JP2019056775A - 中間転写体、中間転写体の製造方法及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
Description
また、上記フッ素材料やシリコーン材料よりもモノマーとの親和性の高い、長鎖アルキル単官能モノマーを用いた中間転写ベルトが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、特許文献4に記載された中間転写ベルトは、母骨格となるモノマーと長鎖アルキル単官能モノマーとの相溶状態が悪く、表面に長鎖アルキル単官能モノマーが偏析するため、初期的にしか、クリーニング機能を達成することができず、近年の高耐久化に対して十分な性能を満たすことができない。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
少なくとも基材層と、表面層とを有し、
前記表面層が、多官能モノマーと、長鎖アルキルを有する単官能モノマーとが重合してなる重合体を含有し、かつ、
前記多官能モノマー(M1)の溶解度パラメーター(SP(M1))と、前記長鎖アルキル単官能モノマー(M2)の溶解度パラメーター(SP(M2))が、以下の式(A)及び式(B)を満たすことを特徴とする中間転写体。
SP(M1)−SP(M2)<2.0(cal/cm3)1/2・・・式(A)
8.0≦SP(M2)≦9.0(cal/cm3)1/2・・・式(B)
一般式(1):A−[(X)−M]m(M)n
[式中、Aは、2官能以上のモノマーを表す。Xは、平均3以上の原子が連結した鎖状骨格を有する連結基を表し、前記原子のうち少なくとも一つは、炭素、窒素又は酸素原子である。Mは、光重合性の官能基を表す。m及びnは、官能基の数を表し、1以上の整数であり、m+nは、2〜6の整数である。]
前記表面層を構成する固形成分全体の体積(100体積部)に対して、5〜20体積部の範囲内の長鎖アルキル単官能モノマーを含有させた表面層形成用塗布液を用いることを特徴とする中間転写体の製造方法。
本発明の効果の発現機構又は作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明によれば、表面層が、多官能モノマーと長鎖アルキル単官能モノマーを重合させてなる重合体からなり、長鎖アルキル単官能モノマーは、疎水性である長鎖アルキルと、官能基を有しているため、この長鎖アルキル単官能モノマーと多官能モノマーを重合させてなる重合体は、疎水性を有する長鎖アルキルが、重合後のポリマー骨格の外側に配向しやすくなる。その結果、離型性効果により、トナーのクリーニング性が向上する。
また、本来であれば、長鎖アルキル単官能モノマーは、SP値が低く、多官能モノマーと混ぜ合わせた際に、表面層の表面や、表面層の内部で偏析してしまい、摩耗された際に撥水発油性の効果が損なわれてしまうが、多官能モノマーと長鎖アルキル単官能モノマーのSP値が、上記式(A)を満たすように設計することで、多官能モノマーと長鎖アルキル単官能モノマー同士の相溶状態が良好となり、表面層内部での偏析を抑制することができる。よって、長期的なクリーニング性の維持を図ることができる。
SP(M1)−SP(M2)<2.0(cal/cm3)1/2・・・式(A)
8.0≦SP(M2)≦9.0(cal/cm3)1/2・・・式(B)
また、前記多官能モノマーが、上記一般式(1)で表される構造を有することが、長鎖アルキル基が重合後のポリマー骨格の外側に配向しやすく、高い離型性効果を得ることができる点で好ましい。
また、前記Xが、オキシプロピレン鎖又はアルキレンオキサイド鎖のいずれかの骨格を有することが、前記HH環境におけるクリーニングブレードのめくれを防止できる点で好ましい。
また、前記表面層が、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するモノマーが重合してなる重合体を含有することが、重合反応速度が速く生産性が良好となる点で好ましい。
また、前記長鎖アルキル単官能モノマーに由来する構成物が、前記表面層の全体の体積(100体積部)に対して、5〜20体積部の範囲内であることが、離型性効果に優れ、良好なクリーニング性が得られる点で好ましい。
本発明の中間転写体は、画像形成装置に好適に用いられる。
中間転写体は、静電潜像担体(感光体)に担持されたトナー画像を一次転写した後、一次転写したトナー画像を記録媒体へ二次転写するものであり、画像形成装置に組み込まれる。
なお、基材層と表面層との間に弾性体で構成される弾性層を有していてもよい。弾性層は、公知の構成のものを使用できる。
中間転写体は、無端ベルト状の形状である。ここで、「無端ベルト状の形状」とは、例えば、概念的(幾何学的)には一枚の長尺のシート状物の両端部を繋ぎ合わせて形成されるようなループ状の形状を意味する。中間転写体の実際の形状としては、シームレスのベルト状又は円筒状の形状とすることが好ましい。
基材層は、樹脂製であり、中間転写体の使用温度の範囲内において、変性及び変形を生じない樹脂から適宜選択できる。使用される樹脂の例には、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、エチレンテトラフルオロエチレン共重合体、ポリアミドなどが含まれる。
樹脂は、耐熱性及び強度の観点から、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド及びポリアルキレンテレフタレートを含むことが好ましく、ポリフェニレンサルファイド又はポリイミドを含むことがさらに好ましい。
ポリイミドは、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸の加熱により得ることができる。また、ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物や、その誘導体及びジアミンのほぼ等モル混合物を有機極性溶媒に溶解させ、溶液状態で反応させることにより得ることができる。なお、基材層にポリイミド系樹脂を使用する場合、基材層におけるポリイミド系樹脂の含有率は、51質量%以上であることが好ましい。
導電性物質の例として、カーボンブラックなどが含まれる。カーボンブラックとしては、中性又は酸性カーボンブラックを使用できる。導電性物質は、導電性物質の種類によっても異なるが、中間転写体の体積抵抗値及び表面抵抗値が所定の範囲になるように添加すればよい。通常、樹脂100質量部に対して10〜20質量部の範囲内で添加すればよく、好ましくは樹脂100質量部に対して10〜16質量部の範囲内で添加すればよい。
表面層は、多官能モノマーと、長鎖アルキルを有する単官能モノマーとが重合してなる重合体を含有し、かつ、前記多官能モノマー(M1)の溶解度パラメーター(SP(M1))と、前記長鎖アルキル単官能モノマー(M2)の溶解度パラメーター(SP(M2))が、以下の式(A)及び式(B)を満たすことを特徴とする。
SP(M1)−SP(M2)<2.0(cal/cm3)1/2・・・式(A)
8.0≦SP(M2)≦9.0(cal/cm3)1/2・・・式(B)
1.0<SP(M1)−SP(M2)<1.9(cal/cm3)1/2・・・式(C)
8.5≦SP(M2)≦8.9(cal/cm3)1/2・・・式(D)
参考文献:「コーティングの基礎科学」 著:原崎 勇次 出版:槇書店 p54-p57
SP値は、上記書物内におけるΔeiとΔviの値から算出した値(δ)である。なお、上記式より算出されたSP値の単位は、(cal/cm3)1/2である。
長鎖アルキル単官能モノマーとは、疎水性である長鎖アルキル基と、官能基(反応性基)とを有する。長鎖アルキル単官能モノマーは、炭素が6個以上連続に連結したアルキル単官能モノマーであることが、撥水性が良好となる点で好ましく、さらに好ましくは12個以上連続に連結したアルキル単官能モノマーであることがより好ましい。炭素数の上限値としては、25以下であることが、入手しやすく、溶解性に優れる点で好ましい。
長鎖アルキル単官能モノマーは、分岐した構造をとっても良いが、炭素の連結数は、分子内で最長に連続した炭素鎖の連結炭素数として計算する。例えば、長鎖アルキル部位がエチルヘキシルの場合、長鎖アルキル部位の炭素数は8であるが、連続した炭素数は、炭素が6個連続に連結したアルキル単官能モノマーとして算出する。
なお、「連続に連結した」とは、炭素と炭素の結合の連続のことで、間に他の元素が入ってはならない。
また、各成分の体積割合の算出方法としては、上記のようにしてモル分率を求めた後に、比重をかけることで算出することができる。比重はメーカー値などの一般的な値を求めてもよい。また、表面層に、後述する金属酸化物微粒子を加えた場合は、元素分析により構造を推定することができる。
本発明において、表面層を構成する各成分の比重を、長鎖アルキル単官能モノマーが0.9、多官能モノマーが1.1、金属酸化物微粒子としてチタニアが3.7、シリカが2.2として換算することができる。
多官能モノマーは、2官能以上の官能基を有したモノマーである。
多官能モノマーは、モノマーの主成分とならなければならない。主成分とは、モノマーの体積割合で50%以上存在してなる。
多官能モノマーは混合して用いてもよい。その場合、多官能モノマーのSP値は、体積割合に基づいて平均した値として算出する。
一般式(1):A−[(X)−M]m(M)n
[式中、Aは、2官能以上のモノマーを表す。Xは、平均3以上の原子が連結した鎖状骨格を有する連結基を表し、前記原子のうち少なくとも一つは、炭素、窒素又は酸素原子である。Mは、光重合性の官能基を表す。m及びnは、官能基の数を表し、1以上の整数であり、m+nは、2〜6の整数である。]
Aの構造は特に限定されず、Aの例としては、ビスフェノールA、シクロデカン、ネオペンチル、トリメチロールプロパン、グリセリン、イソシアヌレート、ペンタテリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
また、下記A1〜A9の構造が挙げられる。
ここで、「平均3以上の原子」とは、炭素、窒素又は酸素原子で構成された結合の原子の数が3以上であることをいう。また、Xが、分岐構造の場合は、主鎖の原子の数が3以上であることをいう。例えば、オキシプロピレンは、原子の数が四つであるが、本発明の場合は原子の数が三つとして算出する。
また、多官能モノマーのXが複数混在する場合は、官能基当たりの平均数として、原子の連結数を算出する。
Xの具体的構造を下記に示す。
光重合性官能基の例としては、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、エポキシ基、ビニルエーテル基などが挙げられる。硬化反応速度の観点で、(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
ここで、「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
m+nは、2〜6の整数であり、好ましくは、5〜6の整数である。
本発明に係る表面層は、未処理の金属酸化物微粒子(以下、「未処理金属酸化物微粒子」ともいう。)を、所定の表面修飾剤によって表面修飾が施された金属酸化物微粒子を含有することが、耐摩耗性の点で好ましい。
未処理金属酸化物微粒子は、強靱性付与及び耐久性付与の観点から、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛又は酸化スズであることが好ましく、酸化アルミニウム(アルミナ)又は酸化スズであることがさらに好ましい。
当該他の添加剤の例には、重合開始剤、有機溶剤、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、着色剤、帯電防止剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、重合促進剤、酸化防止剤、難燃剤、赤外線吸収剤、界面活性剤及び表面改質剤などが含まれる。
表面層形成用塗布液には、表面層を構成する固形成分全体の体積(100体積部)に対して、5〜20体積部の範囲内の長鎖アルキル単官能モノマーを含有させることが好ましい。
本発明の画像形成装置は、前述した本発明の中間転写体を有していれば、その他の構成は公知の構成を特に制限することなく採用できる。
図1に示されるように、画像形成装置1は、公知の電子写真方式により記録媒体上に画像を形成するものであり、画像形成部10と、中間転写ユニット20と、用紙搬送部30と、定着装置40と、制御部45とを有し、ネットワーク(例えば、LAN)を介して外部の端末装置(不図示)から受け付けたプリントジョブに基づいて、カラー及びモノクロのプリントを選択的に実行する。
潤滑剤は、延展が容易な観点から、ステアリン酸塩の金属石鹸や、脂肪酸亜鉛塩が望ましく、特にステアリン酸亜鉛が好ましい。また、潤滑剤の粒子径も特に限定されないが、小径であるほど単位面積あたりの供給粒子数を増やすことができ、延展効率を高くして、動摩擦力の減少効果を発揮しやすい観点から、平均粒子径10μm以下であることが好ましい。
本発明に係る画像形成方法は、感光体ドラム11に担持されているトナー画像を中間転写体21に転写する一次転写工程と、中間転写体21に担持されているトナー画像を記録媒体に転写する二次転写工程と、二次転写工程後に中間転写体21の表面にクリーニング部材26aを当接させて表面に残留する残留トナーを除去するクリーニング工程とを含み、かつ例えば、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程及び定着工程を含む。また、画像形成方法は、平均粒子径が10μm以下の潤滑剤を中間転写体21に塗布する工程をさらに含んでいてもよい。
[中間転写体1の作製]
(1)基材層1の作製
ポリフェニレンサルファイド樹脂(商品名:「E2180」、東レ社製)100体積部、導電フィラー(商品名:「ファーネス#3030B」、三菱ケミカル社製)16体積部、グラフト共重合体(商品名:「モディパーA4400」、日油社製)1体積部、及び滑材(モンタン酸カルシウム)0.2体積部を単軸押出機に投入し、溶融混練させて樹脂混合物とした。
次いで、単軸押出機の先端にスリット状でシームレスベルト形状の吐出口を有する環状ダイスを取り付け、混練された上記樹脂混合物を、シームレスベルト形状に押し出した。そして、押し出されたシームレスベルト形状の樹脂混合物を、吐出先に設けた円筒状の冷却筒に外挿させて冷却して固化することにより、厚さ120μmでシームレス円筒状(無端ベルト状)の中間転写体用の基材層1を作製した。
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPEA12」、日本化薬社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーCA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるように、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液1を調製した。
なお、用いた多官能モノマーと、長鎖アルキル単官能モノマーのSP値差(SP(M1)−SP(M2))及びSP(M2)について、表Iに示した。
上記の基材層1の外周面上に、表面層形成用塗布液1を、塗布装置を使用して浸漬塗布方法によって下記の塗布条件で乾燥層厚が3.8μmとなるように塗布することによって塗膜を形成した。
引き続き、この塗膜に活性光線(活性エネルギー線)として紫外線を、下記の照射条件で照射することにより、塗膜を硬化して表面層を形成した。これにより、中間転写体1を得た。なお、紫外線の照射は、光源を固定し、基材層1の外周面上に塗膜が形成された前駆体を周速度60mm/sで回転しながら行った。
(塗布条件)
塗布液供給量:1L/min
(紫外線の照射条件)
光源の種類:365nm LED光源(商品名:「SPX−TA」、アイグラフィックス社製)
照射口から塗膜の表面までの距離:60mm
雰囲気:窒素
照射光量:1.4J/cm2
照射時間(前駆体を回転させている時間):240秒間
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液2の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にして中間転写体2を作製した。
(1)表面層形成用塗布液2の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPCA60」、日本化薬社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーLMA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液2を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液3の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体3を作製した。
(1)表面層形成用塗布液3の調製
多官能モノマー(商品名:「A−DPH−6P」、新中村化学工業社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルID」、共栄社化学社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液3を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液4の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体4を作製した。
(1)表面層形成用塗布液4の調製
多官能モノマー(商品名:「SR9003」、サートマー社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーVMA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液4を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液5の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体5を作製した。
(1)表面層形成用塗布液5の調製
多官能モノマー(商品名:「A−DPH−6P」、新中村化学工業社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーVA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液5を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液6の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体6を作製した。
(1)表面層形成用塗布液6の調製
多官能モノマー(商品名:「SR9003」、サートマー社製)を70体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルDTD−MA」、共栄社化学社製)を5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 202」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:ジメチルシリコーン処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液6を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液7の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体7を作製した。
(1)表面層形成用塗布液7の調製
多官能モノマー(商品名:A−DPH−6P」、新中村化学工業社製)を55体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーSA」、日油社製)を20体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液7を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液8の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体8を作製した。
(1)表面層形成用塗布液8の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPEA12」、日本化薬社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルEH」、共栄社化学社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液8を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液9の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体9を作製した。
(1)表面層形成用塗布液9の調製
多官能モノマー(商品名:「D−TMP」、新中村化学工業社製)を60体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーLA」、日油社製)を15体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液9を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液10の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体10を作製した。
(1)表面層形成用塗布液10の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPEA12」、日本化薬社製)を45体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルEH」、共栄社化学社製)を30体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 7200」、日本アエロジル製、粒径:約12nm、表面処理:メタクリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液10を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液11の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体11を作製した。
(1)表面層形成用塗布液11の調製
多官能モノマー(商品名:「A−DPH−6P」、新中村化学工業社製)を74体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーVA」、日油社製)を1体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROXIDE TiO2 NKT 90」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:アルキルシリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液11を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液12の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体12を作製した。
(1)表面層形成用塗布液12の調製
多官能モノマー(商品名:「SR9003」、サートマー社製)を70体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ISTA」、大阪有機化学工業株式会社製)を5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROXIDE TiO2 NKT 90」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:アルキルシリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液12を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液13の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体13を作製した。
(1)表面層形成用塗布液13の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPHA」、日本化薬社製)を47.5体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーSA」、日油社製)を27.5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 202」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:ジメチルシリコーン処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液13を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液14の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体14を作製した。
(1)表面層形成用塗布液14の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPCA20」、日本化薬社製)を70体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーVMA」、日油社製)を5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 202」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:ジメチルシリコーン処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液14を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液15の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体15を作製した。
(1)表面層形成用塗布液15の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD PET−30」、日本化薬社製)を70体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ライトエステルID、共栄社化学社製)を5体積部、金属酸化物微粒子(商品名:「AEROSIL R 202」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:ジメチルシリコーン処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液15を調製した。
中間転写体1の作製において、下記に示す表面層形成用塗布液16の調製以外は、中間転写体1と同様の手法にて中間転写体16を作製した。
(1)表面層形成用塗布液16の調製
多官能モノマー(商品名:「KAYARD DPHA」、日本化薬社製)を47.5体積部、長鎖アルキル単官能モノマー(商品名:「ブレンマーLA」、日油社製)を27.5体積部、金属酸化物微粒子(「AEROXIDE TiO2 NKT 90」、日本アエロジル製、粒径:約14nm、表面処理:アルキルシリル処理)25体積部を、固形分濃度が10質量%となるよう、溶剤であるMIBK(メチルイソブチルケトン)中に溶解、分散させ、前記希釈液100質量部に対して、1質量部の光重合開始剤(商品名:「Irgacure TPO」、BASF社製)を混合し、表面層形成用塗布液16を調製した。
下記評価1〜評価4について評価し、その結果を表IIに示した。
<評価1>初期クリーニング性(トナーの拭き取り性)
(評価装置の準備)
評価装置として、市販のフルカラー複合機(bizhub(登録商標)C554e:コニカミノルタ株式会社)の改造機を準備した。具体的には、上述した中間転写体1〜15を用いて、転写ユニットを組み立てた。また、ひずみ測定機を装備した転写ユニット用の単体駆動機を準備した。さらに、上記の転写ユニットを有する改造機を準備した。
クリーニングブレードは、あらかじめ30μm摩耗したものを用いた。ここで、あらかじめ30μm摩耗したものとは、図2に示すように最大摩耗幅dが30μmのクリーニングブレードをいう。最大摩耗幅dとは、クリーニングブレードの左側と、クリーニングブレードの右側との摩耗した部分の両端部間の長さを意味する。また、クリーニングブレードの摩耗幅は、クリーニングブレードを45°傾斜させ、中間転写体との接触部分をレーザー顕微鏡(Vk−X100、150倍対物レンズ、0.1μmのステップ幅で観察;株式会社キーエンス)で計測した。
このようなクリーニングブレードのエッジ部には、評価用のトナーを付着させた。評価用のトナーとしては、bizhub(登録商標)C554e用トナー(TN512)を用いた。
また、中間転写体の幅方向においては、クリーニングブレードが接触する全範囲であって、中間転写体の周方向においては、クリーニングブレードの直前の位置であって、全周の1/3の範囲に、0.4g/m2となるように均一に評価用のトナーを付着させてセッティングした。
なお、クリーニングブレードは、UW085(NOK株式会社製、厚さ2.0mm)、を使用し、中間転写体に対する当接力を30N/mとし、中間転写体に対する実効当接角を14°とし、自由長は9mmとした。
また、中間転写体は、新品状態のものを用いた。
◎:10N/mのクリーニングブレード食い込み圧でも拭き取れる
○:20N/mのクリーニングブレード食い込み圧でトナーを拭き取れる
△:30N/mのクリーニングブレード食い込み圧でも拭き取れる
×:30N/mのクリーニングブレード食い込み圧でトナー拭き残しが発生
○以上を合格と判定した。
上記の<評価1>と同様に、評価装置を準備した。そして、前記新品状態の中間転写体の代わりに、以下の中間転写体を用いた。
30μmの粗さの研磨紙を中間転写体の長手方向に5N/mの圧力で押し当て、100mm/秒の速度で20分間駆動させた後の中間転写体を用いた。
その他は、(1)初期クリーニング性の評価と同様にして、研磨試験後のトナー拭き取り性を評価した。
上記<評価2>の前に、中間転写体の研磨直後の粗さを計測し、研磨試験後の粗さ評価を行った。粗さの測定には、レーザー顕微鏡(Vk−X100、20倍対物レンズ、0.1μmのステップ幅で観察;株式会社キーエンス)で観察して、高さプロファイルを得て、面内歪み補正を行った後、面全体の粗さRaを算出した。
◎:Raが0.3μm未満
○:Raが0.3μm以上0.6μm未満
△:Raが0.6μm以上1.0μm未満
×:Raが1.0μm以上
○以上を合格と判定した。
上記<評価2>の研磨後クリーニング性の評価終了後の中間転写体をHH環境(30℃、80%RH)で一晩調湿した後に評価を行った。
新品のクリーニングブレードを用いた以外は、<評価1>及び<評価2>と同様に転写ユニットを組み立てた。単体駆動機について、ベルト移動速度が280mm/秒になるように駆動を行い、30秒間動作させた。そのときの、クリーニングブレードのめくれの有無を評価結果とした。めくれが発生していなければ、合格とする。
10 画像形成部
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
11 感光体ドラム
12 帯電装置
13 露光装置
14 現像装置
15 一次転写ローラー
16 感光体クリーニング装置
20 中間転写ユニット
21 中間転写体
22 二次転写ローラー
24 駆動ローラー
25 従動ローラー
26 ベルトクリーニング装置
26a クリーニング部材(クリーニングブレード)
30 用紙搬送部
31 搬送路
32 排紙ローラー
33 排紙トレイ
40 定着装置
45 制御部
S 用紙
Claims (10)
- 電子写真方式の画像形成装置に用いる中間転写体であって、
少なくとも基材層と、表面層とを有し、
前記表面層が、多官能モノマーと、長鎖アルキル基を有する単官能モノマーとが重合してなる重合体を含有し、かつ、
前記多官能モノマー(M1)の溶解度パラメーター(SP(M1))と、前記長鎖アルキル単官能モノマー(M2)の溶解度パラメーター(SP(M2))が、以下の式(A)及び式(B)を満たすことを特徴とする中間転写体。
SP(M1)−SP(M2)<2.0(cal/cm3)1/2・・・式(A)
8.0≦SP(M2)≦9.0(cal/cm3)1/2・・・式(B) - 前記長鎖アルキル単官能モノマーが、炭素が6以上連結した長鎖アルキル単官能モノマーであることを特徴とする請求項1に記載の中間転写体。
- 前記長鎖アルキル単官能モノマーが、炭素が12以上連結した長鎖アルキル単官能モノマーであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中間転写体。
- 前記多官能モノマーが、下記一般式(1)で表される構造を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の中間転写体。
一般式(1):A−[(X)−M]m(M)n
[式中、Aは、2官能以上のモノマーを表す。Xは、平均3以上の原子が連結した鎖状骨格を有する連結基を表し、前記原子のうち少なくとも一つは、炭素、窒素又は酸素原子である。Mは、光重合性の官能基を表す。m及びnは、官能基の数を表し、1以上の整数であり、m+nは、2〜6の整数である。] - 前記Xが、オキシプロピレン鎖又はアルキレンオキサイド鎖のいずれかの骨格を有することを特徴とする請求項4に記載の中間転写体。
- 前記多官能モノマーが、5個以上の官能基を有することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記表面層が、アクリロイル基又はメタクリロイル基を有するモノマーが重合してなる重合体を含有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 前記長鎖アルキル単官能モノマーに由来する構成物が、前記表面層の全体の体積(100体積部)に対して、5〜20体積部の範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の中間転写体。
- 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の中間転写体を製造する中間転写体の製造方法であって、
前記表面層を構成する固形成分全体の体積(100体積部)に対して、5〜20体積部の範囲内の長鎖アルキル単官能モノマーを含有させた表面層形成用塗布液を用いることを特徴とする中間転写体の製造方法。 - 請求項1から請求項8までのいずれか一項に記載の中間転写体を有することを特徴とする画像形成装置。
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