JP2019056047A - 空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物及び空気浮上式コンベヤベルト - Google Patents

空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物及び空気浮上式コンベヤベルト Download PDF

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Abstract

【課題】得られるコンベヤベルトが経時においてトラフになじみやすく、耐摩耗性に優れる、空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物、及び、空気浮上式コンベヤベルトの提供。【解決手段】天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとを0/100〜20/80の質量比(NR/SBR)で含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック70質量部以上を含有する、空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物、及び、上記空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物を用いて形成されたカバーゴム層を有する、空気浮上式コンベヤベルト。【選択図】図1

Description

本発明は空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物及び空気浮上式コンベヤベルトに関する。
空気浮上式コンベヤベルト(ベルト)は、円管(トラフ)下部の長手方向に等間隔に設けられた給気孔から給気することにより、ベルトを円管(トラフ)から浮上させ、積載物を運搬するコンベヤベルトである。
従来、空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物として、例えば、特許文献1が提案されている。特許文献1には、低粘着性および低摩擦性を向上させ、下面カバーゴム層の裏面表面に用いるのに適した空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物および該ゴム組成物を用いた空気浮上式コンベヤベルトの提供を目的として、天然ゴム(NR)とスチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)とからなるゴム成分を含有する空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物であって、ゴム成分が、天然ゴムを20質量%超75質量%以下含有し、スチレン−ブタジエン共重合ゴムを80質量%未満25質量%以上含有する空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物が記載されている。
特開2005−139344号公報
空気浮上式コンベヤベルト(ベルト)は通常キャリア側トラフにおいて円弧状に湾曲されて使用される。キャリア側ではベルト上に積載物を載せるため積載物の荷重によりベルトはキャリア側トラフの形状になじみやすい(具体的には、ベルトがキャリア側トラフの曲面に沿った形状となりやすい)。
しかし、リターン側ではベルトに係る荷重はベルトの自重のみとなるので、ベルトはリターン側トラフの形状になじみにくい。
しかも、ベルトはキャリア側で積載物を載せることで、ベルトにキャリア側での曲げ状態のくせ(トラフぐせ)がつきやすい。このため、ベルトがそのままリターン側に回り、リターン側トラフとして凹形(下方へ湾曲する形)のものを用いると、リターン側でのベルトの曲げは、キャリア側でついたくせと逆の曲げとなる。
リターン側において、上記トラフぐせがベルトに残る場合、又は、ベルトがリターン側でのトラフの局面に沿っていない場合、ベルトの耳部(横の端部)がリターン側トラフに当たりやすくなる。その結果、ベルトの走行時に上記耳部がリターン側トラフを強くこすってしまい、上記耳部が摩耗しやすくなる。
また、ベルトの使用期間が長くなるにつれて、経時におけるトラフぐせは更につきやすくなり、直りにくくなる。
このようななか、本発明者らは、特許文献1を参考にして組成物を調製しこれを評価したところ、ゴム成分が、天然ゴムを20質量%超75質量%以下含有し、スチレン−ブタジエン共重合ゴム(SBR)を80質量%未満25質量%以上含有する場合、得られるゴムが経時においてリターン側トラフになじみにくい可能性があることを見出した(比較例2〜4、6)。
また、特許文献1に記載された範囲外の含有量で天然ゴムとSBRを使用する(比較例1、7)、又は、SBRのみを使用すると(比較例5)、経時においてリターン側トラフに対してなじみにくくなる可能性、及び、耐摩耗性が悪くなる場合があることを本発明者らは見出した。
天然ゴム、SBR及びBRを含有する場合、経時においてリターン側トラフに対しなじみにくい可能性があることを本発明者らは見出した(比較例8)。
そこで、本発明は、得られるコンベヤベルトが経時においてトラフになじみやすく(経時での、トラフ(特にリターン側トラフ)に対するなじみやすさに優れる。)、耐摩耗性に優れる空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、空気浮上式コンベヤベルトを提供することも目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、ゴム組成物が、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとを0/100〜20/80の質量比(NR/SBR)で含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック70質量部以上を含有することによって所望の効果が得られることを見出し、本発明に至った。
本発明は上記知見等に基づくものであり、具体的には以下の構成により上記課題を解決するものである。
1. 天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとを0/100〜20/80の質量比(NR/SBR)で含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック70質量部以上を含有する、空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物。
2. 上記カーボンブラックのN2SAが、70m2/g以上である、上記1に記載の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物。
3. 上記カーボンブラックの含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、110質量部以下である、上記1又は2に記載の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物。
4. 更に硫黄を含有し、上記硫黄の含有量が、上記ゴム成分100質量部に対して、1.7〜4.0質量部である、上記1〜3のいずれかに記載の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物。
5. 上記1〜4のいずれかに記載の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物を用いて形成されたカバーゴム層を有する、空気浮上式コンベヤベルト。
本発明によれば、得られるコンベヤベルトが経時においてトラフになじみやすく、耐摩耗性に優れる空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物が提供できる。
また、本発明は、経時においてトラフになじみやすく、耐摩耗性に優れる、空気浮上式コンベヤベルトを提供することもできる。
図1は、本発明の空気浮上式コンベヤベルトの好適な実施態様の一例の一部を模式的に示した断面斜視図である。
本発明について以下詳細に説明する。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、特に断りのない限り、各成分はその成分に該当する物質をそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。成分が2種以上の物質を含む場合、成分の含有量は、2種以上の物質の合計の含有量を意味する。
本明細書において、使用される各成分の製造方法は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
[空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物]
本発明の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物(本発明の組成物)は、
天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとを0/100〜20/80の質量比(NR/SBR)で含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック70質量部以上を含有する、空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物である。
本発明の組成物は、カーボンブラックの含有量及びNR/SBRの質量比を所定の範囲にすることによって、経時においてトラフになじみやすくなり、かつ、耐摩耗性に優れるので、経時でのトラフへのなじみやすさと耐摩耗性とをバランスよく確保できることを本発明者らは見出した。
このように本発明の組成物が上記の所望の効果が得られる理由は明らかではないが、本発明の組成物においてカーボンブラックの含有量及びNR/SBRの質量比が所定の範囲であることによって、得られるゴムの経時での弾性率が適正な範囲となるからであると本発明者らは推察する。上記弾性率が適正な範囲になることによって、経時でベルトにトラフぐせが付いたとしてもリターン側でトラフぐせが直りやすく、更に、空気浮上式コンベヤベルトの自重でリターン側トラフに沿った形状になれると考えられる。
また、カーボンブラックの含有量及びNR/SBRの質量比が所定の範囲であることによって、ゴム成分の補強性が高くなり、得られたゴムの耐摩耗性に優れると考えられる。さらに、上記のようにベルトがトラフになじみやすいことによって、トラフとの摩擦による、ベルトの耳部の摩耗が抑制されると考えられる。
上記のように、得られるゴムの経時においての弾性率が適正な範囲となり、ゴム成分の補強性が高くなることによって、本発明の組成物は、経時においてトラフになじみやすく、かつ、耐摩耗性(特に経時おける耐摩耗性)に優れると考えられる。
以下、本発明の組成物に含有される各成分について詳述する。
<<ゴム成分>>
本発明の組成物はゴム成分を含有する。
上記ゴム成分は、少なくともスチレンブタジエンゴムを含み、更に天然ゴムを含んでもよい。
<天然ゴム>
上記ゴム成分に含まれうる天然ゴム(NR)は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
<スチレンブタジエンゴム>
上記ゴム成分に含まれるスチレンブタジエンゴム(SBR)は、スチレンとブタジエンとの共重合体である。
スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量は、得られるコンベヤベルトが経時においてトラフによりなじみやすくなり、耐摩耗性により優れ、低粘着性、低摩擦性に優れ、ゴム組成物の粘度が低く作業性に優れるという観点から、20万〜100万が好ましく、30万〜80万がより好ましい。
本発明において、スチレンブタジエンゴムの重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により標準ポリスチレン換算により測定されたものとする。
スチレンブタジエンゴムが有するスチレン量は、22〜50質量%が好ましい。
スチレンブタジエンゴムが有するスチレン量とは、スチレンブタジエンゴムを構成する全構成単位中において、スチレン単位が占める割合(質量%)をいう。
スチレンブタジエンゴムのミクロ構造(スチレン量)は、JIS K 6239:2007(原料ゴム−溶液重合SBRのミクロ構造の求め方(定量))に準じて測定できる。
<NR/SBR>
本発明において、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとの質量比(NR/SBR)は、0/100〜20/80である。
上記質量比は、得られるコンベヤベルトが経時においてトラフによりなじみやすくなり、初期でのトラフへのなじみやすさに優れ、切断時引張強さ(TSb)等に優れるという観点から、0/100〜20未満/80超が好ましく、3/97〜15/85がより好ましく、5/95〜10/90が更に好ましい。
上記ゴム成分は、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴム以外のゴムを更に含むことができる。NR及びSBR以外のゴムとしては例えば、イソプレンゴム(IR)、ニトリルブタジエンゴム(NBR、アクリロニトリルブタジエンゴム)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(例えば、Br−IIR、Cl−IIR)、クロロプレンゴム(CR)のようなジエン系ゴムが挙げられる。
本発明の組成物は、ロール加工性のしやすさ等の観点から、ブタジエンゴムを実質的に含有しないことが好ましい態様の1つとして挙げられる。
本発明の組成物がブタジエンゴムを実質的に含有しないとは、ブタジエンゴムの含有量が、上記ゴム成分100質量部中の0〜1.0質量部であることを意味する。
上記ゴム成分は、スチレンブタジエンゴムのみである、又は、天然ゴム及びスチレンブタジエンゴムのみであることが好ましい態様として挙げられる。
<カーボンブラック>
本発明の組成物はカーボンブラックを含有する。
(カーボンブラックの窒素吸着比表面積)
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)は、得られるコンベヤベルトが経時においてトラフによりなじみやすくなり、耐摩耗性により優れ、初期でのトラフへのなじみやすさに優れ、モジュラス、TSb等に優れるという観点から、70m2/g以上が好ましく、90〜120m2/gがより好ましい。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、カーボンブラック表面への窒素吸着量をJIS K6217−2:2001「第2部:比表面積の求め方−窒素吸着法−単点法」にしたがって測定した値である。
カーボンブラックとしては、例えば、
SRF(Semi−Reinforcing Furnace)級カーボンブラック、
SAF(Super Abrasion Furnace)級カーボンブラック、
ISAF(Intermediate Super Abrasion Furnace)級カーボンブラック、
HAF(High Abrasion Furnace)級カーボンブラックが挙げられる。
なかでも、上記カーボンブラックは、得られるコンベヤベルトが経時においてトラフによりなじみやすくなり、耐摩耗性により優れ、初期でのトラフへのなじみやすさに優れ、モジュラス、TSb等に優れるという観点から、ISAF、HAF級カーボンブラックが好ましく、ISAFがより好ましい。
<カーボンブラックの含有量>
本発明において、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、70質量部以上である。
カーボンブラックの含有量は、得られるコンベヤベルトが経時においてトラフによりなじみやすくなり、耐摩耗性により優れ、初期でのトラフへのなじみやすさに優れ、補強性、加工性、Eb等に優れるという観点から、ゴム成分100質量部に対して、70〜120質量部が好ましく、70〜110質量部がより好ましく、80〜100質量部が更に好ましい。
(硫黄)
本発明の組成物は更に硫黄を含有することが好ましい。上記硫黄は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
硫黄の含有量は、得られるコンベヤベルトが経時においてトラフによりなじみやすく、初期でのトラフへのなじみやすさに優れ、耐疲労性能、TSb等に優れるという観点から、上記ゴム成分100質量部に対して、1.7〜4.0質量部が好ましく、1.8〜3.0質量部であることがより好ましく、2.0〜2.5質量部であることが更に好ましい。
(加硫促進剤)
本発明の組成物は更に加硫促進剤を含有できる。上記加硫促進剤はゴム組成物に使用できるものであれば特に制限されない。加硫促進剤としては、例えば、チウラム系加硫促進剤、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、等が挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミドが挙げられる。
加硫促進剤の製造方法は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
加硫促進剤の含有量は、得られるコンベヤベルトが経時においてトラフによりなじみやすく、加硫速度と焼けやすさのバランスに優れるという観点から、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
(添加剤)
本発明の組成物は、上述した各成分以外に、本発明の効果、目的を損わない範囲で、更に添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、白色充填剤、老化防止剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、加工助剤、パラフィンワックス、アロマ系オイル、液状ポリマー、テルペン系樹脂、熱硬化性樹脂、硫黄以外の加硫剤、加硫助剤、加硫遅延剤が挙げられる。上記添加剤の含有量は適宜選択することができる。
(本発明の組成物の製造方法)
本発明の組成物はその製造方法について特に制限されない。例えば、上述した各成分(硫黄などの加硫剤及び加硫促進剤を除く。)をバンバリーミキサー等で混合して混合物を得て、次いで、上記の得られた混合物に硫黄などの加硫剤及び加硫促進剤を加えてこれらを混練ロール機等で混合することによって、本発明の組成物を製造することができる。
また、本発明の組成物の加硫の条件は特に制限されない。上記加硫としては、本発明の組成物を例えば、140〜160℃の条件下で加熱し、加圧することによって加硫を行うことができる。
本発明の組成物を用いて例えば空気浮上式コンベヤベルトを形成できる。より具体的には例えば、本発明の組成物を用いて空気浮上式コンベヤベルトのカバーゴム層を形成することできる。
[空気浮上式コンベヤベルト]
本発明の空気浮上式コンベヤベルト(本発明のコンベヤベルト)は、
本発明の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物を用いて形成されたカバーゴム層を有する、空気浮上式コンベヤベルトである。
本発明のコンベヤベルトが有するカバーゴム層を形成するゴム組成物は本発明の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物であれば特に制限されない。
上記カバーゴム層としては、例えば、上面カバーゴム層及び下面カバーゴム層からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
上面カバーゴム層及び下面カバーゴム層のうちの一方又は両方を本発明の組成物で形成することができる。上面カバーゴム層及び下面カバーゴム層のうちの一方を本発明の組成物で形成する場合、残りのカバーゴム層を形成するために使用されるゴム組成物は特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
本発明のコンベヤベルトは、カバーゴム層の他に更に補強層を有することができる。
本発明のコンベヤベルトは、例えば、カバーゴム層の片面、又は、上面カバーゴム層及び下面カバーゴム層の間に、補強層を有することができる。
カバーゴム層は1層又は複数の層とすることができる。補強層についても同様である。
カバーゴム層(上面カバーゴム層及び/又は下面カバーゴム層)が2層以上の層を有する場合、当該2層以上の層のうち少なくとも1層又は全部の層を本発明の組成物を用いて形成することができる。
また、カバーゴム層の少なくとも最外層を本発明の組成物を用いて形成することが好ましく、上面カバーゴム層及び下面カバーゴム層の少なくとも最外層をそれぞれ本発明の組成物を用いて形成することがより好ましい。
以下、本発明のコンベヤベルトを添付の図面を用いて説明する。なお本発明は添付の図面に制限されない。
図1は、本発明の空気浮上式コンベヤベルトの好適な実施態様の一例の一部を模式的に示した断面斜視図である。
図1において、空気浮上式コンベヤベルト1は、上面カバーゴム層2、補強層3及び下面カバーゴム層4を有し、この順で積層されている。上面カバーゴム層2の表面は運搬物搬送面5となることができる。
図1において、上面カバーゴム層2は、外層11および内層12を有する。下面カバーゴム層4は、内層15および外層16を有する。
外層11、内層12、内層15および外層16からなる群から選ばれる少なくとも1種を本発明の組成物を用いて形成することができ、少なくとも外層11及び/又は外層16を本発明の組成物を用いて形成することが好ましい。
外層11を本発明の組成物を用いて形成する場合、内層12を補強層3および外層11を接着させるための層とすることができる。
外層16を本発明の組成物を用いて形成する場合、内層15を補強層3および外層16を接着させるための層とすることができる。
上記補強層は特に限定されず、通常のコンベヤベルトに用いられるものを適宜選択して用いることができる。
補強層は、例えば、芯体と接着ゴムとを有することができる。
芯体の材質としては、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アラミド繊維のような繊維;スチールのような金属が挙げられる。上記繊維は帆布として使用できる。帆布は平織りの布を意味する。
接着ゴムは特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
補強層の形状は特に限定されず、例えば、図1に示すようなシート状であってもよい。また、補強層内にワイヤー状の補強線(例えば、スチールコード)を並列に埋込むものであってもよい。
上記シート状の補強層としては、例えば、1層の帆布、複数層の帆布の積層体が挙げられる。
上面カバーゴム層の厚さは、例えば、3〜25mmとできる。
下面カバーゴム層の厚さは、例えば、3〜20mmとでき、5〜15mmが好ましい。
なお、上面カバーゴム層が2層以上で構成されている場合、上面カバーゴム層の厚さは、これらの層の厚さの合計とすることができる。下面カバーゴム層の厚さも同様である。
本発明のコンベヤベルトはその製造方法について特に制限されない。例えば、従来公知のものが挙げられる。
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらに限定されない。
<組成物の製造>
下記第1表の各成分を同表に示す組成(質量部)で用いて、これらを撹拌機で混合し、組成物を製造した。具体的にはまず、下記第1表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分をバンバリーミキサーで140℃の条件下で混合し、次に、得られた混合物に硫黄および加硫促進剤を加えて、これらを混練ロール機を用いて30℃の条件下で混合して、組成物を製造した。
<評価>
上記のとおり製造された各組成物を用いて以下の評価を行った。結果を第1表に示す。
(TSb/(Eb/100):初期又は老化後)
・初期加硫ゴムシートの調製
上述のとおり製造された各組成物を所定の金型中(縦15cm×横15cm×厚さ2mm)で148℃で30分間プレス加硫して初期加硫ゴムシートを得た。
・老化試験後の老化加硫ゴムシートの調製
上述のとおり調製された各初期加硫ゴムシートを、70℃の条件下に168時間置く老化試験を行い、上記老化試験後の加硫ゴムシート(老化加硫ゴムシート)を得た。
・TSb及びEbの測定
上記のとおり調製された各初期加硫ゴムシートからJIS3号ダンベル状の試験片を打ち抜き、引張速度500mm/分での引張試験をJIS K6251:2010に準拠して行い、初期加硫ゴムシートのTSb(切断時引張強さ。単位MPa)及びEb(切断時伸び。単位%)を室温にて測定した。
上記のとおり調製された各老化加硫ゴムシートについても、上記と同様にして、TSb(切断時引張強さ)及びEb(切断時伸び)を室温にて測定した。
・弾性率の指標:TSb/(Eb/100)
上記各初期加硫ゴムシートのTSb及びEbを式:TSb/(Eb/100)に当てはめ、得られた値を初期の弾性率の指標とした。
上記初期の弾性率の指標でトラフへの初期のなじみやすさを評価した。
上記初期の弾性率の指標の結果を、第1表の「TSb/(Eb/100):初期」欄に示す。
上記各老化加硫ゴムシートのTSb及びEbを式:TSb/(Eb/100)に当てはめ、得られた値を老化後の弾性率の指標とした。
上記老化後の弾性率の指標でトラフへの経時のなじみやすさを評価した。
上記老化後の弾性率の指標の結果を、第1表の「TSb/(Eb/100):老化後」欄に示す。
・弾性率の指標の評価基準
本発明において、上記「TSb/(Eb/100):初期」(初期の弾性率の指標)が3.2〜6.0である場合、トラフへの初期のなじみやすさが優れるものとする。初期の弾性率の指標は3.4以上が好ましい。
本発明において、初期の弾性率の指標が3.2〜6.0である場合、初期の空気浮上式コンベヤベルトにおいて、キャリア側で付いたトラフぐせがリターン側で取れ易く、更に、上記コンベヤベルトがリターン側トラフに沿った形状となりやすいことを示す。
また、本発明において、上記「TSb/(Eb/100):老化後」(老化後の弾性率の指標)が4.0〜6.0である場合、トラフへの経時のなじみやすさが優れるものとする。老化後の弾性率の指標は4.5以上が好ましい。
本発明において、老化後の弾性率の指標が4.0〜6.0である場合、老化後の空気浮上式コンベヤベルトにおいて、キャリア側で付いたトラフぐせがリターン側で取れ易く、更に、上記コンベヤベルトがリターン側トラフに沿った形状となりやすいことを示す。
老化後の弾性率の指標が4.0未満である場合、老化後の空気浮上式コンベヤベルトが、リターン側において、キャリア側で付いたトラフぐせに戻りやすいことを示す。
老化後の弾性率の指標が6.0を超える場合、老化後の空気浮上式コンベヤベルトにおいて、キャリア側で付いたトラフぐせが、リターン側で取れにくいことを示す。
(耐摩耗性)
・摩耗試験
上記のとおり製造したされた組成物(未加硫)をシート状に成形し、148℃、30分加熱加硫して、加硫ゴムシートを作製した。加硫ゴムシートから打ち抜いた試験片(直径16mm、厚さ6mm)を用い、JIS−K6264−2:2005に準じて、室温下でDIN摩耗試験(A法)を行い、摩耗量(mm3)を測定した。摩耗量が少ないほど耐摩耗性に優れる。
・耐摩耗性の評価基準
本発明において、上記のとおり測定された摩耗量が150mm3以下である場合、耐摩耗性に優れるものとする。
第1表に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
・NR:天然ゴム(RSS#3)
・SBR:スチレンブタジエンゴム、重量平均分子量(Mw)50万、(商品名Nipol 1502、日本ゼオン社製)スチレン量23.5質量%
・BR:ブタジエンゴム、重量平均分子量49万、商品名Nipol BR1220、日本ゼオン社製
・ISAF級カーボンブラック:窒素吸着比表面積108m2/g(商品名ショウブラックN220、ISAFグレード、キャボットジャパン社製)
・HAF級カーボンブラック:窒素吸着比表面積72m2/g(商品名ショウブラックN330T、HAFグレード、キャボットジャパン社製)
・アロマ系オイル:A−OMIX(三共油化工業社製)
・酸化亜鉛:酸化亜鉛3種(正同化学工業社製)
・ステアリン酸:ステアリン酸YR(日油社製)
・硫黄:微粉硫黄(細井化学工業株式会社製)
・加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、ノクセラーCZ−G(大内新興化学工業社製)
第1表に示す結果から明らかなように、カーボンブラックの含有量が所定の範囲外である比較例1、5は、初期及び老化後の弾性率の指標が小さく、耐摩耗性が悪かった。
カーボンブラックの含有量、及び、NR/SBRの質量比が所定の範囲外である比較例6は、初期及び老化後の弾性率の指標が小さく、耐摩耗性が悪かった。
NR/SBRの質量比が所定の範囲を外れる比較例2〜4は、老化後の弾性率の指標が小さかった。
NR/SBRの質量比が所定の範囲を外れる比較例7は、老化後の弾性率の指標が大きすぎ、耐摩耗性が悪かった。
NR/SBRの質量比が所定の範囲を外れる比較例8は、初期及び老化後の弾性率の指標が小さかった。
これらに対して、本発明の組成物は、老化後の弾性率の指標が適正な範囲となり、耐摩耗性に優れた。
このため、本発明の組成物は、トラフに対して経時におけるなじみやすさに優れ、耐摩耗性に優れ、経時におけるトラフへのなじみやすさ及び耐摩耗性をバランスよく確保できると考えられる。
また、本発明の組成物は初期の弾性率の指標が適正な範囲となり、トラフに対する初期におけるなじみやすさに優れると考えられる。
1:空気浮上式コンベヤベルト
2:上面カバーゴム層
3:補強層
4:下面カバーゴム層
5:運搬物搬送面
11、16:外層
12、15:内層

Claims (5)

  1. 天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとを0/100〜20/80の質量比(NR/SBR)で含むゴム成分100質量部に対して、カーボンブラック70質量部以上を含有する、空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物。
  2. 前記カーボンブラックのN2SAが、70m2/g以上である、請求項1に記載の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物。
  3. 前記カーボンブラックの含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、110質量部以下である、請求項1又は2に記載の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物。
  4. 更に硫黄を含有し、前記硫黄の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して、1.7〜4.0質量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気浮上式コンベヤベルト用ゴム組成物を用いて形成されたカバーゴム層を有する、空気浮上式コンベヤベルト。
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