JP2019050143A - 正極活物質、正極、及び非水電解質蓄電素子 - Google Patents

正極活物質、正極、及び非水電解質蓄電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム過剰型活物質が用いられ、エネルギー密度維持率が高い正極活物質、並びにこの正極活物質を有する正極及び非水電解質蓄電素子を提供する。【解決手段】本発明の一態様は、単斜晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群C2/m若しくは空間群C2/cに帰属可能であるか、又は六方晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群R−3m若しくは空間群P3112に帰属可能であり、組成式がaLi2MnO3−(1−a)LiMnxCoyNizO2(1≧a>0、1≧x≧0、1≧y≧0、1≧z≧0、x+y+z=1)で表記可能なリチウム遷移金属複合酸化物粒子と、可逆的に酸素を吸蔵及び放出する酸素吸蔵放出材とを含有する複合体を含む非水電解質蓄電素子用の正極活物質である。【選択図】図1

Description

本発明は、正極活物質、正極、及び非水電解質蓄電素子に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、エネルギー密度の高さから、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等に多用されている。上記非水電解質二次電池は、一般的には、セパレータで電気的に隔離された一対の電極と、この電極間に介在する非水電解質とを有し、両電極間でイオンの受け渡しを行うことで充放電するよう構成される。また、非水電解質二次電池以外の非水電解質蓄電素子として、リチウムイオンキャパシタや電気二重層キャパシタ等のキャパシタも広く普及している。今後非水電解質蓄電素子は、電気自動車(EV)の電源等の用途に向けてよりいっそうの高容量化が要求される。
従来、高容量の非水電解質蓄電素子用の正極活物質として、α−NaFeO型結晶構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物粒子が検討され、LiCoOを用いた非水電解質二次電池が広く実用化されていた。しかし、LiCoOの放電容量は120〜130mAh/g程度であり、さらなる高容量化が求められていた。また、地球資源として豊富なMnを遷移金属元素として用いることが望まれてきた。
そこで、遷移金属(Me)に占めるMnのモル比(Mn/Me)が0.5以下であり、遷移金属(Me)に対するLiのモル比(Li/Me)がほぼ1であるLiMeO型活物質が種々提案され、一部実用化されている。一方、上記LiMeO型活物質に対し、Meに占めるMnのモル比Mn/Meが0.5より大きく、遷移金属(Me)の比率に対するリチウム(Li)のモル比(Li/Me)が1より大きいリチウム遷移金属複合酸化物粒子である、いわゆるリチウム過剰型活物質も提案されている(特許文献1参照)。
このリチウム過剰型活物質が用いられた非水電解質蓄電素子は、初回の充電時にのみ酸素ガスが発生することが知られている。例えば特許文献2には、「XLi(Li1/32/3)O+YLiM’Oの一般式で表される化合物(式中、M=4+の酸化数を有する金属から選択された1種以上の元素、M’=遷移金属から選択された1種以上の元素、0<X<1、0<Y<1、X+Y=1である。)」(段落[0024])を用いた電極活物質が、「M’の酸化還元電位以上に充電される場合、Liが離脱されながら、酸化還元バランスを取るために酸素も離脱される。よって、電極活物質はプラトー電位を有することになる。」(段落[0025])、「プラトー電位以上に1回以上充電した後、ガス除去工程を行う方式により電池を構成すれば、継続的にプラトー電位以上に充電しても、高容量の電池を構成すると共に、ガス発生による電池の問題点も解決できる。すなわち、プラトー電位以上に充電した後、以後のサイクルの充電からはガスが発生せず、プラトー区間はなくなる(図4参照)」。」(段落[0022])と記載されている。
特開2010−086690号公報 特表2009−505367号公報
しかしながら、このようなリチウム過剰型活物質が正極に用いられた非水電解質蓄電素子においては、2サイクル目以降の充放電サイクルに伴う放電性能の低下が大きく、充放電サイクルに伴うエネルギー密度の低下の改善が望まれている。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、リチウム過剰型活物質が用いられ、充放電サイクルにおけるエネルギー密度維持率を高めることができる非水電解質蓄電素子用の正極活物質、並びにこの正極活物質を有する正極及び非水電解質蓄電素子を提供することである。
一般に、充放電サイクルに伴う性能低下の原因としては種々の要因が考えられる。本発明者らは、リチウム過剰型正極活物質を用いた正極を備える非水電解質電池が、2サイクル目以降の充放電サイクルに伴う電位低下が大きいという現象に着目した。本発明者らは、検討の当初、充放電ヒステリシスと呼ばれる充電電位と放電電位の差において、リチウム過剰型正極活物質を用いた正極のほうが、LiMeO型正極活物質を用いた正極によりも大きいことが、リチウム空気電池におけるLiO極の挙動を類推させることから、酸素ガス発生反応が上記現象に関与しているのではないかと推測した。
しかしながら、充放電挙動をさらに詳細に解析した結果、リチウム過剰型正極活物質を用いた正極の2サイクル目以降の充放電挙動に関して、上記に示したような従来技術文献で開示されている、初回の充電時にのみ観察される酸素ガス発生反応とは全く異なる知見が得られた。
すなわち、2サイクル目以降の充放電過程の正極活物質の質量変化は、リチウムの挿入及び脱離反応から計算される質量変化と一致しており、重量ロスが観察されないこと、及び、2サイクル目以降の充放電に伴う電池厚みの変化は、ガス発生した場合に想定される程度に比べてはるかに小さいことから、2サイクル目以降の充放電過程においては、酸素ガス発生反応が伴っていないことが判明した。
さらに、多数回の充放電サイクルが繰り返された放電末状態の正極についてリートベルト解析を実施した結果から、リチウム過剰型正極活物質を用いた正極は、2サイクル目以降の充電に伴って正極活物質に含まれるリチウム遷移金属複合酸化物粒子の結晶を構成する酸素原子の一部が脱離し、放電に伴って酸素原子が再び結晶内に挿入される反応が起こっているが、上記脱離した酸素原子は完全には元に戻らず、充放電サイクルの繰り返しによって結晶内の酸素欠損の程度が増加することを本発明者らは突き止めた。本発明者らは、脱離した酸素の一部は、酸化物を生成して、結晶子又は一次粒子の粒界に存在していると推察している。
以上の知見に基づき、本発明者らは、2サイクル目以降の充電過程において、リチウム過剰型正極活物質に含まれるリチウム遷移金属複合酸化物粒子から脱離する酸素を補足し、かつ、引き続く放電過程でリチウム遷移金属複合酸化物粒子に酸素を戻すことのできる物質を共存させることにより、充放電サイクルの繰り返しに伴う正極の電位低下を抑制し、もって、これを用いた非水電解質蓄電素子のエネルギー密度維持率の向上という本発明の課題が解決できるのではないかと考え、本発明に至った。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、単斜晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群C2/m若しくは空間群C2/cに帰属可能であるか、又は六方晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群R−3m若しくは空間群P312に帰属可能であり、組成式がaLiMnO−(1−a)LiMnCoNi(1≧a>0、1≧x≧0、1≧y≧0、1≧z≧0、x+y+z=1)で表記可能なリチウム遷移金属複合酸化物粒子と、可逆的に酸素を吸蔵及び放出する酸素吸蔵放出材とを含有する複合体を含む非水電解質蓄電素子用の正極活物質である。
本発明の他の一態様は、当該正極活物質を有する非水電解質蓄電素子用の正極である。
本発明の他の一態様は、当該正極を備える非水電解質蓄電素子である。
本発明によれば、リチウム過剰型活物質が用いられ、充放電サイクルに伴うエネルギー密度維持率を高めることができる非水電解質蓄電素子用の正極活物質、並びにこの正極活物質を有する正極及び非水電解質蓄電素子を提供することができる。
本発明に係る非水電解質蓄電素子の一実施形態を示す外観斜視図である。 本発明に係る非水電解質蓄電素子を複数個集合して構成した蓄電装置を示す概略図である。
本発明の一実施形態に係る正極活物質は、単斜晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群C2/m若しくは空間群C2/cに帰属可能であるか、又は六方晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群R−3m若しくは空間群P312に帰属可能であり、組成式がaLiMnO−(1−a)LiMnCoNi(1≧a>0、1≧x≧0、1≧y≧0、1≧z≧0、x+y+z=1)で表記可能なリチウム遷移金属複合酸化物粒子と、可逆的に酸素を吸蔵及び放出する酸素吸蔵放出材とを含有する複合体を含む非水電解質蓄電素子用の正極活物質である。
当該正極活物質を有する非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ともいう。)は、いわゆるリチウム過剰型活物質が用いられた蓄電素子であって、高いエネルギー密度維持率を有する。この理由は定かでは無いが、以下の理由が推測される。例えばペロブスカイト型酸化物であるCaFeO及びSrCoOについては、下記式(1)及び(2)に示すような反応が可逆的に行われ、酸素不定比性を示すことが報告がされている。
CaFeO2.5+(O)⇔CaFeO+e (1)
SrCoO2.5+(O)⇔SrCoO+e (2)
上述したように、いわゆるリチウム過剰型活物質が正極活物質として用いられた蓄電素子の正極においては、2サイクル目以降の充電に伴って正極活物質に含まれるリチウム遷移金属複合酸化物粒子の結晶を構成する酸素原子の一部が脱離し、放電に伴って酸素原子が再び上記結晶内に挿入される反応が起こっているが、脱離した酸素は完全には元に戻らず、充放電サイクルの繰り返しによって結晶内の酸素欠損の程度が増加することが本発明者らにより確認されている。そして、充放電サイクルの繰り返しによるリチウム遷移金属複合酸化物粒子の結晶内の酸素欠損の増加が、充放電サイクルに伴う放電電位の低下に影響しているものと考えられる。
そこで、当該正極活物質においては、酸素不定比性を示すCaFeO2.5などの可逆的に酸素を吸蔵及び放出する酸素吸蔵放出材と、LiMnOドメインを含むリチウム過剰型活物質との複合体を含有させている。上記酸素吸蔵放出材は、電気化学的に酸素の脱挿入が可能であることから、上記酸素吸蔵放出材をリチウム過剰型活物質と複合化させることにより、正極活物質に含まれるリチウム遷移金属複合酸化物粒子から2サイクル目以降の充電過程で脱離する酸素を補足し、放電過程でリチウム遷移金属複合酸化物粒子に酸素を戻すことができるのではないかと推察される。その結果、当該蓄電素子においては、リチウム過剰型正極活物質の結晶内の酸素欠損が抑制されることにより、充放電サイクルにおける電位低下が抑制され、もってエネルギー密度維持率を高めることができると考えられる。
上記酸素吸蔵放出材が、CaFeO3−σ1、SrFeO3−σ1、BaFeO3−σ1、CaMnO3−σ1、SrCoO3−σ1、LaCuO4−σ2、SrTiO4−σ2、CaMnO4−σ2(0<σ1≦0.5、0<σ2≦0.2)で表される化合物又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これらの化合物は、酸素不定比性を示し、可逆的に酸素の脱挿入ができることにより、蓄電素子の充放電サイクルにおけるエネルギー密度維持率をより高めることができる。
上記酸素吸蔵放出材は、4.5V(vs.Li/Li)の電位における上記酸素吸蔵放出材中の酸素原子のモル比が、2.5V(vs.Li/Li)の電位における上記酸素吸蔵放出材中の酸素原子のモル比よりも多いことが好ましい。これにより、上記酸素吸蔵放出材が、酸素の脱挿入をより良好にできるので、蓄電素子の充放電サイクルにおけるエネルギー密度維持率を向上することができる。
本発明の他の一実施形態に係る正極は、当該正極活物質を有する非水電解質蓄電素子用の正極である。当該正極によれば、当該正極活物質を有することにより、蓄電素子の充放電サイクルにおけるエネルギー密度維持率をより高めることができる。
本発明の他の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子(以下、単に「蓄電素子」ということもある。)は、当該正極を備える。当該正極を用いることにより、蓄電素子の充放電サイクルにおけるエネルギー密度維持率を向上することができる。
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解質蓄電素子用の正極活物質、非水電解質蓄電素子用の正極、及び非水電解質蓄電素子について詳説する。
<非水電解質蓄電素子>
本発明の一実施形態に係る蓄電素子は、正極、負極及び非水電解質を有する。以下、蓄電素子の一例として、非水電解質二次電池について説明する。上記正極及び負極は、通常、セパレータを介して積層又は巻回により交互に重畳された電極体を形成する。この電極体はケースに収納され、このケース内に非水電解質が充填される。上記非水電解質は、正極と負極との間に介在する。また、上記ケースとしては、非水電解質二次電池のケースとして通常用いられる公知のアルミニウムケース、樹脂ケース等を用いることができる。
<正極>
当該正極は、当該正極活物質を有する非水電解質蓄電素子用の正極である。当該正極は、正極基材、及びこの正極基材に直接又は中間層を介して配される正極合剤層を有する。
上記正極基材は、導電性を有する。基材の材質としては、アルミニウム、チタン、タンタル、ステンレス鋼等の金属又はそれらの合金が用いられる。これらの中でも、耐電位性、導電性の高さ及びコストのバランスからアルミニウム及びアルミニウム合金が好ましい。また、正極基材の形成形態としては、箔、蒸着膜等が挙げられ、コストの面から箔が好ましい。つまり、正極基材としてはアルミニウム箔が好ましい。なお、アルミニウム又はアルミニウム合金としては、JIS−H−4000(2014年)に規定されるA1085P、A3003P等が例示できる。
上記中間層は、正極基材の表面の被覆層であり、炭素粒子等の導電性粒子を含むことで正極基材と正極合剤層との接触抵抗を低減する。中間層の構成は特に限定されず、例えば樹脂バインダー及び導電性粒子を含有する組成物により形成できる。なお、「導電性」を有するとは、JIS−H−0505(1975年)に準拠して測定される体積抵抗率が10Ω・cm以下であることを意味し、「非導電性」とは、上記体積抵抗率が10Ω・cm超であることを意味する。
正極合剤層は、当該正極活物質を含むいわゆる正極合材から形成される層である。
<正極活物質>
当該正極活物質は、リチウム遷移金属複合酸化物粒子と、酸素吸蔵放出材とを含有する複合体を含む。
[複合体]
上記複合体としては、リチウム遷移金属複合酸化物粒子及び酸素吸蔵放出材間で化学的又は物理的な結合を有する複合体、リチウム遷移金属複合酸化物粒子及び酸素吸蔵放出材を機械的に複合化させた複合体等が挙げられる。上記複合体は、一粒子内にリチウム遷移金属複合酸化物粒子と酸素吸蔵放出材とが存在しているものであり、例えば、リチウム遷移金属複合酸化物粒子と酸素吸蔵放出材とが凝集状態を形成しているもの、リチウム遷移金属複合酸化物粒子の表面の少なくとも一部に酸素吸蔵放出材含有被膜が形成されているもの、1つの粒子集合体に他の粒子集合体の一部が結合するもの、リチウム遷移金属複合酸化物粒子及び酸素吸蔵放出材が互いに固溶したもの等が挙げられる。上記複合体は、メカノケミカル法、共沈法等の公知の方法により製造することができる。
(リチウム遷移金属複合酸化物粒子)
上述したように、上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子(以下、複合酸化物粒子ともいう。)は、単斜晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群C2/m若しくは空間群C2/cに帰属可能であるか、又は六方晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群R−3m若しくは空間群P312に帰属可能であり、組成式がaLiMnO−(1−a)LiMnCoNiで表記可能な複合酸化物粒子である。ここで、1≧a>0である。1≧x≧0である。1≧y≧0である。1≧z≧0である。x+y+z=1である。このように、上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子は、いわゆるリチウム過剰型活物質である。但し、本発明の効果を損なわない範囲で、上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子がその他の遷移金属元素が含有されていてもよい。
上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子におけるリチウム(Li)とLi以外の遷移金属であるMn、Ni、Co又はこれらの組み合わせからなる遷移金属(Me)とのモル比(Li/Me)の下限としては、1.1が好ましく、1.2がより好ましい。一方、このモル比(Li/Me)の上限としては、例えば2であり、1.6が好ましく、1.5がより好ましい。
Li以外の遷移金属Meに占めるMnのモル比(Mn/Me)は、0.5超であり、0.51以上が好ましく、0.55以上がより好ましい。一方、このモル比(Mn/Me)の上限としては、例えば1であり、0.75が好ましく、0.70がより好ましい。
Li以外の遷移金属Meに占めるCoのモル比(Co/Me)の下限としては、0.05が好ましく、0.1がより好ましい。一方、このモル比(Co/Me)の上限としては、0.3が好ましく、0.25がより好ましい。なお、このモル比(Co/Me)は0であってもよい。
Li以外の遷移金属Meに占めるNiのモル比(Ni/Me)の下限としては、0.05が好ましく、0.1がより好ましい。一方、このモル比(Ni/Me)の上限としては、0.5が好ましく、0.3がより好ましい。なお、このモル比(Ni/Me)は0であってもよい。
上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子を正極活物質とした場合、電池を組立て、注液後、最初に行う充電時に限り、充電区間の中にプラトー電位を有し、例えば5.0V(vs.Li/Li)のようなプラトー電位以上の電位まで充電を行った場合に酸素ガスが発生することがある。ここで、プラトー電位とは、縦軸を正極電位、横軸を充電電気量としてプロットした充電カーブにおいて出現する電位変化が比較的平坦な領域をいう。しかしながら、2サイクル目以降の充電時には、上記プラトー電位は観察されず、酸素ガスが発生しない。
上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子は、固相法、ゾルゲル法、水熱法、共沈法等の種々の方法で合成することができる。これらの中でも、遷移金属の分布の均一性が高いことなどから、共沈法により合成された複合酸化物を用いることが好ましい。共沈法は、水溶液中で沈殿(共沈)させることにより、Mn、Ni、Co等の遷移金属を含む前駆体を作製し、この前駆体とリチウム化合物との混合物を焼成してリチウム遷移金属複合酸化物粒子を合成する方法である。上記共沈により得られる前駆体としては、炭酸塩や水酸化物を採用することができる。
水酸化物前駆体を採用することで、比表面積が適度に小さくなるため、密度の高いリチウム遷移金属複合酸化物粒子を得ることができる。一方、炭酸塩前駆体を採用すると、真球度の高い前駆体及び活物質を得ることができる。したがって、この活物質を用いると、均一で平滑度の高い正極合材層を備えた正極を製造することができる。
上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子のメジアン径(D50)としては、1μm以上20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。特に、炭酸塩前駆体から形成されたリチウム遷移金属複合酸化物粒子の場合、そのメジアン径の下限としては5μmがより好ましい。また、水酸化物前駆体から形成されたリチウム遷移金属複合酸化物粒子の場合、そのメジアン径の上限としては、8μmがより好ましい。メジアン径が上記範囲のリチウム遷移金属複合酸化物粒子を用いることで、放電容量をより高めることができる。
なお、上記「メジアン径」とは、JIS−Z−8819−2(2001年)に準拠し計算される体積基準積算分布が50%となる値(D50)を意味する。具体的には以下の方法による測定値とすることができる。測定装置としてレーザー回折式粒度分布測定装置(島津製作所社の「SALD−2200」)、測定制御ソフトとしてWing SALD−2200を用いて測定する。散乱式の測定モードを採用し、測定試料が分散溶媒中に分散する分散液が循環する湿式セルにレーザー光を照射し、測定試料から散乱光分布を得る。そして、散乱光分布を対数正規分布により近似し、累積度50%にあたる粒子径をメジアン径(D50)とする。なお、上記測定に基づくメジアン径は、SEM画像から、極端に大きい粒子及び極端に小さい粒子を避けて100個の粒子を抽出して測定するメジアン径とほぼ一致することが確認されている。なお、このSEM画像からの測定における各粒子の径はフェレー径とし、各粒子の体積はフェレー径を直径とする球として算出する。
上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子は、以下の微分細孔容積を有することが好ましい。炭酸塩前駆体から形成されたリチウム遷移金属複合酸化物粒子の場合、窒素ガス吸着法を用いた吸着等温線からBJH法で求めた微分細孔容積が最大値を示す細孔径が30nm以上40nm以下の範囲であり、30nm以上50nm以下の細孔領域におけるピーク微分細孔容積が0.85mm/(g・nm)以上1.76mm/(g・nm)以下であることが好ましい。一方、水酸化物前駆体から形成されたリチウム遷移金属複合酸化物粒子の場合、窒素ガス吸着法を用いた吸着等温線からBJH法で求めた微分細孔容積が最大値を示す細孔径が55nm以上65nm以下の範囲であり、30nm以上50nm以下の細孔領域におけるピーク微分細孔容積が0.50mm/(g・nm)以下が好ましく、0.2mm/(g・nm)以下がより好ましく、0.18mm/(g・nm)以下がさらに好ましく、0.12mm/(g・nm)以下が特に好ましい。このような高密度のリチウム遷移金属複合酸化物粒子は、高密度な水酸化物前駆体とリチウム化合物を焼成することによって得ることができる。また、全細孔容積の上限としては、0.05cm/gが好ましく、0.04cm/gがより好ましい。全細孔容積を上記上限以下とすることにより、体積当たりの放電容量を高くすることができる。
上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子の全細孔容積及び微分細孔容積は、以下の方法により測定する。測定試料の粉体1.00gを測定用のサンプル管に入れ、120℃にて12時間真空乾燥することで、測定試料中の水分を十分に除去する。次に、液体窒素を用いた窒素ガス吸着法により、相対圧力P/P0(P0=約770mmHg)が0から1の範囲内で吸着側及び脱離側の等温線を測定する。そして、脱離側の等温線を用いてBJH法により計算することにより細孔分布を評価し、微分細孔容積及び全細孔容積を求める。
上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子のタップ密度の下限は、1.2g/cm3が好ましく、1.6g/cmがより好ましく、1.7g/cmがさらに好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物粒子のタップ密度を上記下限以上とすることで、体積当たりの放電容量、充放電サイクル性能、高率放電性能等を高めることができる。一方、このタップ密度の上限としては、例えば3g/cmとすることができる。
リチウム遷移金属複合酸化物粒子のタップ密度は、10−2dmのメスシリンダーに測定試料の粉体を2g±0.2g投入し、REI ELECTRIC CO.LTD.社製のタッピング装置を用いて、300回カウント後の測定試料の体積を投入した質量で除した値を採用する。
上記aLiMnO−(1−a)LiMnCoNiで表記可能なリチウム遷移金属複合酸化物粒子におけるX線回折ピークの半値幅は以下の範囲であることが好ましい。
炭酸塩前駆体から形成されたリチウム過剰型リチウム遷移金属複合酸化物粒子の場合、六方晶の空間群R3−mに帰属され、CuKα線を用いたX線回折図上、2θ=18.6°±1°の回折ピークの半値幅(FWHM(003))が0.20°〜0.27°又は/及び2θ=44.1°±1°の回折ピークの半値幅(FWHM(104))が0.26°〜0.39°であることが好ましい。上記回折ピークの半値幅を上記範囲とすることにより、放電容量を大きくすることができる。なお、FWHM(003)及びFWHM(104)が小さいほど、結晶子サイズが大きいことを意味する。
一方、水酸化物前駆体から形成されたリチウム過剰型リチウム遷移金属複合酸化物粒子の場合、FWHM(104)の下限が0.40°であることが好ましい。FWHM(104)が上記下限以上であると、結晶化が進みすぎておらず、結晶子が大きくなっていないため、Liイオンの拡散が十分に行われ、初期効率が向上する。一方、このFWHM(104)の上限は特に限定されないが、Liイオンの輸送効率の面からは、1.00°とすることが好ましく、0.96°とすることがより好ましく、0.65°とすることが特に好ましい。
上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子の半値幅は、X線回折装置(Rigaku社製、型名:MiniFlex II)を用いて測定を行う。具体的には、次の条件及び手順に沿って行う。線源はCuKα、加速電圧及び電流はそれぞれ30kV及び15mAとする。サンプリング幅は0.01deg、走査時間は14分(スキャンスピードは5.0)、発散スリット幅は0.625deg、受光スリット幅は開放、散乱スリットは8.0mmとする。得られたX線回折データについて、上記X線回折装置の付属ソフトである「PDXL」を用いて、空間群R3−mでは(003)面に指数付けされ、X線回折図上2θ=18.6±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(003)、及び(104)面に指数付けされ、X線回折図上2θ=44±1°に存在する回折ピークについての半値幅FWHM(104)を決定する。なお、上記半値幅は、Kα1由来のピークの半値幅を表す。
上記半値幅の測定に供する試料は、正極作製前の活物質粉末であれば、そのまま測定に供する。蓄電素子を解体して取り出した正極から試料を採取する場合には、蓄電素子を解体する前に、次の手順によって蓄電素子を放電状態とする。まず、0.1Cの電流で、正極の電位が4.3V(vs.Li/Li)となる電圧まで定電流充電を行い、同じ電圧にて、電流値が0.01Cに減少するまで定電圧充電を行い、充電末状態とする。30分の休止後、0.1Cの電流で、正極の電位が2.0V(vs.Li/Li)となる電圧に至るまで定電流放電を行い、放電末状態とする。金属リチウム電極を負極に用いた蓄電素子であれば、当該蓄電素子を放電末状態又は充電末状態とした後に蓄電素子を解体して正極を取り出せばよい。一方、金属リチウム電極を負極に用いた蓄電素子でない場合は、正極電位を正確に制御するため、蓄電素子を解体して正極を取り出した後に、金属リチウム電極を対極とした蓄電素子を組立ててから、上記の手順に沿って、放電末状態に調整する。
蓄電素子の解体から測定までの作業は露点−60℃以下のアルゴン雰囲気中で行う。取り出した正極は、ジメチルカーボネートを用いて正極に付着した非水電解質を十分に洗浄し室温にて一昼夜の乾燥後、正極合材を採取する。この正極合材を、小型電気炉を用いて600℃で4時間焼成することで、導電剤やバインダー等を除去し、リチウム遷移金属複合酸化物粒子を取り出す。
(酸素吸蔵放出材)
酸素吸蔵放出材は、可逆的に酸素を吸蔵及び放出する。上記酸素吸蔵放出材は、酸素の脱挿入が可能であるため、正極活物質に含まれるリチウム遷移金属複合酸化物粒子から2サイクル目以降の充電過程で脱離する酸素を補足し、放電過程でリチウム遷移金属複合酸化物粒子に酸素を戻すことができると考えられる。その結果、当該蓄電素子のリチウム過剰型正極活物質の結晶内の酸素欠損が抑制されることにより、充放電サイクルにおけるエネルギー密度維持率を高めることができると考えられる。
上記酸素吸蔵放出材としては、酸素不定比性を示す化合物が好ましく、例えばCaFeO3−σ1、SrFeO3−σ1、BaFeO3−σ1、CaMnO3−σ1、SrCoO3−σ1、LaCuO4−σ2、SrTiO4−σ2、CaMnO4−σ2(0<σ1≦0.5、0<σ2≦0.2)で表される化合物又はこれらの組み合わせが挙げられる。これらの中では、CaFeO3−σ1、SrFeO3−σ1、BaFeO3−σ1、CaMnO3−σ1、SrCoO3−σ1が好ましい。
酸素吸蔵放出材は、4.5V(vs.Li/Li)の電位における酸素吸蔵放出材中の酸素原子のモル比が、2.5V(vs.Li/Li)の電位における酸素吸蔵放出材中の酸素原子のモル比よりも多い。これにより、上記酸素吸蔵放出材が、酸素の脱挿入をより良好にできるので、蓄電素子の充放電サイクルにおけるエネルギー密度維持率を向上することができる。
上記リチウム遷移金属複合酸化物粒子に対する上記酸素吸蔵放出材の含有量比の下限としては、1質量%が好ましく、3質量%がより好ましい。一方、上記含有量比の上限としては、10質量%が好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物粒子に対する上記酸素吸蔵放出材の含有量比を上記範囲とすることにより、蓄電素子の充放電サイクルにおけるエネルギー密度維持率をより高めることができる。
当該正極活物質として、上記複合体以外の公知の正極活物質が含まれていてもよい。全正極活物質に占める上記複合体の含有割合の下限としては、20質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、70質量%がさらに好ましい。
上記正極合剤は、当該正極活物質と、その他必要に応じて、導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分とを含む。
上記導電剤としては、蓄電素子性能に悪影響を与えない導電性材料であれば特に限定されない。このような導電剤としては、天然又は人造の黒鉛、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等のカーボンブラック、金属、導電性セラミックス等が挙げられ、アセチレンブラックが好ましい。導電剤の形状としては、粉状、繊維状等が挙げられる。
上記バインダー(結着剤)としては、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVdF)等)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のエラストマー;多糖類高分子等が挙げられる。
上記増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロース等の多糖類高分子が挙げられる。また、増粘剤がリチウムと反応する官能基を有する場合、予めメチル化等によりこの官能基を失活させておくことが好ましい。
上記フィラーとしては、電池性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されない。フィラーの主成分としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス等が挙げられる。
上記正極合剤における当該正極活物質の含有量の下限としては、70質量%が好ましく、80質量%がより好ましい。一方、上記含有量の上限としては、98質量%が好ましく、96質量%がより好ましい。上記正極合剤における当該正極活物質の含有量を上記範囲とすることにより、蓄電素子の充放電サイクルにおけるエネルギー密度維持率をより高めることができる。なお、後述する実施例では、電極挙動に影響を与える他の要因をできるだけ排除するため、導電材であるアセチレンブラックを敢えて大量に混合して実験を行った。
[負極]
上記負極は、負極基材、及びこの負極基材に直接又は中間層を介して配される負極合剤層を有する。上記中間層は正極の中間層と同様の構成とすることができる。
上記負極基材は、正極基材と同様の構成とすることができるが、材質としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属又はそれらの合金が用いられ、銅又は銅合金が好ましい。つまり、負極基材としては銅箔が好ましい。銅箔としては、圧延銅箔、電解銅箔等が例示される。
上記負極合剤層は、負極活物質を含むいわゆる負極合剤から形成される。また、負極合剤層を形成する負極合剤は、必要に応じて導電剤、バインダー(結着剤)、増粘剤、フィラー等の任意成分を含む。導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等の任意成分は、正極合剤層と同様のものを用いることができる。
上記負極活物質としては、通常、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる材質が用いられる。具体的な負極活物質としては、例えばSi、Sn等の金属又は半金属;Si酸化物、Sn酸化物等の金属酸化物又は半金属酸化物;ポリリン酸化合物;黒鉛(グラファイト)、非晶質炭素(易黒鉛化性炭素又は難黒鉛化性炭素)等の炭素材料等が挙げられる。
さらに、負極合剤(負極合剤層)は、B、N、P、F、Cl、Br、I等の典型非金属元素、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Zn、Ga、Ge等の典型金属元素、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mo、Zr、Ta、Hf、Nb、W等の遷移金属元素を含有してもよい。
[セパレータ]
上記セパレータの材質としては、例えば織布、不織布、多孔質樹脂フィルム等が用いられる。これらの中でも、強度の観点から多孔質樹脂フィルムが好ましく、非水電解質の保液性の観点から不織布が好ましい。上記セパレータの主成分としては、強度の観点から例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましく、耐酸化分解性の観点から例えばポリイミドやアラミド等が好ましい。また、これらの樹脂を複合してもよい。
なお、セパレータと電極(通常、正極)との間に、無機層が配設されていても良い。この無機層は、耐熱層等とも呼ばれる多孔質の層である。また、多孔質樹脂フィルムの一方の面に無機層が形成されたセパレータを用いることもできる。上記無機層は、通常、無機粒子及びバインダーとで構成され、その他の成分が含有されていてもよい。
[非水電解質]
上記非水電解質としては、一般的な非水電解質蓄電素子に通常用いられる公知の非水電解質が使用できる。上記非水電解質は、非水溶媒と、この非水溶媒に溶解されている電解質塩を含む。また、当該非水電解質は、固体であってもよい。
上記非水溶媒としては、一般的な蓄電素子用非水電解質の非水溶媒として通常用いられる公知の非水溶媒を用いることができる。上記非水溶媒としては、環状カーボネート、鎖状カーボネート、エステル、エーテル、アミド、スルホン、ラクトン、ニトリル等を挙げることができる。これらの中でも、環状カーボネート又は鎖状カーボネートを少なくとも用いることが好ましく、環状カーボネートと鎖状カーボネートとを併用することがより好ましい。
上記環状カーボネートとしては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、クロロエチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)、スチレンカーボネート、カテコールカーボネート、1−フェニルビニレンカーボネート、1,2−ジフェニルビニレンカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもECが好ましい。
上記鎖状カーボネートとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジフェニルカーボネート等を挙げることができ、これらの中でもEMCが好ましい。
電解質塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、オニウム塩等を挙げることができるが、リチウム塩が好ましい。上記リチウム塩としては、LiPF、LiPO、LiBF、LiPF(C、LiClO、LiN(SOF)等の無機リチウム塩、LiSOCF、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)、LiC(SOCF、LiC(SO等のフッ化炭化水素基を有するリチウム塩などを挙げることができる。
上記非水電解質には、その他の添加剤が添加されていてもよい。また、上記非水電解質として、常温溶融塩、イオン液体、ポリマー固体電解質などを用いることもできる。
[非水電解質蓄電素子の製造方法]
当該蓄電素子は、公知の方法で製造することができる。例えば、当該蓄電素子の製造方法は、正極を作製する工程、負極を作製する工程、非水電解質を調製する工程、正極及び負極を、セパレータを介して積層又は巻回することにより交互に重畳された電極体を形成する工程、正極及び負極(電極体)を電池容器(ケース)に収容する工程、並びに上記電池容器に上記非水電解質を注入する工程を備えることができる。上記注入は、公知の方法により行うことができる。注入後、注入口を封止することにより非水電解質二次電池(非水電解質蓄電素子)を得ることができる。
<その他の実施形態>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記態様の他、種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。例えば、上記正極又は負極において、中間層を設けなくてもよい。また、当該非水電解質蓄電素子の正極又は負極において、正極合剤又は負極合材は明確な層を形成していなくてもよい。例えば上記正極は、メッシュ状の正極基材に正極合剤が担持された構造などであってもよく、上記負極は、メッシュ状の負極基材に負極合材が担持された構造などであってもよい。
また、上記実施の形態においては、非水電解質蓄電素子が非水電解質二次電池である形態を中心に説明したが、その他の非水電解質蓄電素子であってもよい。その他の非水電解質蓄電素子としては、キャパシタ(電気二重層キャパシタ、リチウムイオンキャパシタ)等が挙げられる。
さらに、当該非水電解質蓄電素子は、上記実施の形態に記載の製造方法以外の方法によっても製造することができる。
図1に、本発明に係る非水電解質蓄電素子の一実施形態である矩形状の非水電解質蓄電素子1(非水電解質二次電池)の概略図を示す。なお、同図は、容器内部を透視した図としている。図1に示す非水電解質蓄電素子1は、電極体2が電池容器3(ケース)に収納されている。電極体2は、当該正極活物質を含む正極合剤層を備える正極と、負極活物質を含む負極合剤層を備える負極とが、セパレータを介して捲回されることにより形成されている。正極は、正極リード4’を介して正極端子4と電気的に接続され、負極は、負極リード5’を介して負極端子5と電気的に接続されている。当該正極活物質の詳細は、上述したとおりである。また、電池容器3には、非水電解質が注入されている。
本発明に係る非水電解質蓄電素子の構成については特に限定されるものではなく、円筒型電池、角型電池(矩形状の電池)、扁平型電池等が一例として挙げられる。本発明は、上記の非水電解質蓄電素子を複数備える蓄電装置としても実現することができる。蓄電装置の一実施形態を図2に示す。図2において、蓄電装置30は、複数の蓄電ユニット20を備えている。それぞれの蓄電ユニット20は、複数の非水電解質蓄電素子1を備えている。上記蓄電装置30は、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HEV)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV)等の自動車用電源として搭載することができる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
(正極の作製)
(1)複合体の材料として、リチウム遷移金属複合酸化物粒子であるLiMnO及び酸素吸蔵放出材であるCaFeO2.5とを用いた。LiMnOは、MnO(東ソー社製)及びLiCO(ナカライテスク社製)を化学量論比で混合し、空気中500℃にて焼成することによって得た。CaFeO2.5は、α−Fe及びCaCOを化学量論比で混合し、空気中1100℃にて焼成することによって得た。これらを直径5mmのジルコニア(ZrO)製ボールが約250個入った内容積80mLのジルコニア(ZrO)製ポットに投入し、蓋をした。これを遊星型ボールミル(FRITSCH社の「pulverisette 5」)にセットし、公転回転数400rpmで4時間混合して複合体からなる正極活物質を作製した。
(2)次に、正極活物質及び導電剤としてのアセチレンブラック(AB)の質量比を固形分換算で65:20とし、エタノールと共にポットに投入し、遊星型ボールミルを用いて公転回転数300rpmで2時間混合した。この混合物を乾燥機により75℃で3時間以上乾燥し、混合粉体を調製した。
(3)次に、この混合粉体及び導電助剤としてのポリビニリデンフルオライド(PVdF)を混合し、所定のプラスチック容器に入れ、アルゴン雰囲気を維持したグローブボックス中で蓋をした。これを撹拌脱泡装置(シンキー社の「あわとり練太郎」)にセットし、2000rpmで十分に混練することで、N−メチルピロリドン(NMP)を分散媒とするスラリーを調整した。スラリー中の正極活物質、AB及びPVdFの質量比は65:20:15である。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔基材の片面に塗布した。これを80℃のホットプレート上で30分乾燥して分散媒を蒸発させた後、ロールプレスを行うことで正極を得た。
上記各正極を作用極として試験電池を組立て、正極としての挙動を評価した。単独挙動を正確に観察する目的のため、対極には金属リチウムをニッケル箔集電体に密着させたものを用いた。ここで、試験電池の容量が対極によって制限されないように、十分な量の金属リチウムを配置した。電解質として、エチレンカーボネート(EC)/エチルメチルカーボネート(EMC)が体積比30:70である混合溶媒に濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解させた溶液を用いた。セパレータとして、ポリアクリレートで表面改質したポリプロピレン製の微孔膜を用いた。外装体には金属樹脂複合フィルムを用い、正極端子及び負極端子の開放端部が外部露出するように電極を収納した。次に、上記金属樹脂複合フィルムの内面同士が向かい合った融着代を注液孔となる部分を除いて気密封止し、上記電解液を注液後、注液孔を封止した。
[実施例2]
複合化処理のボール及びポットをタングステンカーバイド(WC)製としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の非水電解質蓄電素子を得た。
[比較例1及び比較例2]
正極合剤ペーストの作製において酸素吸蔵放出材を添加しないこと以外は、実施例1及び実施例2と同様にして、比較例1及び比較例2の非水電解質蓄電素子を得た。
[評価]
(充放電サイクル試験:容量維持率及びエネルギー密度維持率)
得られた各非水電解質蓄電素子について、以下の条件にて充放電サイクル試験を行った。25℃にて、充電電流0.05C、充電電圧4.4Vの定電流定電圧充電を行った。充電終止条件は0.001C又は20hとした。1hの休止を設けた後、0.05Cの定電流放電を行った。放電終止電圧は2.0Vとした。以上を1サイクルとする充放電を30サイクル行った。なお、放電後にも1hの休止を設けた。上記1サイクル目の放電容量に対する30サイクル目の放電容量の百分率を容量維持率(%)として表1に示す。また、上記1サイクル目のエネルギー密度に対する30サイクル目のエネルギー密度の百分率をエネルギー密度維持率(%)として表1に示す。なお、エネルギー密度(mWh/g)は、当該サイクルにおける放電容量(mAh/g)と平均放電電圧(V)の積として表される。
Figure 2019050143
上記表1に示されるように、酸素吸蔵放出材であるCaFeO2.5を添加した正極を用いた実施例1及び実施例2の非水電解質蓄電素子は、酸素吸蔵放出材を添加していない比較例1及び比較例2の非水電解質蓄電素子と比べて良好な容量維持率及び高いエネルギー密度維持率を示した。
本発明は、パーソナルコンピュータ、通信端末等の電子機器、自動車等の電源として使用される非水電解質蓄電素子等に適用できる。
1 非水電解質蓄電素子
2 電極体
3 電池容器
4 正極端子
4’ 正極リード
5 負極端子
5’ 負極リード
20 蓄電ユニット
30 蓄電装置

Claims (5)

  1. 単斜晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群C2/m若しくは空間群C2/cに帰属可能であるか、又は六方晶に帰属可能な結晶構造を有し、且つ、空間群R−3m若しくは空間群P312に帰属可能であり、組成式がaLiMnO−(1−a)LiMnCoNi(1≧a>0、1≧x≧0、1≧y≧0、1≧z≧0、x+y+z=1)で表記可能なリチウム遷移金属複合酸化物粒子と、
    可逆的に酸素を吸蔵及び放出する酸素吸蔵放出材と
    を含有する複合体を含む非水電解質蓄電素子用の正極活物質。
  2. 上記酸素吸蔵放出材が、CaFeO3−σ1、SrFeO3−σ1、BaFeO3−σ1、CaMnO3−σ1、SrCoO3−σ1、LaCuO4−σ2、SrTiO4−σ2、CaMnO4−σ2(0<σ1≦0.5、0<σ2≦0.2)で表される化合物又はこれらの組み合わせである請求項1の非水電解質蓄電素子用の正極活物質。
  3. 上記酸素吸蔵放出材は、4.5V(vs.Li/Li)の電位における上記酸素吸蔵放出材中の酸素原子のモル比が、2.5V(vs.Li/Li)の電位における上記酸素吸蔵放出材中の酸素原子のモル比よりも多い、請求項1又は請求項2の非水電解質蓄電素子用の正極活物質。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかの正極活物質を有する非水電解質蓄電素子用の正極。
  5. 請求項4の正極を備える非水電解質蓄電素子。
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