、一例として直径が50μmから1mm程度の円形の開口で、正極1側の外装体6にレーザー照射法や機械的なパンチング法などによって形成される。
図3では、空気孔7として、縦方向と横方向とにそれぞれ3個ずつ、合わせて9個の空気孔7がマトリクス状に形成されている例を示したが、空気孔7の個数や配置形状には制約はなく、正極1で必要とされる量の酸素が供給できる範囲で、平面視したときになるべく均等に分散させた形で配置することが好ましい。また、空気孔7の形状も、例示した略円形のものに限らず、矩形や、楕円形状などでもよい。
また本実施形態で説明する空気電池10では、正極1側の外装体6の一つの辺近傍の内側面、すなわち、負極2側の外装体5と対向する側の表面に、2つの電極端子9が形成されている。
電極端子9は、蒸着や印刷法などによって形成された金属薄膜やカーボンペーストなどの導電体で構成され、図3では上側に位置する一方が正極1とリード線8などによって接続されている。また、図示は省略するが、他方の電極端子9は、負極2と電気的に接続されている。図2、図3に示すように、負極2側の外装体5の端部を電極端子9の略中間部分に位置するようにシールすることで、電極端子9の一部を空気電池10の下側面に露出させることができ、電極端子9を空気電池10の下方に配置される駆動回路部20の電源端子21と接触させることができる。さらに、正極1側の外殻部材6において、電極端子9が形成されている部分に対向する負極2側の外装体5に開口部を設けることによって、電極端子9を空気電池10の下方側に露出させる構成とすることもできる。このようにして、駆動回路20の上に空気電池10が積層された状態で、空気電池10から駆動回路部20に駆動電力が供給できる。
なお、空気電池10の電極端子は、図示したように正極1側の外装体6の内側面に形成する方法の他に、負極2側の外装体5を貫通するようにビア構造で形成することによっても、空気電池10の下側に配置される駆動回路部の電源端子と接触させることができる。また、空気電池10の側方から、外方へ延出する電極端子を形成して、この電極端子に駆動回路部の電源端子を接続する構成とすることもできる。
また、上記実施形態では、空気電池10の2つの電極端子9を、空気電池10の一辺の近傍に並べて配置した例を示したが、空気電池10の2つの電極端子9の形成位置を離すことも可能であり、例えば、図2、図3における左側の辺の近傍に、2つめの電極端子9を配置する構成とすることもできる。
(撥水膜)
シート状の空気電池10の正極1と正極1側の外装体6との間には、撥水膜4が配置されている。撥水膜には、撥水性がある一方で空気を透過できる膜が使用される。このような撥水膜の具体例としては、PTFEなどのフッ素樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン;などの樹脂で構成された膜などが挙げられる。撥水膜の厚みは、50〜250μmとすることができる。
なお、正極1側の外装体6と接水膜4との聞に、外装体6内に取り込んだ空気を正極に供給するための空気拡散膜を配置してもよい。空気拡散膜には、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ナイロンなどの樹脂で構成された不織布を用いることができる。空気拡散膜の厚みは、100〜250μmとすることができる。
(電解液)
2つのシート状外装体5、6内に収容される電解液の電解質塩としては、特に限定はされないが、塩酸、硫酸および硝酸などより選択される強酸と、アンモニアや、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなど金属元素の水酸化物に代表される弱塩基との塩が好ましく用いられ、そのうち、アンモニウム塩または特定の金属元素の塩がより好ましく用いられる。
より具体的には、Cl-、SO4 2-、HSO4 -、および、NO3 -より選択される少なくとも1種のイオンと、Alイオン、Mgイオン、Feイオンおよびアンモニウムイオンより選択される少なくとも1種のイオンとの塩であり、硫酸アンモニウム、硫酸水素アンモニウム[(NH4)HSO4]、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウムなどのアンモニウム塩;硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩;硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化水酸化マグネシウム[MgCl(OH)]、硝酸マグネシウムなどのマグネシウム塩;硫酸鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)[(NH42Fe(SO42]、硫酸鉄(III)、塩化鉄(II)、硝酸鉄(II)などの鉄塩;が例示される。
このように、強酸と弱塩基との塩を含有する水溶液は、負極活物質である金属材料を腐食させる作用が比較的小さく、また、比較的高い導電率を有している。よって、良好な放電特性を実現することができる。
電解液のpHとしては、3以上12未満とすることで、安全性を向上させた、環境負荷が小さく、かつ、放電特性が良好な空気電池を実現することができる。なお、電解液のpHは、3以上、好ましくは5以上であって、12未満、好ましくは10以下、より好ましくは7未満である。前記の電解質塩を用いることにより、電解液のpHを前記範囲に調整しやすくなるだけでなく、皮膚への刺激性が比較的低い電解液を構成することができるので、例えば、電池の外装体が傷ついて電解液が漏出しデバイスの被装着者の皮膚などに付着した場合でも、トラブルを生じる可能性が低いため、身体に直接装着されるデバイスの電源として好適な電池とすることができる。
電解液として使用する水溶液は、電解質として、Cl-、SO4 2-、HSO4 -、および、NO3 -より選択される少なくとも1種のイオンと、Alイオン、Mgイオン、Feイオンおよびアンモニウムイオンより選択される少なくとも1種のイオンとの塩のうちの1種のみを含有していればよいが、2種以上を含有していてもよい。
ただし、Cl-イオンとFe3+イオンとの塩[塩化鉄(III)]については、その他のイオンの組み合わせによる塩に比べて負極活物質である金属材料を腐食させる作用が強いため、塩化鉄(III)以外の塩を用いることが好ましく、負極活物質である金属材料を腐食させる作用がより低いことから、アンモニウム塩を用いることがより好ましい。
なお、前記した強酸と弱塩基との塩であっても、過塩素酸塩は、加熱や衝撃により燃焼や爆発の危険を生じることから、環境負荷や廃棄時の安全性の観点から、電解液として使用する前記水溶液に含有させないか、あるいは含有しても過塩素酸イオンの量がわずかであること(具体的には100ppm未満、より好ましくは10ppm未満)が好ましい。
また、前記強酸と弱塩基との塩のうち、塩化亜鉛や硫酸銅などに代表される重金属塩(鉄の塩を除く)は、有害であるものが多いため、環境負荷や廃棄時の安全性の観点から、電解液として使用する前記水溶液に含有させないか、あるいは含有しても鉄イオンを除く重金属イオンの量がわずか(具体的には100ppm未満、より好ましくは10ppm未満)であることが好ましい。
電解液の導電率は、80mS/cm以上であることが好ましい。よって、電解液として使用する前記水溶液における前記電解質の濃度(1種のみを用いる場合は、その濃度であり、2種以上を用いる場合は、それらの合計濃度)は、このような導電率を確保できるような濃度とすればよく、通常は、5〜50質量%である。なお、電解液の導電率の上限値は、通常700mS/cm程度である。
電解液には、インジウム化合物が溶解していることが好ましい。電解液中にインジウム化合物が溶解している場合には、電池内での水素ガスの発生をより良好に抑制することができる。
電解液に溶解させるインジウム化合物としては、水酸化インジウム、酸化インジウム、硫酸インジウム、硫化インジウム、硝酸インジウム、臭化インジウム、塩化インジウムなどが挙げられる。
インジウム化合物の電解液中の濃度は、質量基準で0.005%以上であることが好ましく、0.01%以上であることがより好ましく、0.05%以上であることが特に好ましい。また、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが特に好ましい。
また、電解液には前記の各成分の他に、必要に応じて公知の各種添加剤を添加してもよい。例えば、負極に用いる金属材料の腐食(酸化)を防止するために、酸化亜鉛を添加するなどしてもよい。なお、酸化亜鉛は、負極に添加することもできる。
(空気電池の諸元)
上述した各部材で構成されるシート状の空気電池10の全体形状は、一例として、長辺が30〜50mm、短辺が20〜35mmとすることができる。なお、空気電池10の厚みは、より薄く構成することが好ましく、例えば、保護シート20なしの状態で1mm以下、保護シート20を含めた最も厚い部分の厚さが1.2mm以下とすることが好ましい。なお、空気電池10の取り扱い上必要となる剛性を考慮すると、厚みの最小値は一例として0.2mmとすることができる。
次に、3種類の電解液を用いて、実施例としての4つのシート状空気電池を実際に作成して放電容量を確認した。
それぞれのシート状空気電池において、正極、負極、電解液、セパレータ、撥水膜、外装体は以下の材料を用いた。
<正極>
DBP吸油量495cm3/100g、比表面積1270m2/gのカーボン(ケッチェンブラックEC600JD(商品名:ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)):30質量部と、アクリル系分散剤:15質量部と、SBR:60質量部と、水:500質量部とを混合して触媒層形成用組成物を作製した。
集電体として多孔性のカーボンシート〔厚み:0.25mm、空孔率:75%、透気度(ガーレー):70秒/100ml〕を用い、前記触媒層形成用組成物を、乾燥後の塗布量が10mg/cm2となるよう前記基材の表面にストライプ塗布し、乾燥することにより、触媒層が形成された部分と形成されていない部分とを有する集電体を得た。この集電体を、触媒層の大きさが15mm×15mmで、その一端に、触媒層が形成されていない5mm×15mmの大きさのリードとなる部分を有する形状に打ち抜いて、全体の厚みが0.27mmの正極(空気極)を作製した。
<負極>
添加元素としてIn:0.05%、Bi:0.04%およびAl:0.001%含有する亜鉛合金箔(厚み:0.05mm)を、活物質として機能する15mm×15mmの大きさの部分と、その一端にリードとなる5mm×15mmの部分とを有する形状に打ち抜いて負極を作製した。
<電解液>
電池1 20質量%の硫酸アンモニウム水溶液(pH=5.3)
電池2 20質量%の塩化アンモニウム水溶液(pH=4.3)
電池3 20質量%の塩化ナトリウム水溶液(pH=7)
電池4 30質量%の水酸化カリウム水溶液(pH=14)。
<セパレータ>
ポリエチレン主鎖にアクリル酸をグラフト共重合させた構造を有するグラフト共重合体で構成された2枚のグラフトフィルム(1枚当たりの厚み:15μm)を、セロハンフィルム(厚み:20μm)の両側に配置したものを用いた。
<撥水膜>
厚みが200μmのPTFE製シートを用いた。
<外装体>
アルミニウム箔の外面にPETフィルムを有し、内面に熱融着樹脂層としてポリプロピレンフィルムを有する2.5cm×2.5cmの大きさのアルミラミネートフィルム2枚を用いた。
<電池の組み立て>
上記した2枚の外装体であるラミネートフィルムにおいて、正極側に配置される一方のラミネートフィルムには、正極の触媒層の配置位置に対応して、直径0.5mmの空気孔9個を、縦4.5mm×横4.5mmの等間隔(空気孔同士の中心間距離は5mm)でマトリクス状に形成し、その内面側に、ホットメルト樹脂を用いて撥水膜を熱溶着させた。また、負極側に配置されるもう一方のラミネートフィルムには、正極および負極のリードが配置される部分に、リードと外装体との熱溶着部の封止性を高めるため、外装体の辺と平行に、変性ポリオレフィンアイオノマーフィルムを取り付けた。
撥水膜を有するラミネートフィルムを下にして、その撥水膜の上に、前記正極、前記セパレータおよび前記負極を順に積層し、さらに、もう1枚のラミネートフィルムを、前記正極および前記負極のリードの上に前記変性ポリオレフィンアイオノマーフィルムが位置するようにして重ねた。次に、2枚のラミネートフィルムの周囲3辺を互いに熱溶着して袋状にし、その開口部から電解液を注液した後、開口部を熱溶着して封止してシート状空気電池とした。作製した電池の厚みは、ほぼ1mmであった。
このようにして作製した空気電池を大気中で10分間放置した後、電池の設計容量に対して100時間率相当の電流で0.5Vまで放電した時の放電容量を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2019067618
市販のボタン型空気電池の電解液として用いられている高濃度のアルカリ電解液を用いた空気電池(電池4)に対し、より安全性の高い電解液を用いた空気電池(電池1〜3)においても、十分な放電容量を得ることができた。特に、強酸と弱塩基との塩を電解質塩とした電池1および電池2では、市販のボタン型空気電池の電解液と同様の構成とした電池4と同程度の優れた特性が得られた。
以上の結果より、本実施形態で説明した空気電池は、薄型で取り扱いの容易性や安全性が高く、しかも、比較的大容量の空気電池となり、身体に直接装着されるデバイスの電源として好適であることがわかる。
<シート状空気電池の封入体の組み立て>
前記と同様にして、シート状空気電池(電池1〜3)を作製した。また、アルミニウム箔の外面にPETフィルムを有し、内面に熱融着樹脂層としてポリプロピレンフィルムを有する5cm×5cmの大きさのアルミラミネートフィルム2枚をパッケージ部材として用い、シート状空気電池の封入体を作製した。
前記ラミネートフィルムを重ね合わせ、周囲3辺を互いに熱溶着して袋状にし、窒素ガス雰囲気中で、前記袋状にしたラミネートフィルムの開口部から作製した電池を挿入し、さらに減圧下で開口部を熱溶着して封止してシート状空気電池の封入体とした。
このパッケージ部材の内部に存在する気体の体積は、前記空気電池の体積の5%程度であり、またパッケージ部材の内部に存在する酸素の体積は、前記パッケージ部材の内部に存在する気体の体積のほぼ0%であった。
作製したシート状空気電池の封入体を、室温で1か月間放置してから開封し、中から空気電池を取り出して大気中で10分間放置した後、前記と同様の条件で放電容量を測定した。その結果、表1と同様の特性が得られ、電池の空気孔をシール部材で塞ぐ従来の方法と同様に、空気電池の長期保管に有効であることが確認された。
[コイン型空気電池の封入体]
図4は、本実施形態にかかる空気電池の封入体から、コイン型の空気電池を取り出す様子を示すイメージ図である。
図4に示すように、本実施形態にかかる空気電池の封入体110は、内部にコイン型の空気電池30が封入された、アルミラミネートフィルム製の密閉袋20である。
図4中の左側の状態では、密閉袋20が完全な気密状態を保っているため、密閉袋20内に外部から空気が侵入することはない。このため、密閉袋20内に収容されているコイン型の空気電池30は、正極側の外装体に形成された空気孔37を覆うシール部材が配置されていない状態であるものの、密閉袋20内に残存する分を除いて、正極に正極活物質である空気中の酸素が新たに供給されない状態で維持される。
ユーザが、空気電池30の使用を開始するために、図4中右側に示すように、密閉袋20を破断線21で破って内部からコイン型の空気電池30を取り出すと、空気電池30の空気孔37が露出状態となって、空気電池の正極に酸素が供給されて電力の供給が開始される。なお、密閉袋20の構成は、図1に示したシート状の空気電池が封入された封入体100のものと同じである。
以下、図5を用いて、本実施形態において密閉袋内に封入されていたコイン型の空気電池の構成例を説明する。
図5は、本実施形態で説明する空気電池の封入体内に密閉される、コイン型の空気電池の構成を説明する断面構成図である。
図5で示すコイン型の空気電池30において、空気電池内部の構成は従来公知のものであり、正極触媒層(正極)31と、負極32と、セパレータ33と、集電体34とが積層して構成されている。なお、電解液の図示は省略する。また、正極触媒層31の表面側(図中下側)には、撥水膜35と拡散紙36とが積層形成されていて、金属プレートとしての正極(+)端子30aに形成された空気孔37から入った空気を、正極触媒層31のより広い面積に正極活物質である空気中の酸素が供給されるようになっている。空気電池30の側面までを構成する金属製の正極端子30aと絶縁性のガスケット38を介して、図中の上面側には負極(−)端子30bが形成されている。
なお、図2、図3に示したシート状の空気電池10よりは厚みが厚く、また、電池自体には可撓性はないが、図5に示すコイン型の空気電池30は、厚みも3〜5mm程度以下と比較的薄く構成でき、重量も数gと従来からのマンガン電池としてのコイン型電池と略同等にできるため、補聴器や、特許文献3として示した従来技術でのように、絆創膏型の測定デバイスなどの動作電源として採用されている。
本実施形態の空気電池の封入体110では、密閉袋20の内部にコイン型の空気電池30をその空気孔37が塞がれていない状態で封入することができ、密閉袋20から取り出すとすぐに正極31への空気の供給が始まって電力の供給が開始される。
なお、コイン型の空気電池では、他のコイン型の電池と同様に、金属製の外殻部材のうち、一方の表面に負極(−極)が配置され、側面および負極とは反対側の表面が正極(+極)となっている。このため、密閉袋20の内面がアルミなどの金属材料で形成されている場合は、密閉袋20の内表面を介して正極と負極とが接続されて電流が流れてしまう。
同様に、シート状の空気電池10の場合でも、その外表面に接続端子が配置されている場合には、密閉袋20の内表面を介して電流が流れる恐れがある。
このため、コイン型空気電池や、表面に接続端子が露出する構成の空気電池を封入する密閉袋20は、少なくとも内表面には金属層が配置されていないものを用いることが必要である。また、空気電池を、紙などの絶縁性の部材で包んだ状態で密閉袋20内に封入することによっても、密閉袋20内での正極と負極の間が不所望に導通してしまう事態を回避することができる。
[デバイスの封入体]
次に、本願で開示する空気電池を動作電源として用いたデバイスの封入体について説明する。
図6は、本実施形態にかかるデバイスの封入体から、パッチ型のデバイスを取り出す様子を示すイメージ図である。
図6で示したデバイスは、身体に直接貼り付けて、例えば被装着者の体温や心拍数、呼吸数などの生体情報を検出してスマートフォンなどの外部機器に測定情報を送信する機能を備えた、医療用のパッチ型のデバイスである。
図6で示したデバイス40では、被装着者の皮膚に接触するセンサプレートや皮膚に貼り付けるための接着層が形成されたデバイスの下方側表面とは反対側の上方側の表面に面してシート状の空気電池が配置されていて、空気電池の正極に空気を供給するための空気孔41cが、デバイス40の表面にそのまま露出している。
図6に示すように、本実施形態にかかるパッチ型デバイスの封入体200は、内部にパッチ型のデバイス40が封入された、アルミラミネートフィルム製の密閉袋20である。
図6中の左側の状態では、密閉袋20が完全な気密状態を保っているため、密閉袋20内に外部から空気が侵入することはない。このため、密閉袋20内に収容されているパッチ型デバイス40の表面で露出している空気電池の空気孔41cは、シール部材が配置されていない状態であるものの、密閉袋20内に残存する分を除いて、空気電池の正極に正極活物質である空気中の酸素が新たに供給されない状態で維持される。
ユーザが、パッチ型デバイス40の使用を開始するために、図6中右側に示すように、密閉袋20を破断線21で破って内部からパッチ型のデバイス40を取り出すと、パッチ型デバイス40の表面に形成されていた空気電池の空気孔41cが露出状態となって、空気電池の正極に酸素が供給されて電力の供給が始まり、デバイスの動作が開始される。なお、密閉袋20の構成は、図1、図4に示した空気電池が封入された封入体100、110のものと同じである。
(デバイスの構成)
以下、図7を用いて、本実施形態において密閉袋内に封入されていたパッチ型デバイスの構成例を説明する。
図7は、本実施形態で説明するデバイスの封入体内に密閉される、パッチ型デバイスの構成を説明する断面構成図である。
デバイス40は、例えば、被装着者の体温を検出する医療用パッチであり、直接皮膚に貼り付けて使用するものである。
図7に示すように、本実施形態で説明するデバイス40は、上記説明したシート状の空気電池41と、駆動回路部42と、被装着者の皮膚に接触する機能素子43と、デバイス40の機能素子43側の表面に形成された接着層44とを備えている。
シート状空気電池41の構成は、図2、図3を用いて上述したとおりであり、シート状の正極41aと、負極と、正極と負極との間に配置されたセパレータと、電解液とが、シート状の外装体に挟まれた状態で密封されたものである。なお、図面が煩雑化するのを避けるために、図7では、シート状の空気電池の内部の構成部材については符号を付していないものがある。
図7で説明するパッチ型デバイスでは、シート状の空気電池41がデバイス40の上側表面に配置されているため、空気電池41の上側の外装体41bがデバイス40の上面を構成し、外装体41bに形成された空気孔41cを介して正極41aに空気が供給される構成となっている。
このように、パッチ型デバイス40の上面をシート状の空気電池41で構成することによって、デバイス40の構成を簡素化し、特に、デバイス40全体の厚みを抑えて、被装着者に違和感を与えないようにすることができる。
また、デバイス40では、空気電池41と駆動回路部42とを積層する構成としているため、デバイス40の面積に対する空気電池41の面積の比率を100%に近づけることができる。このため、空気電池41と駆動回路部42とを並べて配置する場合と比較して、デバイス40の面積が同じ場合では空気電池41の面積をより大きくすることができ、電池容量の大容量化を実現できる。また、空気電池41の面積が同じ場合であれば、デバイス40の面積を小さくすることができる。
<駆動回路部>
駆動回路部42は、例えばフィルム基板上に銅などの金属薄膜で形成された配線と、メモリ、プロセッサ、送受信回路などとして機能する薄膜チップ化された、1つ、または複数の電子回路、外部との通信のために用いられる金属薄膜で形成されたアンテナ素子など、既知の薄膜電子回路部品として実現できる。なお、図面が煩雑となることを回避するため、駆動回路部42における各構成要素部材の図示は省略する。
駆動回路部42の機能は、当然ながらデバイス40の目的に沿うように設計されていて、例えば、被装着者の体温を測定する場合には、後述する機能素子43であるセンサプレートの温度を、例えばセンサプレートを流れる電流値の変化などで検出するとともに、測定された体温の数値を、連携するスマートフォンなどの外部の機器からの制御信号によって、または、駆動回路部42自体が備えるロジック回路による制御にしたがって、アンテナ素子から外部機器へと送信する。
また、機能素子が薬液を被装着者に注射するユニットである場合には、駆動回路部42自体が備えるタイマー機能によって、または、外部機器からの操作信号にしたがって、所定の時間に、被験者の皮膚から所定量の薬液が注射されるように制御する。
なお、駆動回路部42における、空気電池41の接続電極41dの配置位置に積層される部分には、空気電池41からの電力を駆動回路部42に伝達するための電源端子42aが形成されていて、電源端子41dと各種の薄膜電子回路部品との間を接続する配線によって空気電池41からの電力が電子回路部品に供給される。
また、空気電池の外装体としてアルミ箔などの金属薄膜を積層した樹脂フィルムを用いる場合には、駆動回路部のアンテナ素子の上には外装体の金属薄膜などの金属成分が配置されないよう外装体およびリードの形状や配置を調整し、金属薄膜によって、外部との通信を妨げないようにすることが好ましい。さらに、駆動回路部のアンテナ素子部分を他の回路部分とは離して配置して、空気電池の外装体の少なくとも金属箔が形成されている部分以外に設けたり、外装体に切り欠きを設けることにより、アンテナ素子部分を露出させたりすることなどによって電波がシールドされないようにすることができる。また、駆動回路部と外部機器との間の通信手段が赤外線通信である場合には、空気電池の外装体の一部を透明にして、赤外線が透過できる構成とすることが好ましい。
<機能素子>
図7に示すように、パッチ型デバイス40では、機能素子43として、たとえば被装着者の体温を検出するためのセンサプレートなどの、薄板、または、薄膜などで構成された厚さの薄い部材を備えている。このため、機能素子43を駆動回路部42と積層して配置することができる。
このように、機能素子43を駆動回路部42と積層配置することによって、駆動回路部42の面積をデバイス40の面積全体まで広げることができるため、駆動回路部42における各種回路部品の配置位置における設計裕度が広がり、例えば接続配線を短くしたり太くしたりすることで抵抗値成分を減らして、より低消費電力で動作する駆動回路部20を実現することができる。また、アンテナ素子を備える場合には、面積を大きくしてアンテナ特性を向上することや、比較的面積が大きくてもより厚さの薄い回路部品を選択するなどして、駆動回路部42、ひいては、デバイス40全体の薄型化を実現できる。
また、機能素子43を駆動回路部42と積層して配置する構成であるため、センサプレートである機能素子43を、平面視したときにデバイス40の略中心部に配置することができる。このようにすることで、機能素子43の周囲に接着層44を形成することができるため、接着層44の接着剤によってデバイス40をしっかりと皮膚に装着することができ、被装着者の動きや発汗、デバイス40の装着部分に水がかかってしまった場合などでも、センサプレートである機能素子43が被装着者の皮膚に密着した状態を維持することができる。
なお、機能素子43は、デバイス40の目的とする機能を果たす限りにおいて、例えば金属箔、樹脂膜の表面に金属やカーボン等の導電性部材を等形成したもの、または、駆動回路部42を構成する樹脂製基板の空気電池41が積層される側の面とは異なる面に形成された薄膜など、各種の形態で実現できる。機能素子43と駆動回路部42との間は、駆動回路部42を構成する電気回路部品の少なくとも一部の突出部分に直接接触して、または、駆動回路部42の機能素子43が配置される面に形成された配線等の導電手段を介して接続される。
なお、図示は省略するが、機能素子として、小型の注射針と被装着者に注射する薬液が収容された薬液容器、さらに、薬液容器から子予定量の薬液を押し出すポンプユニットを備えた構成とすれば、所定の時間に被装着者に対して注射する医療用デバイスを実現することができる。
このような場合は、図7に示したデバイスの場合と比較して、機能素子の厚みが厚くなるため、機能素子と駆動回路とを積層する構成とすると、デバイスの厚さが厚くなってしまって、皮膚への装着が困難になったり、被装着者に強い違和感を与えたりする原因となることが懸念される。このような場合は、機能素子と駆動回路部とを積層せずに横に並べて配置する構成として、デバイスとしての厚さが厚くなることを防止することができる。
なお、この場合にも、機能素子と駆動回路部とを並べた構成全体を覆うように、シート状の空気電池41を積層配置することで、空気電池41の面積を大きく維持して電池容量を確保することができる。また、空気電池41の正極41a側の外装体41bを、駆動回路部42や機能素子43の配置されている側とは反対の側に配置することで、空気孔41cから、正極活物質である空気を容易に取得できる構成とすることができる。
また、さらに機能素子の厚みが厚い場合には、機能素子と、駆動回路部および空気電池との積層体とを横に並べた構成とすることができる。この場合においても、空気電池の正極側の外装体を、駆動回路部が配置されている側とは反対の側に配置して、空気孔をパッチ型デバイスの上側表面に露出させた構成とすることができる。
なお、機能素子の配置されていない領域の空気電池と駆動回路部との下方側面には、接着層を形成して、デバイス100を容易に被装着者の皮膚に貼着できる構成とすることができる。
<接着層>
本実施形態で説明するデバイス40では、図7に示すように、駆動回路部42の下側表面の機能素子43が配置されていない部分に接着層44が設けられている。
接着層44は、直接皮膚に接触するものであるため、一定以上の時間貼着していてもかぶれなどが生じないことが確認された医療用として認証された接着剤で形成されている。
なお、接着層44は、大きさや厚さ、重量などのデバイス40の諸元と、デバイス40が装着されることが想定される人体の部分の可動性との両面から、その接着力が検討されて、材料の選択と、形成場所とその面積が決定される。
以上のように、本実施形態で示す封入体200に封入されているパッチ型のデバイス40は、被装着者の皮膚に直接接触する機能素子43と、駆動回路部42と、シート状の空気電池41とが積層して構成されているため、デバイス40としての面積の小型が実現できる。特に、最上層に空気電池41を配置してデバイス40の上面を構成しているために、平面視したときの大きさは、図1等を用いて説明した封入体100に封入されるシート状空気電池10の大きさと同じであり、駆動回路部42や機能素子43も薄く形成されているために、デバイス40全体の厚さが少し空気電池10よりも厚くなっている程度である。
このため、デバイス40表面の空気孔41cが塞がれていない状態で密閉袋20内に、容易に封入することができる。
なお、図7での図示は省略するが、デバイス40の下面側に配置された接着層44の表面には保護シートが配置されていて、皮膚に貼着される前に接着層44が密閉袋20の内面や他の部材に貼り付いていてしまうことを防止している。
(別の形態のデバイス)
図8は、デバイスの封入体に封入される、別の形態のデバイスの構成を示す断面構成図である。
図8に構成例を示す別の形態のデバイス40’は、箱状の外殻部材51の内部に、空気電池52と、駆動回路部53とを備えた構成となっていて、駆動回路部53の電極端子53a、53bを介して空気電池52から駆動回路部53に電力が供給される。
このように、デバイス40’としての外殻部材51の内部に空気電池52が配置されている場合は、空気電池52の正極52aに空気を供給することができるように、空気電池52の表面に形成された空気孔52bと連通した開口51aがデバイス40’の外殻部材51に形成される。
本実施形態にかかるデバイスの封入体200では、密閉袋20の内部に、デバイス40’が、その表面に形成された開口51aが覆われていない状態で、気密状態で封入されている。このため、密閉袋20内では、空気電池52の正極52aに正極活物質である空気中の酸素が継続して供給されることはなく、密閉袋20から取り出した状態で十分な電池容量を維持している。また、密閉袋20から取り出すことによって、デバイス40’の外殻部材51に形成された開口51aから、空気電池の空気孔52bを介して空気電池52の正極52に空気が供給されるため、空気電池52からの電力によって駆動回路部53が動作を開始する。
なお、デバイス40’の用途としては、上述したパッチ型デバイス40のように、被装着者の皮膚に直接接触するセンサ手段を有して生体情報を取得するような医療デバイスとしての用途のほかに、加速度や衝撃などの外力や、気温、気圧、湿度などの周辺環境を測定するセンサとしての用途、画像や音声を記録する記録デバイスとしての用途など、各種の用途に使用可能なデバイスとすることができる。
以上説明したように、本願で開示する空気電池、および、空気電池を動作電源として使用する各種デバイスの封入体は、パッケージ部材内に密閉状態で空気電池やデバイスを封入できるため、空気電池の空気孔が塞がれていない状態で封入体とすることができる。このため、ユーザがパッケージ部材から取り出すだけで、空気電池の動作が開始されるため、シール部材の除去忘れによって、空気電池やデバイスが正しく動作しない不測の事態を効果的に回避できる。
また、パッケージ部材である密閉袋は、薬品や食品などを気密状態で封入する用途が確立されているアルミラミネートなどの素材で構成することができ、大きさや形状も、内部に密閉封入する部材に合わせて様々な形態を実現することができる。
なお、空気電池や、デバイスが封入されている状態のパッケージ部材内部の環境としては、パッケージ部材内部の空気の体積が、封入されている部材である空気電池やデバイスの体積の10%以下とすることで、空気電池の自己放電や、デバイスの動作による電池容量の低下が所定の範囲内に収まって、例えば、空気電池の保管期限とされる2年間、良好な状態で空気電池やデバイスを封入することができる。
また、別の観点から、パッケージ部材内部の環境としては、パッケージ部材内の酸素がパッケージ部材内部の気体の体積の2%以下とすることが好ましい。このようにすることで、空気電池の正極活物質である酸素の封入量を抑えることができるため、パッケージ部材内部に封入されている状態での空気電池の電池容量の低減を許容範囲内に抑えることができる。
パッケージ部材内部の環境を好ましい状態にするためには、パッケージ部材の内部に空気孔が解放された状態の空気電池やデバイスを封入する封入工程において、パッケージ部材内部の空気を真空ポンプによって吸引することが有効である。この際に、内部を減圧した状態でパッケージ部材を封止してもよい。また、パッケージ部材内部の空気を窒素やアルゴンなどの不活性ガスで置換することにより、溶存酸素に起因する負極活物質の腐食の進行を抑制することができるので、電池の特性を維持するのにも有効である。
本開示の空気電池の封入体、および、デバイスの封入体は、ユーザが使用のために封入体から取り出すことで確実に空気電池の動作を開始できるため、空気孔のシール部材の除去忘れによって、空気電池や、これを動作電源として使用するデバイスが動作しないという不所望な事態を確実に回避することができ、医療分野を中心として、各種の分野で有用である。
7 空気孔
10 空気電池
20 密閉袋(パッケージ部材)
21 破断線
100 封入体

Claims (7)

  1. 正極側の表面に空気孔が形成された外装体を備えた空気電池と、前記空気電池を収容するパッケージ部材とを備え、
    前記空気電池が、前記空気孔が塞がれていない状態で前記パッケージ部材内に気密状態で封入されていることを特徴とする、空気電池の封入体。
  2. 前記パッケージ部材の内部に存在する気体の体積が、前記空気電池の体積の10%以下である、請求項1に記載の空気電池の封入体。
  3. 前記パッケージ部材の内部に存在する酸素の体積が、前記パッケージ内に存在する気体の体積の2%以下である、請求項1または2に記載の空気電池の封入体。
  4. 正極側の表面に空気孔が形成された外装体を備えた空気電池を動作電源として備えるデバイスと、前記デバイスを収容するパッケージ部材とを備え、
    前記デバイスが、前記空気電池の前記空気孔が塞がれていない状態で前記パッケージ部材内に気密状態で封入されていることを特徴とする、デバイスの封入体。
  5. 前記デバイスが、前記空気電池の前記空気孔に連通する開口部を備えた外殻部材の内部に前記空気電池を収容している、請求項4に記載のデバイスの封入体。
  6. 前記パッケージ部材の内部に存在する気体の体積が、前記デバイスの体積の10%以下である、請求項4または5に記載のデバイスの封入体。
  7. 前記パッケージ部材の内部に存在する酸素の体積が、前記パッケージ内に存在する空気の体積の2%以下である、請求項4〜6のいずれかに記載のデバイスの封入体。
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