JP2019049292A - 変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】駆動源からの動力を高効率で出力軸へ伝達することができる変速機を提供すること。【解決手段】差動機構で2つに分割された駆動源からの動力の一方および他方が入力される一方および他方の可変容量型ポンプモータを閉回路で接続した油圧変速部と、前記一方の可変容量型ポンプモータの入出力軸の動力を複数の変速比に変速して出力軸へ出力可能な第1の係合機構、および前記他方の可変容量型ポンプモータの入出力軸の動力を前記複数の変速比とは異なる変速比で前記出力軸へ出力可能な第2の係合機構、を有する有段変速部と、前記第1の係合機構および前記第2の係合機構を同時に係合させる制御装置と、を備える変速機。【選択図】図5

Description

本発明は、変速機に関する。
従来、静油圧式無段変速機(ハイドロ スタティック トランスミッション:HST)と差動機構とを組み合わせた、油圧機械式無段変速機(ハイドロ メカニカル トランスミッション:HMT)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1には、エンジンからの駆動力を遊星歯車機構で分割して2つの油圧ポンプモータに入力する、いわゆる「入力分割型」のHMTが開示されている。
特許第2522219号公報
特許文献1に記載のHMTでは、一方の油圧ポンプモータから出力された駆動力を車輪に伝達する低速モードと、他方の油圧ポンプモータから出力された駆動力を車輪に伝達する高速モードと、機械式伝動系のみを使用した中間モードとを切り替え可能に構成している。
しかしながら、特許文献1に記載のHMTでは、中間モードは、低速モードおよび高速モード間の1段のみである。そのため、幅広い車両速度域で高効率な機械式伝動系のみを使用した走行ができず、 駆動源からの動力を高効率で出力軸へ伝達することができないという問題があった。
本発明の目的は、駆動源からの動力を高効率で出力軸へ伝達することができる変速機を提供することである。
本発明に係る変速機は、差動機構で2つに分割された駆動源からの動力の一方および他方が入力される一方および他方の可変容量型ポンプモータを閉回路で接続した油圧変速部と、前記一方の可変容量型ポンプモータの入出力軸の動力を複数の変速比に変速して出力軸へ出力可能な第1の係合機構、および前記他方の可変容量型ポンプモータの入出力軸の動力を前記複数の変速比とは異なる変速比で前記出力軸へ出力可能な第2の係合機構、を有する有段変速部と、前記第1の係合機構および前記第2の係合機構を同時に係合させる制御装置と、を備える。
本発明に係る変速機によれば、駆動源からの動力を高効率で出力軸へ伝達することができる。
本発明の実施形態に係る車両の全体構成を示すスケルトン図 本発明の実施形態に係るポンプモータにおけるシリンダの概略を示す図 有段変速部の状態と各スリーブの動作状態との関係を示す図表 速度比と押し除け容積との関係を示す図 第1伝動状態から第5中間伝動状態への切り替えの一例を示すタイムチャート
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は一例であり、本発明はこの実施形態により限定されるものではない。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る油圧機械式変速機を搭載した車両1の全体構成について説明する。図1には、車両1の前後方向が描かれている。以下の説明では、車両前側を単に「前」、車両後側を単に「後」と呼ぶことがある。
車両1は、駆動源10と、ダンパ20と、差動機構30と、油圧変速部40と、有段変速部50と、制御装置80とを備えている。そして、有段変速部50の出力側に、プロペラシャフト61、デファレンシャル62およびドライブシャフト63を介して、駆動輪64が動力伝達可能に連結されている。なお、以下の説明において、差動機構30、油圧変速部40および有段変速部50を合わせて「変速機2」と呼ぶことがある。
駆動源10は、例えばディーゼルエンジンである。なお、駆動源10は、ガソリンエンジン、電動機等でも構わない。駆動源10の出力軸11には、ダンパ20の入力側部材21が接続されている。なお、以下において、駆動源10はディーゼルエンジンであるとして説明を行う。
ダンパ20は、入力側部材21と、出力側部材22と、入力側部材21と出力側部材22とを弾性的に連結する弾性連結部材23とを備える。ダンパ20の出力側部材22は、差動機構30の入力軸31と接続されている。ダンパ20は、駆動源10の発生する回転振動が差動機構30に伝達されるのを抑制する機能を有する。ダンパ20の構造は一般的なダンパの構造と同様であるため、詳細な説明を省略する。
差動機構30は、円周方向に等配に設けられた複数のベベルギヤ32、第1差動出力ギヤ33および第2差動出力ギヤ34を備えている。ベベルギヤ32は、図1に示すように、入力軸31に相対回転可能に軸支されている。第1差動出力ギヤ33は、第1ポンプモータ41の第1入出力軸41aの前端に設けられている。第2差動出力ギヤ34は、差動出力軸35の前端に設けられている。
差動出力軸35は、第1入出力軸41aと同軸かつ第1入出力軸41aの外周側に設けられた円筒状の部材である。差動出力軸35の後端には、第1ギヤ36が設けられている。差動出力軸35は、不図示の軸受を介して、第1入出力軸41aに軸支されている。第1ギヤ36は、第2ポンプモータ42の第2入出力軸42aの前端に設けられた第2ギヤ37と噛合している。
なお、本実施形態では、第1差動出力ギヤ33の歯数は、第2差動出力ギヤ34の歯数と同一である。また、第1ギヤ36の歯数は、第2ギヤ37の歯数と同一である。差動機構30の構造は一般的なベベルギヤ型差動機構の構造と同様であるため、詳細な説明を省略する。
油圧変速部40は、第1ポンプモータ41と、第2ポンプモータ42と、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42を油圧接続する閉回路43とからなる。なお、閉回路43の構成については一般的なHST閉回路と同様であるため、図1では、閉回路43における構成部品(チャージポンプ、チャージ油路、リリーフ油路、バイパス油路等)を省略している。
第1ポンプモータ41は、押し除け容積をゼロから正負の両方向に変化させることのできる、いわゆる両振り型のポンプモータである。第1ポンプモータ41の第1入出力軸41aは、第1ポンプモータ41を前から後へ貫通している。なお、第1ポンプモータ41は、本発明の「他方の可変容量型ポンプモータ」に相当する。
ここで、第1ポンプモータ41の構造について、図2を参照して詳細に説明する。第1ポンプモータ41は、複数のシリンダ44を備える。図2には、第1ポンプモータ41における1つのシリンダ44が描かれている。なお、シリンダ44は、本発明の「作動油室」に相当する。
シリンダ44は、低圧側逆止弁45を介して低圧側油路43bと接続されるとともに、高圧側逆止弁46を介して高圧側油路43aと接続されている。シリンダ44には、ピストン44aが設けられている。
ピストン44aの下端付近は、リンク機構44bを介してクランク軸44cと接続されている。リンク機構44bは、クランク軸44cの回転運動をピストン44aの上下運動に変換する。また、逆に、リンク機構44bは、ピストン44aの上下運動を、クランク軸44cの回転運動に変換する。
クランク軸44cは、第1入出力軸41aと接続されている。そして、クランク軸44cの回転運動に基づいてピストン44aがシリンダ44内で上下運動することにより、シリンダ44内の容積が周期的に変化する。
低圧側逆止弁45は、第1の弁座45aと、第1の弁体45bと、第1の弁体45bを第1の弁座45aから離間させる方向へ押圧する第1のスプリング45cとを有する。低圧側逆止弁45は、例えばポペットバルブである。なお、低圧側逆止弁45は、本発明の「第1逆止弁」に相当する。
また、低圧側逆止弁45は、所望のタイミングで閉弁可能に構成されている。具体的には、低圧側逆止弁45に、制御装置80からの制御信号により第1の弁体45bを第1の弁座45aへ着座させる第1のソレノイド45dが設けられている。なお、第1のソレノイド45dは、本発明の「第1アクチュエータ」に相当する。
第1のソレノイド45dは、制御装置80から電力を供給されている間だけ、第1の弁体45bを第1の弁座45aへ着座させる。制御装置80には、クランク角検出センサ44dにより検出されたクランク軸44cの回転角度が入力される。制御装置80は、入力されたクランク軸44cの回転角度に基づいて、第1のソレノイド45dを制御して、第1の弁体45bを第1の弁座45aへ着座させる。
高圧側逆止弁46は、第2の弁座46aと、第2の弁体46bと、第2の弁体46bを第2の弁座46aに着座させる方向へ付勢する第2のスプリング46cとを有する。高圧側逆止弁46は、例えばポペットバルブである。なお、高圧側逆止弁46は、本発明の「第2逆止弁」に相当する。
また、高圧側逆止弁46は、所定のタイミングで開弁する。さらに、高圧側逆止弁46は、開弁状態を維持可能に構成されている。具体的には、高圧側逆止弁46には、第2の弁座46aから離間した第2の弁体46bの離間状態を保持する第2のソレノイド46dが設けられている。第2のソレノイド46dは、制御装置80からの制御信号により制御される。なお、第2のソレノイド46dは、本発明の「第2アクチュエータ」に相当する。
第2のソレノイド46dは、制御装置80から電力を供給されている間だけ、第2の弁体46bを第2の弁座46aから離間させる。制御装置80は、クランク軸44cの回転角度に基づいて、第2のソレノイド46dを制御して、第2の弁体46bを第2の弁座46aから離間させる。
上述のとおり、第1ポンプモータ41は、複数のシリンダ44を備えている。そのため、複数のシリンダ44のうち、一部のシリンダ44について、低圧側逆止弁45を常に開弁、かつ高圧側逆止弁46を常に閉弁状態とすることで、単位時間あたりの作動油の吐出量を調整することができる(換言すれば、押し除け容積をゼロ容積〜最大容積まで調整することができる)。
図1に戻って、第2ポンプモータ42は、押し除け容積をゼロから正負の両方向に変化させることのできる、いわゆる両振り型のポンプモータである。第2ポンプモータ42の第2入出力軸42aは、第2ポンプモータ42を前から後へ貫通している。なお、第2ポンプモータ42は、本発明の「一方の可変容量型ポンプモータ」に相当する。
なお、本実施形態では、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42は同形式のものを用いている。また、第1ポンプモータ41の最大押し除け容積は、第2ポンプモータ42の最大押し除け容積と等しい。
有段変速部50は、第1入出力軸41aと、第1入出力軸41aと平行に配置された第2入出力軸42aと、副軸51と、出力軸52とを備えている。なお、第1入出力軸41aは、本発明の「他方の可変容量型ポンプモータの入出力軸」に相当する。また、第2入出力軸42aは、本発明の「一方の可変容量型ポンプモータの入出力軸」に相当する。
第1入出力軸41aの前端には、上述のとおり、差動機構30の第1差動出力ギヤ33が設けられている。
第1入力ギヤ41bは、第1入出力軸41aの後端側に、第1入出力軸41aと一体回転するように設けられている。また、第2入力ギヤ41cは、第1入力ギヤ41bの後側(換言すれば、第1入出力軸41aの後端)に、第1入出力軸41aと一体回転するように設けられている。
第2入出力軸42aの前端には、上述のとおり、差動機構30の第2ギヤ37が設けられている。また、第2入出力軸42aの後端には、第2入力ハブ42bが、第2入出力軸42aと一体回転するように設けられている。
第3入力ギヤ42cは、第2入出力軸42aと一体回転するように設けられている。第3入力ギヤ42cは、第2ポンプモータ42と第2入力ハブ42bとの間に設けられている。第3入力ギヤ42cは、第1副ギヤ51a(後述する)と噛合している。
副軸51は、第1入出力軸41aと同軸かつ第1入出力軸41aの外周側に設けられた円筒状の部材である。副軸51の前端には第1副ギヤ51aが設けられ、副軸51の中間部には第2副ギヤ51bが設けられ、副軸51の後端には第3副ギヤ51cが設けられている。
出力軸52の前端には、第1出力ハブ52aが、出力軸52と一体回転するように設けられている。出力軸52の中間部には、第2出力ハブ52bが、出力軸52と一体回転するように設けられている。出力軸52の後端側には、第3出力ハブ52cが、出力軸52と一体回転するように設けられている。
第1出力ギヤ52dは、出力軸52の外周側に、出力軸52に対して相対回転可能に設けられている。第1出力ギヤ52dは、第1出力ハブ52aの後側かつ第2出力ハブ52bの前側に設けられている。第1出力ギヤ52dは、第2副ギヤ51bと噛合している。
第2出力ギヤ52eは、出力軸52の外周側に、出力軸52に対して相対回転可能に設けられている。第2出力ギヤ52eは、第2出力ハブ52bの後側に設けられている。第2出力ギヤ52eは、第3副ギヤ51cと噛合している。
第3出力ギヤ52fは、出力軸52の外周側に、出力軸52に対して相対回転可能に設けられている。第3出力ギヤ52fは、第2出力ギヤ52eの後側かつ第3出力ハブ52cの前側に設けられている。第3出力ギヤ52fは、第1入力ギヤ41bと噛合している。
第4出力ギヤ52gは、出力軸52の外周側に、出力軸52に対して相対回転可能に設けられている。第4出力ギヤ52gは、第3出力ハブ52cの後側に設けられている。第4出力ギヤ52gは、第2入力ギヤ41cと噛合している。
有段変速部50には、第2入出力軸42aと出力軸52とを選択的に一体回転可能に連結する第1連結機構71が設けられている。第1連結機構71は、第2入力ハブ42bと、第1出力ハブ52aと、第1スリーブ72とを備えている。
第1スリーブ72は、第1出力ハブ52aの外周側に、第1出力ハブ52aと一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に設けられている。第1スリーブ72が図1に示す後位置の場合、第2入出力軸42aと出力軸52とは相対回転可能である。
第1スリーブ72を前位置とすることで、出力軸52は、第2入出力軸42aと一体に回転する。本実施形態では、第1連結機構71として一般的なシンクロナイザ方式のものを使用している。シンクロナイザ方式の連結機構は公知であるため、詳細な説明は省略する。なお、第1連結機構71は、本発明の「第2の係合機構」に相当する。
有段変速部50には、第1出力ギヤ52dまたは第2出力ギヤ52eと出力軸52とを選択的に一体回転可能に連結する第2連結機構73が設けられている。第2連結機構73は、第1出力ギヤ52dと一体に設けられた第1出力クラッチギヤ52hと、第2出力ハブ52bと、第2出力ギヤ52eと一体に設けられた第2出力クラッチギヤ52jと、第2スリーブ74とを備えている。
第2スリーブ74は、第2出力ハブ52bの外周側に、第2出力ハブ52bと一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に設けられている。第2スリーブ74が図1に示す中央位置の場合、第1出力ギヤ52dと出力軸52とは相対回転可能である。また、第2スリーブ74が図1に示す中央位置の場合、第2出力ギヤ52eと出力軸52とは相対回転可能である。
第2スリーブ74を前位置とすることで、出力軸52は、第1出力ギヤ52dと一体に回転する。また、第2スリーブ74を後位置とすることで、出力軸52は、第2出力ギヤ52eと一体に回転する。なお、第2連結機構73は、本発明の「第2の係合機構」に相当する。
有段変速部50には、第3出力ギヤ52fまたは第4出力ギヤ52gと出力軸52とを選択的に一体回転可能に連結する第3連結機構75が設けられている。第3連結機構75は、第3出力ギヤ52fと一体に設けられた第3出力クラッチギヤ52kと、第3出力ハブ52cと、第4出力ギヤ52gと一体に設けられた第4出力クラッチギヤ52mと、第3スリーブ76とを備えている。
第3スリーブ76は、第3出力ハブ52cの外周側に、第3出力ハブ52cと一体回転可能かつ軸方向に相対移動可能に設けられている。第3スリーブ76が図1に示す中央位置の場合、第3出力ギヤ52fと出力軸52とは相対回転可能である。また、第3スリーブ76が図1に示す中央位置の場合、第4出力ギヤ52gと出力軸52とは相対回転可能である。
第3スリーブ76を前位置とすることで、出力軸52は、第3出力ギヤ52fと一体に回転する。また、第3スリーブ76を後位置とすることで、出力軸52は、第4出力ギヤ52gと一体に回転する。なお、第3連結機構75は、本発明の「第1の係合機構」に相当する。
制御装置80は、駆動源10、油圧変速部40(第1ポンプモータ41、第2ポンプモータ42)、有段変速部50(第1スリーブ72、第2スリーブ74、第3スリーブ76)の制御を行う。
次に、図3を参照して、有段変速部50の動作について説明する。図3は、有段変速部50の状態と、各スリーブ72、74および76の動作状態との関係を示す図表である。
第1スリーブ72が後位置とされ、第2スリーブ74が前位置とされ、第3スリーブ76が中央位置とされる状態を、「第1伝動状態」という。第1伝動状態では、第2入出力軸42aの回転が、第3入力ギヤ42c、第1副ギヤ51a、第2副ギヤ51bおよび第1出力ギヤ52dを経由して出力軸52へ伝達される。
第1スリーブ72が後位置とされ、第2スリーブ74が前位置とされ、第3スリーブ76が前位置とされる状態を、「第1中間伝動状態」という。
第1中間伝動状態では、第2入出力軸42aの回転が、第3入力ギヤ42c、第1副ギヤ51a、第2副ギヤ51bおよび第1出力ギヤ52dを経由して出力軸52へ伝達されるとともに、第1入出力軸41aの回転が、第1入力ギヤ41bおよび第3出力ギヤ52fを経由して出力軸52へ伝達される。
また、第1中間伝動状態では、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の押し除け容積が調整され、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42が仕事をしないようにされる(詳細は後述する)。
第1中間伝動状態は、第1伝動状態から第2伝動状態への切り替え、または第2伝動状態から第1伝動状態への切り替えが行われる際に一時的に成立させられる。また、第1中間伝動状態は、車両1を第1固定速度比で継続的に走行させる場合に成立させられる。
第1スリーブ72が後位置とされ、第2スリーブ74が中央位置とされ、第3スリーブ76が前位置とされる状態を、「第2伝動状態」という。第2伝動状態では、第1入出力軸41aの回転が、第1入力ギヤ41bおよび第3出力ギヤ52fを経由して出力軸52へ伝達される。
第1スリーブ72が後位置とされ、第2スリーブ74が後位置とされ、第3スリーブ76が前位置とされる状態を、「第2中間伝動状態」という。第2中間伝動状態では、第1入出力軸41aの回転が、第1入力ギヤ41bおよび第3出力ギヤ52fを経由して出力軸52へ伝達されるとともに、第2入出力軸42aの回転が、第3入力ギヤ42c、第1副ギヤ51a、第3副ギヤ51cおよび第2出力ギヤ52eを経由して出力軸52へ伝達される。
また、第2中間伝動状態では、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の押し除け容積が調整され、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42が仕事をしないようにされる。
第2中間伝動状態は、第2伝動状態から第3伝動状態への切り替え、または第3伝動状態から第2伝動状態への切り替えが行われる際に一時的に成立させられる。また、第2中間伝動状態は、車両1を第2固定速度比で継続的に走行させる場合に成立させられる。なお、第2固定速度比は、第1固定速度比よりも高速度比である。
第1スリーブ72が後位置とされ、第2スリーブ74が後位置とされ、第3スリーブ76が中央位置とされる状態を、「第3伝動状態」という。第3伝動状態では、第2入出力軸42aの回転が、第3入力ギヤ42c、第1副ギヤ51a、第3副ギヤ51cおよび第2出力ギヤ52eを経由して出力軸52へ伝達される。
第1スリーブ72が後位置とされ、第2スリーブ74が後位置とされ、第3スリーブ76が後位置とされる状態を、「第3中間伝動状態」という。第3中間伝動状態では、第2入出力軸42aの回転が、第3入力ギヤ42c、第1副ギヤ51a、第3副ギヤ51cおよび第2出力ギヤ52eを経由して出力軸52へ伝達されるとともに、第1入出力軸41aの回転が、第2入力ギヤ41cおよび第4出力ギヤ52gを経由して出力軸52へ伝達される。
また、第3中間伝動状態では、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の押し除け容積が調整され、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42が仕事をしないようにされる。
第3中間伝動状態は、第3伝動状態から第4伝動状態への切り替え、または第4伝動状態から第3伝動状態への切り替えが行われる際に一時的に成立させられる。また、第3中間伝動状態は、車両1を第3固定速度比で継続的に走行させる場合に成立させられる。なお、第3固定速度比は、第2固定速度比よりも高速度比である。
第1スリーブ72が後位置とされ、第2スリーブ74が中央位置とされ、第3スリーブ76が後位置とされる状態を、「第4伝動状態」という。第4伝動状態では、第1入出力軸41aの回転が、第2入力ギヤ41cおよび第4出力ギヤ52gを経由して出力軸52へ伝達される。
第1スリーブ72が前位置とされ、第2スリーブ74が中央位置とされ、第3スリーブ76が後位置とされる状態を、「第4中間伝動状態」という。第4中間伝動状態では、第1入出力軸41aの回転が、第2入力ギヤ41cおよび第4出力ギヤ52gを経由して出力軸52へ伝達されるとともに、第2入出力軸42aの回転が出力軸52へ直接伝達される。
また、第4中間伝動状態では、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の押し除け容積が調整され、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42が仕事をしないようにされる。
第4中間伝動状態は、第4伝動状態から第5伝動状態への切り替え、または第5伝動状態から第4伝動状態への切り替えが行われる際に一時的に成立させられる。また、第4中間伝動状態は、車両1を第4固定速度比で継続的に走行させる場合に成立させられる。なお、第4固定速度比は、第3固定速度比よりも高速度比である。
第1スリーブ72が前位置とされ、第2スリーブ74が中央位置とされ、第3スリーブ76が中央位置とされる状態を、「第5伝動状態」という。第5伝動状態では、第2入出力軸42aの回転が出力軸52へ直接伝達される。
本実施形態では、第3入力ギヤ42c、第1副ギヤ51a、第2副ギヤ51bおよび第1出力ギヤ52dの歯数は、第1伝動状態において、第2入出力軸42aの回転を減速して出力軸52に伝達するように、設定されている。また、第1入力ギヤ41bおよび第3出力ギヤ52fの歯数は、第2伝動状態において、第1入出力軸41aの回転を減速して出力軸52に伝達するように、設定されている。また、第3入力ギヤ42c、第1副ギヤ51a、第3副ギヤ51cおよび第2出力ギヤ52eの歯数は、第3伝動状態において、第2入出力軸42aの回転を減速して出力軸52に伝達するように、設定されている。また、第2入力ギヤ41cおよび第4出力ギヤ52gの歯数は、第4伝動状態において、第1入出力軸41aの回転を減速して出力軸52に伝達するように、設定されている。
第1伝動状態における変速比(第2入出力軸42aの回転数/出力軸52の回転数)をα1、第2伝動状態における変速比(第1入出力軸41aの回転数/出力軸52の回転数)をα2、第3伝動状態における変速比(第2入出力軸42aの回転数/出力軸52の回転数)をα3、第4伝動状態における変速比(第1入出力軸41aの回転数/出力軸52の回転数)をα4とすると、α1>α2>α3>α4>1である。なお、α1、α2および1(直結)の関係はこれに限定されない。具体的には、例えば、α1<α2<α3<α4<1とすることも可能である。
さらに、本実施形態では、有段変速部50は、上述の各変速状態の他に、以下に示す変速状態を取る。第1スリーブ72が後位置とされ、第2スリーブ74が前位置とされ、第3スリーブ76が後位置とされる状態を、「第5中間伝動状態」という。第5中間伝動状態では、第2入出力軸42aの回転が、第3入力ギヤ42c、第1副ギヤ51a、第2副ギヤ51bおよび第1出力ギヤ52dを経由して出力軸52へ伝達されるとともに、第1入出力軸41aの回転が、第2入力ギヤ41cおよび第4出力ギヤ52gを経由して出力軸52へ伝達される。
また、第5中間伝動状態では、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の押し除け容積が調整され、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42が仕事をしないようにされる。第5中間伝動状態は、車両1を第5固定速度比で継続的に走行させる場合に成立させられる。なお、第5固定速度比は、第1固定速度比よりも高速度比である。
また、第1スリーブ72が前位置とされ、第2スリーブ74が中央位置とされ、第3スリーブ76が前位置とされる状態を、「第6中間伝動状態」という。第6中間伝動状態では、第1入出力軸41aの回転が、第1入力ギヤ41bおよび第3出力ギヤ52fを経由して出力軸52へ伝達されるとともに、第2入出力軸42aの回転が出力軸52へ直接伝達される。
また、第6中間伝動状態では、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の押し除け容積が調整され、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42が仕事をしないようにされる。第6中間伝動状態は、車両1を第6固定速度比で継続的に走行させる場合に成立させられる。なお、第6固定速度比は、第2固定速度比よりも高速度比である。
次に、図4を参照して、変速動作について説明する。図4は、速度比と押し除け容積との関係を示す図である。
車両1の発進は、第1伝動状態で行われる。この場合、第1ポンプモータ41はポンプとして動作し、第2ポンプモータ42はモータとして動作する。なお、以下の説明において、「ポンプとして動作」および「モータとして動作」は、駆動源10により車両1が駆動されている場合(すなわち、タイヤが正の仕事をしている場合)における第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の役割をいう。車両1が車輪側から駆動されている場合(すなわち、エンジンブレーキを掛ける場合)には、ポンプおよびモータの役割は逆転する。
車両1を発進させるには、第2ポンプモータ42の押し除け容積を最大に保持した状態で、ポンプとして動作する第1ポンプモータ41の押し除け容積を、ゼロから徐々に増大させていく。こうすることで、図4に示すように、速度比(出力軸52の回転数Nout/駆動源10の回転数Nin)がゼロから上昇していく。
なお、このとき、第1ポンプモータ41から第2ポンプモータ42への吐出圧が一定となるようにエンジンのトルクを制御した場合(すなわち、増加するポンプ側押し退け容積に合わせてエンジンのトルクを増加させた場合)には、第2ポンプモータ42が発生するトルクは一定となる。また、差動歯車から第2ポンプモータ42の第2入出力軸42aへ伝達されるトルクは増加する。したがって、出力軸52に伝わるトルクは増大する。
第1ポンプモータ41の押し除け容積が最大になると、第1ポンプモータ41の押し除け容積を最大に保持した状態で、モータとして動作する第2ポンプモータ42の押し除け容積をゼロに向けて徐々に減少させていく。こうすることで、速度比はさらに上昇していく。
第2ポンプモータ42の押し除け容積を徐々に減少させていき、第2ポンプモータ42の押し除け容積がQ1となると、第3出力ハブ52cの回転数(すなわち、出力軸52の回転数)と、第3出力ギヤ52fの回転数とが一致する。第1伝動状態から第1中間伝動状態への変速は、このタイミングで行われる。
さらに、第1中間伝動状態から第2伝動状態への変速が行われる。第2伝動状態への変速が完了することで、第1伝動状態においてポンプとして動作していた第1ポンプモータ41がモータとして動作し、モータとして動作していた第2ポンプモータ42がポンプとして動作することになる。
続いて、第1ポンプモータ41の押し除け容積を最大に保持した状態で、ポンプとして動作する第2ポンプモータ42の押し除け容積を、Q1から徐々に増大させていく。こうすることで、速度比がさらに上昇していく。
第2ポンプモータ42の押し除け容積が最大になると、第2ポンプモータ42の押し除け容積を最大に保持した状態で、モータとして動作する第1ポンプモータ41の押し除け容積をゼロに向けて徐々に減少させていく。こうすることで、速度比がさらに上昇していく。
第1ポンプモータ41の押し除け容積を徐々に減少させていき、第1ポンプモータ41の押し除け容積がQ2となると、第2出力ハブ52bの回転数(すなわち、出力軸52の回転数)と、第2出力ギヤ52eの回転数とが一致する。第2伝動状態から第2中間伝動状態への変速は、このタイミングで行われる。
さらに、第2中間伝動状態から第3伝動状態への変速が行われる。第3伝動状態への変速が完了することで、第2伝動状態においてポンプとして動作していた第2ポンプモータ42がモータとして動作し、モータとして動作していた第1ポンプモータ41がポンプとして動作することになる。
続いて、第2ポンプモータ42の押し除け容積を最大に保持した状態で、ポンプとして動作する第1ポンプモータ41の押し除け容積を、Q2から徐々に増大させていく。こうすることで、速度比がさらに上昇していく。
第1ポンプモータ41の押し除け容積が最大になると、第1ポンプモータ41の押し除け容積を最大に保持した状態で、モータとして動作する第2ポンプモータ42の押し除け容積をゼロに向けて徐々に減少させていく。こうすることで、速度比がさらに上昇していく。
第2ポンプモータ42の押し除け容積を徐々に減少させていき、第2ポンプモータ42の押し除け容積がQ3となると、第3出力ハブ52cの回転数(すなわち、出力軸52の回転数)と、第4出力ギヤ52gの回転数とが一致する。第3伝動状態から第3中間伝動状態への変速は、このタイミングで行われる。
さらに、第3中間伝動状態から第4伝動状態への変速が行われる。第4伝動状態への変速が完了することで、第3伝動状態においてポンプとして動作していた第1ポンプモータ41がモータとして動作し、モータとして動作していた第2ポンプモータ42がポンプとして動作することになる。
続いて、第1ポンプモータ41の押し除け容積を最大に保持した状態で、ポンプとして動作する第2ポンプモータ42の押し除け容積を、Q3から徐々に増大させていく。こうすることで、速度比がさらに上昇していく。
第2ポンプモータ42の押し除け容積が最大になると、第2ポンプモータ42の押し除け容積を最大に保持した状態で、モータとして動作する第1ポンプモータ41の押し除け容積をゼロに向けて徐々に減少させていく。こうすることで、速度比がさらに上昇していく。
第1ポンプモータ41の押し除け容積を徐々に減少させていき、第1ポンプモータ41の押し除け容積がQ4となると、第1出力ハブ52aの回転数(すなわち、出力軸52の回転数)と、第2入力ハブ42bの回転数とが一致する。第4伝動状態から第4中間伝動状態への変速は、このタイミングで行われる。
さらに、第4中間伝動状態から第5伝動状態への変速が行われる。第5伝動状態への変速が完了することで、第2伝動状態においてポンプとして動作していた第2ポンプモータ42がモータとして動作し、モータとして動作していた第1ポンプモータ41がポンプとして動作することになる。
続いて、第2ポンプモータ42の押し除け容積を最大に保持した状態で、ポンプとして動作する第1ポンプモータ41の押し除け容積を、Q4から徐々に増大させていく。こうすることで、速度比がさらに上昇していく。
第1ポンプモータ41の押し除け容積が最大になると、第1ポンプモータ41の押し除け容積を最大に保持した状態で、モータとして動作する第2ポンプモータ42の押し除け容積をゼロに向けて徐々に減少させていく。こうすることで、速度比がさらに上昇していく。そして、第2ポンプモータ42の押し除け容積が略ゼロとなるまで、速度比は上昇していく。
なお、速度比を減少させる場合も同様であり、第5伝動状態から各中間伝動状態を経由して第1伝動状態までの変速が順次行われる。
次に、第1伝動状態から第5中間伝動状態への変速について説明する。第5中間伝動状態を作り出すためには、第1伝動状態において、ポンプとして動作する第1ポンプモータ41の押し除け容積を最大に保持した状態で、モータとして動作する第2ポンプモータ42の押し除け容積を徐々に減少させていく。
第2ポンプモータ42の押し除け容積がQ1を下回ってQ5まで達すると、第3出力ハブ52cの回転数(すなわち、出力軸52の回転数)と、第4出力ギヤ52gの回転数とが一致する。第1伝動状態から第5中間伝動状態への変速は、このタイミングで行われる。具体的には、第3スリーブ76を後位置に移動させる。
これにより、駆動源10からの動力は、第2入出力軸42aから、第3入力ギヤ42c、第1副ギヤ51a、第2副ギヤ51bおよび第1出力ギヤ52dを経由して出力軸52に伝達されるとともに、第1入出力軸41aから、第2入力ギヤ41cおよび第4出力ギヤ52gを経由して出力軸52に伝達される。
第5中間伝動状態では、駆動源10からの動力は、油圧変速部40において油圧に変換されることなく、第1入出力軸41aおよび第2入出力軸42aから出力軸52へ出力される。そのため、第5中間伝動状態では、伝達効率が高い。
さらに、第5中間伝動状態になると、制御装置80は、低圧側逆止弁45を開弁させるとともに高圧側逆止弁46を閉弁させ、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の押し除け容積を瞬時にゼロとする。
これにより、第5中間伝動状態では、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42は仕事をしないことになり、駆動源10からの動力を高効率で出力軸52へ伝達することができる。また、上述のとおり、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42に逆止弁を用いているので、押し除け容積をゼロとした際の作動油の漏れがなく、効率をさらに高めることができる。
次に、第2伝動状態から第6中間伝動状態への変速について説明する。第6中間伝動状態を作り出すためには、第2伝動状態において、ポンプとして動作する第2ポンプモータ42の押し除け容積を最大に保持した状態で、モータとして動作する第1ポンプモータ41の押し除け容積を徐々に減少させていく。
第1ポンプモータ41の押し除け容積がQ2を下回ってQ6まで達すると、第1出力ハブ52aの回転数(すなわち、出力軸52の回転数)と、第2入力ハブ42bの回転数(すなわち、第2入出力軸42aの回転数)とが一致する。第2伝動状態から第6中間伝動状態への変速は、このタイミングで行われる。具体的には、第1スリーブ72を前位置に移動させる。
これにより、駆動源10からの動力は、第1入出力軸41aから、第1入力ギヤ41bおよび第3出力ギヤ52fを経由して出力軸52に伝達されるとともに、第2入出力軸42aから、直接出力軸52に伝達される。
第6中間伝動状態における第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の制御内容は、第5中間伝動状態と同様であるので、説明を省略する。また、第6中間伝動状態を成立させることによる作用および効果についても、第5中間伝動状態と同様であるので、説明を省略する。
次に、第1伝動状態から第5中間伝動状態へ移行する動作の一例について、図5のタイムチャートを参照して説明する。図5において、横軸は時間であり、縦軸は回転数である。なお、図5に示す例では、理解を容易にするため、駆動源10の回転数は一定であるとして説明を行う。
時刻t0において、第1ポンプモータ41の押し除け容積はゼロ、第2ポンプモータ42の押し除け容積は最大である。ここから、第1ポンプモータ41の押し除け容積を増大させていくと、図5に示すように、第2入出力軸42aの回転数および出力軸52の回転数(=第2入出力軸42a(第2ポンプモータ42)の回転数/α1)が上昇していく。
一方、本実施形態において、第1入出力軸41aの回転数と、第2入出力軸42aの回転数との間には、((第1入出力軸41aの回転数+第2入出力軸42aの回転数)/2=駆動源10の回転数)の関係が成り立つ。そのため、第1入出力軸41aの回転数および第4出力ギヤ52gの回転数(=第1入出力軸41a(第1ポンプモータ41)の回転数/α4)が低下していく。
そして、時刻t1で、出力軸52の回転数と第4出力ギヤ52gの回転数とが一致し、第3スリーブ76が後位置へ移動される。これにより、時刻t1以降、出力軸52の回転数は、駆動源10の回転数を一定の減速比で除した値となる。図5に示す例では、駆動源10の回転数は一定であるので、出力軸52の回転数も一定となる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1連結機構71または第2連結機構73と、第3連結機構75とを同時に係合させる中間伝動状態を形成するようにした。
これにより、中間伝動状態では、駆動源10からの動力を、機械式伝達経路のみを経由して出力軸52へ伝達することができる。そのため、駆動源10からの動力を、油圧変速部40において油圧に変換することなく、出力軸52へ出力することができ、伝達効率を高くすることが可能となる。
また、本実施形態によれば、複数の中間伝動状態を作り出すことができる。そのため、車速に応じて複数の中間伝動状態のいずれかを選択することで、駆動源10の運転効率が高い状態で車両1を走行させることが可能となる。
さらに、中間伝動状態において、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の押し除け容積をゼロとし、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42が仕事をしないようにした。そのため、駆動源10からの動力を、高効率で出力軸52へ伝達することができる。
さらにまた、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42として、シリンダ44と低圧側油路43bとの間に設けられた低圧側逆止弁45の開閉を、第1のソレノイド45dによって制御可能とするとともに、シリンダ44と高圧側油路43aとの間に設けられた高圧側逆止弁46の開閉を、第2のソレノイド46dによって制御可能とした。
これにより、第1ポンプモータ41および第2ポンプモータ42の押し除け容積を瞬時にゼロとすることができる。また、押し除け容積をゼロとした際の作動油の漏れを防止し、効率をさらに高めることができる。
なお、上述の実施形態では、差動機構を、ベベルギヤ型の差動機構としたが、これに限定されない。差動機構としては、公知の構造を適宜採用し得る。具体的には、例えば、差動機構を遊星歯車機構としてもよい。
また、ポンプモータは、上述の実施形態の形式のものには限定されず、アキシャルピストン型、ラジアルピストン型等、各種の形式のものを採用することができる。
また、上述の実施形態では、有段変速部を、第1入出力軸側を3段、第2入出力軸側を2段とし、計5段としたが、これに限定されない。具体的には、例えば、第1入出力軸を3段、第1入出力軸側を3段としてもよいし、更に多段化してもよい。
本発明の変速制御装置は、定速走行を行う車両に好適に用いられる。
1 車両
2 変速機
10 駆動源
11 出力軸
20 ダンパ
21 入力側部材
22 出力側部材
23 弾性連結部材
30 差動機構
31 入力軸
32 ベベルギヤ
33 第1差動出力ギヤ
34 第2差動出力ギヤ
35 差動出力軸
36 第1ギヤ
37 第2ギヤ
40 油圧変速部
41 第1ポンプモータ
41a 第1入出力軸
41b 第1入力ギヤ
41c 第2入力ギヤ
42 第2ポンプモータ
42a 第2入出力軸
42b 第2入力ハブ
42c 第3入力ギヤ
43 閉回路
44 シリンダ
44a ピストン
44b リンク機構
44c クランク軸
44d クランク角検出センサ
45 低圧側逆止弁
45a 第1の弁座
45b 第1の弁体
45c 第1のスプリング
45d 第1のソレノイド
46 高圧側逆止弁
46a 第2の弁座
46b 第2の弁体
46c 第2のスプリング
46d 第2のソレノイド
50 有段変速部
51 副軸
51a 第1副ギヤ
51b 第2副ギヤ
51c 第3副ギヤ
52 出力軸
52a 第1出力ハブ
52b 第2出力ハブ
52c 第3出力ハブ
52d 第1出力ギヤ
52e 第2出力ギヤ
52f 第3出力ギヤ
52g 第4出力ギヤ
52h 第1出力クラッチギヤ
52j 第2出力クラッチギヤ
52k 第3出力クラッチギヤ
52m 第4出力クラッチギヤ
61 プロペラシャフト
62 デファレンシャル
63 ドライブシャフト
64 駆動輪
71 第1連結機構
72 第1スリーブ
73 第2連結機構
74 第2スリーブ
75 第3連結機構
76 第3スリーブ
80 制御装置

Claims (4)

  1. 差動機構で2つに分割された駆動源からの動力の一方および他方が入力される一方および他方の可変容量型ポンプモータを閉回路で接続した油圧変速部と、
    前記一方の可変容量型ポンプモータの入出力軸の動力を複数の変速比に変速して出力軸へ出力可能な第1の係合機構、および前記他方の可変容量型ポンプモータの入出力軸の動力を前記複数の変速比とは異なる変速比で前記出力軸へ出力可能な第2の係合機構、を有する有段変速部と、
    前記第1の係合機構および前記第2の係合機構を同時に係合させる制御装置と、を備える
    変速機。
  2. 前記第2の係合機構は、前記他方の可変容量型ポンプモータの入出力軸の動力を複数の変速比に変速して前記出力軸へ出力可能である、
    請求項1に記載の変速機。
  3. 前記第1および第2の係合機構は、機械式係合機構である、
    請求項1または2に記載の変速機。
  4. 前記一方および他方の可変容量型ポンプモータは、
    作動油室と、
    前記作動油室内の容積を変更可能なピストンと、
    作動油が前記作動油室に流入する際に開弁する第1逆止弁と、
    前記第1逆止弁の開閉を制御可能な第1アクチュエータと、
    前記作動油が前記作動油室から流出する際に開弁する第2逆止弁と、
    前記第2逆止弁の開閉を制御可能な第2アクチュエータと、を備える
    請求項1ないし3のいずれか一項に記載の変速機。
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