JP2019060422A - ブレーキパッドおよびディスクブレーキ - Google Patents

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Abstract

【課題】異音の発生を抑制することができるブレーキパッドおよびディスクブレーキを提供する。【解決手段】両端に制動トルクを支持部材11に伝達するトルク伝達部57,58を有するバックプレート51と、バックプレート51の一面側に貼付されるライニング52と、を有し、ライニング52は、ライニング52の中央部に中心を配した円環の一部形状の弧状溝71を備える。これにより、異音の発生を抑制することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、ブレーキパッドおよびディスクブレーキに関する。
ブレーキパッドのライニングに溝を形成することが行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2011−214628号公報 特開平11−270599号公報
ディスクブレーキにおいては、異音の発生を抑制することが求められている。
本発明は、異音の発生を抑制することができるブレーキパッドおよびディスクブレーキの提供を目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、ライニングが、該ライニングの中央部に中心を配した円環の一部形状の弧状溝を備える構成とした。
本発明によれば、異音の発生を抑制することができる。
実施形態に係るディスクブレーキを示す平面図。 実施形態に係るディスクブレーキのディスク、支持部材およびブレーキパッドを示す平面図。 実施形態に係る実施例1の新品状態のブレーキパッドを示す正面図。 実施形態に係る実施例1の新品状態のブレーキパッドを示す平面図。 実施形態に係る実施例2の新品状態のブレーキパッドを示す正面図。 実施形態に係る実施例3の新品状態のブレーキパッドを示す正面図。 実施形態に係る実施例4の新品状態のブレーキパッドを示す正面図。 実施形態に係る実施例1のブレーキパッドの弧状溝半径のライニング全長比に対する固有振動数変化率を示すグラフ図。
実施形態について図面を参照して説明する。図1に示す本実施形態に係るディスクブレーキ1は、自動車等の車両に取り付けられるものであり、制動対象となる図示略の車輪とともに回転するディスク10に摩擦抵抗を付与して車輪の回転を制動するものである。なお、以下においては、ディスク10の軸線方向をディスク軸方向、ディスク10の回転方向をディスク回転方向、ディスク10の径方向のうちディスクブレーキ1のディスク回転方向中心を通る線の方向をディスク径方向とそれぞれ称す。また、ディスク径方向においてディスク10の中心から離れる方向をディスク径方向の外側、ディスク10の中心に近づく方向をディスク径方向の内側とそれぞれ称す。
ディスクブレーキ1は、図1に示すように、上記したディスク10と、このディスク10の外周側をディスク軸方向に跨いで車両の非回転部分に取り付けられる支持部材11と、ディスク10のディスク軸方向の両面に対向配置されて支持部材11に支持される一対のブレーキパッド12と、支持部材11に摺動可能に取り付けられて、一対のブレーキパッド12をディスク10の両面に押圧するキャリパ14とを備えている。
図2に示すように、支持部材11は、鏡面対称の形状をなす一体成形品であり、一対の支持部20と、取付ベース部21と、アウタビーム部22とを有している。一対の支持部20は互いに離間している。取付ベース部21は、一対の支持部20を一側で連結する。アウタビーム部22は、一対の支持部20を他側で連結する。支持部材11は、取付ベース部21が車両の非回転部分に取り付けられることになる。
車両の非回転部分に取り付けられた状態で、支持部材11は一対の支持部20がディスク10の外周側をディスク軸方向に跨ぐことになり、一対の支持部20は互いにディスク回転方向に離間して配置される。また、車両の非回転部分に取り付けられた状態で、支持部材11は、取付ベース部21がディスク回転方向に延在して一対の支持部20のディスク軸方向一側のディスク径方向の内側部分同士を連結する。また、車両の非回転部分に取り付けられた状態で、支持部材11は、アウタビーム部22が、ディスク回転方向に延在して一対の支持部20のディスク軸方向他側のディスク径方向の内側部分同士を連結する。取付ベース部21およびアウタビーム部22は、ディスク10に対しディスク軸方向の両側に配置される。ここで、取付ベース部21はディスク10よりも車両の車幅方向の内側(以下、インナ側と称す)に配置される。また、アウタビーム部22はディスク10よりも車両の車幅方向の外側(以下、アウタ側と称す)に配置される。
一対のブレーキパッド12は、ディスク10のディスク軸方向の両側に配置された状態で、それぞれのディスク回転方向の両端部が、一対の支持部20に支持されている。一対のブレーキパッド12は、一対の支持部20に支持された状態で、ディスク回転方向およびディスク径方向の移動が規制され、ディスク軸方向に移動可能となる。
図1に示すように、キャリパ14は、図示略のピストンをディスク軸方向に摺動可能に支持してインナ側のブレーキパッド12のディスク10とは反対側に配置する有底筒状のシリンダ部31と、このシリンダ部31のディスク径方向における外側からディスク10の外周部を跨いで延出するブリッジ部32と、このブリッジ部32のシリンダ部31に対し反対側からアウタ側のブレーキパッド12のディスク10に対し反対側に対向するように延出する爪部33と、シリンダ部31からディスク回転方向両側に突出する一対の腕部34とを有するキャリパ本体35を有している。
キャリパ14は、キャリパ本体35の一対の腕部34に取り付けられた一対のピン36によって支持部材11の一対の支持部20のディスク10よりもディスク径方向外側に配置される一対のディスクパス部38に支持されている。このように支持部材11に支持された状態で、キャリパ本体35は、ディスク回転方向およびディスク径方向の移動が規制され、ディスク軸方向に移動可能となっている。
ブレーキペダルによるブレーキ操作でブレーキ液圧がシリンダ部31と図示略のピストンとの間に導入されると、ピストンに液圧が作用してディスク10の方向への推進力が発生する。すると、ピストンがディスク10の方向に移動することにより、インナ側のブレーキパッド12を支持部材11およびディスク10に対してディスク軸方向に移動させてディスク10に押し付ける。
また、この押し付けの反力で、爪部33をディスク10側に移動させるようにキャリパ本体35がインナ側に移動してアウタ側のブレーキパッド12を爪部33で支持部材11およびディスク10に対してディスク軸方向に移動させてディスク10に押し付ける。
以上のようにして、一対のブレーキパッド12がディスク10に押し付けられる。すると、ディスク10と一体に一対のブレーキパッド12がディスク回転方向出口側に移動しようとすることになり、このとき生じる一対のブレーキパッド12のトルクを、主に支持部材11のディスク回転方向出口側の支持部20が受ける。
また、ブレーキペダルによるブレーキ操作の解除後、図示略のピストンがディスク10から離間すると、ブレーキパッド12はディスク10の振動により、ディスク10から離間する。
一対のブレーキパッド12は、共通部品である。図3および図4に示すように、ブレーキパッド12は、鏡面対象の形状をなしており、板状のバックプレート51と、バックプレート51の板厚方向の一面側に貼付されるライニング52とを有している。ブレーキパッド12は、バックプレート51において、図3に二点鎖線で示す支持部材11に支持されることになり、制動時には、バックプレート51のディスク10側に配置されたライニング52をディスク10に接触させる。
バックプレート51は、ライニング52が貼着される主板部55と、主板部55の長手方向の両端部からこの長手方向に沿って互いに反対向きに突出する一対の凸部56とを有している。一対の凸部56は、それぞれのディスク径方向の内側部位が、制動トルクを支持部材11に伝達するトルク伝達部57となっている。主板部55は、ディスク回転方向の両側に制動トルクを支持部材11に伝達するトルク伝達部58を有している。これらトルク伝達部58は、一対の凸部56よりもディスク径方向の内側に配置されている。言い換えれば、バックプレート51は、ディスク回転方向の両端に制動トルクを支持部材11に伝達するトルク伝達部57,58を有している。
ここで、支持部材11の一対の支持部20は、それぞれが、ディスク10のディスク軸方向両側に配置される一対のパッド支持部60を有している。これら4カ所のパッド支持部60は、共通の形状であり、ディスク10のインナ側に配置されるパッド支持部60同士はディスク回転方向に対向しており、ディスク10のアウタ側に配置されるパッド支持部60同士もディスク回転方向に対向している。
パッド支持部60は、ディスク回転方向における内側にディスク回転方向外側に向けて凹む支持凹部61を有しており、支持凹部61がブレーキパッド12の凸部56を収容する。支持凹部61は、そのディスク径方向の内側が凸部56のディスク径方向の内側のトルク伝達部57を支持して、このトルク伝達部57からブレーキパッド12の制動トルクを受けるトルク受部62となっている。また、パッド支持部60は、支持凹部61よりもディスク径方向内側に、ブレーキパッド12のトルク伝達部58からブレーキパッド12の制動トルクを受けるトルク受部63を有している。
ライニング52は、このライニング52の中央部に中心を配した円環の一部形状の弧状溝71を備えている。弧状溝71は、ライニング52のバックプレート51とは反対側の先端面52aからバックプレート51に向けて凹んでおり、一対、すなわち2本の円弧状の溝部72からなっている。
一方の溝部72は、ライニング52の中央部よりもディスク回転方向の一側に配置されており、このライニング52の中央部に中心を配した円弧状であって、このライニング52をディスク径方向に貫通している。他方の溝部72は、ライニング52の中央部よりもディスク回転方向の他側に配置されており、このライニング52の中央部に中心を配した円弧状であって、このライニング52をディスク径方向に貫通している。
一対の溝部72は、ディスク回転方向一側のトルク伝達部57,58とディスク回転方向他側のトルク伝達部57,58とを結ぶ線のバックプレート51の長さ方向の中央位置を中心とする同径の円弧状である。具体的に、一対の溝部72は、ディスク回転方向両側のトルク伝達部57の同一平面に配置されるディスク径方向内側の面57a同士を結ぶ線の中央位置を中心とする同径の円弧状である。一対の溝部72は、それぞれの大径側の壁面72aがライニング52の厚さ方向に沿う円筒面の一部形状をなし、それぞれの小径側の壁面72bもライニング52の厚さ方向に沿う円筒面の一部形状をなしている。一対の溝部72は、大径側の壁面72a同士の半径が同径であり、小径側の壁面72b同士の半径も同径となっている。
弧状溝71は、半径がディスク回転方向のライニング52の全長Lの0.3〜0.35倍となっている。具体的に、弧状溝71は、一対の円弧状の溝部72の大径側の壁面72aの半径が、ライニング52の全長Lの0.3〜0.35倍となっている。より具体的に、ここでは、一対の円弧状の溝部72の大径側の壁面72aの半径が、ライニング52の全長Lの0.325倍、小径側の壁面72bの半径が、ライニング52の全長Lの0.3倍となっている。
ライニング52は、ディスク回転方向一側のトルク伝達部57,58とディスク回転方向他側のトルク伝達部57,58とを結ぶ線、具体的には両端のトルク伝達部57の面57a同士を結ぶ線よりもディスク径方向内側であって弧状溝71よりも弧状溝71の径方向の内側範囲に1本の直線状の直溝(溝)75が形成されている。この直溝75は、ライニング52の先端面52aからバックプレート51に向けて凹んでいる。直溝75は、ディスク径方向に延びており、ライニング52のディスク径方向内側の端面まで延びてディスク径方向内側に開口している。直溝75は、ディスク回転方向両側に一対の壁面75aを有しており、ディスク径方向外側に端面75bを有している。これら一対の壁面75aおよび端面75bは、いずれもライニング52の厚さ方向に沿う平面となっている。
直溝75は、ライニング52のディスク回転方向における中央付近、具体的には中央位置に形成されている。よって、直溝75は、ディスク回転方向両側の一対の壁面75aが、それぞれライニング52のディスク回転方向における中央位置から等距離の位置に配置されている。直溝75は、ディスク径方向外側の端面75bが両端のトルク伝達部57の面57a同士を結ぶ線上に配置されている。
ライニング52は、ディスク回転方向一側のトルク伝達部57,58とディスク回転方向他側のトルク伝達部57,58とを結ぶ線、具体的には両端のトルク伝達部57の面57a同士を結ぶ線よりもディスク径方向外側であって弧状溝71よりも弧状溝71の径方向の内側範囲に2本の同形状の直線状の直溝(溝)76が形成されている。これら直溝76は、いずれも、ライニング52の先端面52aからバックプレート51に向けて凹んでいる。これら直溝76は、いずれも、ディスク径方向に延びており、ライニング52のディスク径方向外側の端面まで延びてディスク径方向外側に開口している。これら直溝76は、いずれもディスク回転方向両側に一対の壁面76aを有しており、ディスク径方向内側に端面76bを有している。これら一対の壁面76aおよび端面76bは、いずれもライニング52の厚さ方向に沿う平面となっている。
これら直溝76は、いずれも、ライニング52のディスク回転方向における中央位置から等距離の位置に形成されている。これら直溝76は、直溝75と平行になっており、直溝75よりもディスク径方向の長さが長い。これら直溝76は、それぞれのディスク回転方向両側の一対の壁面76a同士の間隔が、直溝75の一対の壁面75a同士の間隔と同等になっている。これら直溝76は、それぞれのディスク径方向内側の端面76bが両端のトルク伝達部57の面57a同士を結ぶ線上に配置されている。すなわち、両側のトルク伝達部57の面57aと、直溝75の端面75bと、両側の直溝76の端面76bとが、同一平面に配置されている。
弧状溝71の2本の溝部72と1本の直溝75と2本の直溝76とは、いずれも、新品時のライニング52の先端面52aからバックプレート51の近傍位置まで同じ深さで形成されており、新品時のライニング52の厚さの1/2よりも深く形成されている。
ライニングは、制動のためディスクへの接触を繰り返すと摩耗し厚さが減少する。すると、ブレーキパッドの振動の固有振動数(固有値)が変化する。このように経時的なライニングの厚さの減少でブレーキパッドの振動の固有振動数が変化すると、異音を発生させてしまう可能性がある。
これに対し、実施形態に係るブレーキパッド12は、ライニング52に弧状溝71を設けることによって、新品時と、ライニング52の厚さが新品状態から半分まで摩耗した際との振動の固有振動数の変化を抑制する。これにより、経時的変化で発生する異音を抑制するようになっている。
すなわち、新品状態と、ライニング52の厚さが新品状態から半分まで摩耗した摩耗状態とで、ブレーキパッド12の振動の1次曲げの固有振動数、2次曲げの固有振動数およびねじりの固有振動数の変化が大きい部分は、弧状溝71の位置となり、この部分を弧状溝71として空間にする。これによって、これら1次曲げ、2次曲げおよびねじりの各固有振動モードにおいて、バックプレート51の剛性を支配的とする。その結果、ライニング52の摩耗前後によらず固有振動数の変化が低減できる。
以上の効果について、ライニングの溝の異なる9種類のブレーキパッドについて有限要素法を用いたシミュレーションを行って確認を行った。
実施例1は、ライニング52に弧状溝71と1本の直溝75と2本の直溝76とが形成されている上記ブレーキパッド12であり、実施例2は、図5に示すように、実施例1に対して、ライニング52に直溝75を形成しない点のみを変更したブレーキパッドである。言い換えれば、実施例2には、ライニング52に溝として弧状溝71と2本の直溝76とのみが形成されている。実施例3は、図6に示すように、実施例1に対して、ライニング52に2本の直溝76を形成しない点のみを変更したブレーキパッドであり、言い換えれば、実施例3には、ライニング52に溝として弧状溝71と1本の直溝75とのみが形成されている。実施例4は、図7に示すように、実施例1に対して、ライニング52に1本の直溝75と2本の直溝76とを形成しない点のみを変更したブレーキパッドであり、言い換えれば、実施例4には、ライニング52に溝として弧状溝71のみが形成されている。
比較例1は、実施例1に対して、ライニング52に弧状溝71を形成しない点のみを変更したブレーキパッドであり、比較例2は、実施例1に対して、ライニング52に弧状溝71と1本の直溝75とを形成しない点のみを変更したブレーキパッドであり、比較例3は、実施例1に対して、ライニング52に、弧状溝71と2本の直溝76とを形成しない点のみを変更したブレーキパッドであり、比較例4は、実施例1に対して、ライニング52に溝としてライニング52の長手方向の中央にディスク径方向に貫通する直線状の1本のみの溝を形成した点のみを変更したブレーキパッドであり、比較例5は、実施例1に対して、ライニング52に溝を一切形成しない点のみを変更したブレーキパッドである。
そして、実施例1〜4および比較例1〜5のそれぞれについて、ライニング52の厚さが9.5mmの新品時(A)と、4.75mmの摩耗時(B)とについて、1次曲げの固有振動数、2次曲げの固有振動数、ねじりの固有振動数のそれぞれの変化率をシミュレーションにより求めた。ここで、1次曲げの固有振動数、2次曲げの固有振動数、ねじりの固有振動数は、異音として人間に特に耳障りとなる10kHz以下の周波数に出現する固有振動数である。実施例1〜4の結果を表1に、比較例1〜5の結果を表2にそれぞれ示す。
なお、表1,表2において、固有振動モード1は1次曲げの固有振動数を、固有振動モード2はねじりの固有振動数を、固有振動モード3は2次曲げの固有振動数を示し、変化率(%)は、固有振動モード1〜3のそれぞれの変化率を示し、平均値はこれら固有振動モード1〜3の変化率の平均値を示している。ここでは、変化率の平均値の絶対値が、従来の形状の比較例4,5よりも小さい12以下であれば、新品時の異音の抑制状態が摩耗時までほぼ継続するものとし、変化率の平均値が12以下を許容範囲とし、変化率の平均値が12を越えると許容範囲外として評価した。
Figure 2019060422
Figure 2019060422
表1,表2から明らかなように、変化率の平均値の絶対値は、実施例1が3.13で最も小さく、実施例2が6.60で次に小さく、実施例3が9.23で次に小さく、実施例4が11.57で次に小さく、これら実施例1〜4が許容範囲である12以下となった。これに対し、比較例1が12.01、比較例2が16.36、比較例3が20.83、比較例4が16.56、比較例5が19.18で、これら比較例1〜5が12を越える許容範囲外となった。
ここで、弧状溝71を有する実施例1〜4においては、弧状溝71、1本の直溝75および2本の直溝76のうちの少なくとも弧状溝71を設けることが、固有振動数1の変化率を抑えることと、固有振動数2の変化率を抑えることとに寄与することが判る。しかしながら、固有振動数3の変化率を低く抑えることについては、弧状溝71に加えて1本の直溝75および2本の直溝76のうちの少なくともいずれか一方を設けてもあまり変化がない。このため、固有振動数3の変化率を低く抑えるには、弧状溝71の適正化が有効であると考えた。すなわち、弧状溝71の適正化を図ることで、新品時と摩耗時とで、固有振動モード3すなわち2次曲げの固有値の変化を低く抑えることができれば、新品時の異音の抑制効果が摩耗時まで一層継続できると考え、2次曲げの固有振動数の変化を抑えることができる弧状溝71の大きさについて、有限要素法を用いたシミュレーションにより検証した。
弧状溝71の一対の溝部72の大径側の壁面72aの半径が、ライニング52の全長Lの0.325倍となる65%の場合と、ライニング52の全長Lの0.3倍となる60%の場合と、ライニング52の全長Lの0.35倍となる70%の場合と、ライニング52の全長Lの0.275倍となる55%の場合と、ライニング52の全長Lの0.375倍となる75%の場合とを比較とした。
そして、それぞれについて、ライニング52の厚さが9.5mmの新品時(A)と、4.75mmの摩耗時(B)とについて、1次曲げの固有振動数、2次曲げの固有振動数、ねじりの固有振動数の変化率をシミュレーションにより求めた。その結果を表3に示す。なお、表3においても、固有振動モード1は1次曲げの固有値を、固有振動モード2はねじり固有値を、固有振動モード3は2次曲げの固有値を示している。ここでは、上記した理由から、2次曲げの固有振動数である固有振動モード3を比較し、固有振動モード3の変化率が4以下であれば、新品時の2次曲げの固有振動数の抑制効果が摩耗時まで継続する効果が得られるとし、変化率が4以下を許容範囲とし、変化率が4を越えると許容範囲外として評価した。
Figure 2019060422
表3および図8から明らかなように、固有振動モード3の変化率の絶対値は、65%の場合が1.95で最も小さく、70%の場合が3.04で次に小さく、60%の場合が3.14で次に小さく、これらが許容範囲である4以下となった。
これに対し、固有振動モード3の変化率の絶対値は、55%の場合が6.16、75%の場合が7.80で、これらが4を越える許容範囲外となった。これにより、弧状溝71は、大径側の半径が、ディスク回転方向のライニング52の全長Lの0.3〜0.35倍であるのが好ましく、ライニング52の全長Lの0.325倍であるのが最も好ましい。
特許文献1には、ライニングに形成した溝構造によりライニングの局所的な温度上昇を抑制することが記載されており、特許文献2には、ライニングに形成したスリットによりライニングの熱変形を抑制することが記載されている。ところで、新品状態では、制動時に生じる異音すなわちブレーキ鳴きが発生しないブレーキキャリパであっても、走行距離を重ねるとブレーキ鳴きが生じる劣化鳴きという課題がある。
劣化鳴きが発生する要因の1つとして、ライニングの摩耗に伴うブレーキパッドの固有振動数の変化によりブレーキキャリパの振動系が不安定な状態になることが考えられる。そこで、劣化鳴きを抑制する手段の一つとしてブレーキパッドの固有振動数に着目し、ライニングの厚さが新品の状態から半分になった場合の、新品の状態からの固有振動数の変化を抑制することができる形状の検討を最適化計算を基に行った。
そして、本実施形態のブレーキパッド12は、ライニング52に、ライニング52の中央部に中心を配した円環の一部形状の弧状溝71を備えることにより、ライニング52の厚さが新品の状態から半分になった場合でも、固有振動数の新品の状態からの変化を抑制することができる。よって、本実施形態のブレーキパッド12およびこれを用いたディスクブレーキ1は、ライニング52の厚さが新品の状態から半分になった場合でも異音の発生、すなわち劣化鳴きを抑制することができる。
また、本実施形態のブレーキパッド12は、弧状溝71の半径をディスク回転方向のライニング52の全長Lの0.3〜0.35倍とすることにより、ライニング52の厚さが新品の状態から半分になった場合の、固有振動数の新品の状態からの変化を一層抑制することができる。よって、本実施形態のブレーキパッド12およびこれを用いたディスクブレーキ1は、劣化鳴きを一層抑制することができる。
さらに、本実施形態のブレーキパッド12は、一端のトルク伝達部57,58と他端のトルク伝達部57,58とを結ぶ直線よりもディスク径方向内側であって弧状溝71よりも内側にディスク径方向に延びる1本の直溝75を形成することにより、特にブレーキパッド12の1次曲げとねじりの固有振動モードに対するライニング52の剛性の寄与を低下できることから、ブレーキパッド12の摩耗に伴う固有振動数の変動をより効果的に低減できることになる。よって、本実施形態のブレーキパッド12およびこれを用いたディスクブレーキ1は、劣化鳴きを一層抑制することができる。
さらに、本実施形態のブレーキパッド12は、一端のトルク伝達部57,58と他端のトルク伝達部57,58とを結ぶ直線よりもディスク径方向外側であって弧状溝71よりも内側にディスク径方向に延びる2本の直溝76を形成することにより、特にブレーキパッド12の1次曲げとねじりの固有振動モードに対するライニング52の剛性の寄与を低下できることから、ブレーキパッド12の摩耗に伴う固有振動数の変動をより効果的に低減できることになる。よって、本実施形態のブレーキパッド12およびこれを用いたディスクブレーキ1は、劣化鳴きを一層抑制することができる。
さらに、本実施形態のブレーキパッド12は、1本の直溝75を、ライニング52のディスク回転方向における中央付近に形成することにより、特にブレーキパッド12の1次曲げとねじりの振動モードに対するライニング52の剛性の寄与を低下できることから、ブレーキパッド12の摩耗に伴う固有振動数の変動をより効果的に低減できることになる。よって、本実施形態のブレーキパッド12およびこれを用いたディスクブレーキ1は、劣化鳴きを一層抑制することができる。
上記実施形態のブレーキパッドの第1の態様は、両端に制動トルクを支持部材に伝達するトルク伝達部を有するバックプレートと、該バックプレートの一面側に貼付されるライニングと、を有するブレーキパッドであって、前記ライニングは、該ライニングの中央部に中心を配した円環の一部形状の弧状溝を備えることを特徴とする。よって、異音の発生を抑制することができる。
また、実施形態のブレーキパッドの第2の態様は、第1の態様において、前記弧状溝は、半径がディスク回転方向の前記ライニングの全長の0.3〜0.35倍であることを特徴とする。
また、実施形態のブレーキパッドの第3の態様は、第1または第2の態様において、前記両端のトルク伝達部同士を結ぶ直線よりもディスク径方向内側であって前記弧状溝よりも内側に形成されたディスク径方向に延びる1本の溝と、前記両端のトルク伝達部同士を結ぶ直線よりもディスク径方向外側であって前記弧状溝よりも内側に形成されたディスク径方向に延びる2本の溝と、を備えることを特徴とする。
また、実施形態のブレーキパッドの第4の態様は、第3の態様において、前記両端のトルク伝達部同士を結ぶ直線よりもディスク径方向内側であって前記弧状溝よりも内側に形成されたディスク径方向に延びる1本の溝は、前記ライニングのディスク回転方向における中央付近に形成されていることを特徴とする。
また、実施形態のディスクブレーキは、第1乃至第4のいずれか一態様のブレーキパッドを備えている。よって、異音の発生を抑制することができる。
1 ディスクブレーキ
10 ディスク
11 支持部材
12 ブレーキパッド
51 バックプレート
52 ライニング
57 トルク伝達部
58 トルク伝達部
71 弧状溝
75 直溝(1本の溝)
76 直溝(2本の溝)

Claims (5)

  1. 両端に制動トルクを支持部材に伝達するトルク伝達部を有するバックプレートと、該バックプレートの一面側に貼付されるライニングと、を有するブレーキパッドであって、
    前記ライニングは、
    該ライニングの中央部に中心を配した円環の一部形状の弧状溝を備えることを特徴とするブレーキパッド。
  2. 前記弧状溝は、半径がディスク回転方向の前記ライニングの全長の0.3〜0.35倍であることを特徴とする請求項1記載のブレーキパッド。
  3. 前記両端のトルク伝達部同士を結ぶ直線よりもディスク径方向内側であって前記弧状溝よりも内側に形成されたディスク径方向に延びる1本の溝と、
    前記両端のトルク伝達部同士を結ぶ直線よりもディスク径方向外側であって前記弧状溝よりも内側に形成されたディスク径方向に延びる2本の溝と、
    を備えることを特徴とする請求項1または2記載のブレーキパッド。
  4. 前記両端のトルク伝達部同士を結ぶ直線よりもディスク径方向内側であって前記弧状溝よりも内側に形成されたディスク径方向に延びる1本の溝は、前記ライニングのディスク回転方向における中央付近に形成されていることを特徴とする請求項3記載のブレーキパッド。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のブレーキパッドを備えたディスクブレーキ。
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