JP2019067523A - 全固体二次電池、固体電解質含有シート及び固体電解質組成物 - Google Patents

全固体二次電池、固体電解質含有シート及び固体電解質組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウムデンドライトの成長を抑制し、短絡が発生しにくく、電池電圧の低下を高いレベルで抑制することのできる全固体二次電池、並びに、固体電解質含有シート及び固体電解質組成物を提供する。【解決手段】正極活物質層と、負極活物質層と、正極活物質層及び負極活物質層の間に配置された固体電解質層とを有する全固体二次電池であって、上記固体電解質層に、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)とを含み、上記有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有する、全固体二次電池、並びに、固体電解質含有シート及び固体電解質組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、全固体二次電池、固体電解質含有シート及び固体電解質組成物に関する。
リチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極及び正極の間に挟まれた電解質とを有し、両極間にリチウムイオンを往復移動させることにより充放電を可能とした蓄電池である。リチウムイオン二次電池には、従来、電解質として有機電解液が用いられてきた。しかし、有機電解液は液漏れを生じやすく、また、過充電又は過放電により電池内部で短絡が生じ発火するおそれもあり、安全性と信頼性のさらなる向上が求められている。
このような状況下、有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されている。全固体二次電池は負極、電解質及び正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電池の課題とされる安全性ないし信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になるとされる。さらに、全固体二次電池は、電極と電解質を直接並べて直列に配した構造とすることができる。そのため、有機電解液を用いた二次電池に比べてエネルギーの高密度化が可能となるので、電気自動車や大型蓄電池等への応用が期待されている。
上記のような各利点から、次世代のリチウムイオン電池として全固体二次電池の実用化に向けた研究開発が活発に進められている。例えば、特許文献1には、短絡の発生を抑制するため、気相法により形成された固体電解質層のピンホールに、金属リチウムと反応して金属リチウムを不活性化する液状物質を含有させた全固体二次電池が記載されている。
特開2009−218005号公報
全固体二次電池の実用化においては、全固体二次電池の長期使用における短絡の発生を抑制することが重要である。また、所望の電池電圧で長期間使用できることも重要である。
特許文献1記載の発明は、気相法により固体電解質層に形成されるピンホールに存在する上記液状物質がリチウムデンドライトと反応し、リチウムデンドライトを不活性化する。結果、ピンホールを通ってリチウムデンドライトが成長することによる短絡の発生を抑制することができる。すなわち、特許文献1記載の発明は、固体電解質層の特定の部分(ピンホール)における短絡の発生を抑制することについては一定程度の効果を奏する。しかし、固体電解質層のピンホール以外の部分でもリチウムデンドライトが成長することによる短絡を発生し得る。さらに、特許文献1には、気相法以外の方法で形成された固体電解質層を有する全固体二次電池の短絡の抑制については記載がない。
本発明は、リチウムデンドライトの成長を抑制し、短絡が発生しにくく、電池電圧の低下を高いレベルで抑制することのできる全固体二次電池を提供することを課題とする。また、本発明は、全固体二次電池の固体電解質層として用いることにより、得られる全固体二次電池において、短絡が発生しにくく、電池電圧の低下を高いレベルで抑制することのできる固体電解質含有シートを提供することを課題とする。また、本発明は、全固体二次電池の固体電解質層構成材料として用いることにより、得られる全固体二次電池において、短絡が発生しにくく、電池電圧の低下を高いレベルで抑制することのできる固体電解質組成物を提供することを課題とする。
上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>
正極活物質層と、負極活物質層と、正極活物質層及び負極活物質層の間に配置された固体電解質層とを有する全固体二次電池であって、上記固体電解質層に、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)とを含み、上記有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有する、全固体二次電池。
<2>
上記有機化合物(b)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有するアルカン又はフッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有するアレーンのいずれかである、<1>に記載の全固体二次電池。
<3>
上記固体電解質層において、上記有機化合物(B)の質量/上記無機固体電解質(A)の質量=1/99〜50/50である、<1>又は<2>に記載の全固体二次電池。
<4>
上記有機化合物(B)の融点が25℃以上である、<1>〜<3>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<5>
上記有機化合物(B)が、1分子中に塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子を合計で2個以上有する、<1>〜<4>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<6>
有機化合物(B)の分子量が300以上200,000未満である、<1>〜<5>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<7>
上記固体電解質層に酸性プロトンを有する化合物(C)を含有する、<1>〜<6>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<8>
上記化合物(C)が、下記一般式(1)又は(2)で表わされる化合物である、<7>に記載の全固体二次電池。
Figure 2019067523
式中、R11、R12、R21及びR22はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシ基、フッ素化アルコキシ基、アリール基、フッ素化アリール基、アリールオキシ基又はフッ素化アリールオキシ基を示す。R11とR12は連結して環を形成してもよい。R21とR22は連結して環を形成してもよい。L及びLはそれぞれ独立に−CH−、−CHR−及び−NH−のいずれかを示す。Rはアルキル基又はアリール基を示す。
<9>
上記化合物(C)の融点が25℃以上である、<7>又は<8>に記載の全固体二次電池。
<10>
上記固体電解質層にバインダー(D)を含有する、<1>〜<9>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<11>
上記無機固体電解質(A)が硫化物系無機固体電解質である、<1>〜<10>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<12>
上記固体電解質層の厚さが1〜30μmである、<1>〜<11>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<13>
上記負極活物質層がリチウム金属の層である、<1>〜<12>のいずれか1つに記載の全固体二次電池。
<14>
固体電解質層を有する固体電解質含有シートであって、
上記固体電解質層が、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)とを含有し、上記有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有する、固体電解質含有シート。
<15>
周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)と、分散媒(E)とを含有し、上記有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有し、上記有機化合物(B)の融点が25℃以上である、固体電解質組成物。
本発明の説明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の説明において、ある基ないし化合物の炭素数を規定する場合、この炭素数は、基ないし化合物全体の炭素数を意味する。つまり、この基ないし化合物がさらに置換基を有する形態である場合、この置換基を含めた全体の炭素数を意味する。
本発明の説明において、質量平均分子量(Mw)は、特段の断りがない限り、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によってポリスチレン換算の分子量として計測することができる。このとき、GPC装置HLC−8220(商品名、東ソー社製)を用い、カラムはG3000HXL+G2000HXL(いずれも商品名、東ソー社製)を用い、23℃で流量は1mL/minで、RIで検出することとする。溶離液としては、THF(テトラヒドロフラン)、クロロホルム、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、m−クレゾール/クロロホルム(湘南和光純薬社製)から選定することができ、溶解するものであればTHFを用いることとする。
本発明の全固体二次電池は、短絡が発生しにくく、電池電圧の低下を高いレベルで抑制することができる。また、本発明の固体電解質含有シートは、全固体二次電池の固体電解質層として用いることにより、得られる全固体二次電池において、短絡が発生しにくく、電池電圧の低下を高いレベルで抑制することができる。また、本発明の固体電解質組成物は、全固体二次電池の固体電解質層構成材料として用いることにより、得られる全固体二次電池において、短絡が発生しにくく、電池電圧の低下を高いレベルで抑制することができる。
本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池を模式化して示す縦断面図である。 実施例で作製した全固体二次電池(コイン電池)を模式的に示す縦断面図である。
<全固体二次電池>
本発明の全固体二次電池は、正極活物質層と、負極活物質層と、正極活物質層及び負極活物質層の間に配置された固体電解質層とを有し、上記固体電解質層に、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)(リチウムデンドライト防止剤)とを含み、この有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有する。
上記正極活物質層及び上記負極活物質層は特に制限されず、全固体二次電池に一般的に用いられている正極活物質層及び負極活物質層を広く用いることができる。本発明の全固体二次電池において、例えば、特開2015−88486号公報、特開2016−35912号公報等に記載の正極活物質層及び負極活物質層を用いることができる。
本発明の全固体二次電池において、負極活物質層は、エネルギー密度の観点から、リチウム金属の層であることが好ましい態様の1つである。本発明において、リチウム金属の層とは、リチウム粉末を堆積又は成形してなる層、リチウム箔及びリチウム蒸着膜を包含する。
正極活物質層、固体電解質層及び負極活物質層は、電池性能に影響を与えない範囲で後述の分散媒(E)を含有してもよい。具体的には、全質量中1ppm以上10000ppm以下含有してもよい。
以下に、図1を参照して、本発明の好ましい実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池(リチウムイオン二次電池)を模式化して示す断面図である。本実施形態の全固体二次電池10は、負極側からみて、負極集電体1、負極活物質層2、固体電解質層3、正極活物質層4、正極集電体5を、この順に有する。各層はそれぞれ接触しており、積層した構造をとっている。このような構造を採用することで、充電時には、負極側に電子(e)が供給され、そこにリチウムイオン(Li)が蓄積される。一方、放電時には、負極に蓄積されたリチウムイオン(Li)が正極側に戻され、作動部位6に電子が供給される。図示した例では、作動部位6に電球を採用しており、放電によりこれが点灯するようにされている。
本明細書において、正極活物質層(以下、正極層とも称す。)と負極活物質層(以下、負極層とも称す。)をあわせて電極層又は活物質層と称することがある。
図1に示す層構成を有する全固体二次電池10を2032型コインケースに入れる場合、全固体二次電池10を全固体二次電池用積層シートと称し、この全固体二次電池用積層シートを2032型コインケースに入れて作製した電池を全固体二次電池と称して呼び分けることもある。
[正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層]
全固体二次電池10においては、固体電解質層3に、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)とを含み、この有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有する。
固体電解質層3の厚さは特に制限されないが、全固体二次電池の高出力密度化、高エネルギー密度化のため、1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、1〜30μmが特に好ましい。
正極活物質層4及び負極活物質層2の厚さは特に限定されない。なお、一般的な電池の寸法を考慮すると、10〜1,000μmが好ましく、20μm以上500μm未満がより好ましい。本発明の全固体二次電池においては、正極活物質層4及び負極活物質層2の少なくとも1層の厚さが、50μm以上500μm未満であることがさらに好ましい。
[集電体(金属箔)]
正極集電体5及び負極集電体1は、電子伝導体が好ましい。
本発明において、正極集電体及び負極集電体のいずれか、又は、両方を合わせて、単に、集電体と称することがある。
正極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル及びチタンなどの他に、アルミニウム又はステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたもの(薄膜を形成したもの)が好ましく、その中でも、アルミニウム及びアルミニウム合金がより好ましい。
負極集電体を形成する材料としては、アルミニウム、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル及びチタンなどの他に、アルミニウム、銅、銅合金又はステンレス鋼の表面にカーボン、ニッケル、チタンあるいは銀を処理させたものが好ましく、アルミニウム、銅、銅合金及びステンレス鋼がより好ましい。
集電体の形状は、通常フィルムシート状のものが使用されるが、ネット、パンチされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体なども用いることができる。
集電体の厚みは、特に限定されないが、1〜500μmが好ましく、1〜100μmがより好ましく、1〜50μmが特に好ましい。また、集電体表面は、表面処理により凹凸を付けることも好ましい。
本発明において、負極集電体、負極活物質層、固体電解質層、正極活物質層及び正極集電体の各層の間又はその外側には、機能性の層や部材等を適宜介在ないし配設してもよい。また、各層は単層で構成されていても、複層で構成されていてもよい。
[筐体]
上記の各層を配置して全固体二次電池の基本構造を作製することができる。用途によってはこのまま全固体二次電池として使用してもよいが、乾電池の形態とするためにはさらに適当な筐体に封入して用いる。筐体は、金属性のものであっても、樹脂(プラスチック)製のものであってもよい。金属性のものを用いる場合には、例えば、アルミニウム合金及びステンレス鋼製のものを挙げることができる。金属性の筐体は、正極側の筐体と負極側の筐体に分けて、それぞれ正極集電体及び負極集電体と電気的に接続させることが好ましい。正極側の筐体と負極側の筐体とは、短絡防止用のガスケットを介して接合され、一体化されることが好ましい。
以下、本発明の全固体二次電池において、固体電解質層が含む成分及び含んでもよい成分を説明する。
(周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A))
無機固体電解質とは、無機の固体電解質のことであり、固体電解質とは、その内部においてイオンを移動させることができる固体状の電解質のことである。主たるイオン伝導性材料として有機物を含むものではないことから、有機固体電解質(ポリエチレンオキシド(PEO)などに代表される高分子電解質、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)などに代表される有機電解質塩)とは明確に区別される。また、無機固体電解質は定常状態では固体であるため、通常カチオン及びアニオンに解離又は遊離していない。この点で、電解液やポリマー中でカチオン及びアニオンが解離又は遊離している無機電解質塩(LiPF、LiBF、LiFSI、LiClなど)とも明確に区別される。無機固体電解質は周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有するものであれば特に限定されず電子伝導性を有さないものが一般的である。以下、「周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)」を単に「無機固体電解質」又は「無機固体電解質(A)」と称することもある。
本発明において、無機固体電解質は、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオン伝導性を有する。上記無機固体電解質は、この種の製品に適用される固体電解質材料を適宜選定して用いることができる。無機固体電解質は(i)硫化物系無機固体電解質と(ii)酸化物系無機固体電解質が代表例として挙げられる。本発明において、酸化物系無機固体電解質よりも柔らかく、固体粒子間により良好な界面を形成することができ、また、イオン伝導度がより高いため、硫化物系無機固体電解質が好ましく用いられる。
(i)硫化物系無機固体電解質
硫化物系無機固体電解質は、硫黄原子(S)を含有し、かつ、周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。硫化物系無機固体電解質は、元素として少なくともLi、S及びPを含有し、リチウムイオン伝導性を有しているものが好ましいが、目的又は場合に応じて、Li、S及びP以外の他の元素を含んでもよい。
例えば下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質が挙げられる。

a1b1c1d1e1 式(I)

式中、LはLi、Na及びKから選択される元素を示し、Liが好ましい。Mは、B、Zn、Sn、Si、Cu、Ga、Sb、Al及びGeから選択される元素を示す。Aは、I、Br、Cl及びFから選択される元素を示す。a1〜e1は各元素の組成比を示し、a1:b1:c1:d1:e1は1〜12:0〜5:1:2〜12:0〜10を満たす。a1はさらに、1〜9が好ましく、1.5〜7.5がより好ましい。b1は0〜3が好ましく、0〜1がより好ましい。d1はさらに、2.5〜10が好ましく、3.0〜8.5がより好ましい。e1はさらに、0〜5が好ましく、0〜3がより好ましい。
各元素の組成比は、下記のように、硫化物系無機固体電解質を製造する際の原料化合物の配合比を調整することにより制御できる。
硫化物系無機固体電解質は、非結晶(ガラス)であっても結晶化(ガラスセラミックス化)していてもよく、一部のみが結晶化していてもよい。例えば、Li、P及びSを含有するLi−P−S系ガラス、又はLi、P及びSを含有するLi−P−S系ガラスセラミックスを用いることができる。
硫化物系無機固体電解質は、例えば硫化リチウム(LiS)、硫化リン(例えば五硫化二燐(P))、単体燐、単体硫黄、硫化ナトリウム、硫化水素、ハロゲン化リチウム(例えばLiI、LiBr、LiCl)及び上記Mであらわされる元素の硫化物(例えばSiS、SnS、GeS)の中の少なくとも2つ以上の原料の反応により製造することができる。
Li−P−S系ガラス及びLi−P−S系ガラスセラミックスにおける、LiSとPとの比率は、LiS:Pのモル比で、好ましくは60:40〜90:10、より好ましくは68:32〜78:22である。LiSとPとの比率をこの範囲にすることにより、リチウムイオン伝導度を高いものとすることができる。具体的には、リチウムイオン伝導度を好ましくは1×10−4S/cm以上、より好ましくは1×10−3S/cm以上とすることができる。上限は特にないが、1×10−1S/cm以下であることが実際的である。
具体的な硫化物系無機固体電解質の例として、原料の組み合わせ例を下記に示す。たとえばLiS−P、LiS−P−LiCl、LiS−P−HS、LiS−P−HS−LiCl、LiS−LiI−P、LiS−LiI−LiO−P、LiS−LiBr−P、LiS−LiO−P、LiS−LiPO−P、LiS−P−P、LiS−P−SiS、LiS−P−SiS−LiCl、LiS−P−SnS、LiS−P−Al、LiS−GeS、LiS−GeS−ZnS、LiS−Ga、LiS−GeS−Ga、LiS−GeS−P、LiS−GeS−Sb、LiS−GeS−Al、LiS−SiS、LiS−Al、LiS−SiS−Al、LiS−SiS−P、LiS−SiS−P−LiI、LiS−SiS−LiI、LiS−SiS−LiSiO、LiS−SiS−LiPO、Li10GeP12などが挙げられる。ただし、各原料の混合比は問わない。このような原料組成物を用いて硫化物系無機固体電解質材料を合成する方法としては、例えば非晶質化法を挙げることができる。非晶質化法としては、例えば、メカニカルミリング法、溶液法及び溶融急冷法を挙げられる。常温での処理が可能になり、製造工程の簡略化を図ることができるからである。
(ii)酸化物系無機固体電解質
酸化物系無機固体電解質は、酸素原子(O)を含有し、かつ、周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオン伝導性を有し、かつ、電子絶縁性を有する化合物が好ましい。
具体的な化合物例としては、例えばLixaLayaTiO〔xa=0.3〜0.7、ya=0.3〜0.7〕(LLT)、LixbLaybZrzbbb mbnb(MbbはAl、Mg、Ca、Sr、V、Nb、Ta、Ti、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素でありxbは5≦xb≦10を満たし、ybは1≦yb≦4を満たし、zbは1≦zb≦4を満たし、mbは0≦mb≦2を満たし、nbは5≦nb≦20を満たす。)、Lixcyccc zcnc(MccはC、S、Al、Si、Ga、Ge、In、Snの少なくとも1種以上の元素でありxcは0≦xc≦5を満たし、ycは0≦yc≦1を満たし、zcは0≦zc≦1を満たし、ncは0≦nc≦6を満たす。)、Lixd(Al,Ga)yd(Ti,Ge)zdSiadmdnd(ただし、1≦xd≦3、0≦yd≦1、0≦zd≦2、0≦ad≦1、1≦md≦7、3≦nd≦13)、Li(3−2xe)ee xeeeO(xeは0以上0.1以下の数を表し、Meeは2価の金属原子を表す。Deeはハロゲン原子又は2種以上のハロゲン原子の組み合わせを表す。)、LixfSiyfzf(1≦xf≦5、0<yf≦3、1≦zf≦10)、Lixgygzg(1≦xg≦3、0<yg≦2、1≦zg≦10)、LiBO−LiSO、LiO−B−P、LiO−SiO、LiBaLaTa12、LiPO(4−3/2w)(wはw<1)、LISICON(Lithium super ionic conductor)型結晶構造を有するLi3.5Zn0.25GeO、ペロブスカイト型結晶構造を有するLa0.55Li0.35TiO、NASICON(Natrium super ionic conductor)型結晶構造を有するLiTi12、Li1+xh+yh(Al,Ga)xh(Ti,Ge)2−xhSiyh3−yh12(ただし、0≦xh≦1、0≦yh≦1)、ガーネット型結晶構造を有するLiLaZr12(LLZ)等が挙げられる。またLi、P及びOを含むリン化合物も望ましい。例えばリン酸リチウム(LiPO)、リン酸リチウムの酸素の一部を窒素で置換したLiPON、LiPOD(Dは、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zr、Nb、Mo、Ru、Ag、Ta、W、Pt、Au等から選ばれた少なくとも1種)等が挙げられる。また、LiAON(Aは、Si、B、Ge、Al、C、Ga等から選ばれた少なくとも1種)等も好ましく用いることができる。
無機固体電解質の体積平均粒子径は特に限定されないが、0.01μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがより好ましい。上限としては、100μm以下であることが好ましく、50μm以下であることがより好ましい。なお、無機固体電解質粒子の平均粒子径の測定は、以下の手順で行う。無機固体電解質粒子を、水(水に不安定な物質の場合はヘプタン)を用いて20mlサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調整する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、体積平均粒子径を得る。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製しその平均値を採用する。
無機固体電解質の固体電解質層中の含有量は、全固体二次電池に用いたときの界面抵抗の低減と低減された界面抵抗の維持を考慮したとき、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、同様の観点から、99.9質量%以下であることが好ましく、99.5質量%以下であることがより好ましく、99質量%以下であることが特に好ましい。
上記無機固体電解質は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(有機化合物(B))
本発明の全固体二次電池は、固体電解質層にフッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有する有機化合物(B)(以下、単に「有機化合物(B)」とも称する。)を含有することにより、短絡の発生を抑制し、電池電圧の低下を抑制することができる。この理由は定かではないが以下のように推定される。以下、有機化合物(B)の説明において、「非イオン性の1価のハロゲン原子」を単にハロゲン原子と称することもある。
本発明の有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を1つ有する場合を例に挙げて説明すると、本発明の有機化合物(B)はフッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を、共有結合を介して有するため、以下の式に示すように、2当量の金属リチウムと反応し、リチウムデンドライトの伸長を効果的に抑制することにより、短絡が発生しにくくなると考えられる。
Figure 2019067523
式中、R−Xは、有機化合物(B)を示し、Xはフッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を示す。
さらには、固体電解質層に上記有機化合物(B)を含有することにより、リチウム金属による微小短絡(短絡に至る前の前兆)を抑制するため、電池電力の低下を抑制することがでる。
なお、ハロゲン原子を、イオン結合を介して有する有機化合物を用いると、リチウム金属の成長に対してリチウムを溶解する反応速度が著しく遅いため、所望のレベルで短絡の発生を抑制し、電池電圧の低下を抑制することができない。
本発明に用いられる有機化合物(B)は、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を、共有結合を介して含有していれば特に限定されない。
有機化合物(B)が有するハロゲン原子は、塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子であり、金属リチウムとの反応性の高さからヨウ素原子が好ましい。
有機化合物(B)は、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を1種有してもよく、2種以上を有してもよい。
有機化合物(B)は、金属リチウムとの反応性の高さから、ハロゲン化アルカン及びハロゲン化アレーンが好ましく、ハロゲン化アルカンがより好ましい。
なお、「ハロゲン化アルカン」は、塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子を、共有結合を介して有するアルカンであることを意味する。同様に、「ハロゲン化アレーン」は、塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子を、共有結合を介して有するアレーンであることを意味する。
ハロゲン化アルカンを構成するアルカンは、鎖状および環状のいずれでもよい。アルカンの炭素数は2〜50が好ましく、6〜30がより好ましく、8〜18が特に好ましい。アルカンにおいて、ハロゲン原子(フッ素原子を除く)を有する炭素原子は、1〜3級のいずれの炭素原子でもよいが、1級炭素原子及び2級炭素原子が好ましく、1級炭素原子がより好ましい。アルカンの具体例として、ブタン、ヘキサン、ドデカン及び2,2−ジメチルプロパンが挙げられる。
本発明において、ハロゲン化アルカンには、鎖中に炭素原子以外の原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)を1〜8個含む化合物も含まれるものとする。このような化合物として、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサクロリドが挙げられる。
ハロゲン化アレーンを構成するアレーンの炭素数は、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましく、6〜16が特に好ましい。アレーンの具体例として、ベンゼン及びナフタレンが挙げられる。また、このアレーンは、芳香族炭化水素環が、炭素原子以外の原子(例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子)で複数連結されたものも含む。例えば、ベンゼン−O−ベンゼンが挙げられる。
有機化合物(B)は、本発明の効果を損なわない範囲で、ハロゲン原子以外の置換基を有してもよく、このような置換基として例えば、以下の置換基Tが挙げられる。
置換基Tとしては、下記のものが挙げられる。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜20)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20、ただし、本発明においてアルキル基というときには通常シクロアルキル基を含む意味である。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜26)、アラルキル基(好ましくは炭素数7〜23)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数2〜20のヘテロ環基、好ましくは、少なくとも1つの酸素原子、硫黄原子、窒素原子を有する5又は6員環のヘテロ環基が好ましい。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜26、ただし、本発明においてアルコキシ基というときには通常アリールオキシ基を含む意味である。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数6〜26)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20のアミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基を含む。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20)、アリーロイル基(好ましくは炭素数7〜23、ただし、本発明においてアシル基というときには通常アリーロイル基を含む意味である。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、アリーロイルオキシ基(好ましくは炭素数7〜23、ただし、本発明において、アシルオキシ基というときには通常アリーロイルオキシ基を含む意味である。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜26)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜20)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜22)、アルキルシリル基(好ましくは炭素数1〜20)、アリールシリル基(好ましくは炭素数6〜42)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1〜20)、アリールオキシシリル基(好ましくは炭素数6〜42)、ホスホリル基(好ましくは炭素数0〜20のホスホリル基、例えば、−OP(=O)(R)、ホスホニル基(好ましくは炭素数0〜20のホスホニル基、例えば、−P(=O)(R)、ホスフィニル基(好ましくは炭素数0〜20のホスフィニル基、例えば、−P(R)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルイミノ基((メタ)アクリルアミド基)、ヒドロキシ基、スルファニル基、カルボキシ基、リン酸基、ホスホン酸基、スルホン酸基、シアノ基が挙げられる。Rは、水素原子、ヒドロキシ基又は置換基(好ましくは置換基Tから選択される基)である。
また、これらの置換基Tで挙げた各基は、上記の置換基Tが更に置換していてもよい。
化合物、置換基及び連結基等がアルキル基、アルキレン基、アルケニル基、アルケニレン基、アルキニル基、アルキニレン基等を含むとき、これらは環状でも鎖状でもよく、また直鎖でも分岐していてもよく、上記のように置換されていても無置換でもよい。
有機化合物(B)は、1気圧下、25℃で液体でも固体でもよいが、固体であることが好ましい。また、有機化合物(B)は、ポリマーであってもよい。
有機化合物(B)の1気圧下における沸点は200℃以上が好ましく、250℃以上が好ましく、300℃以上が特に好ましい。沸点の上限に特に制限はないが、350℃以下が実際的である。
少量でより多くの金属リチウムと反応できる点で、有機化合物(B)は、1分子中に2個以上のハロゲン原子(フッ素原子を除く)を有することが好ましい。
ポリマー以外の有機化合物(B)は、フッ素原子以外のハロゲン原子を2以上有することがより好ましく、3個以上有することがさらに好ましく、4個以上有することが特に好ましい。上限に特に制限はないが、18個以下が実際的である。
ポリマーである有機化合物(B)は、フッ素原子以外の1〜8個のハロゲン原子を有する繰り返し単位を有することが好ましい。ポリマーである有機化合物(B)は、1分子中に、フッ素原子以外のハロゲン原子を2個以上有することがより好ましく、8個以上有することがさらに好ましく、18個以上有することが特に好ましい。上限に特に制限はないが、100000個以下が実際的である。
ポリマーである有機化合物(B)はハロゲン化された、ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂、ウレア樹脂、イミド樹脂およびエステル樹脂のうちの少なくとも1種であることが好ましい。それぞれの樹脂にハロゲン原子を導入する方法としては、ハロゲン化されたモノマーを共重合する方法、ハロゲン化された低分子をポリマーに付加する方法、ポリマーをハロゲンに曝してハロゲン化する方法などが挙げられる。
原料として用いられるハロゲン化不飽和ビニル系モノマーとしては、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、ジクロロエチレン、1,3−ジクロロプロペン、2,3−ジクロロ−1−プロペン、2−クロロアクリロニトリル、1,2,3−トリクロロプロペン、1,2−ジブロモエチレン、トリブロモエチレン等が挙げられる。
原料として用いられるハロゲン化不飽和エステル系モノマーとしてはメタクリル酸―2−クロロエチル、アクリル酸―2−クロロエチル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル等が挙げられる。
原料として用いられるハロゲン化イソシアネートとしては2−クロロー1,4−ジイソシアナトベンゼン、1−クロロー2,4−ジイソシアナトベンゼン等が挙げられる。
原料として用いられるハロゲン化ジオールとしては3−クロロー1,2−プロパンジオール等が挙げられる。
ポリマー中に占めるハロゲン原子を有する繰り返し単位としては全繰り返し単位中で10モル%〜100モル%が好ましく、30モル%〜100モル%がより好ましく、50モル%〜100モル%が特に好ましい。
有機化合物(B)の分子量は特に制限されないが、難揮発性、溶解性及び分散性が良好ため、200以上200,000未満が好ましく、300以上200,000未満がより好ましく、400〜100000がより好ましく、500〜50000がさらに好ましい。有機化合物(B)がポリマーである場合、上記分子量は質量平均分子量を意味する。
ポリマー以外の有機化合物(B)は、分子量が200〜1000が好ましく、200〜800がより好ましく、200〜600が特に好ましい。ポリマー以外の有機化合物(B)の分子量の下限は300以上であることも好ましい。
ポリマーである有機化合物(B)の質量平均分子量は、1000〜200000が好ましく、2000〜100000がより好ましく、5000〜50000が特に好ましい。
有機化合物(B)の具体例として、1,4−ジクロロブタン、1,4−ジブロモブタン、1,4−ジヨードブタン、ラウリルクロリド、1,6−ジヨードヘキサン、クロロタロニル、ペンタエリスリトールテトラクロリド、ペンタエリスリトールテトラヨージド、ジペンタエリスリトールヘキサクロリド、ハロゲン化ビニルポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル)、ハロゲン化(メタ)アクリルポリマー(例えば、ポリ(2−クロロエチルメタクリル酸))及びハロゲン化ポリウレタン(例えば、塩素原子を有する繰り返し単位を含むポリウレタン)が挙げられる。
有機化合物(B)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。有機化合物(B)は、常法により合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
本発明の全固体二次電池の固体電解質層において、有機化合物(B)の含有量は特に制限されないが、0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが特に好ましい。
上記固体電解質層において、より効果的に、イオン伝導度の低下を抑制(全固体二次電池の駆動時の電圧低下を抑制)しつつリチウムデンドライトを抑制できるため、有機化合物(B)の質量/無機固体電解質(A)の質量=1/99〜50/50であることが好ましく、2/98〜30/70であることがより好ましく、3/97〜20/80であることが特に好ましい。
上記質量比は、製造後初期化前ないし初期化後使用前の全固体二次電池における質量比であることが好ましく、使用を開始した後の全固体二次電池における質量比であってもよい。
(酸性プロトンを有する化合物(C))
本発明の全固体二次電池は、固体電解質層に酸性プロトンを有する化合物(C)を含むことが好ましい。以下、「酸性プロトンを有する化合物(C)」を単に「化合物(C)」とも称する。
本発明の全固体二次電池は、固体電解質層に有機化合物(B)と化合物(C)とを含有することにより、イオン伝導度を損なうことなく短絡の発生を抑制することができる。その理由は定かではないが、以下のように推定される。本発明における金属リチウムデンドライト抑制のメカニズムを、本発明の全固体二次電池において、負極活物質層に金属リチウムの層を用いた場合を例に挙げて説明する。
まず成長した金属リチウムデンドライトが有機化合物(B)と反応し有機リチウムとハロゲン化リチウムを生じる。強塩基性の有機リチウムは弱酸性の化合物(C)と反応することで中和し、有機リチウムはプロトン化されて不活性化する。一方、化合物(C)は弱塩基性のリチウム塩となってリチウムイオン伝導に寄与する。総合的に、金属リチウムがデンドライトとして固体電解質層を貫通(短絡)する前にリチウムイオンに戻るためデンドライトは溶解し、さらに好ましいことに固体電解質層にリチウムイオンが蓄積される。このリチウムイオンは充放電によって負極に戻り再度リチウム金属負極に再生される。これによりイオン伝導度を損なうことなく短絡寿命を伸ばすことができるものと推定される。負極活物質として金属リチウム以外を用いた負極活物質層においても発生する確率は低いがリチウムデンドライトが発生する可能性は否定できない。負極活物質として金属リチウム以外を用いた負極活物質層を用いた本発明の全固体二次電池におけるデンドライト抑止のメカニズムは上記と同様である。
化合物(C)のpKaは−20以上14未満であることが好ましく、0以上14未満であることがより好ましく、6以上14未満であることが特に好ましい。電池を腐食することを効果的に抑制し、化合物(C)のプロトンと上記有機リチウムの交換が起きうるためである。
化合物(C)が有する酸性プロトンの総数が、有機化合物(B)が有するハロゲン原子(フッ素原子を除く)の総数よりも多いことが好ましい。
本発明において、化合物(C)は、全固体二次電池に用いられる集電体等の金属に対する腐食性がより低いため、下記一般式(1)又は(2)で表わされる化合物であることが好ましく、一般式(2)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2019067523
式中、R11、R12、R21及びR22はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシ基、フッ素化アルコキシ基、アリール基、フッ素化アリール基、アリールオキシ基又はフッ素化アリールオキシ基を示す。R11とR12は連結して環を形成してもよい。R21とR22は連結して環を形成してもよい。L及びLはそれぞれ独立に−CH−、−CHR−及び−NH−のいずれかを示す。Rはアルキル基又はアリール基を示す。
一般式(1)において、R11及びR12はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシ基又はフッ素化アルコキシ基を示すことが好ましく、アルキル基又はアルコキシ基を示すことがより好ましい。
は、−CH−又は−NH−を示すことが好ましい。
一般式(2)において、R21及びR22はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシ基又はフッ素化アルコキシ基を示すことが好ましく、アルキル基又はフッ素化アルキル基を示すことがより好ましく、フッ素化アルキル基を示すことが特に好ましい。
は、−CHR(Rはアリール基)−又は−NH−を示すことが好ましく、−NH−を示すことがより好ましい。
11及びR12で示されるアルキル基は鎖状でも環状でもよく、炭素数は1〜18が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜6が特に好ましい。
21及びR22で示されるアルキル基は鎖状でも環状でもよく、炭素数は1〜18が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
アルキル基の具体例として、メチル、エチル、i−ブチル、t−ブチル及びシクロヘキシルが挙げられる。
11及びR12で示されるフッ素化アルキル基として、R11及びR12で示されるアルキル基がフッ素化された基が挙げられ、パーフルオロアルキル基が好ましい。
21及びR22で示されるフッ素化アルキル基として、R21及びR22で示されるアルキル基がフッ素化された基が挙げられ、パーフルオロアルキル基が好ましい。
11、R12、R21及びR22で示されるアルコキシ基のアルキル基は、上記アルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
11、R12、R21及びR22で示されるフッ素化アルコキシ基として、上記アルコキシ基がフッ素化された基が挙げられ、パーフルオロアルコキシ基が好ましい。
11、R12、R21及びR22で示されるアリール基の炭素数は、6〜20が好ましく、6〜15がより好ましく、6〜10が特に好ましく、具体例としてフェニル及びナフチルが挙げられる。
11、R12、R21及びR22で示されるフッ素化アリール基として、上記アリール基がフッ素化された基が挙げられ、パーフルオロアリール基が好ましい。
11、R12、R21及びR22で示されるアリールオキシ基のアリール基として、上記アリール基が挙げられ、好ましい範囲も同じである。
11、R12、R21及びR22で示されるフッ素化アリールオキシ基として、上記アリールオキシ基がフッ素化された基が挙げられ、パーフルオロアリールオキシ基が好ましい。
で示されるアルキル基は、R21及びR22で示されるアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。Rで示されるアリール基は、R11、R12、R21及びR22で示されるアリール基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(1)又は(2)で表される化合物は、本発明の効果を損なわない範囲内で置換基を有してもよく、このような置換基として上記置換基Tが挙げられる。
化合物(C)は、1atm下、25℃で液体でも固体でも良いが、固体であることが好ましい。
化合物(C)の具体例としては、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロノニトリル、N−メチル−p−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、トリフルオロメタンスルホンアミド、フェニルビス(トリフルオロメタンスルホニル)メタン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチド、フタルイミド、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン−1,3−ジスルホンイミド及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドが挙げられる。
化合物(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、化合物(C)は、常法により合成したものを用いてもよく、市販品を用いてもよい。
本発明の全固体二次電池の固体電解質層において、化合物(C)の含有量は特に制限されないが、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
(バインダー(D))
本発明の全固体二次電池は、固体電解質層にバインダー(D)を含有することが好ましい。
バインダー(D)として、通常のリチウムイオン電池に用いられるバインダーを使用することができる。
バインダー(D)の具体例として、フッ素系ポリマー(ポリビニリデンジフルオリド、ポリビニリデンジフルオリド−ヘキサフルオロプロピレン等)、炭化水素系ポリマー(ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレンブタジエン、アクリロニトリルブタジエン、これらのブロック重合体または重合物の水添体等)、アクリル系ポリマー(アクリル酸−アクリル酸メチル共重合体、ポリブチルメタクリレート−アクリル酸共重合体、特開2015−88480号公報に記載されたアクリル系バインダー等)、並びに、ウレタン結合、ウレア結合、イミド結合及び/又はアミド結合を有するポリマー(例えば、特開2015−88480号公報に記載された各結合を有するポリマー)が挙げられる。
バインダー(D)は粒子状であることが好ましく、その形状は球状に限定されない。
バインダー(D)の粒子径は真球換算平均粒子径として10〜1000nmが好ましく、50〜500nmがより好ましい。
バインダー粒子の平均粒子径は、特に断らない限り、以下に記載の測定条件および定義に基づくものとする。
バインダー粒子を任意の溶媒(例えば、オクタン)を用いて20mlサンプル瓶中で1質量%の分散液を希釈調製する。希釈後の分散試料は、1kHzの超音波を10分間照射し、その直後に試験に使用する。この分散液試料を用い、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920(商品名、HORIBA社製)を用いて、温度25℃で測定用石英セルを使用してデータ取り込みを50回行い、得られた真球換算平均粒子径を平均粒子径とする。その他の詳細な条件等は必要によりJISZ8828:2013「粒子径解析−動的光散乱法」の記載を参照する。1水準につき5つの試料を作製して測定し、その平均値を採用する。
なお、作製された全固体二次電池からの測定は、例えば、電池を分解し電極を剥がした後、その電極材料について上記ポリマー粒子の平均粒子径の測定方法に準じてその測定を行い、あらかじめ測定していたポリマー粒子以外の粒子の平均粒子径の測定値を排除することにより行うことができる。
本発明に用いられるバインダー(D)を構成するポリマーの質量平均分子量は10,000以上が好ましく、20,000以上がより好ましく、30,000以上がさらに好ましい。上限としては、1,000,000以下が好ましく、200,000以下がより好ましく、100,000以下がさらに好ましい。
−分子量の測定−
本発明においてバインダー(D)の分子量については、特に断らない限り、質量平均分子量をいい、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算の質量平均分子量を計測する。測定法としては、基本として下記条件1又は条件2(優先)の方法により測定した値とする。ただし、バインダー種によっては適宜適切な溶離液を選定して用いればよい。
(条件1)
カラム:TOSOH TSKgel Super AWM−H(商品名)を2本つなげる。
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
(条件2)優先
カラム:TOSOH TSKgel Super HZM−H(商品名)、TOSOH TSKgel Super HZ4000(商品名)、TOSOH TSKgel Super HZ2000(商品名)をつないだカラムを用いる。
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
バインダー(D)の固体電解質層中の含有量は、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることが特に好ましい。上限としては、同様の観点から、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが特に好ましい。
バインダー(D)は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(分散剤)
本発明の全固体二次電池は、固体電解質層に分散剤を含有してもよい。無機固体電解質等の凝集を抑制し、均一な固体電解質層を形成することができる。分散剤としては、全固体二次電池に通常使用されるものを適宜選定して用いることができる。一般的には粒子吸着と立体反発及び/又は静電反発を意図した化合物が好適に使用される。
(リチウム塩)
本発明の全固体二次電池は、固体電解質層にリチウム塩を含有してもよい。
リチウム塩としては、特に制限はなく、例えば、特開2015−088486号公報の段落0082〜0085記載のリチウム塩が好ましい。
リチウム塩の含有量は、無機固体電解質100質量部に対して0質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。上限としては、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。
(イオン液体)
本発明の全固体二次電池は、イオン伝導度をより向上させるため、固体電解質層にイオン液体を含有してもよい。イオン液体としては、特に限定されないが、イオン伝導度を効果的に向上させる観点から、上述したリチウム塩を溶解するものが好ましい。例えば、下記のカチオンと、アニオンとの組み合わせよりなる化合物が挙げられる。
(i)カチオン
カチオンとしては、イミダゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、ホスホニウムカチオン及び第4級アンモニウムカチオン等が挙げられる。ただし、これらのカチオンは以下の置換基を有する。
カチオンとしては、これらのカチオンを1種単独で用いてもよく、2以上組み合わせて用いることもできる。
好ましくは、四級アンモニウムカチオン、ピペリジニウムカチオン又はピロリジニウムカチオンである。
上記カチオンが有する置換基としては、アルキル基(炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。)、ヒドロキシアルキル基(炭素数1〜3のヒドロキシアルキル基が好ましい。)、アルキルオキシアルキル基(炭素数2〜8のアルキルオキシアルキル基が好ましく、炭素数2〜4のアルキルオキシアルキル基がより好ましい。)、エーテル基、アリル基、アミノアルキル基(炭素数1〜8のアミノアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアミノアルキル基が好ましい。)、アリール基(炭素数6〜12のアリール基が好ましく、炭素数6〜8のアリール基がより好ましい。)が挙げられる。上記置換基はカチオン部位を含有する形で環状構造を形成していてもよい。置換基はさらに上記分散媒で記載した置換基を有していてもよい。なお、上記エーテル基は、他の置換基と組み合わされて用いられる。このような置換基として、アルキルオキシ基、アリールオキシ基等が挙げられる。
(ii)アニオン
アニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、四フッ化ホウ素イオン、硝酸イオン、ジシアナミドイオン、酢酸イオン、四塩化鉄イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン、ビス(パーフルオロブチルメタンスルホニル)イミドイオン、アリルスルホネートイオン、ヘキサフルオロリン酸イオン及びトリフルオロメタンスルホネートイオン等が挙げられる。
アニオンとしては、これらのアニオンを1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いることもできる。
好ましくは、四フッ化ホウ素イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、ビス(フルオロスルホニル)イミドイオン又はヘキサフルオロリン酸イオン、ジシアナミドイオン及びアリルスルホネートイオンであり、さらに好ましくはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン又はビス(フルオロスルホニル)イミドイオン及びアリルスルホネートイオンである。
上記のイオン液体としては、例えば、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムブロミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−(2−ヒドロキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−(2−メトキシエチル)−3−メチルイミダゾリウムブロミド、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボラート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムジシアナミド、1−ブチル−1−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリメチルブチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(DEME)、N−プロピル−N−メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(PMP)、N−(2−メトキシエチル)−N−メチルピロリジニウム テトラフルオロボラート、1−ブチル−1−メチルピロリジニウム ビス(フルオロスルホニル)イミド、(2−アクリロイルエチル)トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、1−エチルー1−メチルピロリジニウムアリルスルホネート、1−エチルー3−メチルイミダゾリウムアリルスルホネート及び塩化トリヘキシルテトラデシルホスホニウムが挙げられる。
イオン液体の含有量は、無機固体電解質100質量部に対して0質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、2質量部以上が最も好ましい。上限としては、50質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
リチウム塩とイオン液体の質量比は、リチウム塩:イオン液体=1:20〜20:1が好ましく、1:10〜10:1がより好ましく、1:7〜2:1が最も好ましい。
(導電助剤)
本発明の全固体二次電池は、固体電解質層に導電助剤を含有してもよい。導電助剤としては、特に制限はなく、一般的な導電助剤として知られているものを用いることができる。例えば、電子伝導性材料である、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラックなどのカーボンブラック類、ニードルコークスなどの無定形炭素、気相成長炭素繊維やカーボンナノチューブなどの炭素繊維類、グラフェンやフラーレンなどの炭素質材料であっても良いし、銅、ニッケルなどの金属粉、金属繊維でも良く、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリフェニレン誘導体など導電性高分子を用いても良い。またこれらの内1種を用いても良いし、2種以上を用いても良い。
<固体電解質含有シート>
本発明の固体電解質含有シートは、固体電解質層を有し、この固体電解質層が無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)とを含有し、有機化合物(B)がフッ素以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有する。
本発明の固体電解質含有シートの固体電解質層は、本発明の全固体二次電池の固体電解質層に含有される成分を含有してもよい。本発明の固体電解質含有シートの固体電解質層に含まれる各成分の含有量は、本発明の全固体二次電池の固体電解質層に含まれる各成分の含有量と同義である。
本発明の固体電解質含有シートは、本発明の全固体二次電池に好適に用いることができ、その用途に応じて種々の態様を含む。例えば、固体電解質層に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用固体電解質シートともいう)、電極と固体電解質層との積層体に好ましく用いられるシート(全固体二次電池用積層シート)等が挙げられる。
固体電解質含有シートは、固体電解質層を有するシート又は固体電解質層と活物質層(電極層)とを有するシートである。この固体電解質含有シートは、少なくとも固体電解質層を有していれば、他の層を有してもよいが、活物質層を含有するものは全固体二次電池用積層シートに分類される。他の層としては、例えば、保護層、集電体等が挙げられる。
全固体二次電池用固体電解質シートとして、例えば、固体電解質層と保護層とを基材上に、この順で有するシート及び固体電解質層からなるシート(基材を有さないシート)及びは活物質層(電極層)からなるシート(基材を有さないシート)が挙げられる。
基材としては、固体電解質層及び固体電解質層と活物質層との積層体を支持できるものであれば特に限定されず、上記集電体で説明した材料、有機材料及び無機材料等のシート体(板状体)等が挙げられる。有機材料としては、各種ポリマー等が挙げられ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン及びセルロース等が挙げられる。無機材料としては、例えば、ガラス及びセラミック等が挙げられる。
固体電解質含有シートの固体電解質層の層厚は、上述の、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池において説明した固体電解質層の層厚と同じである。
このシートは、少なくとも無機固体電解質(A)と有機化合物(B)とを含有する固体電解質組成物を基材上(他の層を介していてもよい)に製膜(塗布乾燥)して、基材上に固体電解質層を形成することにより、得られる。基材を固体電解質層から剥し、固体電解質層からなるシートとしてもよい。
本発明の全固体二次電池用積層シートは、本発明の全固体二次電池の固体電解質層及び活物質層を形成するためシートであり、集電体としての金属箔上に固体電解質層と活物質層とを有する。この全固体二次電池用積層シートは、通常、集電体、固体電解質層及び活物質層を有するシートであり、集電体、活物質層、固体電解質層、活物質層及び集電体をこの順に有する態様も含まれる。
全固体二次電池用積層シートを構成する各層の層厚は、上述の、本発明の好ましい実施形態に係る全固体二次電池において説明した各層の層厚と同じである。
<固体電解質組成物>
本発明の固体電解質組成物は、無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)と、分散媒(E)とを含有し、上記有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有し、上記有機化合物(B)の融点が25℃以上である。
本発明の固体電解質組成物は、本発明の全固体二次電池の固体電解質層の構成材料として好適に用いることができる。
(分散媒(E))
分散媒(E)は、上記の各成分を分散させるものであればよく、例えば、各種の有機溶媒が挙げられる。分散媒の具体例としては下記のものが挙げられる。
アルコール化合物溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,6−ヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール及び1,4−ブタンジオールが挙げられる。
エーテル化合物溶媒としては、アルキレングリコールアルキルエーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール等)、ジアルキルエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等)、テトラヒドロフラン及びジオキサン(1,2−、1,3−及び1,4−の各異性体を含む)が挙げられる。
アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド及びヘキサメチルホスホリックトリアミドが挙げられる。
アミノ化合物溶媒としては、例えば、トリエチルアミン、及びトリブチルアミンが挙げられる。
ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン及びジブチルケトンが挙げられる。
エステル系化合物溶媒としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、酢酸ヘキシル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、酪酸ブチル、酪酸ペンチル、イソ酪酸メチル、イソ酪酸エチル、イソ酪酸プロピル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸イソブチル、吉草酸メチル、吉草酸エチル、吉草酸プロピル、吉草酸ブチル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、カプロン酸プロピル、カプロン酸ブチル及びプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートが挙げられる。
芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン及びメシチレンが挙げられる。
脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、オクタン、ノナン、デカン、ペンタン、シクロペンタン、デカリン、ビニルシクロヘキセン、シクロオクタジエン及びシクロオクタンが挙げられる。
ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピロニトリル及びブチロニトリルが挙げられる。
分散媒(E)は常圧(1気圧)での沸点が50℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましい。上限は250℃以下であることが好ましく、220℃以下であることが更に好ましい。
上記分散媒(E)は、1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる分散媒(E)は、任意の組み合わせで用いてもよいが、バインダー(D)の粒子を溶解しないものが好ましい。
具体的には、本発明に用いられる分散媒(E)は、エーテル化合物溶媒又は炭化水素溶媒が好ましく、本発明の固体電解質組成物が粒子状のバインダー(D)を含有し得る点から、炭化水素溶媒がより好ましい。
炭化水素溶媒の中でも、芳香族化合物溶媒としてはトルエン又はキシレンが好ましく、脂肪族化合物溶媒としてはヘプタン、オクタン、シクロヘキサン又はシクロオクタンが好ましい。
固体電解質組成物中の分散媒の含有量は特に制限されないが、20〜80質量%が好ましく、30〜70質量%がより好ましく、40〜60質量%が特に好ましい。
分散媒(E)中の炭化水素溶媒の含有量は、本発明の固体電解質組成物が粒子状のバインダー(D)を含有し得る点から、下限値は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上が更に好ましい。上限値は、特に制限はないが100質量%であることが好ましい。
本発明の固体電解質組成物は、本発明の全固体二次電池の固体電解質層に含有される成分を含有してもよい。本発明の固体電解質組成物に含まれる固形成分の含有量は、本発明の全固体二次電池の固体電解質層に含まれる固形成分の含有量と同義である。
なお、本明細書において固形成分とは、窒素雰囲気下80℃で6時間乾燥処理を行ったときに、揮発ないし蒸発して消失しない成分をいう。典型的には、分散媒(E)(溶媒)以外の成分を指す。
(固体電解質組成物の調製)
本発明の固体電解質組成物は、例えば、無機固体電解質(A)および有機化合物(B)を分散媒(E)の存在下で分散して、スラリー化することで調製することができる。
スラリー化は、各種の混合機を用いて無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)と、分散媒(E)とを混合することにより行うことができる。混合装置としては、特に限定されないが、例えば、ボールミル、ビーズミル、プラネタリミキサ―、ブレードミキサ―、ロールミル、ニーダーおよびディスクミルが挙げられる。混合条件は特に制限されないが、例えば、ボールミルを用いた場合、150〜700rpm(rotation per minute)で1時間〜24時間混合することが好ましい。
化合物(C)、バインダー(D)等の成分を含有する固体電解質組成物を調製する場合には、上記の無機固体電解質(A)および有機化合物(B)の分散工程と同時に添加及び混合してもよく、別途添加及び混合してもよい。
<全固体二次電池及び固体電解質含有シートの製造>
全固体二次電池及び固体電解質含有シートの製造は、常法によって行うことができる。具体的には、全固体二次電池及び固体電解質含有シートは、各層形成用固体電解質組成物等を用いて、上記の各層を形成することにより、製造できる。以下、詳述する。
本発明の全固体二次電池は、例えば、以下の方法で製造することができる。
具体的には、活物質を含有する固体電解質組成物を、集電体となる金属箔上に塗布し、塗膜を形成(製膜)する工程を含む(介する)方法により、製造できる。
例えば、正極集電体である金属箔上に、正極用材料(正極用組成物)として、正極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して正極活物質層を形成し、全固体二次電池用正極シートを作製する。次いで、この正極活物質層の上に、固体電解質層を形成するための固体電解質組成物(無機固体電解質(A)と有機化合物(B)とを少なくとも含む)を塗布して、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、負極用材料(負極用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して、負極活物質層を形成する。負極活物質層の上に、負極集電体(金属箔)を重ねることにより、正極活物質層と負極活物質層の間に固体電解質層が挟まれた構造の全固体二次電池を得ることができる。必要によりこれを筐体に封入して所望の全固体二次電池とすることができる。
また、各層の形成方法を逆にして、負極集電体上に、負極活物質層、固体電解質層及び正極活物質層を形成し、正極集電体を重ねて、全固体二次電池を製造することもできる。
別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シートを作製する。また、負極集電体である金属箔上に、負極用材料(負極用組成物)として、負極活物質を含有する固体電解質組成物を塗布して負極活物質層を形成し、全固体二次電池用負極シートを作製する。次いで、これらシートのいずれか一方の活物質層の上に、上記のようにして、固体電解質層を形成する。さらに、固体電解質層の上に、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートの他方を、固体電解質層と活物質層とが接するように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
また別の方法として、次の方法が挙げられる。すなわち、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートを作製する。また、これとは別に、固体電解質組成物を基材上に塗布して、固体電解質層からなる全固体二次電池用固体電解質シートを作製する。さらに、全固体二次電池用正極シート及び全固体二次電池用負極シートで、基材から剥がした固体電解質層を挟むように積層する。このようにして、全固体二次電池を製造することができる。
上記の形成法の組み合わせによっても全固体二次電池を製造することができる。例えば、上記のようにして、全固体二次電池用正極シート、全固体二次電池用負極シート及び全固体二次電池用固体電解質シートをそれぞれ作製する。次いで、全固体二次電池用負極シート上に、基材から剥がした固体電解質層を積層した後に、上記全固体二次電池用正極シートと張り合わせることで全固体二次電池を製造することができる。この方法において、固体電解質層を全固体二次電池用正極シートに積層し、全固体二次電池用負極シートと張り合わせることもできる。
(各層の形成(成膜))
固体電解質組成物の塗布方法は、特に限定されず、適宜に選択できる。例えば、塗布(好ましくは湿式塗布)、スプレー塗布、スピンコート塗布、ディップコート、スリット塗布、ストライプ塗布及びバーコート塗布が挙げられる。
このとき、固体電解質組成物は、それぞれ塗布した後に乾燥処理を施してもよいし、重層塗布した後に乾燥処理をしてもよい。乾燥温度は特に限定されない。下限は30℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましい。上限は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましく、200℃以下がさらに好ましい。このような温度範囲で加熱することで、分散媒を除去し、固体状態にすることができる。また、温度を高くしすぎず、全固体二次電池の各部材を損傷せずに済むため好ましい。これにより、全固体二次電池において、優れた総合性能を示し、かつ良好な結着性を得ることができる。
固体電解質含有シート、又は、全固体二次電池を作製した後に、各層又は全固体二次電池を加圧することが好ましい。また、各層を積層した状態で加圧することも好ましい。加圧方法としては油圧シリンダープレス機等が挙げられる。加圧力としては、特に限定されず、一般的には50〜1500MPaの範囲であることが好ましい。
また、固体電解質含有シートは、加圧と同時に加熱してもよい。加熱温度としては、特に限定されず、一般的には30〜300℃の範囲である。無機固体電解質のガラス転移温度よりも高い温度でプレスすることもできる。
加圧は塗布溶媒又は分散媒をあらかじめ乾燥させた状態で行ってもよいし、溶媒又は分散媒が残存している状態で行ってもよい。
なお、各組成物は同時に塗布しても良いし、塗布乾燥プレスを同時及び/又は逐次行っても良い。別々の基材に塗布した後に、転写により積層してもよい。
加圧中の雰囲気としては、特に限定されず、大気下、乾燥空気下(露点−20℃以下)及び不活性ガス中(例えばアルゴンガス中、ヘリウムガス中、窒素ガス中)などいずれでもよい。
プレス時間は短時間(例えば数時間以内)で高い圧力をかけてもよいし、長時間(1日以上)かけて中程度の圧力をかけてもよい。全固体二次電池用シート以外、例えば全固体二次電池の場合には、中程度の圧力をかけ続けるために、全固体二次電池の拘束具(ネジ締め圧等)を用いることもできる。
プレス圧はシート面等の被圧部に対して均一であっても異なる圧であってもよい。
プレス圧は被圧部の面積や膜厚に応じて変化させることができる。また同一部位を段階的に異なる圧力で変えることもできる。
プレス面は平滑であっても粗面化されていてもよい。
(初期化)
上記のようにして製造した全固体二次電池は、製造後又は使用前に初期化を行うことが好ましい。初期化は、特に限定されず、例えば、プレス圧を高めた状態で初充放電を行い、その後、全固体二次電池の一般使用圧力になるまで圧力を開放することにより、行うことができる。
<全固体二次電池の用途>
本発明の全固体二次電池は種々の用途に適用することができる。適用態様には特に限定はないが、例えば、電子機器に搭載する場合、ノートパソコン、ペン入力パソコン、モバイルパソコン、電子ブックプレーヤー、携帯電話、コードレスフォン子機、ページャー、ハンディーターミナル、携帯ファックス、携帯コピー、携帯プリンター、ヘッドフォンステレオ、ビデオムービー、液晶テレビ、ハンディークリーナー、ポータブルCD、ミニディスク、電気シェーバー、トランシーバー、電子手帳、電卓、携帯テープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、メモリーカードなどが挙げられる。その他民生用として、自動車(電気自動車等)、電動車両、モーター、照明器具、玩具、ゲーム機器、ロードコンディショナー、時計、ストロボ、カメラ、医療機器(ペースメーカー、補聴器、肩もみ機など)などが挙げられる。更に、各種軍需用、宇宙用として用いることができる。また、太陽電池と組み合わせることもできる。
全固体二次電池とは、正極、負極、電解質がともに固体で構成された二次電池を言う。換言すれば、電解質としてカーボネート系の溶媒を用いるような電解液型の二次電池とは区別される。このなかで、本発明は無機全固体二次電池を前提とする。全固体二次電池には、電解質としてポリエチレンオキサイド等の高分子化合物を用いる有機(高分子)全固体二次電池と、上記のLi−P−S系ガラス、LLT又はLLZ等を用いる無機全固体二次電池とに区分される。なお、無機全固体二次電池に有機化合物を適用することは妨げられず、正極活物質、負極活物質、無機固体電解質のバインダーや添加剤として有機化合物を適用することができる。
無機固体電解質とは、上述した高分子化合物をイオン伝導媒体とする電解質(高分子電解質)とは区別されるものであり、無機化合物がイオン伝導媒体となるものである。具体例としては、上記のLi−P−S系ガラス、LLTやLLZが挙げられる。無機固体電解質は、それ自体が陽イオン(Liイオン)を放出するものではなく、イオンの輸送機能を示すものである。これに対して、電解液ないし固体電解質層に添加して陽イオン(Liイオン)を放出するイオンの供給源となる材料を電解質と呼ぶことがある。上記のイオン輸送材料としての電解質と区別する際には、これを「電解質塩」又は「支持電解質」と呼ぶ。電解質塩としては、例えばLiTFSIが挙げられる。
本発明において「組成物」というときには、2種以上の成分が均一に混合された混合物を意味する。ただし、実質的に均一性が維持されていればよく、所望の効果を奏する範囲で、一部において凝集や偏在が生じていてもよい。
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本発明がこれにより限定して解釈されるものではない。以下の実施例において組成を表す「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、表中において使用する「−」は、その列の成分を含有しないこと等を意味する。
<硫化物系無機固体電解質の合成>
−Li−P−S系ガラスの合成−
硫化物系無機固体電解質として、T.Ohtomo,A.Hayashi,M.Tatsumisago,Y.Tsuchida,S.HamGa,K.Kawamoto,Journal of Power Sources,233,(2013),pp231−235及びA.Hayashi,S.Hama,H.Morimoto,M.Tatsumisago,T.Minami,Chem.Lett.,(2001),pp872−873の非特許文献を参考にして、Li−P−S系ガラスを合成した。
具体的には、アルゴン雰囲気下(露点−70℃)のグローブボックス内で、硫化リチウム(LiS、Aldrich社製、純度>99.98%)2.42g、五硫化二リン(P、Aldrich社製、純度>99%)3.90gをそれぞれ秤量し、メノウ製乳鉢に投入し、メノウ製乳棒を用いて、5分間混合した。なお、LiS及びPの混合比は、モル比でLiS:P=75:25とした。
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径5mmのジルコニアビーズを66個投入し、上記硫化リチウムと五硫化二リンの混合物全量を投入し、アルゴン雰囲気下で容器を密閉した。フリッチュ社製の遊星ボールミルP−7(商品名)にこの容器をセットし、温度25℃、回転数510rpmで20時間メカニカルミリングを行い、黄色粉体の硫化物系無機固体電解質(Li−P−S系ガラス)6.20gを得た。イオン伝導度は0.28mS/cmであった。
<固体電解質組成物の調製>
−固体電解質組成物S−1の調製−
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径3mmのジルコニアビーズを50個投入し、酸化物系無機固体電解質LLZ(豊島製作所製)1.5gと、バインダー(E−1)0.02gと、1,4−ジクロロブタン0.15gとを加え、分散媒体として、PGMEA2.5gを投入した。その後、フリッチュ社製遊星ボールミルP−7(商品名)に容器をセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間混合を続け固体電解質組成物S−1を調製した。
(2)固体電解質組成物S−2の調製
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径3mmのジルコニアビーズを50個投入し、上記で合成した硫化物系無機固体電解質Li−P−S系ガラス1.5gと、バインダー(E−1)0.02gと、1,4−ジクロロブタン0.15gとを加え、分散媒として、ヘプタン2.5gを投入した。その後、この容器を遊星ボールミルP−7(フリッチュ社製)にセットし、温度25℃、回転数300rpmで2時間攪拌を続け固体電解質組成物S−2を調製した。
固体電解質組成物S−2の調製において、下記表1に記載の組成に変えたこと以外は、固体電解質組成物S−2と同様にして、固体電解質組成物S−1〜S−13及びHS−1〜HS−5を調製した。
下記表1に、固体電解質組成物の組成をまとめて記載する。
Figure 2019067523
<表の注>
組成物:固体電解質組成物
LLZ:LiLaZr12(豊島製作所製)
Li/P/S:上記で合成したLi−P−S系ガラス
B−1:ポリ塩化ビニル Mw100000
B−2:ポリ(2−クロロエチルメタクリル酸)Mw22000
B−3:下記式で示されるポリウレタン 括弧横の数字はモル比
Figure 2019067523
上記B−3の合成法を以下に記載する。
200mL3口フラスコにポリエチレングリコ―ル(Mw1000和光純薬社製)2.0gとαモノクロロヒドリン3.0gを加えてテトラヒドロフラン50gに溶解させた。これにジフェニルメタンジイソシアネート7.0gを加えて50℃で加熱撹拌した。次にネオスタンU−600(日東化成社製)0.02g加えて50℃で4時間加熱撹拌を行った。得られたポリマーをヘプタンに沈殿させろ取した。Mwは33000であった。
EMI−TFSI:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
EMI−Cl:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド
HS−1〜HS−5は実施例との対比のために、EMI−TFSI、EMI−Cl及びヨードベンゼンジアセテート有機化合物(B)の列に記載している。
TFSI:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
E−1:PVdF−HFP(ポリビニリデンジフルオリド−ヘキサフルオロプロピレン、アルケマ社製)
E−2:SBR(スチレンブタジエンゴム、JSR社製)
E−3:下記の方法で調製したアクリル酸−アクリル酸メチル共重合体(20/80モル比 Mw25000)
100mL3つ口フラスコにアクリル酸(和光純薬社製)1.2gとアクリル酸メチル4.2g(和光純薬社製)をMEK(メチルエチルケトン)30gに溶解し、75℃に加熱しながら窒素置換した。これにアゾイソブチロニトリル(V−60:商品名、和光純薬社製)0.15gを添加して、窒素雰囲気下75℃で6時間加熱した。得られたポリマー溶液において、ヘキサンを用いてポリマーを沈殿させた。この沈殿をろ取ご乾燥して白色粉末を得た。
E−4:アクリルラテックス、特開2015−88486号公報に記載のバインダー(B−1)ラテックス平均粒子径:500nm(平均粒子径は上述の方法で測定した。)
E−5:ウレタンポリマー特開2015−88480号公報に記載の例示化合物(34)
PGMEA:プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート
<正極用組成物の調製>
ジルコニア製45mL容器(フリッチュ社製)に、直径3mmのジルコニアビーズを50個投入し、上記で合成した硫化物系無機固体電解質Li−P−S系ガラス1.5g、バインダー(E−1)0.02gを加え、分散媒体として、イソ酪酸イソブチル3.5gを投入した。これに正極活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3(ニッケルマンガンコバルト酸リチウム[NMC])を3.6g加え、その後、この容器を遊星ボールミルP−7(フリッチュ社製)にセットし、温度25℃、回転数100rpmで10分間攪拌を続け正極用組成物P−1を調製した。
正極用組成物P−1を調製において、バインダー(E−1)に代えてバインダー(E−5)を用いたこと以外は、正極用組成物P−1と同様の方法で正極用組成物P−2を調製した。
<負極用組成物の調製>
黒鉛0.15gとLi−P−Sガラス0.10gをメノウ乳鉢で混合し、負極用組成物とした。
<全固体電池用積層シートの作製>
(全固体二次電池用積層シートZ−1〜13及びHZ−1〜HZ−5の作製)
表1に示す固体電解質組成物S−1を剥離シート(リンテック社製:膜厚30μm)上に、クリアランス100μmに設定したバーコーターを用いて塗布し、ホットプレート上において80℃で20分間乾燥し20mm角で打ち抜きすることにより固体電解質含有シートSS−1(20mm×20mm、固体電解質層の厚さ30μm)を形成した。
固体電解質組成物S−2〜S−13を用いたこと以外は、固体電解質含有シートSS−1と同様にして固体電解質含有シートSS−2〜SS−13を作製した。
SUS箔(膜厚30μm)上に正極用組成物P−1をクリアランス300μmに設定したバーコーターを用いて塗布し80℃で20分間乾燥し20mm角で打ち抜き正極シートPS−1(20mm×20mm、正極活物質層の膜厚100μm)を形成した。
次に固体電解質含有シートSS−1の固体電解質層面と正極シートPS−1の正極活物質層面を張り合わせ、剥離シートを剥がし、固体電解質層とLi金属箔を接触させて50MPaでプレスした。このようにして正極層(厚さ100μm)−固体電解質層(厚さ30μm)−負極層(厚さ50μmのLi金属の層)をこの順に含む全固体二次電池用積層シートZ−1を得た。
表2の構成としたこと以外は、全固体二次電池用積層シートZ−1と同様にして、全固体二次電池用積層シートZ−2〜13及びHZ−1〜HZ−5を作製した。全固体二次電池用積層シートZ−2〜13及びHZ−1〜HZ−5の正極層、固体電解質層及び負極層の厚さは、全固体二次電池用積層シートZ−1と同じであった。
(全固体二次電池用積層シートZ−14の作製)
上記と同様にして、固体電解質含有シートSS−11の固体電解質層面と正極シートPS−2の正極活物質層面を張り合わせ、剥離シートを剥がした。固体電解質層上に、負極用組成物を0.25g載せ50MPaでプレスした。このようにして正極層(厚さ100μm)−固体電解質層(厚さ30μm)−負極層(厚さ30μm)をこの順に含む全固体二次電池用積層シートZ−14を得た。
全固体二次電池用積層シートZ−1〜14及びHZ−1〜HZ−5が有する各層の構成の組み合わせを下記表2に示す。
<全固体二次電池の製造>
上記で製造した全固体二次電池用積層シートZ−1を直径14.5mmの円板状に切り出し、図2に示すように、スペーサーとワッシャー(図2に示していない)を組み込んだステンレス製の2032型コインケース11に入れて、トルクレンチで8ニュートン(N)の力で締め付け、図1に示す層構成を有する全固体二次電池13を製造した。
<試験>
上記で作製した全固体二次電池の電池電圧を、東洋システム社製の充放電評価装置「TOSCAT−3000(商品名)」により測定した。充電は、電流密度0.1Cで電池電圧が4.2Vに達するまで行い放電は電流密度0.2Cで電圧が3.5Vに達するまで行った。下記2つの試験の結果を表2に示す。
−デンドライト抑制試験−
0.1Cで充電し0.2Cで放電し短絡するまでのサイクル数を評価した。
A:100サイクル以上
B:20サイクル以上100サイクル未満
C:5サイクル以上20サイクル未満
D:1サイクル以上5サイクル未満
E:1サイクル未満
A〜Cが本試験の合格である。
−電圧低下測定試験−
4.2Vまで充電し、5mAh/g放電後における電池電圧を測定した。
A:4.15V以上
B:4.10以上4.15V未満
C:4.05V以上4.10V未満
D:4.0V以上4.05V未満
E:4.0V未満
A〜Cが本試験の合格である。
Figure 2019067523
No.1〜4、13及びc3の全固体二次電池において、固体電解質層中の有機化合物(B)の含有量は以下の通りである。
No.1:0.0015g
No.2:0.0032g
No.3:0.0056g
No.4:0.0039g
No.13:0.0025g
No.c3:0.0023g
以下に上記含有量の測定方法を記載する。
上記で製造した全固体二次電池用積層シートを直径14.5mmの円板状に切り出し、テトラヒドロフラン10.0gに1時間浸漬した。溶出物をろ過し、ガスクロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーにて定量した。
表2から明らかなように、有機化合物(B)を含有しない固体電解質層を有する全固体二次電池は、デンドライト抑制試験及び電圧低下測定試験が不合格であった。
これに対し、本発明の全固体二次電池はデンドライト抑制試験及び電圧低下測定試験が合格であった。
No.1〜14の結果から、本発明の全固体二次電池は、負極活物質層がリチウム金属の層及び負極活物質として黒鉛を用いた負極活物質層においても短絡が発生しにくく、電池電圧の低下を高いレベルで抑制することができることがわかる。
1 負極集電体
2 負極活物質層
3 固体電解質層
4 正極活物質層
5 正極集電体
6 作動部位
10 全固体二次電池
11 2032型コインケース
12 全固体二次電池用積層シート
13 全固体二次電池

Claims (15)

  1. 正極活物質層と、負極活物質層と、当該正極活物質層及び当該負極活物質層の間に配置された固体電解質層とを有する全固体二次電池であって、前記固体電解質層に、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)とを含み、前記有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有する、全固体二次電池。
  2. 前記有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有するアルカン又はフッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有するアレーンのいずれかである、請求項1に記載の全固体二次電池。
  3. 前記固体電解質層において、前記有機化合物(B)の質量/前記無機固体電解質(A)の質量=1/99〜50/50である、請求項1又は2に記載の全固体二次電池。
  4. 前記有機化合物(B)の融点が25℃以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  5. 前記有機化合物(B)が、1分子中に塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子を合計で2個以上有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  6. 有機化合物(B)の分子量が300以上200,000未満である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  7. 前記固体電解質層に酸性プロトンを有する化合物(C)を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  8. 前記化合物(C)が、下記一般式(1)又は(2)で表わされる化合物である、請求項7に記載の全固体二次電池。
    Figure 2019067523
    式中、R11、R12、R21及びR22はそれぞれ独立にアルキル基、フッ素化アルキル基、アルコキシ基、フッ素化アルコキシ基、アリール基、フッ素化アリール基、アリールオキシ基又はフッ素化アリールオキシ基を示す。R11とR12は連結して環を形成してもよい。R21とR22は連結して環を形成してもよい。L及びLはそれぞれ独立に−CH−、−CHR−及び−NH−のいずれかを示す。Rはアルキル基又はアリール基を示す。
  9. 前記化合物(C)の融点が25℃以上である、請求項7又は8に記載の全固体二次電池。
  10. 前記固体電解質層にバインダー(D)を含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  11. 前記無機固体電解質(A)が硫化物系無機固体電解質である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  12. 前記固体電解質層の厚さが1〜30μmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  13. 前記負極活物質層がリチウム金属の層である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の全固体二次電池。
  14. 固体電解質層を有する固体電解質含有シートであって、
    前記固体電解質層が、周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)とを含有し、前記有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有する、固体電解質含有シート。
  15. 周期律表第1族若しくは第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)と、有機化合物(B)と、分散媒(E)とを含有し、前記有機化合物(B)が、フッ素原子以外の非イオン性の1価のハロゲン原子を有し、前記有機化合物(B)の融点が25℃以上である、固体電解質組成物。
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