JP2019041721A - 粉末油脂、これを含有する飲食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、酸化劣化臭が少ない粉末油脂であって、さらに粉末流動性、水分散性、分散後の乳化性に優れ、経時変化後の酸化劣化臭が少ない粉末油脂を提供することである。【解決手段】上記課題を解決するために、食用油脂(A)、食用蛋白質(B)、食用炭水化物(C)、食用酸化防止剤(D)を含有する粉末油脂であって、食用油脂(A)の含有量が25〜85質量%、食用蛋白質(B)の含有量が食用油脂(A)1質量部に対して0.05〜0.5質量部、食用炭水化物(C)の含有量が7〜73.75質量%であり、食用油脂(A)は高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)を含み、食用油脂(A)の脂肪酸組成における高度不飽和脂肪酸の含有量が3〜70質量%であり、食用蛋白質(B)はミセル状カゼイン(b1)を含み、食用蛋白質(B)中におけるミセル状カゼイン(b1)の含有量が20質量%以上である、粉末油脂を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、高度不飽和脂肪酸を含有する粉末油脂に関する。詳しくは、本発明は、酸化劣化臭が少ない粉末油脂であって、さらに粉末流動性、水分散性、乳化性に優れ、経時変化後の酸化劣化臭が少ない粉末油脂に関する。
高度不飽和脂肪酸、例えば、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、α−リノレン酸は、動脈硬化性疾患に対する予防作用を有するなど、その生体調節機能が注目されている。
高度不飽和脂肪酸を摂取するための分子形態として、遊離脂肪酸、エチルエステルなどのアルキルエステル、トリアシルグリセロール、リン脂質、糖脂質があり、そのなかでも食用油脂として一般に食される形態であるトリアシルグリセロールが最も利用しやすい。高度不飽和脂肪酸を高含有するトリアシルグリセロールとして、DHAを多く含むマグロ油やEPAを多く含むイワシ油などの魚油、α−リノレン酸を多く含むシソ油(エゴマ油)やアマニ油などの植物油、藻類由来の油脂などがある。
高度不飽和脂肪酸を高含有する食用油脂の供給形態として、バルク油脂、乳化液、粉末などがある。バルク油脂は、ブレンド油、ドレッシングやマヨネーズなどの調味料、マーガリンやショートニングを通じたパンや焼き菓子などのベーカリー、揚げ油を通じた揚げ物などに利用される。乳化液は、食用油脂が水に均一に広がるために予め乳化された形態で飲料やゼリーなどの水系食品に利用される。
粉末は、食用油脂を粉末状にした形態で、ふりかけや錠剤などのサプリメントに利用され、保存性やハンドリング性などに優れる。粉末の形態としては、多孔質粉末にバルク油脂を吸着させた油脂含有粉末や、乳化液を乾燥して得られる粉末油脂等が挙げられる。粉末油脂は、水分散性、乳化性を有するため、水系食品に利用しやすい乳化液の利便性と、保存性やハンドリング性に優れた粉末の利便性を兼ね備えた最も汎用性に優れた形態といえる。
DHA、EPA、α−リノレン酸のような高度不飽和脂肪酸は酸化されやすく、かつ魚臭や酸敗臭などの酸化劣化臭が強い。そのため、高度不飽和脂肪酸含有油脂を製造する際に精製や脱臭を高度に行うことで酸化劣化臭が抑えられた食用油脂とすることが一般的である。しかし、乳化液や油脂含有粉末、粉末油脂などの供給形態に加工すると高度不飽和脂肪酸含有油脂が異相と接触する界面の面積が、バルク油脂と比べはるかに広くなる。例えば乳化液では高度不飽和脂肪酸含有油脂と溶存酸素を含む水との界面、高度不飽和脂肪酸含有油脂を多孔質粉末に吸着させた油脂含有粉末では気体中の酸素との界面などが実例である。このため高度不飽和脂肪酸含有油脂が酸化のもととなる酸素と接触する頻度がはるかに高くなり、酸化劣化が進みやすくなり、酸化劣化臭を引き起こしやすくなる。粉末油脂では、乳化による界面の拡大と粉末化による気体中の酸素との接触頻度の高まりにより、さらに酸化抑制が困難になる。
高度不飽和脂肪酸含有油脂を粉末油脂化する技術としては、ツェインとともに加熱しながら混合・混練処理し固化する技術(特許文献1)、可食性多孔質単体内に吸着させて被覆剤で被覆する技術(特許文献2)、特定の乾燥原料と混合し合一させる技術(特許文献3)が提案されている。しかし、高度不飽和脂肪酸含有油脂を粉末等の乾燥原料と混合・混練・吸着することは界面を単純に増加させるだけであり、被覆や乾燥原料の特定では酸化抑制し酸化劣化臭を低減するには不十分である。また乳化性は考慮されていないため、水系の食品では利用しにくい。
水系エマルジョンを経て高度不飽和脂肪酸含有油脂を粉末油脂化する技術としては、複合コアセルベーションにより皮膜形成物質でマイクロカプセル化する技術(特許文献4)、ゼラチンとトランスグルタミナーゼなどで架橋被覆する技術(特許文献5)が提案されている。しかし、これらの技術は特殊な製造方法によるため汎用性が低く高価となり、さらに乳化性は考慮されていないため、水系の食品では利用しにくい。
高度不飽和脂肪酸含有油脂の粉末油脂化における酸化防止については、糖アルコールを共存させる(特許文献6、7)等、酸化防止剤の類似機能を有する成分を加えることにより酸化劣化臭を抑える技術が提案されている。しかし、これら物質の添加では、酸化防止剤による酸化抑制を越える効果はなく、その効果は不十分である。また共存させる物質の性質により、粉末流動性、水分散性、乳化性が損なわれる可能性がある。
その他、特許文献8〜10には乳蛋白質の加水分解物、特許文献11には各種合成乳化剤を用いて粉末油脂を調製する技術が開示されているが、これらの技術では酸化劣化臭を抑えることができない。また、特許文献12にはカゼインまたはその塩を用いて粉末油脂を調製する技術が開示されている。この技術によれば、酸化劣化臭が低減されるが、さらなる酸化劣化臭の低減や、経時的な酸化劣化臭の発生の抑制についての解決は得られない。
以上より、酸化劣化臭が少ない粉末油脂であって、さらに粉末流動性、水分散性、乳化性に優れ、経時変化後の酸化劣化臭が少ない粉末油脂が求められているのである。
特開平6−271892号公報 特開平6−303902号公報 特開2015−209519号公報 特開昭63−23736号公報 WO2013/161346号公報 特開平8−259943号公報 特開平7−259944号公報 特開平3−263499号公報 特開平5−98286号公報 特開平2−305898号公報 特開2010−155799号公報 特開昭60−49097号公報
本発明の目的は、酸化劣化臭が少ない粉末油脂であって、さらに粉末流動性、水分散性、分散後の乳化性に優れ、経時変化後の酸化劣化臭が少ない粉末油脂を提供することである。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意検討を重ねた結果、食用蛋白質としてミセル状カゼインを特定量含有する粉末油脂が上記課題を解決しうることの知見を見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔7〕である。
〔1〕食用油脂(A)、食用蛋白質(B)、食用炭水化物(C)、食用酸化防止剤(D)を含有する粉末油脂であって、
食用油脂(A)の含有量が25〜85質量%、食用蛋白質(B)の含有量が食用油脂(A)1質量部に対して0.05〜0.5質量部、食用炭水化物(C)の含有量が7〜73.75質量%であり、
食用油脂(A)は高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)を含み、食用油脂(A)の脂肪酸組成における高度不飽和脂肪酸の含有量が3〜70質量%であり、
食用蛋白質(B)はミセル状カゼイン(b1)を含み、食用蛋白質(B)中におけるミセル状カゼイン(b1)の含有量が20質量%以上である、粉末油脂。
〔2〕高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)は、α−リノレン酸、EPA、DHAからなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の高度不飽和脂肪酸を有する、〔1〕に記載の粉末油脂。
〔3〕食用蛋白質(B)がさらに、カゼイネート(b2)を含み、食用蛋白質(B)中におけるカゼイネート(b2)の含有量が5〜80質量%である、〔1〕または〔2〕に記載の粉末油脂。
〔4〕食用炭水化物(C)がトレハロース(c1)または還元糖(c2)を含み、食用炭水化物(C)中におけるトレハロース(c1)または還元糖(c2)の含有量が40質量%以上である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の粉末油脂。
〔5〕さらに、食用酸化防止剤(D)として下記の成分(d1)、下記の成分(d2)を含む、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の粉末油脂。
成分(d1):ビタミンCまたは水溶性茶抽出物
成分(d2):ビタミンCの脂肪酸エステル体、ビタミンE、油溶性茶抽出物、油溶性ローズマリー抽出物からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上
〔6〕〔5〕に記載の粉末油脂の製造方法であって、
食用油脂(A)と食用蛋白質(B)と食用炭水化物(C)を混合した水溶液を乳化する乳化工程(P1)と、
前記乳化工程により乳化された乳化液を乾燥機で水分を蒸発させる乾燥工程(P2)と、
食用酸化防止剤(D)を添加する食用酸化防止剤添加工程(P3)と、を備え、
前記食用酸化防止剤添加工程(P3)は、
HLB5以下の乳化剤を用いて、成分(d1)の水溶液を、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂中に乳化してW/O型乳化物を得る工程(P3−1)と、
前記W/O型乳化物を食用油脂(A)に混合する工程(P3−2)と、を含む、粉末油脂の製造方法。
〔7〕〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の粉末油脂を含有する飲食品。
本発明によれば、酸化劣化臭が少ない粉末油脂であって、さらに粉末流動性、水分散性、分散後の乳化性に優れ、経時変化後の酸化劣化臭が少ない粉末油脂を提供することができる。
本発明の粉末油脂は、食用油脂(A)、食用蛋白質(B)、食用炭水化物(C)、食用酸化防止剤(D)を含有する。以下に、本発明の粉末油脂に含有する各成分について詳細に説明する。
[食用油脂(A)]
本発明に用いる食用油脂(A)は、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)を含む油脂組成物であり、食用油脂(A)の脂肪酸組成における高度不飽和脂肪酸の含有量が3〜70質量%である油脂組成物である。その下限値としては、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。3質量%未満だと粉末油脂に含まれる高度不飽和脂肪酸量が少なく栄養補給として価値が低い。なお、本発明における油脂組成物の脂肪酸組成は、基準油脂分析試験法に従って行う。
本発明の粉末油脂における食用油脂(A)の含有量は25〜85質量%であり、好ましくは40〜70質量%であり、より好ましくは50〜60質量%である。食用油脂(A)の含有量が25質量%より少ない場合、粉末油脂中に高度不飽和脂肪酸を高濃度で添加することができない。一方、85質量%を超える場合は、粉末流動性、水分散性、分散後の乳化性が低下する。
(高度不飽和脂肪酸含有油脂(a))
高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)は、その脂肪酸構成として、二重結合を3以上有する高度不飽和脂肪酸を含む油脂である。高度不飽和脂肪酸としては、例えば、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、α−リノレン酸等のn−3系脂肪酸、アラキドン酸、γ−リノレン酸等のn−6系脂肪酸などが例示される。酸化劣化臭が少ない粉末油脂が得られるという本発明の効果を鑑みれば、酸化しやすいn−3系脂肪酸を含有すると、本発明の効果がより発揮される。より好ましい高度不飽和脂肪酸としては、炭素数が20〜22であって、二重結合は好ましくは4個以上であり、より好ましくは5または6個以上である。特に好ましい高度不飽和脂肪酸としては、ドコサヘキサエン酸(DHA;炭素数22、n−3系列で二重結合が6個の直鎖不飽和脂肪酸)やエイコサペンタエン酸(EPA;炭素数20、n−3系列で二重結合が5個の直鎖不飽和脂肪酸)である。
高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)の脂肪酸組成における高度不飽和脂肪酸の含有量は、3質量%以上であり、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。3質量%未満の場合、粉末油脂に含まれる高度不飽和脂肪酸量が結果として少なくなり栄養補給としての価値が低くなる。
本発明に用いる高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)としては、魚油、藻類由来の抽出油、高度不飽和脂肪酸高含有植物油脂、ハープシールオイル(アザラシの油)や、乳脂肪等の動物油脂等が挙げられ、これらの油脂を単独または2種以上を混合して使用することができる。高度不飽和脂肪酸を多く含有することから、魚油、藻類由来の抽出油、高度不飽和脂肪酸高含有植物油脂を含有することが好ましい。特に魚油、藻類由来の抽出油は、長期保存によって強い異臭味が発生するため、本発明の効果がより発揮される。
魚油は、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)を高濃度で含有する食用油脂であり、例えば、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、ニシン油等が挙げられる。
藻類由来の抽出油は、淡水・海産性単細胞藻類、褐藻類海藻等の藻類から抽出された食用油脂である。エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、アラキドン酸等の高度不飽和脂肪酸の多量に含む藻類としては、例えば、モノダス(Monodus)属、イソクリシス(Isochyrsis)属、ナンノクロロプシス(Nannochloropsis)属、フェオダクチラム(Phaeodactylum)属、ポルフィリヂウム(Porphyridium)属、ドナリエラ(Dunaliella)属等の微細藻類や、例えば、コンブ、ワカメ等の褐藻類海藻が挙げられる。
一部の植物油には、高度不飽和脂肪酸を多く含むものがあり、高度不飽和脂肪酸高含有植物油脂としては、例えば、α−リノレン酸を多く含むシソ油(エゴマ油)、亜麻仁油、γ−リノレン酸を多く含む月見草油、ボラージ油等が挙げられる。
(その他の油脂)
さらに、本発明に用いる食用油脂(A)には、脂肪酸組成における高度不飽和脂肪酸の含有量が3〜70質量%となる範囲に限り、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂を含有してもよい。高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂は、食品に使用する油脂であれば特に制限されず、例えば、菜種油、サフラワー油、大豆油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、綿実油、ゴマ油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、カノーラ油、ハイエルシン酸菜種油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油、ハイオレイックヒマワリ油等の植物油脂、牛脂、ラード等の動物油脂、さらにこれらの動植物油脂を分別、水素添加あるいはエステル交換したものまたは中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられる。
[食用蛋白質(B)]
本発明に用いる食用蛋白質(B)は、ミセル状カゼイン(b1)を含有し、食用蛋白質(B)中におけるミセル状カゼイン(b1)の含有量は、20質量%以上である。下限値として、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは60質量%以上である。20質量%未満の場合には、酸化劣化臭を十分に抑制することができない。
本発明に用いる食用蛋白質(B)の含有量は、食用油脂(A)1質量部に対して0.05〜0.5質量部である。好ましくは、0.1〜0.45質量部であり、より好ましくは0.15〜0.2質量部である。0.05質量部未満の場合には、粉末流動性、水分散性、分散後の乳化性の向上、経時変化後の酸化劣化臭発生抑制等の本発明の効果を得ることができない。また、0.5質量部を超えると、乳化工程において乳化液の粘度が高くなり、乳化や噴霧乾燥等の操作ができない。
(ミセル状カゼイン(b1))
一般に粉末油脂において乳化作用を目的にカゼインが広く一般的に使用される。従来使用される「カゼイン」とは、乳蛋白質水溶液を酸性化して、上澄に含まれる酸性可溶のホエイ蛋白質(ラクトアルブミン、ラクトグロブリン、ラクトフェリンなど)を取り除いたものである。また、実質的に流通する「カゼイン」は、この酸性化により分離されたカゼインの沈殿物を、水酸化ナトリウムなどのアルカリにより中性化した塩(カゼイネート)として水溶化したものである。カゼイネートは、塩の種類によって、ナトリウム塩の場合はカゼインナトリウム、カリウム塩の場合はカゼインカリウム、カルシウム塩の場合はカゼインカルシウム、マグネシウムの場合はカゼインマグネシウムとも呼ばれる。
一方で、本発明に用いる「ミセル状カゼイン(b1)」とは、酸性化処理をしていないものである。生乳中に含まれるカゼイン成分は、不溶性リン酸カルシウムなどの架橋構造によりミセル状になっているが(山内文男編著「食品タンパク質の科学」株式会社食品資材研究会p143〜145等を参照)、酸性化処理すると、不溶性リン酸カルシウムなどが水溶化し架橋構造が破壊される。そのため、酸性化処理された「カゼイン」では、ミセル構造が維持されず、ランダムな構造となり、ミセル状のものとは全く異なる物性となる。粉末油脂においてカゼイネートが広範に使用されるのは高い界面活性能を期待してのことであり、この高い界面活性能はランダムな構造が界面で機能し発揮される。一方でミセル状カゼインは、構造が異なるため界面での機能がカゼイネートとは異なり、カゼイネートほどの界面活性能はない。またカゼイネートはランダムな分子鎖が絡まっているため、水溶液の粘度が高いという特徴を有するが、ミセル状カゼインはまとまった球状構造のため、水溶液の粘度が低いという特徴がある。
本発明に用いるミセル状カゼイン(b1)を含有する乳蛋白質としては、ミセルカゼインアイソレート(MCI)、ミルクプロテインコンセントレート(MPC)、トータルミルクプロテイン(TMP)等が挙げられる。MCIは、ミセル状カゼインとホエイ蛋白質の比率が9:1であり、MPC、TMPは、ミセル状カゼインとホエイ蛋白質の比率が8:2である。なお、MPCとTMPは、呼び名の違いであり、原料としての差異はほとんどない。市販のMCIとしては、「ミルカMCI80」(日本新薬製)、「Prodiet85B」(idi製)等が挙げられる。市販のMPC、TMPとしては、「MPC80」(日本新薬製)、「Promilk85y」(idi製)等が挙げられる。これらの中では、ミセル状カゼイン(b1)の含有量の高さから、ミセルカゼインアイソレート(MCI)が好ましい。
本発明に用いるミセル状カゼイン(b1)を得る方法としては、生乳からの酸性化を経ない方法であればいずれでも構わないが、生乳を脱脂した脱脂乳から精密濾過によりホエイ蛋白質や、乳糖や水溶性ミネラルなどその他のホエイ成分を取り除くことが好ましい。精密濾過膜の孔径は一般的に0.05〜10μmである。ホエイ蛋白質は硫黄成分が多く熱変性しやすい性質であるため、粉末油脂の製造過程において熱変性物が生じるおそれがある。ホエイ蛋白質を除去することにより、熱変性物による水分散性の低下を抑えることができ、また、硫黄成分の独特の臭いを抑制することもできる。また乳糖や水溶性ミネラルなどを含むその他のホエイ成分は、乳独特の好ましい香気成分を含むが、広く一般に食品に添加して使用することを目的とする粉末油脂には余計な香気を与えることとなり、除いておくことが好ましい。なおミセル状カゼイン原料中のホエイ蛋白質は20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。またミセル状カゼイン原料中の乳糖は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
本発明の粉末油脂において、ミセル状カゼイン(b1)は必須の構成である。高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)に対してミセル状カゼイン(b1)が効果を奏するメカニズムは実証されてはいないが以下のように推測される。高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)を粉末油脂に加工すると、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)が異相と接触する界面の面積が、バルク油脂と比べて、はるかに広くなる。これは、乳化されることにより高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)が微粒子化され界面領域が増大することに起因する。また粉末化されることにより気体と接触するため、酸化劣化が進みやすくなり、酸化劣化臭を引き起こしやすくなる。粉末油脂は粉末であるため気体との接触面積を小さくすることは限界があるが、乳化界面を工夫することにより高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)が酸素と接触する頻度をコントロールし、酸化を抑制することは可能と考える。ここで一般的な粉末油脂に使用されるカゼイネートとミセル状カゼインの比較を考えると、前述した構造の違いが大きいように思われる。カゼイネートが油脂界面に配位する場合は、ランダムな構造に起因して界面に広く張り付くようなイメージが考えられる。一方でミセル状カゼインが油脂界面に配位する場合は、まとまった球状構造が厚く界面に吸着するイメージである。広く薄く配位するのに比べ、厚く配位するのであれば、酸素が界面を透過する頻度は低くなり、結果として高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)が酸化されることが少なくなるのではないかと考えられる。
また、ミセル状カゼインの水溶液は、粉末油脂において広く一般的に使用されるカゼイネートの水溶液と比較して粘度が低い。水分散性が悪くなる要因のひとつとして、所謂「ダマ」がある。「ダマ」の発生は、粉末を水に投入する際に、粉末の粒子表面に高粘度の糊状物が生じることにより粉末粒子同士が結着されたような状態になると考えられる。ミセル状カゼインを粉末の粒子表面に配位することにより、粒子表面に高粘度の糊状物が生じないため、ミセル状カゼインを含む粉末油脂は水分散性が高いと思われる。
(その他の蛋白質)
さらに、本発明に用いる食用蛋白質(B)には、ミセル状カゼイン(b1)以外の蛋白質を含有してもよい。ミセル状カゼイン(b1)以外の蛋白質としては、食品に使用する蛋白質であれば特に制限されず、例えば、カゼイネート(b2)、カゼイン、ホエイ蛋白質又はその他の乳蛋白質、大豆蛋白質、エンドウ蛋白質、トウモロコシ蛋白質(ゼイン)等の植物性蛋白質、フィッシュコラーゲン、豚コラーゲン、豚ゼラチン、牛ゼラチン等の動物性蛋白質等が挙げられる。界面活性能を向上するという観点から、カゼイネート(b2)を含有することが好ましい。
また、その他の蛋白質の平均分子量は、好ましくは5000以上であり、より好ましくは7000以上であり、特に好ましくは10000以上である。平均分子量が5000以上の場合、メイラード反応が起こりにくく、粉末油脂の着色を抑制するという効果を奏する。なお、平均分子量の測定方法は、高速液体クロマトグラフィーの分離モードのひとつである、サイズ排除クロマトグラフィーにより測定する。
また、カゼイネート(b2)を含有する場合には、食用蛋白質(B)中におけるカゼイネート(b2)の含有量は、好ましくは5〜80質量%であり、より好ましくは10〜70質量%であり、さらに好ましくは20〜60質量%である。
[食用炭水化物(C)]
本発明の粉末油脂は、食用炭水化物(C)を含有する。本発明に用いる食用炭水化物(C)は、食用蛋白質(B)に覆われた食用油脂(A)の微細粒子を保持する連続相になっていると考えられ、分散層である微細粒子同士の結着を防ぐ賦形剤としての役割を持つ。また食用炭水化物(C)は連続相であるため、粉末油脂自体の性質にも大きく寄与しており、低く好ましい甘味、低吸湿性、低変色性、高溶解性に寄与している。
本発明の粉末油脂における食用炭水化物(C)の含有量は7〜73.5質量%であり、好ましくは12〜60質量%であり、より好ましくは20〜40質量%である。食用炭水化物(C)の含有量が7質量%未満の場合は、粉末流動性、水分散性、分散後の乳化性が低下する。一方、73.5質量%を超える場合は、高度不飽和脂肪酸を高濃度で添加することができない。
本発明に用いる食用炭水化物(C)は、糖質、糖アルコール、食物繊維を含み、好ましくは糖質が用いられる。糖質としては、食品に使用する糖質であれば特に制限されず、例えば、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類、オリゴ糖類、水溶性多糖類が挙げられる。単糖類としては、具体的には、グリセルアルデヒド等の三炭糖、エリトルロース、トレオース等の四炭糖、リブロース、リボース、アラビノース、キシロース、デオキシリボース等の五炭糖、フルクトース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フコース等の六炭糖などが例示される。二糖類としては、具体的には、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロースなどが挙げられる。オリゴ糖類としては、具体的には、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナンオリゴ糖などが挙げられる。水溶性多糖類は、具体的には、デンプン、デキストリン、加工デンプンなどが挙げられる。
さらに、糖質として、トレハロース(c1)又は還元糖(c2)を含有することが好ましい。
トレハロース(c1)は、グルコース2分子がα、α−1、1結合した非還元性の糖質であり、その構造から水和性が高いことが知られており、砂糖などと比較して甘味が低く、ガラス転移温度が高いことから吸湿しにくく、メイラード反応などによる褐変を起こしにくく、溶解性が高いという特徴を持つ。さらに、トレハロース(c1)は、生物の細胞や蛋白質を乾燥によるストレスから保護する作用を持つといわれており、本発明ではミセル状カゼインに覆われた微細粒子が粉末化過程で受ける乾燥による変性を抑制していると思われ好適である。
還元糖(c2)は、アノマー炭素がグリコシド結合しておらず、分子内に遊離性のアルデヒド基やケトン基をもち、還元性を示す糖質である。炭水化物(C)として還元糖(c2)を含有することにより、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)の周囲が還元性雰囲気下となるため、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)の酸化抑制にも効果があるものと思われる。
糖質を含有する場合には、食用炭水化物(C)中における糖質の含有量は、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上であり、特に好ましくは99質量%以上である。
さらに、トレハロース(c1)または還元糖(c2)を含有する場合には、食用炭水化物(C)中におけるトレハロース(c1)または還元糖(c2)の含有量(c1とc2を含有する場合は、その合計の含有量)は、好ましくは40質量%以上であり、より好ましくは50質量%以上であり、さらに好ましくは75質量%以上である。
[食用酸化防止剤(D)]
本発明に用いる食用酸化防止剤(D)は、還元力を有する物質であり、食用油脂(A)の酸化を防止するという効果を奏する。食用酸化防止剤としては、ビタミンC、水溶性茶抽出物、エリソルビン酸、没食子酸等の水溶性酸化防止剤、もしくは、ビタミンCの脂肪酸エステル体、ビタミンE、油溶性茶抽出物、油溶性ローズマリー抽出物、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の油溶性酸化防止剤が挙げられる。
酸化防止性能をより発揮するためには、水溶性酸化防止剤と油溶性酸化防止剤を併用することが好ましく、酸化劣化臭を抑制する効果において特に優れるという観点から、水溶性酸化防止剤として、成分(d1)ビタミンCまたは水溶性茶抽出物、並びに、油溶性酸化防止剤として、成分(d2)ビタミンCの脂肪酸エステル体、ビタミンE、油溶性茶抽出物、油溶性ローズマリー抽出物からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上を併用することが特に好ましい。
また、食用酸化防止剤(D)は、食用油脂(A)、食用蛋白質(B)、食用炭水化物(C)のいずれの原料に含有してもよいが、食用油脂(A)中に含有することが好ましい。特に、水溶性酸化防止剤、油溶性酸化防止剤を食用油脂(A)中に含有することが好ましい。
[その他の成分]
本発明の粉末油脂は、本発明の範囲内で必要に応じて上記成分(A)〜成分(D)以外のその他の成分を添加してもよい。その他の成分としては、例えば、乳化剤、無機塩等を添加することができる。
(乳化剤)
乳化剤としては、例えば、モノグリセライド、有機酸モノグリセライド等のグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、サポニンなどが挙げられる。粉末油脂中における乳化剤の含有量は、特に制限されないが、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%であり、特に好ましくは、0.5〜3質量%である。
(無機塩)
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等が挙げられる。粉末油脂で広く用いられるカゼイネートは水溶液中において単分子で溶解できるのに比較して、本発明のミセル状カゼインは架橋によりミセル構造をとっているため単分子では溶解できず、相対的に溶解度が低い。製造中の水への溶解や粉末油脂の水分散性を高めるために、リン酸塩の添加が好ましく、なかでもメタリン酸ナトリウムがより好ましい。その添加量はミセル状カゼインの質量を1質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.05〜0.5質量部であり、特に好ましくは0.07〜0.2質量部である。
[粉末油脂の製造方法について]
本発明の粉末油脂の製造方法は、特に制限されないが、例えば、以下の乳化工程(P1)、乾燥工程(P2)を備えたものである。また、食用酸化防止剤(D)を添加する食用酸化防止剤添加工程(P3)を備えることが好ましい。
(乳化工程)
乳化工程(P1)は、食用油脂(A)と食用蛋白質(B)と食用炭水化物(C)を混合した水溶液を乳化する工程である。例えば、タンクに準備された温水に、食用蛋白質(B)と食用炭水化物(C)を撹拌しながら投入し溶解したあとで、撹拌を続けながら食用油脂(A)を投入し粗乳化させ、次いで、この粗乳化液を均質化機で乳化させる。
均質化機での乳化については、ラインミキサーやマントンゴーリン型ホモジナイザーの使用が好ましい。マントンゴーリン型ホモジナイザーの場合は10MPa以上の処理条件が好ましく、より好ましくは20MPa、最も好ましくは30MPa以上である。この乳化によって油滴が1.0μm以下まで微細化されていることが、そのあとの工程や保管において酸化を抑制するために好ましい。
(乾燥工程)
乾燥工程(P2)は、乳化工程により乳化された乳化液を乾燥機で水分を蒸発させる工程である。例えば、乳化工程により乳化された乳化液をスプレードライヤーなどの乾燥機にて水分を蒸発させ乾燥させる。乾燥機はフリーズドライヤーやドラムドライヤーやスプレードライヤーや真空ベルト乾燥機等が例示される。スプレードライヤーは高度不飽和脂肪酸の酸化を抑制するために、熱風温度を100〜120℃、排風温度を70〜90℃とすることが好ましい。また乾燥のあと適宜、粉砕、篩過、充填を行うが、粉砕の際に混合を兼ねて粉末流動性を向上させるために微粒二酸化ケイ素を添加しても構わない。そのあと適宜、粉砕、篩過、充填を行う。
(食用酸化防止剤添加工程)
食用酸化防止剤添加工程(P3)は、食用酸化防止剤(D)を添加する工程である。例えば、乳化工程(P1)の前段において、油相又は水相に添加する工程や、乳化工程(P1)の後段において、乳化液の水相に添加する工程等が挙げられる。食用酸化防止剤(D)の添加方法としては、油相中に油溶性酸化防止剤を添加する方法、水相中に水溶性酸化防止剤を添加する方法のほか、乳化により油溶性酸化防止剤又は水溶性酸化防止剤をそれぞれの異相に添加する方法等が挙げられる。
本発明の粉末油脂の製造方法において、食用酸化防止剤(D)は食用油脂(A)中に添加することが好ましく、特に食用酸化防止剤(D)として水溶性酸化防止剤、油溶性酸化防止剤を食用油脂(A)中に添加することが好ましい。なお、水溶性酸化防止剤を食用油脂(A)中に添加する場合には、水溶性酸化防止剤の粉末を食用油脂(A)に分散して添加する方法や、水溶性酸化防止剤の水溶液を食用油脂(A)に乳化して添加する方法等が挙げられる。水溶性酸化防止剤を均一に添加できるという観点から、水溶性酸化防止剤の水溶液を食用油脂(A)に乳化して添加する方法が好ましい。通常の粉末油脂の製造方法において、水溶性酸化防止剤を添加する場合には、乳化工程(P1)における水溶液に水溶性酸化防止剤を溶解して添加するが、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)の酸化抑制のためには食用油脂(A)中に水溶性酸化防止剤が均一に存在していることが望ましい。そのため、水溶性酸化防止剤の水溶液を食用油脂(A)に乳化して添加することにより、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)の酸化安定性を高めることができる。
また、食用酸化防止剤添加工程(P3)としては、水溶性酸化防止剤の水溶液を高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂中に乳化してW/O型乳化物を得る工程(P3−1)、前記W/O型乳化物を食用油脂(A)に混合する工程(P3−2)を備えることが好ましい。工程(P3−1)は、食用油脂(A)を構成する油脂の一部を用いて、水溶性酸化防止剤の水溶液を乳化する工程であり、その際、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂を用いることを特徴とするものである。高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂を用いることにより、W/O型乳化物の調製時や保管時における水溶性酸化防止剤の安定性に優れるという効果を奏する。工程(P3−2)は、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)を含む食用油脂(A)の残部と、W/O型乳化物とを混合して、食用酸化防止剤(D)を含有する食用油脂(A)を得るための工程である。
工程(P3−1)において使用する高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂としては、酸化安定性に優れるという観点から飽和脂肪酸のみからなる油脂であることが好ましい。
また、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂として、融点が常温(25℃)以上であるものを使用してもよい。融点が常温以上であることにより、W/O型乳化物の保存時の乳化安定性に優れるという効果を奏する。なお、融点は、基準油脂分析試験法の融点(上昇)に基づいて測定するものである。W/O型乳化物の乳化安定性に優れるという観点から見れば、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂の融点は、より好ましくは30℃以上であり、特に好ましくは40℃以上である。
さらに、工程(P3−1)において、水溶性酸化防止剤の水溶液を高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂中に乳化する際に、HLB5以下の乳化剤を添加することが好ましい。W/O型乳化物を用いて本発明の粉末油脂を製造する場合には、乳化工程(P1)では、食用蛋白質(B)と食用炭水化物(C)を含む水溶液の水相(以下、「W1」とする。)に、W/O型乳化物を含む食用油脂(A)が油相として分散しているW/O/W1型の乳化液が形成される。W/O界面を形成するためのHLB5以下の乳化剤は、その外側にあるため、W/O型乳化液を安定化することができるが、W/O/W1型の乳化液を調製する際には、O/W1界面の形成を阻害すると考えられる。しかし、本発明の粉末油脂に使用するミセル状カゼインは、粉末油脂で一般的に用いられるカゼイネートよりも相対的に界面活性能が低いため、O/W1界面の形成に対するHLB5以下の乳化剤の影響が小さい。よって、W/O界面を形成するための乳化剤として、HLB5以下の乳化剤を用いることにより、W/O/W1型の乳化液の安定性を保ちつつ、W/O型乳化液の安定性を向上することができる。
HLB5以下の乳化剤としては、好ましくはポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、テトラグリセリンモノラウリン酸エステル、テトラグリセリンモノオレイン酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン等が挙げられ、これらを適宜組み合わせて使用することができる。
HLB5以下の乳化物の使用量としては、W/O型乳化物中の食用油脂(A)1質量部に対して0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましく、0.1〜1.5質量部が特に好ましい。
[粉末油脂の用途]
本発明の粉末油脂は、これを含有する飲食品となすことができる。本発明の飲食品としては、例えばパン、ビスケット、ゼリー等のパン・菓子類;ヨーグルト、ハム等の乳肉加工食品;味噌、ソース、ドレッシング等の調味料;豆腐、麺類の加工食品;カプセル状、タブレット状、顆粒状等にした健康食品等を挙げることができる。
以下、下記表に記載された配合量に従って、粉末油脂を作成し、各種評価を行った。
原料として以下の材料を用いた
<食用油脂(A)>
DHA含有精製魚油(DHA含有量23質量%)、EPA含有精製魚油(EPA含有量28質量%)
<食用蛋白質(B)>
ミセルカゼインアイソレート(MCI)(日本新薬(株)製「ミルカMCI80」、ミセル状カゼイン69質量%、ホエイ蛋白質8質量%、乳糖10質量%)
<食用酸化防止剤(D)>
油溶性ビタミンE(商品名:イーミックスD、タマ生化学(株)製)
油溶性茶抽出物製剤(商品名:サンカテキン油性E、三井農林(株)製)
油溶性ローズマリー抽出物((株)光洋商会製「KALSEC」)
(実施例1〜10、13〜19、比較例1〜4)
表1〜3の配合組成で以下の方法により粉末油脂を製造した。
<油相の調製>
食用油脂(A)に、油溶性食用酸化防止剤(D)、乳化剤(ステアリン酸モノグリセライド)、乳化剤(レシチン)を溶解した。
<水相の調製>
温水(40℃)に、食用蛋白質(B)、食用炭水化物(C)、水溶性食用酸化防止剤(D)、メタリン酸Naを溶解した。
<粉末油脂の製造>
水相(70vol%)を撹拌しながら油相(30vol%)を投入して、粗乳化液を調製した。この粗乳化液をマントンゴーリン型ホモジナイザーで乳化させ(30MPa)、スプレードライヤーを用いて乾燥を行い(熱風温度120℃、排風温度85℃)、得られた乾燥物を粉砕することで粉末油脂を得た。次いで、得られた粉末油脂に対して微粒二酸化ケイ素を添加し、混合した。
(実施例11〜12)
表4の配合組成で以下の方法により粉末油脂を製造した。
<W/O乳化物の調製>
中鎖脂肪酸油、油溶性ビタミンE、油溶性茶抽出物製剤(実施例11)又は油溶性ローズマリー抽出物(実施例12)、乳化剤を混合して油相部を調製した。別に、L−アスコルビン酸を水に溶解して水相部を調製した。油相部に水相部を投入して、W/O型乳化物を調製した。
得られたW/O型乳化物を食用油脂(A)と混合し、以後、実施例1と同様にして粉末油脂を得た。
<W/O乳化物の配合>
(成分) 配合量(質量%)
油溶性ビタミンE 38.14
油溶性茶抽出物製剤又は油溶性ローズマリー抽出物 23.77
L−アスコルビン酸 4.74
乳化剤「グリセリン脂肪酸エステル(HLB3)」 21.41
乳化剤「酵素処理レシチン」 2.40
中鎖脂肪酸油「パナセート810」(日油(株)製) 9.54
(小計) 100.00
水 9.54
(合計) 109.53
実施例1〜19、および比較例1〜4の粉末油脂について以下の方法で評価を行い、評価結果を下記表1〜4に示した。
[酸化劣化臭の評価について]
酸化劣化臭の評価については、評価検体10gをシャーレに敷き、10名の官能評価により評価した。官能評価のスコアは、1:魚臭を感じない、2:魚臭をやや感じる、3:魚臭を感じる、4:魚臭を強く感じる、5:魚臭を著しく感じる、とした。
[経時変化後の酸化劣化臭の評価について]
経時変化後の酸化劣化臭の評価として、評価検体10gをシャーレに敷き、60℃3日間放置後に、上記の酸化劣化臭の評価と同様に実施した。なお60℃3日は20℃6ヶ月に相当すると考えられる。
[粉末流動性の評価について]
粉末流動性の評価については、JIS9301−2−2に準じて安息角を測定することで評価した。
[水分散性の評価について]
水分散性の評価については、評価検体10gを25℃の温水500mLに静かに投入し、プロペラ撹拌にて1分間攪拌し、溶け残りの状態を目視で確認し以下のとおり評価した。
◎:溶け残りがまったくない
○:溶け残りがごくわずかしかない
△:溶け残りが評価検体全体に対し半分以下
×:溶け残りが評価検体全体に対し半分以上
[乳化性の評価について]
乳化性の評価については、評価検体10gを25℃の温水500mLに溶解させたあと、レーザー回折式粒度分布計「LA−950((株)堀場製作所製)」にて平均径を測定することで評価した。平均径が小さいほど乳化性に優れると評価した。
[メイラード反応の評価について]
経時変化後の変色(メイラード反応)の評価として、評価検体10gをシャーレに敷き、60℃3日間放置後に、目視観察により評価を実施した。なお60℃3日は20℃6ヶ月に相当すると考えられる。
○:変色が認められない、もしくは変色がわずかである。
△:変色が認められる。
×:著しい変色が認められる。
Figure 2019041721
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Figure 2019041721
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表1の実施例1、2と比較例1を対比すると、ミセル状カゼインを含有する実施例1〜2の粉末油脂では、酸化劣化臭を抑制し、さらには粉末流動性、水分散性に優れることがわかる。また、実施例1〜5と比較例2を対比すると、食用油脂(A)の含有量が85質量%を超えると、乳化工程により乳化液が調製できなかった。
さらに、比較例3、4を見ると、食用蛋白質の含有量(B)が食用油脂(A)1質量部に対して0.05質量部未満の場合、乳化工程においてオイルオフが観察され乳化できなかった。また、食用蛋白質の含有量(B)が食用油脂(A)1質量部に対して0.5質量部超の場合、乳化工程において乳化液の粘度が高く、乳化や噴霧乾燥ができなかった。
実施例3〜10においては、種々の食用油脂(A)、食用炭水化物(C)、食用酸化防止剤(D)を用いて粉末油脂を調製した。いずれの材料でも良好な粉末油脂を得ることができることがわかる。
実施例11、12を見ると、水溶性酸化防止剤の水溶液と一部の食用油脂(A)を乳化して得られるW/O型乳化物を、食用油脂(A)中に分散させることにより、酸化劣化臭を抑制するという効果において極めて優れた効果が認められた。
実施例1、13、14を対比すると、酸化劣化臭を抑制するという効果において、水溶性酸化防止剤より油溶性酸化防止剤の方が優れており、水溶性酸化防止剤と油溶性酸化防止剤を併用することによりさらに優れた効果が認められた。
また、実施例15、16を見ると、食用蛋白質(B)として平均分子量が4000以下のペプチドを使用した場合に、メイラード反応による粉末油脂の着色が認められた。
また、実施例1と実施例17を対比すると、カゼイネートを含有することにより、乳化性が優れることがわかる。
また、実施例1と実施例18を対比すると、微粒二酸化ケイ素を含有することにより、粉末流動性、水分散性が優れることがわかる。
また、実施例2と実施例19を対比すると、乳化剤、メタリン酸Naを含有することにより、酸化劣化臭を抑制し、粉末流動性、水分散性、乳化性を向上することがわかる。
実施例11の粉末油脂を用いて、これを含有する各種食品を次の通り、調整した。
[実施例11−1〜3]スティック粉末
スティック1包分を口の中に入れ、そのままもしくは水で飲用するためのスティック粉末。
<配合>
(実施例11−1)スティック粉末(イチゴミルク風味)
mg/包
実施例11の粉末油脂 1000
粉末マルチトール 1484
脱脂粉乳 150
ミルクフレーバーパウダー※ 90
ストロベリーコートン 90
イチゴパウダー 150
微粒二酸化ケイ素 36
※ミルクフレーバーパウダーRSC60802(長岡香料(株)製)
(実施例11−2)スティック粉末(ヨーグルト風味)
mg/包
実施例11の粉末油脂 1000
粉末マルチトール 1559
脱脂粉乳 150
ヨーグルトフレーバーパウダー※ 150
ヨーグルトコートン 60
クエン酸(無水) 45
微粒二酸化ケイ素 36
※ヨーグルトフレーバーパウダーRSC63543(長岡香料(株)製)
(実施例11−2)スティック粉末(チョコレート風味)
mg/包
実施例11の粉末油脂 1000
粉末マルチトール 960
脱脂粉乳 150
チョコレートフレーバーパウダー※ 180
チョコレートコートン 30
ココアパウダー 150
微粒二酸化ケイ素 30
※チョコレートフレーバーパウダーRSC60364(長岡香料(株)製)
<評価>
上記、実施例11−1〜3で調整したスティック粉末1食分(3g)を酸素遮断性のあるアルミフィルムに充填し40℃で2ヶ月保管したが、魚臭はほとんど感じられなかった。
[実施例11−4]インスタントスープミックス
<配合>
インスタントスープミックスパウダー 17.6g
実施例11の粉末油脂 3.0g
上記配合にて混合して得られたインスタントスープミックスにおいて、インスタントスープ1杯あたりのDHA含量は300mgに相当する。インスタントスープは典型的には、上記インスタントスープミックス20.6gを熱湯150mLに溶解して調整することができる。
<評価>
上記、実施例11−4で調整したインスタントスープミックス1食分(20.6g)を酸素遮断性のあるアルミフィルムに充填し40℃で2ヶ月保管したが、魚臭はほとんど感じられなかった。
[実施例11−5]グリーンスムージー
<配合>
グリーンスムージーパウダー 8.5g
実施例11の粉末油脂 2.0g
上記配合にて混合して得られたグリーンスムージーにおいて、グリーンスムージー1杯あたりのDHA含量は200mgに相当する。グリーンスムージー飲料は典型的には、上記グリーンスムージー10.5gを水100mLに混合、溶解して調製することができる。
<評価>
上記、実施例11−5で調整したグリーンスムージー1食分(10.5g)を酸素遮断性のあるアルミフィルムに充填し40℃で2ヶ月保管したが、魚臭はほとんど感じられなかった。
[実施例11−6]クッキー
<配合・製法>
Figure 2019041721
<焼成条件>
生地重量 焼成前7.5g/枚(焼成後6.5g)
焼成温度 上火175℃ 下火150℃
焼成時間 約12分
上記表3の配合・製法にて得られたクッキーにおいて、クッキー10枚あたりのDHA含量は200mgに相当する。
<評価>
上記、実施例11−6で調整したクッキー1枚(6.5g)を酸素遮断性のある透明フィルムに包装し、この包装物(約50袋)をシリカゲルとともに酸素遮断性のあるアルミ袋に入れ保管した。(個包装)
同様に上記、実施例11−6で調整したクッキー10枚(6.5g)を酸素遮断性のないポリフィルムに包装し、この包装物(約5袋)をシリカゲルとともに酸素遮断性のあるアルミ袋に入れ保管した。(大包装)
これらを40℃で2ヶ月保管したが、いずれの包装形態においても魚臭はほとんど感じられなかった。
[実施例11−7]ホットケーキミックス
<配合>
ホットケーキミックスパウダー 150g
実施例11の粉末油脂 2g
<ホットケーキの作成例>
上記のホットケーキミックス 152g
卵(Mサイズ) 1個
牛 乳 100mL
上記配合にて混合・焼成して得られたホットケーキミックスにおいて、ホットケーキミックス3枚あたりのDHA含量は200mgに相当する。
<評価>
上記、実施例11−7で調整したホットケーキミックス1食分(152g)を酸素遮断性のあるアルミフィルムに充填し40℃で2ヶ月保管した後、ホットケーキを焼成したが、魚臭はほとんど感じられなかった。
[実施例11−8]テーブルロール
<配合>
配合 配合(1) 配合(2) 配合(3)
(中 種)
強力粉 70 70 70
イースト 3 3 3
イーストフード 0.1 0.1 0.1
水 42 42 42
(本 捏)
実施例11の粉末油脂 1.2 2.9 5.9
強力粉 10 10 10
薄力粉 20 20 20
上白糖 14 14 14
食塩 1.7 1.7 1.7
脱脂粉乳 3 3 3
全卵 12 12 12
デリシャスコンパウンド 14 14 14
水 8 8 8
計 199 201 204
<製法>
上記の配合(1)〜(3)の各々において、中種原料をミキサーボウルに投入し、低速2分、中速2分混捏し、捏ね上げ温度26℃の中種を28℃で2時間醗酵させた。醗酵させた中種をミキサーボウルに投入し、さらに本捏原料を投入し、低速4分、中速8分混捏し、捏ね上げ温度28℃の生地を得た。フロアタイムを30分取った後、35gに分割し、次いでベンチタイムを15分取った後、テーブルロールに成型し鉄板に並べた。さらに38℃、相対湿度85%のホイロに55分入れて最終醗酵を行った。最終醗酵後、上火200℃、下火200℃のオーブンに入れて、8分焼成しパンを得た。このパンを20分間室温で放冷した。
上記の配合(1)、(2)、(3)はそれぞれ、DHA含有量20、50、100mg/個に相当する。
<評価>
上記、実施例11−8で調整したテーブルロール1個(30g)をポリフィルム袋に充填し30℃で8日間保管したが、配合(1)〜(3)のいずれにおいても魚臭はほとんど感じられなかった。
[実施例11−9]サンドクリーム
<配合・製法>
Figure 2019041721
上記表6の配合・製法にて得られたサンドクリームにおいて、サンドクリーム20gあたりのDHA含量は200mgに相当する。
<評価>
上記、実施例11−6で調整したサンドクリーム20gをプラスチック容器に入れ、さらにこれを酸素遮断性のあるアルミフィルムに30℃で3ヶ月保管したが、魚臭はほとんど感じられなかった。
[実施例11−10]バタークリーム
<配合・製法>
Figure 2019041721
上記表7の配合・製法にて得られたバタークリームにおいて、バタークリーム20gあたりのDHA含量は200mgに相当する。
<評価>
上記、実施例11−10で調整したバタークリーム20gをプラスチック容器に入れ、容器内に脱酸素剤を入れる/入れないの2条件下で、さらにこれを酸素遮断性のあるアルミフィルムに30℃で5日間保管したが、魚臭はほとんど感じられなかった。
[実施例11−11]チョコレート
<配合>
ミルクチョコレート生地(市販品) 92.42部
実施例11の粉末油脂 7.58部
上記配合にて混合して得られたチョコレートにおいて、チョコレート1食(3.3g)あたりのDHA含量は25mgに相当する。
<評価>
上記、実施例11−11で調整したチョコレート1食(3.3g)を酸素遮断性のあるアルミフィルムに充填し30℃で2ヶ月保管したが、魚臭はほとんど感じられなかった。
以上の通り、本発明の粉末油脂を含有する飲食品は、長期の加速試験においても良好な保存安定性を有することが明らかとなった。

Claims (7)

  1. 食用油脂(A)、食用蛋白質(B)、食用炭水化物(C)、食用酸化防止剤(D)を含有する粉末油脂であって、
    食用油脂(A)の含有量が25〜85質量%、食用蛋白質(B)の含有量が食用油脂(A)1質量部に対して0.05〜0.5質量部、食用炭水化物(C)の含有量が7〜73.75質量%であり、
    食用油脂(A)は高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)を含み、食用油脂(A)の脂肪酸組成における高度不飽和脂肪酸の含有量が3〜70質量%であり、
    食用蛋白質(B)はミセル状カゼイン(b1)を含み、食用蛋白質(B)中におけるミセル状カゼイン(b1)の含有量が20質量%以上である、粉末油脂。
  2. 高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)は、α−リノレン酸、EPA、DHAからなる群から選ばれる1つまたは2つ以上の高度不飽和脂肪酸を有する、請求項1に記載の粉末油脂。
  3. 食用蛋白質(B)がさらに、カゼイネート(b2)を含み、食用蛋白質(B)中におけるカゼイネート(b2)の含有量が5〜80質量%である、請求項1または2に記載の粉末油脂。
  4. 食用炭水化物(C)がトレハロース(c1)または還元糖(c2)を含み、食用炭水化物(C)中におけるトレハロース(c1)または還元糖(c2)の含有量が40質量%以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉末油脂。
  5. さらに、食用酸化防止剤(D)として下記の成分(d1)、下記の成分(d2)を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉末油脂。
    成分(d1):ビタミンCまたは水溶性茶抽出物
    成分(d2):ビタミンCの脂肪酸エステル体、ビタミンE、油溶性茶抽出物、油溶性ローズマリー抽出物からなる群から選ばれる1つまたは2つ以上
  6. 請求項5に記載の粉末油脂の製造方法であって、
    食用油脂(A)と食用蛋白質(B)と食用炭水化物(C)を混合した水溶液を乳化する乳化工程(P1)と、
    前記乳化工程により乳化された乳化液を乾燥機で水分を蒸発させる乾燥工程(P2)と、
    食用酸化防止剤(D)を添加する食用酸化防止剤添加工程(P3)と、を備え、
    前記食用酸化防止剤添加工程(P3)は、
    HLB5以下の乳化剤を用いて、成分(d1)の水溶液を、高度不飽和脂肪酸含有油脂(a)以外の油脂中に乳化してW/O型乳化物を得る工程(P3−1)と、
    前記W/O型乳化物を食用油脂(A)に混合する工程(P3−2)と、を含む、粉末油脂の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉末油脂を含有する飲食品。
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